説明

施設利用管理装置

【課題】施設で実際に行われているイベントの質や量について評価できるようにする。
【解決手段】事前に会議予約情報をスケジュール情報記憶部42に登録すると共に、各会議室R1〜RnにおいてセンサSr1〜Srn,Sro1〜Sronにより検出された照度及び温度の検出データを収集してセンサ情報記憶部41に記憶させる。そして、会議ごとにその会議予約情報及び照度及び温度の検出データをもとに、実施率算出部341、遅延率算出部342及び活動量算出部343によりそれぞれ会議の時間的な実施率、時間的な遅延率及び活動量の評価パラメータを算出し、その算出結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、会議室等の施設の利用状況を管理する施設利用管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
会議室等の施設を利用する際には、その利用状況や設備の設置状況を把握し、かつ参加者の人数や来訪者の有無等の会議の性質や規模に応じた適切な会議室を予約することが必要となる。
そこで、データベースを設けることで利用者端末から会議室の予約処理を行えるようにした会議室予約システムが提案されている。このシステムは、例えば会議室の利用状況及び設備の設置状況を管理する会議予約データベースや来訪者データベースを設け、利用者端末から上記データベースを検索することで各状況を確認した上で予約を行えるようにし、さらに参加者に対し開催案内メールを自動配信するものである。この種のシステムを利用することで、会議室の管理業務を大幅に効率化することが可能となる(例えば非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“会議室予約システム/受付支援システム”、関電システムソリューションズ株式会社、[2011年3月22日検索]、インターネット<URL:http://ks-sol.jp/solution/appo.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、会議室が備える設備の効率的運用や業務の効率化を検討する上では、会議室の予約状況ばかりでなく、会議室で実際に行われている会議の質や量を把握することが重要である。しかしながら、従来提案されている会議室予約システムは、会議室の運用を効率化することはできるが、会議室で実際に行われている会議の質や量に関する評価を行えない。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、施設で実際に行われているイベントの質や量について評価できるようにした施設利用管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためにこの発明の一つの観点は、少なくとも施設の利用開始予定時刻及び利用終了予定時刻を表す情報を含む利用予約情報の入力を受付けて記憶媒体に記憶すると共に、前記施設に設置されたセンサにより検出される当該施設の状態を表すセンサ情報を受信し記憶媒体に記憶する。そして、前記記憶された利用予約情報及びセンサ情報に基づいて、前記施設で行われるイベントの質を定量的に評価するための特徴量を算出し出力するようにしたものである。
したがって、利用予約情報及びセンサ情報をもとに算出された施設の実際の利用状態を表す特徴量情報から、施設で実際に行われたイベントの質を定量的に評価することが可能となり、その評価結果を例えば会社設備の効率化や業務の効率化の検討に役立たせることが可能となる。
【0007】
また、この発明の一つの観点は以下のような種々態様を備えることも特徴とする。
第1の態様は、施設の状態を表すセンサ情報として、施設の照度に関する情報を受信し記憶するものである。施設の照度に関する情報を用いることで、施設の実際の利用開始時刻、終了時刻及び利用時間帯を算出することが可能となる。
【0008】
第2の態様は、前記センサ情報を記憶する手段は、前記施設の状態を表すセンサ情報として、施設の温度に関する情報を受信し記憶するものである。施設の温度に関する情報を用いることで、施設において行われるイベントの活性度を評価するための情報を算出することが可能となる。
【0009】
第3の態様は、前記特徴量を算出する際に、先ず前記記憶媒体から前記利用予約情報を読み出し、この読み出された利用予約情報に含まれる利用開始予定時刻及び利用終了予定時刻を表す情報をもとに施設の利用予定時間帯を算出する。次に、この算出された利用予定時間帯とその前後の予め決められた時間帯において検出された前記施設の照度に関する情報を前記記憶媒体から読み出し、この読み出された施設の照度に関する情報をもとに前記施設の実際の利用時間帯を算出する。そして、この算出された実際の利用時間帯と前記利用予定時間帯との比をもとに、前記施設におけるイベントの時間的な実施率を算出するものである。
このようにすると、施設におけるイベントの時間的な実施率が算出され、これにより施設が有効に利用されているか否かを評価することが可能となる。
【0010】
第4の態様は、前記特徴量を算出する際に、先ず前記記憶媒体から前記利用予約情報を読み出し、この読み出された利用予約情報に含まれる利用開始予定時刻及び利用終了予定時刻を表す情報をもとに施設の利用予定時間帯を算出する。次に、この算出された利用予定時間帯とその後の予め設定された時間帯において検出された前記施設の照度に関する情報を前記記憶媒体から読み出し、この読み出された施設の照度に関する情報をもとに前記施設の実際の利用終了時刻を算出する。そして、この算出された実際の利用終了時刻と前記利用終了予定時刻との差と、前記利用予定時間帯との比をもとに、前記施設におけるイベントの時間的な遅延率を算出するものである。
このようにすると、施設において行われたイベントの時間的な遅延率が算出され、これにより施設が利用予約情報の通りに適正に利用されているか否かを評価することが可能となる。
【0011】
第5の態様は、前記特徴量を算出する際に、前記イベントの実施時間帯において検出された前記施設の温度に関する情報を前記記憶媒体から読み出し、この読み出された施設の温度に関する情報をもとにイベントの実施時間帯における施設の温度上昇の度合いを算出するものである。
このようにすると、イベントの実施時間帯における施設の温度上昇の度合いから、参加者の活動量、つまり活気の度合いを評価することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
すなわちこの発明によれば、施設で実際に行われているイベントの質や量について評価することができる施設利用管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明に係る施設利用管理装置の一実施形態である会議室利用管理装置を備えたシステムの概略構成図。
【図2】この発明の一実施形態に係る会議室利用管理装置の機能構成を示すブロック図。
【図3】図2に示した会議室利用管理装置による管理制御手順と制御内容を示すフローチャート。
【図4】図3に示したフローチャートのうち特徴量算出処理の手順と処理内容を示すフローチャート。
【図5】図2に示した会議室利用管理装置のスケジュール情報記憶部に記憶されるスケジュール情報の一例を示す図。
【図6】図2に示した会議室利用管理装置のセンサ情報記憶部に記憶されるセンサ情報の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[一実施形態]
(構成)
図1は、この発明に係る施設利用管理装置の一実施形態である会議室利用管理装置を備えたシステムの概略構成図であり、SVは会議室利用管理装置、UT1〜UTkは利用者端末、R1〜Rnは管理対象の会議室をそれぞれ示している。
【0015】
会議室R1〜Rnにはそれぞれ室内センサSr1〜Srn、室外センサSro1〜Sron及び中継器C1〜Cnが設置されている。室内センサSr1〜Srn及び室外センサSro1〜Sronはそれぞれ照度センサ及び温度センサを有する。そして、室内センサSr1〜Srn及び室外センサSro1〜Sronは、それぞれ会議室内及び会議室外の照度と温度を予め設定された周期で定期的に検出し、その検出データを中継器C1〜Cnへ出力する機能を有する。
【0016】
中継器C1〜Cnは、上記室内センサSr1〜Srn及び室外センサSro1〜Sronから出力された検出データに当該センサの識別情報(センサID)を付与する。そして、このセンサIDが付与された検出データを、通信ネットワークNWで伝送するために必要なデータフォーマットに変換したのち、通信ネットワークNWを介して会議室利用管理装置SVへ送信する機能を有する。なお、通信ネットワークNWは、例えばLAN(Local Area Network)又は無線LANにより構成される。
【0017】
会議室利用管理装置SVは例えばサーバコンピュータからなり、以下のように構成される。図2はその機能構成を示すブロック図である。すなわち、会議室利用管理装置SVは通信インタフェースユニット1と、入出力インタフェースユニット2と、制御ユニット3と、記憶ユニット4を備えている。
【0018】
通信インタフェースユニット1は、制御ユニット3の制御の下で、通信ネットワークNWで規定された通信プロトコルに従い、利用者端末UT1〜UTk及び各中継器C1〜Cnとの間で情報の送受信を行う。
【0019】
入出力インタフェースユニット2には、入力デバイス5及び表示デバイス6が接続されている。入出力インタフェースユニット2は、入力デバイス5により入力された会議室R1〜Rnの予約情報及び定量評価実施要求を制御ユニット3に転送すると共に、制御ユニット3から出力された特徴量データを表示デバイス2に表示させる。
【0020】
記憶ユニット4は、例えば記憶媒体としてHDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)を使用したもので、この発明の実施形態を実施する上で必要なデータベースとして、センサ情報記憶部41と、スケジュール情報記憶部42と、特徴量記憶部43を備えている。
【0021】
センサ情報記憶部41は、上記各会議室R1〜Rnに設置された室内センサSr1〜Srn及び室外センサSro1〜Sronにより検出されたセンサ情報を記憶するために使用される。スケジュール情報記憶部42は、上記入力デバイス5により入力された会議室予約情報を記憶するために使用される。特徴量記憶部43は、後述する制御ユニット3により算出される、会議室で実施された会議の特徴量データを記憶するために使用される。
【0022】
制御ユニット3は中央処理ユニット(Central Processing Unit;CPU)を有し、この発明の実施形態を実施する上で必要な制御機能として、センサ情報受信制御部31と、スケジュール情報登録制御部32と、定量評価実施制御部33と、特徴量算出処理部34と、特徴量出力制御部35を備えている。なお、これらの制御部31〜35の機能は、何れも図示しないプログラムメモリに格納されたアプリケーション・プログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0023】
センサ情報受信制御部31は、上記各会議室R1〜Rnの中継器C1〜Cnからセンサの検出データが送信されるごとに、この検出データを通信インタフェースユニット1により受信し、この受信された検出データをセンサ情報として上記センサ情報記憶部41に記憶させる処理を行う。
【0024】
スケジュール情報登録制御部32は、上記入力デバイス5において会議室予約情報が入力された場合に、この入力された会議室予約情報を入出力インタフェースユニット2を介して受け取る。そして、この会議室予約情報に会議識別情報(会議ID)を付与し、この会議IDが付与された会議予約情報をスケジュール情報として上記スケジュール情報記憶部42に記憶させる処理を行う。
【0025】
定量評価実施制御部33は、入力デバイス5において定量評価の実施要求の入力操作が行われた場合に、この入力された実施要求を入出力インタフェースユニット2を介して取り込む。そして、図示しない利用者データベースに記憶された利用者情報をもとに要求元の利用者に対する認証を行い、利用者の正当性が確認された場合に特徴量算出処理部34に対し上記定量評価の実施要求を与える。
【0026】
特徴量算出処理部34は、その処理機能として実施率算出部341と、遅延率算出部342と、活動量算出部343を有し、以下の処理を実行する。
(1) 上記定量評価実施制御部34から定量評価の実施要求が与えられた場合に、当該実施要求により指定された会議IDに関連付けられた会議予約情報を上記スケジュール情報記憶部42から読み出す。またそれと共に、上記読み出された会議予約情報に含まれる会議開始予定日時の一定時間前から上記会議予約情報に含まれる会議終了予定日時の一定期間後までの期間に検出されたセンサ情報を、上記センサ情報記憶部41から読み出す処理。
【0027】
(2) 上記読み出された会議予約情報に含まれる会議開始予定日時と終了予定日時とから会議予定時間帯を算出し、この算出された会議予定時間帯と上記読み出されたセンサ情報とに基づいて、上記実施率算出部341、遅延率算出部342及び活動量算出部343によりそれぞれ会議の時間的な実施率、時間的な遅延率及び活動量の評価パラメータを算出し、その算出結果を会議IDと関連付けて上記特徴量記憶部43に記憶させる処理を行う。
【0028】
特徴量出力制御部35は、入力デバイス5により特徴量出力要求が入力された場合に、この要求により指定された会議IDに関連付けられた特徴量データを上記特徴量記憶部43から読み出し、この読み出された特徴量データを入出力インタフェースユニット2を介して表示デバイス6に表示させる処理を行う。
【0029】
(動作)
次に、以上のように構成されたシステムの動作を、会議室利用管理装置SVの制御手順に従い説明する。図3は会議室利用管理装置SVの制御手順と制御内容を示すフローチャートである。
【0030】
(1)スケジュール情報の登録
会議の利用予約情報、つまりスケジュール情報の登録は、会議室利用管理装置SVの入力デバイス5を操作することにより行われる。
待ち受け状態において、会議室利用管理装置SVの制御ユニット3はステップS1でスケジュール情報の入力操作を監視している。この状態で、利用者からの要求に応じて管理担当者が入力デバイス5において会議予約情報を入力したとする。そうすると、制御ユニット3はステップS2によりスケジュール情報登録制御部32を起動し、このスケジュール情報登録制御部32の制御の下で、上記入力された会議室予約情報を入出力インタフェースユニット2から取り込む。そして、この取り込んだ会議室予約情報に対し会議を識別するための会議IDを付与し、この会議IDが付与された会議室予約情報をスケジュール情報記憶部42に記憶させる。
【0031】
例えば、いま登録要求元の利用者の利用者IDをuとし、会議IDをmとすると、会議室予約情報はベクトルX(u,m)で表される。ベクトルX(u,m)の成分は、会議名:Num、会議室名:Rum、会議開始日時時刻:Sum、会議終了日時時刻:Eumにより表される。図5は、スケジュール情報記憶部42に記憶された会議室予約情報の一例を示すものである。
【0032】
(2)センサ情報の収集と蓄積
室内センサSr1〜Srn及び室外センサSro1〜Sronでは、予め設定された周期で会議室内及び会議室外の照度と温度が検出される。そして、その検出データは中継器C1〜Cnから会議室利用管理装置SVへ送信される。
会議室利用管理装置SVでは、制御ユニット3がステップS3において検出データ(センサ情報)の受信を監視している。この状態で、通信インタフェースユニット1により検出データが受信されると、制御ユニット3はステップS4によりセンサ情報受信制御部31を起動する。そして、このセンサ情報受信制御部31の制御の下で、上記通信インタフェースユニット1から検出データを取り込み、この検出データをセンサ情報記憶部41に記憶させる。
【0033】
例えば、いまセンサIDをrとすると、検出データはベクトルY(r) で表される。ベクトルY(r) の成分は、検出時刻をtとすると、照度:Lr (t)と、温度:Tr (t)で表される。図6は、センサ情報記憶部41にセンサ情報として記憶された検出データの一例を示すものである。
以後、新たな検出データが受信されるごとに、同様に当該検出データを受信しセンサ情報記憶部41に記憶させる処理が繰り返し行われる。
【0034】
(3)特徴量の算出
会議室利用管理装置SVの制御ユニット3は、ステップS5において定量評価の実施要求の入力を監視している。この状態で、管理担当者が入力デバイス5において、自身の利用者ID及びパスワードを入力した上で定量評価の実施要求を入力したとする。なお、定量評価の実施要求には評価対象となる会議の会議IDを含める。
【0035】
そうすると制御ユニット3は、定量評価実施制御部33の制御の下で、上記入力された利用者ID及びパスワードと定量評価の実施要求を入出力インタフェースユニット2を介して取り込む。そして、先ず上記利用者ID及びパスワードを、図示しない利用者データベースに記憶された利用者情報と照合することにより要求元の利用者に対する認証を行い、利用者の正当性が確認された場合に特徴量算出処理部34に対し上記定量評価の実施要求を与える。
【0036】
上記定量評価の実施要求が与えられると、ステップS6において特徴量算出処理部34が起動し、以後この特徴量算出処理部34の制御の下で以下のように特徴量の算出処理が実行される。図4はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
(3−1)会議の実施率の算出
特徴量算出処理部34は、先ず実施率算出部341を起動する。そして、この実施率算出部341の制御の下で、ステップS61により、上記定量評価の実施要求により指定された会議IDに関連付けられた会議予約情報を上記スケジュール情報記憶部42から読み出す。またそれと共に、上記読み出された会議予約情報に含まれる会議開始予定日時Sumの一定時間前から上記会議予約情報に含まれる会議終了予定日時Eumの一定期間後までの期間に検出された照度情報L(t) を、上記センサ情報記憶部41から読み出す。
【0037】
続いてステップS62において、上記読み出された照度情報L(t) の中から、会議開始予定日時Sumに最も近いタイミングで照度が一定レベル以上増加した照度情報を抽出し、この照度情報の検出時刻を会議室の点灯時刻、つまり実際の会議開始時刻Ts として検出する。またそれと共に、上記読み出された照度情報L(t) の中から、会議終了予定日時Eumに最も近いタイミングで照度が一定レベル以下に低下した照度情報を抽出し、この照度情報の検出時刻を会議室の消灯時刻、つまり実際の会議終了時刻Te として検出する。さらに、上記読み出された会議予約情報に含まれる会議開始予定日時Sumと終了予定日時Eumとから会議予定時間帯Eum−Sumを算出する。
【0038】
そして、上記実際の会議開始時刻Ts 及び会議終了時刻Te と、会議予定時間帯Eum−Sumとをもとに、会議の予定時間帯Eum−Sumに対する実際の会議時間の比を算出し、その算出結果を実際の時間的な実施率とする。この実施率の計算式を以下に示す。
f1{X(u,m),Yr }=(Te −Ts )/(Eum−Sum)
そして、上記算出された会議の時間的な実施率f1は、会議IDと関連付けられて特徴量記憶部43に記憶される。
【0039】
(3−2)会議の遅延率の算出
次に特徴量算出処理部34は、ステップS63により遅延率算出部342を起動し、この遅延率算出部342の制御の下で、会議予定情報に登録された会議予定時間帯に対する実際の会議時間の遅延率を以下のように算出する。すなわち、いま実際の会議終了時刻Te と、会議予定時間帯Eum−Sumは上記実施率算出処理において算出されているため、これらのパラメータを用いて、会議予定時間帯Eum−Sumに対する実際の会議時間の遅延率を以下の式により算出する。
f2{X(u,m),Yr }=(Te −Eum)/(Eum−Sum)
そして、上記算出された実際の会議時間の遅延率f2は、会議IDと関連付けられて特徴量記憶部43に記憶される。
【0040】
(3−3)会議の活動量の算出
次に特徴量算出処理部34は活動量算出部343を起動し、この活動量算出部343の制御の下で会議における参加者の活動量、つまり会議の活性度を以下のように算出する。すなわち、先ずステップS64において、上記実際の会議開始時刻Ts と実際の会議終了時刻Te との間に検出された室内及び室外の各温度情報Tr(t),Tro(t)を、センサ情報記憶部41から読み出す。
【0041】
続いてステップS65において、上記読み出された室内及び室外の各温度情報Tr(t),Tro(t)をもとに、下式により会議の活動量を評価するためのパラメータf3 を算出する。

Te
f3{X(u,m),Yr }=(1/n)Σ{Tr(t)−Tro(t)}
t=Ts
ただし、nは上記実際の会議開始時刻Ts と実際の会議終了時刻Te との間に検出された室内及び室外の各温度情報Tr(t),Tro(t)のデータ数である。
【0042】
すなわち、会議時間中における会議室内の温度と室外の温度との差の平均値が求められ、この算出された温度差の平均値が会議の活動量を評価するためのパラメータf3 となる。そして、上記算出された会議の活動量を評価するためのパラメータf3 は、会議IDと関連付けられて特徴量記憶部43に記憶される。
【0043】
上記実施率f1 、遅延率f2 及び活動量を評価するためのパラメータf3 が算出されると、特徴量算出処理部34は上記定量評価実施要求により指定された全ての会議IDについて算出処理が終了したか否かをステップS65により判定する。そして、未計算の会議IDが残っていれば、ステップS91に戻って上記したステップS61〜ステップS65により算出処理を繰り返し実行する。
【0044】
(4)特徴量の出力処理
管理担当者が入力デバイス5において、注目する会議の特徴量を閲覧するべく当該会議の会議IDを入力した上で会議特徴量の出力要求を入力したとする。そうすると会議室利用管理装置SVの制御ユニット3は特徴量出力制御部35起動する。そして、この特徴量出力制御部35の制御の下、ステップS7からステップS8に移行して、上記出力要求に含まれる会議IDをもとに特徴量記憶部43から該当する特徴量算出データを読み出す。続いて、この読み出された特徴量算出データを入出力インタフェースユニット2へ出力する。この結果、入出力インタフェースユニット2により上記特徴量算出データが表示デバイス6に表示される。
【0045】
なお、上記出力要求に応じて、スケジュール情報記憶部42からは会議IDに関連付けられた会議予約情報が読み出され、この読み出された会議予約情報が上記特徴量算出データと共に表示デバイス6に表示される。
【0046】
この表示された会議予約情報と特徴量算出データをもとに、管理担当者は実施済の各会議について例えば以下のような評価を行うことが可能となる。
(1) 会議の振り返り
実施率及び遅延率をもとに、会議ごとに開始・終了の傾向を把握することができる。また、活動量を評価するためのパラメータをもとに活動量の大きい会議を俯瞰し、その特徴を把握することができる。また、実施率をもとに不実施の会議を俯瞰し、その会議名や主催者を把握することが可能となる。さらに、会議予測情報をもとに重要な会議及び重要な参加者のピックアップを行ったり、会議及びその参加者のクラスタリングを行うことが可能となる。
【0047】
(2) 行動予測
遅延率から、今後行われる予定の同種の会議の会議終了時刻を予測することが可能となる。
【0048】
(3) レコメンド
制御ユニット3が、会議中にその会議終了時刻Te を監視し、会議終了時刻Teが検出された時点で当該会議終了時刻Te を会議予約情報の会議終了予定時刻と共に表示デバイス6に表示することで、管理担当者は会議が予定より早く終了した場合に次の会議を予約している利用者に対し前の会議が終了した旨を連絡することができる。
また、実施率の低い会議名及びその主催者に対しマーキングを行い、原因を把握することができる。
【0049】
(4) リマインド
会議ごとにその会議予約情報の会議開始予定時刻を監視し、当該会議開始予定時刻になっても会議が始まらない場合には、当該会議の主催者に督促の連絡を行うことが可能となる。
【0050】
(5) 節電対策
会議終了時刻Teが検出された後、空調機器、プロジェクタや電子黒板等の会議設備の電源を監視し、これらの機器の電源を切断することができる。
【0051】
なお、以上述べた(1) 〜(5) の各処理は管理担当者が行うのではなく、これらの処理を実行するアプリケーション・プログラムを会議室利用管理装置SVにインストールし、会議室利用管理装置SVがこれらのアプリケーション・プログラムを実行することにより自動的に上記(1) 〜(5) の各処理を自動的に実行するように構成してもよい。
【0052】
(実施形態の作用効果)
以上述べたようにこの実施形態では、事前に会議予約情報をスケジュール情報記憶部42に登録すると共に、各会議室R1〜RnにおいてセンサSr1〜Srn,Sro1〜Sronにより検出された照度及び温度の検出データを収集してセンサ情報記憶部41に記憶させる。そして、会議ごとにその会議予約情報及び照度及び温度の検出データをもとに、実施率算出部341、遅延率算出部342及び活動量算出部343によりそれぞれ会議の時間的な実施率、時間的な遅延率及び活動量の評価パラメータを算出し、その算出結果を出力するようにしている。
【0053】
したがって、会議の時間的な実施率、時間的な遅延率及び活動量の評価パラメータが算出されて管理担当者に提示されるので、管理担当者はこの提示された評価パラメータにより会議の実施状態を定量的に評価することが可能となり、その評価結果を例えば会社設備の効率化や業務の効率化の検討に役立たせることが可能となる。
【0054】
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記一実施形態では会議室予約情報を管理担当者が会議室利用管理装置SVの入力デバイス5から入力することにより登録する場合を例にとって説明した。しかし、利用者本人が利用者端末UT1〜UTkから会議室利用管理装置SVに対しアクセスし、会議室利用管理装置SVから提示される入力フォーマットに従い入力して登録するようにしてもよい。
【0055】
また、前記実施形態では室内センサSr1〜Srn及び室外センサSro1〜Sronにより一定の周期で照度及び温度を検出し、その検出データを中継器C1〜Cnがその都度会議室利用管理装置SVへ送信するようにした。しかしこれに限らず、上記検出周期より長く設定した所定期間分の検出データを中継器C1〜Cnに蓄積したのち一括して会議室利用管理装置SVへ送信するようにしてもよい。また、会議室利用管理装置SVが定期的又は任意のタイミングで中継器C1〜Cnに対し検出データの送信要求を送り、この送信要求に応じて中継器C1〜Cnが蓄積された検出データを会議室利用管理装置SVへ送信するようにしてもよい。
【0056】
さらに、前記一実施形態では会議室利用管理装置SVの入力デバイス5から定量評価実施要求及び特徴量算出データの出力要求を入力し、これらの要求に応じて特徴量算出処理を行って、その算出結果を会議室利用管理装置SVの表示デバイス6に表示するようにした。しかし、利用者端末UT1〜UTkから会議室利用管理装置SVへ定量評価実施要求及び特徴量算出データの出力要求を送信し、これらの要求に応じて会議室利用管理装置SVが特徴量算出処理を行ってその算出結果を要求元の利用者端末UT1〜UTkへ返送するようにしてもよい。
【0057】
前記実施形態では会議室の利用状況を管理する場合を例にとって説明したが、会議室以外に体育館や視聴覚室、スタジオ、料理実習室、工作室、実験室、図書室等の施設の利用状況を管理する場合にも、この発明は適用可能である。その他、センサの種類、施設利用管理装置の構成や制御手順及び制御内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0058】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0059】
SV…会議室利用管理装置、UT1〜UTk…利用者端末、NW…通信ネットワーク、R1〜Rn…会議室、Sr1〜Srn…室内センサ、Sro1〜Sron…室外センサ、C1〜Cn…中継器、1…通信インタフェースユニット、2…入出力インタフェースユニット、3…制御ユニット、4…記憶ユニット、5…入力デバイス、6…表示デバイス、31…センサ情報受信制御部、32…スケジュール情報登録制御部、33…定量評価実施制御部、34…特徴量算出処理部、341…実施率算出部、342…遅延率算出部、343…活動量算出部、35…特徴量出力制御部、41…センサ情報記憶部、42…スケジュール情報記憶部、43…特徴量記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも施設の利用開始予定時刻及び利用終了予定時刻を表す情報を含む利用予約情報の入力を受付けて記憶媒体に記憶する手段と、
前記施設に設置されたセンサにより検出される当該施設の状態を表すセンサ情報を受信し記憶媒体に記憶する手段と、
前記記憶された利用予約情報及びセンサ情報に基づいて、前記施設で行われるイベントの質を定量的に評価するための特徴量を算出する手段と、
前記算出された特徴量を表す情報を出力する手段と
を具備することを特徴とする施設利用管理装置。
【請求項2】
前記センサ情報を記憶する手段は、前記施設の状態を表すセンサ情報として、施設の照度に関する情報を受信し記憶するものである請求項1記載の施設利用管理装置。
【請求項3】
前記センサ情報を記憶する手段は、前記施設の状態を表すセンサ情報として、施設の温度に関する情報を受信し記憶するものである請求項1又は2記載の施設利用管理装置。
【請求項4】
前記特徴量を算出する手段は、
前記記憶媒体から前記利用予約情報を読み出し、この読み出された利用予約情報に含まれる利用開始予定時刻及び利用終了予定時刻を表す情報をもとに施設の利用予定時間帯を算出する手段と、
前記算出された利用予定時間帯とその前後の予め決められた時間帯において検出された前記施設の照度に関する情報を前記記憶媒体から読み出し、この読み出された施設の照度に関する情報をもとに前記施設の実際の利用時間帯を算出する手段と、
前記算出された実際の利用時間帯と前記利用予定時間帯との比をもとに前記施設におけるイベントの時間的な実施率を算出する手段と
を備えることを特徴とする請求項2記載の施設利用管理装置。
【請求項5】
前記特徴量を算出する手段は、
前記記憶媒体から前記利用予約情報を読み出し、この読み出された利用予約情報に含まれる利用開始予定時刻及び利用終了予定時刻を表す情報をもとに施設の利用予定時間帯を算出する手段と、
前記算出された利用予定時間帯とその後の予め設定された時間帯において検出された前記施設の照度に関する情報を前記記憶媒体から読み出し、この読み出された施設の照度に関する情報をもとに前記施設の実際の利用終了時刻を算出する手段と、
前記算出された実際の利用終了時刻と前記利用終了予定時刻との差と、前記利用予定時間帯との比をもとに、前記施設におけるイベントの時間的な遅延率を算出する手段と
を備えることを特徴とする請求項2記載の施設利用管理装置。
【請求項6】
前記特徴量を算出する手段は、
前記イベントの実施時間帯において検出された前記施設の温度に関する情報を前記記憶媒体から読み出す手段と、
前記読み出された施設の温度に関する情報をもとにイベントの実施時間帯における施設の温度上昇の度合いを算出する手段と
を備えることを特徴とする請求項3記載の施設利用管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−45369(P2013−45369A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184108(P2011−184108)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)