説明

施工性改良光ドロップケーブル

【課題】宅内に引き込まれた光ドロップケーブルの宅内配線を容易に、かつ、きれいに配線ができる光ドロップケーブルを提供する。
【解決手段】光ファイバ心線11の両側に間隔をあけてテンションメンバ12を配置し、両者の上に円形または楕円形の保護被覆15を施してなる光ファイバケーブルにおいて、上記保護被覆の長軸/短軸の比を1から2とし、光ファイバ心線11と保護被覆15との間に微小ギャップGを設けたものであり、上記微小ギャップGを0.5mm以下とし、上記保護被覆15を低摩擦難燃ポリウレタン、または低摩擦難燃ポリエチレンで形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、架空光伝送ケーブルから中間光ドロップクロージャを経て、利用者宅へ引き込まれる光ドロップケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
架空光伝送ケーブル31は、図3(a)に示す如く電柱32等に架渉されており、利用者宅33へは、中間光ドロップクロージャ34を経て引き込まれ、上記中間光ドロップクロージャ34と利用者宅33との間は、図2に示す光ドロップケーブル10の支持線に吊架され、その支持線は利用者住宅33に取付けられたブラケット(図示せず)等に引き留められ、それから先は、支持線と光ケーブル本体10aとは切り離されて光ケーブル本体10a(図3(b)参照)だけが宅内に引き込まれる。
【0003】
ここで、宅内に引き込まれた光ケーブル本体10aは、図3(b)に示す如く壁面35を引き下ろし、幅木36、床面37などを這わして配線するが、この配線において配線方向を変えなければならないことが当然発生し、光ケーブル本体10aを折り曲げることとなる。
【0004】
上記折り曲げる際、光ケーブル本体10aの横(短軸)方向に折り曲げるのは容易であるが、縦(長軸)方向に折り曲げることは難しく実質的に不可能で、実際には光ケーブル本体10aを90度捻って折り曲げることとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようにケーブルを90度捻って配線するところでは、配線作業が難しくなり、かつ、きれいに配線することができず、見苦しいものとならざるをえない。
【0006】
上記状況に鑑みこの発明は、宅内に引き込まれた光ドロップケーブルの宅内配線を容易に、かつ、きれいに配線ができる光ドロップケーブルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためにこの発明は、光ファイバ心線の両側に間隔をあけてテンションメンバを配置し、両者の上に円形または楕円形の保護被覆を施してなる光ファイバケーブルにおいて、上記保護被覆の長軸/短軸の比を1から2とし、光ファイバ心線と保護被覆との間に微小ギャップを設けたものであり、上記微小ギャップを0.5mm以下とし、上記保護被覆を低摩擦難燃ポリウレタン、または低摩擦難燃ポリエチレンで形成したものである。
【発明の効果】
【0008】
上記の如く構成するこの発明によれば、支持線から切り離されて宅内に引き込まれた光ケーブル本体は、断面円形、または長軸/短軸の比を1〜2とする楕円形をしており、かつ、光ファイバ心線と保護被覆との間に微小ギャップを設けているので、いずれの方向にも曲げ易くなり配線作業性が改善される。
【0009】
また、保護被覆および外被に低摩擦難燃ポリウレタン、または低摩擦難燃ポリエチレンを採用することによって、配線時の光ドロップケーブルの滑りがよくなって光ファイバ心線に負荷がかからず、外圧が加わったとき保護被覆と光ファイバ心線間の微小ギャップによって、外圧は光ファイバ心線を直撃せず伝送特性の低下を引き起こすことを防止する効果がある。
【0010】
また、図1(d)のように保護被覆を二層押出しにすることにより、材料コストの高い低摩擦難燃ポリウレタンの使用量を少なくして材料コストを低減し、内・外層を色違いにすることにより、床面、壁面を這わせた際に発生する外層の摩耗、傷などを検知できる効果がある。
【0011】
上記課題解決のための手段において、保護被覆の長軸/短軸の比を1〜2としたのは、1以下では長軸と短軸の関係が逆転して、外被の剥ぎ取り作業に支障をきたし、2以上では長楕円になって、配線、とりわけ長軸方向の折り曲げが困難になるからである。
【0012】
また、上記保護被覆と光ファイバ心線間の微小ギャップを0.5mm以下としたのは、0.5mmを超えると保護被覆の、V字状凹溝の谷底部分における肉厚が薄くなり、保護被覆が座屈する恐れがあるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次にこの発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0014】
図1(a)は第1実施例に係る光ドロップケーブル10の断面図で、0.25mmφの光ファイバ心線11を並列し、その両サイドに0.6mmの間隔をあけて、0.45mmφのアラミド繊維強化プラスチック紐からなるテンションメンバ12を平行配置し、更に上記テンションメンバ12と光ファイバ心線11を結ぶ延長線上に1.2mmφの亜鉛メッキ鋼線13を平行配置し、低摩擦難燃ポリウレタンを素材とする保護被覆15を、ブリッジ17と外被16とともに一体に押出し成形する。
【0015】
上記保護被覆15の成形では、光ファイバ心線11を支持・通過させるニップルの前端をダイスの前面から僅かに突出して、いわゆるパイプ押出し方式を採用し、光ファイバ心線11上に0.2mmの微小ギャップG(最大0.5mm)を設けて外径が3.0mmφになる保護被覆15を、高さは0.1mm、厚さは0.2mmのブリッジ17と亜鉛メッキ鋼線13上に厚さ0.4mmで外径2.0mmφの外被16とともに一体に成形する。
【0016】
上記保護被覆15の外周面長手方向には、底面が半径0.2mm、深さ0.3mmのV字状凹溝14が形成されている。
【0017】
なお、本実施例における上記の各部分の寸法は、単なる実施例であって特許請求の範囲を拘束するものではない。また、保護被覆等の素材に低摩擦難燃ポリウレタンを採用したが、難燃ポリエチレン、低摩擦難燃ポリエチレンを採用することができ、硬度(HDA)90以上で塩化ビニルに対する摩擦係数が0.2以下の低摩擦難燃ポリウレタンを採用することが好ましい。
【実施例2】
【0018】
図1(b)は第2実施例に係る光ドロップケーブル10の断面図で、0.25mmφの光ファイバ心線11を並列し、その両サイドに0.4mmの間隔をあけて、0.45mmφのアラミド繊維強化プラスチック紐からなるテンションメンバ12を平行配置し、更に上記テンションメンバ12と光ファイバ心線11を結ぶ延長線上に1.2mmφの亜鉛メッキ鋼線13を平行配置し、保護被覆15を、ブリッジ17と外被16とともに一体に押出し成形する。
【0019】
上記保護被覆15の成形では、光ファイバ心線11を支持・通過させるニップルの前端をダイスの前面から僅かに突出して、いわゆるパイプ押出し方式を採用し、光ファイバ心線11上に0.3mmの微小ギャップG(最大0.5mm)を設け、長軸2.4mm×短軸2.0mmになる楕円形の保護被覆15を、高さ0.1mm、厚さ0.2mmのブリッジ17と亜鉛メッキ鋼線13上に厚さ0.4mmで外径2.0mmφの外被16とともに一体に成形する。
【0020】
また、保護被覆15の外周面長手方向には、底面が半径0.2mm、深さ0.3mmのV字状凹溝14が形成されている。なお、本実施例における上記の各部分の寸法は、単なる実施例であって特許請求の範囲を拘束するものではない。
【実施例3】
【0021】
図1(c)は第3実施例に係る光ドロップケーブル10の断面図で、0.25mmφの光ファイバ心線を4心並列した光ファイバテープ心線11、その両サイドに0.4mmの間隔をあけて、0.45mmφのアラミド繊維強化プラスチック紐からなるテンションメンバ12を平行配置し、更に上記テンションメンバ12と光ファイバテープ心線11を結ぶ延長線上に1.2mmφの亜鉛メッキ鋼線13を平行配置し、保護被覆15を、ブリッジ17と外被16とともに一体に押出し成形する。
【0022】
上記保護被覆15の成形では、光ファイバ心線11を支持・通過させるニップルの前端をダイスの前面から僅かに突出して、いわゆるパイプ押出し方式を採用し、光ファイバテープ心線11上に短辺側0.11mm、長辺側0.36mmの微小ギャップGを設け長軸4.0mm×短軸2.0mmになる楕円形の保護被覆15を、高さは0.1mm、厚さは0.2mmのブリッジ17と亜鉛メッキ鋼線13上に厚さ0.4mmで外径2.0mmφの外被16とともに一体に成形する。
【0023】
また、保護被覆15の外周面長手方向には、底面が半径0.2mm、深さ0.3mmのV字状凹溝14が形成されている。なお、本実施例における上記の各部分の寸法は、単なる実施例であって特許請求の範囲を拘束するものではない。
【0024】
上記実施例1〜3において、例えば実施例3を用いて説明すると、図1(d)に示すように、上記保護被覆等の押出し成形を二層押出しとし、外層を低摩擦難燃ポリウレタン、または低摩擦難燃ポリエチレンとし、内層に一般的な難燃ポリエチレンを採用し、外層の厚さを0.1mmとして一体に押出し成形することができる。なお、外層の厚さはこれに限定されるものではなく適宜決めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上説明した如くこの発明によれば、光ドロップケーブルが宅内に引き込まれた後は、支持線から切り離されて断面円形、または特定の長軸・短軸からなる楕円形となり、いずれの方向にも容易に折り曲げられ宅内配線作業性が大幅に向上し、きれいに配線されるようになる。
【0026】
また、保護被覆および外被が低摩擦難燃ポリウレタンを採用しているので宅内配線作業において、内部の光ファイバ心線に負荷がかからず、加えて、保護被覆と光ファイバ心線との間に微小ギャップを設けているので屈曲時や外圧がかかったとき、その負荷が光ファイバ心線に直接加わらず、伝送特性の低下を引き起こすことを防止する効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る光ドロップケーブルの断面図で、(a)は実施例1、(b)は実施例2、(c)は実施例3、(d)は(c)の一部変形例を示す。
【図2】従来技術に係る光ドロップケーブルの断面図
【図3】光ドロップケーブルの引き込み工事説明図で(a)は屋外部分、(b)は宅内部分を示す。
【符号の説明】
【0028】
10 光ドロップケーブル
10a 光ケーブル本体
11 光ファイバ(テープ)心線
12 テンションメンバ
13 亜鉛メッキ鋼線
14 V字状凹溝
15 保護被覆
16 外被
17 ブリッジ
31 架空光伝送ケーブル
32 電柱
33 利用者宅
34 中間光ドロップクロージャ
35 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ心線の両側に間隔をあけてテンションメンバを配置し、両者の上に円形または楕円形の保護被覆を施してなる光ファイバケーブルにおいて、上記保護被覆の長軸/短軸の比を1から2とし、光ファイバ心線と保護被覆との間に微小ギャップを設けたことを特徴とする施工性改良ドロップケーブル。
【請求項2】
上記微小ギャップを0.5mm以下としたことを特徴とする請求項1に記載の施工性改良ドロップケーブル。
【請求項3】
上記保護被覆を低摩擦難燃ポリウレタン、または低摩擦難燃ポリエチレンで形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の施工性改良光ドロップケーブル。
【請求項4】
上記保護被覆を二層とし、少なくとも外層が低摩擦難燃ポリウレタン、または低摩擦難燃ポリエチレンで形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の施工性改良光ドロップケーブル。
【請求項5】
上記保護被覆の二層が、異なる色の樹脂からなることを特徴とする請求項4に記載の施工性改良光ドロップケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−330261(P2006−330261A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152350(P2005−152350)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000108742)タツタ電線株式会社 (76)
【Fターム(参考)】