説明

方法

本発明は、臨床治験の関連において臨床治験製品を提供する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、臨床治験の関連において臨床治験製品を提供する方法に関する。
【0002】
従来技術
電波方式認識(RFID Radiofrequency Identification)は、多くの応用分野において自動化の新たな可能性を提供するテクノロジであり、この新たな可能性には製薬産業における可能性、例えば、臨床治験の実行に必要なロジスティックにおける可能性が含まれている。RFIDテクノロジに使用されるトランスポンダはふつう、データを格納するためのマイクロチップと、データを送信するためのアンテナとから構成される。
【0003】
臨床治験製品は、承認後に市場で販売される薬剤とは異なり、殊に、臨床治験の設計に依存して個々の患者ベースで複数のパッケージング階層を設けなければならないという事実が特徴である。ここでは「箱の中の箱の中の箱」方式が当てはまるのである。ここでは同じアウターパッケージングの「深さの異なる箱」に全く異なる製品が含まれることがあるのである。
【0004】
さらにパッケージングは、無作為化された臨床治験計画にしたがって行われ、また試料は盲検化、すなわち、区別できないようにパッケージングしなければならないのである。またパッケージングが不当に開封されたことを示すために改ざん防止シールが要求されることも多い。
【0005】
現在発生している難点は、1つには、チェックを行って盲検化が正しく行われたことを保証することが、関連する規則(例えば、GMP 附則13)によって求められていることである。言い換えると、パッケージングを行った後にテスト試料の確認を行いまた正しい盲検化をチェックして、テスト投薬または対照投薬(reference medication)または実薬(active drug)または偽薬が、(治験計画にしたがった無作為の割り当てにしたがって)正しい患者に割り当てられていることを証明しなければならないのである。しかしながらこのチェックは、盲検化されたすべてのパッケージから試料を取り出して検査することによってしか行うことができない。この検査を行うためには一般的にパッケージを開けなければならない。言い換えると改ざん防止シールを破らなければならないのである。したがってまたこのチェックは、品質および数の点で全体の集合を代表するはずである試料にしか行うことかできないのであり、またこれらのテストは破壊的なテストであるため、これらの試料は後で上記の集合に戻すことはできないのである。これによって患者数にギャップが生じることになり、ひいては臨床治験の実行を混乱させることになるのである。
【0006】
したがって完全に閉じられかつシールが貼付されたパッケージングに使用でき、破壊的なテストを行うことなく、また視覚的なコンタクト(例えば、バーコードの場合、このためにパッケージングを開けて、個々のコンポーネントを記録しなければならない)なしに行うことのできる方法であり、またただ1つの試料だけに行われるのものではないが、また全体の集合に行われることもないため、迅速かつ高い信頼性で、したがって臨床治験の無作為化計画にしたがったすべてのパッケージングレベルにわたる治験投薬のすべてのコンポーネントの正しい組み合わせと、患者数への正しい割り当てとが確認され、ひいては保証される方法が望まれるのである。
【0007】
このような方法に関連して、また研究の終了後に行われる法的に規定された試料の計数(specimen count)(ピルカウンティング pill countingとも称される)を合理化できるようにすることも望まれる。
【0008】
GB 2342203には、臨床治験を行うために使用される薬剤パッケージング方法が記載されている。ここでは例えば、RFIDタグを有しかつパッケージングすべき特定の薬剤が詰められた容器が提供される。この容器の識別データおよびこの容器に入れられる薬剤の識別データは、薬名分量のためのデータと共にデータベースに格納され、またこのデータベースに格納されている情報を含むタグが容器に付けられる。これによって誤ったラベルを付けてしまう危険性が回避される。
【0009】
WO01/94016には、サンプルを収容するためのホルダと、RFIDユニット(電波識別子)とからなるサンプル容器が記載されており、このRFIDユニットは、電波を送信または受信するためのアンテナと、このアンテナに接続されている集積回路チップを有しており、このRFIDユニットは支持体に配置される。またこの支持体は、サンプルを収容するためのホルダに結合されている。このホルダは、殊に臨床治験に使用することを意図したものである。上記の支持体は非金属製の材料からなる円筒形であり、またこの円筒形の周りに巻かれたRFIDタグを有する。この円筒形それ自体は有利にはプラスチック製であり、合成樹脂接着剤により、キャップとしてまたは直接エアスプレー容器に結合される。
【0010】
US 2004/0046020は薬剤調剤ユニットに関するものであり、このユニットは、一意的に関連付けられた電波方式認識タグ(RFID Radio Frequency Identification)を有する医療製品を追跡するためのものである。EP 1561689は、プロセス制御および個々のパッケージのパッケージングについての文書化に関するものであり、各パッケージは、個別のパッケージングトランスポンダを有している。ここでは、各トランスポンダに登録を行う第1書き込みユニットにより、このパッケージを文書化することのできる情報が特徴付けられ、個々のパッケージがパッケージングされる前にこのトランスポンダから情報が読み出され、正しい情報に応じて処理操作の開始が制御される。
【0011】
DE 10010140は、殊に医療技術分野において、オブジェクトを有利には自動的に取り扱うおよび/または処理するための装置に関するものであり、この装置は少なくとも1つの処理ステーションと、この処理ステーションにオブジェクトを搬送するため、オプションではこの処理ステーションを介してオブジェクトを搬送するため、またこの処理ステーションからオブジェクトを搬送するためのオブジェクトキャリアと有している。この装置の特徴は、このオブジェクトキャリアはコードを有しており、オブジェクトおよび/またはこのオブジェクトの取り扱いまたは処理に関連するデータをこのコードに割り当てることができ、またこのデータは、コードを用いて書き込みまたは取り出し可能である。
【0012】
発明の開示
驚いたことにここで判明したのは、臨床治験に関連したテスト試料を提供する上述の有利な方法が、RFIDによって実現できることである。第1および第2のパッケージングレベルのパッケージングされたすべての薬剤コンポーネント(言い換えると実際の薬剤と、それを取り囲むすべてのパッケージング)にあらかじめコード化されたRFIDタグに付けることによって、またパッケージング内に有利には配置することによって、パッケージングに含まれるすべての臨床治験製品の完全な記録を保証できることが判明したのである。
【0013】
したがって上で説明した問題に鑑みて、驚いたことにも可能になるのは、箱の深さがかなり深い場合であっても臨床治験製品のすべての薬剤コンポーネントを完全に確認し、これに基づいてGMP附則17による「正しい無作為化のための確認」の点から薬剤のバラメトリックリリースを達成し、またこれによって分析化学的な確認が不要になり、また研究終了時に薬剤が返却された際にどの薬剤パッケージが返却されたかを迅速かつ非接触に決定し、計数のためにこれを送付できることである。(上記の確認はもはやテストされる試料だけに制限されず集合全体に適用されるため)品質の改善を伴うこの合理化の効果は極めて大きく、また上記の法的に規定された手続きの実行が大いに促進される。したがって本発明が課題とするのは、臨床治験関連の臨床治験製品を提供する方法であり、この方法はつぎのステップを有する。すなわち
(a) 臨床治験製品の第1パッケージングにRFIDユニットを付けるステップと、
(b) ステップ(a)の後、得られた1つまたは複数の第1パッケージを第2パッケージング内に配置するステップと、
(c) ステップ(b)で得られた第2パッケージングにRFIDユニットを付けるステップと、
(d) ステップ(c)の後得られた1つまたは複数の第2パッケージを共通のアウターパッケージング内に配置するステップと、
(e) オプションとしてこのアウターパッケージングにRFIDユニットを付けるステップと、
(f) 上記の複数のRFIDユニットによって上記のすべてのパッケージングコンポーネントを記録するステップとを有する。
【0014】
本発明では、臨床治験製品とは、人間に対する臨床治験においてテストされるか、または比較製品として使用されるか、または人間において所定の反応を発生させるために使用される反応性物質または偽薬の表現形態のことである。本発明では、この用語は、承認されていない薬物も、承認済みの薬物も対象として含むものであり、ここで承認済みの薬物が含まれるのは、これらが、すでに承認されているのと異なる表現形態で、またはまだ承認されていないことを示すために、または承認済み薬物についての付加的な情報を得るため、臨床治験の関連において人間または動物に使用される場合である。列挙可能な表現形態の例は、固体経口剤(例えば、錠剤、カプセル、ペレット)、吸入剤(例えば、エアスプレー剤、吸入用乾燥粉末)、非経口投与用の表現形態(例えば、点滴、注射)、半固体剤(例えば、軟膏、クリーム、坐薬)および経皮吸収治療システムである。
【0015】
本発明の第1パッケージングとは、臨床治験製品に直接接触する容器または別の形態のパッケージングのことである。列挙することのできる例は、ブリスターパック、カートン、チューブ、ビン、アンプル、密封形バイアル(stopped vial)、用量目盛り付き噴霧器(metered dose inhaler)、薬剤粉末噴霧器、サッシェおよびシールパウチである。本発明の第2パッケージングとは、1つまたは複数の同じ第1パッケージングまたは異なる第1パッケージングが収容されるパッケージングのことである。一般的に第2パッケージングは、考えられるあらゆる形、壁厚およびデザイン、色および表面を有する段ボールの箱または折り畳み箱であり、また手動および自動組立ならびに配送用であり、後続のラベル付けのために何も書かれていないまたはプレプリントされた段ボールの箱または折り畳み箱である。
【0016】
本発明では、第2パッケージングへの第1パッケージングの配置は有利には特定の順序で行われる。この点において有利であることが判明したのは、本発明によるラベルを有する第1パッケージングの表面が、可能な限り互いに平行になるように(また1つのパッケージを別の1つのパッケージの上に積み重なるように)配向して互いに垂直にならないようにすることである。これは有利には、ラベルをつねに第1パッケージングの同じ面に付けて、これらのユニットを第2パッケージングに相応に配置することによって行われる。第1パッケージングが丸い(例えばビンの)場合、第2パッケージングに上記のように配置するために殊に注意しなければならない。それは、第2パッケージングにおいて丸い容器が回転すると、本発明のラベルと、第2パッケージングの別のコンポーネントに対して望ましくない(すなわち平行でない)方向を有することになって、これらのユニットの記録が困難になるからである。本発明では、1つまたは複数の同じ第1パッケージングまたは異なる第1パッケージングを第2パッケージングに収容することができる。
【0017】
本発明のアウターパッケージングとは、1つまたは複数の同じ第2パッケージングまたは異なる第2パッケージングが収容されるパッケージングのことである。共通の1つのアウターパッケージングへの第2パッケージングの配置は有利には特定の順序で行われる。本発明によるラベルを含む第2パッケージングの箱の表面が、可能なかぎり互いに平行になるように(すなわち1つの箱が別の1つの箱の上に積み重なるように)配向して互いに垂直ならないように注意しなければならない。これは有利には、ラベルをつねに箱の同じ面に付けて、これらの箱をアウターパッケージングに相応に配置することによって行われる。任意の有利で付加的なアウターパッケージングに、RFIDユニットを有するまたはこれを有しない1つまたは複数のアウターパッケージングを収容することも可能である。これによってテスト試料輸送容器またはRFID試料輸送容器とも称されるテスト試料パックが得られる。
【0018】
RFIDユニット(本発明ではトランスポンダとも称される)は、本発明によれば、データを格納するためのマイクロチップ(以下ではチップと称する)と、データを受信または送信するためのアンテナとを有する。作製時に上記のマイクロチップにはグローバルに一意的なコードが付与され、またこのマイクロチップとアンテナとが接続される。またこのマイクロチップおよびアンテナは共通の支持体に付けられる。エネルギー源がこのRFIDユニットの構成部分をなすこともある。種々異なるRFIDユニットが市販されており、これらは50KHz〜2.5GHzの範囲の所定の周波数で作動する。13.56MHzシステムは、金属および液体を有する応用に殊に有利である。例として挙げることができるのは、フィリップス社、インフィニオン社およびテキサスインスツルメンツ社製の相応のトランスポンダを有するOBID I-スキャンHFリーダファミリのような市販システムである。
【0019】
本発明では、ラベルに接続されるRFIDユニットが有利である。このラベルは有利には紙、ポリエチレン、または、当業者に公知でありかつ粘着層を有する別の支持体材料からなる。このラベルは有利には上記のRFIDユニットとこのラベルとが1つのユニットを構成するように構造化され、RFIDユニットは、ラベルの背面/下側部分の支持体材料と粘着層との間に付けられる。
【0020】
本発明の1実施形態において、殊に金属製の基板における応用に対してRFIDユニットは上記のラベルと粘着層との間に配置される。これを行うため、ラベルの粘着層をわずかに(0.2〜0.4mm)発泡させて、RFIDユニットの隆起部分が粘着層に押し付けられて入り込めるようにすることができる。すなわち、このラベルは、印刷ための表面エリアをできるかぎり大きく残しておけることになる。
【0021】
RFIDユニットを含むラベルは、研究に通例の変数で印刷することができ、またRFIDユニットに含まれるマイクロチップは、数字または英数字のコードでコード化することができる。関連する規則(例えば、GMP附則13)によれば、このコードは、バッチ参照の表示(batch reference)に対する許容された代用であり、ここでのこのバッチ参照は、臨床研究において、研究を盲検化することなしにこれを行うために、どの患者が、どの臨床研究から、どの薬剤を受け取ったかを示すためのものである。したがって特定の人だけがわかる構造をコードに付与する必要がある。この場合にこのコードは、例えば、正しい無作為化および配布のチェーンを追跡するために使用することができる。コードは有利には上位のITシステム(例えばMES=manufacturing execution system)によって形成され、関連するパッケージングステップに論理的にリンクされる。このリンクはふつうパッケージング処理において、本発明によるラベルによって作成され、ここではRFIDが所定の薬剤または患者パッケージに割り当ててられて貼付される。この場合にコードは、例えば、患者番号、パッケージングレベル、薬剤、研究題名、臨床治験センタ名称などを暗号化された形態で含むことが可能である。実行システムを作成する際に、コードは、(紙に書かれたまたは電子的な、この場合には電子バッチレコードと称される)パッケージングの指示書の作成または立案に関連して、パッケージング設計の詳細から形成することができる。
【0022】
択一的にはRFIDチップは、このチップの作製中にすでに付されるグローバルな一意的なコードだけ含んでいる。このコードは、初期状態ではパッケージングのシーケンスとは何の関係も有しない。後者のケースでは、上記のコードは、ラベルを付ける時点に読み出す必要があり、またパッケージングステップ毎に、上位の情報管理システムにおいて、関連するパッケージングステップに論理的にリンクさせなければならない。
【0023】
(事前コード化されたまたはシステムコード化された)RFIDを有するユニットはつぎに、それぞれのパッケージング階層レベル(第1パッケージング、第2パッケージングまたはアウターパッケージング)のパッケージングに付される。これは有利にはパッケージに貼付されるRFIDユニットを含むラベルの粘着層によって行われる。この処理は、臨床研究の設計にしたがって、異なるパッケージング深さに異なるパッケージがある限り、何度も繰り返される。いくつかのコンポーネントからなる、かなり複雑なパッケージングの集合またはあまり複雑でないパッケージングの集合が得られる。本発明では、1つまたは複数のRFIDユニットを、第1パッケージング、第2パッケージングまたはアウターパッケージングに付けることができる。
【0024】
本発明では、パッケージングコンポーネントは、有利にはリーダを介してRFIDユニットによって記録され、このリーダによってRFIDユニットに格納されているデータを読み出して電子データベースに転送することができる。これはPC(パーソナルコンピュータ personal computer)に格納するか、または情報管理システムの一部とすることが可能である。
【0025】
すべてのコンポーネントがRFIDユニットを保持しているため、パッケージングの集合に含まれているすべてのコンポーネントは、いまや1つ操作ステップにおいて(すなわち同時に)、パッケージを破壊的に開封することなくまたは視覚的にリンクすることなく確認することができる。各ユニットにより、コードを介して、どの患者に対してどのパッケージを使用しようとしているのかについての情報が取得され、また各ユニットにより、パッケージに含まれる薬剤が示されているため、パッケージングレベルの個々の情報項目を合わせたものを使用して、パッケージされた全体の集合を特徴付けることが可能である。正しい盲検化および無作為化に対する非破壊的なテストは、表現力の点から、分析的にテストされる無作為サンプル(破壊的なテスト)の結果をはるかに上回る。すべての集合を記録することができ、コードの正しい割り当てがそれぞれのパッケージングステップにおいてすでに行われ、また妥当性のチェックがそこで行われるため、上記の手法により、集合全体にわたってパッケージングユニットの正しい割り当て決定し、また証明することができる。作製処理中に取得したデータに基づいてテストを処理しまた正しさを証明することは、「パラメトリックリリース(parametric release)」と称される。
【0026】
患者番号、研究番号および臨床治験センタ番号についての暗号化された情報を含む個々のパッケージングコンポーネントのデータは上記のコードに含まれているため、この情報は臨床治験の終了時の評価に使用することができる。商品とは異なり、テスト試料パッケージングは、使用後に空または開封された状態で返却される。使用されたこれらのパッケージは、どの位の薬剤を個々の患者が服用したか、またこれに基づいてこの患者を研究の評価に含めることができるか否かを決定するのに使用される。行わなければならない個別のパッケージの記録ならびに研究および患者への割り当ての記録は、RFIDに格納されている情報が自動記録されることによって合理化することができる。バーコードとは異なり、RFIDには視覚的なリンクは必要ないため、数100個の患者パッケージを有する完全な輸送ユニットを、(バーコードの場合のように)個々のパッケージを個別に処理しなくても、理論的には同時に処理することができる。
【0027】
本発明の1実施形態では、ステップ(f)の後、
(g) 得られたRFID試料輸送容器を臨床治験サイトに送付するステップと、
(h) 臨床治験製品を患者に供給した後、前記のRFID試料輸送容器の内容物を記録するステップとが含まれる。
【0028】
図面の簡単な説明
図1aにはRFIDシステムのコンポーネントが示されており、
図1bにはメモリ機能を有するRFIDユニットのブロック図が示されており、
図2aにはRFIDユニットを有するラベルが示されており、
図2bには発泡形スペース層を有するRFIDユニットの層構造(図2aの断面IIb-IIb)が示されており、
図3a〜3bは、アウターパッケージング(テスト試料パックまたはRFID試料輸送容器)内の種々異なる第2パッケージングを示しており、
図4には、RFID試料輸送容器のすべてのパッケージングコンポーネントを記録する様子が示されている。
【0029】
図面に基づく本発明の詳細な説明
図1aにはRFIDシステムの構成部分の概略図が示されている。RFIDユニット(2)に格納されているデータは、リーダ(1)を介して読み出し、電子データベース(3)に転送することができる。この電子データベースはPC(パーソナルコンピュータ personal computer)に格納するか、または情報管理システムの一部とすることが可能である。
【0030】
リーダ(1)は高周波エネルギーをRFIDユニットに送出するか、または高周波エネルギーをこのRFIDユニットから受け取る。このリーダは、例えば、ゲートまたはトンネルアンテナを有する長距離形RFIDリーダとすることが可能である。重要な媒体(金属、液体)においてバルク記録を行うのに殊に有効なアプリケーションは、網形3Dトンネルアンテナを有する13.56MHzシステム用の長距離形リーダである。このリーダにより、高周波電磁界が形成され、この高周波電磁界により、トランスポンダレベルにおいて発振回路が誘導される。この発振回路の共振周波数が送信周波数に相当する。トランスポンダレベルにおける負荷変調によって、発振回路の電圧の振幅も変化する。この原理は、双方向にデータを送信するために使用される。RFIDトランスポンダ(2)は、マイクロチップ(2b)に接続されているアンテナ(2a)から構成される。このマイクロチップは、4つのモジュール、すなわちHFインタフェース(2c)と、アドレスおよびセーフティロジック(2d)と、ROM(2e)と、EEPROM(2f)とからなる。このRFIDトランスポンダのROMには一意的なIDが書き込まれている。(名前、メーカ、UID 64ビット〜92ビット)。EEPROMは、データを記憶するために使用される(384ビット〜7kビット)。図1b。
【0031】
図2aにはラベル(4)に接続されるRFIDユニット(2)が示されている。このラベルは、紙製、ポリエチレン製、または別の任意の慣用の支持体材料製であり、この材料には印刷可能であり、またこの材料は当業者に公知でありかつ粘着層を有する。このラベルは、上記のRFIDユニットとラベルとが1つのユニットを構成するように構造化され、またRFIDユニットは、ラベルの背面部分に支持体材料(4a)と粘着層(4b)との間に付けられる。本発明の1実施形態では(殊に金属製の支持部に使用するためには)、RFIDユニット(2)は、支持体材料(4a)と粘着層(4b)との間に配置される。このようにするため、ラベルの粘着層(4b)をわずかに(0.2〜0.4mm)発泡させて、RFIDユニット(2)の隆起した部分が押し付けられてこの粘着層内に入り込めるようにする。こうすることにより、印刷可能な大きな空きの表面領域を残すことができる。必要なテキストはこの表面領域に印刷可能である。この実施形態のRFIDユニット(2)は、支持フィルム(2g)に配置される受動形13.56MHzのRFIDユニット(アンテナに接続されたエネルギー源を有しないマイクロチップ)である。例として挙げることができるのは、32×16mmサイズのISO Philips半導体トランスポンダである。これは、ゲートまたはトンネルアンテナを有する13.56MHz長距離形RFIDリーダの形態のリーダ(1)によって読み出すことができる。
【0032】
第1ステップにおいて、必要なRFIDユニットは、臨床治験の関連において形成されるパッケージングユニットに対するデータベースまたは上位の情報管理システムに格納されている情報にしたがい、ラベルの形態で提供される。ラベルを印刷する作業は、RFID熱転写プリンタ(統合形RFIDライタ-リーダ)によって行うことができ、このプリンタは同時にRFIDタグを印刷し、RFIDトランスポンダの機能をチェックし、またトランスポンダに書き込むかこのトランスポンダのデータを読み出す。例えば、この処理においてトランスポンダのUID(64ビット)を読み出すことができ、またこのUIDと、管理システムのデータ内のこのラベルに対するテーブルエントリとをリンクさせることができる。(印刷内容のRFID-UIDおよび情報は、データベースにリンクされ、また自動チェックに利用することができる。)図3a〜3dに示したように、ビン(5a)、ブリスターパック(5b)およびエアスプレー容器(5c)の形態の第1パッケージングおよび第2パッケージング(6a,b,c)は、パッケージングの指示にしたがって構成され、相応するRFIDタグ7a,7b,7cが備え付けられ、つぎに確認が行われまた番号が正しいことがチェックされる。コンポーネントとして、アルミニウムのような有利な金属を含むブリスターパック(5b)(アルミニウムブリスター)については、RFIDタグ(7b)は有利にはこのブリスターの金属のないエリア(5d)に配置され、これによってトランスポンダのアンテナと、ブリスターの金属面とが重なり合わないようにする。このような金属のない区画は、例えばアルミニウムブリスターのアルミニウム層の一部を取り除くことによって得られる。トランスポンダのアンテナをブリスターの金属面に直接接触させてまたはこれに近くに配置することは有利である。それはアンテナの作用がこれによって強化されるからである。
【0033】
第2パッケージングはパッケージングの指示にしたがって構成され、RFIDタグ8a,8b,8cが備え付けられ、つぎにRFIDに格納されているデータに基づいて確認が行われ、また番号の正しいことがチェックされる。同様にRFIDタグ10を備え付けることが可能なテスト試料輸送容器9は、パッケージングの指示にしたがって構成され、つぎに確認が行われ、また番号の正しいことがチェックされる。図4によれば、最終チェックにおいてテスト試料輸送容器9がRFIDトンネルリーダ11内に押し込まれて確認が行われ、また番号の正しいことがチェックされる。同時に電子管理システムのデータベース3が参照されて、すべてのGMP生産物処理の完全な文書化がこの製品に対して行われ、またそのチェックが生産の責任者によって検証されて、これが公開される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1a】RFIDシステムのコンポーネントを示す図である。
【図1b】メモリ機能を有するRFIDユニットのブロック図である。
【図2a】RFIDユニットを有するラベルを示す図である。
【図2b】発泡形スペース層を有するRFIDユニットの層構造(図2aの断面IIb-IIb)を示す図である。
【図3】アウターパッケージング(テスト試料パックまたはRFID試料輸送容器)内の種々異なる第2パッケージングを示す図である。
【図4】RFID試料輸送容器のすべてのパッケージングコンポーネントを記録する様子を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床治験に関連した臨床治験製品を提供する方法において、
当該方法は、
(a) 臨床治験製品の第1パッケージングに1つまたは複数のRFIユニットDを付けるステップと、
(b) ステップ(a)の後、得られた1つまたは複数の第1パッケージを第2パッケージング内に配置するステップと、
(c) ステップ(b)で得られた第2パッケージングに1つまたは複数のRFIDユニットを付けるステップと、
(d) ステップ(c)の後、得られた1つまたは複数の第2パッケージを共通のアウターパッケージング内に配置するステップと、
(e) オプションとしてこのアウターパッケージングに1つまたは複数のRFIDユニットを付けるステップと、
(f) 前記の複数のRFIDユニットによって前記のすべてのパッケージングコンポーネントを記録するステップとを有すること特徴とする、
臨床治験に関連した臨床治験製品を提供する方法。
【請求項2】
前記のRFIDユニットはラベルに接続され、
該ラベルは、印刷可能な支持体材料および粘着層を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記のRFIDユニットは、事前コード化されたRFIDユニットである、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
RFIDユニットを各第1パッケージングに付ける、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
RFIDユニットを各第2パッケージングに付ける、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記の臨床治験製品は、未承認の薬剤である、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記臨床治験製品は、固体経口剤(例えば、錠剤、カプセル、ペレット)、吸入剤(例えば、エアスプレー剤、吸入用乾燥粉末)、非経口投与用の表現形態(例えば、点滴、注射)、半固体剤(例えば、軟膏、クリーム、坐薬)および経皮吸収治療システムを含むグループから選択される表現形態である、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
相異なる臨床治験製品を含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1パッケージングは、ブリスターパック、カートン、チューブ、ビン、アンプル、密封形バイアル、用量目盛り付き噴霧器、薬剤粉末噴霧器、サッシェおよびシールパウチを含むグループから選択されるパッケージングである、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
相異なる第1パッケージングを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記のステップ(f)で行われる記録をRFIDリーダによって行い、
該RFIDリーダによって前記RFIDユニットに格納されているデータを読み出して電子データベースに転送する、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記のステップ(b)には、ステップ(a)の後、得られた2つまたはそれ以上の第1パッケージを第2パッケージング内に配置することが含まれる、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記のステップ(d)には、ステップ(c)の後、得られた2つまたはそれ以上の第2パッケージを共通のアウターパッケージング内に配置することが含まれる、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記のステップ(f)で行う記録を1つの処理ステップで行う、
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(f)の後、
(g) 得られたRFID試料輸送容器を臨床治験サイトに送付するステップと、
(h) 臨床治験製品を患者に供給した後、前記のRFID試料輸送容器の内容物を記録するステップとを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
テスト試料輸送容器において、
該テスト試料輸送容器は、アウターパッケージングを有しており、
該アウターパッケージングは、RFIDユニットを有しており、かつ1つまたは複数の第2パッケージングを含んでおり、
該第2パッケージングはそれぞれ1つまたは複数のRFIDユニットを有しており、
該第2パッケージングは1つまたは複数の第1パッケージングを含んでおり、
該第1パッケージングは1つまたは複数のRFIDユニットを有していることを特徴とする、
テスト試料輸送容器。
【請求項17】
前記第1パッケージングに1つまたは複数の臨床治験製品が含まれている、
請求項16に記載のテスト試料輸送容器。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−545494(P2008−545494A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515216(P2008−515216)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063010
【国際公開番号】WO2006/131544
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(507229021)ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (90)
【氏名又は名称原語表記】Nycomed GmbH
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2, D−78467 Konstanz, Germany
【Fターム(参考)】