説明

施用機の繰出装置

【課題】
繰出溝の容量が一定に保たれるように自動的に容量を変更し、繰出溝内に堆積した夾雑物を自動的に除去する清掃機構を設けた施用機を提供する。
【解決手段】
肥料または種子等の粒状体を繰出ロール1の外周面の繰出溝2に嵌合させて繰出す施用機において、繰出溝2を繰出ロール1の回転方向周面に一定間隔ごとに配置し、繰出ロール1のロール軸3と平行方向のロール幅方向に沿って長く形成すると共に、各繰出溝2の容積を変更可能に構成し、繰出ロール1の繰出溝2には、繰出溝2と同じ断面形状の清掃スライダ4を嵌合させて配置し、清掃スライダ4を繰出溝2方向に摺動させると、繰出溝2の長さが変更されると共に溝内に堆積した夾雑物が除去され、繰出溝2の清掃スライダ4による繰出溝2の清掃は、施用機に設けた旋回センサ5が機体の旋回を検出した場合、または所定の繰出作業時間ごとに行なう構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件に係る発明は、施肥機や播種機等の施用機において、繰出ロールによる粒状体の繰出を正確に、且つ円滑に行うことのできる繰出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
繰出ロールの回転周面に、異なる溝数の繰出溝を形成し、この繰出溝の繰出位置を切替えることによって、点播または条播形態に播種切替えを行う技術(特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−136629号公報(第6頁、図5)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、繰出ロールの回転数を変更したり、ホッパから繰出ロールへ供給する供給量を変更しては粒状体の繰出量を変更及び調節する技術では、繰出ロールの回転周面に形成される繰出溝の形態や容積等が一定、言い換えれば画一的に形成されているため、供給された粒状体が繰出溝に入り込んだままになると、繰出溝の収容量の変化が減少してしまい、設定した量での施肥や播種が行なわれず、肥料不足による生育不良や、植付株数の不足による収穫量の減少を招くという問題がある。
【0005】
特に、種子の表面を成長促進のための酸素供給剤や、食害防止のための鉄粉でコーティングしたものを用いる場合、このコーティング表層部が摩擦圧力を受けて崩壊すると粉屑になるため、繰出溝の一部がこの粉屑に埋められてしまい、設定した量の粒状体が繰り出されず、上述のとおり肥料不足による生育不良や、植付株数の不足による収穫量の減少を招くという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、肥料または種子等の粒状体を繰出ロール(1)の回転外周面の繰出溝(2)に嵌合させて繰出す施用機において、該繰出溝(2)を繰出ロール(1)の回転方向周面に一定間隔ごとに配置し、前記繰出ロール(1)のロール軸(3)と平行方向のロール幅方向に沿って長く形成すると共に、各繰出溝(2)の容積を変更可能に構成したことを特徴とする施用機の繰出装置とした。
【0007】
ホッパ(19)から流下する粒状の施用剤は、回転する繰出ロール(1)の回転外周面に形成された繰出溝(2)に入り込み、一定量ずつ圃場へと繰り出される。この繰出溝(2)の容量は変更可能に構成されており、粒状体の形態に適応する容積及び繰出量に変更、調節することができる。
【0008】
この変更、調節のためには、繰出溝(2)に沿って嵌合する清掃スライダ(4)を移動させて、繰出溝(2)のロール幅方向の長さを変えたり、繰出溝(2)の深さを変えたりすることによって、この繰出溝(2)の容量を変更し、繰出す粒状体と、繰出量に適応する容量に調節することができる。
【0009】
このため、繰出溝(2)に嵌合して繰出される粒状体は、繰出溝(2)や繰出ロール(1)の回転周面を覆う外周壁面との間で強い圧力を受け難く、また繰出溝(2)の内部での間隙の幅を狭く構成し、遊動による施用剤相互の摩擦力を小さくし、円滑な繰出作業を行わせる構成とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記繰出ロール(1)の各繰出溝(2)には、該繰出溝(2)と同じ断面形状の清掃スライダ(4)を嵌合させて配置し、該清掃スライダ(4)を繰出溝(2)方向に摺動させることによって、前記繰出溝(2)の長さを変更すると共に溝内に堆積した夾雑物を除去する構成としたことを特徴とする請求項1記載の施用機の繰出装置とした。
【0011】
前記繰出ロール(1)の繰出溝(2)の容量を変更したり、この繰出溝(2)の溝掃除を行うときは、この繰出溝(2)に嵌合する清掃スライダ(4)を溝方向へ摺動することによって行われる。
【0012】
このため、繰出溝(2)の長さが変更されて容量が変更されるか、あるいは繰出溝(2)の内部が清掃スライダ(4)の摺動によって掃除される構成となる。繰出溝(2)の内周面に粒状体を覆うコーティング剤等が附着しても、この清掃スライダ(4)の摺動動作によって掻き出されるため、容量が一定に保たれる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記繰出溝(2)の清掃スライダ(4)による繰出溝(2)の清掃は、施用機に設けた旋回センサ(5)が機体の旋回を検出した場合、あるいは所定の繰出作業時間ごとに行なう構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の施用機の繰出装置とした。
【0014】
上記構成のように、清掃スライダ(4)を繰出溝(2)の内部に沿って移動させて、この繰出溝(2)を掃除するときは、この施用機が圃場端等での旋回走行するとき、即ち粒状体の繰り出し作業が行われない状態にあるときであるので、機体に設けた旋回センサ(5)が旋回を検出すると旋回状態となったと判断して清掃スライダ(4)を摺動させて掃除作用を行わせることができる。これにより、粒状体の放出を行なう際に清掃スライダ(4)が動いてしまい、繰出溝(2)の容量が変化して粒状体の繰出量が設定値に比べて多過ぎたり、あるいは少な過ぎたりすることが防止されるので、肥料不足による苗の生育不良や、植付株数の不足による収穫量の減少が防止される。
【0015】
また、この繰出溝(2)の掃除機構は、繰出ロール(1)による繰出作業中であっても、所定の繰出作業時間が経過するごとに、即ち定期的にコントローラ(49)からの出力に基づいて自動的に清掃スライダ(4)を作動させて、繰出溝(2)の内部を掃除する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明は、繰出ロール(1)の各繰出溝(2)の容量を変更することによって、使用する粒状体に適した容量に設定することができるので、粒状体が圧力により砕けたり、損傷したりすることが防止されるので、繰出溝(2)に粒状体の破片が堆積することが防止され、肥料や種子の施用量が設定料どおりに保たれる。
【0017】
これにより、肥料不足による生育不良や、植付株数の不足による収穫量不足が防止されるので、収穫量の安定化が図られると共に、作物の品質の向上が計られる。
また、繰出溝(2)の容量を変更可能としたことにより、繰出ロール(1)でも施用量を調節することができるので、微細な施用量の調節が可能となり、多様な作業条件に適した施用機となる。
【0018】
特に、種子の表面に酸素供給剤(カルパー剤)等をコーティングした形態の粒状体を用いる場合は、前記繰出溝(2)の容量を酸素供給剤でコーティング種子の形態に適合するように大きく設定することにより、この繰出溝(2)の内部に係る種子同士の繰出圧力を小さくすることができるので、種子の外周面を覆う酸素供給剤のコーティング層の破損が防止されるため、播種された種子が正常に発芽しやすくなり、発芽失敗による欠株の発生や収穫量の減少が防止される。
【0019】
そして、コーティング層が崩れにくくなることにより、繰出溝(2)の内部に付着して堆積する夾雑物の発生を抑えることができるので、各繰出溝(2)の繰出容量が維持され、安定した施用が行なわれるため、収穫量の安定化が図られると共に、作物の品質の向上が計られる。
【0020】
請求項2に記載の発明の効果は、請求項1に記載の発明の効果に加えて、前記繰出溝(2)に沿って摺動する清掃スライダ(4)の移動量を変更すると繰出溝(2)の長さが変わり、繰出溝(2)の容量が変更される構成としたことにより、容量の変更機構を簡潔な構成で構成することができるので、施用量の安定が図られると共に、施用機が簡潔な構成となり、メンテナンス等が容易になる。
【0021】
また、前記繰出溝(2)の容量を変更する場合や、この繰出溝(2)の内部を掃除する場合には、清掃スライダ(4)を溝方向に摺動させることによって、繰出溝(2)の内部に付着した粒状体、この粒状体の屑やその他の夾雑物等が掻き剥がれて溝端部から押出されるため、この清掃スライダ(4)が摺動される度に繰出溝(2)の内部を簡単に清浄することができるので、粒状体の繰出量が一定に保たれ、肥料不足による苗の生育不良や、植付株数の不足による収穫量の減少が防止される。
【0022】
さらに、繰出溝(2)の容量を変更する清掃スライダ(4)の摺動と、繰出溝(2)の掃除を行うときの清掃スライダ4の摺動は、清掃スライダ(4)の移動量や移動操作タイミング等が異なる作業条件であっても、同じ清掃スライダ(4)を同じ方向へ移動操作して行うものであるから、構成、及び操作を簡単にすることができる。
【0023】
請求項3に記載の発明の効果は、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、旋回センサ(5)が機体の旋回動作を検出すると粒状体の繰出作業が行なわれない状態と判断して清掃スライダ(4)を繰出溝(2)の内部に沿って摺動させる構成としたことにより、粒状体の繰出を妨げることなく繰出溝(2)の内部を掃除することができるので、作業能率が向上すると共に、繰出溝(2)の容量を一定に保つことができる。
【0024】
また、所定の繰出作業時間が経過すると清掃スライダ(4)が摺動して繰出溝(2)の掃除を行なう構成とした場合、使用する粒状体の種類や天候等の条件に対応させることができるので、繰出溝(2)の容量が保持され、肥料や種子の供給が設定量通りに行われる。
【0025】
上記構成の場合は、施用作業を一旦停止させた状態にすると、清掃スライダ(4)が摺動して繰出溝(2)の内部の掃除を行なう構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】施用機の側面図
【図2】施用機の繰出ロール部の側面図
【図3】繰出ロール正面図
【図4】繰出ロールの部分側面図
【図5】清掃スライダの制御部のブロック図
【図6】繰出ロール部を分解した状態を示す正面図
【図7】播種筒部の別構成例を示す側面図
【図8】播種筒部の別構成例を示す側面図
【図9】摺切ブラシの設置例を示す側面図
【図10】(a)繰出ロールと擦切ブラシの配置関係を示す平面図、(b)繰出ロールと擦切ブラシの配置関係を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1〜図6に基づくと、施用機は、ステアリングハンドル9の操作によって操向する左右一対の前輪10と、エンジン20によってベルト21、ミッションケース12内の伝動機構、及び走行伝動軸15等を介して駆動する左右一対の後輪11等を有するトラクタ車体の後部に、リフトシリンダ13の伸縮によって昇降する平行リンク形態のリフトリンク14を介して播種機6を連結している。
【0028】
また、この車体の後部には、リヤフレーム15上に施肥機16を搭載して、前記播種機6による播種土壌面に施肥を行わせる。又、この播種機6は、下側に土壌面を滑走均平するフロート17を有し、このフロート17によって均平される土壌面を、作溝器18により作溝しながら、この作溝部に播種機6から繰出される種子を流下案内させて播種するものである。
【0029】
この播種機6は、種子を収容するホッパ19と、このホッパ19の種子を繰出す繰出ロール1を有した繰出装置22、繰出された種子を流下案内する播種筒23等から構成される。また、この播種作用を補助するために、ブロワー24を設けて、前記繰出装置22から繰出される種子が播種筒23内を速かに搬送播種されるように送風する。
【0030】
前記フロート17の前側には、土壌面を代掻する代掻ロータ25を設けて、リヤアクスルハウジング部の車軸26伝動機構の一部から代掻軸27を介して伝動している。又、各フロート17の後端部に覆土板28を設けて、前記各条の播種機6によって播種された作溝部を埋戻すものである。更に、後側部には、左右両側のフロート17間の間隔部の土壌面を左右に培土して、培土溝を形成する溝切器29が、上下に切替回動可能に設けられて、溝切不要時は上方へ回動させて溝切不能の状態に収納させることができる。
【0031】
前記播種機6は、各フロート17上の播種フレーム30上に搭載されて、各播種条毎に繰出ロール1によって種子を繰出しながら多条形態の播種を行うものである。又、施肥機16は、肥料を収容するホッパ31と、繰出ロールの回転によって繰出す繰出装置37を有し、フロート17の各作溝器18毎の播種条に応じた施肥パイプを介して、前記作溝器18上に連通させて、各播種条毎の多条施肥を行わせる。
【0032】
車体上にはエンジン20カバー33上に運転席34を設け、この運転席34の前側から左右両側部にわたってステップフロア35を設けている。
ここにおいて、肥料、又は種子等の施用剤を繰出ロール1の回転外周面の繰出溝2に嵌合させて繰出す施用機において、前記繰出2は、繰出ロール1の回転方向周面に一定間隔に配置し、ロール軸3と平行方向のロール幅方向に沿って長く形成し、かつ、各溝容積を変更可能に構成とする。
【0033】
繰出ロール1の回転によって、ホッパから流下する粉粒施用剤が、この繰出ロール1の回転外周面の繰出溝2が嵌合されて繰出される。この繰出溝2の溝容積は変更可能に構成されていて、施用剤の形態に適応する容積、及び繰出量に変更、調節することができる。
【0034】
この変更、調節のためには、繰出溝2に沿って嵌合するスライダを移動させて、繰出溝2のロール幅方向の長さを変えたり、繰出溝2の深さを変えたりすることによって、この繰出溝2の溝容積を変えて、繰出す施用剤と、繰出量に適応する溝容積に調節決定することができる。このため、繰出溝2に嵌合して繰出される施用剤は、繰出溝2や繰出ロール1の回転周面を覆う外周壁面との間で強い圧力を受け易く難く、又繰出溝2内部での間 部を少くして、遊動による施用剤相互の摩擦力を少くし、円滑な繰出作用を行わせるものである。
【0035】
また、前記繰出ロール1の各繰出溝2には、この繰出溝2と同断面形態の清掃スライダ4を嵌合させて溝方向に摺動させることによって、繰出溝2長さを変更し、又は溝掃除可能とする。
【0036】
前記繰出ロール1の繰出溝2の容積を変更したり、この繰出溝2の溝掃除を行うときは、この繰出溝2に嵌合する清掃スライダ4を溝方向へ摺動することによって行われる。このため、繰出溝2の長さが変更されて溝容積が変り、又は繰出溝2内部が清掃スライダ4の摺動によって掃除される。繰出溝2内周面に施用剤このコーティング剤等が附着していても、この清掃スライダ4によって掻き出されて清浄される。
【0037】
また、前記繰出溝2の清掃スライダ4摺動による溝掃除は、施用機走行の旋回センサ5による旋回検出によって、又は、所定の繰出作業時間間隔毎に出力する。
上記のように清掃スライダ4を繰出溝2内に沿って移動させて、この繰出溝2を掃除するときは、この施用機が圃場の旋回走行位置にあって施用剤を繰出しない状態にあるときに、旋回センサ5による旋回検出によって、清掃スライダ4を摺動させて掃除作用を行わせることができる。
【0038】
あるいは、この溝掃除は、繰出ロール1による繰出作用時においても、所定の繰出作業時間間隔毎に、乃至定期的にコントローラからの出力に基づいて自動的に清掃スライダ4を作動させて繰出溝2内を掃除することもできる。
【0039】
前記播種機6を構成する施用機の繰出装置22は、ケース38内部のロール室に左右横方向のロール軸3周りに駆動回転する繰出ロール1を設ける。この繰出ロール1の回転外周面には、ロール軸3と平行する方向の繰出溝2が一定の等配角毎に形成している。各繰出溝2は図4における右側端部に外周方向へ拡張する傾斜端面39を形成し、左端部を開放40した形態である。この繰出溝2の底部の回転方向に沿う溝幅は狭く形成するのに対して、外周部の開溝幅を広く形成して、側面視で略台形状の断面形態に形成している。
【0040】
このため、各回転方向前後の繰出溝2間のロール仕切条部41の側面視形態も、これとは逆向きの台形状の断面形態に形成する。この繰出ロール1のロール軸3と同軸心上には、軸穴42を形成して、この繰出ロール1の左端側から清掃スライダ4を配置したキャップディスク7のねじ軸43を回転自在に嵌合させて取付ける。
【0041】
該ねじ軸43は、キャップディスク7に対して螺合されて、ケース38の外側部に取付けられたモータ8によって正転、又は逆転駆動されることによって、前記キャップディスク7と一体の各清掃スライダ4を、繰出溝2の繰出中心位置ラインLに向けて摺動移動することができる。この各清掃スライダ4の先端面には、前記繰出溝2の端部傾斜端面39と対向する傾斜端面44を形成し、各繰出溝2における施用剤の繰込、繰出が円滑に行われるように形成している。
【0042】
前記繰出ロール1を軸装するケース38のロール室の上部に供給口45を形成し、下部に排出口46を形成する。この供給口45の上側にはこのケース38上に取付けるホッパ19のホッパ口を連通させて、このホッパ19に収容する施用剤を供給口45から繰出溝2へ流下供給させる。
【0043】
上記構成において、繰出溝2の溝容積を変更するために、各清掃スライダ4を左右方向へ移動するときは、モータ8の駆動によってコントローラ47を介して行わせる。溝容積を変更調節するためのボリューム調節スイッチ48を操作することよって、施用剤繰出に適した繰出溝2の溝容積に調節される。又、この繰出溝2の掃除を行うときは、掃除スイッチ49を手動操作、又は、自動的にON、OFFすることによって、モータ8を駆動して、各清掃スライダ4の移動により、繰出溝2内の掃除が行われる。このとき、各清掃スライダ4の移動は、この傾斜端面40が繰出溝2長さの先端部の傾斜端面39に達する移動領域として移動制御される。
【0044】
次に、主として図6に基づいて、前記繰出ロール1の各繰出溝2にスペーサ50を敷込んで、この繰出溝2の溝深を深浅に変更調節して、施用剤の繰出に適応させるものである。このスペーサ50は、前記各清掃スライダ4の内周部に重合させて設け、この清掃スライダ4の先端部から繰出中心位置ラインL側へ長く突出する形態に形成している。この各スペーサ50は、各対応の清掃スライダ4と一体構成としているが、別体の構成としてもよい。
【0045】
また、このスペーサ50を前記清掃スライダ4と同様に、モータ8の駆動によって軸方向へ移動調節できる形態とすることができるが、このスペーサ50を取付けるキャップディスク7の軸部52を、軸穴42に単に嵌脱させて着脱する取替交換形態とする場合は、これらスペーサ50や清掃スライダ4の、長さや、厚さを異にして複数種用意しておいて、これらを取替えながら繰出施用剤の種類等に適応させるように選択設定する。
【0046】
次に、主として図7、図8に基づいて、前記繰出装置22の播種筒23内に千鳥状の邪魔板55を設けて、繰出流下する施用剤を拡散して条播状に播種案内するものである。
前記播種筒23に、ブロワー24から吹き出される噴風を、ホース56、ノズル57を介して噴込ませて、前記繰出ロールから繰出排出される種子を拡散して播種させる形態とする。
【0047】
次に、主として図9、図10(a)(b)に基づいて、前記繰出ロール1の供給口45側周面に設ける摺切ブラシ58を、この摺切ブラシ58の繰出縁59が、平面視で繰出溝2の長手方向に対して斜めに交差するように形成することによって、この繰出溝2から排出口46へ繰出される施用剤をタイミングずらせて排出させて、条播状態に播種させるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 繰出ロール
2 繰出溝
3 ロール軸
4 スライダ
5 旋回センサ
6 播種機
7 キャップディスク
8 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥料または種子等の粒状体を繰出ロール(1)の回転外周面の繰出溝(2)に嵌合させて繰出す施用機において、
該繰出溝(2)を繰出ロール(1)の回転方向周面に一定間隔ごとに配置し、前記繰出ロール(1)のロール軸(3)と平行方向のロール幅方向に沿って長く形成すると共に、各繰出溝(2)の容積を変更可能に構成したことを特徴とする施用機の繰出装置。
【請求項2】
前記繰出ロール(1)の各繰出溝(2)には、該繰出溝(2)と同じ断面形状の清掃スライダ(4)を嵌合させて配置し、該清掃スライダ(4)を繰出溝(2)方向に摺動させることによって、前記繰出溝(2)の長さを変更すると共に溝内に堆積した夾雑物を除去する構成としたことを特徴とする請求項1記載の施用機の繰出装置。
【請求項3】
前記繰出溝(2)の清掃スライダ(4)による繰出溝(2)の清掃は、施用機に設けた旋回センサ(5)が機体の旋回を検出した場合、あるいは所定の繰出作業時間ごとに行なう構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の施用機の繰出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−115192(P2012−115192A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266790(P2010−266790)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】