説明

施設案内装置、施設案内方法及びコンピュータプログラム

【課題】施設情報に基づく案内を要求する為のユーザの作業負担を軽減し、案内処理を迅速に行うとともに利便性を向上させた施設案内装置、施設案内方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】ユーザが案内を要求する施設のジャンルである要求ジャンルをユーザのボタン操作や音声認識に基づいて選択し(S11)、選択された要求ジャンルがショートカットジャンルに設定されているか否かを判定し(S12)、要求ジャンルがショートカットジャンルに設定されている場合には、それより下の階層のジャンル(即ち、下位ジャンル)をユーザに選択させることなく、要求ジャンルに該当する施設の内、車両の現在位置に最も近い最寄り施設について検索し(S13)、検索された最寄り施設を目的地に設定し(S14)、設定した案内経路に基づいて最寄り施設までの走行を案内する(S15)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図上に位置する施設を案内する施設案内装置、施設案内方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置では、自車の現在位置の周辺にある施設に関する施設情報を案内することも行われている。そして、ユーザは案内された施設情報に基づいて、目的地や経由地を設定する。
【0003】
ここで、上記施設に関する施設情報を案内する際には、車両の現在位置情報やユーザの入力した希望条件に基づいてユーザの希望条件に適合する施設を検索し、条件に適合した施設について案内することが一般的である。更に、ユーザの希望条件としては、施設のジャンル(例えば和食、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア等)を指定することが行われている。また、施設のジャンルは、複数層に階層化されている。例えば、上位ジャンルと中位ジャンルと下位ジャンルの3階層からなる場合には、中位ジャンルは上位ジャンル毎に複数に区分されている。また、下位ジャンルは中位ジャンル毎に複数に区分されている。そして、ユーザが案内を希望する施設のジャンルを指定する場合には、先ず、上位ジャンルの中からジャンルを指定し、次に、指定された上位ジャンルに属する中位ジャンルの中からジャンルを指定し、更に、指定された中位ジャンルに属する下位ジャンルの中からジャンルを指定していた。そして、最終的に選択された下位ジャンルに該当する施設を検索し、検索された施設を案内するとともに目的地までの案内経路の経由地として設定することが行われていた。また、従来では施設検索を行う際のユーザのジャンルの選択操作を簡略化する為の提案についても行われている。例えば、特開2006−47192号公報には、通常の施設検索に加えて周辺施設検索という新たな施設検索手段を備え、周辺施設検索が実行されると、ユーザが予めジャンル選択画面で指定しておいたジャンルに該当する施設が検索され、検索された施設の一覧を案内する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−47192号公報(第3頁〜第5頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、施設検索を行う際のユーザのジャンルの選択操作を簡略化することはできるものの、ユーザが予めジャンル選択画面で指定しておいたジャンルに該当する全ての施設の一覧が表示される。従って、ユーザは案内された多数の施設の中から更に施設を選択して、詳細な情報を得たり、目的地に設定する操作を行う必要があった。
【0006】
また、上記特許文献1に記載された技術では、周辺施設検索においてユーザが予めジャンル選択画面において指定していないジャンルについては検索できなかった。即ち、ユーザが予めジャンル選択画面において指定していないジャンルについて検索を行う場合には、周辺施設検索以外の施設検索手段によって別途施設の検索を行う必要がある。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、ユーザが案内を要求した施設のジャンルが予め設定されたショートカットジャンルである場合には、下位のジャンルを選択させる作業を課すことなく、現在位置から最も近い該当ジャンルの施設に関する施設情報に基づいて案内をするので、施設情報に基づく案内を要求する為のユーザの作業負担を軽減し、また、ユーザが案内を要求した施設のジャンルが予め設定されたショートカットジャンル以外のジャンルである場合であっても、ユーザの希望する施設に関する施設情報に基づく案内をすることが可能となるので、ユーザにとって適切な案内処理を迅速に行うとともに利便性を向上させた施設案内装置、施設案内方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る施設案内装置(1)は、複数層に階層化されたジャンルによって区分された施設に関する施設情報を取得する施設情報取得手段(13)と、前記施設のジャンルの内からショートカットジャンルを設定するショートカットジャンル設定手段(13)と、前記施設情報に基づく案内に係るユーザの要求を受け付けた場合に、ユーザが案内を要求する施設のジャンルを要求ジャンルとして取得するジャンル取得手段(13)と、前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルか否かを判定するジャンル判定手段(13)と、前記ジャンル判定手段によって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルであると判定された場合には、前記要求ジャンルに区分される施設の内、現在位置から最も近い施設に関する前記施設情報に基づいて案内をするとともに、前記ジャンル判定手段によって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルでないと判定された場合には、ユーザが案内を要求する施設のジャンルとして前記要求ジャンルの下位のジャンルをユーザに選択させる案内をする施設案内手段(13)と、を有することを特徴とする。
尚、「施設情報に基づいて案内をする」とは、施設名称等の施設に関する情報を案内することや、施設までの走行を案内することを含む。
【0009】
また、請求項2に係る施設案内装置(1)は、請求項1に記載の施設案内装置において、前記施設情報に基づく案内に係るユーザの要求を受け付けた際のユーザの要求履歴を記憶する要求履歴記憶手段(13)を有し、前記ショートカットジャンル設定手段(13)は、前記要求履歴記憶手段により記憶された前記ユーザの要求履歴に基づいて、前記施設のジャンルの内からショートカットジャンルを設定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る施設案内装置(1)は、請求項2に記載の施設案内装置において、前記ショートカットジャンル設定手段(13)は、過去の所定期間内に同一の上位のジャンルに属する複数種類の下位のジャンルについて、ジャンル毎にユーザによって施設情報に基づく案内を要求された割合を算出し、最も高い割合が算出されたジャンルの該割合が所定割合以下の場合に、該上位のジャンルをショートカットジャンルに設定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る施設案内装置(1)は、請求項3に記載の施設案内装置において、前記下位のジャンルの施設情報に基づく案内は、同一の上位のジャンルに属する全ての下位のジャンルの施設情報に基づく案内を含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る施設案内装置(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の施設案内装置において、前記車両の目的地を設定する目的地設定手段(13)と、前記目的地までの案内経路を設定する案内経路設定手段(13)と、を有し、前記施設案内手段(13)は、前記案内経路設定手段によって前記案内経路が設定されている場合には、前記ジャンル判定手段(13)によって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルでないと判定された場合であっても、前記要求ジャンルに区分される施設の内、前記車両の現在位置から最も近い施設に関する前記施設情報に基づいて案内をすることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る施設案内方法は、複数層に階層化されたジャンルによって区分された施設に関する施設情報を取得する施設情報取得ステップと、前記施設のジャンルの内からショートカットジャンルを設定するショートカットジャンル設定ステップと、前記施設情報に基づく案内に係るユーザの要求を受け付けた場合に、ユーザが案内を要求する施設のジャンルを要求ジャンルとして取得するジャンル取得ステップと、前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルか否かを判定するジャンル判定ステップと、前記ジャンル判定ステップによって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルであると判定された場合には、前記要求ジャンルに区分される施設の内、現在位置から最も近い施設に関する前記施設情報に基づいて案内をするとともに、前記ジャンル判定ステップによって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルでないと判定された場合には、ユーザが案内を要求する施設のジャンルとして前記要求ジャンルの下位のジャンルをユーザに選択させる案内をする施設案内ステップと、を有することを特徴とする。
【0014】
更に、請求項7に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、複数層に階層化されたジャンルによって区分された施設に関する施設情報を取得する施設情報取得機能と、前記施設のジャンルの内からショートカットジャンルを設定して記憶媒体(12)に記憶するショートカットジャンル設定機能と、前記施設情報に基づく案内に係るユーザの要求を受け付けた場合に、ユーザが案内を要求する施設のジャンルを要求ジャンルとして取得するジャンル取得機能と、前記要求ジャンルが前記記憶媒体に記憶された前記ショートカットジャンルか否かを判定するジャンル判定機能と、前記ジャンル判定機能によって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルであると判定された場合には、前記要求ジャンルに区分される施設の内、現在位置から最も近い施設に関する前記施設情報に基づいて案内をするとともに、前記ジャンル判定機能によって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルでないと判定された場合には、ユーザが案内を要求する施設のジャンルとして前記要求ジャンルの下位のジャンルをユーザに選択させる案内をする施設案内機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
前記構成を有する請求項1に記載の施設案内装置によれば、ユーザが案内を要求した施設のジャンルが予め設定されたショートカットジャンルである場合には、下位のジャンルを選択させる作業を課すことなく、現在位置から最も近い該当ジャンルの施設に関する施設情報に基づいて案内をすることができ、ユーザによるジャンルの選択作業を簡略化することができる。その結果、施設情報に基づく案内を要求する為のユーザの作業負担を軽減し、案内処理を迅速に行うとともに利便性を向上させることが可能となる。また、ユーザが案内を要求した施設のジャンルが予め設定されたショートカットジャンル以外のジャンルである場合であっても、ユーザの希望する施設に関する施設情報に基づく案内をすることが可能となる。
【0016】
また、請求項2に記載の施設案内装置によれば、施設情報に基づく案内に係るユーザの要求履歴に基づいてショートカットジャンルを設定するので、ユーザが下位のジャンルに対するこだわりが無いジャンルを適切に識別し、そのジャンルをショートカットジャンルに設定することが可能となる。
【0017】
また、請求項3に記載の施設案内装置によれば、ユーザが下位のジャンルに対するこだわりが無い上位のジャンルを適切に識別し、その上位のジャンルをショートカットジャンルに設定することが可能となる。
【0018】
また、請求項4に記載の施設案内装置によれば、ユーザが下位のジャンルに対するこだわりが無い上位のジャンルを適切に識別し、その上位のジャンルをショートカットジャンルに設定することが可能となる。
【0019】
また、請求項5に記載の施設案内装置によれば、目的地までの案内経路が設定されている場合には、目的地への到着が優先されるので、要求ジャンルがショートカットジャンルで無かったとしても、要求ジャンルの下位のジャンルについてはユーザのこだわりが無いと推定し、ショートカットジャンルである場合と同様にジャンルの選択作業を簡略化することができる。その結果、施設情報に基づく案内を要求する為のユーザの作業負担を軽減し、案内処理を迅速に行うとともに利便性を向上させることが可能となる。
【0020】
また、請求項6に記載の施設案内方法によれば、ユーザが案内を要求した施設のジャンルが予め設定されたショートカットジャンルである場合には、下位のジャンルを選択させる作業を課すことなく、現在位置から最も近い該当ジャンルの施設に関する施設情報に基づいて案内をすることができる。その結果、施設情報に基づく案内を要求する為のユーザの作業負担を軽減し、案内処理を迅速に行うとともに利便性を向上させることが可能となる。
【0021】
更に、請求項7に記載のコンピュータプログラムによれば、ユーザが案内を要求した施設のジャンルが予め設定されたショートカットジャンルである場合には、下位のジャンルを選択させる作業を課すことなく、現在位置から最も近い該当ジャンルの施設に関する施設情報に基づいて案内をさせることができる。その結果、施設情報に基づく案内を要求する為のユーザの作業負担を軽減し、案内処理を迅速に行うとともに利便性を向上させることが可能となる。また、ユーザが案内を要求した施設のジャンルが予め設定されたショートカットジャンル以外のジャンルである場合であっても、ユーザの希望する施設に関する施設情報に基づく案内させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】施設のジャンルの一覧を示した図である。
【図3】地図情報DBに記憶される施設データの一例を示した図である。
【図4】ジャンル要求履歴DBの記憶領域の一例を示した図である。
【図5】ショートカットジャンル設定データの一例を示した図である。
【図6】本実施形態に係るショートカットジャンル設定処理プログラムのフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る施設案内処理プログラムのフローチャートである。
【図8】液晶ディスプレイに表示されるジャンル選択画面を示した図である。
【図9】ステップ15において液晶ディスプレイに表示される最寄り施設案内画面の一例を示した図である。
【図10】液晶ディスプレイに表示される下位ジャンル選択画面の一例を示した図である。
【図11】ステップ20において液晶ディスプレイに表示される施設案内画面の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る施設案内装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0024】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して車両周辺の地図や施設の関する施設情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICSセンタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、から構成されている。
【0025】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0026】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31、ジャンル要求履歴DB32、ショートカットジャンル設定データ33及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0027】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ34、ノード点に関するノードデータ35、施設に関する施設データ36、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0028】
また、施設データ36としては、ナビゲーション装置1において出発地、目的地、案内対象等となる施設に関する情報が記憶される。例えば、ホテル、旅館等の宿泊施設、ガソリンスタンド等の給油施設、ショッピングモール、スーパーマーケット、ショッピングセンタ等の商業施設、テーマパーク、ゲームセンタ等の娯楽施設、レストラン、バー、居酒屋等の飲食施設、公共駐車場等の駐車施設、交通施設、寺院、教会等の宗教施設、美術館、博物館等の公共施設等の施設に関する情報が該当する。
また、施設データ36は、施設毎に、施設の識別子である施設番号、施設の名称を示す施設名称、施設のジャンル(「駐車場」、「郵便局」、「レストラン」等)を示す施設ジャンル、施設の位置を示す位置座標等から構成されている。
【0029】
尚、施設のジャンルは複数層に階層化されている。具体的には、上位ジャンルと中位ジャンルと下位ジャンルが存在し、中位ジャンルは上位ジャンル毎に複数に区分されている。また、下位ジャンルは中位ジャンル毎に複数に区分されている。図2は本実施形態において施設の種別として定義される上位ジャンル、中位ジャンル及び下位ジャンルの一覧を示した図である。
ここで、上位ジャンルは上位概念のジャンルであり、例えば、「食事」、「店」、「車」、「宿泊」、「遊び」、「公共」、「交通」、「文化」、「その他」等がある。一方、中位ジャンルは前記上位ジャンルの下位概念にあるジャンルであり、例えば、「食事」の中位ジャンルとしては、「レストラン」、「ファミリーレストラン」、「ファーストフード」、「うどん・そば」等がある。また、「店」の中位ジャンルとしては、「コンビニエンスストア」、「スーパー・ディスカウント店」、「デパート」、「ホームセンター」等がある。また、下位ジャンルは前記中位ジャンルの更に下位概念にあるジャンルであり、例えば、「ファーストフード」の下位ジャンルとしては、「ファーストフード全て」、「ハンバーガー」、「牛丼」等がある。また、「コンビニエンスストア」の下位ジャンルとしては、「コンビニエンスストア全て」、「コンビニ○○チェーン」、「コンビニ△△チェーン」等がある。尚、「ファーストフード全て」は「ファーストフード」に属する全ての下位ジャンルに相当するジャンルである。また、「コンビニエンスストア全て」は「コンビニエンスストア」に属する全ての下位ジャンルに相当するジャンルである。
【0030】
また、図3は施設データ36の一例を示した図である。
例えば、図3に示す施設データ36の例では、座標(x1,y1)の地点において施設番号:「10001」に該当するコンビニエンスストアA店(ジャンル:店/コンビニエンスストア/コンビニ○○チェーン)が設置されていることを示している。また、座標(x2,y2)の地点において施設番号:「10002」に該当する○×駐車場(ジャンル:車/駐車場/コインパーキング)が設置されていることを示している。同様に他の施設に関する情報についても記憶されている。
【0031】
そして、ナビゲーション装置1は、施設の検索処理を行う場合において、上記施設データ36を用いてユーザに選択されたジャンルに該当する施設を検索し、検索条件に適合する施設に関する施設情報を地図情報DB31から取得する。そして、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像の該当位置に対してランドマークを表示したり、検索条件に適合する施設の施設名称、現在位置からの距離、所要時間等の一覧を表示することにより、施設に関する情報をユーザに対して案内する。また、ユーザが案内された施設を目的地や経由地に設定する操作を行った場合には、該施設を目的地や経由地に設定した案内経路を設定する。
【0032】
尚、施設の検索処理を行う場合には、ユーザは、基本的に検索条件として先ず案内を希望する上位ジャンルを選択し、その後選択された上位ジャンルに属する中位ジャンルの中から案内を希望する中位ジャンルを選択し、更に選択された中位ジャンルに属する下位ジャンルの中から案内を希望する下位ジャンルを選択する。そして、ナビゲーションECU13は検索範囲内(例えば日本国内)に位置するとともに最終的に選択された下位ジャンルに該当する施設について検索し、検索された施設に関する情報(施設名称、現在位置からの距離、所要時間等)の一覧を案内する。
但し、本実施形態では後述のようにショートカットジャンルに設定されている中位ジャンルがユーザによって選択された場合には、それより下の階層のジャンル(即ち、下位ジャンル)をユーザに選択させることなく、ナビゲーションECU13はユーザに選択された中位ジャンルに該当する施設の内、車両の現在位置に最も近い施設(以下、最寄り施設という)について検索し、検索された最寄り施設を目的地に設定する。そして、設定した案内経路に基づいて最寄り施設までの走行を案内する。即ち、ショートカットジャンルは、施設検索処理を行う際のユーザのジャンル選択作業をショートカットするジャンルである。
【0033】
また、ジャンル要求履歴DB32は、過去に施設情報に基づく案内に係るユーザの要求を受け付けた際のユーザの要求履歴(即ち、過去の施設の検索処理においてユーザが検索条件に選択したジャンルの履歴)を累積して記憶するDBである。ここで、図4はジャンル要求履歴DB32の記憶領域の一例を示した図である。
図4に示すようにジャンル要求履歴DB32には、施設情報に基づく案内に係るユーザの要求を受け付けた日時(即ち、施設の検索処理を行った日時)と、ユーザが案内を要求した施設のジャンル(即ち、施設の検索処理においてユーザが検索条件に選択したジャンル)が対応づけて記憶される。例えば、図4に示す例では、ユーザは2010年3月3日の11:14に施設検索を行った際に“店”→“コンビニエンスストア”→“コンビニ○○チェーン”の順にジャンルを選択して検索条件とし、“コンビニ○○チェーン”に該当する施設の施設情報に基づく案内を要求したことを示す。同様に過去のユーザの要求履歴についても記憶されている。
そして、ナビゲーションECU13は、ジャンル要求履歴DB32に記憶されたユーザの要求履歴に基づいて、後述のようにショートカットジャンルを設定する。
【0034】
また、ショートカットジャンル設定データ33は、ショートカットジャンルに設定されている上位ジャンル又は中位ジャンルを特定するデータである。ここで、図5はショートカットジャンル設定データ33の一例を示した図である。
図5に示すようにショートカットジャンル設定データ33には、ジャンルと、ジャンルがショートカットジャンルであるか否かを識別するショートカットジャンル設定フラグが対応づけて記憶される。例えば、図5に示す例では、“ファミリーレストラン”、“コンビニエンスストア”がショートカットジャンルに設定され、“ファーストフード”、“スーパー・ディスカウント店”がショートカットジャンルに設定されていないことを示す。尚、ナビゲーションECU13はジャンル要求履歴DB32に記憶されたユーザの要求履歴及びユーザの設定操作に基づいて、後述のようにショートカットジャンル設定フラグを切り替える。
そして、ナビゲーションECU13はショートカットジャンル設定データ33に記憶されたショートカットジャンルの設定に基づいて、後述のように施設の検索及び案内を行う。
【0035】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、目的地が選択された場合に、地図情報DB31に記憶されたリンクデータに基づいて出発地(現在位置や自宅)から目的地までの案内経路を設定する案内経路設定処理、複数層に階層化されたジャンルによって区分された施設に関する施設情報を取得する施設情報取得処理、施設のジャンルの内からショートカットジャンルを設定するショートカットジャンル設定処理、施設情報に基づく案内に係るユーザの要求を受け付けた場合に、ユーザが案内を要求する施設のジャンルを要求ジャンルとして取得するジャンル取得処理、要求ジャンルがショートカットジャンルか否かを判定するジャンル判定処理、要求ジャンルがショートカットジャンルであると判定された場合には、要求ジャンルに区分される施設の内、現在位置から最も近い施設に関する前記施設情報に基づいて案内をするとともに、要求ジャンルがショートカットジャンルでないと判定された場合には、ユーザが案内を要求する施設のジャンルとして要求ジャンルの下位のジャンルをユーザに選択させる案内をする施設案内処理等のナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、ショートカットジャンル設定処理プログラム(図6)や施設案内処理プログラム(図7)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。
【0036】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。また、施設検索を行う際にユーザが案内を希望するジャンルを選択する際にも用いられる。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【0037】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。また、施設検索を行った場合に検索された施設に関する情報を表示する際にも用いられる。
【0038】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて走行予定経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。また、施設検索を行った場合に検索された施設に関する情報を出力する際にも用いられる。
【0039】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて地図情報DB31の更新等が行われる。
【0040】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0041】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてCPU41が実行するショートカットジャンル設定処理プログラムについて図6に基づき説明する。図6は本実施形態に係るショートカットジャンル設定処理プログラムのフローチャートである。ここで、ショートカットジャンル設定処理プログラムは車両のACCがONされた後に実行され、施設検索処理を行う際のユーザのジャンル選択作業をショートカットするショートカットジャンルを設定するプログラムである。尚、以下の図6及び図7にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0042】
先ず、ショートカットジャンル設定処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、ユーザがショートカットジャンルの設定について変更することを許諾したか否か判定する。具体的には、液晶ディスプレイ15に「ショートカットジャンルの設定を変更してもよろしいですか?」との案内文を表示し、ユーザが操作部14によって許諾することを選択する操作を行った場合に、ユーザがショートカットジャンルの設定について変更することを許諾したと判定する。
【0043】
そして、ユーザがショートカットジャンルの設定について変更することを許諾したと判定された場合(S1:YES)には、S2へと移行する。それに対して、ユーザがショートカットジャンルの設定について変更することを許諾しないと判定された場合(S1:NO)には、当該ショートカットジャンル設定処理プログラムを終了する。
【0044】
S2においてCPU41は、ジャンル要求履歴DB32(図4)から、過去に施設情報に基づく案内に係るユーザの要求を受け付けた際のユーザの要求履歴を読み出す。
【0045】
続いて、S3においてCPU41は、前記S2で読み出したユーザの要求履歴に基づいて、ショートカットジャンルの設定条件又は解除条件を満たしたか否かを判定する。
【0046】
ここで、ショートカットジャンルの設定条件は以下の条件とする。
(1)過去の所定期間内(例えば1週間以内)に同一の中位ジャンルに属する複数種類の下位ジャンル(中位ジャンルに属する全ての下位ジャンルに該当する“コンビニエンスストア全て”や“ファミリーレストラン全て”等を含む)について、ジャンル毎にユーザによって案内を要求された割合を算出し、最も高い割合が算出されたジャンルの該割合が所定割合以下(例えば、40%以下)の場合に、ユーザには下位ジャンルに対するこだわりが無いと推定し、その中位ジャンルがショートカットジャンルの条件を満たしたと判定する。
【0047】
また、ショートカットジャンルの解除条件は以下の条件とする。
(2)過去の所定期間内(例えば1週間以内)に同一の下位ジャンル(中位ジャンルに属する全ての下位ジャンルに該当する“コンビニエンスストア全て”や“ファミリーレストラン全て”等は含まない)について、ジャンル毎にユーザによって案内を要求された割合を算出し、最も高い割合が算出されたジャンルの該割合が所定割合以上(例えば、50%以上)の場合に、ユーザには下位ジャンルに対するこだわりがあると推定し、その下位ジャンルが属する中位ジャンルがショートカットジャンルの解除条件を満たしたと判定する。
【0048】
そして、前記S3でショートカットジャンルの設定条件又は解除条件を満たしたと判定された場合(S3:YES)には、S4へと移行する。それに対して、ショートカットジャンルの設定条件又は解除条件のいずれも満たしていないと判定された場合(S3:NO)には、当該ショートカットジャンル設定処理プログラムを終了する。
【0049】
S4においてCPU41は、ショートカットジャンルの設定を変更する。具体的には、前記S3においてショートカットジャンルの設定条件を満たしたと判定した場合には、ショートカットジャンル設定データ33(図5)を読み出し、該当するジャンルに対応づけられたショートカットジャンル設定フラグをONする。一方、ショートカットジャンルの解除条件を満たしたと判定された場合には、ショートカットジャンル設定データ33(図5)を読み出し、該当するジャンルに対応づけられたショートカットジャンル設定フラグをOFFする。その後、当該ショートカットジャンル設定処理プログラムを終了する。
【0050】
次に、ナビゲーション装置1においてCPU41が実行する施設案内処理プログラムについて図7に基づき説明する。図7は本実施形態に係る施設案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、施設案内処理プログラムは車両のACCがONされた後に実行され、ユーザの希望するジャンルに該当する施設を検索するとともに、検索された施設に基づく案内を行うプログラムである。
【0051】
先ず、施設案内処理プログラムではS11において、CPU41は、施設の検索処理を行うに際して、ユーザが案内を要求した(即ち、検索条件として選択された)施設の中位ジャンル(以下、要求ジャンルという)を選択する。尚、前記S11の要求ジャンルの選択は、液晶ディスプレイ15に対してジャンル選択画面を表示し、表示されたジャンル選択画面でユーザにジャンルを選択させ、ユーザに選択されたジャンルを要求ジャンルとして選択する。或いは、音声ガイドに従ってユーザにジャンル名を発声させ、発声されたジャンル名を音声認識装置により認識し、CPU41は認識されたジャンル名のジャンルを要求ジャンルとして選択する。尚、ジャンル選択画面を用いてユーザにジャンルを選択させる場合には、基本的に上位ジャンル→中位ジャンルの順に選択させるが、音声入力によってユーザにジャンルを選択させる場合には、中位ジャンルを直接選択させることも可能である。
【0052】
ここで、図8は液晶ディスプレイ15に表示されるジャンル選択画面51の一例を示した図である。図8に示すようにジャンル選択画面51には、ユーザに選択可能なジャンルの一覧表52が表示される。特に図8では上位ジャンルが“食事”に選択された後に表示されるジャンル選択画面51であり、ジャンルの一覧表52には“食事”に属する中位ジャンルの一覧が表示される。
そして、ユーザによってジャンルの一覧表52に表示されたジャンル名が選択されると、CPU41は選択されたジャンル名のジャンルをユーザが案内を要求した(即ち、検索条件として選択された)施設の中位ジャンル(要求ジャンル)として選択する。
また、ジャンルの一覧表52の左側には現在表示されている中位ジャンルに対応する上位ジャンルのジャンル名53が表示される。
更に、上位ジャンルのジャンル名53の左側には各種スクロールボタン54が配置される。そして、ユーザによってスクロールボタン54が操作されると、CPU41は操作内容に従ってジャンルの一覧表52に表示されるジャンル名を他のジャンル名へと変更する。
また、ジャンルの一覧表の右側には上位ジャンル選択ボタン55が配置される。そして、ユーザによっていずれかの上位ジャンル選択ボタン55が選択されると、CPU41は選択された上位ジャンル選択ボタン55に対応する上位ジャンル(例えば、車のボタンが操作された場合には『車』)に区分される中位ジャンルを表示対象エリア52に表示する。
尚、ジャンル選択画面ではユーザは一種類のジャンルのみでなく、複数種類のジャンルを同時に選択することが可能である。
【0053】
次に、S12においてCPU41は、前記S11で選択された要求ジャンルがショートカットジャンルに設定されているか否かを判定する。具体的には、ショートカットジャンル設定データ33(図5)を参照し、該当するジャンルに対応するショートカットジャンル設定フラグがONされているかを判定する。
【0054】
そして、要求ジャンルがショートカットジャンルに設定されていると判定された場合(S12:YES)には、要求ジャンルの下位ジャンルについてはユーザのこだわりが無いと推定し、S13へと移行する。それに対して、要求ジャンルがショートカットジャンルに設定されていないと判定された場合(S12:NO)には、要求ジャンルの下位ジャンルについてはユーザのこだわりがあると推定し、S16へと移行する。
【0055】
S13においてCPU41は、前記S11で選択された要求ジャンルに該当するジャンルの施設であって、車両の現在位置から最も近いことを条件として施設の検索処理を実行する。具体的には、先ず、地図情報DB31から施設データ36(図3参照)を読み出し、要求ジャンルと同ジャンルが関連付けられた施設の施設データを抽出する。次に、抽出された各施設データの位置座標と車両の現在位置とを比較して車両の現在位置から最も近い位置座標が関連付けられた最寄り施設の施設データを更に抽出し、検索条件に適合する施設の施設データとして抽出する。
そして、検索処理の結果、検索条件に適合すると判定された施設の施設データをRAM42等に記憶する。
【0056】
次に、S14においてCPU41は、前記S13で検索された施設を目的地に設定する。また、目的地として設定された施設までの案内経路を探索し、案内経路を設定する。尚、案内経路の探索については公知のダイクストラ法が用いられる。
【0057】
次に、S15においてCPU41は、前記S14において目的地として設定された施設までの案内経路に基づいて、施設までの走行の案内を行う。
【0058】
ここで、図9は前記S15において液晶ディスプレイ15に表示される最寄り施設案内画面61の一例を示した図である。図9に示すように最寄り施設案内画面61では、前記S11で選択された要求ジャンル(図9に示す例ではコンビニエンスストア)に該当するジャンルの施設であって、車両の現在位置から最も近い最寄り施設が目的地と設定されたことを案内する。また、目的地に設定された最寄り施設までの案内経路を表示することによって、その最寄り施設までの走行の案内が行われる。
【0059】
一方、S16においてCPU41は、ナビゲーション装置1において目的地が設定され、目的地までの案内経路が設定されているか否かを判定する。
【0060】
そして、ナビゲーション装置1において目的地までの案内経路が設定されていると判定された場合(S16:YES)には、目的地への到着が優先されるので、要求ジャンルがショートカットジャンルで無かったとしても、今回の検索については要求ジャンルの下位ジャンルについてはユーザのこだわりが無いと推定し、S13へと移行する。そして、上述したように最寄り施設を目的地に設定する(S13〜S15)。それに対して、ナビゲーション装置1において目的地までの案内経路が設定されていないと判定された場合(S16:NO)には、S17へと移行する。
【0061】
S17においてCPU41は、前記S11で選択された要求ジャンルより下の階層のジャンル(即ち、下位ジャンル)をユーザに選択させる案内を行う。更に、S18においてCPU41は、前記S17の案内に応じて行われたユーザの選択に基づいて、ユーザが案内を希望する要求ジャンルの下位ジャンルを選択する。具体的には、液晶ディスプレイ15に対して下位ジャンル選択画面を表示し、表示された下位ジャンル選択画面でユーザに下位ジャンルを選択させ、ユーザに選択されたジャンルを要求ジャンルの下位ジャンルとして選択する。或いは、ユーザに下位ジャンルを発声することを促す音声案内(例えば、要求ジャンルとしてコンビニエンスストアが選択されていた場合には、「どこのコンビニですか?」との音声案内)をスピーカ16から出力し、音声案内に従ってユーザに下位ジャンルのジャンル名を発声させ、発声されたジャンル名を音声認識装置により認識し、CPU41は認識されたジャンル名のジャンルを要求ジャンルの下位ジャンルとして選択する。
【0062】
ここで、図10は液晶ディスプレイ15に表示される下位ジャンル選択画面62の一例を示した図である。図10に示すように下位ジャンル選択画面62には、ユーザに選択可能な下位ジャンルの一覧表63が表示される。特に図10では要求ジャンルが“ファミリーレストラン”に選択された後に表示される下位ジャンル選択画面62であり、ジャンルの一覧表63には“ファミリーレストラン”に属する下位ジャンルの一覧が表示される。
そして、ユーザによってジャンルの一覧表63に表示されたジャンル名が選択されると、CPU41は選択されたジャンル名のジャンルをユーザが案内を要求した要求ジャンルの下位ジャンルとして選択する。
【0063】
その後、S19においてCPU41は、前記S18で選択された下位ジャンルに該当するジャンルの施設の検索処理を実行する。具体的には、先ず、地図情報DB31から施設データ36(図3参照)を読み出し、前記S19で選択された下位ジャンルと同ジャンルが関連付けられた施設の施設データを抽出する。
そして、検索処理の結果、検索条件に適合すると判定された施設の施設データをRAM42等に記憶する。
【0064】
次に、S20においてCPU41は、前記S19で検索された施設に関する施設情報の一覧を液晶ディスプレイ15に表示する。また、表示された施設情報の一覧から目的地を設定する操作が行われた場合には、目的地として設定された施設までの案内経路を探索し、案内経路を設定する。
【0065】
ここで、図11は前記S20において液晶ディスプレイ15に表示される施設案内画面71の一例を示した図である。図11に示すように施設案内画面71では、前記S18で選択された下位ジャンル(図11に示す例ではファミレス○○チェーン)に該当するジャンルの施設に関する情報が、車両の現在位置から近い順に情報ウィンドウ72に表示される。また、施設に関する情報としては、施設名称、現在位置からの距離、所要時間等が表示される。そして、ユーザは施設案内画面71を視認することによって、希望するジャンルの施設に関する情報を取得することができる。また、情報ウィンドウ72を選択することによって、該当する施設を目的地に設定することも可能となる。
【0066】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による施設案内方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、ユーザが案内を要求する施設のジャンルである要求ジャンルをユーザのボタン操作や音声認識に基づいて選択し(S11)、選択された要求ジャンルがショートカットジャンルに設定されているか否かを判定し(S12)、要求ジャンルがショートカットジャンルに設定されている場合には、それより下の階層のジャンル(即ち、下位ジャンル)をユーザに選択させることなく、要求ジャンルに該当する施設の内、車両の現在位置に最も近い最寄り施設について検索し(S13)、検索された最寄り施設を目的地に設定し(S14)、設定した案内経路に基づいて最寄り施設までの走行を案内する(S15)ので、ユーザが案内を要求した施設のジャンルが予め設定されたショートカットジャンルである場合には、下位のジャンルを選択させる作業を課すことなく、現在位置から最も近い該当ジャンルの施設に関する施設情報に基づいて案内をすることができ、ユーザによるジャンルの選択作業を簡略化することができる。その結果、施設情報に基づく案内を要求する為のユーザの作業負担を軽減し、案内処理を迅速に行うとともに利便性を向上させることが可能となる。
また、施設情報に基づく案内に係るユーザの要求履歴に基づいて、過去の所定期間内に同一の中位ジャンルに属する複数種類の下位ジャンル(中位ジャンルに属する全ての下位ジャンルに該当する“コンビニエンスストア全て”や“ファミリーレストラン全て”等を含む)について、ジャンル毎にユーザによって案内を要求された割合を算出し、最も高い割合が算出されたジャンルの該割合が所定割合以下(例えば、40%以下)の場合に、該中位のジャンルをショートカットジャンルに設定する(S4)ので、ユーザが下位のジャンルに対するこだわりが無いジャンルを適切に識別し、そのジャンルをショートカットジャンルに設定することが可能となる。
目的地までの案内経路が設定されている場合には、目的地への到着が優先されるので、要求ジャンルがショートカットジャンルで無かったとしても、要求ジャンルの下位のジャンルについてはユーザのこだわりが無いと推定する。従って、ショートカットジャンルである場合と同様に、ジャンルの選択作業を簡略化することができる。その結果、施設情報に基づく案内を要求する為のユーザの作業負担を軽減し、案内処理を迅速に行うとともに利便性を向上させることが可能となる。
【0067】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では上位ジャンル、中位ジャンル、下位ジャンルの3層に階層化されたジャンルを例に挙げて説明したが、ジャンルは2層や4層以上に階層化されていても良い。
【0068】
また、本実施形態では中位ジャンルをショートカットジャンルに設定することとしたが、中位ジャンルとともに上位ジャンルについてもショートカットジャンルに設定可能に構成しても良い。
その場合には前記S3で判定されるショートカットジャンルの設定条件は以下の条件とする。
(1)過去の所定期間内(例えば1週間以内)に同一の上位ジャンルに属する複数種類の中位ジャンル(上位ジャンルに属する全ての中位ジャンルに該当する“食事全て”や“店全て”等を含む)について、ジャンル毎にユーザによって案内を要求された割合を算出し、最も高い割合が算出されたジャンルの該割合が所定割合以下(例えば、40%以下)の場合に、その上位ジャンルがショートカットジャンルの設定条件を満たしたと判定する。
また、ショートカットジャンルの解除条件は以下の条件とする。
(2)過去の所定期間内(例えば1週間以内)に同一の中位ジャンル(上位ジャンルに属する全ての中位ジャンルに該当する“食事全て”や“店全て”等は含まない)について、ジャンル毎にユーザによって案内を要求された割合を算出し、最も高い割合が算出されたジャンルの該割合が所定割合以上(例えば、50%以上)の場合に、その中位ジャンルの属する上位ジャンルがショートカットジャンルの解除条件を満たしたと判定する。
更に、上位ジャンルがショートカットジャンルに設定されている場合であって、前記S11においてショートカットジャンルに設定された上位ジャンルが要求ジャンルとして選択された場合には、その上位ジャンルに該当する最寄りの施設を目的地に設定することとなる(S14)。
【0069】
また、本実施形態では要求ジャンルとしてショートカットジャンルが設定された場合には、その要求ジャンルに該当する最寄りの施設を目的地に設定して、目的地までの走行を案内する構成としているが、目的地には設定せず、要求ジャンルに該当する最寄りの施設に関する情報(例えば、施設名称、現在位置からの距離、所要時間等)を案内する構成としても良い。
【0070】
また、本実施形態ではユーザの要求履歴に基づいてショートカットジャンルを設定しているが、ユーザの操作に基づいてショートカットジャンルを設定しても良い。例えば、ナビゲーション装置1のメニュー画面において、新たにショートカットジャンルを追加する操作を受け付けた場合には、ショートカットジャンル設定データ33(図5)を読み出し、該当するジャンルに対応づけられたショートカットジャンル設定フラグをONする。一方、ショートカットジャンルを解除する操作を受け付けた場合には、ショートカットジャンル設定データ33(図5)を読み出し、該当するジャンルに対応づけられたショートカットジャンル設定フラグをOFFする。
【符号の説明】
【0071】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
15 液晶ディスプレイ
16 スピーカ
32 ジャンル要求履歴DB
33 ショートカットジャンル設定データ
36 施設データ
41 CPU
42 RAM
43 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数層に階層化されたジャンルによって区分された施設に関する施設情報を取得する施設情報取得手段と、
前記施設のジャンルの内からショートカットジャンルを設定するショートカットジャンル設定手段と、
前記施設情報に基づく案内に係るユーザの要求を受け付けた場合に、ユーザが案内を要求する施設のジャンルを要求ジャンルとして取得するジャンル取得手段と、
前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルか否かを判定するジャンル判定手段と、
前記ジャンル判定手段によって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルであると判定された場合には、前記要求ジャンルに区分される施設の内、現在位置から最も近い施設に関する前記施設情報に基づいて案内をするとともに、前記ジャンル判定手段によって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルでないと判定された場合には、ユーザが案内を要求する施設のジャンルとして前記要求ジャンルの下位のジャンルをユーザに選択させる案内をする施設案内手段と、を有することを特徴とする施設案内装置。
【請求項2】
前記施設情報に基づく案内に係るユーザの要求を受け付けた際のユーザの要求履歴を記憶する要求履歴記憶手段を有し、
前記ショートカットジャンル設定手段は、前記要求履歴記憶手段により記憶された前記ユーザの要求履歴に基づいて、前記施設のジャンルの内からショートカットジャンルを設定することを特徴とする請求項1に記載の施設案内装置。
【請求項3】
前記ショートカットジャンル設定手段は、
過去の所定期間内に同一の上位のジャンルに属する複数種類の下位のジャンルについて、ジャンル毎にユーザによって施設情報に基づく案内を要求された割合を算出し、
最も高い割合が算出されたジャンルの該割合が所定割合以下の場合に、該上位のジャンルをショートカットジャンルに設定することを特徴とする請求項2に記載の施設案内装置。
【請求項4】
前記下位のジャンルの施設情報に基づく案内は、同一の上位のジャンルに属する全ての下位のジャンルの施設情報に基づく案内を含むことを特徴とする請求項3に記載の施設案内装置。
【請求項5】
前記車両の目的地を設定する目的地設定手段と、
前記目的地までの案内経路を設定する案内経路設定手段と、を有し、
前記施設案内手段は、前記案内経路設定手段によって前記案内経路が設定されている場合には、前記ジャンル判定手段によって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルでないと判定された場合であっても、前記要求ジャンルに区分される施設の内、前記車両の現在位置から最も近い施設に関する前記施設情報に基づいて案内をすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の施設案内装置。
【請求項6】
複数層に階層化されたジャンルによって区分された施設に関する施設情報を取得する施設情報取得ステップと、
前記施設のジャンルの内からショートカットジャンルを設定するショートカットジャンル設定ステップと、
前記施設情報に基づく案内に係るユーザの要求を受け付けた場合に、ユーザが案内を要求する施設のジャンルを要求ジャンルとして取得するジャンル取得ステップと、
前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルか否かを判定するジャンル判定ステップと、
前記ジャンル判定ステップによって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルであると判定された場合には、前記要求ジャンルに区分される施設の内、現在位置から最も近い施設に関する前記施設情報に基づいて案内をするとともに、前記ジャンル判定ステップによって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルでないと判定された場合には、ユーザが案内を要求する施設のジャンルとして前記要求ジャンルの下位のジャンルをユーザに選択させる案内をする施設案内ステップと、を有することを特徴とする施設案内方法。
【請求項7】
コンピュータに搭載され、
複数層に階層化されたジャンルによって区分された施設に関する施設情報を取得する施設情報取得機能と、
前記施設のジャンルの内からショートカットジャンルを設定して記憶媒体に記憶するショートカットジャンル設定機能と、
前記施設情報に基づく案内に係るユーザの要求を受け付けた場合に、ユーザが案内を要求する施設のジャンルを要求ジャンルとして取得するジャンル取得機能と、
前記要求ジャンルが前記記憶媒体に記憶された前記ショートカットジャンルか否かを判定するジャンル判定機能と、
前記ジャンル判定機能によって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルであると判定された場合には、前記要求ジャンルに区分される施設の内、現在位置から最も近い施設に関する前記施設情報に基づいて案内をするとともに、前記ジャンル判定機能によって前記要求ジャンルが前記ショートカットジャンルでないと判定された場合には、ユーザが案内を要求する施設のジャンルとして前記要求ジャンルの下位のジャンルをユーザに選択させる案内をする施設案内機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−203051(P2011−203051A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69663(P2010−69663)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】