説明

方向探知

無線による方向探知は、エミッタから信号を受信するためのアンテナ12アレイを配置することと、第1の多極スイッチSW1を使用して個々のアンテナ信号を選択することと、アンテナ信号強度を求めることとを含む。また、個々のアンテナ信号は、選択された信号を第3の多極スイッチSW3に経路指定する第2の多極スイッチSW2によっても選択される。第3のスイッチSW3は、移相器P3を、アンテナ信号パスの内部と外部とに切り換える。加算器18は、第1の多極スイッチSW1を経由して延びる第1の信号パスのアンテナ信号を、第2および第3のスイッチSW2、SW3を経由して延びる第2の信号パスの異なるアンテナ信号に加えるのに用いられる。これは、アンテナ信号の対間の組み合わされた信号強度を決定し、一方のアンテナ信号が、第3のスイッチ位置に応じて相対的に位相シフトされており、または位相シフトされていない。信号強度から、エミッタ方位が導出されることを可能にする共分散行列要素が求められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向探知に関し、より詳細には無線技術を使用した方向探知に関する。
【背景技術】
【0002】
無線による方向探知は知られている。いくつかの別個のアンテナを備える方向探知システムにおいて、無線波面は、異なる遅延でアンテナに到達する。波面が狭い帯域幅を有すると仮定すると、これらの遅延は、ただ単に、相対位相シフトだけを生じさせる。M−1個の無線周波数(RF)エミッタ(Mは正の整数)の方向または方位を求めるために、典型的な方向探知システムは、M個のアンテナ、各アンテナごとの個々の受信機、および各受信機の処理回路を用いる。処理回路は、離散フーリエ変換を実施して、その個々の信号を周波数ビンまたはチャネルに分割する。次いで、信号が、対に組み合わされ、各チャネルに対して、エミッタ方位がそこから推定される個々の共分散行列が構築される。この方法には、アンテナと同数の受信機を必要とし、受信機は高価でかさばるという問題がある。これは、例えば、携帯型装置や小型航空機に搭載するのには不適当である。
【0003】
複数の受信機の問題を回避するために、シングルポート受信機、空間スペクトル推定技術、および重み摂動法を使用して、共分散行列を獲得することが提案されている。Zhao Yiminの、「シングルポート受信機空間スペクトル推定DFシステム(A Single Port Receiver Spatial Spectrum Estimate DF System)」、0−7803−3216−4/96、IEEE、1996年を参照されたい。しかしながら、これは、問題に対する比較的複雑な取り組み方である。
【0004】
また、ビームフォーマ中のRFアンテナ信号を組み合わせ、1ビームフォーマ当たり1極で、多極スイッチを介して連続するビームフォーマに接続される単一の受信機を使用することも提案されている。C M S Seeの、「単一チャネル受信機を用いる高分解能DF(High Resolution DF with a Single Channel Receiver)」0−7803−7011−2/01、IEEE、2001年を参照されたい。単一の空間共分散行列が形成され、Mをアンテナの数とする、最大M−1個のエミッタの方位または方向が推定され得る。これは、M個のビームフォーマを必要とし、やはり出費とかさばりの原因になる。
【0005】
別の解決法は、ローデアンドシュワルツ(Rohde & Shwartz)DDF195計測器で用いられている、RFアンテナ信号の対を、スイッチによってそれらの間に連続して挿入される4つの相対位相シフトのそれぞれと組み合わせるものである。これは、単一の受信機だけしか必要とせず、1つのアンテナを基準アンテナとして使用し、その出力を、複数の切り換えられた位相シフトを用いて順に他のアンテナの出力と組み合わせる。しかしながら、この方法は、単一のエミッタの方位のみを推定するものである。特許サーチによれば、以下の特許文献、すなわち、欧州特許第455102号、独国特許第4014407号、独国特許第3636630号、独国特許第19529271号、および独国特許第2723746号が、方向探知に関連している。
【0006】
米国特許出願公開第2002/0190902号には、M個のアンテナから、信号帯域幅×2M以上のサンプリング速度でRF信号をサンプリングすることが記載されている。この後に、結果としての信号サンプルのフーリエ変換が行われてスペクトルが提供される。その場合、方向探知は、スペクトルおよび関連付けられた位相および振幅データにおける、ライン構成に基づくものである。これは、多数の指向性アンテナを用いてビーム形成を提供する。
【0007】
Ghoseらに対する米国特許第4,486,757号には、方向探知機が開示され、この方向探知機は、リモートソースからのそれぞれの信号の受信用に2つの別個のアンテナを備え、一方の信号を他方に対して90度位相シフトさせ、誤り訂正ループを使用して一方の信号をゼロにする。ループの動作が監視され、リモートソースの方位を計算するのに使用される。これは、受信機を使用するようには見えない。
【0008】
また、Eastwellに対する米国特許第4,489,327号、英国特許第1,576,616号、およびLandtに対する米国特許出願公開第2002/0008656号にも、様々な種類の方向探知機が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、別の形の方向探知を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数のアンテナを組み込んだ方向探知システムを提供し、方向探知システムは、
a)個々のアンテナ信号強度を求める手段と、
b)異なるアンテナから導出される、第1のアンテナ信号と、第2のアンテナ信号との組み合わせを形成することによって、組み合わせられたアンテナ信号強度を求める組み合わせ手段とを備え、第2のアンテナ信号は、2つのセットの信号であり、一方のセットの信号が他方のセットの信号に対して非ゼロの位相差を有し、方向探知システムはさらに、
c)アンテナ信号強度から少なくとも1つのエミッタ方位を求める手段を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明は、コストおよびかさばりを低減し、それでもなお実行可能な方向探知技術提供する、連続する信号強度が連続するステップで求められるときに、単一の受信機だけしか必要としないという利点を提供する。
【0012】
エミッタ方位を求める手段は、アンテナ信号強度から共分散行列要素を導出し、共分散行列要素からエミッタ方位を求めるように構成され得る。エミッタ方位を求める手段は、代替として、アンテナ信号強度とエミッタ方位の間の関係を導出し、関係からエミッタ方位を求めるようにも構成され得る。
【0013】
相対位相差は、30度から120度までの範囲、好ましくは、実質上90度とすることができる。
【0014】
組み合わせ手段は、アンテナ信号を、等しい利得の大きさ、ならびに等しい位相および異なる位相と組み合わせるように、構成され得る。組み合わせ手段は、アンテナ信号パスの内部および外部に切り換え可能な位相シフト手段と、それぞれのアンテナまで延びる個々の信号パスに両方とも切り換え可能に接続された2つの入力を有する加算器とを組み込むことができる。
【0015】
個々のアンテナ信号強度を求める手段は、それぞれのアンテナから信号を受信するように接続された入力極を有する第1の多極スイッチを備えることができ、組み合わせ手段は、それぞれのアンテナから信号を受信するように接続された入力極を有する第2の多極スイッチと、位相シフト手段を、第2の多極スイッチを経由して延びるアンテナ信号パスの内部および外部に切り換える第3の多極スイッチとを組み込むことができ、組み合わせ手段は、さらに、信号を組み合わせる加算手段も組み込むことができ、加算手段は、第1の多極スイッチを経由して延びる第1の信号パスのアンテナ信号を、第2および第3の多極スイッチを経由して延びる第2の信号パスの別のアンテナ信号に加えるように構成される。
【0016】
別の態様において、本発明は、複数のアンテナを使用する方向探知の方法を提供し、方向探知の方法は、
a)個々のアンテナ信号強度を求めるステップと、
b)異なるアンテナから導出される、第1のアンテナ信号と、第2のアンテナ信号との組み合わせを形成することによって、組み合わされたアンテナ信号強度を求めるステップとを組み込み、第2のアンテナ信号は、2つのセットの信号であり、一方のセットの信号が、他方のセットの信号に対して非ゼロの位相差を有し、方向探知の方法はさらに、
c)アンテナ信号強度から少なくとも1つのエミッタ方位を求める手段とを組み込むことを特徴とする。
【0017】
エミッタ方位は、アンテナ信号強度から共分散行列要素を導出し、共分散行列要素からエミッタ方位を求めることによって求められ得る。エミッタ方位は、代替として、アンテナ信号強度とエミッタ方位の間の関係を導出し、関係からエミッタ方位を求めることによっても求められ得る。
【0018】
相対位相差は、30度から120度までの範囲、好ましくは実質上90度とすることができ、連続する信号強度が、連続するステップで求められ得る。
【0019】
組み合わされたアンテナ信号強度を形成するステップは、アンテナ信号を、等しい利得の大きさ、ならびに等しい位相および異なる位相と組み合わせる。これは、位相シフト手段を、アンテナ信号パスの内部および外部に切り換えること、および異なるアンテナに切り換え可能に延びる信号パスに信号を加えることを含み得る。
【0020】
個々のアンテナ信号強度を求めるステップは、第1のパスを経由するアンテナからの信号を切り換えることを含み得る。組み合わせられたアンテナ信号強度を形成するステップは、
a)組み合わせのために第1のパスを経由するアンテナからの信号を切り換えることと、
b)組み合わせのために、スイッチで選択可能な、第2のパスまたは第3のパスを経由するアンテナからの信号を切り換えることと組み込み、第3のパスは、第2のパスのアンテナ信号に対して第3のパスのアンテナ信号を位相シフトさせるように構成され、組み合わせられたアンテナ信号強度を形成するステップはさらに、
c)第1のパスのアンテナ信号を、個々に第2および第3のパスのアンテナ信号に加えること、を組み込み得る。
【0021】
本発明がより完全に理解され得るように、次に、本発明の実施形態を、例としてあげるにすぎないが、添付の図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1を参照すると、本発明の方向探知システムが、概して10で示されている。この例のために示されるように、システム10は、それぞれが従来方式、すなわち全方向性のである、4つのアンテナ12を組み込んでいる。一般に、所望の数のエミッタを検出するのに必要とされるのと同じ数のアンテナ、すなわち、M−1個のエミッタにM個のアンテナが使用され得る。信号は、アンテナ12から、それぞれのバッファ増幅器14を介して第1の多極スイッチSW1および第2の多極スイッチSW2に渡され、増幅器12は、両スイッチのそれぞれの入力極b、c、d、およびeに接続される。多極スイッチSW1およびSW2は、関連付けられた入力極bからdのいずれかが、各場合にそれぞれの出力極fに接続されることを可能にする、それぞれの可動コンタクトC1、C2を有する。
【0023】
第1のスイッチSW1の出力極fは、位相シフトφを導入する第1の移相器P1に接続され、第2のスイッチSW2の出力極fは、それぞれ位相シフトφを導入する第2の位相器P2、および位相シフトφを導入する第3の移相器P3に接続される。理想的な状況が想定されているこの例においては、P1からP3までの3つの移相器すべてが利得1を有する。すなわち、第1の位相シフトφおよび第2の位相シフトφは、ゼロであり(関連付けられた移相器P1およびP2は取り外され、接続によって置き換えられ得る)、第3の位相シフトφは、90度である。しかしながら、(以下で説明するように)非理想的利得/位相も、較正によって適応され得る。満足すべき性能が、最大±60度までの誤差で実証されている。言い換えると、第3の移相器P3によって導入される位相差φは、1に対して最大3dBまでの同時利得差で、±30度から±120度までの範囲内のどこかとすることができる。差がより大きくなれば、結果として性能が累進的に低下する。これは、φを提供する第3の移相器P3が、好ましくは、φと異なる30度から120度の範囲内にあるべきことを示唆するが、φは制限されない。また、位相シフトが90度に十分に近く、移相器利得が1.0に十分に近く、これらのパラメータが、周波数の安定した所定の関数であるという条件であれば、位相シフトおよび利得が周波数によって変動することも許容できる。
【0024】
第1の移相器P1からの出力信号は、加算器18の第1の入力16aに渡される。第2の位相器P2および第3の移相器P3からの出力信号は、それぞれ、接地された第3の入力極rを有する第3の多極スイッチSW3の第1の入力極pおよび第2の入力極qに渡される。第3のスイッチSW3は、関連付けられた入力極p、qおよびrのいずれかが、加算器18の第2の入力16bにさらに接続される出力極zに接続されることを可能にする、可動コンタクトC3を有する。
【0025】
図1は、すべての構成要素が完全であり、(適切な場合には)整合していると想定される、多少理想化された図面である。実際の、非理想的状況においては、構成要素は、不要な部分が取り除かれ、または追加の回路を挿入することによって不要な影響を打ち消すようにインピーダンス整合される必要があり得る。これは、電子工学の分野ではよく知られており、これ以上説明しない。
【0026】
加算器18は、出力20を有し、この出力20は、受信機22、アナログ/デジタル変換器(ADC)24、離散フーリエ変換器26、およびデジタル信号プロセッサ(DSP)28からなる要素の直列接続チェーンに接続される。デジタル要素24から28は、必要に応じて等価のアナログ処理で置き換えられ得る。変換器26は、ウインドウ処理を有する長さNポイントの離散フーリエ変換(DFT)を提供する。これはよく知られている計算であり、これ以上説明しない。例えば、A V Oppenheim、R W Schafer、J.R.Buckの、「離散時間信号処理(Discrete Time Signal Processing)」、プレンティスホール(Prentice Hall)、米国ニュージャージ州エングルウッドクリフ(Englewood Cliffs,NJ.USA)、1999年などを参照されたい。DFTは、有利には、高速フーリエ変換(FFT)によって計算されるが、これは不可欠ではない。N=1の選択は、離散フーリエ変換が存在しないのと同等の自明な場合に相当する。
【0027】
方向探知システム10は、以下のように動作する。可動スイッチコンタクトC1からC3の位置の適切な選択によって、任意のアンテナ信号が、他の任意のアンテナ信号に加えられ、またはそれを第3のスイッチSW3の接地された入力rにおいてゼロ信号に加えることによって、単独で選択され得る。3つの移相器P1からP3が等しい利得の大きさを有すると仮定すると、加算器入力16aおよび16bにおけるアンテナ信号は、第3のスイッチの可動コンタクトC3が、その第1の入力極pに接続されるか、それとも第2の入力極qに接続されるかによって、それぞれ、φ−φまたはφ−φに等しいそれらの間の相対位相シフトを有する。理想的な場合には、φ=φ=0およびφ=90度である。この場合、相対位相シフトは、第3のスイッチの可動コンタクトC3が、その第1の入力極pに接続されるか、それとも第2の入力極qに接続されるかによって、加算器入力信号間で(符号を無視して)0度または90度である。
【0028】
受信機22は、アンテナ信号が現れる周波数帯域外の不要な信号を減衰させるための、フロントエンド帯域フィルタ(図示せず)を備える。受信機22は、加算器出力信号を処理し、それを、24におけるサンプリングおよびアナログ/デジタル変換に好都合なベースバンドの複素出力に変換する。ADC24のサンプリング速度は、エイリアシングを回避するのに十分な高さでなければならない。すなわち、サンプリング速度は、受信機フロントエンド帯域フィルタの帯域幅を上回らなければならない。例えば、フロントエンド帯域幅が25MHzであり、変換器26によって512ポイントDFTが実施される場合、ADCサンプリング速度は、少なくとも27.5MHzであり、変換器26のための512サンプルを獲得するのに約20μsを要するはずである。ADC24からのデジタル信号は、変換器26によって、それぞれが関連付けられた大きさを有する、有限幅のビンまたはチャネルとして表される1組の周波数としてのスペクトルに変換される。周波数チャネルは、27.5MHzのサンプリングを用いる512ポイントDFTでは約100kHzの幅になる。DFTは、チャネル間の漏れを低減するために、ウインドウ処理を用いて実施される。ウインドウの選択のための選択肢には、ウインドウなしと等価の長方形ウインドウが含まれる。
【0029】
任意に、可動コンタクトC1からC3の設定の選択は、必ずしもすべてのアンテナが寄与しないようにも行われ得る。これは、より高速な処理をもたらすが、おそらく、より正確さが劣り、検出され得るエミッタの最大数を低減させる。
【0030】
前述のように、スイッチSW1、SW2、およびSW3の様々な可能な設定は、受信機22が、任意の個々のアンテナ12からの信号、または任意のアンテナ12の対からの相対的に位相シフトされた信号の和を、入力することを可能にする。スイッチSW1からSW3は、特定の信号に伴って起こりうる悪影響を回避するために、アンテナ信号のランダムまたは疑似ランダムな選択をもたらすように操作され得る。受信機22の出力は、ADC24によってサンプリングされ、ADCからのN個の連続するサンプルのブロックの、Nポイントウインドウ処理DFTを計算する変換器26によって処理される。これは、よく知られている手順であり、これ以上詳細には説明しない。変換器26の出力は、N個の周波数領域サンプル、すなわち、N個の周波数ビンの内容の大きさを含む。一般の、またはn番目の周波数ビンについて、周波数領域サンプルは、Sで表され、ここでnは0からN−1までの範囲の周波数領域指数である。
【0031】
【数1】

は、k番目のアンテナが、第1のスイッチSW1を介して接続され、第3のスイッチSW3が、rにおいて0Vに接続され、k番目のアンテナから受信機入力までのパス全体の利得が、1である場合の、周波数指数をnとする離散フーリエ変換出力であると規定される。
【0032】
方向探知のプロセスは、アンテナ12によって受信される1つ以上の信号の、方位または入射角または到来角を推定することからなる。これは、周波数領域サンプルSを処理するDSP28によって、1つ以上の周波数ビンについて実行される。
【0033】
次に、k番目のアンテナ12(k=1からM)、第1のスイッチSW1、第1の移相器P1、および加算器20を通って受信機22に至るパスの無線信号に適用される、利得と位相シフトの両方を表すために、複素利得定数G1kが規定される。同様に、次に、k番目のアンテナ12を通り、(特に)それぞれ第2の移相器P2および第3の移相器P3を介して受信機22に至るパスの無線信号に適用される、利得と位相シフトの両方を表すために、複素利得定数G2AkおよびG2Bkも規定される。
【0034】
k番目のアンテナのバッファ増幅器14に接続された第1のスイッチSW1、およびrにおいて0Vに接続された第3のスイッチSW3を用いる場合、周波数指数をnとする変換器出力は、積
【数2】

である。この変換器出力は、k番目のアンテナに関連付けられ、
【数3】

によって与えられる、二乗平均値または電力Pkkを有する。式中、E{..}は数学的期待演算子であり、
【数4】

(例えば
【数5】

の場合の)は、絶対値を表す。DSP28は、単一のSの値に等しいか、またはいくつかのSの値の平均または加重平均に等しい、Pkkの測定値(または「推定値」)を計算し、これらの値は、適切な位置に設定されたスイッチコンタクトC1からC3を用いて収集された、それぞれのデータブロックの離散フーリエ変換から得られる。これらのデータブロックは、重なり合っていても、重なり合っていなくてもよい。明確にするために、以下の説明においては、Pkkという表記は、前述のように得られるPkkの測定値を表すものとする。
【0035】
第1のスイッチSW1は、順に各アンテナ12のバッファ増幅器14に接続され、すなわち、アンテナ指数kは、1から、アンテナの数であるMまで進み、第3のスイッチSW3は、rにおいて0Vに接続されたままである。変換器出力電力Pkkが、その都度測定される。
【0036】
次に、第1のスイッチSW1が、k番目のアンテナに接続され、第2のスイッチSW2が、m番目のアンテナに接続され、第3のスイッチの可動コンタクトC3をその第1の入力pに接続することによって、利得G2Amを有する第2のスイッチの信号パスが選択される。次いで、周波数ビン指数をnとする変換器出力における利得G2Amに関連付けられた電力PkmAが測定され、それは次式によって与えられる。
【数6】

すなわち、
【数7】

式中、Re{..}は「実数部」を表し、アスタリスク「」は共役複素数を表す。PkmAは、
【数8】

対の組み合わせがある、異なるアンテナ12のすべての可能な組み合わせについて測定される。PkmAの値は、DSP28によって、前述のように、それがPkkを測定するのと同じやり方で測定され、表記PkmAは、測定値を指すのに付随して使用されるという同じ取り決めが用いられる。
【0037】
次に、φではなく位相シフトφを実施するために、第3のスイッチの可動コンタクトC3をその第2の入力qに接続することによって、今度は利得G2Bmを有する第2のスイッチの信号パスが選択されるということを除いて、同様に、式(2)および(3)に関連付けられる手順が繰り返される。次いで、周波数指数をnとする変換器出力における利得G2Bmに関連付けられた電力PkmBが、各アンテナ対に測定され、以下の式(2)および(3)と等価の式が、指数Aを指数Bで置き換えることによって生成され得る。
【数9】

すなわち、
【数10】

方向探知を実行するために、まず、当該のあらゆる周波数、すなわち、エミッタに関連付けられる変換器26でのDFT演算によって規定される周波数ビンの中央周波数における、利得G1k、G2Am、およびG2Bmが、求められなければならない。一方法において、これは、システムの個々の構成要素または構成要素グループの、複素利得の電気的測定を行うことによってなされ得る。そのような手順は、電子工学の分野ではよく知られており、これ以上説明しない。
【0038】
代替の実施形態において、利得の決定は、有利には、以下のような手順で実行され得る。無線エミッタが、知られている位置に設定され、次いで、方向探知システム10が、スイッチコンタクトC1からC3を適切な位置に設定することによって、アンテナ対の各組み合わせごとに、式(1)から(5)に示す測定を行うように操作される。エミッタ電力、方位、およびアンテナからの距離の知られている値を使用して、式(1)から(5)における、量
【数11】

【数12】

および
【数13】

が、当該の各周波数において計算され得る。その場合、式(1)から(5)における未知の量は、利得G1k、G2Am、およびG2Bmの値だけであり、したがって、それらが、非線形最適化(例えば、M S Bazaraa、H D Sherali、C M Shettyの、「非線形プログラミング−理論およびアルゴリズム(Nonlinear Programming − Theory and Algorithms)」、ワイリー(Wiley)、ニューヨーク、第2版、1993年、などを参照)として知られる手順を使用して求められ得る。これは、科学計算処理の分野ではよく知られており、これ以上説明しない。利得G1k、G2Am、およびG2Bmの推定値の正確さは、普通、エミッタを1つ以上の別の知られている位置に移動させ、式(1)から(5)に示す測定値の収集を繰り返し、測定値のセット全体を非線形最適化手順で使用することによって、改善される。
【0039】
利得が求められた後、方向探知を実行する一手順は、以下の通りである。Pkkの値が、各アンテナ12に関して順に測定され、次いで、
【数14】

の値が、式(1)および前に求められたG1kの値を使用して、以下のように推定される。
【数15】

【0040】
同様に、PkmAの値が、アンテナ12の各組み合わせごとに順に測定される。前に求められたG1k、G2Amの値を、上記で計算された
【数16】

および
【数17】

の値、ならびに式(3)と共に使用して、次に、量xが、各アンテナ対に関して次式から計算される。
【数18】

すなわち
【数19】

【0041】
同様にして、PkmBの値も、アンテナ12の各対ごとに順に測定される。前に求められたG1k、G2Bmの値、上記で計算された
【数20】

および
【数21】

の値、ならびに式(5)を使用して、次に、量yが、各アンテナ対に関して次式から計算される。
【数22】

すなわち
【数23】

【0042】
次に、知られている複素値G1k2Amが、c+jdとして書き込まれ、G1k2Bmの知られている複素値が、e+jfとして書き込まれる(jは−1の平方根である)。次のステップは、a+jbとして書き込まれる未知の複素値
【数24】

を計算することである。式(8)および(10)を、aからeおよびjの観点から書き換えると、以下のようになる。
【数25】

および
【数26】

式(11)および(12)は、標準的な方法で解かれて、必要とされる値aおよびbをもたらし、さらに、
【数27】

をもたらす、2つの未知数における2つの連立方程式である。
【0043】
一例として、G1k=1、G2Am=1、およびφ=90度でG2Bm=jとすると、c=1、d=0、e=0、およびf=1であり、a=x、b=−yである。
【0044】
式(6)から(12)に関連付けられた手順が、選択されたアンテナ指数値kおよびmの各対ごとに繰り返され、対応する値
【数28】

が、その都度計算される。これら2つの手順は、「共分散項」と総称される、k=1からMとする
【数29】

およびk=1からM−1、およびm=k+1からMとする
【数30】

という値のセットを生み出す。配列上の
【数31】

項が、対角(行kおよび列k)にあり、各
【数32】

項が、それぞれの行位置kおよび列位置mにある、正方配列として配置されるとき、この値のセットは、「空間共分散行列」として知られる。全体のプロセスは、各DFT周波数ビン、すなわち、変換器出力指数nの各値ごとに、独立に実行され得る。
【0045】
空間共分散行列中の共分散項の一部または全部を使用して、1つ以上の受信信号の方位(あるいは入射または到来角)が、標準的な技術を用いて推定され得る。例えば、MUSICアルゴリズムおよび最小二乗法の適合が開示されている、H L Van Trees、「最適な配列処理(Optimum Array Processing)」(「検出、推定、および変調理論(Detection,Estimation and Modulation Theory)」の第4部)、ワイリー(Wiley)、ニューヨーク、2002年などを参照されたい。これは、方向探知の分野ではよく知られており、これ以上説明しない。
【0046】
以上の本発明の例は、アンテナ信号電力の測定の観点から説明されている。しかしながら、本発明は、アンテナ信号強度の任意の電力に関連する測定値を用いて実施され得る。この点に関して、アンテナ信号強度は、上記の例では、k番目のアンテナが、スイッチSW1によって選択され、SW3の入力極が接地されるときの、周波数指数をnとする離散フーリエ変換器出力の測定値であると規定され、そこから式(1)で使用される二乗平均値または電力Pkkが導出され得る。アンテナ信号強度の例には、信号電力自体の他に、二乗平均電圧または電流、あるいは実効電圧または電流も含まれる。
【0047】
同様に、組み合わされたアンテナ信号強度は、受信機入力が、スイッチSW1を介して接続されたk番目のアンテナからの信号と、スイッチSW2、移相器P2またはP3、およびスイッチSW3を介して接続されたm番目のアンテナからの信号の和であるときの、周波数指数をnとする離散フーリエ変換器出力であると規定され、そこから式(2)、(3)で使用される二乗平均値または電力Pkmが導出され得る。
【0048】
次に説明する代替の手順によれば、空間共分散行列を計算せずに、式(1)から(12)において指数kに対応する周波数における単一のエミッタの方位を計算することが可能である。この手順は、より少ない測定値しか必要としないため、空間共分散行列を計算する手順より高速になり得ることが分かっているが、正確さはより劣る。
【0049】
kおよびmという番号の2つのアンテナが選択され、次いで、前述のように量PkmAおよびPkmBが測定される。単一の平面波受信無線信号の場合には、標準の物理分析(例えば、H L Van Treesの、「最適な配列処理(Optimum Array Processing)」(「検出、推定、および変調理論(Detection,Estimation and Modulation Theory)」の第4部)、ワイリー(Wiley)、ニューヨーク、2002年、を参照)を使用すれば、
【数33】


【数34】

の値が等しいことが示され得る。便宜上、この値をV、すなわち、
【数35】

で表す。同様に、
【数36】

であることが示され得る。式中、θは、入力平面波の方位とアンテナkおよびmをつなぐ線の方位との差の、数学的関数である。したがって、式(3)は、
【数37】

をもたらすように再構成され、式(5)も、同様に、
【数38】

をもたらすように再構成され得る。
【0050】
次に、アンテナk、およびpという番号の別のアンテナが選択される。次いで、量PkpAが、PkmAと等価のものとして、アンテナkおよびpについて規定される。PkpAが測定され、式(13)および(14)の分析と類似の分析によって、
【数39】

をもたらすことが示され得る。式中、Ψは、入力平面波の方位とアンテナkおよびpをつなぐ線の方位との差の、数学的関数である。3つの式(13)から(15)は、3つの未知の量、θ、ΨおよびVを含む。θおよびΨは相互に関連し合う。その理由は、アンテナkおよびmをつなぐ線と、アンテナkおよびpをつなぐ線との間の角度が知られているからである。3つの測定値PkmA、PkmB、およびPkpAが与えられたとすると、入力平面波の未知の方位は、例えば前述のように、非線形最適化を使用して決定され得る。Vの値を推定することは必要ではない。
【0051】
上記の原理は、異なる方位から到来する2つ以上の平面波の場合に、式(13)から(15)を置き換える式を表すのに使用され得る。追加の式が、1つ以上の別のアンテナ対(例えばアンテナpおよびアンテナq)について同様に表され、未知の方位が、やはり非線形最適化を使用して求められ得る。
【0052】
アンテナ12によって受信される信号電力は、変動し得る。なぜなら、このために、前記に規定される測定される量Pkk、PkmA、およびPkmBに関連して平均を取ることが有利であるからである。1つの「コミュテーションサイクル」を、周波数ビン指数nの1つの値についてPkk、PkmA、およびPkmBを求めるのに必要とされる、3つのスイッチSW1、SW2、およびSW3の設定bからe、pからrのそれぞれから、前述のようにデータを収集するサイクルからなるものであると規定すれば、好都合である。次いで、各サイクルが、それぞれのPkk、PkmA、およびPkmBの値のセットをもたらすさらなるコミュテーションサイクルを使用して、さらなるデータが収集される。次いで、結果として生じる複数のPkk、PkmA、およびPkmBの値を使用して、それぞれの平均値が提供される。次いで、これらの平均値が、前述の式(1)から(10)で使用される。
【0053】
コミュテーションサイクルが実行される速度を、本明細書では、「コミュテーションサイクル速度」と呼ぶ。アンテナ12によって受信される信号の1つ以上は、例えば、データシンボルが1つの信号によって特定の速度で搬送される場合、周期的な変動を含み得る。変動の周期が、コミュテーションサイクル速度の倍数または約数に等しいか、または近い場合、前述のように導出される共分散項は、(「バイアス」として知られる)一定の、または系統的な誤差を伴い得る。これらは、推定される入射角の誤差を生じ得る。この問題を回避するために、各コミュテーションサイクル内でコミュテーション(スイッチ設定)が行われる順序が、有利には、連続するサイクル間でランダムまたは疑似ランダムな順序で変えられ得る。
【0054】
上記の式(1)から(15)は、例えば、指数n−1およびn+1に対応する隣接する周波数帯域など、周波数ビン指数nの他の値について再評価され得る。次いで、nの様々な値について出力方位推定値が得られ、その誤差限界が計算され得る推定値をもたらすように組み合わされる。
【0055】
正方配列の4つのアンテナ12を備え、空間共分散行列を計算する方法を使用する、本発明の方向探知システム10のシミュレーションが行われた。シミュレーションでは、同一のキャリア周波数を有する2つのエミッタが、アンテナアレイの平面の方位に位置するものと想定した。エミッタは、R E ZiemerおよびR L Petersonの、「デジタル通信入門(Introduction to Digital Communication)」、マックスウェルマクミランインターナショナル(Maxwell Macmillan International)、ニューヨーク、1992年に記載されるように、両方とも、6.25キロシンボル/秒で、QPSKの変調型を用いて発信するものとして扱われた。これらは、アンテナアレイにおいて、所定の基準方向に対して、それぞれ30°と70°の方位または到来角であった。信号対雑音比(発せられた信号電力を、25.6MHz帯域幅にわたる総雑音パワーで除算したもの)は、高いと想定された。サンプリング速度は、25.6MHzであり、4096サンプルのブロックが収集され、ハミングウインドウが適用され(前述のOppenheimらの文献を参照)、結果が、離散フーリエ変換によって処理された。サンプル収集時間は、1エミッタシンボル周期に対応する、0.16ミリ秒であった。1つのサンプルブロックだけしか処理されなかった場合、結果は正確ではない。その理由は、信号は、サンプル収集時間にわたって高度に相関するからである。これを回避するために、第1および第2のサンプルブロックが、少なくとも3つのシンボルに対応する介在時間間隔で収集された。当該のエミッタは、しばしば、この介在時間間隔より短いルートレイズドコサイン(RRC)パルス整形フィルタを含み、その場合、サンプルブロック中の信号間には相関がない。次いで、両データブロックに式(1)から(10)を使用し、平均を取ることによって得られたパラメータを使用して、全体の共分散行列が導出された。知られているMUSICアルゴリズム(前述のVan Treesの文献を参照)を使用して行列要素を処理し、エミッタ方位が求められた。このアルゴリズムは、この目的のための唯一のアルゴリズムでも、最適なアルゴリズムでもないが、単純であるためにしばしば提起される。
【0056】
図2は、本発明の方法を使用して得られる共分散行列要素から導出された到来角(AoA)に対する、MUSICスペクトルのグラフである。グラフには、シミュレートされたエミッタが位置していたことを示す、到来角30°および70°における十分に明確なピーク40および42が示されている。
【0057】
比較のために、C M S Seeの、「単一チャネル受信機を用いる高分解能DF(High Resolution DF with a Single Channel Receiver)」0−7803−7011−2/01、IEEE、2001年に開示されている、単一受信機の技術の試験が行われた。同じパラメータおよびMUSICアルゴリズム処理を使用して、この技術は、図3に示す結果をもたらした。この場合、30度のエミッタは解像されておらず、70度のエミッタは、50において解像されているが、ピーク高さはピーク42の15分の1である(注、図2および図3は異なる尺度の軸を有する)。
【0058】
完全を期すために、(1アンテナ当たり1つの受信機を必要とする)従来の方法も、同じパラメータおよびMUSICアルゴリズム処理を使用してシミュレートされた。この方法は、図4に示す結果をもたらした。図4には、本発明より優れた正確さで、シミュレートされたエミッタが位置していたことを示す、到来角30°および70°における非常に明確なピーク60および62が示されているが、これは、すべてのアンテナにただ1つの受信機ではなく、1アンテナ当たり1つの受信機を使用するという犠牲を払った上でのものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の方向探知システムを示す概略的ブロック図である。
【図2】本発明を使用して獲得される方向探知結果を示すグラフである。
【図3】本発明と比較可能な単一受信機の従来技術システムを使用して獲得される、方向探知結果を示すグラフである。
【図4】複数受信機の従来技術システムを使用して獲得される、方向探知結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナ(12)を組み込んだ方向探知システムであって、前記方向探知システム(10)が、
a)個々のアンテナ信号強度を求める手段(SW1)と、
b)異なるアンテナ(12)から導出される、第1のアンテナ信号と第2のアンテナ信号との組み合わせを形成することによって、組み合わされたアンテナ信号強度を導出する組み合わせ手段(SW2、P2、P3、SW3、18)とを含み、第2のアンテナ信号が、2つのセットの信号であり、一方のセットの信号が、他方のセットの信号に対して非ゼロの位相差を有し、前記方向探知システム(10)がさらに、
c)アンテナ信号強度から少なくとも1つのエミッタ方位を求める手段を含むことを特徴とする、方向探知システム(10)。
【請求項2】
エミッタ方位を求める手段が、アンテナ信号強度から共分散行列要素を導出し、該共分散行列要素からエミッタ方位を求めるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の方向探知システム。
【請求項3】
エミッタ方位を求める手段が、アンテナ信号強度とエミッタ方位との関係を導出し、該関係からエミッタ方位を求めるように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の方向探知システム。
【請求項4】
相対位相差が、30度から120度までの範囲にあり、個々のアンテナ信号強度を求める手段(SW1)および組み合わせ手段(SW2、P2、P3、SW3、18)は、連続する信号強度が連続するステップで導出されることを可能とするように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の方向探知システム。
【請求項5】
相対位相差が、実質的に90度であることを特徴とする、請求項1に記載の方向探知システム。
【請求項6】
組み合わせ手段(SW2、P2、P3、SW3、18)が、アンテナ信号を、等しい利得の大きさ、ならびに等しい位相および異なる位相と組み合わせるように構成されることを特徴とする、請求項5に記載の方向探知システム。
【請求項7】
組み合わせ手段が、アンテナ信号パスの内部および外部に切り換え可能な位相シフト手段(P3)を組み込むことを特徴とする、請求項1に記載の方向探知システム。
【請求項8】
組み合わせ手段が、2つの入力を有する加算器(18)を組み込み、2つの入力が、それぞれのアンテナ(12)まで延びる個々の信号パスに両方とも切り替え可能に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の方向探知システム。
【請求項9】
a)個々のアンテナ信号強度を求める手段が、それぞれのアンテナ(12)から信号を受信するように接続された入力極(b、c、d、e)を有する第1の多極スイッチ(SW1)を備えることと、
b)組み合わせ手段(SW2、P2、P3、SW3、18)が、それぞれのアンテナ(12)から信号を受信するように接続された入力極(b、c、d、e)を有する第2の多極スイッチ(SW2)と、第2の多極スイッチ(SW2)を経由して延びるアンテナ信号パスの内部および外部に位相シフト手段(P3)を切り換える第3の多極スイッチ(SW3)とを組み込むことと、
c)組み合わせ手段(SW2、P2、P3、SW3、18)が、信号を組み合わせる加算手段(18)をさらに組み込み、加算手段(18)が、第1の多極スイッチ(SW1)を経由して延びる第1の信号パスのアンテナ信号を、第2および第3の多極スイッチ(SW2、SW3)を経由して延びる第2の信号パスの別のアンテナ信号に加えるように構成されることとを特徴とする、請求項1に記載の方向探知システム。
【請求項10】
複数のアンテナ(12)を使用する方向探知の方法であって、前記方向検知の方法が、
a)個々のアンテナ信号強度を求めるステップと、
b)異なるアンテナ(12)から導出される、第1のアンテナ信号と第2のアンテナ信号との組み合わせを形成することによって、組み合わせられたアンテナ信号強度を求めるステップとを組み込み、第2のアンテナ信号が、2つのセットの信号であり、一方のセットの信号が、他方のセットの信号に対して非ゼロの位相差を有し、前記方向検知の方法がさらに、
c)アンテナ信号強度からの少なくとも1つのエミッタ方位を求めるステップを組み込むことを特徴とする、方法。
【請求項11】
エミッタ方位を求めるステップが、アンテナ信号強度から共分散行列要素を導出し、該共分散行列要素からエミッタ方位を求めることによって実施されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
エミッタ方位を求めるステップが、アンテナ信号強度とエミッタ方位との間の関係を導出し、該関係からエミッタ方位を求めることによって実施されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
相対位相差が、30度から120度までの範囲にあり、連続する信号強度が、連続するステップで求められることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
相対位相差が、実質上90度であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
組み合わされたアンテナ信号強度を形成するステップが、アンテナ信号を、等しい利得の大きさ、ならびに等しい位相および異なる位相と組み合わせることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
組み合わされたアンテナ信号強度を形成するステップが、位相シフト手段(P3)をアンテナ信号パスの内部および外部に切り換えることを含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
組み合わされたアンテナ信号強度を形成するステップが、異なるアンテナ(12)に切り換え可能に延びる信号パスに信号を加えることを含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
a)個々のアンテナ信号強度を求めるステップが、第1のパスを経由するアンテナ(12)からの信号を切り換えることを含むことと、
b)組み合わされたアンテナ信号強度を形成するステップが、
i)組み合わせのために第1のパスを経由するアンテナ(12)からの信号を切り換えることと、
ii)組み合わせのために、スイッチで選択可能な第2のパスまたは第3のパスを経由するアンテナ(12)からの信号を切り換えることとを組み込み、第3のパスが、第2のパスのアンテナ信号に対して第3のパスのアンテナ信号を位相シフトさせるように構成され、組み合わされたアンテナ信号強度を形成するステップがさらに、
iii)第1のパスのアンテナ信号を、個々に第2および第3のパスのアンテナ信号に加えることを組み込むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−529000(P2007−529000A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519987(P2006−519987)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002902
【国際公開番号】WO2005/010550
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)