説明

方向変更曲線コンベア

【課題】 例えば既設の曲線コンベアに対して、搬送中の物品の搬送方向に対する向きを変更すること、及び搬送中の物品の搬送方向に対する向きを変更しない元の状態に戻すことを安価で簡単に行うことができる方向変更曲線コンベアを提供すること。
【解決手段】 物品2を所定の曲線経路に沿って搬送するための曲線コンベア1と、曲線コンベア1の内周側フレーム14に設けられ、物品2の底面のうち内周側フレーム14に近い部分と当接して搬送中の物品2の向きを変更するための方向変更部材13とを備え、この方向変更部材13が曲線コンベア1の入口部1aに設けられ、方向変更部材13の上面に設けられている凸部13bが送込みコンベア6の出口側搬送面よりも下方に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品が曲線コンベア上の所定の曲線経路に沿って搬送される途中で、搬送方向に対する物品の向きを変更することができる方向変更曲線コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の曲線コンベアの一例として図4に示すものがある。同図に示す曲線コンベア1は、曲線ネットコンベアであり、入口部1aから送り込まれた物品2を、その進行方向を約90°変更して出口部1bから送り出すことができるものである。そして、その入口部1aには第1従動ローラ3が設けられており、出口部1bには第2従動ローラ4が設けられている。そして、図には示さないが、曲線コンベア1の下部には、駆動ローラが設けられており、これら第1従動ローラ3、第2従動ローラ4及び駆動ローラには、ネットベルト5が掛けられている。この駆動ローラが回転駆動すると、ネットベルト5が図4に示す円弧方向の搬送方向8に送られて、ネットベルト5上の物品2を同方向に搬送することができる。また、図4に示す6は、送込みコンベアであり、7は送り出しコンベアである。
【0003】
この曲線コンベア1によると、図4に示すように、平面形状が略長方形の物品2を、その長さ方向を搬送方向8と平行させて入口部1aに送り込むと、物品2は入口部1aから送り込まれたときと同じ状態(物品2の長さ方向が搬送方向8と平行する状態)で、出口部1bから送り出される。
【0004】
ところで、例えば図5に示すように、前工程の都合によって、物品2を、その長さ方向を搬送方向8と直交させた状態で曲線コンベア1の入口部1aに送り込むようにすると、物品2は入口部1aに送り込まれたときと同じ状態(物品2の長さ方向が搬送方向8と直交する状態)で、出口部1bから送り出される。
【0005】
しかし、図5に示すように、例えば建物の壁9に形成されている開口部9aに合わせるために、送り出しコンベア7の横幅がW1に形成されており、この横幅W1が物品2の長さLよりも短い場合は、曲線コンベア1から送り出される物品2を送り出しコンベア7に乗り移らせることができないという問題がある。
【0006】
そこで、図5に示す曲線コンベア1に代えて、図6に示す方向変更曲線コンベア10を使用することによって、物品2を送り出しコンベア7に乗り移らせることができる(例えば、特許文献1参照。)。図6に示す方向変更曲線コンベア10は、内周フレーム(図示せず)と外周フレーム(図示せず)との間に、複数のテーパローラ11、・・・が軸受を介して回動自在に設けられている。これらのテーパローラ11、・・・は、大径部を内周フレーム側に位置させて放射状に配置してあり、それぞれの上面が水平に並ぶように設けられている。
【0007】
この図6に示す方向変更曲線コンベア10によると、物品2を、その長さ方向を搬送方向8と直交させた状態でこの方向変更曲線コンベア10の入口部10aに送り込むと、物品2が搬送されるときに、物品2の向きが搬送方向8に対して90°変更して、物品2はその長さ方向が搬送方向8と平行する状態で出口部10bから送り出される。これによって、物品2を図5に示す送り出しコンベア7に乗り移らせることができる。なお、物品2の横幅W2は、送り出しコンベア7の横幅W1よりも短い寸法である。
【特許文献1】実開昭50−84987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、物品2を送り出しコンベア7に乗り移らせることができるようにするために、図5に示す曲線コンベア1を、図6に示す方向変更曲線コンベア10に取り替えようとすると、費用が嵩み手間が掛かる。よって、図5に示す曲線コンベア1を使用して、安価で簡単に物品2を送り出しコンベア7に乗り移らせることができるようにすることが望まれる。
【0009】
そして、図5に示す曲線コンベア1を、図6に示す方向変更曲線コンベア10に取り替えてしまうと、図4に示すように、物品2を入口部10aから送り込まれたときと同じ状態(物品2の長さ方向が搬送方向8と平行する状態)で、出口部10bから送り出すようにすることができないという問題がある。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、例えば既設の曲線コンベアに対して、搬送中の物品の搬送方向に対する向きを変更すること、及び搬送中の物品の搬送方向に対する向きを変更しない元の状態に戻すことを安価で簡単に行うことができる方向変更曲線コンベアを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る方向変更曲線コンベアは、物品を所定の曲線経路に沿って搬送するための曲線コンベアと、前記曲線コンベアの内周側フレームに設けられ物品の底面のうち前記内周側フレームに近い部分と当接して搬送中の物品の向きを変更するための方向変更部材とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
この発明に係る方向変更曲線コンベアが備える曲線コンベアによると、供給された物品を所定の曲線経路に沿って搬送することができる。そして、方向変更部材によると、その所定の曲線経路に沿って搬送される物品の底面のうち、内周側フレームに近い部分と当接して、物品に摩擦抵抗や接触抵抗等を付与することができ、物品の内周側フレームに近い部分の搬送方向の移動を妨げることができる。これによって、搬送中の物品の搬送方向に対する向きを変更することができる。また、方向変更部材を曲線コンベアから取り外すことによって、搬送中の物品の搬送方向に対する向きを変更しない元の状態に戻すことができる。
【0013】
そして、この発明に係る方向変更曲線コンベアにおいて、前記方向変更部材が前記曲線コンベアの入口部に設けられ、前記方向変更部材が前記曲線コンベアに物品を送り込む送込みコンベアの出口側搬送面よりも下方に位置させるとよい。このようにすると、物品が送込みコンベアから方向変更曲線コンベアに送り込まれてくるときに、物品の底面のうち、内周側フレームに近い部分が方向変更部材上に確実に乗り上げるようにすることができる。これによって、搬送中の物品の搬送方向に対する向きを確実に変更することができる。
【0014】
また、この発明に係る方向変更曲線コンベアにおいて、前記方向変更部材に、搬送中の物品の底面と当接する凸部を設けるとよい。このようにすると、例えば物品の底面の摩擦係数が比較的小さい場合でも、方向変更部材に設けられている凸部が物品の底面に引っ掛かることによって、搬送中の物品の搬送方向に対する向きを確実に変更することができる。
【0015】
更に、この発明に係る方向変更曲線コンベアにおいて、前記内周側フレームにおける前記曲線コンベアの出口側部分にローラを設け、前記ローラが物品の側面と当接して物品の向きを揃えるようにしてもよい。このようにすると、物品の変更された向きにばらつきがある場合でも、ローラが物品の側面に当接することによって、物品を所定の向きに揃えることができる。そして、ローラを方向変更曲線コンベアの出口側部分に配置してあるので、物品を所定の向きに揃えた状態で送り出すことができる。
【0016】
そして、この発明に係る方向変更曲線コンベアにおいて、前記曲線コンベアを曲線ネットコンベアとするとよい。このように、曲線ネットコンベアを使用すると、搬送中の物品の姿勢を、例えばローラコンベア等と比較して水平に近い状態に保持することができる。これによって、物品の底面と方向変更部材との接触面積や接触強さのばらつきを小さくすることができ、搬送中の物品の搬送方向に対する向きを正確に変更することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る方向変更曲線コンベアによると、例えば既設の曲線コンベアに対して方向変更部材を設けることによって、搬送中の物品の搬送方向に対する向きを変更することができる。よって、図6に示す従来の方向変更曲線コンベア10を使用することなく、曲線コンベアに送り込まれてくる物品の搬送方向に対する向きを、安価で簡単に所望の向きとなるように変更して送り出すことができる。また、方向変更部材を曲線コンベアから取り外すことによって、搬送中の物品の搬送方向に対する向きを変更しない元の状態に簡単に戻すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る方向変更曲線コンベアの実施形態を図1〜図3を参照して説明する。この方向変更曲線コンベア12は、図1に示すように、前段に設けられている送込みコンベア6から送り込まれた物品2が、この方向変更曲線コンベア12上の所定の約1/4円の円弧状経路(曲線経路)に沿って搬送される途中で、物品2の向きを変更して、後段に設けられている送り出しコンベア7に送り出すことができるものであり、曲線コンベア1と、方向変更部材13とを備えている。この物品2は、例えば解凍された食肉がビニール袋で包装されたものであり、平面形状が略長方形であって所定の厚みを有している。
【0019】
曲線コンベア1は、図1に示すように、従来の曲線コンベア(図4及び図5参照)1と同等の曲線ネットコンベアである。即ち、入口部1aから送り込まれた物品2を、その進行方向を約90°変更して出口部1bから送り出すことができるものであり、その入口部1aには第1従動ローラ3が設けられており、出口部1bには第2従動ローラ4が設けられている。そして、図には示さないが、曲線コンベア1の下部には、駆動ローラが設けられており、これら第1従動ローラ3、第2従動ローラ4及び駆動ローラには、ネットベルト5が掛けられている。この駆動ローラが回転駆動すると、ネットベルト5が図1に示す円弧方向の搬送方向8に送られて、ネットベルト5上の物品2を同方向に搬送することができる。
【0020】
なお、ネットベルト5を円弧方向に送ることができるようにするために、第1及び第2従動ローラ3、4に設けられているそれぞれの従動ローラ部3a、3a、・・・、4a、4a、・・・は、それぞれが設けられている第1及び第2従動軸3b、4bに対して回動自在である。そして、駆動ローラは、複数の駆動ローラ部を備えており、これら複数の駆動ローラ部は、駆動軸に固定して設けられている。そして、これら複数の駆動ローラ部は、曲線コンベア1の内周側フレーム14から外周側フレーム15に向かうに従って、直径が大きくなるように形成されている。
【0021】
また、曲線コンベア1には、ネットベルト5の上側走行路に沿って複数本の支持部材(図示せず)が設けられ、この支持部材はフレームに取り付けられている。これらの支持部材は、例えば円弧状の細長い板状体で形成されている。この上側走行路は、ネットベルト5が物品2を搬送する走行路であり、支持部材は、この上側走行路を走行するネットベルト5及び物品2を支持するためのものである。
【0022】
更に、この曲線コンベア1の内周側フレーム14は、床からの高さが外周側フレーム15よりも低くなるように設置されている。よって、ネットベルト5の上側走行路を走行する搬送面は、内周側部が外周側部よりも低くなるように傾斜面として形成されている。
【0023】
この曲線コンベア1によると、例えば図4に示すように、平面形状が略長方形の物品2を、その長さ方向を搬送方向8と平行させて入口部1aに送り込むと、物品2は入口部1aから送り込まれたときと同じ状態(物品2の長さ方向が出口部1bの搬送方向8と平行する状態)で、出口部1bから送り出される。ただし、入口部1aから送り込まれた物品2は、その進行方向を右側に約90°変更して出口部1bから送り出される。
【0024】
また、ネットベルト5は、図1に示すように、例えば多数の折曲線材5a、・・・を互いに連結して環状に形成した従来公知のものであり、これらの多数の各折曲線材5a、・・・は、例えばステンレス等の金属製線材を折り曲げて形成したものである。このネットベルト5は、搬送面に凹凸が形成されないように各折曲線材5a、・・・が折曲されて互いに連結されている。これによって、物品2を略水平に保持した状態で所定の円弧状経路に沿って搬送することができる。ただし、図1等では、ネットベルト5を形成する多数の折曲線材5a、・・・のうちの一部のみを示している。
【0025】
方向変更部材13は、図1〜図3に示すように、例えば金属製の矩形の板状体13aを備えており、曲線コンベア1の入口部1aであって、内周側フレーム14の上面にボルト16、16によって締め付け固定されている。そして、この板状体13aは、その上面がネットベルト5の上側走行路の搬送面と略平行すると共に、板状体13aの長さ方向が曲線コンベア1の搬送方向(方向変更部材13が設けられている箇所の搬送方向)8と略平行するように配置されている。そして、この板状体13aには、例えば短円柱状部材で形成された凸部13bが溶接又はネジ止め等によって固定して取り付けられている。この凸部13bは、板状体13aにおける曲線コンベア1の出口部1bに向かう短辺側縁部に配置されており、凸部13bの軸心が板状体13aの短辺側縁部と平行し、かつ搬送方向8と略直交する状態で設けられている。
【0026】
また、図3(a)に示すように、曲線コンベア1の入口側搬送面17は、送込みコンベア6の出口側搬送面18よりもHだけ低い位置に配置されている。これによって、方向変更部材13に設けられている凸部13bの上縁は、送込みコンベア6の出口側搬送面18よりも下方に位置するように配置されている。
【0027】
なお、曲線コンベア1の横幅は、約700mmであり、板状体13aの縦及び横(長さ方向)の各寸法は、約150mm及び250mmである。そして、凸部13bの長さは約50mmである。
【0028】
また、図1に示すように、内周側フレーム14における曲線コンベア1の出口部(出口側部分)1bには、ローラ19が回動自在に設けられている。このローラ19は、軸心が略鉛直方向と平行し、曲線コンベア1によって搬送される物品2の内側面と当接する位置及び高さに設けられており、物品2の内側面と当接して物品2の向きを揃えるためのものである。このようにして向きを揃えられた物品2は、その長さ方向が搬送方向8と略平行する。
【0029】
送込みコンベア6は、図1に示すように、搬送用突起20、20が搬送方向8に移動するように設けられており、この搬送用突起20、20が物品2に係合することによって物品2を搬送方向8に搬送することができるものである。この送込みコンベア6によると、供給された物品2を搬送して方向変更曲線コンベア12の入口部1aに送り込むことができる。この送込みコンベア6、及び方向変更曲線コンベア12のそれぞれの横幅は、略同一の寸法に形成されている。
【0030】
送り出しコンベア7は、図1に示すように、ベルトコンベアであり、方向変更曲線コンベア12の出口部1bから送り出された物品2を受け入れて、所定の送り出し方向21に送り出して搬送するものである。この送り出しコンベア7の横幅W1は、方向変更曲線コンベア12の横幅よりも短い寸法に形成されている。この送り出しコンベア7は、壁9に形成されている開口部9aに挿通して設置されている。また、物品2の横幅及び長さは、W2及びLである。送り出しコンベア7の横幅W1は、物品2の横幅W2よりも長く、その長さLよりも短い寸法である。
【0031】
上記のように構成された方向変更曲線コンベア12が備える曲線コンベア1によると、図4及び図5に示す従来の曲線コンベア1と同様に、前段に設けられている送込みコンベア6から供給された物品2を所定の円弧状経路に沿って搬送して、後段に設けられている送り出しコンベア7に送り出すことができる。この際、図1に示すように、平面形状が略長方形の物品2を、その長さ方向を搬送方向8と直交させて入口部1aに送り込むと、物品2を、入口部1aから送り込まれたときと同じ状態(物品2の長さ方向が搬送方向8と直交する状態)で、出口部1bから送り出すことができる。
【0032】
そして、方向変更部材13によると、物品2の搬送状態を表す図1の二点鎖線で示すように、曲線コンベア1の所定の円弧状経路に沿って搬送される物品2の底面2aのうち、内周側フレーム14に近い部分と当接して、物品2に摩擦抵抗を付与することができ、物品2の内周側フレーム14に近い部分の搬送方向8の移動を妨げることができる。これによって、搬送中の物品2の長さ方向が搬送方向8と平行する状態となるように物品2の向きを変更して、物品2をこの方向変更曲線コンベア12の出口部1bから後段の送り出しコンベア7に送り出すことができる。よって、図6に示す従来の方向変更曲線コンベア10を使用することなく、曲線コンベア1に送り込まれてくる物品2の搬送方向8に対する向きを、安価で簡単に所望の向きとなるように変更することができる。
【0033】
つまり、図5に示すように、曲線コンベア1によると、前工程の都合によって、物品2を、その長さ方向を搬送方向8と直交させた状態で曲線コンベア1の入口部1aに送り込むようにすると、物品2は入口部1aに送り込まれたときと同じ状態(物品2の長さ方向が搬送方向8と直交する状態)で出口部1bから送り出されるが、このとき、送り出しコンベア7の横幅W1が物品2の長さLよりも短いので、曲線コンベア1から送り出される物品2を送り出しコンベア7に乗り移らせることができない。
【0034】
そこで、図1に示すように、曲線コンベア1に方向変更部材13を取り付けることによって、搬送中の物品2の長さ方向が搬送方向8と平行するように90°向きを変更して、物品2をこの方向変更曲線コンベア12の出口部1bから後段の送り出しコンベア7に送り出すことができる。これによって、曲線コンベア1から送り出される物品2を送り出しコンベア7に乗り移らせることができる。ただし、物品2の横幅W2は、送り出しコンベア7の横幅W1よりも短い寸法である。
【0035】
そして、図3(a)、(b)、(c)に示すように、方向変更部材13を曲線コンベア1の入口部1aに設け、方向変更部材13の凸部13bの上縁が送込みコンベア6の出口側搬送面18よりも下方に位置するように配置することによって、物品2が送込みコンベア6から方向変更曲線コンベア12に送り込まれてくるときに、物品2の底面2aのうち、内周側フレーム14に近い部分が方向変更部材13上に確実に乗り上げるようにすることができる。これによって、搬送中の物品2の搬送方向8に対する向きを確実に変更することができ、物品2の長さ方向が搬送方向8と平行するように90°向きを変更して出口部1bから送り出すことができる。図3(a)は、物品2が送込みコンベア6の出口部に移動している状態を示す正面図、図3(b)は、物品2が送込みコンベア6の出口部と方向変更曲線コンベア12の入口部1aとに跨る位置に移動している状態を示す正面図、図3(c)は、物品2が方向変更曲線コンベア12の入口部1aに移動している状態を示す正面図である。
【0036】
また、図2及び図3に示すように、凸部13bを方向変更部材13の上面に設けることによって、例えば物品2の底面2aの摩擦係数が比較的小さい場合でも、凸部13bが物品2の底面2aに引っ掛かることによって、搬送中の物品2の搬送方向8に対する向きを確実に変更することができる。なお、この実施形態の物品2は、食肉をビニール袋で包装したものであるので、物品2の底面2aの摩擦係数が比較的小さいし、物品2の底面2aに凹凸が形成されている場合は、板状体13aとの接触面積が小さくなることがあるが、凸部13bを設けることによって、物品2の搬送方向8に対する向きを確実に変更することができる。
【0037】
更に、図1に示すように、内周側フレーム14における曲線コンベア1の出口部1bに、物品2の向きを揃えるためのローラ19を設けてあるので、物品2が曲線コンベア1の出口部1bに搬送されたときに、ローラ19が物品2の内側面に当接することができる。これによって、変更された物品2の向きにばらつきがある場合でも、物品2を所定の向き(物品2の長さ方向が搬送方向8と略平行する方向)に揃えることができる。そして、ローラ19を方向変更曲線コンベア12の出口部1bに配置してあるので、物品2を、所定の向きに揃えた状態で送り出すことができる。
【0038】
そして、図1に示すように、曲線コンベア1として曲線ネットコンベアを使用しているので、搬送中の物品2の姿勢を、例えばローラコンベア等と比較して、水平に近い状態に保持することができる。これによって、物品2の底面2aと方向変更部材(板状体13aの上面及び凸部13b)13との接触面積や接触強さのばらつきを小さくすることができ、搬送中の物品2の搬送方向8に対する向きを正確に変更することができる。
【0039】
次に、図1に示す方向変更曲線コンベア12に取り付けられている方向変更部材13を曲線コンベア1から取り外すことによって(図4参照)、搬送中の物品2の搬送方向8に対する向きを変更しない元の状態に戻すことができる。つまり、物品2を、その長さ方向を搬送方向8と平行させて曲線コンベア1の入口部1aに送り込むと、その進行方向を約90°変更して出口部1bから送り出すことができる。そして、その出口部1bから送り出される物品2は、入口部1aから送り込まれたときと同じ状態(物品2の長さ方向が搬送方向8と平行する状態)で送り出される。
【0040】
従って、この方向変更曲線コンベア12によると、図1に示すように、例えば既設の曲線コンベア1に対して、搬送中の物品2の搬送方向8に対する向きを変更すること、及び図4に示すように、搬送中の物品2の搬送方向8に対する向きを変更しない元の状態に戻すことを安価で簡単に行うことができる。なお、ローラ19は、曲線コンベア1から取り外していないが、取り外してもよい。
【0041】
ただし、上記実施形態では、図1に示すように、方向変更部材13に設けられている凸部13bを1つの短円柱状部材で形成したが、複数本の短円柱状部材で複数の凸部13bを形成してもよい。そして、この凸部13bを省略してもよいし、板状体13aの表面に多数の凹凸を設けた構成としてもよい。この多数の凹凸によって、物品2と方向変更部材13(板状体13a)との摩擦抵抗を所望の大きさに設定することができる。また、凸部13bは、その凸部13bが設けられている箇所の搬送方向8に対して直行するように設けたが、これに代えて、搬送方向8に対して平行するように設けてもよい。要は、凸部13bと物品2との接触によって、物品2を所望の向きに向けることができるように、凸部13bの大きさ、形状、個数、取付け方向を設定すればよい。
【0042】
そして、上記実施形態では、曲線コンベア1として曲線ネットコンベアを使用したが、この曲線ネットコンベアに代えて、例えば曲線ローラコンベアを使用してもよい。この曲線ローラコンベアは、例えば、一定の外径に形成された多数の平行ローラを備える従来公知のものであり、各平行ローラは、同方向に回転駆動されるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明に係る方向変更曲線コンベアは、例えば既設の曲線コンベアに対して、搬送中の物品の搬送方向に対する向きを変更すること、及び搬送中の物品の搬送方向に対する向きを変更しない元の状態に戻すことを安価で簡単に行うことができる優れた効果を有し、このような方向変更曲線コンベア等に適用するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施形態に係る方向変更曲線コンベアを示す平面図である。
【図2】同実施形態に係る方向変更曲線コンベアの方向変更部材を示す拡大平面図である。
【図3】同実施形態に係る方向変更曲線コンベアに送り込まれる物品を示す図であり、(a)は物品が送込みコンベアの出口部に移動している状態を示す正面図、(b)は物品が送込みコンベアの出口部と方向変更曲線コンベアの入口部とに跨る位置に移動している状態を示す正面図、(c)は物品が方向変更曲線コンベアの入口部に移動している状態を示す正面図である。
【図4】従来の曲線コンベアを使用して物品の長さ方向を搬送方向と平行する方向に向けて物品を搬送する状態を示す平面図である。
【図5】同従来の曲線コンベアを使用して物品の長さ方向を搬送方向と直交する方向に向けて物品を搬送する状態を示す平面図である。
【図6】他の従来の方向変更曲線コンベアを示す平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 曲線コンベア
1a 曲線コンベアの入口部
1b 曲線コンベアの出口部
2 物品
2a 物品の底面
3 第1従動ローラ
3a、4a 従動ローラ部
3b 第1従動軸
4 第2従動ローラ
4b 第2従動軸
5 ネットベルト
5a 折曲線材
6 送込みコンベア
7 送り出しコンベア
8 搬送方向
9 壁
9a 開口部
12 方向変更曲線コンベア
13 方向変更部材
13a 板状体
13b 凸部
14 内周側フレーム
15 外周側フレーム
16 ボルト
17 入口側搬送面
18 出口側搬送面
19 ローラ
20 搬送用突起
21 送り出し方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を所定の曲線経路に沿って搬送するための曲線コンベアと、前記曲線コンベアの内周側フレームに設けられ物品の底面のうち前記内周側フレームに近い部分と当接して搬送中の物品の向きを変更するための方向変更部材とを備えることを特徴とする方向変更曲線コンベア。
【請求項2】
前記方向変更部材が前記曲線コンベアの入口部に設けられ、前記方向変更部材が前記曲線コンベアに物品を送り込む送込みコンベアの出口側搬送面よりも下方に位置することを特徴とする請求項1記載の方向変更曲線コンベア。
【請求項3】
前記方向変更部材は、搬送中の物品の底面と当接する凸部を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の方向変更曲線コンベア。
【請求項4】
前記内周側フレームにおける前記曲線コンベアの出口側部分にローラを設け、前記ローラが物品の側面と当接して物品の向きを揃えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方向変更曲線コンベア。
【請求項5】
前記曲線コンベアは、曲線ネットコンベアであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方向変更曲線コンベア。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−273452(P2006−273452A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91322(P2005−91322)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000118497)伊藤ハム株式会社 (57)
【Fターム(参考)】