説明

施設、自然、歴史、ルートに関する影像及び音声の再生及びデータの制作方法

【課題】同じ空間内の時代に関する音声及び影像情報を効率よく同期的且つ組織的に表示する。
【解決手段】歩行ナビ装置の移動中に、地図情報を読み出してディスプレイに俯瞰図あるいは平面地図として表示し、現在位置の周辺に地図座標を有する影像及び音声情報をデータベースから読み出して、前記影像を前記ディスプレイに表示すると共に、前記音声情報を前記影像に同期して再生する方法において、前記影像及びそれに関連する音声情報データベースは3次元の空間と1次元の時代よりなる4次元のレイヤー構造に分類して記憶したものであり、その再生は各時代レイヤーを手動又は自動的に切り替えて行い、前記影像は前記ディスプレイに各階層のオブジェクトが表示されるごとに地図影像の対応する座標の位置に関連付けてポップアップ又はズームアップ表示をすることを特徴とする、歩行ルートに沿った歴史的施設、自然、文学に関する影像及び音声を再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地域情報の音声・画像一致の再生及びデータの制作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からカーナビ装置、歩行ナビにおいて多くの提案がされている。
例えば特許文献1(特開平1−263688号公報)では移動体(自動車、カーナビ装置、携帯装置)の移動につれて移動体の現在位置と進行方向をGPSやジャイロ等の機器で検出し、その周辺の地図情報またルート情報を移動体上のデータベースから読み出して移動体上のディスプレイ画面に地図又は走行ルートの画像として表示することが記載されている。
特許文献2(特開2004−212131号公報)には特許文献1と同様に移動体の現在位置周辺の地図情報また移動ルートを表示すると共に、移動体の移動に合わせて、且つ、移動体の利用者の選択に合わせて、周辺の情報の画像表示とそれに関連した音声の説明をデータベースから読み出して再生する方法が提案されている。
具体的には、特許文献2には、地図のノード(ルートの結節点)及びルート区分における各種施設に関連した映像情報、音声情報及び音楽情報を前記ノード及び前記各区分に関連づけてデータベースに記憶しておき、ノード及びルート区分のそれぞれに対する感情的な記述を記憶した感情情報部データメモリと、ノード及びルート区分のそれぞれに対する歴史、地理等の客観的な記述を記憶した知識情報部データメモリと、それらに関連する音声情報と映像情報と音楽情報を、移動体の現在位置に対応して、設定したルート上のノード及びルート区分に関連した知識情報及び感情情報の内容を表示する手段を有し、当該内容から特定内容の利用者による選択に応じ又はデフォルトに応じて当該ノード及びルート区分の映像情報、音声情報及び/又は音楽情報を再生するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−263688号公報(特許第2606723号公報)
【特許文献2】特開2004−212131号公報(特許第4050983号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(利用者との課題)
特許文献2は移動ルートに関連した情報を時系列で再生して、地図と影像をディスプレイ画面に再生し、また画像に関連した音楽及び音声を発生させるもので、多数のサービスが収納されていても、移動体の利用者の選択が適切でないとき、利用者にとり、有益なサービスが必ずしも提供されない問題がある。
【0005】
(時代歴史切替の効率化への課題)
更に移動ルートに関するサービスコンテンツが現在のみならず、歴史上の内容である場合に切り替え及びデータの制作が効率的でない場合もある。
【0006】
(入力の共通化・効率化への課題)
加えて各地域(世界の)多数の場所で利用するためには、制作を効率化する共通的な構造を持つ入力系を用意し、各地域と多くの分野の専門家も入力に参画可能とする必要がある。
【0007】
(多ディバイス共通適応への課題)
そして現在、国際的にも種々の大きさの多数のスマートフォンの機種が幾つかのOS(オペレーティングシステム)の上で動作し、これ等はカーナビや簡単な歩行ナビの機能に切替え、又は組み合わせて機能するものへと進化しつつある。これに従来のカーナビから発展した独立のOSによる機種を含め多ディバイスによる競合が生じている。そのため、新しい概念によるコンテンツの提供も各々に対応しなければならず、市場への周知労力の重複や制作効率が低下し、ビジネス化出来にくい問題が生じている。
【0008】
(現状の限界)
カーナビ・歩行ナビ、公共交通機関内ナビ装置(以下ナビ装置と呼ぶ)の基本的な機能は、それを搭載した自動車や人の移動ルートを含む地図画像と、移動ルートの周りに存在する目立った建物、公園等の施設、海岸、川などの自然の影像をナビ装置のディスプレイに表示することにより、利用者(運転者、又は同乗者、歩行者、以下同様)に(必要に応じ現在地から目的地への経路を算出し)ルートガイドを行うことにある。また、交通情報を受信してルートガイドの質を高めることもある。
しかし、施設や空間の意味や空間に関する解説に加え、その地域の歴史や物語りなどを的確に移動に合わせ音声を組合せ案内するなどドライブ及び歩行を含む移動自体に対し付加価値を増し、豊かなものとすると共に、この情報コンテンツ入力系を含め共通に構造化し、多数のディバイス(Android系、Apple系、その他の独立系)にも共通に利用可能とする情報提供システムは存在しない。
【0009】
(本発明の目的)
本発明は、従来システムへの欠点と限界を解決し、利用者(運転者又は同乗者又は歩行者)にとっての煩わしい負担を減じつつ、移動にあわせ近くに存在する施設、自然空間又は歴史空間の情報を巧みに表示・解説して利用者にその場所やルートに沿った施設ないしは自然空間あるいは歴史空間の情報を提供することを可能にする。その結果、利用者は移動することで、そのルート周辺の施設の活動や自然空間の知識や感性情報を得ることが出来る。更に他のルートも移動することで、認識は面的に拡がり、その都市や地方の活動ないしは自然空間に係わる総合的な空間知識や感性教養を形成出来る。
本発明の利用活用の形態は、自動車による走行中、列車、船舶などの公共交通機関による移動中、及び歩行中などに共通に利用活用出来る。
更に時代を異にする歴史上又は未来の情報を効率よく提供出来ることに特徴を有することで、利用中の時間の流れと歴史上の時間の流れも組み合わせることが出来る。
このためには、後に述べる空間と時代・歴史を体系化したデータ構造が活用される。
更に、ここには、後に述べるシステムの自律的機能化がナビシステムに導入され、これが利用者との間に共同意図を形成することで、使い勝手を改良し、多様なニーズに対処するなど、従来のナビシステムでは実現出来なかった高度な自律的機能によるサービスが提供される。
加えて、本発明を各地域(世界の)多数の場所で多様な人々に利用可能とするために、データベースの制作を簡易化、効率化出来る入力編集系を工夫し、組み合わせる。これによって各地域の知識を有し、歴史を含む多くの分野の専門家による入力を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(クラウド利用、−空間状況と意識状況の導入)
簡単に述べると、本発明は移動ルート(経路)に沿った主要な施設又は自然空間又は歴史空間の画像・影像情報とその施設・空間に関する音声情報を、ナビ装置上の(又はインターネット上の、又はクラウドコンピュータ上の)データベースから、場合により移動状態(空間状況)及び利用者の状況(意識状況)を勘案しながら、巧みに引出し、合成し、それらをナビ装置搭載のディスプレイにポップアップ影像を表示し、音声再生器により音声(又は音楽、又は両者)を提供する。
【0011】
(ディバイスの連携化)
又このナビ装置は全ての必要な機能を具備しても良いが、ナビ装置の記憶容量や分析情報処理能力に限界があるので、好ましくは、ナビ本体及び利用者のスマートフォンなどの通信・情報処理機器との連携動作によって上記全ての必要な機能を分担して達成することも出来る。
【0012】
(発明の構成)
より具体的に述べると、本発明は、下記の通りである。
(本発明の機能)
ナビ装置に搭載した、地図画像を地図座標と関連づけて記憶した地図情報データベースと、ナビ装置、又はインターネット、又はクラウドコンピュータ上に記憶された施設(総合施設、建物、歴史建物等、公園、景観、歴史遺産など)、自然(山岳、河川、海岸、特別な植生地、地質に加え自然を構成する空間の物理現象及び環境データなど)、その他地球上の場所に関連した知るべき対象(オブジェクトのこと。以下同様)及び案内シナリオ(場所・ルートに関連する知識情報と音楽・文学作品を含む感性情報、以下同様)に関連した影像情報とそれに関連した音声(音楽を含む、以下同様)情報を前記地図座標に関連づけて記憶した影像情報及び音声情報データベースと、ナビ装置に搭載したディスプレイ及び音声再生器(ヘッドホン含む)とを用い、
前記ナビの移動又は停止中に、前記地図情報データベースから前記地図情報を自動的に読み出して、それを地図画像として現在位置が下側に進行方向が上側になるように前記ディスプレイに俯瞰図として表示し、又は平面地図として表示すると共に、前記現在位置の周辺の影像情報及び音声情報を、前記影像情報及び音声情報データベースから自動的に読み出して、前記影像を前記ディスプレイ画面に影像として表示すると共に、前記音声を前記影像に同期して再生する方法において、前記影像情報及び音声情報データベースは上位概念から下位概念に向けて少なくとも2階層のツリー状に分類して記憶したものであり、影像及び音声の再生は上位階層から下位階層へ自動的に行い、前記影像は前記ディスプレイに各階層が表示されるごとに地図影像の対応する座標に関連づけてポップアップ又はズームアップ表示されることを特徴とする、各地点及び移動ルートに沿った施設、自然、その他オブジェクトに関する影像及び音声の再生方法である。
(本発明の機能を支える基本原理)
本発明の機能は、以下に述べる利用者と対象(オブジェクト)との空間的な相互関係と認知に於ける原理的な関係(以下、原理関係)を有効に活用して構築される。すなわち、利用者の存在する空間の多種多様な潜在的価値を発掘し、その貴重な情報を広く人々に提供する使命を目指す。
一般に利用者は空間上を移動又は静止し、その座標から周辺座標にある対象(オブジェクト)を認知する。空間と認知の間には次の原理関係が成立している。
第1に、利用者の座標は、対象(オブジェクト)を眺め認知する潜在的に可能性を持つ
空間状況の幾何学的座標範囲(ここは、オブジェクトの特定の構図の光像が存在する、広義のアフォーダンス座標)に相当する。第2に、利用者が意思を働かせて、対象を眺めれば、その時対象の網膜像を経由し、その構図の認知が成立する。
これはある(特定の山を望み得るというアフォーダンスを持つ)場所からは、その特定の山(実空間にある)を特定の構図で望み得ることを考えれば(例えばセザンヌのサント・ヴィクトワール山の写生位置)、上記原理関係は容易に理解可能である。
この原理関係をベース(例えば、歴史的な回遊庭園の園路からの景観に価値を与えたデザインは、この座標と認知を結びつける代表例である。)として、空間状況の情報を利用し、前述のサービスを利用者の意向を勘案しつつ達成することが可能となる。
本発明では、この原理関係を仮想空間にも拡張している。
すなわち、ある空間に居る(移動、走行している)利用者がナビ画面上の地図画像で、特定の対象(施設など)が認知可能な位置座標(空間状況)にあるとき、同様に利用者の意向を加え、サービスが行なわれることになる。
この時、空間状況は安全のためにも活用されるが、これは後述する。
更に歴史上の空間や文学作品上などの仮想空間を対象としても、利用者の居る空間状況の座標との相互原理関係を形成して、利用者の意向を加え、サービスを的確に行うことを本発明はその特徴としている。
加えて、利用者の居る空間状況の座標と物理現象、環境データの存在する周辺の対象空間との相互原理関係を形成して、それ等の環境条件の空間分布を可視化するなどのサービスを行うことも本発明は、その特徴としている。(特許第3987620号との連携)
【0013】
(意識との関係)
オブジェクトの情報及び案内シナリオは空間状況の安全な位置座標のもとで、影像と音声で提供されるが、ディスプレイに表示される影像は表示の際にポップアップ又はズームアップするように工夫することで、カーナビ装置として利用の場合は短時間だけ運転者の注意を引きつけることができ、連続したテレビ、ビデオ画像に比して視線の移動がわずかで済み、音声・音楽の再生が大きい比重を占めるので、運転の安全を期することができる。
歩行ナビ利用の場合も同様の機能が利用出来るが、意識出来る時間と深さがカーナビに比べ十分確保可能である条件を活かし、音声・音楽の再生の比重を更に増し、又影像の精度を高め、又より階層の多い高度なデータ構造を利用し得る。
【0014】
(時代・歴史への対応−4次元時空間データ構造の活用)
この場合、時代・歴史に関するサービスを行う時は、前記影像情報及び音声情報データベースは、各々その内容が属する時代に分けられたレイヤー構造を利用する。
すなわち、現在、過去の複数の歴史、複数の未来の時代に対応するレイヤーに関連付けられた地図に対応する画像、音声をタイムリーに引き出し利用する。
これを具体的に述べる。(図1)に示すように、空間(3次元)のレイヤーが時代軸(歴史、未来)(1次元)上に位置付けられ4次元に構成される。現在の時代レイヤー上には現在の地図が配置され、その上に各種の“もの”である施設、風景・自然のオブジェクト及び“人物”のオブジェクトが存在し、その上でいろいろな“こと”が時間(時代軸は普通の意味では時間軸であるが、ここでは混同を避けるため、時代軸を固定した場合にその時代の各種データを再生する実時間を時間と呼ぶ)をともなって起り得る仕組みを配置する。
すなわち、各レイヤー上に、前述の知識データと感性データが配置されている。又、時代を遡ぼった過去の時代の歴史レイヤーでは、同様に歴史地図が配置され、その上で各種の“もの”(施設、風景、自然)のオブジェクト及び人物のオブジェクトが存在し、その上で歴史上の“こと”が同じく時間をともなって起り得る仕組みを配置する。時代のレイヤーは複数配置することが出来る。
更に各レイヤー上では、サービスに対応する比較的短い時間が進行する。例えば、利用者が現在のレイヤーに対応し、空間を移動するとき、サービスが行なわれるが、これは通常10分から2時間程度までのサービス時間が一般的である。
そして、それより大きな時代を区分する時代軸に、各時代レイヤーが位置付けられている。この基本構造を活用してサービスが実行されるが、詳細は後述する。
【0015】
(空間状況と意識状況−エージェントの活用)
好ましい形態では、本発明は2種の状況情報、すなわち空間状況と意識状況を組み合わせて活用する。空間状況Sは、走行又は移動する空間自体の特性や変化する状況であり、意識状況Cは、利用者の利用時の意識や意向などの状況である。
空間状況Sは、移動している空間のうちで、特に道路が持つ固有の特性である。その道路を移動しているとき、そこから見える空間の景観の範囲、特徴、状況などが先ずある。加えて交差点や道路の状況(合流点、カーブ、道路の凹凸、混雑部、狭い道路幅、など安全に関する状況)がある。
従って、このような空間状況では、カーナビ利用の場合、運転者は安全上の注意を要することから、影像情報及び音声情報データベースから影像や音声の再生は制限される。交差点間のルートに加え、長い一本道、地方の高速道路などは通常は交差点などより安全であるので、これらのサービスが提供されることに適し、又、一時停車可能な路側スペースの存在も影像や音声の再生を可能にする空間状況である(これは空間側が提供するサービスをシステムを通じ受け入れる潜在的可能性として広義のアフォータンスである)。
又、歩行利用の場合には、特に交通量が多く危険な道路などでは深く意識の内部に入るようなサービスの提供は行なわず、単純な経路指示等のみに限定するようにすることも出来る。これらは、サーバーを含む別個の道路データベースに関連付けてあらかじめ入力して記憶させておくことも出来るし、ナビ装置内に蓄積することもできる。
更には、空間状況センサーを有するナビ装置の場合は、周辺の車の騒音、風切り音などを検出分析し、深く意識の内部に入る種類のサービスから単純なサービスに切り替えることも出来る。
第2の意識状況Cは利用者の過去と現在の意識活動に依存してサービス利用を左右する状況である。利用者の意識状況はルート移動の目的や、個人の好みや気分により常に変化する。しかし、運転・ドライブ時には、運転操作に使われる意識は、運転の初心者を除き、余裕を持ってくる。(この時、脳の内部では運転操作の慣れによる基底核を経由する神経回路が働き、特別な意識を要すことなく運転可能となる。)この余裕意識に本情報提供サービスを受け容れる状況が生ずる。
しかしこの時も、利用者が直接サービスを受け入れ得る場面でも、手動による選択や、利用者が個別に入力することは最少限とし、事前設定、自動選択を主とする。
そして、この制御は、過去の意識状況の分析でサービスの種類(施設案内、イベント案内、歴史案内、文学シナリオ案内、自然環境案内ルートシナリオ利用など)を含めて事前設定と選択履歴を累積特徴化することにより、種々の場所に於ける意識状況の形成状況をデータベースに蓄積しておくことを活用しつつ行う。これは装置の内部の利用者のエージェント(システムの内部で利用者に代わりにふるまうソフトウェアー装置)により利用者の行動に表れる意識状況を体系的に類別蓄積し、活用出来る様にする。
これにより、利用者の意識状況を過去の履歴によりナビ装置に保持または呼び込み、移動時に利用者の位置、移動状況と空間状況Sと合わせ自動(自律)的に利用可能と判断制御することが出来る。
すなわち、利用者の意識CMは脳の内部にあり、システムが直接的には取り扱い情報処理を行えない。このため、利用者のエージェントを代わりに活用する。種々の場所(時間に)於ける空間状況S(アフォーダンス)に対する利用者の意識(CM)と行為(AM)の対応関係を類別蓄積する。
その内容を類蓄積したエージェントによる代替意識(CA)と代替行為(AA)の関連性を活用し、任意の場所と時間に於いて、その空間状況Sに対応するエージェントの意識状況CAと行為AAを求めるのである。
この時、CM及びAMとAAが近い状況になる場合に利用者とナビ装置は、ある程度の共同意図を有して共調していることになる(図6、図8B)。
この共同意図は、システムに対する利用者の利用満足度など履歴から状況を自動的に分析し、フィードバックを行ない限界を把握しつつ機能を進化させることも出来る。これについては後述する。
【0016】
好ましい形態では、以上説明した空間状況及び意識状況を組み合わせて、安全で現実的かつ利用者(運転者、同乗者、歩行者等)のニーズに合わせたサービスを容易に構成し、提供する。
このためシステムは、カーナビ利用の場合走行車両が空間状況Sを満足する空間上を走行し、利用者の意識状況CMが成立したとみなされる時、その対象となるオブジェクトとなる影像と音声(サービスの対象−Ladgetとも呼ぶ)が走行車両の現在地の周辺又は走行進行方向前方に存在する時、影像及び音声データベースから自動的に影像及び音声を読み出して本発明に従って影像のポップ又はズームアップ表示及び音声の再生を実行する。
歩行ナビでの利用の場合も同様に、利用者が歩行に於ける空間状況Sを満足し、利用者の意識状況CMが成立(CAの成立)した時、利用者の視界に入りやすい空間環境からの情報(広義のアフォーダンス)に対応し、その周辺の影像及び音声データベースから自動的に影像及び音声を読み出して表示及び音声の再生を実行する。
【0017】
(具体的説明−組み合せ連携活用)
以下に本発明を具体的に説明する。
通信機能を持つカーナビ等のナビ本体A及び通信機能を持つスマートフォン等のライフナビ装置Bに分けて、説明する。
しかし、この装置A、Bの代わりに、通信機能を含めた全ての機能を有するナビ本体で一体的に実現可能であることは言うまでもない。
ナビ本体Aは、高機能の位置把握、方位、速度、道路マッチング能力等をGPS、ジャイロ及び補正ソフトウェア等により実現している。
この為、位置、方位、速度等のデータをナビ本体Aとライフナビ装置Bとの間の近接通信形成後、通信機能又はコネクターを介して、ライフナビ装置Bに送信伝送する。
この時、道路やルートの空間情報も同時にライフナビ装置Bに送信伝送する。
ライフナビ装置Bにはあらかじめ利用者のデータが蓄積されている。利用者は、日常的に(自動車に乗らない時も)ライフナビ装置Bを活用し、地図の活用、移動の企画、移動の実行、各種サイトの閲覧、施設の検索、イベントの調査、音楽のダウンロード再生、などを行っている。
そのためにライフナビ装置Bの内部(及び又はサーバー)には利用者の直近までの過去の趣味、嗜好データが蓄積されている。
ライフナビ装置Bは、これ等の履歴データを活用し、利用者の移動状況と合わせ意識状況CAを形成する。
【0018】
(オブジェクト分類の活用)
一方、空間のオブジェクトに関するデータベースは種々の形態で蓄積されている。本システムは、これ等を柔軟に活用する。
即ち、各種データベースを基本的に人間の基本的な行動である(1)食べる、(2)買う、(3)観る、楽しむ、(4)宿泊する、学ぶ、知る等から文化ゾーン、歴史ゾーン、著名建築、複合開発施設、芸術、イベント、アミューズメント、観光ビューポイントなどの分類に還元することは容易である。このデータベースの構成化については階層化されたデータベース化の方法(特開平11−328223号)を活用することも出来る。
これ等の分類化されたデータ構成が手元のカーナビ等のナビ装置、歩行ナビ装置、または、機能が2つに分離している場合にはナビ本体A又はライフナビ装置Bに同様にサーバーとの連携を含め、形成される。
【0019】
(オブジェクトの入手とサービス)
次にオブジェクトデータの入手及びサービスについて述べる。
オブジェクトデータの入手は、空間状況S及び意識状況Cの両方の条件が成立する対象によって絞られた分類領域にあり、移動中に移動周辺・前方の空間領域にある対象が絞られ、影像及び音声データベースから影像及び音声データがダウンロードされる。ダウンロードされた影像及び音声データは、移動地点、方位、速度を含めた余裕タイミングの計算結果により、次々とタイムリーに地図画面上に影像表示及び(又は)音声出力が実行される。
比較的大きな空間的エリアを有する領域である都市街区(例えば日本橋、銀座、青山通りなど)又は観光地(例えば伊豆、箱根、軽井沢、蓼科など)では地域全般や文化、歴史等の上位のデータを活用したシナリオによる出力も併用できる。
カーナビ利用の場合、車が停車出来る道路側部を持つことが空間状況Sにより把握された場所においては、その施設の細部に至る影像や関連した音声がデータベースから読み出されて表示される。更に、意識状況に応じて例えば歴史空間に関するサービスにおいては、当該地域の歴史地図がダウンロードされ、ナビ装置又はナビ本体の画面が歴史地図に入れ替わり、歴史空間の解説を行うことが可能となる。
更に特許第3987620号による空間透視(手前の建築物の内部や背後、あるいはその場所にあった歴史建築)をナビ画面上で表示、解説を行うことも可能である。
【0020】
(サービス対象の選択−エージェント利用)
このサービス選択の段階で対象が多数存在する場合には、選択の基準によって自動的に絞り込む手段を講じることも出来る。
その場合、利用者のエージェントの機能を利用することは既に基本を述べた。(詳細は後述する)
選択に際して同一経路を移動した時、同じ施設が幾度も選択されることを防ぐため選択履歴は記憶され、記憶が残る短期日の間は選択されない様にすることも出来る。
更に選択においてランダム性を導入して、偶然による選択機能を組み込むことも出来る。
【0021】
(対象の角度範囲)
好ましい形態では、前記影像及び音声情報の読み出しは、施設、自然、ルートに関連した地図座標が条件(a)現在位置から進行方向にみた一定の角度範囲内に含まれ、現在位置からの一定距離以内のものの条件に合う地図座標のものである。(カーナビ利用の場合は安全上、左右に狭角に、歩行ナビ利用の場合は広角も可能。)
【0022】
(対象の絞り込み方法)
ここで絞り込みには下記の幾つかの方法が選択出来、又その組み合わせも可能である。すなわち
(1)利用者の自由な興味をより重視した方法
(2)シナリオとの連携を重視した方法
(3)ランダム数により偶然性を加えた方法
以下各方法について説明する。
【0023】
(1)(利用者の自由な興味をより重視した方法)
この方法は、利用者が自由に興味のおもむくままに経路も選び、移動するときに活用される方法である。
利用者の興味のデータは、過去の実績をもとに区分されてデータベースに保存されている。
利用者とともにナビ装置が空間を移動して、空間上の地点Pに至った時を考える(図2)。そのPからはオブジェクトBを直接見ることが出来るか、又はナビ画面上の通過経路近くに存在し、画面内で認識可能な状況で、かつ、オブジェクトBが利用者の興味の対象領域に含まれるか否かを判別する。含まれているとき、ナビ装置内のエージェントはオブジェクトBを(直接利用者が眺めるか又は画面内に表示しサービスを提供する)対象の候補とする。
すなわち利用者は、その説明ナレーションを聞くなどのサービスを受ける意図を形成する第1段階とする。
次に第2段階として、利用者がAの方向に近づいた時、その動き、ふるまいが検出され、それが利用者の意図としてエージェントが認識し、自己の意図とする。
これは利用者の意図と必ずしも直結するわけではないが、近い状況が形成される。そして、自動的に上記に関するサービスが開始される。
この時、サービス再生のためのデータをデータベースから入手処理するための時間を計算し、ナビ装置はその地点に至る前の時間からフィードフォワード的なデータ入手動作を行うことになる。
これを次々くりかえす。
以上の関係は(図2)及び(図6)に示してある。
この方法により、利用者は対象に興味を示しつつ、自由に空間を移動し、サービスを受けることが出来る。勿論対象の選択は、直接画面内Ladgetスイッチを押したり、対象に向けたポインターで選択する方法が併用可能であることは云うまでもない。
【0024】
(2)(シナリオとの連携を重視した方法)
この方法は、対象空間に関し、専門家がサービスシナリオを配置している場合に活用される。
利用者とともにナビ装置が空間を移動し、地図空間上にシナリオ(B、D、Eを含むルートシナリオ)が、事前に形成配置されている地点又はルート近くに至った時を考える。(図2)
その地点PからはBに容易に近づき得る配置関係であり、利用者の興味の対象領域にルートシナリオが含まれるとき、ルートが地図画面に自動的に表示される。装置内のエージェントは、B、D、E・・・を(直接又は画面内で表示して)見える状況にする。そして何等かの信号(提案音、画面内ルートのフラッシュなど)を発し、利用者に伝える。
更に利用者がシナリオのルートに近づいた時、又は利用者が特定のシナリオルートを選択したとき、シナリオに含まれ、演出されたサービスが開始される。更にシナリオに合わせオブジェクトB、D、E・・・が次々と選択され個別の解説なども加えられる。これは、前述と同様に利用者の意図と直結するわけではないが近い状況が形成される。
そして、シナリオに沿ってサービスの再生が続けられる。
【0025】
(3)(ランダム数により選択する方法)
移動につれて、偶発的に対象を選択することで、多数のオブジェクトを取り扱い、又おもしろさも演出出来る。
この方法は、前記角度範囲にある利用者とオブジェクトとの距離の値に特定範囲のランダム数を掛けて得た値の内から最も小さい距離のオブジェクトを選択することも出来る。選択されるオブジェクト座標はナビ装置から最短距離に限らず比較的近いものの内で最も遠いものもある。
このような条件を満たす情報を優先的に読むことにより、同じ移動ルートを繰り返して利用する利用者または運転者でも、移動ルートに沿った主な施設に関する偶発性を重ねた新たな知識を得ることができる。
【0026】
(サービス情報の入力編集システム)
上記のサービスを各地域(世界の)多数の場所で利用するために必要となる入力編集システムについて以下に述べる。
入力編集システムは、コンピューターのアプリケーションとして動作する。編集を行うときは、アプリケーションをコンピューターにインストールし、起動することにより、編集画面ウインドウ(図10)が現れる。
このウインドウには、(図1)の4次元時空間データ構造及び(図7)階層データ構造をベースとして、編集のための地図ウインドウ205、時間編集のためのタイムラインtをもつ時間編集ウインドウ206、時代レイヤー目盛Tをもつ時代レイヤーウインドウ209、コンテンツ群のウインドウ(3Dコンテンツデータウインドウ210、音声コンテンツウインドウ211、その他のウインドウ212など)が配置されている。この編集サブウインドウにコンテンツを次々とドラッグアンドドロップで配置してゆくことにより、編集を行なう。
シナリオに基づく空間へのコンテンツの配置は、地図ウインドウ205により行ない、ルートの移動に合わせたナレーションや音楽画像のタイミング配置は、時間軸を持つ時間編集ウインドウ206、ナレーション等のウインドウ207、画像等のウインドウ208を利用して行なう。
更に時代レイヤーを切替えるためには、時代レイヤーウインドウ209の目盛Tにより行なう。この一連の操作を行ない、プレビューを行なうことにより、サービス内容の確認を行なうことが出来る。
シナリオルートを特に指定せず、空間座標上の各所にコンテンツを配置する方法は、地図ウインドウ上に画像データや時間編集したナレーション、音楽をドラックアンドドロップすることにより行なう。
更に詳細は後述するが、この様な簡単かつ統一的な編集入力系を提供することにより、種々の地域、場所に関し、種々の歴史、芸術、文学紀行、建築、都市、環境、科学、自然、生物、地質などの専門家に参画を促す効果を求めるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の特徴を示すため具体的説明で示された4次元時空間データ構造の説明図である。
【図2】本発明の方法で表示される歩行ナビ装置のディスプレイ使用時の画面の例を示す。
【図2A】本発明の方法で表示される歩行ナビ装置のディスプレイ使用時の画面の図2とは異なる例を示す。
【図3】同サービス選択画面を示す。
【図4】本発明の第1の実施例による方法を実施するための空間−時間レイヤー利用の一例を示す。
【図4A】本発明の他の実施例による方法を実施するための空間−時間レイヤー利用の一例を示す。
【図5】本発明の第1の実施例による方法を実施するための装置利用の一例を示す。
【図6】本発明の第1の実施例による方法の情報の流れと制御の系統的関係の一例を示す。
【図7】本発明の第1の実施例による方法を実施するための階層データ構造の活用によるサービスを示す。
【図8A】本発明の第1の実施例による方法を実施するための階層データ構造(図7)に連携する空間状況と意識状況の関連を示す。
【図8B】図8Aによるサービスの一例を示す。
【図9】サービス利用の歩行中のイメージを示す。
【図10】本発明のサービス情報の入力編集制作システムの一例を示す。
【図11】本発明の方法で表示されるカーナビ装置のディスプレイの使用時の画面の例を示す。
【図12】本発明の第1の実施例による方法を実施するための装置の一例を示す。
【図13】本発明の第1の実施例による方法の流れ図である。
【図14】本発明の第2の実施例による方法を実施するための装置の一例を示す。
【図15】本発明の第2の実施例による方法の流れ図を示す。
【図16】本発明の上記の何れかの実施例に追加される意識状況決定回路の例を説明する図である。
【図17】本発明の上記の何れかの実施例に追加される意識状況フィルターの例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
−1、歩行ナビ利用の場合
以下、本発明の歩行ナビ利用の場合の実施例を図面を参照して詳しく説明する。
歩行ナビ利用の場合、利用者はナビ装置を携帯し、必要に応じ、ディスプレイを見るが、基本的にはナビ装置のヘッドホン又はイヤホンによる音声による情報の入手が主となる。
(図2)は、本発明の方法によるナビ装置1のディスプレイ3とSWの構成と表示例を示す。ディスプレイ3には画面内スイッチと地図が表示される。地図には利用者の位置、移動方向、オブジェクトが表示される。
SW0はカーナビと歩行ナビ利用の切替スイッチである。
SW1はサービスの選択スイッチである。
SW2、3、4はナビの機能を変更するスイッチである。
スイッチ類は画面内タッチパネル(以下同様)である。
【0029】
ディスプレイ3の画面には、ナビ装置の自己位置と進行方向に基づいて地図情報データベースから自動的に読み出された地図画像5が表示される。そのために、利用者とともに移動するナビ装置1は、GPSから自己位置を計測し、ナビ装置1に搭載のジャイロスコープから移動者の位置、進行方向を知り、図2に丸と矢印で示したような自己位置Pと進行方向を示す標識を画面の下端部に表示すると共に、地図画像5をディスプレイ3の画面に俯瞰図として表示する。この表示方法は特許文献1に記載されている。
又、平面地図で同様に表示することも出来る。
【0030】
ディスプレイ3の画面には各種の施設、自然、歴史などのオブジェクトの小影像が地図座標に関連づけてA〜Fのように表示されている。目立った施設(総合施設、建物、公園、著名な景観)、歴史上のイベントの箇所等は地図上の座標にリンクされており、地図画面を表示すればそれらは自動的に点又は小シンボルで表示される。遠方は表示をうるさくしないように情報の間引きによりカットされる。この点も特許文献1に記載されている。
これ等の表示内容はSW1のサービスの選択によって変化する。SW1を押すと、図3に例を示すようにその近傍で提供されるサービス選択画面が現れる。
【0031】
後で詳しく述べる選択条件により、特定の地図座標に位置する特定の施設、自然、歴史などが自動的に選択されてディスプレイ画面上に表示され、同時にその施設、自然、歴史又はルートに関連した音声・音楽がヘッドホン又はスピーカから再生される。例えば選択された地図座標にオブジェクトAがあるとすると、Aの自動的な選択が行われる。そして、その瞬間にディスプレイ画面の地点Aから施設の影像が拡大画面A’となって表示される。これにより利用者は人の認識の特性として像の運動により直ちにその施設の影像を認識することができる。この拡大方法は地点Aにひもを付けたポップアップ又はズームアップのいずれかの表示方法を採用できる。
【0032】
地図上の地点にリンクされている施設の選択方法について説明するに、図2において、自己位置Pを中心としてみた角度範囲θと自己位置Pからの距離Lの範囲内にある地図座標であって施設、自然、歴史がリンクしている複数の地図座標が読み出される。この場合、施設が歴史的建築やその時代の出来事であったり、時代・歴史に関連した自然(例えば歴史地図や古代の地層)である場合は、各々その時代・歴史に対応する前に述べたレイヤー構造(図1)が活用される。
【0033】
このレイヤー構造の活用を図4を用いて説明する。
そのレイヤー構造は縦軸に時代軸を持ち、その時代軸に対応する複数のレイヤーに地図座標が対応し、各々の時代の空間の2次元及び3次元(立体)のデータが位置付けられている。移動者(利用者)は、この構造の現代に居ることになる。その自己位置PT1と読み出された現代の地図座標に対応し、各時代のレイヤーの同じ座標の自己位置PT2−−−PTnに移行出来る。(例えば、日本橋のある街角PT1から江戸時代の同じ街角(PT3)へ。)
【0034】
この歴史空間PT3の属するレイヤーにはその時代の街や施設が座標付データとして位置付けられている。これを利用し、利用者の向きのある角度範囲(θT)の各座標にあるデータを読み出す。それが3次元影像の場合施設、建築等の景観が求められる。(これは特開平11-85027に記述がある。)
それを(図4)では仮にEとする。EはT3の時代には実在であったが、T1の現代では存在しないが、T3のレイヤーにあるET3の像のデータが当時の地図と共に求められ表示される(仮想)。そして、その瞬間に施設の影像が(図2)に於けるシンボルAからA’(拡大)へ向けてズームアップ又はポップアップすると同時に、その施設に関する説明等の音声や音楽がヘッドホン又はスピーカから流れ始める。
時代T3を選択した場合において、図4Aのように、利用者の位置を点PT3で示し、歴史上の人物か又は物語上の人物の位置を白抜きポインタで示す。そしてこれは歴史又は物語上の状況に従って移動する。このポインタ(図2Aでも同じく白抜きポインタで示す)は、歴史上の人物か又は物語上の人物による解説か又は文学表現ナレーションと当時の景色ET3や音楽を同期して再生する。こうして歴史上の登場人物か又は物語上の人物の見たこと感じたことと景色等の間の空間的及び歴史・時間的関係が系統的に示される。
別法として、利用者の位置を点PT3で示し、歴史上の人物か又は物語上の人物と同時か又は彼に代わって、現代か又は選択された時代の仮想人物(解説者)を図2のようにポインタ(図2Aでは黒抜きポインタ)で示し、利用者をルートガイドすると共に、仮想人物の移動につれてそれに応じた解説を行ってもよい。また図2Aのように音声等の再生のほか文章を画面表示することも可能である。
こうして、利用者は音声や音楽を聴きながら歴史や文学を新しい仕組みにより楽しみ、施設(仮想)や風景の画像を見ることが可能となる。このためには特開平11−85027号(特許第3987620号)を組み合わせ活用することが可能である。次いで適当なタイミングで出来事や施設(例えば店舗)に関する少なくとも1つの下位画像(例えば内部の人物や商品)が読み出されて前の画像に代置して(図2)の画像A’の箇所に表示される。施設の画像と音声再生は例えば30秒のような比較的短い時間を限度とすることができ、その終了により自動的に次の施設の選択と画像及び音声の再生のサイクルにはいる。
【0035】
この時代:歴史空間のレイヤーの選択は(図2)のスライドスイッチSW8を用いる。このスライドスイッチを動かして、任意の時代を選択することが出来る。時代・歴史レイヤーには、各々その時代の関連する一般・背景データ(例えば、政治、文化、人物、経済、国際関係など)も収納され(図1参照)、カテゴリー別に引き出すことも出来る。
【0036】
(図5)は、本発明の方法を実施するために使用することができるシステムの一例を示す。これは後に述べるカーナビ利用にも、共通に利用出来る。本発明では地図情報データベース10、施設、自然、歴史に関するデータベース20が使用される。データベース20は前述のようにナビ装置に搭載したものでも良いし、インターネット上のサーバ又はクラウドコンピュータ上のデータベースメモリを使用しても良い。後者の場合には使用前にナビのデータベースに情報をダウンロードしておけば能率的である。施設、自然、歴史に関するデータベースは施設、自然、歴史に関する映像情報とそれに関連した音声(音楽を含む)であって、上位概念と下位概念に属する少なくとも2つに階層化した(最大でも3階層程度が好ましい)ものであれば任意であるが、特許文献2のように、感情情報データベース21と知識情報データベース22とに分け、それを合成して再生することも、利用者がSW1からサービスを切り替えることにより分けて再生することも出来る。
施設、自然、歴史に関するデータベース20は上位階層の施設(総合施設、建物、競技場、公園、景観等)の影像とそれに属する下位階層の内容(総合施設なら商店、建物なら収容物や商品、競技場ならイベント等)である。そして、音声はそれらの説明やバックグラウンド音楽などである。
重要なことは各時代階層の施設、出来事には必ず地図座標が付せられてデータベースのメモリに記憶されていることである。
更にこのデータ群が次に述べるルートシナリオに結合されると次に述べる魅力ある効果を発揮する。
【0037】
以下、本発明の歩行ナビ利用の場合の特に効果を発揮するルートシナリオ機能の動作原理について説明する。(図4)に於いて、時代レイヤーにはルートが示されている。利用者(移動者)はこのルート上を移動する時、その移動につれて、次々とそのルート周辺に存在する対象(オブジェクト)が読み出され、表示される。
その読み出しは基本的に移動者の直前から遠方に向かって、移動のスピードと認識時間を勘案し、選別される。(例えば、江戸時代のレイヤー上では当時の建築、施設が町並に合わせ読み出される。それは、当時の絵、写真、又はコンピューターによる立体データによる画像、コンピューターアニメなどとなる。)
【0038】
更にこのルートに沿って移動することを想定して、ルート毎にシナリオを持った案内も行なわれる。この時、ルート案内のナレーション(ルートの説明、街並の解説など)とそれに対応する音楽がルートの区分毎に位置付けてあるので、これが移動によるルート上の位置、方位、信号をもとにデータベースから引き出され、再生される。
【0039】
このルートシナリオは、移動者の移動と認識・理解の時間差とタイミングを勘案して、早めにデータベースにアクセスした後、引き出し、保管し、現下の移動地点情報を得て再生がタイムリーに行なわれる。
このための制御回路が必要となる。この制御回路には、利用者による事前設定に加え、利用者の過去の利用データからの分析抽出結果が活用される。ここには、更にエージェントによりルートの状況(SA)と移動者の意識状態(CM)による次に述べる補正が加えられる。
【0040】
この制御回路に於ける情報の流れは、(図6)に示す。ここには、システムが人間と環境との間で動作する関係として示されている。
利用者は対象空間に於いて意識CMにあるとする。(例えば“歴史ナビ”を用いて移動したいなど。)これは、複数の手段により実現される。まず、意識(意図)を直接スイッチ(SW10)により、システムに伝えることができる。
一方、選択がわずらわしい時は、システム内部のエージェント機能を活用することも可能である。システムには既に利用者の意識−行動の連鎖の実績を蓄積しているとき、空間の状況と利用者の位置と動きを検出し、この場所で利用し得るサービスを提案する。
そして、利用者の同意(スイッチ操作又は動き検出)を経て、望ましいサービスが選択される。これをもとにデータ制御回路はデータを取得し、移動に合わせて、利用者は次々と新しい景観に接し、システムはシンクロナイズして次々とサービスを実行する。
この間も移動者は移動するので、空間状況は変化し、意識状況は変化するが、システムはその状況変化に対応したサービスを提供する。
【0041】
(意識にシンクロナイズした出力)
ここでサービスされるデータのシンクロナイズした関係を図8Aに示す。ここには、利用者の移動ルートに沿って提供される影像、音声の組み合わせが、空間状況Sとエージェントの意識状況に合わせ、タイムリーに出力される関係が示されている。
【0042】
(シナリオによるサービスの提供)
意識に合わせサービスを行うことは、このナビシステムの価値を高める上で必要なことである。しかし、意識による制御は基本的な出力のベースを与えるものであり、更に、演出を加えた高度なサービスはプロデュースされたシナリオによる方法を必要とする。
(図5)のデータベースの内部にサービスルートとそのルートのノード、区間に対応した、影像、音声の組み合わせから成るシナリオデータを蓄積しておくことで、このサービスは実行される。
更に、(図1)の4次元時空間データ構造には、各レイヤーに施設や自然のオブジェクトに加え、個性ある挙動特性を持つ、人物オブジェクト及び“こと”のオブジェクトを組み合わせることでシナリオのプロデュースを豊かなものとすることが出来る。
このシナリオサービスは、専門家によってプロデュースされた歴史空間シナリオルートガイドなどで知識データと感性データを組み合わせ効果を発揮する。(例えば、古代ローマ史の専門家によるフォロ・ロマーノのシナリオなど。)
更に、シナリオ部分を空間の魅力を感性豊かに記述した小説等の文学作品とする場合には、作家の描くプロットと空間の魅力がナレーションによって表現される。加えて小説の場面描写は、当時の時代風景像(仮想)を組み合わせるなどしてタイムリーに出力することで利用者に芸術的魅力を伝えるものとなる。(以上の関係は段落[0034]で、すでに説明したが、(図2A)及び(図4A)にあわせて、以上の関係を(図7)及び(図8A)に系統的に示す。)
以上により空間と時間及び現実と仮想の制約を超えて人物、もの、ことを統合的に把握し、サービスする「超越的な」ナビゲーションを本発明は提供する。
【0043】
−2、カーナビ利用の場合
以下、本発明のカーナビ利用の場合の実施例を図面を参照して詳しく説明する。
図11は本発明の方法により表示されるナビ装置101のディスプレイ103とスイッチ(SW)の構成と表示例を示す。装置1の画面内(タッチパネル)にはSW102〜104とデータベースを切り替えるための感情・知識SW101が設けられる。SW102〜104は、ナビ装置の現在位置から測った距離にある施設をデータベースから選択して表示するための条件を変更するために利用者が切り替えるためのものであり、SW101は、データベースが感情情報と知識情報との2種類に分かれている場合に使用するための切り替えスイッチである。利用が2種の組み合わせ又はデータベースが単一ならこれらのスイッチは不要である。
【0044】
ディスプレイ103の画面には、ナビ装置の自己位置と進行方向に基づいて地図情報データベースから自動的に読み出された地図画像105が表示される。そのために、自動車とともに移動するカーナビ装置1は、GPSから自己位置を決定し、カーナビ装置1に搭載のジャイロスコープから自動車の位置と進行方向を知り、図11に黒い三角で示したような自己位置Pと進行方向を示す標識を画面の下端部に表示すると共に、地図画像105をディスプレイ103の画面に俯瞰図として表示する。この表示方法は特許文献1に記載されている。
【0045】
ディスプレイ103の画面には各種の施設の小影像が地図座標に関連づけてA〜Fのように表示されている。目立った施設(総合施設、建物、公園、著名な景観、歴史上のイベントの箇所等)は地図上の座標にリンクされており、地図画面を表示すればそれらは自動的に点又は小シンボルで表示される。遠方は表示をうるさくしないように情報の間引きによりカットされる。この点も特許文献1に記載されている。
【0046】
後で詳しく述べる選択条件により、特定の地図座標に位置する特定の施設が自動的に選択されてディスプレイ画面上に表示され、同時にその施設に関連した音声・音楽がスピーカに再生される。例えば選択された地図座標がAであるとすると、地点Aの自動的な選択が行われると、その瞬間にディスプレイ画面の地点Aから施設の影像が拡大画面A’となって表示される。これにより利用者は人の認識の特性として像の運動により直ちにその施設の影像を認識することができる。この拡大方法は地点Aにひもを付けたポップアップ又はズームアップのいずれかの表示方法を採用できる。
【0047】
地図上の地点にリンクされている施設の選択方法について説明するに、図11において、自己位置Pを中心としてみた角度範囲θと自己位置Pからの距離Lの範囲内にある地図座標であって施設がリンクしている複数の地図座標が読み出される。自己位置Pと読み出された地図座標の複数の距離のそれぞれに、乱数発生手段から得られる特定範囲(例えば1〜10の整数)の個々の乱数を掛ける。得られた複数の数値の内、最小の距離のものの影像と音声が最終的に選択される。それを101では仮にAとする。その瞬間に施設の影像がシンボルAからA’へ向けてズームアップ又はポップアップすると同時に、その施設に関する説明等の音声や音楽がスピーカから流れ始める。利用者は音声や音楽を聴きながら施設の画像を見ることが可能となる。次いで適当なタイミングで施設(例えば美術館)に関する少なくとも1つの下位画像(例えば主な展示作品)が読み出されて前の画像に代置して画像A’の箇所に表示される。施設の影像と音声再生は例えば1分のような比較的短い時間を限度とすることができ、その終了により自動的に次の施設の選択と画像及び音声の再生のサイクルにはいる。
上記θやLは典型的な値を選択してデフォルトで決めておくことができ、或いはこれらの値は自動でも手動(停止時)でも修正が可能である。例えば図11には走行場所が都市か地方かは主に自動により切り替えるSW102、昼か夜かで装置内のクロックにより切り替えるSW103、及び自動車の速度が高速か低速かで装置の速度センサーにより、切り替えるSW104を使用する。図11は距離の選択条件のデフォルト値をθ、Lとしておき、釦が押されなければデフォルト(都市、昼、低速の一組)、押されれば修正(地方、夜、高速の一つ以上)できるような例を示す。
好ましい形態として、走行ルートの属性を予め決めておくことにより、全て自動で動作する。すなわち、自己の移動地点と移動方向からナビ装置が属性を検出し、そこが都市か地方か、走行が高速か低速か、時間が昼か夜かは装置が検出・識別するこの情報から自動的に切替制御が行なわれる。例えば、走行ルートの中で再生すべきサービスが選別、提供される。
【0048】
図12は本発明の方法を実施するために使用することができるシステムの一例を示す。本発明では地図情報データベース110、施設に関するデータベース120が使用される。データベース120は前述のようにカーナビ装置に搭載したものでも良いし、インターネット上のサーバ又はクラウドコンピュータ上のデータベースメモリを使用しても良い。後者の場合には使用前にカーナビのデータベースに情報をダウンロードしておけば能率的である。施設に関するデータベースは施設に関する映像情報とそれに関連した音声(音楽を含む)であって、上位概念と下位概念に属する少なくとも2つに階層化した(最大でも3階層程度が好ましい)ものであれば任意であるが、特許文献2のように、感情情報データベース121と知識情報データベース122とに分け、それを合成して再生することも、利用者(運転者等)がSW1を切り替えることにより分けて再生することも出来る。
施設に関するデータベース120は上位階層の施設(総合施設、建物、競技場、公園、景観等)の影像とそれに属する下位階層の内容(総合施設なら商店、建物なら収容物や商品、競技場ならイベント等)である。そして、音声はそれらの説明やバックグラウンド音楽などである。
重要なことは最上位階層の施設には必ず地図座標が付せられてデータベースのメモリに記憶されていることである。
【0049】
地図情報データベース110から自動車の自己位置とその周辺の地図情報が地図画像読み取り器111により読み出され、地図画像表示回路114を経てディスプレイ101の画面103に地図画像105として表示される。この目的で、現在位置及び進行方向測定器112はアンテナ113からGPS電波を受信して現在の自己位置を、また内蔵ジャイロを用いて進行方向を決定する。地図画像表示回路114は取得した地図情報を、俯瞰図が得られるように加工し、遠方のデータを圧縮して図11に関連して説明したようにして地図画像を表示する。
【0050】
次に、地図情報は選択的に表示すべき施設の画像とそれに関連する音声情報を選択するための作業を、目的座標決定回路115により実施する。この回路を動作させるためのソフトウエアによる演算条件(a)は次のように構成されている。
(i)施設が存在する地図座標が、現在位置から進行方向に見た一定の角度範囲内に含まれること、(ii)現在位置からの一定距離以内にあることを満足するとき、その中に含まれるすべての施設の座標を読み取る、(iii)これらの2条件を満足する座標のそれぞれの距離の値に、乱数発生装置から発生した乱数をそれぞれ掛ける、(iv)得られた距離の中で最小の距離のものを選択する。この座標に該当する影像及び音声情報をデータベース120(又は121、122)の中から読出し回路117により読みとり、影像音声分離をした後、階層切り替え回路118を経て、ズームアップ処理をズームアップ処理器119により行い、図11に関連して説明したようにディスプレイ1の画面にズームアップ又はポップアップ表示する。同時に音声回路123から音声信号をスピーカに送る。
この選択方法により前方の一定角度で且つ一定距離内の施設を優先しながら、また最近距離を優先しながらも乱数を利用することで、自動車の走行ルートに沿った各種の施設とその内容に関する情報が音声と映像によってもたらされる。
【0051】
なお図12のシステムにおいて、手動スイッチ類116(SW102、SW103、SW104)は条件(a)の修正条件を提供するものであり、それにより、現在の自己位置からの角度範囲や距離範囲を修正できるものであることは図11に関して説明した通りである。また修正の条件には例示のものに限らず任意に設定できるが、説明では3種に限った。
さらに、地図情報データに予めルート区間の属性(空間状況S)として休止及び再生の区別を付しておき、走行ルート属性判別回路130により区間の属性を判別し、休止区間の検出により施設に関する情報の読み出し音声分離回路117を自動的に休止にし、再生区間の検出で回路117を自動的に再生に切り替えることができる。この具体例としては既に述べたような、道路の場合は交差点や道路の状況(合流点、カーブ、道路の凹凸、混雑部、狭い道路幅、など)を地図データベース110に予め入力しておくか、又は交通情報組織等からの情報によりそのデータを自動的に刻々修正することが可能である。
別法としては図12において、走行ルート属性判別回路130が休止区間を検出したときに条件(a)に計数0を掛け、再生区間を検出したときに係数1を掛けてもよい。
【0052】
次にこの実施例の動作を説明する。図13は上記デフォルトの場合の、装置に関する影像及び音声の再生方法を示す。
カーナビ装置の電源の投入によりGPS及びジャイロを使用して自動車の現在位置(自己位置)と進行方向が決定される(S1)。もしもデータベースが感情情報と知識情報の2種に分かれている場合にはまず段階S1’を手動で実施する。
自己位置が検出されたら地図情報データベースから地図情報を読み出してディスプレイ画面に正しい向きで地図画像を表示する(S2)。
次に表示すべき施設の選択条件である現在位置Pからの条件(a)の角度θと距離Lの範囲内において施設の距離座標を読み取り、各座標の現在位置からの距離に乱数を掛ける。得られた距離の値のうち最小数値のものを選択して決定する(S3)。
現走行ルートに関する判別回路127がルート区間の属性(空間状況S)が休止又は再生に応じて映像及び音声再生回路117をオフ又はオンにする。
再生区間においては、上記のように決定した施設の上位階層の影像データと音声データを読み出し、ディスプレイには影像を、スピーカには音声(音楽を含む)を再生する(S4)。
次いで下位階層の情報を読み出して表示する(S5)。
一サイクルが終了したら次のサイクルを同様に繰り返す。
【0053】
状態S3における条件(a)はSW102〜SW104の切り替えにより修正できる。例えば修正係数が各係数f1、f2、f3をデフォルトで計算した距離の値に掛ける修正をする場合には、次の表1にしたがって修正が可能である。デフォルトの場合は係数は1であり何もしない。たとえば、SW102で地方を選択する場合には、f1を掛けて角度範囲θと距離範囲Lを拡大し、SW103で夜を選択する場合にはf2を掛けて角度範囲θを拡大し、SW104で高速を選択する場合には距離範囲Lを拡大するなどである。その他の場合も同様に適宜の関数又は係数f4、f5、f6、f7を発生して条件(a)を修正することができる。
【0054】
【表1】

【0055】
図14には本発明の他の方法を実施するための装置を示す。
この装置では、図12におけるSW102、SW103、SW104の代わりに、カーナビ(又はそれを搭載する自動車)の移動速度、時刻、及び地域に依存して自動的に同様な作用を得るための装置が付加されている。その他の部分はこれまでに説明したので説明しない。
図14において、手動スイッチ類116(図12)は自動スイッチ類116'に置換されている。
都市と地方は地図座標に対応して分類され、地域判別回路129は、カーナビの自己位置から地図座標を特定してSW102を自動的に切り替える。
昼と夜は時間に対応して特定され、時間判別回路124は現在時刻に対応してSW103を自動的に切り替える。
高速と低速は自動車の速度に対応して特定され、自動車の平均速度判別回路125は直近の過去の平均速度(例えば過去10〜20秒)に対応してSW104を自動的に切り替える。
【0056】
また、図14には走行履歴に依存して、条件(a)で選択される特定の施設を変更するための手段を含む。すなわち、この例では走行履歴(走行路と関連した過去の施設の影像及び音声の再生履歴のこと)を走行履歴記憶データメモリ126に記憶する。別法として走行履歴は外部のサーバのメモリやクラウドコンピュータ上のメモリに置いても良い。記憶するデータとしては過去に影像を再生した施設を表すコード又はその施設の地図上の座標とすることができる。
そして、判別回路127において、現在位置において条件(a)を適用して選択された範囲内の施設を、走行履歴内の施設と比較し、一致すればそれは排除する。なお、図2の実施例で説明したように空間状況Sを判別してそれをデータのオンオフに利用する機能を判別回路127に持たせることが好ましい。
得られた結果は読み出し命令回路128を介して条件(a)による座標決定回路115へ送られる。
その後、図12に関連してすでに説明した事後の処理を実行する。これにより、既に再生した情報は省略することが可能となる。
【0057】
図15は図14の装置を利用した表示方法のフローを示すもので、段階S1〜3において、走行履歴の情報が上述の方法により利用されることを示している。
なお、デフォルトとして、判別回路127を動作させないことができる。
【0058】
次に意識状況Cを利用する例を説明する。意識状況は、映像及び音声情報データベースから抽出される映像及び音声情報データを、利用者の意識状況に対応する映像及び音声情報データのみに絞り込むために使用される。
それには、図12と図14に関する上記の座標決定回路により所定の地図座標を利用者の意識状況により絞り込んでからデータベースの検索、読出しを行うか、又は、データベースから検索、読出しを行った後に、利用者の意識状況により座標を絞り込むかの方法がある。これらを行うには、事前に意識状況を分類コードに関連づけてメモリーに記憶しておき、意識状況の優先順位を決めておく必要がある。
【0059】
図16はその一例を示す。132は意識状況決定回路であり、利用者の過去の意識状況を読み出してその優先順位に応じてデータベース121、122から影像及び音声データを読み出す。133はスマートフォンであり、利用者の過去の意識状況の履歴情報(例えばインターネットへのアクセスの履歴)が記憶されているので、意識状況決定回路132は先ずスマートフォンに履歴情報を要求しそれを取得する。次いで回路132は履歴情報を分析して意識状況に分類符号を割り当て且つその頻度に比例した順位を付け自己のメモリーに記憶する。ただし、この分類符号は影像及び音声情報データベースを構築するときに使用する分類符号と同じ規則で適用する。
【0060】
回路132からの情報は目的座標決定回路115からの指令と組み合わせることで条件を満たす影像及び音声情報データを読み出して来ることができる。なお、この回路132にもランダムな選択を行うよう乱数回路を設けることにより意識状況の優先順位を重みとしてランダムな選択を行うようにすることができる。
【0061】
別法として、図17のように、意識状況を図16の意識状況決定回路132と同様に優先順位と分類付けを行ってメモリー(図示せず)に記憶しておき、それを図12や図14のシステムに従って読み出される映像及び音声情報に付された分類符号と一致するデータだけを分離利用する意識状況フィルタとして使用することも可能である。
【0062】
以上のように、本発明は従来の歩行ナビ装置、カーナビ装置では可能でなかった新規な表示及び音声案内方法を提供することができた。
【符号の説明】
【0063】
1 歩行ナビ装置
3 ディスプレイ
5 地図画像
A−F オブジェクト
P 自己
E オブジェクト(建物)
PT1 現代の自己位置
PT3 江戸の自己位置
10、110 地図データベース
11、111 レイヤー切替地図読み取り器
12、112 現在位置及び進行方向測定器
13、113 アンテナ
14、114 地図画像表示装置
17、117 読出し回路
18、118 階層切り替え回路
19、119 ズームアップ処理器
20、120 施設に関するデータベース
21、121 感情情報データベース
22、122 知識情報データベース
23、123 音声回路
24、124 時間判別回路
26、126 走行履歴メモリ
27、127 現走行ルートに関する判別回路
29、129 地域判別回路
30、130 走行ルート属性判別回路
31 センサ
33、133 スマートフォン
34 4次元レイヤーデータベース
35 クラウドコンピュータデータベース
101 カーナビ装置
103 ディスプレイ
105 地図画像
113 アンテナ
115 対象座標決定回路
116 スイッチ
125 平均速度判別回路
132 意識状況決定回路
201 コンピューター画面
202 メニューバー
204 編集画面
205 地図地点
206 時間編集
207 ナレーション
208 画像、写真、立体像
210 3Dコンテンツデータ部
211 音声コンテンツ部
212 各種コンテンツ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行ナビ装置に搭載した、地図画像を地図座標と関連づけて記憶した地図情報データベースと、前記歩行ナビ装置、インターネット、又はクラウドコンピュータ上の、施設、施設、歴史、文学に関連した影像情報と音声情報を前記地図座標に関連づけて記憶した影像情報及び音声情報データベースと、歩行ナビ装置に搭載したディスプレイ及び音声再生器とを用い、
前記歩行ナビ装置の移動中に、前記地図情報データベースから前記地図情報を自動的に読み出して、地図画像を、歩行ナビ装置の現在位置が下側に進行方向が上側になるように前記ディスプレイに俯瞰図あるいは平面地図として表示すると共に、前記現在位置の周辺に地図座標を有する影像及び音声情報を、前記影像情報及び音声情報データベースから自動的に読み出して、前記影像を前記ディスプレイに表示すると共に、前記音声情報を前記影像に同期して再生する方法において、
前記影像及びそれに関連する音声情報データベースは3次元の空間と1次元の時代よりなる4次のレイヤー構造に分類して記憶したものであり、その再生は各時代レイヤーを手動又は自動的に切り替えて行い、前記影像は前記ディスプレイに各階層のオブジェクトが表示されるごとに地図影像の対応する座標の位置に関連付けてポップアップ又はズームアップ表示をすることを特徴とする、歩行ルートに沿った施設、自然、歴史、及び/又は文学に関する影像及び音声の再生方法。
【請求項2】
さらに歩行ナビの利用者の位置をディスプレイ上に示し、選択した時代レイヤーにおける解説者又は歴史上の人物又は物語上の人物の移動状況をポインタで表示し、解説者による説明もしくは歴史上または物語上の人物による歴史表現又は文学表現ナレーションを再生するようにした、請求項1に記載の再生方法。
【請求項3】
前記再生は、前記歩行ナビの歩行ルートにそって設定された空間状況に従って選択制御される、請求項1又は2に記載の影像及び音声の再生方法。
【請求項4】
利用者の過去の意識状況の優先順位に従って影像情報及び音声情報データベースからのデータの呼び出しが行われる請求項1〜3の何れか一項に記載の影像及び音声の再生方法。
【請求項5】
利用者の過去の意識状況と行動様式の優先順位あるいはシナリオに従って影像情報及び音声情報データベースからのデータの呼び出しが行われる請求項4に記載の影像及び音声の再生方法。
【請求項6】
前記影像及び音声情報の読み出しは、施設、自然、歴史、文学が存在する前記地図座標が、前記現在位置から進行方向に見た一定の角度範囲θ内に含まれ、且つ利用者のオブジェクトに対する移動、ふるまいにより、選択が行われる、請求項1〜5の何れか一項に記載の影像及び音声の再生方法。
【請求項7】
前記影像情報及び音声情報データベースは、利用者の選択により選択可能な感情情報部データメモリと、知識情報部データメモリに分かれている、請求項1〜6の何れか1項に記載の影像及び音声の再生方法。
【請求項8】
再生されるべき影像及び音声を記憶した4次元データベースを作成するために使用される編集方法において、時代レイヤーと、地図と、該地図上の移動ルートと、時間軸タイムラインへの置配機能をそなえ、入力される影像及び音声が、前記時代レイヤーと、前記地図と、前記の移動ルートと、時間軸タイムラインに関連付けられるようにした、編集方法。
【請求項9】
カーナビ装置に搭載した、地図画像を地図座標と関連づけて記憶した地図情報データベースと、前記カーナビ装置、インターネット、又はクラウドコンピュータ上の、施設に関連した影像情報と音声情報を前記地図座標に関連づけて記憶した影像情報及び音声情報データベースと、カーナビ装置に搭載したディスプレイ及び音声再生器とを用い、
前記カーナビの移動中に、前記地図情報データベースから前記地図情報を自動的に読み出して、地図画像を、カーナビ装置の現在位置が下側に進行方向が上側になるように前記ディスプレイに俯瞰図として表示すると共に、前記現在位置の周辺に地図座標を有する影像及び音声情報を、前記影像情報及び音声情報データベースから自動的に読み出して、前記影像を前記ディスプレイに表示すると共に、前記音声情報を前記影像に同期して再生する方法において、
前記影像及びそれに関連する音声情報データベースは上位概念から下位概念に向けて少なくとも2階層のツリー状に分類して記憶したものであり、その再生は上位階層から下位階層へと自動的に切り替えて行い、前記影像は前記ディスプレイに各階層が表示されるごとに地図影像の対応する座標の位置に関連付けてポップアップ又はズームアップ表示をすることを特徴とする、走行ルートに沿った施設に関する影像及び音声の再生方法。
【請求項10】
前記再生は、前記カーナビの走行ルートにそって設定された空間状況に従って再生又は休止される、請求項9に記載の影像及び音声の再生方法。
【請求項11】
運転者の過去の意識状況の優先順位に従って影像情報及び音声情報データベースからのデータの呼び出しが行われる請求項9又は10に記載の影像及び音声の再生方法。
【請求項12】
運転者の過去の意識状況の優先順位と乱数の積に従って影像情報及び音声情報データベースからのデータの呼び出しが行われる請求項11に記載の影像及び音声の再生方法。
【請求項13】
前記影像及び音声情報の読み出しは、施設が存在する前記地図座標が、前記現在位置から進行方向に見た一定の角度範囲θ内に含まれ、且つ前記現在位置からの一定距離L以内のある条件を満足するそれぞれの距離の値に、乱数発生装置から発生した乱数をそれぞれ掛けることよりなる演算条件(a)を適用して得た一組の距離の値の中から、最小の値のものを選択して行われる、請求項9〜12の何れか一項に記載の影像及び音声の再生方法。
【請求項14】
前記演算条件(a)はカーナビ装置の移動状況に応じた一つ以上の自動的な又は手動による選択に応じて修正される、請求項12に記載の影像及び音声の再生方法。
【請求項15】
前記移動状況は速度、時刻、及び場所のうちの少なくとも1つであり、前記速度は高速と低速であり、時刻は昼間と夜間であり、前記場所は前記地図座標と関連づけた都市と地方である請求項13に記載の影像及び音声の再生方法。
【請求項16】
演算条件(a)は、運転履歴に応じて修正される、請求項13又は14に記載の影像及び音声の再生方法。
【請求項17】
前記履歴に応じた修正は、運転頻度の多いほど小さい係数を前記演算条件(a)に掛けることである請求項16に記載の影像及び音声の再生方法。
【請求項18】
前記影像情報及び音声情報データベースは、利用者の選択により選択可能な感情情報部データメモリと、知識情報部データメモリに分かれている、請求項9〜17の何れか1項に記載の影像及び音声の再生方法。

【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図8B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図8A】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−154924(P2012−154924A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−2303(P2012−2303)
【出願日】平成24年1月10日(2012.1.10)
【出願人】(597106600)有限会社ヴェルク・ジャパン (4)
【Fターム(参考)】