説明

施療用パッド

【課題】
肩の上面付近まで温熱作用等の施療を実施し、施療機と併用する場合はそれに取りつけたままの状態で、人体の表側及び背側の両側に対して施療効果をもたらす事ができる施療用パッドを提供する。
【解決手段】
温熱施療手段4aを設けた面状体の施療用パッド1aは、人体頭部を挿通するための頭挿通部11aを設けており、該頭挿通部11aに人体頭部を挿通して、左右にある縦長面状部12a・12aにより胸部や腹部等の人体の表側と共に肩の上面付近を覆って温熱効果をもたらすよう構成する。また、該施療用パッド1aは、背当て部2bの内部で昇降可能である施療機構24bを備えた施療機1bの該背当て部2bに、係着部21bにより取りつけて使用する構成とし、前記温熱施療手段4aの温熱効果と施療機構24bの施療効果との相乗効果をもたらす事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療者における人体局部との当接部位に温熱作用等を付与し得る施療手段を設け、施療者に効果的な施療を施す事ができるようにした施療用パッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
施療者における人体局部との当接部位に温熱作用等を付与する施療手段を設けて施療を施す事ができるようにした施療用パッドが既に存在しており、例えば、従来の施療用パッドは、面状形成された面状体内に温熱施療手段を具備させたものであり、該施療用パッドを床面等に設置して床面上に施療者が仰臥して使用したり、又は、施療者が仰臥した姿勢や椅子に着座した姿勢で施療者上面から施療用パッドを覆って使用したりする事で、人体背側の背中や腰部或いは人体の胸部や腹部の他、人体下肢の脚部等の適宜の当接部位に温熱を施して、施療者に血行促進等の温熱効果をもたらす事ができるようにしている。
【0003】
また、このような面状形成された施療用パッドを、揉み、叩き、振動、さすりなどの施療機構を備えた施療機に併用し、温熱効果と施療効果の相乗効果を期待できるようにするマッサージチェア用ヒーター付カバーが開示(特開平10−263034号公報)されており、該マッサージチェア用ヒーター付カバーは、背凭シート2または座席シート3のいずれか一方または両方に、ローラー・もみ玉等からなるマッサージ体4により揉む・叩く・背筋伸ばし等を行うマッサージ機構5を設けてマッサージチェアを構成し、該マッサージチェアの着座者と前記マッサージ体4との間にヒーター26を配置するように前記マッサージチェアに着脱自在に装着するものである。
【0004】
よって、この従来のマッサージチェア用ヒーター付カバーでは、シートカバー25にヒーター26を設けているので、ヒーター26により暖められる部位と、マッサージ機構によるマッサージされる部位が一致し、ヒーター併用によってリラクゼーション効果を高めると共に筋肉の緊張感を解すことによりマッサージ効果を向上させることができ、また、シート内にヒーターを設けないので、シートの小型軽量化および修理やメンテナンスを容易にでき、コストを削減できるようにしている。
【0005】
また、このマッサージチェア用ヒーター付カバーは、シートカバー25に面状ヒーター26を設けているので、シートカバー25はシートに完全に固定しておらず、ヒーター26がマッサージ体4と着座者とにより挟持される部分(位置)がずれることにより微妙に変って一部の発熱素子31に応力が集中するのを防止して断線を防止し、耐久性を向上させ、着座者とマッサージ体4との間にヒーター26を配置することを実現できるようにもしている。
【特許文献1】特開平10−263034号公報(第11頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した前者の面状体形成された施療用パッドでは、該施療用パッドでの被覆可能な局部が特定されてしまう為、仰臥した姿勢や椅子に着座した姿勢で施療者の上面から施療用パッドを覆うようにして使用した場合に、人体の胸部や腹部の局部に温熱効果をもたらす事ができるが、肩の上面付近にまで施療用パッドが届かない為に肩部位を覆う事ができず、その部位に温熱効果をもたらすことが困難であるという問題があった。
【0007】
また、後者のマッサージチェア用ヒーター付カバーにおいては、上側は、背凭シート2から座席シート3および足載部21までも包囲する長さのロングタイプにする事で、前者での問題点を可及的に解決できるようにしているが、マッサージチェア1にシートカバー25を取付けて使用する場合には、シートカバー25上部に背凭シート2の所定位置に設けた係止部材(ファスナー)27に係合させる係止部材28で着脱し得るように構成している為、背凭シート2に凭れた使用者の背面部を温める事はできるが、人体胸部や腹部などの表面側を温める為には、一旦係止部材28の係合を解除してシートカバー25をマッサージチェア1から取り外して人体表側に移動させてから使用する必要がある為、使用者が背面側を温めた場合に、シートカバー25を取り外して表面側に移動させている間に背面側の温度が下がって冷めてしまい、背面側と表面側の双方に効率良く温熱効果を施す事ができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みて成されたものであり、単独使用する場合には肩の上面付近まで温熱等の施療作用を付与する事ができると共に、施療機と併用して使用する場合にも、これを取りつけたままの状態で人体の表面側及び背面側の両側に対して施療効果をもたらす事ができる施療用パッドを提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の施療用パッドは、施療者における人体局部との当接部位に対して温熱作用をもたらす温熱施療手段を適所に設けた面状体であると共に、人体頭部を挿通するための頭挿通部を設けて構成している。
【0010】
また、本発明の施療用パッドは、左右に縦長形状の縦長面状部を中央に空間を存して並設すると共に上端部で繋がりその下方は左右に分離するよう形成した逆U字形の面状体であるとともに、該空間が前記頭挿通部である構成をしている。
【0011】
また、本発明の施療用パッドは、前記左右の縦長面状部の夫々の下端部を、互いに幅方向において脱着自在に連繋する脱着連繋部を設けて構成している。
【0012】
また、本発明の施療用パッドは、前記脱着連繋部に温熱施療手段を備えた構成である。
【0013】
また、本発明の施療用パッドは、前記脱着連繋部が、前記縦長面状部の下端部から長さ方向に展開可能であるよう構成している。
【0014】
また、本発明の施療用パッドは、前述した構成の施療用パッドを第一パッド部とし、該第一パッド部の裏面側において、該第一パッド部の上部で結合する温熱施療手段を設けた第二パッド部を設けて構成する。
【0015】
また、本発明の施療用パッドは、前記第二パッド部の下端部において、温熱施療手段を設けた第三パッド部を展開可能に設けて構成している。
【0016】
また、本発明の施療用パッドは、前記温熱施療手段と共に、振動手段及び/または空気給排装置により膨縮する膨縮袋を適所において並設または/及び重設するよう設けて構成する。
【0017】
また、本発明の施療用パッドは、人体背部に対する施療効果をもたらす施療機構を設けた背当て部を備えた施療機の該背当て部の上方において、脱着可能な係着部により係着して使用する事ができるよう構成するものである。
【0018】
また、本発明の施療用パッドは、前記施療機の前記背当て部の下方において、着脱可能な係止部により係止して使用する事ができるよう構成するものである。
【0019】
また、本発明の施療用パッドは、前記施療機の前記背当て部の上方に設けた収納部に纏めた形態で収納するよう構成するものである。
【発明の効果】
【0020】
よって本発明の施療用パッドは温熱作用をもたらす温熱施療手段を適所に設けた面状体であると共に、人体頭部を挿通するための頭挿通部を設けて構成している為、使用者が背側に当接させて温熱作用により血行を良くしたり、また、頭部を頭挿通部に挿通させて使用するならば、胸部や腹部などの人体の表側と共に、肩の上面付近までを覆って温熱効果をもたらす事ができる。
【0021】
また、本発明の施療用パッドは、左右に縦長形状の縦長面状部を中央に空間を存して並設すると共に上端部で繋がりその下方は左右に分離するよう形成した逆U字形の面状体であるとともに、該空間が前記頭挿通部である構成をしている為、人体の背側に当接した状態から表側に移動する場合、左右の縦長面状部を人体左右外側から個々に移動させる事ができるので、使用し易くなる。
【0022】
また、本発明の施療用パッドは、前記左右の縦長面状部の夫々の下端部を、互いに幅方向において脱着自在に連繋する脱着連繋部を設けて構成している為、特に人体の表側に当接した状態の場合に、左右の縦長面状部において互いに分離している部分が、人体左右外側へ不意にずれてしまい、人体の表側の所望する部位に対する温熱効果を与え損なう事がないようにする事ができる。
【0023】
また、本発明の施療用パッドは、前記脱着連繋部に温熱施療手段を備えた構成である為、脱着連繋部が当接する人体部位に対しても温熱効果をもたらす事ができる。
【0024】
また、本発明の施療用パッドは、前記脱着連繋部が、前記縦長面状部の下端部から長さ方向に展開可能であるよう構成している為、脱着連繋部を展開する事により人体の長さ方向に温熱効果をもたらす面積が広がって、例えば人体背側に当接する場合は人体脚部裏側にも、或いは前記頭挿通部に人体頭部を挿通して人体表側に当接する場合は人体脚部表側にも温熱効果をもたらす事ができる。
【0025】
また、本発明の施療用パッドは、前述した構成の施療用パッドを第一パッド部とし、該第一パッド部の裏面側において、該第一パッド部の上部で結合する温熱施療手段を設けた第二パッド部を設けて構成する為、人体の背側と共に表側を同時に温熱効果をもたらす事ができる。
【0026】
また、本発明の施療用パッドは、前記第二パッド部の下端部において、温熱施療手段を設けた第三パッド部を展開可能に設けて構成している為、第三パッド部を展開する事により人体の長さ方向に温熱効果をもたらす面積が広がって、例えば下半身の脚部裏側に対しても温熱効果をもたらし、さらに前記温熱施療手段を備え且つ前記縦長面状部の前記下端部から展開可能な脱着連繋部が設けられていれば、脚部裏側と共に脚部表側を同時に温熱効果をもたらす事ができる。
【0027】
また、本発明の施療用パッドは、前記温熱施療手段と共に、振動手段及び/または空気給排装置により膨縮する膨縮袋を適所において並設または/及び重設するよう設けて構成する為、温熱施療手段による温熱効果と振動手段や膨縮袋による施療効果の相乗効果をもたらす事ができる。
【0028】
また、本発明の施療用パッドは、人体背部に対する施療効果をもたらす施療機構を設けた背当て部を備えた施療機の該背当て部の上方において、脱着可能な係着部により係着して使用する事ができるよう構成するものである為、施療用パッドを施療機と併用する場合は、係着部に係着する事により背当て部に対する適正な位置に取りつける事ができる。
【0029】
また、本発明の施療用パッドは、前記施療機の前記背当て部の下方において、着脱可能な係止部により係止して使用する事ができるよう構成するものである為、施療用パッドを施療機と併用する場合は、背当て部の前記施療機構を作動させながら使用しても、背当て部における位置ずれを防止する事ができる。
【0030】
また、本発明の施療用パッドは、前記施療機の前記背当て部の上方に設けた収納部に纏めた形態で収納するよう構成するものである為、施療用パッドを施療機と併用して施療用パッドが一時的に不必要になる場合でも、前記係着部から取り外さなくてもよく便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、本発明の施療用パッドを、図面に示す一実施形態に基づきこれを詳細に説明する。
【0032】
図1乃至図11は本発明の施療用パッドの一実施形態を示す斜視図であり、図12乃至図21は本発明の施療用パッドを椅子に配置した一実施形態を示す使用状態側面図であり、図22は本発明の施療用パッドの温熱施療手段と振動手段と膨縮袋の一実施形態を示す断面説明図であり、図23は本発明の施療用パッドの施療機と併用した一実施形態を示す使用状態側面図であり、図24、図25、図27は本発明の施療用パッドの施療機と併用した一実施形態を示す斜視図であり、図26は本発明の施療用パッドの施療機に対する取付けに関する一実施形態を示す斜視説明図、図28は本発明の施療用パッドの施療機に収納する一実施形態を示す側面説明図であり、図29は従来技術を示す参考図である。
【0033】
すなわち、本発明の施療用パッド1aは、図1の実施形態で示したように面状体であり、その中央には人体頭部を挿通するための頭挿通部11aを設けると共に、施療者における人体局部との当接部位に対して温熱施療作用をもたらす温熱施療手段4aを適所(図では全域)に内設して構成したものである。
【0034】
すなわち、左右に縦長の帯形状をした縦長面状部12a・12aが中央に空間を存して並設すると共に、上端部で繋がりその下方は左右に分離するよう形成した逆U字形から成ると共に、該空間が前記頭挿通部11aとなるよう構成している。
【0035】
前記頭挿通部11aの空間幅は、適宜使用目的に応じて広げたり狭めたりしてもよいし、空間幅を略無くしたスリット形状にしてもよい。図1では、この施療用パッド1aを背当て部の内部で昇降する左右一対の施療子を備える椅子型施療機(図示せず)と併用可能なものとして、該頭挿通部11aの空間幅を左右一対の施療子の施療動作幅と同じくらいかそれより大きくなるよう形成する事により、可及的に施療動作中の施療子が施療用パッド1aに当接しないようにして、施療用パッド1aの摩耗や劣化を防止している。
【0036】
この施療用パッド1aの材質に関しては、人体の曲面に容易に沿う事ができるような柔軟性のあるものがふさわしい。必要に応じて内部に有クッション性を有する弾性部材(図示せず)を内設する事ができる。
【0037】
前記温熱施療手段4aは、送電される電気で抵抗発熱する発熱体(図示せず)を備えた既存の面状ヒータまたは線状ヒータを採用する事ができるが、温熱効果をもたらすものであればこれに限らない。尚図面では線状ヒータを示している。
【0038】
この施療用パッド1aは柔軟性を有するために、あらゆる使用者の姿勢や使用環境等に適するものであるため、すべての使用形態を取り上げる事はできないが、以下において、一例として使用者が椅子に着座した姿勢で使用する椅子と併用した使用形態を示すことにする。
【0039】
図12は、施療用パッド1aを椅子Cの背当て部に沿設し、着座しての背当て部に凭れた使用者の背側が当接して、前記温熱施療手段4aにより背中や腰等を温めるようにする形態を示している。
【0040】
また、図13で示すように、前記左右にある縦長面状部12a・12aの夫々を、人体の表側になるように個々に移動させるならば、縦長面状部12a・12aは胸や腹等と共に肩の上面付近を覆う事ができるので、前記温熱施療手段4aにより従来温熱し難かった肩の上面付近にまで及んで温熱効果をもたらす事が可能となる。さらに、図14に示すように、縦長面状部12a・12aの上端部で繋がった部分だけを裏返して椅子Cの背当て部と人体の背側に挟まれるようにして使用するならば、肩の上面付近を前後方向に包んで、より肩における温熱範囲を広げて温める事ができる。
【0041】
また、施療用パッド1aは図2に示すように、前記左右の縦長面状部12a・12aの夫々の下端部を、互いに幅方向において脱着自在に連繋する脱着連繋部13aを設けて構成している。
【0042】
すなわち、前記縦長面状部12a・12aの左側下端部において、幅方向内側に向かってベルト部131aを延長形成して設け、該ベルト部131aの裏面と縦長面状部12a・12aの右側下端部の表面とに夫々互いに着脱自在な係着部14a・14aを備えている。このように構成する事で例えば、縦長面状部12a・12aが人体の表側に当接した状態の場合に、該左右の縦長面状部12a・12aの夫々が、人体左右外側へ不意にずれてしまい、人体の表側の所望する部位に対する温熱効果を与え損なう事がないようにする事ができる。
【0043】
尚、前記ベルト部131aは、他にも前記縦長面状部12aとは別の材質から成るものでもよい。例えば、該縦長面状部12aの材質よりも伸縮性の高いものを採用する事もできる。または、ベルト部131aを縦長面状部12aから脱着自在に取り外しができるようにしてもよい。
【0044】
前記ベルト部131aの前記係着部14a・14aは、脱着自在で使い易い面ファスナー、またはフック金具等を採用する事ができる。また、図示しないが前記ベルト部131aが幅方向に段階的に位置調節可能にしてもよい。
【0045】
さらに施療用パッド1aは、前記脱着連繋部13aにも前述したような温熱施療手段4aを備えるように構成するならば、該脱着連繋部13aが当接する人体部位に対しても温熱効果をもたらす事ができる。
【0046】
例えば、図3に示すように施療用パッド1aの長さ方向において前記脱着連繋部13aの大きさを拡張するならば、前記頭挿通部11aの空間を覆い、該空間に位置する人体部位に対しても前記温熱施療手段4aによる温熱効果をもたらす事ができる。
【0047】
図4及び図5に示すのは、前述のような脱着連繋部13aが、さらに前記縦長面状部12aの下端部から長さ方向に展開可能であるよう構成しているものである。すなわち、左右の縦長面状部12a・12aの左側下端部において、長さ方向に屈折展開自在になるようにして脱着連繋部13aが延長形成されている。
【0048】
また前記脱着連繋部13aと前記縦長面状部12a・12aとが重合している図4に示す状態において、前述した係着部14aが脱着連繋部13aの上部左側と上部右側、及び下部右側に夫々設けられると共に、それら係着部14aが対向する縦長面状部12a・12aの夫々の位置に、夫々係着部14aが対設されている。
【0049】
よって、全ての前記係着部14a・14aを互いに離脱させるならば、図5に示すような前記縦長面状部12a・12aから脱着連繋部13aが前方へ展開する事ができるのである。
【0050】
また図15に示すように、前記縦長面状部12a・12aを椅子Cの背当て部に当接させると共に、前記脱着連繋部13aを縦長面状部12a・12aから前方へ展開して、該脱着連繋部13aを椅子Cの座部に当接させた状態で使用者がその上から着座するならば、人体背側だけではなく、人体脚部裏側にも前記温熱施療手段4aによる温熱効果をもたらす事ができる。
【0051】
また図16に示すように、椅子Cに着座した使用者の表側に前記縦長面状部12a・12aを位置させた状態で、前記脱着連繋部13aを該縦長面状部12a・12aから前方へ展開して人体脚部表側に当接させて使用するならば、人体脚部表側に対する温熱効果をもたらす事ができる。
【0052】
さらに本発明は、図6に示すように、上述した施療用パッド1aを第一パッド部10aとし、該第一パッド部10aの裏面側において、該第一パッド部10aの上部で結合する温熱施療手段4aを適所に(図では全域)設けた第二パッド部20aを設けて構成している。
【0053】
前記第二パッド部20aには、前記頭挿通部11aと同じような空間幅となるよう形成する空間部201aを設けている。該空間部201aにおいても、前述したように左右一対の施療子を備える椅子型施療機(図示せず)と併用可能なものとして、該空間部201aの空間幅を左右一対の施療子の施療動作幅と同じくらいかそれより大きくなるよう形成する事により、可及的に施療動作中の施療子が第一パッド部10a及び第二パッド部20aに当接しないようにして、摩耗や劣化を防止している。尚、このような施療機と併用しない場合は、該空間部201aは必要ではないので設けなくてもよい。
【0054】
このような構成のため図17に示すように、椅子Cの背当て部に重合状になった前記第一パッド部10aと第二パッド部20aを配置して、着座した使用者の背側を温熱する事ができると共に、図18に示すような第一パッド部10aのみを人体表側に位置させるならば、人体の背側と共に表側を同時に温熱効果をもたらす事ができる。
【0055】
図7及び図8に示すのは、前記第二パッド部20aの下端部において、温熱施療手段4aを設けた第三パッド部30aを展開可能に設けた構成である。すなわち、該第二パッド部20aの下端部で長さ方向に屈折展開自在になるようにして該第三パッド部30aを延長形成している。
【0056】
前記第三パッド部30aは、例えば図21に示すように、必要に応じて椅子Cの座部に当接するように第二パッド部20aから前方へ展開して使用する事により、椅子Cに着座した使用者の脚部裏側に対して温熱効果をもたらす事ができる。
【0057】
また図示しないが、前述したような温熱施療手段4aを備えた展開可能な前記脱着連繋部13aが前記第一パッド部10aに設けられている場合、該脱着連繋部13aを前方に展開した状態で、第二パッド部20aから前方へ展開した第三パッド部30aと共に使用するならば、人体の表側と背側、及び人体の脚部表側と脚部裏側を同時に温熱効果をもたらす事ができるのである。
【0058】
尚、前記第三パッド部30aは、前記第二パッド部20aの下端部において、脱着可能にまたは/及び伸縮可能に取りつけてもよい。
【0059】
これまで本発明の施療用パッド1aにおいて、前記温熱施療手段4aを設けた構成を図示してきたが、図22に示すように該温熱施療手段4aと共に、他にも振動施療作用を付与する振動手段5aや、空気給排装置(図示せず)における圧縮空気の給排気により膨縮する膨縮袋6aを併用したりするならば、温熱施療手段4aによる温熱効果と、振動手段5aや膨縮袋6aによる施療効果との相乗効果をもたらす事ができる。
【0060】
前記温熱施療手段4aと振動手段5aとの相互作用に関しては、施療者における人体局部との当接部位に対して温熱しながら振動による摺擦作用をもたらす事ができるので、血行を短時間で促進させることができるし、また温熱施療手段4aと膨縮袋6aとの相互作用に関しては、膨縮袋6aの押圧作用によって該当接部位に対する温熱作用を強くしたり弱くしたりしながら押圧施療を実施する事ができる。
【0061】
図22は、前記温熱手段4aと振動手段5aと膨縮袋6aとを互いに重なるように重設している構成であるが、他にも施療用パッド1aの施療者における人体局部との当接部位に応じて温熱手段4aと振動手段5a、または温熱手段4aと膨縮袋6aの組み合わせを適宜採用したり、またそれらを並設させたりしてもよい。
【0062】
また図9で示すように、前記第一パッド部10aに、前記温熱手段4aと前記振動手段5aを設け、第二パッド部20aでは、前記膨縮袋6aのみを設けて構成してもよい。この場合、第一パッド部10aと第二パッド部20aとが重合状になった状態で使用者の背側で使用されるならば、図22に示すような前記温熱手段4aと振動手段5aと膨縮袋6aとが互いに重なる形態となるため、温熱効果と振動施療効果及び押圧施療効果をもたらす事になり、第一パッド部10aのみを使用者の表側に位置させて使用するならば、使用者の表側当接部位に対しては温熱手段4a及び振動手段5aによる温熱効果及び振動施療効果をもたらし、使用者の背側に対しては膨縮袋6aによる押圧施療効果をもたらす。これらの温熱及び施療効果において、使用者の所望に応じて施療用パッド1aの形態を変更して使い分ける事ができる。
【0063】
さらに図10に示すのは、前記温熱手段4aと前記振動手段5aを設けた前記第三パッド部30aを設けたものであり、該第三パッド部30aが前記第二パッド部20aから前方へ展開している図示の状態と、第三パッド部30aが前記第二パッド部20aと重合している図11に示す状態とでは、温熱効果及び施療効果が異なるので、使用者の所望に応じて使い分ける事ができる。
【0064】
前記振動手段5aを前記左右の縦長面状部12a・12aの夫々の下端部に設けるならば、例えば図19に示すように、人体腕等の所望する人体部位に、該振動手段5aがある該下端部を適宜自由に移動させて温熱施療効果を付与する事ができるという利点がある。
【0065】
さらには図20に示すように、前記縦長面状部12a・12aを人体表側に位置させると共に、該縦長面状部12a・12aの上端部で繋がった部分だけを裏返して椅子Cの背当て部と人体の背側に挟まれるようにして使用する場合において、縦長面状部12a・12aにおける夫々の左右の人体肩付近に当たる位置に前記振動手段5aを設けるならば、肩に対する前記温熱手段4aによる温熱効果と共に振動施療効果をもたらし、また図示するように使用者が縦長面状部12aの下端部を下方に引っ張る事により、振動手段5aがもたらす施療作用及び温熱手段4aがもたらす温熱作用を強める事ができる。尚、図示しないが前記膨縮袋6aも適宜併用してもよい。
【0066】
図23及び図24に示すのは、本発明の施療用パッド1aを施療機1bと併用する状態であり、該施療機1bは、背当て部2bの内部で昇降可能であると共に揉み・叩き・振動・ローリング等の多様な施療を可能とする左右一対の施療子8bを備えた施療機構24bを設けている。また、該施療機1bの座部4bや足載せ部5bにおいては、空気給排装置6bにおける圧縮空気の給排気により膨縮する複数の膨縮袋7bを夫々設けている。
【0067】
さらに、前記施療機1bの人体背部が当接する前記背当て部2bの上方において、施療用パッド1aが取りつけられて構成している。すなわち、図26に示すように、前記背当て部2bの上方に施療用パッド1aを脱着可能に取りつけるための係着部21bを設けている。
【0068】
前記係着部21bは、脱着自在で使い易い面ファスナー、またはフック金具等を採用する事ができる。この構成により、前記施療用パッド1aが不必要な場合は取り外す事ができる。
【0069】
また、前記施療用パッド1aの上方にも前記係着部21bを設けて、人体頭部が当接する枕部3bが脱着自在に備えられている。
【0070】
前記係着部21bは前記施療用パッド1aや枕部3bの取付位置を自在に変更可能にする事ができるような構成のものでもよく、これにより使用者の体形等に合わせて適宜位置調節する事ができる。
【0071】
加えて図25に示すように、前記枕部3bを前記施療用パッド1aに一体的に設けた構成にしてもよい。
【0072】
さらに図27に示すのは、前記施療用パッド1aの下方において前記背当て部2bと着脱可能に係止するための係止部22bを設けた構成のものである。すなわち係止部22bは、施療用パッド1aの前記縦長面状部12a・12aの左右下端部外側に夫々突設した環状フック221bと凸状ボタン222bとからなり、凸状ボタン222bに対し環状フック221bを脱着自在に掛止する事により、施療用パッド1aは背当て部2bに対して着脱可能に係止している。
【0073】
これにより、前記施療子8b等の施療機構を作動させて使用しても、施療用パッド1aは前記背当て部2bから位置ずれしないようにする事ができる。
【0074】
図28は、前記施療用パッド1aを前記背当て部2bの上方に設けた収納部23bで収納する構成を示している。
【0075】
前記収納部23bは、縦断面凹状になるよう形成しており、施療用パッド1aを図のように折り畳むか或いは丸めるか等して収納する事ができるようにしている。これにより、施療用パッド1aが不必要な場合でも、前記係着部21bから取り外さなくてもよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の施療用パッドの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の施療用パッドの一実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明の施療用パッドの一実施形態を示す斜視図である。
【図4】本発明の施療用パッドの一実施形態を示す斜視図である。
【図5】本発明の施療用パッドの一実施形態を示す斜視図である。
【図6】本発明の施療用パッドの一実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明の施療用パッドの一実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明の施療用パッドの一実施形態を示す斜視図である。
【図9】本発明の施療用パッドの一実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明の施療用パッドの一実施形態を示す斜視図である。
【図11】本発明の施療用パッドの一実施形態を示す斜視図である。
【図12】本発明の施療用パッドを椅子に配置した一実施形態を示す使用状態側面図である。
【図13】本発明の施療用パッドを椅子に配置した一実施形態を示す使用状態側面図である。
【図14】本発明の施療用パッドを椅子に配置した一実施形態を示す使用状態側面図である。
【図15】本発明の施療用パッドを椅子に配置した一実施形態を示す使用状態側面図である。
【図16】本発明の施療用パッドを椅子に配置した一実施形態を示す使用状態側面図である。
【図17】本発明の施療用パッドを椅子に配置した一実施形態を示す使用状態側面図である。
【図18】本発明の施療用パッドを椅子に配置した一実施形態を示す使用状態側面図である。
【図19】本発明の施療用パッドを椅子に配置した一実施形態を示す使用状態側面図である。
【図20】本発明の施療用パッドを椅子に配置した一実施形態を示す使用状態側面図である。
【図21】本発明の施療用パッドを椅子に配置した一実施形態を示す使用状態側面図である。
【図22】本発明の施療用パッドの温熱手段と振動手段と膨縮袋の一実施形態を示す断面説明図である。
【図23】本発明の施療用パッドの施療機と併用した一実施形態を示す使用状態側面図である。
【図24】本発明の施療用パッドの施療機と併用した一実施形態を示す斜視図である。
【図25】本発明の施療用パッドの施療機と併用した一実施形態を示す斜視図である。
【図26】本発明の施療用パッドの施療機に対する取付けに関する一実施形態を示す斜視説明図である。
【図27】本発明の施療用パッドの施療機と併用した一実施形態を示す斜視図である。
【図28】本発明の施療用パッドの施療機に収納する一実施形態を示す側面説明図である。
【図29】従来技術を示す参考図である。
【符号の説明】
【0077】
1a 施療用パッド
10a 第一パッド部
11a 頭挿通部
12a 縦長面状部
13a 脱着連繋部
131a ベルト部
14a 係着部
20a 第二パッド部
201a 空間部
30a 第三パッド部
4a 温熱手段
5a 振動手段
6a 膨縮袋
1b 施療機
2b 背当て部
21b 係着部
22b 係止部
221b 環状フック
222b 凸状ボタン
23b 収納部
24b 施療機構
3b 枕部
4b 座部
5b 足載せ部
6b 空気給排装置
7b 膨縮袋
8b 施療子
C 椅子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体局部に当接し得る面状体に形成され、該面状体の適所に温熱作用をもたらす温熱施療手段を設けると共に人体頭部を挿通するための頭挿通部を設けた事を特徴とする施療用パッド。
【請求項2】
前記面状体は、上端部で連結されて該下方左右に縦長形状の縦長面状部の一対が各々並設されており、且つ、これら一対の縦長面状部間に形成される空間で頭挿通部が形成された逆U字形の面状体である事を特徴とする請求項1記載の施療用パッド。
【請求項3】
前記左右の縦長面状部の各下端部に、互いに幅方向に連結し得る脱着連繋部を脱着自在に設けている事を特徴とする請求項2記載の施療用パッド。
【請求項4】
前記脱着連繋部に温熱施療手段を備えている事を特徴とする請求項3記載の施療用パッド。
【請求項5】
前記脱着連繋部が、前記縦長面状部の下端部から縦長方向に展開可能である事を特徴とする請求項3及び請求項4記載の施療用パッド。
【請求項6】
前記施療用パッドの裏面側上部に、温熱施療手段を設けた第二パッド部の上部を結合して、二重構成にした事を特徴とする請求項1乃至請求項5の施療用パッド。
【請求項7】
前記第二パッド部の下端部に、温熱施療手段を設けた第三パッド部を展開可能に設けた事を特徴とする請求項6記載の施療用パッド。
【請求項8】
前記施療用パッドに、振動施療を付与する振動手段及び/または膨縮施療を付与する膨縮手段を前記温熱施療手段と共にその適所に並設または/及び重設配備した事を特徴とする請求項1乃至請求項7記載の施療用パッド。
【請求項9】
前記施療パッドに係着部を設け、該係着部で施療機構を装備した施療機の背当て部の上方に、脱着可能に係着できるよう構成した事を特徴とする請求項1乃至請求項8記載の施療用パッド。
【請求項10】
前記施療パッドに係止部を設け、該係止部で施療機構を装備した施療機の背当て部の下方に、着脱可能に係止できるよう構成した事を特徴とする請求項1乃至請求項9記載の施療用パッド。
【請求項11】
前記施療用パッドは、施療機構を装備した施療機の背当て部の上方に予め設けられた収納部に纏めた形態で収納できるよう構成した事を特徴とする請求項1乃至請求項10記載の施療用パッド。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2006−320630(P2006−320630A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−148316(P2005−148316)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000136491)株式会社フジ医療器 (137)
【Fターム(参考)】