説明

方向変換装置

【課題】方向変換するための駆動系を要しない函の方向変換装置を提供する。
【解決手段】函の方向変換装置は、函2を搬送するコンベア4と、前記コンベア4による函の搬送経路に配置された邪魔部1と、前記コンベア4の第1、第2の側方a,bに配置され、前記コンベア4によって搬送される函2をガイドする第1、第2ガイド3,3’とを備える。前記コンベア4によって搬送されている函2の一部分が前記邪魔部1に突き当たることによって、前記コンベア4の搬送面に対して垂直な軸回りで該函2が90度回転し、前記邪魔部1は、函2に接触しうる部分13が曲面で構成されている。前記第2ガイド3’は、前記コンベア4によって搬送されている函の一部分が前記邪魔部1に突き当たることによって該函1が90度回転することを許すように前記第2の側方bに向けて湾曲した部分を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、函の方向変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール瓶、酒瓶等のリターナブルな瓶類を函に収容して、所定数単位での取り扱いや、出荷元とユーザーとの間の通いに供することが古くから行われている。そのような函は、充填瓶収容時の負荷に耐えるだけの十分な強度、耐久性を有しつつ、取り扱い易さや運搬性の点から計量で持ち運び易く水が溜まらないといった性能を有することが求められる。そこで、函の多くは、図4に示すように、取手、補強リブ21、この補強リブ21による凹部22、通水や軽量化のための透孔や窓などを持ったものとなっている。また、中仕切りを有して瓶を個別に収容し保護するポケットを形成している。
【0003】
このような函2は地面上や倉庫に放置されたり、野ざらしにされたりするので、ゴミや埃、汚れが付着し易い。また、函2は、樹脂製であるため静電気による汚れも付着し易い。さらに、充填瓶を収容した函2を販売する段階で、顧客先名を記したシール23が貼着されることが慣例化しているが、メーカー側は空瓶ともに函2を回収し再利用する際にはシール23を除去する必要がある。また、函2には支払い済みテープ24が貼り付けられていることもあり、このテープも除去する必要がある。
【0004】
このような函2にある処理を施す工程と次の処理を施す工程とで、処理を施す函2の面が異なることがある。
【0005】
例えば、汚れや異物の付着した函2を回収して再使用する場合に、函を搬送手段により搬送しながら、その搬送路の両側から函の両側面に対して洗浄液を吹き付けることにより洗浄する形態が採られる。この場合、全ての側面を洗浄するために、搬送路の途中で函を90度方向変換させる必要が生じる。
【0006】
また、多数の函をパレットに載置して運搬する場合、多数の函が荷崩れしないように縦方向の函と横方向の函とを抱き合わせて積付けすることが行われる。この場合にも、函の向きを90度変更する必要が生じる。
【0007】
函を搬送する過程で90度変更する方向変換装置は、例えば特許文献1に記載されている。
【0008】
特許文献1に記載される方向変換装置は、左右方向で搬送速度が異なる差速コンベアを用いるものである。しかしながら、函を方向変換するために駆動系を要するので電気的、機械的なトラブルが発生する恐れが生じ、また定期的なメンテナンスを必要とする。
【特許文献1】特開2006−27879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、複雑な駆動系を使用せずに函を90度変更する方向変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の函の方向変換装置は、函を搬送するコンベアと、前記コンベアによる函の搬送経路に配置された邪魔部とを備え、前記コンベアによって搬送されている函の一部分が前記邪魔部に突き当たることによって、前記コンベアの搬送面に対して垂直な軸回りで該函が90度回転し、前記邪魔部は、函に接触しうる部分が曲面で構成されている、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の好適な実施形態では、函の方向変換装置が、前記コンベアの第1、第2の側方に配置され、前記コンベアによって搬送される函をガイドする第1、第2ガイドを更に備え、邪魔部は前記コンベアの中央と前記第1ガイドとの間に配置され、前記第2ガイドは、前記コンベアによって搬送されている函の一部分が前記邪魔部に突き当たることによって該函が90度回転することを許すように前記第2の側方に向けて湾曲した部分を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、函を方向変換するために複雑な駆動系を要しないので、電気的、機械的なトラブルが発生しにくく、定期的なメンテナンスの負担が少ない函の方向変換装置を提供することができる。また、好適な実施形態によれば、第1、第2ガイドを更に備えることによって、函を確実にかつ速やかに90度回転した状態とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、函が左から右へ搬送される間に横長配置形態から縦長配置形態へと90度方向変換される実施形態で本発明を説明する。
【0014】
図1に示されるように、函を90度変更する方向変換装置は、函2を矢印の方向に搬送するコンベア4を備える。コンベア4の第1の側方(図1中、コンベア4の上方a)及び第2の側方(図1中、コンベア4の下方b)にそれぞれコンベア4に沿って延びる第1ガイド3及び第2ガイド3’が設けられる。第1,2ガイド3,3’は、函2の側面を案内する機能を果たすものであって、棒材、板材いずれの形態のものでも利用可能である。
【0015】
第1ガイド3は、例えば搬送経路の上流側でコンベア4に平行な直線部3aと、方向変換部でコンベア4から遠ざかる傾斜部3bと、搬送経路の下流側でコンベア4に平行な、傾斜部3bに続く直線部3cとで構成されうる。一方、第2ガイドは、搬送経路の上流側でコンベア4に平行な直線部3a’と、方向変換部でコンベア4の第2の側方bに向けて湾曲する湾曲部3b’と、搬送経路の下流側で再びコンベア4に平行な直線部3c’とで構成されうる。第1ガイド3と第2ガイド3’との間隔は、搬送経路上流側で函2の短い辺の寸法に対応する。第1、2ガイド3,3’間の間隔は、方向変換部に入ると広がる。そして第1、2両ガイド3,3’間の間隔は、方向変換部の途中で最も広がった後狭まり、搬送経路下流側で函2の長い辺の寸法に対応する一定の間隔となる。
【0016】
方向変換部において、第1ガイド3の傾斜部3bとコンベア4の中央部との間に邪魔部1が設けられる。邪魔部1は、例えば図3に示すように、函2の前面と接触しうる搬送路上流側から第2の側方b側に亘って凸面(曲面)を有する。図3の邪魔部1はバー11の一端に設けられ、バー11の他端は第1ガイド3の傾斜部3bの近傍に固設された中空円筒状のホルダー11に挿入された後ネジ14で固定されている。バー11のホルダーに対する挿入状況は変更しうるので、邪魔部1の設置位置をコンベアの幅方向に変更可能に設けうる。
【0017】
次に、方向変換装置を用いて向きを90度変更する函2の動きを説明する。
【0018】
函2は横長の状態でコンベア4に搭載され、コンベアの搬送経路を下流(図1の右方向)に向かって移動する。その際、第1、2ガイドの上流側直線部3a,3a’は函2のコンベア幅方向の動きを規制する。方向変換部において、函2前面の第1ガイド側隅部周辺が邪魔部1に突き当たる。
【0019】
図2は、図4に示されるような4隅に補強リブ21を備え、補強リブ周辺に凹部22を有する函2が邪魔部1に突き当たった状態を示している。函2は、その前面第1ガイド側補強リブ21の第2ガイド側側面と当該補強リブ21に隣接する凹部22の底面とが邪魔部1の外表面と接触する。函2は邪魔部1と接触する部分では搬送路下流側への移動を邪魔されるが、函2全体は搬送路下流側へ移動するような作用をコンベア4より受けている。したがって、函2は、邪魔部1の中心を通りコンベア4の搬送面に対して垂直な軸周りに回転を始める。函2と接触する邪魔部1の外周面は凸面(曲面)であるため、函2は、邪魔部及び第2ガイドに噛み込むことなく、円滑に回転する。
【0020】
函2が約90度回転すると、函2は図1に示すように邪魔部1との接触がなくなり、第2ガイド3’の湾曲部3b’及び第1,2ガイドの下流側直線部3c、3c’によって縦長の状態へと導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用した一実施形態における函の方向変換装置を上方から見た図である。
【図2】函が邪魔部に突き当たった状態を示す図である。
【図3】邪魔部の一例を示す斜視図である。
【図4】函の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1 邪魔部
11 ホルダー
12 バー
13 突起
14 ネジ
2 函
21 補強リブ
22 凹部
23 シール
24 支払い済みテープ
3 第1ガイド
3’ 第2ガイド
4 コンベア
a コンベアの第1の側方
b コンベアの第2の側方

【特許請求の範囲】
【請求項1】
函の向きを90度変更する方向変換装置であって、
函を搬送するコンベアと、
前記コンベアによる函の搬送経路に配置された邪魔部とを備え、
前記コンベアによって搬送されている函の一部分が前記邪魔部に突き当たることによって、前記コンベアの搬送面に対して垂直な軸回りで該函が90度回転し、
前記邪魔部は、函に接触しうる部分が曲面で構成されている、
ことを特徴とする方向変換装置。
【請求項2】
前記コンベアの第1、第2の側方に配置され、前記コンベアによって搬送される函をガイドする第1、第2ガイドを更に備え、
前記邪魔部は、前記コンベアの中央と前記第1ガイドとの間に配置され、
前記第2ガイドは、前記コンベアによって搬送されている函の一部分が前記邪魔部に突き当たることによって該函が90度回転することを許すように前記第2の側方に向けて湾曲した部分を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方向変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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