施工性に優れたグリーンハウス
【課題】全体的に簡素で軽量な構造とするとともに、経験の浅い作業者でも容易に、かつ精度良く施工することが可能なグリーンハウスの構造を提供する。
【解決手段】並設された複数の主アーチとそれらを平行状態でつなぐ天母屋,母屋及び肩用直管とで構成された骨組を有し、前記主アーチの外側に透明又は半透明のフィルムが展張されたグリーンハウスを構築するに際し、従来用いていた補助アーチを無くすために、主アーチ用のパイプが接続される天母屋接続部に、その中央部で天母屋12を挿通させることが可能な内径を有するサヤ管22を貫通した状態で保持しているアーチジョイント21を配し、このアーチジョイント21のサヤ管22内に天母屋12を挿通させた後に所定位置で固定する。さらに、主アーチのパイプに溶接接合されたガセットプレート(図示せず)間に斜材又は水平材を架け渡す。
【解決手段】並設された複数の主アーチとそれらを平行状態でつなぐ天母屋,母屋及び肩用直管とで構成された骨組を有し、前記主アーチの外側に透明又は半透明のフィルムが展張されたグリーンハウスを構築するに際し、従来用いていた補助アーチを無くすために、主アーチ用のパイプが接続される天母屋接続部に、その中央部で天母屋12を挿通させることが可能な内径を有するサヤ管22を貫通した状態で保持しているアーチジョイント21を配し、このアーチジョイント21のサヤ管22内に天母屋12を挿通させた後に所定位置で固定する。さらに、主アーチのパイプに溶接接合されたガセットプレート(図示せず)間に斜材又は水平材を架け渡す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨組みがパイプ材で構成され、その外側に透明又は半透明のフィルムが展張されたグリーンハウスであって、軽量で施工性に優れたグリーンハウス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、骨組みをパイプ材で構成したグリーンハウス等では、例えば図1,3に示すように、アーチ状に湾曲させた複数本の主アーチ11を桁方向に平行に並設するとともに、この主アーチ11と桁方向に配置される天母屋12,母屋13,及び肩用直管14とをその交叉部で連結金具を用いて固定している。また、ハウス全体の強度を確保するために、主アーチ11の所要箇所管に斜材16や水平材17が架け渡されている。さらに、天母屋12,母屋13,及び肩用直管14の外側に、補助アーチ15がクサビ式固定金具等を用いて固定されるとともに、主アーチの適宜箇所に固定されたフィルム留め材に透明又は半透明のフィルム(図示せず)が固定され、展張されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−155387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなグリーンハウスでは、例えば天母屋12は主アーチ11のジョイント部でアーチジョイント18にMクランプ19を介して固定されている(図5参照)。また、パイプハウス全体を頑強なものとするため、主アーチ11に自在クランプ26で固定された斜材16や水平材17が主アーチ11の所定箇所間に架け渡されている(図9参照)。このMクランプ19や自在クランプ26の突出部が展張するフィルムに直接当たるため、フィルムが破損しやすくなる。展張するフィルムがMクランプ19や自在クランプ26に当たるのを避けるために、天母屋12,母屋13,及び肩用直管14の外側に補助アーチ15を配し、クサビ式固定金具20で固定している。
Mクランプ19や自在クランプ26のフィルムに対する悪影響を排除するための補助アーチ15の設置は、前記Mクランプ19や自在クランプ26の使用と相俟って全体構造を重量化するとともに、施工を複雑にしている。
【0004】
また、自在クランプ26を施工現場で取付ける際の取付け位置の特定が困難で、ずれた位置で固定した結果、斜材16や水平材17の架け渡し形態が変動し、パイプハウスを歪めるばかりでなく、ハウス全体の強度を低下させる場合もある。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、全体的に簡素で軽量な構造とするとともに、経験の浅い作業者でも容易に、かつ精度良く施工することが可能なグリーンハウスの構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の施工性に優れたグリーンハウスは、その目的を達成するため、並設された複数の主アーチとそれらを平行状態でつなぐ天母屋,母屋及び肩用直管とで構成された骨組を有し、前記主アーチの外側に透明又は半透明のフィルムが展張されたグリーンハウスであって、前記主アーチがそれぞれ天母屋接続部でアーチジョイントにより接合されたアーチ用パイプからなるグリーンハウスにおいて、前記アーチジョイントはその中央部で前記天母屋挿通可能内径を有するサヤ管をグリーンハウスの桁方向に貫通した状態で保持しており、前記サヤ管内を挿通させた前記天母屋が当該サヤ管に所定位置で固定されている構造及び/又は前記主アーチのパイプに溶接接合されたガセットプレート間に斜材又は水平材が架け渡されている構造を採用していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のグリーンハウス構造では、展張するフィルムに直接当たってフィルムを傷付ける突起部を極力無くすために、Mクランプや自在クランプによる構成パイプの固定を排除した。Mクランプに代えてアーチジョイントにサヤ管を貫通させ、このサヤ管に天母屋を通すことにより、補助アーチの使用が省略され、また、自在クランプの代わりに溶接接合したガセットプレート間に斜材や水平材を架け渡すことにより、全体として、軽量、かつ堅牢な構造となった。しかも、サヤ管の貫通・固定やガセットプレートの接合が工場作業で行え、建築現場での簡素、かつマニュアル化された作業でグリーンハウスを構築できるため、経験の浅い作業者でも、堅牢で精度の高いグリーンハウスを容易に構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明者等は、補助アーチの使用を省略し、かつ堅牢で構築も行いやすいグリーンハウスの構造に関し、種々検討を重ねてきた。
まず、主たる骨組みをパイプ材で構成したグリーンハウスの天頂部における主アーチと天母屋とを固定しているMクランプに代わる固定構造について検討した。その結果、本発明では、主アーチとなるパイプを接続するアーチジョイントに貫通・固定させたサヤ管を用いることにした。
すなわち、図6に示すように、サヤ管22をアーチジョイント21の中央でグリーンハウスの桁方向に貫通させ、アーチジョイント21との接触部を溶接等で固定した。この際、サヤ管22としては天母屋12を挿通可能な内径を有するものとする。
【0008】
アーチジョイント21を貫通するサヤ管22に天母屋12を挿通させ、隣接する主アーチとの間が所定の間隔となるように、サヤ管22の外面からのビス23のねじ込み等で挿通した天母屋12をサヤ管22に固定して複数の主アーチを天母屋と後記の母屋で平行に並べた構造に構築する。アーチジョイント21に取付けたサヤ管22に天母屋12を挿通することにより、グリーンハウス天頂部の納まりをすっきりさせることができ、補助アーチなしにフィルムを展張することが可能となる。
なお、主アーチ11と母屋13との固定は、従来と同様のクサビ式固定金具の使用で十分である。後記するように、外母屋形態に代わって内母屋形態での固定が可能となる。
【0009】
また、従来、主アーチ11と肩用直管14との固定は、図7に示すように、主アーチ11の外側に直交クランプ24を用いて行っている。そして、その肩用直管14の外側にクサビ式固定金具等を用いて補助アーチ15を固定し、さらにこの補助アーチ15の外側でフィルム留め材25を補助アーチにビスや固定具を用いて固定する形態を採用している。
しかしながら、本発明では、補助アーチ15を省略しているので、図8に示すように、肩用直管14を直交クランプ24で主アーチ11の内側に固定し、直交クランプの突出部以上の高さをもつフィルム留め材25をビスや固定具で主アーチ11に固定すれば、直交クランプのフィルムに対する悪影響は排除される。この場合、フィルム留め材25は主アーチ11に対して固定されることになる。なお、その固定形態の具体例及びフィルムの展張の態様についての説明は割愛する。従来と同様な形態で固定すればよい。
【0010】
次に、主アーチ11間に架け渡して当該グリーンハウスを堅牢なものとする斜材16や水平材17の架け渡し形態の変更点を説明する。
従来、図9に示すように、主アーチ11の適宜箇所に自在クランプ26の一方を固定し、自在クランプの他方に主アーチ11間に架け渡す斜材16または水平材17の一端を固定している。そして、斜材16または水平材17の他端を、主アーチの他の箇所に固定した自在クランプ26に固定して斜材16または水平材17を主アーチ11間に架け渡している。
ところが、この自在クランプ26の突出物も展張するフィルムに悪影響を及ぼすことになるので、自在クランプの使用を排除できる架け渡し構造について検討した。
【0011】
その結果、主アーチの適宜箇所にガセットプレートを予め溶接接合し、そのガセットプレート間に斜材または水平材を架け渡す構造を採用することとした。
斜材または水平材を架け渡す構造としては、次のような形態を採用することが好ましい。すなわち、図10に示すように、一端にボルト挿通孔が穿設されたガセットプレート27を所定位置に溶接接合した主アーチを準備する。別途、所定長さに切断され、両端が平坦に押圧成形されるとともに、その両端平坦部にボルト挿通孔が穿設された斜材28または水平材用のパイプを準備する。そして、主アーチ11のガセットプレート27間に斜材28または水平材用のパイプを架け渡し、両ボルト挿通孔にボルト29を挿通し、ガセットプレート27と斜材28または水平材の一端を固定して斜材28または水平材を主アーチ11に固定する。
ところで、本発明のグリーンハウスも従来のグリーンハウスと同様、構築物の堅牢化を目的として屋根筋かいや側筋かいを配設しているが、その具体的形態の説明は割愛する。
【0012】
なお、従来のパイプを用いた耐候性グリーンハウスでは、クサビ式固定金具を用いて天母屋の外側に補助アーチを固定している。また、天母屋を除く他の母屋部分では、図11に見られるように、クサビ式固定金具30を用い主アーチ11の外側に母屋13を、すなわち外母屋を固定し、この外母屋にクサビ式固定金具20を用いて前記補助アーチ15を固定する形態をしている。この構造は、ハウス室内側のフィルム表面に発生する結露水が、フィルムを伝わり水下へ流れたとき、フィルム直下に桁方向部材を設けると結露水が堰き止められ、水滴が落下し、作物の生育に影響を及ぼすためである。
本発明では、図12に見られるように、主アーチ11の内側に母屋13を、すなわち内母屋をクサビ式固定金具31で固定する形態を採用することで、補助アーチが省略でき、桁方向部材による水滴の落下も抑制することを可能とした。
【0013】
上記のような構造を採用することにより、従来のパイプを用いた耐候性グリーンハウスで必須であった補助アーチを用いる必要がなくなり、全体として軽量化が達成されてコストも低減した。また、構築資材としてのガセットプレートが溶接接合された主アーチ、サヤ管付きアーチジョイント、及び両端に平坦部が形成された斜材,水平材等の工場生産が可能となる点でもコストの低減に寄与できる。
そして、工場生産された設計図面通りのパイプ材やサヤ管付きアーチジョイントを建築現場に持ち込んでグリーンハウスを構築すれば、天母屋の蛇行が抑制できるばかりでなく、また、ガセットプレートが溶接接合された主アーチの使用により、作業者によって斜材や水平材の架け渡し位置が変動することはない。このため、経験の浅い作業者であっても、簡単な組み立て作業のみで架け渡し形状が統一された堅牢なグリーンハウスを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のグリーンハウスの部分構造を概略的に説明する斜視図
【図2】本発明グリーンハウスの部分構造を概略的に説明する斜視図
【図3】従来のグリーンハウスの部分構造を概略的に説明する正面図
【図4】本発明グリーンハウスの部分構造を概略的に説明する正面図
【図5】従来のグリーンハウスの天母屋接合部構造を概略的に説明する斜視図
【図6】本発明グリーンハウスの天母屋接合部構造を概略的に説明する斜視図
【図7】従来のグリーンハウスの肩用直管固定部構造を概略的に説明する斜視図
【図8】本発明グリーンハウスの肩用直管固定部構造を概略的に説明する斜視図
【図9】従来のグリーンハウスの斜材固定部構造を概略的に説明する斜視図
【図10】本発明グリーンハウスの斜材固定部構造を概略的に説明する斜視図
【図11】従来のグリーンハウスの母屋固定部構造を概略的に説明する斜視図
【図12】本発明グリーンハウスの母屋固定部構造を概略的に説明する斜視図
【符号の説明】
【0015】
11:主アーチ 12:天母屋 13:母屋 14:肩用直管
15:補助アーチ 16:斜材 17:水平材 18:アーチジョイント 19:Mクランプ 20:クサビ式固定金具 21:アーチジョイント
22:サヤ管 23:ビス 24:直交クランプ 25:フィルム留め材 26:自在クランプ 27:ガセットプレート 28:斜材 29:ボルト30,31:クサビ式固定金具
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨組みがパイプ材で構成され、その外側に透明又は半透明のフィルムが展張されたグリーンハウスであって、軽量で施工性に優れたグリーンハウス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、骨組みをパイプ材で構成したグリーンハウス等では、例えば図1,3に示すように、アーチ状に湾曲させた複数本の主アーチ11を桁方向に平行に並設するとともに、この主アーチ11と桁方向に配置される天母屋12,母屋13,及び肩用直管14とをその交叉部で連結金具を用いて固定している。また、ハウス全体の強度を確保するために、主アーチ11の所要箇所管に斜材16や水平材17が架け渡されている。さらに、天母屋12,母屋13,及び肩用直管14の外側に、補助アーチ15がクサビ式固定金具等を用いて固定されるとともに、主アーチの適宜箇所に固定されたフィルム留め材に透明又は半透明のフィルム(図示せず)が固定され、展張されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−155387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなグリーンハウスでは、例えば天母屋12は主アーチ11のジョイント部でアーチジョイント18にMクランプ19を介して固定されている(図5参照)。また、パイプハウス全体を頑強なものとするため、主アーチ11に自在クランプ26で固定された斜材16や水平材17が主アーチ11の所定箇所間に架け渡されている(図9参照)。このMクランプ19や自在クランプ26の突出部が展張するフィルムに直接当たるため、フィルムが破損しやすくなる。展張するフィルムがMクランプ19や自在クランプ26に当たるのを避けるために、天母屋12,母屋13,及び肩用直管14の外側に補助アーチ15を配し、クサビ式固定金具20で固定している。
Mクランプ19や自在クランプ26のフィルムに対する悪影響を排除するための補助アーチ15の設置は、前記Mクランプ19や自在クランプ26の使用と相俟って全体構造を重量化するとともに、施工を複雑にしている。
【0004】
また、自在クランプ26を施工現場で取付ける際の取付け位置の特定が困難で、ずれた位置で固定した結果、斜材16や水平材17の架け渡し形態が変動し、パイプハウスを歪めるばかりでなく、ハウス全体の強度を低下させる場合もある。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、全体的に簡素で軽量な構造とするとともに、経験の浅い作業者でも容易に、かつ精度良く施工することが可能なグリーンハウスの構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の施工性に優れたグリーンハウスは、その目的を達成するため、並設された複数の主アーチとそれらを平行状態でつなぐ天母屋,母屋及び肩用直管とで構成された骨組を有し、前記主アーチの外側に透明又は半透明のフィルムが展張されたグリーンハウスであって、前記主アーチがそれぞれ天母屋接続部でアーチジョイントにより接合されたアーチ用パイプからなるグリーンハウスにおいて、前記アーチジョイントはその中央部で前記天母屋挿通可能内径を有するサヤ管をグリーンハウスの桁方向に貫通した状態で保持しており、前記サヤ管内を挿通させた前記天母屋が当該サヤ管に所定位置で固定されている構造及び/又は前記主アーチのパイプに溶接接合されたガセットプレート間に斜材又は水平材が架け渡されている構造を採用していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のグリーンハウス構造では、展張するフィルムに直接当たってフィルムを傷付ける突起部を極力無くすために、Mクランプや自在クランプによる構成パイプの固定を排除した。Mクランプに代えてアーチジョイントにサヤ管を貫通させ、このサヤ管に天母屋を通すことにより、補助アーチの使用が省略され、また、自在クランプの代わりに溶接接合したガセットプレート間に斜材や水平材を架け渡すことにより、全体として、軽量、かつ堅牢な構造となった。しかも、サヤ管の貫通・固定やガセットプレートの接合が工場作業で行え、建築現場での簡素、かつマニュアル化された作業でグリーンハウスを構築できるため、経験の浅い作業者でも、堅牢で精度の高いグリーンハウスを容易に構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明者等は、補助アーチの使用を省略し、かつ堅牢で構築も行いやすいグリーンハウスの構造に関し、種々検討を重ねてきた。
まず、主たる骨組みをパイプ材で構成したグリーンハウスの天頂部における主アーチと天母屋とを固定しているMクランプに代わる固定構造について検討した。その結果、本発明では、主アーチとなるパイプを接続するアーチジョイントに貫通・固定させたサヤ管を用いることにした。
すなわち、図6に示すように、サヤ管22をアーチジョイント21の中央でグリーンハウスの桁方向に貫通させ、アーチジョイント21との接触部を溶接等で固定した。この際、サヤ管22としては天母屋12を挿通可能な内径を有するものとする。
【0008】
アーチジョイント21を貫通するサヤ管22に天母屋12を挿通させ、隣接する主アーチとの間が所定の間隔となるように、サヤ管22の外面からのビス23のねじ込み等で挿通した天母屋12をサヤ管22に固定して複数の主アーチを天母屋と後記の母屋で平行に並べた構造に構築する。アーチジョイント21に取付けたサヤ管22に天母屋12を挿通することにより、グリーンハウス天頂部の納まりをすっきりさせることができ、補助アーチなしにフィルムを展張することが可能となる。
なお、主アーチ11と母屋13との固定は、従来と同様のクサビ式固定金具の使用で十分である。後記するように、外母屋形態に代わって内母屋形態での固定が可能となる。
【0009】
また、従来、主アーチ11と肩用直管14との固定は、図7に示すように、主アーチ11の外側に直交クランプ24を用いて行っている。そして、その肩用直管14の外側にクサビ式固定金具等を用いて補助アーチ15を固定し、さらにこの補助アーチ15の外側でフィルム留め材25を補助アーチにビスや固定具を用いて固定する形態を採用している。
しかしながら、本発明では、補助アーチ15を省略しているので、図8に示すように、肩用直管14を直交クランプ24で主アーチ11の内側に固定し、直交クランプの突出部以上の高さをもつフィルム留め材25をビスや固定具で主アーチ11に固定すれば、直交クランプのフィルムに対する悪影響は排除される。この場合、フィルム留め材25は主アーチ11に対して固定されることになる。なお、その固定形態の具体例及びフィルムの展張の態様についての説明は割愛する。従来と同様な形態で固定すればよい。
【0010】
次に、主アーチ11間に架け渡して当該グリーンハウスを堅牢なものとする斜材16や水平材17の架け渡し形態の変更点を説明する。
従来、図9に示すように、主アーチ11の適宜箇所に自在クランプ26の一方を固定し、自在クランプの他方に主アーチ11間に架け渡す斜材16または水平材17の一端を固定している。そして、斜材16または水平材17の他端を、主アーチの他の箇所に固定した自在クランプ26に固定して斜材16または水平材17を主アーチ11間に架け渡している。
ところが、この自在クランプ26の突出物も展張するフィルムに悪影響を及ぼすことになるので、自在クランプの使用を排除できる架け渡し構造について検討した。
【0011】
その結果、主アーチの適宜箇所にガセットプレートを予め溶接接合し、そのガセットプレート間に斜材または水平材を架け渡す構造を採用することとした。
斜材または水平材を架け渡す構造としては、次のような形態を採用することが好ましい。すなわち、図10に示すように、一端にボルト挿通孔が穿設されたガセットプレート27を所定位置に溶接接合した主アーチを準備する。別途、所定長さに切断され、両端が平坦に押圧成形されるとともに、その両端平坦部にボルト挿通孔が穿設された斜材28または水平材用のパイプを準備する。そして、主アーチ11のガセットプレート27間に斜材28または水平材用のパイプを架け渡し、両ボルト挿通孔にボルト29を挿通し、ガセットプレート27と斜材28または水平材の一端を固定して斜材28または水平材を主アーチ11に固定する。
ところで、本発明のグリーンハウスも従来のグリーンハウスと同様、構築物の堅牢化を目的として屋根筋かいや側筋かいを配設しているが、その具体的形態の説明は割愛する。
【0012】
なお、従来のパイプを用いた耐候性グリーンハウスでは、クサビ式固定金具を用いて天母屋の外側に補助アーチを固定している。また、天母屋を除く他の母屋部分では、図11に見られるように、クサビ式固定金具30を用い主アーチ11の外側に母屋13を、すなわち外母屋を固定し、この外母屋にクサビ式固定金具20を用いて前記補助アーチ15を固定する形態をしている。この構造は、ハウス室内側のフィルム表面に発生する結露水が、フィルムを伝わり水下へ流れたとき、フィルム直下に桁方向部材を設けると結露水が堰き止められ、水滴が落下し、作物の生育に影響を及ぼすためである。
本発明では、図12に見られるように、主アーチ11の内側に母屋13を、すなわち内母屋をクサビ式固定金具31で固定する形態を採用することで、補助アーチが省略でき、桁方向部材による水滴の落下も抑制することを可能とした。
【0013】
上記のような構造を採用することにより、従来のパイプを用いた耐候性グリーンハウスで必須であった補助アーチを用いる必要がなくなり、全体として軽量化が達成されてコストも低減した。また、構築資材としてのガセットプレートが溶接接合された主アーチ、サヤ管付きアーチジョイント、及び両端に平坦部が形成された斜材,水平材等の工場生産が可能となる点でもコストの低減に寄与できる。
そして、工場生産された設計図面通りのパイプ材やサヤ管付きアーチジョイントを建築現場に持ち込んでグリーンハウスを構築すれば、天母屋の蛇行が抑制できるばかりでなく、また、ガセットプレートが溶接接合された主アーチの使用により、作業者によって斜材や水平材の架け渡し位置が変動することはない。このため、経験の浅い作業者であっても、簡単な組み立て作業のみで架け渡し形状が統一された堅牢なグリーンハウスを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のグリーンハウスの部分構造を概略的に説明する斜視図
【図2】本発明グリーンハウスの部分構造を概略的に説明する斜視図
【図3】従来のグリーンハウスの部分構造を概略的に説明する正面図
【図4】本発明グリーンハウスの部分構造を概略的に説明する正面図
【図5】従来のグリーンハウスの天母屋接合部構造を概略的に説明する斜視図
【図6】本発明グリーンハウスの天母屋接合部構造を概略的に説明する斜視図
【図7】従来のグリーンハウスの肩用直管固定部構造を概略的に説明する斜視図
【図8】本発明グリーンハウスの肩用直管固定部構造を概略的に説明する斜視図
【図9】従来のグリーンハウスの斜材固定部構造を概略的に説明する斜視図
【図10】本発明グリーンハウスの斜材固定部構造を概略的に説明する斜視図
【図11】従来のグリーンハウスの母屋固定部構造を概略的に説明する斜視図
【図12】本発明グリーンハウスの母屋固定部構造を概略的に説明する斜視図
【符号の説明】
【0015】
11:主アーチ 12:天母屋 13:母屋 14:肩用直管
15:補助アーチ 16:斜材 17:水平材 18:アーチジョイント 19:Mクランプ 20:クサビ式固定金具 21:アーチジョイント
22:サヤ管 23:ビス 24:直交クランプ 25:フィルム留め材 26:自在クランプ 27:ガセットプレート 28:斜材 29:ボルト30,31:クサビ式固定金具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並設された複数の主アーチとそれらを平行状態でつなぐ天母屋,母屋及び肩用直管とで構成された骨組を有し、前記主アーチの外側に透明又は半透明のフィルムが展張されたグリーンハウスであって、前記主アーチがそれぞれ天母屋接続部でアーチジョイントにより接合されたアーチ用パイプからなり、前記アーチジョイントはその中央部で前記天母屋挿通可能内径を有するサヤ管をグリーンハウスの桁方向に貫通した状態で保持しており、前記サヤ管内を挿通させた前記天母屋が当該サヤ管に所定位置で固定されていることを特徴とする施工性に優れたグリーンハウス。
【請求項2】
並設された複数の主アーチとそれらを平行状態でつなぐ天母屋,母屋及び肩用直管とで構成された骨組を有し、前記主アーチの外側に透明又は半透明のフィルムが展張されたグリーンハウスであって、前記主アーチがそれぞれ天母屋接続部でアーチジョイントにより接合されたアーチ用パイプからなり、前記主アーチのパイプに溶接接合されたガセットプレート間に斜材又は水平材が架け渡されていることを特徴とする施工性に優れたグリーンハウス。
【請求項3】
並設された複数の主アーチとそれらを平行状態でつなぐ天母屋,母屋及び肩用直管とで構成された骨組を有し、前記主アーチの外側に透明又は半透明のフィルムが展張されたグリーンハウスであって、前記主アーチがそれぞれ天母屋接続部でアーチジョイントにより接合されたアーチ用パイプからなり、前記アーチジョイントはその中央部で前記天母屋挿通可能内径を有するサヤ管をグリーンハウスの桁方向に貫通した状態で保持しており、前記サヤ管内を挿通させた前記天母屋が当該サヤ管に所定位置で固定されているとともに、前記主アーチのパイプに溶接接合されたガセットプレート間に斜材又は水平材が架け渡されていることを特徴とする施工性に優れたグリーンハウス。
【請求項1】
並設された複数の主アーチとそれらを平行状態でつなぐ天母屋,母屋及び肩用直管とで構成された骨組を有し、前記主アーチの外側に透明又は半透明のフィルムが展張されたグリーンハウスであって、前記主アーチがそれぞれ天母屋接続部でアーチジョイントにより接合されたアーチ用パイプからなり、前記アーチジョイントはその中央部で前記天母屋挿通可能内径を有するサヤ管をグリーンハウスの桁方向に貫通した状態で保持しており、前記サヤ管内を挿通させた前記天母屋が当該サヤ管に所定位置で固定されていることを特徴とする施工性に優れたグリーンハウス。
【請求項2】
並設された複数の主アーチとそれらを平行状態でつなぐ天母屋,母屋及び肩用直管とで構成された骨組を有し、前記主アーチの外側に透明又は半透明のフィルムが展張されたグリーンハウスであって、前記主アーチがそれぞれ天母屋接続部でアーチジョイントにより接合されたアーチ用パイプからなり、前記主アーチのパイプに溶接接合されたガセットプレート間に斜材又は水平材が架け渡されていることを特徴とする施工性に優れたグリーンハウス。
【請求項3】
並設された複数の主アーチとそれらを平行状態でつなぐ天母屋,母屋及び肩用直管とで構成された骨組を有し、前記主アーチの外側に透明又は半透明のフィルムが展張されたグリーンハウスであって、前記主アーチがそれぞれ天母屋接続部でアーチジョイントにより接合されたアーチ用パイプからなり、前記アーチジョイントはその中央部で前記天母屋挿通可能内径を有するサヤ管をグリーンハウスの桁方向に貫通した状態で保持しており、前記サヤ管内を挿通させた前記天母屋が当該サヤ管に所定位置で固定されているとともに、前記主アーチのパイプに溶接接合されたガセットプレート間に斜材又は水平材が架け渡されていることを特徴とする施工性に優れたグリーンハウス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−8072(P2008−8072A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180844(P2006−180844)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【出願人】(397072695)平林物産株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【出願人】(397072695)平林物産株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
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