説明

施工中トンネルの発電方法および施工中トンネルの発電システム

【課題】施工中のトンネルにおける設備の省電力化を図ることができる施工中トンネルの発電方法および施工中トンネルの発電システムを提供する。
【解決手段】トンネル12の施工に伴って排出された濁水が濁水処理設備18により処理され放流槽1806に処理水として蓄えられる。第2の水中ポンプ25により放流槽1806の処理水が管路24に移送される。管路24に移送された処理水は、第2の水中ポンプ25の圧送および管路24の水頭差により管路24を通って排水口2404に向かって流れる。排水口2404(噴射ノズル2404A)から噴射された処理水により発電装置26の水車2602が回転駆動され、これにより発電機2606が電力を発電する。発電された電力は、配電盤28からケーブル38を介して各照明装置32に供給され、これにより照明装置32が動作して濁水処理施設18を照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は施工中トンネルの発電方法および施工中トンネルの発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
施工中のトンネルにおいては、施工に伴い泥や砂を含んだ濁水が発生する。また、覆工作業によりコンクリートの打設を行うと、セメントの成分を含んだアルカリ性の濁水も発生する。このような濁水は施工の妨げとなるため、トンネルの外部に排出しなくてはならない。
しかしながら、このような泥や砂を含み、あるいは、アルカリ性を呈する濁水をそのまま河川や下水施設に放流すると汚染を招いてしまう。
そこで、濁水処理設備により濁水に薬剤を注入して中和させると共に、凝集剤を注入して泥や砂をスラリーを凝集させ、上澄みとなった水(以下処理水という)を河川や下水施設に放流している(特許文献1参照)。
また、上記の濁水処理設備、トンネル内の設備、トンネル施工のために設けられたトンネル外の設備は、照明装置やポンプなど電力を消費する様々な設備を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−307515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、これら濁水処理設備や照明装置などの設備は、トンネルの規模が大きくなるほど多大な電力を消費するため、近年の省エネルギー化、CO排出量の抑制の観点から如何にして電力消費量を抑制するかが重要となっている。
一方、上述した濁水処理設備において河川や下水施設に排水される処理水に着目すると、この処理水の流れのエネルギーは何ら利用されておらず、処理水の流れのエネルギーを有効に再利用することが考えられる。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、施工中のトンネルにおける濁水処理設備から排水される処理水の流れを利用して発電を行うことによりトンネルの施工に関する設備の省電力化を図ることができる施工中トンネルの発電方法および施工中トンネルの発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の施工中トンネルの発電方法は、トンネルの施工中に発生する濁水を前記トンネル外に設けられた濁水処理設備で処理することにより処理水とした後、該処理水を管路を介してトンネル外の河川あるいは下水施設に排出するに際して、前記管路を流れる処理水の流れにより水車を回転駆動して発電を行うことを特徴とする。
また、本発明の施工中トンネルの発電システムは、トンネルの施工中に発生する濁水を処理して処理水とする濁水処理設備から前記河川あるいは前記下水施設まで延在する管路と、前記管路を流通する処理水により回転駆動される水車および前記水車の回転により発電する発電機を有する発電装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、従来、何ら利用されることが無かった、施工中のトンネルにおける濁水処理設備から排水される処理水の流れのエネルギーを有効に再利用して発電を行うことによりトンネルの施工に関わる設備の省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施の形態の施工中トンネルの発電システム22の構成を示す説明図である。
【図2】第2の実施の形態の施工中トンネルの発電システム22の構成を示す説明図である。
【図3】第3の実施の形態の施工中トンネルの発電システム22の構成を示す説明図である。
【図4】第4の実施の形態の施工中トンネルの発電システム22の構成を示す説明図である。
【図5】第5の実施の形態の施工中トンネルの発電システム22の構成を示す説明図である。
【図6】第6の実施の形態の施工中トンネルの発電システム22の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態の施工中トンネルの発電システムと施工中トンネルの発電方法について図1を参照して説明する。
図1に示すように、地山10を水平方向に掘削することによりトンネル12が施工される。
トンネル12の坑道14は、抗口16を介して野外に面しており、坑道14の前端は不図示の切羽となっている。
坑道14に沿って前記切羽あるいは坑道14内部で発生した濁水を濁水処理設備18に移送する濁水移送用管路20が設けられている。なお、濁水移送用管路20には濁水を移送するための不図示の水中ポンプが設けられている。また、坑道14に沿って側溝を設け、この側溝を用いて濁水を濁水処理設備18に移送してもよい。
【0009】
濁水処理設備18は、トンネル12の外側に設置され、本実施の形態では、地山10に形成された平坦面10Aに設置されている。
濁水処理設備18は、濁水移送用管路20により移送された濁水を処理して処理水とするものである。
本実施の形態では、濁水処理設備18は、原水槽1802、水処理部1804、放流槽1806を含んで構成されている。
原水槽1802は、濁水移送用管路20から移送された濁水を収容し、濁水に含まれる泥や砂を沈殿させるものである。
水処理部1804は、原水槽1802に蓄えられた濁水の上澄み水を収容し、この収容した上澄み水に中和剤を入れてアルカリ性を中和させると共に、中和された上澄み水に高分子凝集剤を注入してスラリーを沈殿させるものである。
放流槽1806は、水処理部1804で処理された上澄み水を処理水として収容するものである。
図中、符号1808は原水槽1802と水処理部1804とを接続する管路、1810は管路1808を介して原水槽1802から水処理部1804に濁水を移送する第1の水中ポンプ、符号1812は水処理部1804から放流槽1806に処理水を移送する管路を示す。
また、濁水処理設備18には、後述する制御盤28と、バッテリー30と、複数の照明装置32とが設けられている。
【0010】
施工中トンネルの発電システム22は、管路24と、発電装置26とを含んで構成されている。
管路24は、濁水処理設備18から河川4まで延在して設けられており、濁水処理設備18で処理された処理水をトンネル12外の河川4に排出するものである。なお、処理水を排出する場所は、河川4のほか、下水施設(下水道)などであってもよい。
管路24は、濁水処理設備18(放流槽1806)に接続された吸水口2402と、河川4の近傍に位置する排水口2404とを有しており、吸水口2402が排水口2404よりも高い位置に配置されることにより管路24に水頭差が設けられている。
本実施の形態では、管路24は、濁水処理設備18が設置された平坦面10Aから河川4にわたって形成された傾斜面10Bに沿って延在している。
また、管路24の吸水口2402には、放流槽1806の処理水を管路24に移送する第2の水中ポンプ25が設けられている。
なお、濁水処理設備18は、図示しない受電設備から供給される電力によって稼働している。
【0011】
発電装置26は、水車2602と、ケース2604と、発電機2606とを含んで構成されている。
水車2602は、管路24を流通する処理水により回転駆動されるものである。
ケース2604は、水車2602を収容すると共に、水車2602を回転可能に支持するものである。
発電機2606は、ケース2604の外側に設けられ、回転軸を介して水車2602に連結され、水車2602の回転により発電するものである。
本実施の形態では、発電装置26は、水車2602が排水口2404から排出される処理水によって回転駆動される位置に設けられている。また、水車2602が配置される管路24の箇所は、管路24の下流端で河川4に処理水が排出される箇所である。
より詳細には、管路24の排水口2404は、ケース2604の内側に配置されており、排水口2404は、噴射ノズル2404Aとして形成されており、処理水が噴射ノズル2404Aから水車2602に噴射されるように構成されている。
なお、このような発電装置26として、小水力発電(マイクロ水力発電)に使用されているクロスフロー水車、あるいは、フランシス水車を用いた発電装置など従来公知の様々な発電装置が使用可能である。
【0012】
前述したように濁水処理設備18には、制御盤28と、バッテリー30と、複数の照明装置32とが設けられている。
制御盤28は、発電機2606、バッテリー30および複数の照明装置32にそれぞれケーブル34、36、38を介して接続されており、発電機2606から供給される電力をバッテリー30に供給すると共に、バッテリー30の電力を照明装置32に配電するものである。
なお、制御盤32は、バッテリー30が満充電である場合には、発電機2606に制御信号を与えることでブレーキをかけて発電動作を停止させる機能を備えており、バッテリー30の過充電防止が図られている。
バッテリー30は、発電機2606によって発電された電力を充電するものである。
照明装置32は、バッテリー30から制御盤32およびケーブル38を介して供給される電力により濁水処理設備18に照明光を照射するものであり、本実施の形態では、発光ダイオード(LED)を用いており、例えば消費電力は40Wである。
照明装置32は、発光ダイオード以外を用いたものであってもよいが、発光ダイオードを用いると、省電力化を図る上で有利となる。
【0013】
次に、発電システム22の作用効果について説明する。
濁水処理設備18が稼働し、トンネル12の施工に伴って排出された濁水が濁水移送用管路20を介して原水槽1802に移送され、原水槽1802に蓄えられた濁水の上澄み水は、水処理部1804により中和処理、スラリーの沈殿処理がなされたのち、放流槽1806に処理水として蓄えられる。
第2の水中ポンプ25により放流槽1806の処理水が吸入口2402を介して管路24に移送される。
管路24に移送された処理水は、第2の水中ポンプ25による圧送および管路24の水頭差により管路24を通って排水口2404に向かって流れる。
排水口2404(噴射ノズル2404A)から噴射された処理水により発電装置26の水車2602が回転駆動され、これにより発電機2606が電力を発電する。
水車2602を回転駆動させた処理水は、ケース2604から河川4に落下、放流される。
発電された電力は、ケーブル34、配電盤28、ケーブル36を介してバッテリー30に充電される。バッテリー30に蓄えられた電力は配電盤28からケーブル38を介して各照明装置32に供給され、これにより照明装置32が動作して濁水処理施設18を照明する。
なお、発電した電力は、濁水処理施設18の照明装置32以外にも、トンネル12の坑道14に設けられた照明装置に供給することができる。また、発電した電力は、後述する第4,第5の実施の形態で説明するように、トンネル12の施工にまつわる様々な設備に供給することができる。すなわち、発電した電力は、濁水処理設備18、トンネル12内の設備、トンネル施工のために設けられたトンネル12外の設備の少なくとも1つに供給される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、トンネル12の施工中に発生する濁水をトンネル12外に設けられた濁水処理設備18で処理することにより処理水とした後、該処理水を管路24を介してトンネル12外の河川4に排出するに際して、管路24を流れる処理水の流れにより水車2602を回転駆動して発電を行うようにした。
したがって、従来、何ら利用されることが無かった、河川4や下水施設に放流される処理水の流れのエネルギーを有効に再利用して発電を行うことによりトンネル12の施工に関わる設備の省電力化を図ることができる。
【0014】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
図2に示すように、第2の実施の形態は、管路24が複数の管体40同士が接続されることで構成され、発電装置26は、管体40同士が接続される箇所に配置されている点が第1の実施の形態と異なり、それ以外は第1の実施の形態と同様である。
なお、以下の実施の形態において、第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略し、あるいは、簡単に行う。
図2に示すように、管路24は、2つの管体40A、40B同士が接続されることで構成されており、管体40A、40B同士が接続される箇所は、発電装置26のケース2604である。
したがって、発電装置26は2つの管体40A、40B同士が接続される箇所に配置されている。
また、管路24は、第1の実施の形態と同様に水頭差が設けられており、管路24は、濁水処理設備18が設置された平坦面10Aから河川4にわたって形成された傾斜面10Bに沿って延在している。
したがって、発電装置26の水車2602が配置される箇所は、水平面に対して斜めに傾いた管路40の箇所である。
一方の管体40Aの一端は吸入口2402として放流槽1806内に位置し、他端はケース2604内に位置している。ケース2604内に位置する管体40Aの他端は噴射ノズルとなっている。
他方の管体40Bの一端は、ケース2604内に位置し、他端は排水口2404として河川4の近傍に位置している。
【0015】
このような構成によれば、第2の水中ポンプ25により放流槽1806の処理水が吸入口2402を介して一方の管体40Aに移送されると、処理水は、第2の水中ポンプ25の圧送および管路24の水頭差により管路24を通って排水口2404に向かって流れる。
一方の管体40Aの他端の噴射ノズルから噴射された処理水により発電装置26の水車2602が回転駆動され、これにより発電機2606が電力を発電する。
水車2602を回転駆動させた処理水はケース2604から他方の管体40Bに導かれ排水口2404から河川4に落下、放流される。
発電された電力は、第1の実施の形態と同様に、バッテリー30に蓄えられ、また、バッテリー30に蓄えられた電力は各照明装置32に供給され、これにより照明装置32が動作して濁水処理施設18を照明する。
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、管体40A、40Bを接続する箇所に発電装置26を設けるようにしたので、管体40Aと管体40Bとを接続することで管路24を構成する作業と同時に発電装置26を設置するできるため、作業工数の低減を図る上で有利となる。
【0016】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態は、第2の実施の形態の変形例であり、図3に示すように、管路24が4つの管体で構成され、3つの発電装置26がそれら4つの管体同士が接続される3つの箇所のそれぞれに配置されている点が第2の実施の形態と異なり、それ以外は第2の実施の形態と同様である。
説明の都合上、4つの管体40を第1乃至第4の管体40A、40B、40C、40Dとし、3つの発電装置26を第1乃至第3の発電装置26A、26B、26Cとする。
図3に示すように、管路24は、処理水が流れる方向に沿って第1乃至第4の管体40A、40B、40C、40Dが順番に接続されることで構成されている。
また、管路24は、第1の実施の形態と同様に水頭差が設けられており、管路24は、濁水処理設備18が設置された平坦面10Aから河川4にわたって形成された傾斜面10Bに沿って延在している。
したがって、第1乃至第3の発電装置26A、26B、26Cの水車2602が配置される箇所は、水平面に対して斜めに傾いた管路40の箇所である。
管体同士が接続される箇所は、第1乃至第3の発電装置26A、26B、26Cのケース2604である。したがって、第2の実施の形態と同様に、第1乃至第3の発電装置26A、26B、26Cは管体同士が接続される箇所に配置されている。ここで、第1乃至第3の発電装置26A、26B、26Cは処理水が流れる方向に沿ってこの順番で配置されている。
最も上流側の第1の管体40Aの一端は吸入口2402として放流槽1806内に位置し、他端は第1の発電装置26Aのケース2604内に位置しこの他端は噴射ノズルとなっている。
第2の管体40Bの一端は、第1の発電装置26Aのケース2604内に位置し、他端は第2の発電装置26Bのケース2604内に位置しこの他端は噴射ノズルとなっている。
第3の管体40Cの一端は、第2の発電装置26Bのケース2604内に位置し、他端は第3の発電装置26Cのケース2604内に位置しこの他端は噴射ノズルとなっている。
第4の管体40Dの一端は、第3の発電装置26Cのケース2604内に位置し、他端は排水口2404として河川4の近傍に位置している。
【0017】
このような構成によれば、第2の水中ポンプ25により放流槽1806の処理水が吸入口2402を介して第1の管体40Aに移送されると、処理水は、第2の水中ポンプ25の圧送および管路24の水頭差により管路24を通って排水口2404に向かって流れる。
第1、第2、第3の管体40A、40B、40Cの他端の噴射ノズルから噴射された処理水により第1、第2、第3の発電装置26A、26B、26Cの水車2602がそれぞれ回転駆動され、これにより各発電機2606が電力を発電する。
第3の発電装置26Cの水車2602を回転駆動させた処理水はケース2604から第4の管体40Dに導かれ排水口2404から河川4に落下、放流される。
3つの発電装置26A、26B、26Cで発電された電力は、第1の実施の形態と同様に、バッテリー30に蓄えられ、また、バッテリー30に蓄えられた電力は各照明装置32に供給され、これにより照明装置32が動作して濁水処理施設18を照明する。
第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、管路24に設けた複数の発電装置26A、26B、26Cにより同時に発電を行うので、河川4に放流する処理水の流量を増やすことなく発電量を増大させることができ、処理水の流れのエネルギーを有効に利用する上でより有利となる。
【0018】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、図4に示すように、発電装置26で発電した電力の一部を濁水処理施設18の照明装置32に供給し、残りの電力を濁水処理施設18の第2の水中ポンプ25に供給するようにしたものである。
なお、図4において符号35はケーブル34から第2の水中ポンプ25に電力を分配するケーブルを示す。
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、濁水処理施設18の第2の水中ポンプ25に前記の受電設備から供給する電力を節約することができ、省電力化を図る上で有利となる。
【0019】
(第5の実施の形態)
次に第5の実施の形態について説明する。
第5の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、図5に示すように、発電装置26で発電した電力を、濁水処理施設18の照明装置32に加えて、トンネル施工のために設けられたトンネル12外の設備に供給するようにしたものである。
図5に示すように、トンネル12外の設備は以下のものが例示される。
1)休憩所44に設けられたエアコン4402、携帯電話器用の充電装置4404。
2)朝礼看板48を照明する照明装置4802。
3)作業鍛冶場50の溶接機5002、切削工具5004。
第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、トンネル施工のために設けられたトンネル12外の設備に前記の受電設備から供給する電力を節約でき省電力化を図る上で有利となる。
【0020】
(第6の実施の形態)
次に第6の実施の形態について説明する。
図6に示すように、第6の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、発電装置26の水車2602を、管路24の排水口2204(噴射ノズル2204A)から排出される処理水と、河川4を流れる水との何れかを選択して回転駆動させるようにしたものである。
すなわち、水車2602を、この水車2602が排水口2204から排出される処理水によって回転駆動される第1の位置P1と、水車2602が河川4を流れる水によって回転駆動される第2の位置P2との間で移動させる移動機構52が設けられている。
第6の実施の形態では、水車2602と発電機2606とが回転軸を介して一体に構成されており、移動機構52は、ケース2604と発電機2606との間に設けられている。
移動機構52は、例えば、送りねじと、送りねじを正逆回転させるモータと、送りねじに螺合された雌ねじを有し発電機2606に結合されたスライド部材などを含んで構成されている。
移動機構52は、モータを正逆回転させることにより前記スライド部材を移動させることにより水車2602を第1の位置P1と第2の位置P2とにわたって移動させる。
そして、トンネル12の施工中は、濁水処理設備18が稼働しているので、移動機構52を用いて水車2602を第1の位置P1に位置させて管路24の排水口2404から排出される処理水を利用して発電装置26による発電を行う。
トンネル12の施工が停止されている期間(休日など)は、濁水処理設備18が休止しているので、移動機構52を用いて水車2602を第2の位置P2に位置させて河川4の水の流れを利用して発電装置26による発電を行う。
【0021】
第6の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、管路24に処理水が流れていない場合であっても河川4の水の流れのエネルギーを利用して発電を行うことができるため、濁水処理施設18が休止していても、設備に対する電力供給を維持しつつ設備の省電力化を図ることができる。
なお、処理水を河川4ではなく下水施設に放流している場合は、移動機構52は、水車2602を、この水車2602が排水口2204から排出される処理水によって回転駆動される第1の位置P1と、水車2602が下水施設を流れる水によって回転駆動される第2の位置P2との間で移動させるようにすればよい。
この場合も上記と同様に、管路24に処理水が流れていない場合であっても下水施設の水の流れのエネルギーを利用して発電を行うことができるため、濁水処理施設18が休止していても、設備に対する電力供給を維持しつつ設備の省電力化を図ることができる。
【符号の説明】
【0022】
4……河川、10……地山、12……トンネル、14……坑道、16……抗口、18……濁水処理設備、22……施工中トンネルの発電システム、24……管路、2202……吸水口、2204……排水口、2204A……噴射ノズル、25……第2の水中ポンプ、26……発電装置、26A〜26C……第1乃至第3の発電装置、2602……水車、2604……ケース、2606……発電機、36……照明装置、40……管体、40A〜40D……第1〜第4の管体、52……移動機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの施工中に発生する濁水を前記トンネル外に設けられた濁水処理設備で処理することにより処理水とした後、該処理水を管路を介してトンネル外の河川あるいは下水施設に排出するに際して、
前記管路を流れる処理水の流れにより水車を回転駆動して発電を行う、
ことを特徴とする施工中トンネルの発電方法。
【請求項2】
前記処理水の流れにより発電された電力を前記濁水処理設備、前記トンネル内の設備、前記トンネル施工のために設けられたトンネル外の設備の少なくとも1つに供給する、
ことを特徴とする請求項1記載の施工中トンネルの発電方法。
【請求項3】
前記水車が配置される箇所は、水平面に対して斜めに傾いた管路の箇所である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の施工中トンネルの発電方法。
【請求項4】
前記水車が配置される箇所は、前記管路の下流端で前記河川あるいは下水施設に前記処理水が排出される箇所である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の施工中トンネルの発電方法。
【請求項5】
トンネルの施工中に発生する濁水を処理して処理水とする濁水処理設備から前記河川あるいは前記下水施設まで延在する管路と、
前記管路を流通する処理水により回転駆動される水車および前記水車の回転により発電する発電機を有する発電装置と、
を備えることを特徴とする施工中トンネルの発電システム。
【請求項6】
前記管路は、複数の管体同士が接続されることで構成され、
前記発電装置は、前記管体同士が接続される箇所に配置されている、
ことを特徴とする請求項5記載の施工中トンネルの発電システム。
【請求項7】
前記管路は、前記濁水処理設備に接続された吸水口と、前記河川あるいは前記下水施設の近傍に位置する排水口とを有し、
前記発電装置は、前記水車が前記排水口から排出される処理水によって回転駆動される位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項5記載の施工中トンネルの発電システム。
【請求項8】
前記管路は、前記濁水処理設備に接続された吸水口と、前記河川あるいは前記下水施設の近傍に位置する排水口とを有し、
前記水車を、該水車が前記排水口から排出される処理水によって回転駆動される第1の位置と、前記水車が前記河川あるいは前記下水施設を流れる水によって回転駆動される第2の位置との間で移動させる移動機構が設けられている、
ことを特徴とする請求項5記載の施工中トンネルの発電システム。
【請求項9】
前記発電機によって発電された電力は、前記濁水処理設備、前記トンネル内の設備、前記トンネル施工のために設けられたトンネル外の設備の少なくとも1つの設備に供給される、
ことを特徴とする請求項5乃至8に何れか1項記載の施工中トンネルの発電システム。
【請求項10】
前記発電機によって発電された電力を充電するバッテリーを備え、
前記電力の前記設備への供給は前記バッテリーを介してなされる、
ことを特徴とする請求項9記載の施工中トンネルの発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−104225(P2013−104225A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248703(P2011−248703)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【Fターム(参考)】