説明

施設情報案内システムおよび方法

【課題】通信コストの増加を防止できる施設情報案内システムを提供する。
【解決手段】位置情報案内装置2は、施設情報を予め記憶しており、端末1により検索条件と位置情報とを通知されると、検索条件を満たす利用状況監視装置3を抽出し、抽出した利用状況監視装置3から待機時間を取得するとともに位置情報に含まれる位置から施設までの移動にかかる移動時間を算出し、待機時間と移動時間を合算して所要時間を算出し、所要時間に基づいて、抽出した施設の中から端末1に通知する施設を選択し、選択した施設の施設情報を端末に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの要求に応じて施設の情報を案内する位置情報案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)が搭載された携帯端末が広く普及しつつある。GPSを搭載した携帯端末は自身の位置を正確に検出することができる。ユーザの要求に応じてレストランや駐車場などの施設の情報を案内する位置情報案内システムにおいて、GPSで検出した携帯端末の位置情報を用いれば施設までの移動にかかる距離(移動距離)を正確に算出できる。またその移動距離を平均的な移動速度で除算することにより移動時間を算出することもできる。これにより、ユーザは周辺の施設のまでの移動にかかる時間を知ることができる(特許文献1参照)。
【0003】
しかし、ユーザが周辺の施設の中から、移動時間を考慮にして施設を決定しても、特許文献1に記載された携帯端末を備える位置情報案内システムでは、目的の施設の混雑している状況を知ることができなかった。そのため、ユーザが移動時間の短い施設に到着しても、施設自体が混雑している場合があり、その場合、長い待機時間が発生してしまうという問題点があった。
【0004】
これに対して、施設での待機時間を考慮できる位置情報案内システムが開示されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載された位置情報案内システムでは、ユーザは施設までの移動時間に加えて施設での待機時間を考慮して施設を決定できる。
【0005】
図11は特許文献2における位置情報案内システムの構成を示すブロック図である。本位置情報案内システムは、携帯端末90、位置情報案内装置91、および利用状況監視装置92,93,94を有している。
【0006】
利用状況監視装置92,93,94はそれぞれ異なる施設に設置しており、施設での待機時間が変化したことを検出する。例えば、レストランの入口付近に人の存在をチェックするための赤外線センサーを一定間隔の距離で複数設置しておく。赤外線センサーがどこまで人を感知しているかにより、利用状況監視装置92,93,94は、順番待ちの行列の長さを検出し、検出した行列の長さに基づいて順番待ち人数を推定する。そして、利用状況監視装置92,93,94は、1人当たりの平均待機時間を予め記憶しており、推定した待ち人数を記憶している1人当たりの平均待機時間に乗算して待機時間を算出する。
【0007】
また、利用状況監視装置92,93,94は、インターネットを介して位置情報案内装置91と接続しており、待機時間の変化が検出されると、検出された待機時間を位置情報案内装置91に送信する。
【0008】
位置情報案内装置91は、インターネットを介して利用状況監視装置92,93と接続しており、各利用状況監視装置92,93,94から待機時間を受信すると、内部に記憶する。
【0009】
また、位置情報案内装置91は、インターネットを介して携帯端末90と接続しており、携帯端末90から配信要求を受けると、その携帯端末90の位置情報を収集する。位置情報とは、例えば緯度および経度についての情報である。
【0010】
位置情報案内装置91は、携帯端末90から位置情報を収集すると、収集した位置情報に基づいて携帯端末90から情報提供装置92,93,94までの移動時間を計算する。続いて、位置情報案内装置91は、内部に記憶した待機時間と算出した移動時間とを情報提供装置92,93,94ごとに合計し、それぞれの情報提供装置92,93,94へ入場するために必要な時間(以下「所要時間」という)を算出する。そして、位置情報案内装置91は、施設を所要時間が短い順に順位付けした情報を携帯端末90に送信する。
【特許文献1】特開2004−15369号公報
【特許文献2】特開2003−256508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献2に記載された位置情報案内システムでは、施設で待機時間が変化すると、利用状況監視装置92,93,94が位置情報案内装置91に所要時間を送信する。そのため、施設で人の出入りが頻繁にあると、位置情報案内装置91と利用状況監視装置92,93,94との間のデータ通信が頻繁に発生し、通信コストが増加してしまうという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、通信コストの増加を防止できる位置情報案内サービスシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の施設情報案内システムは、
端末から検索条件と位置情報の通知を受け、前記検索条件と前記位置情報に基づいて選択した施設の施設情報を端末に通知する施設情報案内システムであって、
複数の施設のそれぞれに設置され、設置された前記施設を利用するための待機時間を監視する複数の利用状況監視装置と、
前記利用状況監視装置が設置された複数の施設の所在地情報を含む施設情報を予め記憶しており、前記端末から前記検索条件と前記位置情報を通知されると、前記施設情報の検索により前記検索条件を満たす施設を抽出し、前記抽出した施設に設置されている利用情報監視装置から待機時間を取得するとともに、前記位置情報によって示される前記位置と前記施設情報に含まれている所在地情報によって示される前記施設の位置とから、前記位置から前記施設までの移動にかかる移動時間を算出し、前記待機時間と前記移動時間を合算して所要時間を算出し、前記所要時間に基づいて、前記抽出した施設の中から前記端末に通知する施設を選択し、選択した前記施設の施設情報を前記端末に通知する位置情報案内装置と、を有している。
【0014】
本発明によれば、位置情報案内装置は、端末により検索条件が指定されると、検索条件を満たす利用状況監視装置を抽出し、抽出した利用状況監視装置に対して待機時間を要求するので、利用状況監視装置が待機時間の変化を検出しても、位置情報案内装置に検出した時間を自律的に送信することがなく、位置情報案内装置が設置されている施設で待機時間が頻繁に変化しても、位置情報案内装置と利用状況監視装置との間のデータ通信が頻繁に発生することがない。これにより、通信コストの増加を防止できる。
【0015】
また、前記位置情報案内装置は、前記抽出した施設の中から前記端末に通知する施設を選択するとき、前記所要時間の短い順に所定数以内の施設を抽出するようにしてもよい。
【0016】
これによれば、より通信コストを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、通信コストの増加を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は本実施形態における位置情報案内システムの構成を示すブロック図である。本位置情報案内システムは、携帯端末1、位置情報案内装置2、および利用状況監視装置3を有している。
【0020】
携帯端末1は、GPSを内蔵しており、またWebブラウザを実装している。携帯端末1は複数のGPS衛星(不図示)との通信が可能であり、複数のGPS衛星と通信をすることにより、携帯端末1の位置情報を検出する。
【0021】
また、携帯端末1は、無線回線を介して位置情報案内装置2と接続し、Webブラウザからユーザにより検索条件情報が入力されると、入力された検索条件情報と検出された位置情報とを検索要求情報として位置情報案内装置2に送信する。検索条件情報とは、目的の施設を検索するための情報であり、例えば「携帯端末」の現在の位置から「半径500メートル以内」の「駐車場」というキーワードを含んでいる。また、「携帯端末」の現在の位置の代わりにユーザの所望の「住所」をキーワードに含めることが可能である。
【0022】
また、携帯端末1は、検索要求情報に対する応答として位置情報案内装置2から検索結果情報を受信すると、受信した検索結果情報をWebブラウザによりユーザに表示する。検索結果情報には、検索条件を満たしかつ利用が可能になるまでの時間(所要時間)が短い施設とその施設の所在地の情報が含まれている。例えば駐車場であれば、施設名、施設の所在地、空き台数、および所要時間の情報が含まれている。
【0023】
位置情報案内装置2は、無線回線を介して携帯端末1と接続可能であり、またインターネットを介して利用状況監視装置3と接続している。位置情報案内装置2は利用情報監視装置3の施設情報を記憶している。施設情報には、施設名、位置情報、住所、URL(Uniform Resource Locator)のアドレスが含まれている。
【0024】
位置情報案内装置2は、回線を介して接続した携帯端末1から検索要求情報を受信すると、検索条件を満たす利用状況監視装置3を抽出し、抽出した利用状況監視装置3に対して利用状況情報を要求する。
【0025】
位置情報案内装置2は、利用状況監視装置3から利用状況情報を受信すると、施設情報の中の位置情報と携帯端末1からの位置情報とから距離を算出し、算出した距離を平均速度で除算して移動時間を計算する。平均速度は、位置情報案内装置2に予め設定されており、例えば駐車場を検索するときには、車の平均速度とし、レストランを検索するときには、人が歩いているときの平均速度とする。なお、この平均速度はWebブラウザからユーザにより任意に設定できるようにしてもよい。そして、位置情報案内装置2は、計算した移動時間を利用状況情報の中の待機時間と合算して所要時間を算出し、算出した所要時間に基づいて検索結果情報を生成して携帯端末1に送信する。なお、所要時間の短い順に所定数以内の施設についての検索結果情報を生成するようにしてもよい。これによれば、より通信コストを抑制できる。
【0026】
利用状況監視装置3は、例えば、駐車場、レストラン、トイレの施設内に設置しており、センサーにより、施設の利用状況を監視する。
【0027】
施設内例えば駐車場の駐車区画の空き数、レストランのテーブルの空き数、トイレの便器の空き数を検知するためセンサーが予め設置されている。センサーは、超音波、赤外線センサー、または磁気センサーのいずれであってもよい。利用状況監視装置3は一定の時間間隔でセンサーにより検知される施設内の利用可能な空き数を確定する。例えば、施設内に空きがない場合には施設内の利用可能な空き数は「0」となり施設を即座に利用することができず、また施設内に空きが一つある場合には空き数は「1」となり施設を即座に利用することができる。
【0028】
また、施設の入口付近で待機している人数や台数を検知するため複数のセンサーを予め設置しておく。利用状況監視装置3は、センサーにより一定の時間間隔で入口付近に待機している人や車を検知し、センサーがどこまで人や車を検知しているかにより、順番待ちの数を確定する。
【0029】
そして、利用状況監視装置3は、確定した数に平均待機時間を乗算して待機時間を測定する。平均待機時間は、予測によって定め他一定時間としてもよく、待機時間の実測に基づいて算出することにしてもよい。例えば、平均待機時間を一定時間「3」分と予め設定すると、確定した順番待ちの数が「0」のときには、0×3(一定時間)で求められるので待機時間は「0」分となり、確定した順番待ちの数が「5」のときには、5×3(一定時間)で求められるので待機時間は15分となる。
【0030】
待機時間の実測に基づいて平均待機時間を算出する場合の一例を駐車場の例で説明する。待機時間が発生するのは満車のときなので、ここでは待機時間を算出する必要がある状態では、上述した空き数が「1」と「0」を交互に繰り返すものとする。その場合、空き数が「1」から「0」となるのは順番待ちの車が1台駐車できたことを意味する。そこで、利用状況監視装置3は、施設内の空き数が「1」から「0」になった時刻と次に施設内の空き数が「1」から「0」になった時刻との間の時間をその都度測定し、予め定めておいた平均化時間分の測定値を記憶しておく。続いて、利用状況監視装置3は、平均化時間の間に測定された測定値の平均値を算出し、平均待機時間とする。そして、利用状況監視装置3は算出した平均待機時間に確定した順番待ちの数を乗算して待機時間を測定する。
【0031】
また、待機時間の実測に基づいて平均待機時間を動的に変化させてもよい。例えば上述した平均待機時間を継続的に算出して切り替えることで、動的に変化させることにしてもよい。その場合、継続的な平均待機時間を算出するのに移動平均を用いてもよい。
【0032】
また、利用状況監視装置3は、施設の利用可能数を予め設定しておき、施設内に入場した入場数を施設の入口で測定する。利用状況監視装置3は、利用可能数に達したときの時刻とその次に利用可能に達したときの時刻の間の時間を測定し、測定値を記憶する。続いて、利用状況監視装置3は、記憶した測定値の平均値を平均待機時間として算出する。そして、利用状況監視装置3は算出した平均待機時間に確定した順番待ちの数を乗算して待機時間を測定する。
【0033】
また、例えば利用状況監視装置3を駐車場の施設内に設置しているとき、利用状況監視装置3は、駐車場の各駐車区画での車の平均滞在時間を測定し、測定した各駐車区画の平均滞在時間を駐車区画数で除算して駐車場全体の平均待機時間を算出する。そして、利用状況監視装置3は確定した数を平均待機時間に乗算し待機時間を測定する。
【0034】
図2は本実施形態における携帯端末1の画面例である。図2Aでは、ユーザがWebブラウザに表示された検索画面を利用して検索条件を入力するときの携帯端末1の画面15の一例である。図2Bでは、ユーザにより入力された検索条件に対する検索結果を表示する携帯端末1の画面15の一例である。
【0035】
まず、図2Aを参照して検索条件を入力する画面について詳細に説明する。検索条件を入力するに際して、ユーザは、検索カテゴリ10、位置情報選択11、および検索範囲12の項目を入力できる。
【0036】
まず、ユーザは検索カテゴリ10の中から所望のカテゴリ例えば駐車場を選択する。次に、ユーザは位置情報選択11として携帯端末1の現在の位置またはユーザの所望の住所のどちらか一つを選択する。携帯端末1にはGPSが搭載されているため、現在の携帯端末1の位置をGPSにより検出し、検出された位置を位置情報として位置情報案内装置2に送信することが可能である。また、所望の住所を入力して位置情報案内装置2に送信することも可能である。図2Aでは、ユーザは位置情報選択11の中から携帯端末1の現在の位置を選択している。
【0037】
次に、ユーザは、検索範囲を絞り込むため、検索範囲12を選択する。図2Aでは、携帯端末1の現在の位置から半径500メートル以内が選択されている。そして、ユーザが送信ボタン13を選択すると、携帯端末1は、検索要求情報を生成し、生成した検索要求情報を位置情報案内装置2に送信する。
【0038】
次に、図2Bを参照して検索結果を表示する画面について詳細に説明する。検索結果の画面では、まず、ユーザにより入力された検索条件が表示される。続いて、各施設についての情報が移動時間の短い順番に並べられており、各施設についての情報の中には、施設名、所在地、利用状況、および移動時間が表示されている。ユーザが所在地の中の地図をクリックすると、所在地の地図情報が表示される。
【0039】
図3は本実施形態における位置情報案内装置2の構成を示すブロック図である。本位置情報案内装置2は、情報案内部21、位置情報記憶部22、検索結果情報生成部23、通信部24、および情報要求部25を有している。
【0040】
位置情報記憶部22は利用情報監視装置3の施設情報を予め記憶している。
【0041】
情報要求部25は、通信部24を介して携帯端末1から検索要求情報を受信すると、位置情報記憶部22に記憶している施設情報の中から、検索条件を満たす施設を抽出し、抽出した施設の利用状況監視装置3のURLを読み出す。情報要求部25は、読み出したURLに基づいて利用状況監視装置3に利用状況情報を要求する。
【0042】
情報案内部21は、通信部24を介して利用状況監視装置3から利用状況情報を受信すると、検索結果情報生成部23に検索結果情報を生成するよう通知する。そして、情報案内部21は、検索結果情報生成部23から検索結果情報を受信すると、通信部24を介して検索結果情報を携帯端末1に送信する。
【0043】
検索結果情報生成部23は、情報案内部21から検索結果情報を生成するよう通知されると、施設情報に含まれる位置情報と携帯端末1からの位置情報とから距離を算出し、算出した距離を平均速度で除算して移動時間を計算する。そして、検索結果情報生成部23は、計算した移動時間を利用状況情報の中の待機時間と合算して所要時間を算出し、所要時間に基づいて検索結果情報を生成して情報案内部21に送信する。
【0044】
図4は本実施形態の位置情報記憶部22に格納された施設情報26の一例である。この例では、施設名のレコード、カテゴリのレコード、位置情報のレコード、住所のレコード、URLアドレスのレコードが位置情報記憶部22に格納されている。
【0045】
施設名のレコードには、施設の名称が格納されており、主キーである。カテゴリのレコードには、利用者が検索条件で指定したカテゴリの名称が格納されており、例えばレストラン、駐車場、またはトイレが格納されている。位置情報のレコードには、GPSで検出される施設の位置情報が格納されており、例えば施設の緯度と経度の情報が格納されている。住所情報には、施設の所在地の住所が格納されており、URLアドレスのレコードには、施設へのURLアドレスが格納されている。
【0046】
図5は本実施形態における利用情報監視装置3の構成を示すブロック図である。本利用情報監視装置3は、空き検出部32、待機列検出部33、情報提供部34、情報記憶部35、および通信部36を有している。
【0047】
利用情報監視装置3は施設内の空き数を検知するためセンサーが予め設置されている。また、待機状況を判断するため施設の入口にセンサーが設置されている。
【0048】
待機列検出部33は、施設の入口に設置されたセンサーと接続しており、センサーで検知された施設の入口での待機状況を収集する。待機列検出部33は、センサーで検知された施設の待機状況を収集すると、現在、施設の入口で待機している数を測定し、測定した数を待機数情報として情報提供部34に送信する。
【0049】
空き検出部32は、施設内に設置された各センサーと接続しており、センサーで検知される施設内の利用状況を収集する。空き検出部32は、収集した施設内の利用状況についての情報に基づいて施設内の利用可能な空き数を算出し、算出した空き数についての情報を空き数情報として情報提供部34に送信する。
【0050】
情報提供部34は、待機列検出部33から待機数情報を受信すると、平均滞在時間と受信した待機数情報とを乗算することにより、待機時間を算出し、算出した待機時間を待機時間情報として情報記憶部35に記録する。情報提供部34は、空き検出部32から空き数情報を受信すると、受信した空き数情報を情報記憶部35に記録する。
【0051】
情報提供部34は、位置情報案内装置2から利用状況情報を要求されると、情報記憶部35に記録した空き数情報と待機時間情報を利用状況情報として位置情報案内装置2に送信する。
【0052】
情報記憶部35は空き数情報と待機時間情報を記憶する。
【0053】
図6は本実施形態における施設の利用状況についてのファイルの一例である。図6Aはセンサーにより検出される利用状況60についてのデータの一例である。図6Bは情報記憶部35に記憶された空き数情報と待機時間情報との利用状況についての情報61の格納例である。
【0054】
図6Aでは、識別名のレコード、利用状態のレコード、時刻情報のレコード、平均滞在時間のレコードが情報記憶部35に格納されている。識別名には、施設内の各センサー識別する一意の番号が格納されている。利用状態には、現在の利用状態についての情報が格納されている。時刻情報には、利用が開始された時刻例えばセンサーで検知された時刻が格納されている。平均滞在時間には、施設内の平均滞在時間が格納されている。例えば、番号1−1では、時刻10時から利用されており、現在も利用中である。また、番号1−1のこれまでの平均滞在時間は30分である。一方、番号1−2では、現在利用されていないため空いており、また番号1−2のこれまでの平均滞在時間は25分である。
【0055】
図6Bでは、現在の空き数のレコードおよび待機時間のレコードが情報記憶部35に格納されている。現在の空き数のレコードには、施設内の空き数が格納されており、施設が利用できない場合、空き数は「0」となる。待機時間には、施設を利用可能になるまでの時間が格納されており、時間「5」分が格納されている。
【0056】
利用情報監視装置3は複数の施設に設置されることが想定されており、例えばレストラン、駐車場、トイレの施設内に利用情報監視装置3を設置することができる。利用情報監視装置3をそれぞれの施設に設置したときの利用情報監視装置3の各部の動作について説明する。
【0057】
まず、複数の駐車区画を備えている駐車場に利用情報監視装置3を設置したときの利用情報監視装置3の各部の動作について詳細に説明する。駐車場に利用情報監視装置3を設置する場合、駐車区画の利用状況を判断するために各駐車区画の近くにセンサーを設置し、また車の待機状況を判断するため駐車場の入口にセンサーを設置する。
【0058】
待機列検出部33は、駐車場の入口に設置されたセンサーと接続しており、センサーで検知された車の待機状況を収集する。待機列検出部33は、センサーで検知された車の待機状況を収集すると、現在、駐車場の入口で待機している車の台数を確定し、確定した車の台数を待機台数情報として情報提供部34に送信する。
【0059】
例えば、駐車場の入口付近に車の存在をチェックするためのセンサーを複数設置しておく。待機列検出部33は、この複数のセンサーがどこまで車を検知しているかによって順番待ち行列の長さを検出し、検出した長さを平均的な車両の長さで除算して待機している車の台数を確定する。
【0060】
空き検出部32は、駐車場の駐車区画に設置された各センサーと接続しており、センサーで検知される車の駐車状況についての情報を収集する。空き検出部32は、収集した車の駐車状況についての情報に基づいて駐車可能な空き台数を算出し、算出した空き台数についての情報を空き台数情報として情報提供部34に送信する。
【0061】
情報提供部34は、待機列検出部33から待機台数情報を受信すると、平均滞在時間と受信した待機台数情報とを乗算することにより、待機時間を算出し、算出した待機時間を待機時間情報として情報記憶部35に記録する。情報提供部34は、空き検出部32から空き台数情報を受信すると、受信した空き台数情報を情報記憶部35に記録する。
【0062】
情報提供部34は、位置情報案内装置2から利用状況情報を送信するよう要求されると、情報記憶部35に記録した空き台数情報と待機時間情報を利用状況情報として位置情報案内装置2に送信する。
【0063】
情報記憶部35は空き台数情報と待機時間情報を記憶する。
【0064】
図7は利用状況監視装置3を駐車場の施設内に設置したときの動作を示すフローチャートである。
【0065】
空き検出部32は駐車場内の各駐車区画の車の駐車状況をセンサーにより収集する(ステップ100)。続いて、空き検出部32は収集した駐車状況に基づいて空き台数を確定して情報提供部34に送信する(ステップ101)。情報提供部34は、空き検出部32から空き台数情報を受信すると、受信した空き台数情報を情報記憶部35に記録する(ステップ102)。
【0066】
待機列検出部33は駐車場の入口で待機している車の待機状況をセンサーにより収集する(ステップ103)。次に、待機列検出部33は収集した待機状況に基づいて車の待機台数を確定する(ステップ104)。
【0067】
待機列検出部33は、待機台数を確定すると、確定した待機台数と平均待機時間を乗算して待機時間を算出する(ステップ105)。次に、待機列検出部33は、算出した待機時間を情報提供部34に送信する(ステップ106)。情報提供部34は、待機列検出部33から待機時間を受信すると、受信した待機時間を情報記憶部35に記録する(ステップ107)。
【0068】
次に、複数のテーブルを備えているレストランに利用情報監視装置3を設置したときの利用情報監視装置3の各部の動作について詳細に説明する。レストランに利用情報監視装置3を設置する場合、テーブルの利用状況を判断するために各テーブルの近くにセンサーを設置し、また人の待機状況を判断するためレストランの入口にセンサーを設置する。
【0069】
空き検出部32は、各テーブルに設置されたセンサーと接続しており、センサーで検出されるテーブルの利用状況についての情報を収集する。空き検出部32は、収集したテーブルの利用状況についての情報に基づいて利用可能な空きテーブルを算出し、算出した空きテーブルについての情報を空きテーブル情報として情報提供部34に送信する。
【0070】
待機列検出部33は、予約人数の入力を受け付けており、入力された予約人数を待機人数情報として情報提供部34に送信する。
【0071】
情報提供部34は、待機列検出部33から待機人数情報を受信すると、平均滞在時間に受信した待機人数情報とを乗算することにより、待機時間を測定し、測定した待機時間を待機時間情報として情報記憶部35に記録する。情報提供部34は、空き検出部32から空きテーブル情報を受信すると、受信した空きテーブル情報を情報記憶部35に記録する。
【0072】
情報提供部34は、位置情報案内装置5から利用状況情報を要求されると、情報記憶部35に記録した待機時間情報と空きテーブル情報とを利用状況情報として位置情報案内装置5に送信する。
【0073】
情報記憶部35は空きテーブル情報と待機時間情報を記憶する。
【0074】
図8は利用状況監視装置3をレストランに設置したときの利用状況監視装置3の動作を示すフローチャートである。
【0075】
空き検出部32はレストラン内の各テーブルの利用状況をセンサーにより収集する(ステップ300)。続いて、空き検出部32は収集した利用状況に基づいて空きテーブル数を確定して空きテーブル情報として情報提供部34に送信する(ステップ301)。情報提供部34は、空き検出部32から空きテーブル情報を受信すると、情報記憶部45に記録する(ステップ302)。
【0076】
待機列検出部33はレストランの待ち人数の入力を受け付ける(ステップ303)。待機列検出部33は、待ち人数の入力を受け付けると、受け付けた待ち人数に基づいて待機人数を確定する(ステップ304)。
【0077】
待機列検出部33は、待機人数を確定すると、確定した待機人数に平均待機時間を乗算して待機時間を算出する(ステップ305)。次に、待機列検出部33は算出した待機時間を情報提供部34に送信する(ステップ306)。情報提供部34は、待機列検出部33から待機時間を受信すると、受信した待機時間を情報記憶部35に記録する(ステップ307)。
【0078】
次に、複数の便器を備えているトイレに利用情報監視装置3を設置したときの利用情報監視装置3の各部の動作について詳細に説明する。トイレに利用情報監視装置3を設置する場合、便器の利用状況を判断するために各便器の近くにセンサーを設置し、また人の待機状況を判断するためトイレの入口にセンサーを設置する。
【0079】
トイレは複数の便器を備えており、人の有無を判断するために各便器にセンサーが設置されている。また、人の待機状況を判断するためトイレの入口にもセンサーが設置されている。
【0080】
待機列検出部33は、トイレの入口に設置されたセンサーと接続しており、センサーで検知された人の待機状況を収集する。待機列検出部33は、センサーで検知された人の待機状況を収集すると、現在、トイレの入口で待機している人数を確定し、確定した人数を待機人数情報として情報提供部34に送信する。
【0081】
空き検出部32は、トイレの便器の近くに設置された各センサーと接続しており、センサーで検知される便器の利用状況についての情報を収集する。空き検出部32は、収集した便器の利用状況に基づいて空き便器数を算出し、算出した空き便器数を空き便器情報として情報提供部34に送信する。
【0082】
情報提供部34は、待機列検出部33から待機人数情報を受信すると、受信した待機人数情報に平均滞在時間を乗算して待機時間を算出し、算出した待機時間を待機時間情報として情報記憶部35に記録する。情報提供部34は、空き検出部32から空き便器情報を受信すると、受信した空き便器情報を情報記憶部35に記録する。
【0083】
情報提供部34は、位置情報案内装置2から利用状況情報を要求されると、情報記憶部35に記録した待機人数情報と空き便器情報を利用状況情報として位置情報案内装置2に送信する。
【0084】
情報記憶部35は空き便器情報と待機人数情報を記憶する。
【0085】
図9は利用状況監視装置3をトイレに設置したときの利用状況監視装置3の動作を示すフローチャートである。
【0086】
空き検出部32はトイレの各便器の利用状況をセンサーにより収集する(ステップ400)。続いて、空き検出部32は収集した利用状況に基づいて空き便器数を確定し、空き便器情報として情報提供部34に送信する(ステップ401)。情報提供部34は、空き検出部32から空き便器情報を受信すると、受信した空き便器情報を情報記憶部35に記録する(ステップ402)。
【0087】
待機列検出部33はトイレの入口で待機している人の待機状況をセンサーにより収集する(ステップ403)。次に、待機列検出部33は収集した待機状況に基づいて人の待機人数を確定する(ステップ404)。
【0088】
待機列検出部33は、待機人数を確定すると、確定した待機人数と平均待機時間を乗算して待機時間を算出する(ステップ405)。次に、待機列検出部33は、算出した待機時間を情報提供部34に送信する(ステップ406)。情報提供部34は、待機列検出部33から待機時間を受信すると、受信した待機時間を情報記憶部35に記録する(ステップ407)。
【0089】
図10は本実施形態における位置情報検索システムの動作を示すフローチャートである。
【0090】
携帯端末1は、ユーザにより検索条件を受け付けると、通信部24を介して位置情報案内装置2の情報要求部25に検索条件情報と位置情報を検索要求情報として送信する(ステップ200)。
【0091】
情報要求部25は、通信部24を介して携帯端末1からの検索要求情報を受信すると、検索条件を満たす施設が含まれる否かを判定する(ステップ201)。含まれないと判定すれば、情報要求部25は該当する施設がない旨を携帯端末1に送信する(ステップ202)。携帯端末1はユーザにその旨を伝える(ステップ203)。
【0092】
含まれると判定すれば、情報要求部25は該当する施設のURLを位置情報記憶部22から読み出す(ステップ204)。情報要求部25は、読み出したURLに基づいて利用状況監視装置3の情報提供部34へアクセスして利用状況情報を要求する(ステップ205)。
【0093】
情報提供部34は、情報要求部25から利用状況情報に取得を要求されると、情報記憶部22に記録した待機台数と待機時間とを利用状況情報として情報案内部21に送信する(ステップ206)。
【0094】
情報案内部21は、情報提供部34から利用状況情報を受信すると、検索結果情報生成部23に検索結果情報を生成するよう通知する(ステップ207)。検索結果情報生成部23は、情報案内部21から検索結果情報を生成するよう通知されると、位置情報記憶部22に記憶されている施設情報の中の位置情報と携帯端末1からの位置情報とから移動時間を計算する(ステップ208)。検索結果情報生成部23は、計算した移動時間を受信した利用状況情報の中の待機時間と合算して所要時間を算出する(ステップ209)。検索結果情報生成部23は算出した所要時間に基づいて検索結果情報を生成して情報案内部21に送信する(ステップ210)。
【0095】
情報案内部21は、検索結果情報生成部23から検索結果情報を受信すると、通信部24を介して検索結果情報を携帯端末1に送信する(ステップ211)。
【0096】
携帯端末1は、情報案内部21から検索結果情報を受信すると、受信した検索結果情報をWebブラウザ上で表示する(ステップ212)。
【0097】
以上説明したように、本実施形態によれば、位置情報案内装置2は、携帯端末1により検索条件が指定されると、検索条件を満たす利用状況監視装置3を抽出し、抽出した利用状況監視装置3に対して待機時間を要求するので、利用状況監視装置3が待機時間の変化を検出しても、位置情報案内装置2に検出した時間を自律的に送信することがなく、位置情報案内装置2が設置されている施設で待機時間が頻繁に変化しても、位置情報案内装置2と利用状況監視装置3との間のデータ通信が頻繁に発生することがない。これにより、通信コストの増加を防止できる。
【0098】
なお、本発明の利用状況監視装置3は他の施設でも広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施形態における位置情報案内システムの構成を示すブロック図である。
【図2A】ユーザがWebブラウザに表示された検索画面を利用して検索条件を入力するときの携帯端末1の画面15の一例である。
【図2B】ユーザにより入力された検索条件に対する検索結果を表示する携帯端末1の画面15の一例である。
【図3】本実施形態における位置情報案内装置2の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態の位置情報記憶部22に格納された施設情報26の一例である。
【図5】本実施形態における利用情報監視装置3の構成を示すブロック図である。
【図6A】センサーにより検出される利用状況60についてのデータの一例である。
【図6B】情報記憶部35に記憶された空き数情報と待機時間情報との利用状況についての情報61の格納例である。
【図7】利用状況監視装置3を駐車場の施設内に設置したときの動作を示すフローチャートである。
【図8】利用状況監視装置3をレストランに設置したときの利用状況監視装置3の動作を示すフローチャートである。
【図9】利用状況監視装置3をトイレに設置したときの利用状況監視装置3の動作を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態における位置情報検索システムの動作を示すフローチャートである。
【図11】特許文献2における位置情報案内システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0100】
1 携帯端末
2 位置情報案内装置
3 利用情報監視装置
21 情報案内部
22 位置情報記憶部
23 経路情報生成部
24 通信部
25 情報要求部
32 空き検出部
33 待機列検出部
34 情報提供部
35 情報記憶部
36 通信部
100〜107,200〜212,300〜307,400〜407 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末から検索条件と位置情報の通知を受け、前記検索条件と前記位置情報に基づいて選択した施設の施設情報を端末に通知する施設情報案内システムであって、
複数の施設のそれぞれに設置され、設置された前記施設を利用するための待機時間を監視する複数の利用状況監視装置と、
前記利用状況監視装置が設置された複数の施設の所在地情報を含む施設情報を予め記憶しており、前記端末から前記検索条件と前記位置情報を通知されると、前記施設情報の検索により前記検索条件を満たす施設を抽出し、前記抽出した施設に設置されている利用情報監視装置から待機時間を取得するとともに、前記位置情報によって示される前記位置と前記施設情報に含まれている所在地情報によって示される前記施設の位置とから、前記位置から前記施設までの移動にかかる移動時間を算出し、前記待機時間と前記移動時間を合算して所要時間を算出し、前記所要時間に基づいて、前記抽出した施設の中から前記端末に通知する施設を選択し、選択した前記施設の施設情報を前記端末に通知する位置情報案内装置と、を有する施設情報案内システム。
【請求項2】
前記位置情報案内装置は、前記抽出した施設の中から前記端末に通知する施設を選択するとき、前記所要時間の短い順に所定数以内の施設を選択する、請求項1に記載の施設情報案内システム。
【請求項3】
前記利用状況監視装置は、施設の入口に複数のセンサーを設置しておき、該センサーがどこまで検知したかにより該施設の入口で待機している待機数を測定するとともに施設に入るための単位数当たりの平均時間を算出し、前記測定した待機数と前記算出した平均時間とを乗算して前記待機時間を算出する、請求項1または2に記載の施設情報案内システム。
【請求項4】
複数の施設のそれぞれに設置される利用状況監視装置と回線を介して接続している位置情報案内装置にて端末から検索条件と位置情報の通知を受け、前記検索条件と前記位置情報に基づいて選択した施設の施設情報を位置情報案内装置から端末に通知するための施設情報案内方法であって、
前記利用状況監視装置は、設置された前記施設を利用するための待機時間を監視しており、
前記位置情報案内装置は、前記利用状況監視装置が設置された複数の施設の所在地情報を含む施設情報を予め記憶しており、
前記端末から前記検索条件と前記位置情報を通知されると、前記施設情報の検索により前記検索条件を満たす施設を抽出し、
前記抽出した施設に設置されている利用情報監視装置から待機時間を取得するとともに、前記位置情報によって示される前記位置と前記施設情報に含まれている所在地情報によって示される前記施設の位置とから、前記位置から前記施設までの移動にかかる移動時間を算出し、
前記待機時間と前記移動時間を合算して所要時間を算出し、
前記所要時間に基づいて、前記抽出した施設の中から前記端末に通知する施設を選択し、
選択した前記施設の施設情報を前記端末に通知する、施設情報案内方法。
【請求項5】
前記位置情報案内装置は、前記抽出した施設の中から前記端末に通知する施設を選択するとき、前記所要時間の短い順に所定数以内で施設を選択する、請求項4に記載の施設情報案内方法。
【請求項6】
前記利用状況監視装置は、施設の入口に複数のセンサーを設置しておき、該センサーがどこまで検知したかにより該施設の入口で待機している待機数を測定するとともに施設に入るための単位数当たりの平均時間を算出し、前記測定した待機数と前記算出した平均時間とを乗算して前記待機時間を算出する、請求項4または5に記載の施設情報案内方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−250457(P2008−250457A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88447(P2007−88447)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】