説明

施設の情報を記録・表示するための車載通信装置、プログラムおよび通信システム

【課題】施設の情報を記録・表示するための車載通信システムにおいて、情報サーバから送信される施設の情報に、その施設を実際に利用した車両のユーザの評価が反映されるようにする。
【解決手段】複数の車両のそれぞれに搭載された複数の車載通信装置と、それら車載通信装置のそれぞれと通信する情報サーバと、を備えた通信システムにおいて、情報サーバは、当該複数の車載通信装置から、当該複数の車両の複数のユーザによる複数の施設についての評価(眺望、料金等)を受信して記録すると共に、当該複数の車載通信装置に、記録した当該評価に基づく、施設についての評価の統計情報を送信する。そして、当該複数の車載通信装置のそれぞれは、情報サーバから当該統計情報を受信して当該車載通信装置のユーザに提示すると共に、当該ユーザによる個別施設の個別評価の情報入力に基づいて、情報サーバに対して、当該個別施設についての当該個別評価を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設の情報を記録・表示するための車載通信装置、プログラムおよび通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の施設の情報を記録した情報サーバと、その情報サーバから施設の情報を必要に応じて受信してユーザに表示する車載通信装置とから成る通信システムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の通信システムにおいては、車載通信装置が、情報サーバから観光地の情報を受信し、その観光地の情報の有益性についての情報を情報サーバに返信する。そして情報サーバは、この観光地等の情報が車載通信装置において使用された履歴、および返信された有益性の情報に基づいて、観光地等の情報をランク付けし、さらに、このランク付けの結果を車載通信装置に送信するようになっている。
【特許文献1】特開2003−173495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のような通信システムにおいて、車載通信装置から情報サーバにフィードバックされる情報は、情報サーバからの提供情報についての有効性や使用頻度である。すなわち、その観光地等を利用した車両のユーザの評価を反映した情報提供を、情報サーバから車載通信装置に対して行うことができない。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、施設の情報を記録・表示するための車載通信システムにおいて、情報サーバから送信される施設の情報に、その施設を実際に利用した車両のユーザの評価が反映されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の特徴は、車両に搭載される車載通信装置が、当該車両のユーザによる個別施設の個別評価の情報入力を受け付け、情報サーバに対して、当該個別施設についての当該個別評価を送信することである。ここで、情報サーバは、複数の施設についての複数のユーザによる複数の評価を受信して記録し、情報サーバが記録した複数の評価に基づく、施設についての評価の統計情報を送信するようになっている。さらに車載通信装置は、情報サーバから当該統計情報を受信し、その受信した統計情報をユーザに提示するようになっている。
【0007】
このようになっていることで、車載通信装置が情報サーバから受信する施設の情報に、その施設を実際に利用した車両のユーザの評価が統計的に反映されるようになる。
【0008】
また、車載通信装置が、自車両の現在位置を特定することができる場合、特定した現在位置が当該個別施設の近傍にあるか否かを判定し、その判定結果が肯定的であることに基づいて、情報サーバに対して、当該個別施設についての当該個別評価を送信するようになっていてもよい。このように、情報サーバに対して個別評価を送信するための条件として、車両の現在位置と当該個別施設の位置との関係を用いることで、情報サーバに送信される個別評価が本当にその個別施設を訪れたことのある者のものであることの、信頼性が向上する。
【0009】
また、車載通信装置が、ユーザの操作によって入力された目的地の履歴を記憶するようになっている場合、その履歴に基づいて、自車両が過去に目的地を訪れたか否かを判定し、その判定結果が肯定的であることに基づいて、情報サーバに対して、当該個別施設についての当該個別評価を送信するようになっていてもよい。このように、情報サーバに対して個別評価を送信するための条件として、当該個別施設に過去に訪れたか否かという条件を用いることで、情報サーバに送信される個別評価が本当にその個別施設を訪れたことのある者のものであることの、信頼性が向上する。
【0010】
また、本発明の上記の特徴は、その特徴に示された機能を実現するためのプログラムとしても捉えることができる。
【0011】
また、本発明の特徴は、複数の車両のそれぞれに搭載された複数の車載通信装置と、当該複数の車載通信装置のそれぞれと通信する情報サーバと、を備えた通信システムとしても捉えることができる。この場合、情報サーバは、当該複数の車載通信装置から、当該複数の車両の複数のユーザによる複数の施設についての評価を受信して記録すると共に、当該複数の車載通信装置に、記録した当該評価に基づく、施設についての評価の統計情報を送信する。そして、当該複数の車載通信装置のそれぞれは、情報サーバから当該統計情報を受信して当該車載通信装置のユーザに提示すると共に、当該ユーザによる個別施設の個別評価の情報入力に基づいて、情報サーバに対して、当該個別施設についての当該個別評価を送信する。
【0012】
このようになっていることで、施設の情報を記録・表示するための車載通信システムにおいて、情報サーバから送信される施設の情報に、その施設を実際に利用した車両のユーザの評価が反映されるようにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る通信システム90の構成を示す。この通信システム90は、複数の車両1a〜c、車両1a〜cのそれぞれに1台ずつ搭載された車載ナビゲーション装置2a〜c、無線基地局3a〜c、無線基地局3a〜cに接続された通信ネットワーク4、および通信ネットワーク4に接続された情報サーバ5を有している。車載ナビゲーション装置2a〜cは、それぞれが搭載される車両1a〜cの位置の近傍に存在する無線基地局3a〜cに無線接続され、さらに、この無線基地局3a〜cおよび通信ネットワーク4を介して情報サーバ5と通信を行う。
【0014】
そして、この通信において情報サーバ5は、各種施設(公園、遊園地、飲食店、観光地、ショッピングモール等)の情報を車載ナビゲーション装置2a〜cに送信する。また、この通信において車載ナビゲーション装置2a〜cは、その車載ナビゲーション装置2a〜cのユーザによる個々の施設の評価に関する情報を情報サーバ5に送信する。そして、情報サーバ5は、その送信された評価の情報を、送信する情報に反映させる。以下、このようなシステムの構成および作動について詳細に説明する。
【0015】
図2に、情報サーバ5のハードウェア構成を示す。情報サーバ5は、ネットワークインターフェース(図中ではネットワークI/Fと記す)51、データ記憶部52、制御回路53、ROM54、およびRAM55を有している。
【0016】
ネットワークインターフェース51は、通信ネットワーク4に接続するための通信回路である。このネットワークインターフェース51を介して、情報サーバ5は通信ネットワーク4に参加すると共に、通信ネットワーク4に参加する他の通信装置と通信する。
【0017】
データ記憶部52は、ハードディスクドライブ等の書き換え可能な記憶媒体から成る。このデータ記憶部52には、評価データベース52aが記録されている。
【0018】
評価データベース52aは、複数の施設のそれぞれについての情報を記録している。各施設についての情報は、当該施設の固有名称、種別(“遊園地”、“駐車場”、“飲食店”等)、所在位置(緯度、経度等)、ユーザ評価情報、宣伝情報を含んでいる。各施設の宣伝情報は、商用、すなわち当該施設の宣伝のために作成された、当該施設の見所や特徴点を紹介するための文字データ、静止画像データ、動画像データ、音声データ、および音楽データ等を含んでいる。
【0019】
各施設のユーザ評価情報は、当該施設を利用した複数のユーザによる、当該施設の評価のデータを含んでいる。具体的には、各施設のユーザ評価情報は、それぞれが一件のユーザの評価を示す複数のユーザレコードから成る。各ユーザレコードは、当該ユーザレコードの示す評価が行われた時間(年、月、日、曜日、時刻等)のデータ、複数の所定の評価項目についての当該施設の評価のデータ(以下、項目別評価データという)、当該施設に対する評価文のデータ(以下、コメントデータという)を含んでいる。
【0020】
項目別評価データに含まれる評価項目としては、当該施設の眺望、当該施設の利用料金、当該施設で提供される食事の質、当該施設の混雑度、当該施設の駐車場から当該施設までの距離等がある。そしてこれら複数の評価項目のそれぞれは、1つの数値(例えば5段階評価)で評価付けられている。
【0021】
制御回路(コンピュータに相当する)53は、ROM54およびデータ記憶部52から読み出したプログラムを実行し、その実行の際にはROM54、RAM55、データ記憶部52からデータを読み出し、RAM55、データ記憶部52に対してデータの書き込みを行い、ネットワークインターフェース51を制御することで通信ネットワーク4に参加する通信装置、具体的には車載ナビゲーション装置2a〜cとデータの授受を行う。制御回路53の具体的な作動については後述する。
【0022】
図3に、車載ナビゲーション装置2a〜cのそれぞれ(以下単に車載ナビゲーション装置2と記す)のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置2は、位置検出器11、画像表示装置12、操作スイッチ群13、スピーカ14、無線通信部15、RAM16、ROM17、データ記憶部18、および制御回路19を有している。
【0023】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御回路19に出力する。画像表示装置12は、制御回路19から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。
【0024】
操作スイッチ群13は、車両用ナビゲーション装置2に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置12の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路19に出力する。スピーカ14は、制御回路19の制御に基づいて音声を出力する。
【0025】
無線通信部15は、図示しないアンテナが受信した信号に対して増幅、周波数変換、復調、A/D変換等、所定の無線通信プロトコル(例えばDSRC、携帯電話用データ通信)に従った処理を施し、その結果を制御回路19に出力する。また無線通信部15は、制御回路19から入力されたデータに対してD/A変換、変調、周波数変換、増幅等、所定の無線通信プロトコルに従った処理を施し、その結果の信号を上記のアンテナに出力する。このような作動により、無線通信部15は、制御回路19の制御に基づいて、無線基地局3a〜cのいずれかと無線接続し、この無線接続によって、通信ネットワーク4に参加すると共に、通信ネットワーク4に参加する他の通信装置と通信する。
【0026】
データ記憶部18は、DVD、CD、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出し(および可能ならば書き込み)を行う装置から成り、制御回路19が実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0027】
地図データは、リンクおよびノードの位置、種別、ノードとリンクとの接続関係情報等を含む道路データ、および施設データを有している。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、施設種類情報等を示すデータを有している。
【0028】
制御回路(コンピュータに相当する)19は、ROM17およびデータ記憶部18から読み出した車両用ナビゲーション装置の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM16、ROM17、およびデータ記憶部18から情報を読み出し、RAM16およびデータ記憶部18に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作スイッチ群13、および音声回路14と信号の授受を行う。また、制御回路19は、無線通信部15を制御することで、通信ネットワーク4に参加する通信装置、具体的には情報サーバ5とデータの授受を行う。
【0029】
制御回路19がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、誘導経路算出処理、経路案内処理等がある。
【0030】
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを(例えば0.1秒毎に)繰り返し定期的に特定する処理である。以下、制御回路19が用いる現在位置の情報は、この現在位置特定処理によって特定されたものである。
【0031】
誘導経路算出処理は、操作スイッチ群13からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出する処理である。なお、制御回路19は、目的地の入力を受ける度に、その目的地を目的地履歴のデータとしてデータ記憶部18に追加記録する。これにより、データ記憶部18には、入力された目的地の履歴が記録されるようになる。
【0032】
経路案内処理は、データ記憶部18から地図データを読み出し、算出された誘導経路、目的地、経由地および現在位置等をこの地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置12に出力し、案内交差点の手前に自車両が到達したとき等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号を音声回路14に出力する処理である。
【0033】
以下、車載ナビゲーション装置2と情報サーバ5とが実行する、施設に関する情報をやりとりするための作動について説明する。まず車載ナビゲーション装置2から情報サーバ5への情報の送信のために、車載ナビゲーション装置2の制御回路19は、図4に示すプログラム100を繰り返し実行する。
【0034】
制御回路19は、プログラム100の実行において、まずステップ110で、現在位置が目的地近傍であるか否かを判定する。目的地とは、誘導経路算出処理において最後に受け付けた目的地をいう。近傍であるか否かは、現在位置から目的地までの距離(直線距離、経路に沿った距離等)が基準値以下であるか否かに基づいて判定する。このステップ110の判定結果が肯定の場合、すなわち、現在位置が目的地近傍である場合、続いてステップ130を実行する。ステップ110の判定結果が否定の場合、すなわち、現在位置が目的地近傍でない場合、続いてステップ120を実行する。
【0035】
ステップ120では、最後に設定された目的地が、それ以前に目的地として設定されていたか否か、すなわち、自車両が過去にこの目的地を訪れたことがあるか否かを、データ記憶部18中の目的地の履歴に基づいて判定する。このステップ120の判定結果が肯定の場合、続いてステップ130を実行する。ステップ120の判定結果が否定の場合、プログラム100の一回分の実行を終了する。
【0036】
ステップ130では、レポート入力の受付を行う。レポート入力とは、車載ナビゲーション装置2のユーザによる、特定の施設(個別施設に相当する)についての評価(個別評価に相当する)の、操作スイッチ群13を用いた入力をいう。図6の例に示すように、このレポート入力の受付において制御回路19は、画像表示装置12を制御する。そしてその制御により、地図表示画面70上に、このレポート入力の受付のための評価入力ウィンドウ72を表示させる。この評価入力ウィンドウ72は、評価の対象となる施設(以下、対象施設という)を視覚的に指し示すような形状となっている。図6の例においては、対象施設が目的地71となっている。
【0037】
この評価入力ウィンドウ72内では、複数の項目サブウィンドウ72a〜eがリスト上に一覧表示されている。さらに評価入力ウィンドウ72内では、ユーザが操作スイッチ群13を用いた操作によって選択することができるメモ入力ボタン72f、設定ボタン72g、取消ボタン72hが一覧表示されている。なお、操作スイッチ群13を用いた操作としては、例えば、メカニカルスイッチを用いたカーソル移動操作、タッチパネルの一部へのタッチ操作がある。
【0038】
項目サブウィンドウ72a〜eのそれぞれには、操作スイッチ群13を用いたユーザの操作によって選択することができるボタンが複数表示されており、1つの項目サブウィンドウにつき1つのボタンを選択することができるようになっている。そして、選択されたボタンに対応する評価値が、当該評価項目についての評価値となる。
【0039】
また、メモ入力ボタン72fに対する選択操作をユーザが行うことで、制御回路19は図示しない文字入力画面を表示する。その画面表示を利用しながら操作スイッチ群13を用いて文字入力をすることで、ユーザは対象施設についてのコメント文を入力することができる。
【0040】
また、設定ボタン72gに対する選択操作をユーザが行うことに基づいて、制御回路19は続いてステップ140を実行する。また、取消ボタン72hに対する選択操作をユーザが行うことに基づいて、制御回路19はステップ140の処理をスキップしてプログラム100の実行を終了する。
【0041】
ステップ140では、入力された各評価項目の評価値およびコメント文を、対象施設の名称、対象施設の所在位置、および送信時間(年、月、日、曜日、時刻等)のデータと関連付け、それら関連付けられたデータを1まとまりのレポートとし、無線通信部15を用いて情報サーバ5に送信する。ステップ140の後、プログラム100の1回分の実行を終了する。
【0042】
このように、車載ナビゲーション装置2は、ユーザによる評価入力の要求があったとき、自車位置が目的地(すなわち対象施設)の近傍にあるか(ステップ110参照)、設定されている目的地に自車両が過去に訪れていれば(ステップ120参照)、ユーザによる対象施設についての評価の入力を受け付け(ステップ130参照)、受け付けた評価のレポートを情報サーバ5に送信する(ステップ140参照)。
【0043】
このようになっていることで、車載ナビゲーション装置2のユーザは、例えば目的地から自宅に戻ろうとして車両のイグニッションをオンとしたときに、当該目的地についての評価入力ウィンドウ72を入力することができるようになる。また、自車両が初めて目的地に到着したとき等、目的地の近傍にいても評価を入力するタイミングではない場合には、ユーザは、評価入力ウィンドウ72中の取消ボタン72hを選択する操作を行うことで評価入力ウィンドウ72を閉じることができる。同様の操作を行うことで、ステップ120で、過去に訪れたことのある目的地が選択される度に促される、レポート入力をキャンセルすることができる。
【0044】
また、情報サーバ5は、プログラム500の実行において、車載ナビゲーション装置2からのレポートの受信を待ち(ステップ510)、レポートを受信すると、ステップ520で、受信したレポート中の対象施設の名称データおよび所在位置データに基づいて、当該レポート中の対象施設が、評価データベース52a中のどの施設に対応するかを特定する。そして、受信したレポートを、評価データベース52a中の対応する施設のユーザ評価情報に反映させる。具体的には、当該ユーザ評価情報に、新たなユーザレコードを追加し、受信したレポート中の送信時間のデータ、各評価項目の評価値、およびコメント文を、それぞれそのユーザレコードの時間のデータ、項目別評価データ、およびコメントデータとする。
【0045】
このような通信システム90の作動により、複数の車載ナビゲーション装置2a〜cのそれぞれが、ユーザによる個別施設の個別評価の情報入力に基づいて、情報サーバ5に対して、個別施設についての個別評価を送信する。そして、情報サーバ5は、送信された個別評価を逐次受信して記録する。
【0046】
また、車載ナビゲーション装置2が、現在位置が当該個別施設の近傍にあるか否かを判定し、その判定結果が肯定的であることに基づいて、情報サーバ5に対して、当該個別施設についての当該個別評価を送信するようになっている。また、車載ナビゲーション装置2が、過去に当該個別施設を訪れたか否かを判定し、その判定結果が肯定的であることに基づいて、情報サーバ5に対して、当該個別施設についての当該個別評価を送信するようになっている。このように、情報サーバ5に対して個別評価を送信するための条件として、車両の現在位置と当該個別施設との関係、および、車両の過去の目的地の履歴を用いることで、情報サーバ5に送信される個別評価の信頼性が向上する。
【0047】
また、情報サーバ5から車載ナビゲーション装置2への施設情報の送信のために、車載ナビゲーション装置2の制御回路19は、図7に示すプログラム200の実行を繰り返し実行する。また、情報サーバ5の制御回路53は、図8に示すプログラム600を繰り返し実行する。
【0048】
プログラム200の実行において、車載ナビゲーション装置2の制御回路19は、まずステップ210で、ランキング検索要求のための操作スイッチ群13を用いた所定の操作をユーザが行うまで待ち、当該操作が行われると、続いてステップ220で、無線通信部15を用いて要求位置のデータを情報サーバ5に送信する。ここで、要求位置のデータは、自車両の現在位置でもよいし、目的地がユーザによって既に入力されている場合は、当該目的地の位置でもよい。
【0049】
また、プログラム600の実行において、情報サーバ5の制御回路53は、まずステップ610で、ネットワークインターフェース51を介して要求位置のデータを受信するまで待ち、当該データを受信すると、続いてステップ620で、評価データベース52aを読み出す。続いてステップ630で、読み出した評価データベース52aに基づいてランクキングデータを作成すると共に、当該ランキングデータを、要求位置のデータの送信元の車載ナビゲーション装置2に送信し、その後プログラム600の1回分の実行を終了する。
【0050】
ここで、ランキングデータの作成方法について説明する。制御回路53は、ランキングデータ生成の際、評価データベース52a中の各施設の位置情報に基づいて、受信した要求位置の近傍の施設を抽出する。ここで、ある施設が要求位置の近傍であるか否かは、要求位置から当該施設の所在地までの距離(直線距離、経路に沿った距離等)が基準値以下であるか否かに基づいて判定する。
【0051】
さらに、制御回路53は、抽出した複数の施設のそれぞれについて、当該施設のユーザ評価情報に基づいて、当該施設についての評価の統計情報を算出する。例えば、当該施設の複数のユーザレコードに基づいて、当該施設についての上記の各評価項目の評価値の1件当りの平均値を算出する。例えば、施設Aについてのユーザレコードが2つ記録されており、1番目のユーザレコードにおいては、眺望が5点、食事が1点となっており、2番目のユーザレコードにおいては、眺望が3点、食事が2点となっている場合、当該施設の統計情報は、眺望が4点、食事が1.5点となる。なお、ユーザレコードのうち、送信時間が所定時間(例えば1年)以上古いユーザレコードについては、統計情報の算出から除外するようになっていてもよい。このようにすることで、より鮮度の高い評価の統計を算出することができる。
【0052】
さらにこの統計情報に基づいて、抽出した施設の順位付け(すなわちランキング)を行う。このランキングは、各施設の統計情報に基づいて行う。例えば、特定の1つの評価項目の平均値の高い順に施設を順位付けする。なお、このランキングの結果は、複数の施設についての複数の評価の統計情報である。
【0053】
そして制御回路19は、ランキングデータとして、抽出された施設のそれぞれについての名称情報、所在位置情報、宣伝情報、統計情報、抽出された施設のコメントデータ、および、上述のようにして得たランキングの結果の情報を、ランキングデータとして車載ナビゲーション装置2に送信する。
【0054】
要求位置を送信した後、車載ナビゲーション装置2の制御回路19は、ステップ230で、無線通信部15を介してランキングデータを受信するまで待ち、ランキングデータを受信すると、続いてステップ240で、受信したランキングデータに基づいた情報提示を車載ナビゲーション装置2のユーザに対して行う。具体的には、画像表示装置12またはスピーカ14を制御することで、画像または音声で施設のランキングをユーザに示す。またこの際、個々の施設の統計情報を併せて提示する。なおこの際、各施設の宣伝情報を併せてユーザに提示してもよい。ステップ240の後、プログラム200の1回分の実行が終了する。
【0055】
図9に、画像表示装置12を用いたユーザへの提示形式の一例を示す。この例においては、画像表示装置12は、ランキング表示画面80を表示する。このランキング表示画面80においては、ランキングデータに含まれる要求位置の近傍の施設の情報が、ランキングデータ中のランキング結果に従った並びで、リスト形式で一覧表示されている。具体的には、施設評価チャート81a、施設名称ボタン82a、設定ボタン83aの組が、最も順位の高い○○ワイナリという施設についての情報表示である。また、施設評価チャート81b、施設名称ボタン82b、設定ボタン83bの組が、2番目に順位の高い△△蒸留所という施設についての情報表示である。また、施設評価チャート81c、施設名称ボタン82c、設定ボタン83cの組が、3番目に順位の高い□□ビール工場という施設についての情報表示である。
【0056】
ここで、施設評価チャート81a〜cは、対象とする施設についての各評価項目の統計情報(例えば平均値)をレーダーチャートの形式で表している。また、施設名称ボタン82a〜cは、対象とする施設の名称を表す画像であると共に、ユーザが操作スイッチ群13を用いて選択の操作を行うことができるボタンである。これらの施設名称ボタン82a〜cのうち1つが選択されると、制御回路19は、受信したランキングデータ中のコメントデータに基づいて、当該施設についてのユーザのコメント文を画像表示装置12に表示させる。また、設定ボタン83a〜cは、ユーザが操作スイッチ群13を用いて選択の操作を行うことができるボタンである。これらの施設名称ボタン82a〜cのうち1つが選択されると、制御回路19は、選択されたボタンに対応する施設を、誘導経路算出のための目的地に設定する。
【0057】
このように、通信システム90において、情報サーバ5は、複数の車載ナビゲーション装置2a〜cに、記録した各施設の個別評価に基づく、各施設についての評価の統計情報を送信する。そして、車載ナビゲーション装置2a〜cのそれぞれは、情報サーバから統計情報を受信して当該車載通信装置のユーザに提示する。
【0058】
このようになっていることで、施設の情報を記録・表示するための車載通信システムにおいて、情報サーバから送信される施設の情報に、その施設を実際に利用した車両のユーザの評価が反映されるようにすることが可能となる。
【0059】
なお、上記の実施形態において、車載ナビゲーション装置2a〜cおよび情報サーバ5が、通信システムの一例に相当する。また、車載ナビゲーション装置2a〜cのそれぞれが、車載通信装置の一例に相当する。また、データ記憶部18が記憶媒体の一例に総合する。また、車載ナビゲーション装置2の制御回路19が、プログラム100のステップ110を実行することで個別施設近傍判定手段の一例として機能し、ステップ120を実行することで訪問履歴判定手段の一例として機能し、ステップ130を実行することで、個別評価受付手段の一例として機能し、ステップ140を実行することで評価統計受信手段の一例として機能し、プログラム200のステップ230を実行することで個別評価送信手段の一例として機能し、ステップ240を実行することで評価統計提示手段の一例として機能し、また、現在位置特定処理を実行することで現在位置特定手段の一例として機能する。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0060】
例えば、情報サーバは、通信ネットワーク4上に分散して複数存在しており、図5および図8に示したような機能をそれら複数の情報サーバのいずれかが分担し、情報サーバ間の通信によってその機能の実行結果をやりとりすることで、結果的に1台の情報サーバと同等の機能を実現するようになっていてもよい。
【0061】
また、車載ナビゲーション装置2a〜cと情報サーバ5との通信は、必ずしも無線基地局3a〜c、通信ネットワーク4を介したものでなくともよく、他の形態のネットワークを介したものであってもよい。また、車載ナビゲーション装置2a〜cと情報サーバ5とは、直接通信するようになっていてもよい。
【0062】
また、情報サーバ5の制御回路53は、図5のステップ520で、レポートを受信すると直ちに各種ランキング表を作成して評価データベース52a中に記録するようになっていてもよい。
【0063】
また、制御回路19は、ステップ140では、目的地を評価の対象の施設としてレポート入力受付を行っているが、ここでユーザが評価の対象の施設を選択するために操作スイッチ群13を操作し、制御回路19がその操作に基づいて評価の対象の施設を特定するようになっていてもよい。
【0064】
また、ステップ210でユーザが操作スイッチ群13を用いて施設種別の指定を入力し、ステップ220で制御回路19が送信する要求位置のデータに当該施設種別を含め、ステップ630で制御回路53が要求位置中の当該施設種別に該当する施設だけを抽出してランキングするようになっていてもよい。すなわち、車載ナビゲーション装置2のユーザの指定に基づいてランキング対象の施設種別を絞り込んでもよい。
【0065】
また、ステップ210でユーザが操作スイッチ群13を用いて評価項目の指定を入力し、ステップ220で制御回路19が送信する要求位置のデータに当該評価項目を含め、ステップ630で制御回路53が要求位置中の当該評価項目に該当する施設だけを抽出してランキングするようになっていてもよい。すなわち、車載ナビゲーション装置2のユーザの指定に基づいてランキングに用いる評価項目を絞り込んでもよい。
【0066】
また、情報サーバ5から車載ナビゲーション装置2に送信されるユーザの評価の統計情報は、平均値、ランキングに限らず、どのような統計情報でもよい。
【0067】
また、車載ナビゲーション装置2は、現在位置が個別施設の近傍にあり、かつ、自車両が過去に当該個別施設を訪れたことがあると判定した場合に、ステップ130、140を実行するようになっていてもよい。この場合、現在位置が個別施設の近傍にあるという条件、および、自車両が過去に当該個別施設を訪れたことがあるという条件のいずれかが満たされない場合には、ステップ130、140の実行を行わないようになっていてもよい。
【0068】
また、車載ナビゲーション装置2は、ステップ110、120における判定の前にステップ130を実行し、その後、ステップ110、120のいずれかの判定が肯定なら、ステップ140を実行するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システム90のハードウェア構成を示す図である。
【図2】情報サーバ5のハードウェア構成を示す図である。
【図3】車載ナビゲーション装置2のハードウェア構成を示す図である。
【図4】車載ナビゲーション装置2の制御回路19が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図5】情報サーバ5の制御回路53が実行するプログラム500のフローチャートである。
【図6】地図表示画面70上に評価入力ウィンドウ72が表示された状態を示す図である。
【図7】車載ナビゲーション装置2の制御回路19が実行するプログラム200のフローチャートである。
【図8】情報サーバ5の制御回路53が実行するプログラム600のフローチャートである。
【図9】ランキング表示画面80を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1…車両、2…車載ナビゲーション装置、3…無線基地局、4…通信ネットワーク、
5…情報サーバ、11…位置検出器、12…画像表示装置、13…操作スイッチ群、
14…スピーカ、15…無線通信部、16…RAM、17…ROM、
18…データ記憶部、19…制御回路、51…ネットワークインターフェース、
52…データ記憶部、52a…評価データベース、53…制御回路、54…ROM、
55…RAM、70…地図表示画面、71…目的地マーク、
72…評価入力ウィンドウ、72a〜e…項目サブウィンドウ、
72f…メモ入力ボタン、72g…設定ボタン、72h…取消ボタン、
80…ランキング表示画面、81…施設評価チャート、82…施設名称ボタン、
83…設定ボタン、90…通信システム、
100、200、500、600…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載通信装置であって、
前記車両のユーザによる施設(以下、個別施設という)の評価(以下、個別評価という)の情報入力を受け付ける個別評価受付手段と、
複数の施設についての複数のユーザによる複数の評価を受信して記録する情報サーバに対して、前記個別施設についての前記個別評価を送信する個別評価送信手段と、
前記情報サーバから、前記情報サーバが記録した前記複数の評価に基づく、施設についての評価の統計情報を受信する評価統計受信手段と、
前記評価統計受信手段が受信した前記統計情報をユーザに提示する評価統計提示手段と、を備えた車載通信装置。
【請求項2】
前記車両の現在位置を特定する現在位置特定手段と、
前記現在位置特定手段が特定した前記現在位置が前記個別施設の近傍にあるか否かを判定する個別施設近傍判定手段と、を備え、
前記個別評価送信手段は、前記個別施設近傍判定手段の判定結果が肯定的であることに基づいて、前記情報サーバに対して、前記個別施設についての前記個別評価を送信することを特徴とする請求項1に記載の車載通信装置。
【請求項3】
ユーザの操作によって入力された目的地の履歴を記憶する記憶媒体と、
前記記憶媒体が記憶する前記履歴に基づいて、自車両が過去に前記個別施設を訪れたか否かを判定する訪問履歴判定手段と、を備え、
前記個別評価送信手段は、前記訪問履歴判定手段の判定結果が肯定的であることに基づいて、前記情報サーバに対して、前記個別施設についての前記個別評価を送信することを特徴とする請求項1に記載の車載通信装置。
【請求項4】
車両に搭載される車載通信装置のコンピュータに用いられるプログラムであって、前記コンピュータを、
前記車両のユーザによる施設(以下、個別施設という)の評価(以下、個別評価という)の情報入力を受け付ける個別評価受付手段、
複数の施設についての複数のユーザによる複数の評価を受信して記録する情報サーバに対して、前記個別施設についての前記個別評価を送信する個別評価送信手段、
前記情報サーバから、前記情報サーバが記録した前記複数の評価に基づく、施設についての評価の統計情報を受信する評価統計受信手段、および
前記評価統計受信手段が受信した前記統計情報をユーザに提示する評価統計提示手段、として機能させるプログラム。
【請求項5】
複数の車両のそれぞれに搭載された複数の車載通信装置と、前記複数の車載通信装置のそれぞれと通信する情報サーバと、を備えた通信システムであって、
前記情報サーバは、前記複数の車載通信装置から、前記複数の車両の複数のユーザによる複数の施設についての評価を受信して記録すると共に、前記複数の車載通信装置に、記録した前記評価に基づく、施設についての評価の統計情報を送信し、
前記複数の車載通信装置のそれぞれは、前記情報サーバから前記統計情報を受信して当該車載通信装置のユーザに提示すると共に、当該ユーザによる施設(以下、個別施設という)の評価(以下、個別評価という)の情報入力に基づいて、前記情報サーバに対して、前記個別施設についての前記個別評価を送信することを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−15787(P2008−15787A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−186227(P2006−186227)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】