説明

施設検索装置

【課題】 施設検索の精度を向上させることができる安価な施設検索装置を提供する。
【解決手段】 通過した地点に関する情報を履歴データとして順次記憶する履歴データ管理部16と、入力された指示を認識する指示認識部11と、指示認識部で検索の指示がなされたことが認識された場合に、現時点から一定時間だけ遡った時点の履歴データを履歴データ管理部から読み出し、該読み出した履歴データによって示される地点を基準として、指示認識部で認識された指示に含まれる検索条件に従って、施設の情報を検索する情報検索部13と、情報検索部で検索された結果を出力する結果出力部14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばナビゲーション装置に適用される施設検索装置に関し、特に移動しながら周囲の施設を検索する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設検索機能を有するナビゲーション装置が知られている。このようなナビゲーション装置の1つとして、利用者による「左」、「右」といった方向を意味する言葉の発話に対して、地図データとリンクしてこれに応えることができる対話型のナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このナビゲーション装置では、マイクから入力される「左側の建物は何ですか」とか、「左側にコンビニはありますか」といった利用者の検索を指示する言葉が音声認識される。そして、この音声認識の結果から検索ジャンル、検索範囲および前後左右といった検索方向が判別されて検索条件とされる。検索部では、この検索条件に応じて、施設・地名メモリ内のデータが検索される。この検索により複数の候補が得られた場合は、候補順位決定部により候補の提示順序が決定され、音声化部で音声データに変換された後、音声出力部を介してスピーカから、例えば「○○ビルです」、「××マートがあります」といった検索結果が音声によって出力される。このナビゲーション装置は、利用者が施設を厳密に指示しなくても検索することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2001−133283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載のナビゲーション装置では、利用者が現在いる地点を基準にして検索が行われるので、山などの遠く離れた対象を検索する場合は、利用者が検索を指示してからナビゲーション装置の位置が移動しても問題にならないが、近くの建物を検索する場合は、利用者が検索を指示してからナビゲーション装置の位置が少し移動しただけで方向や距離が大きく変化してしまい、検索が困難になるという問題がある。このような問題は、ナビゲーション装置の処理速度を高速化すれば解消されるが、高速化にも限界があり、特に小型化しようとすると処理の高速化が困難になるとともに、装置のコストが上昇するという問題がある。
【0006】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その目的は、施設検索の精度を向上させることができる安価な施設検索装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る施設検索装置は、上記課題を達成するために、通過した地点に関する情報を履歴データとして順次記憶する履歴データ管理部と、入力された指示を認識する指示認識部と、指示認識部で検索の指示がなされたことが認識された場合に、現時点から一定時間だけ遡った時点の履歴データを履歴データ管理部から読み出し、該読み出した履歴データによって示される地点を基準として、指示認識部で認識された指示に含まれる検索条件に従って、施設の情報を検索する情報検索部と、情報検索部で検索された結果を出力する結果出力部とを備えている。
【0008】
この発明に係る施設検索装置は、通過した地点に関する情報を履歴データとして順次記憶する履歴データ管理部と、入力された指示を認識する指示認識部と、指示認識部で検索の指示がなされたことが認識された場合に、現地点から一定距離だけ遡った地点の履歴データを履歴データ管理部から読み出し、該読み出した履歴データによって示される地点を基準として、指示認識部で認識された指示に含まれる検索条件に従って、施設の情報を検索する情報検索部と、情報検索部で検索された結果を出力する結果出力部とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、通過した地点に関する情報を履歴データとして順次記憶しておき、検索の指示がなされた場合に、現時点から一定時間だけ遡った時点の履歴データによって示される地点を基準として、指示に含まれる検索条件に従って、施設の情報を検索するので、利用者が検索を指示した時点で存在していた地点を基準とする検索を行うことができる。従って、安価な構成で施設検索の精度を向上させることができる。
【0010】
この発明によれば、通過した地点に関する情報を履歴データとして順次記憶しておき、検索の指示がなされた場合に、現地点から一定距離だけ遡った地点の履歴データによって示される地点を基準として、指示に含まれる検索条件に従って、施設の情報を検索するので、利用者が検索を指示した地点を基準とする検索を行うことができる。従って、安価な構成で施設検索の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、この発明の実施の形態1に係る施設検索装置は、ナビゲーション装置上に実現されているものとする。
実施の形態1.
まず、この発明の実施の形態1に係る施設検索装置の概略を説明する。図1は、実施の形態1に係る施設検索装置の概略的な構成を示すブロック図である。この施設検索装置は、入力装置1、位置検出装置2、利用者データ検出装置3、出力装置4およびナビゲーション制御装置5から構成されている。
【0012】
入力装置1は、施設検索の指示を入力するために使用される。この入力装置1から入力された施設検索の指示は、検索指示データとしてナビゲーション制御装置5に送られる。位置検出装置2は、自己の現在の位置および高度を検出する。この位置検出装置2で検出された自己の現在の位置および高度は、現在位置データとしてナビゲーション制御装置5に送られる。
【0013】
利用者データ検出装置3は、利用者データ(詳細は後述する)を検出する。この利用者データ検出装置3で検出された利用者データは、ナビゲーション制御装置5に送られる。出力装置4は、施設検索の結果を出力するために使用される。この出力装置4は、ナビゲーション制御装置5から送られてくる検索結果データに基づき、検索された施設に関する情報を出力する。
【0014】
ナビゲーション制御装置5は、入力装置1から入力された検索指示データ、位置検出装置2で検出された現在位置データおよび利用者データ検出装置3で検出された利用者データに基づき施設検索を実行し、その検索結果を検索結果データとして出力装置4に送る。このナビゲーション制御装置5は、指示認識部11、データ管理部12、情報検索部13および結果出力部14から構成されている。
【0015】
指示認識部11は、入力装置1から送られてくる検索指示データを解析し、この解析結果に基づいて施設検索を情報検索部13に指示する。データ管理部12は、施設検索装置で使用される種々のデータを管理する。このデータ管理部12は、現在データ管理部15、履歴データ管理部16、施設データ管理部17および地図データ管理部18から構成されている。
【0016】
現在データ管理部15は、位置検出装置2から現在位置データを取得するとともに、利用者データ検出装置3から利用者データを取得し、これら現在位置データおよび利用者データを纏めて現在データを作成する。現在データは、後述するように、地図表示や施設検索といった種々の機能を実現するために使用される。この現在データ管理部15で作成された現在データは、情報検索部13および履歴データ管理部16に送られる。
【0017】
履歴データ管理部16は、現在データ管理部15から受け取った現在データを履歴データとして順次蓄積する。この履歴データ管理部16に蓄積された履歴データは、情報検索部13に送られる。施設データ管理部17は、施設データを取得する。この施設データ管理部17で取得された施設データは情報検索部13に送られる。地図データ管理部18は、地図データを取得する。この地図データ管理部18で取得された地図データは情報検索部13に送られる。
【0018】
情報検索部13は、現在データ管理部15で作成された現在データ、履歴データ管理部16に蓄積されている履歴データ、施設データ管理部17で取得された施設データおよび地図データ管理部18で取得された地図データを利用して施設検索を実行する。この情報検索部13における検索結果は、結果出力部14に送られる。結果出力部14は、情報検索部13から送られてきた検索結果に基づいて検索結果データを生成し、出力装置4に送る。これにより、入力装置1から入力された施設検索の指示に応じて検索された施設に関する情報が出力装置4によって利用者に提示される。
【0019】
次に、上述した施設検索装置をさらに詳細に説明する。図2は、この発明の実施の形態1に係る施設検索装置の詳細な構成を示すブロック図である。この施設検索装置は、上述したように、入力装置1、位置検出装置2、利用者データ検出装置3、出力装置4およびナビゲーション制御装置5から構成されている。
【0020】
(1)入力装置
入力装置1は、リモートコントローラ(以下、「リモコン」と略する)21、タッチパネル22、操作スイッチ23およびマイクロフォン(以下、「マイク」と略する)24から構成されている。
【0021】
リモコン21は、その操作部(図示しない)のキー操作に応じた信号を生成し、赤外線や電波によって検索指示データとして指示認識部11に送る。タッチパネル22は、後述する画像表示装置31の画面上に載置され、タッチされた位置に応じた信号を生成して検索指示データとして指示認識部11に送る。操作スイッチ23は、施設検索装置の所定部位に設けられており、スイッチ操作に応じた信号を生成して検索指示データとして指示認識部11に送る。マイク24は、施設検索装置を音声によって操作するために使用されるものであり、発話された音声を電気信号である音声信号に変換し、検索指示データとして指示認識部11に送る。
【0022】
(2)位置検出装置
位置検出装置2は、GPS(Global Positioning System)受信機25、速度センサ26、角度センサ27および位置計算部28から構成されている。なお、位置計算部28は、ナビゲーション制御装置5に含まれるが、ここでは、便宜上、位置検出装置2の一部として説明する。
【0023】
GPS受信機25は、GPS衛星から送信される電波を受信してGPSデータを生成し、位置計算部28に送る。速度センサ26は、走行時に車両から発生される車速パルスを検知し、速度データとして位置計算部28に送る。角度センサ27は、車両の方位角を検出し、方位データとして位置計算部28に送る。
【0024】
位置計算部28は、GPS受信機25から送られてくるGPSデータ、速度センサ26から送られてくる速度データおよび角度センサ27から送られてくる方位データに基づき現在位置(緯度、経度、高度)を算出する。この位置計算部28で算出された現在位置は、現在位置データとして現在データ管理部15に送られる。
【0025】
(3)利用者データ検出装置
利用者データ検出装置3は、速度センサ26、角度センサ27および光度センサ29から構成されている。この利用者データ検出装置3を構成する速度センサ26および角度センサ27は、位置検出装置2を構成するそれらと同じものである。光度センサ29は、周囲の明るさを検出し、光度データとして現在データ管理部15に送る。
【0026】
この利用者データ検出装置3で検出される利用者データには、速度センサ26で検出された速度データ、角度センサ27で検出された方位データおよび光度センサ29で検出された光度データといった物理的データの他に、利用者の嗜好データが含まれる。利用者の嗜好データは、ナビゲーション機能の一部として用意されている設定メニューから入力される情報、例えば「寺が好き」などといった情報から構成される。なお、物理的データには、上記以外に、例えばワイパーの動きを検出することにより得られる天候データ(雨かどうかを表すデータ)や温度センサにより検出された温度データなどを含めることもできる。
【0027】
(4)出力装置
出力装置4は、画像表示装置31および音声出力装置32から構成されている。画像表示装置31は、例えば液晶ディスプレイ装置から構成されており、結果出力部14から送られてくる画像データに基づき地図、自車両の現在位置、交差点情報などを表示する。音声出力装置32は、例えばスピーカから構成されており、結果出力部14から送られてくる音声データに基づき種々のメッセージを音声で出力する。
【0028】
(5)ナビゲーション制御装置
ナビゲーション制御装置5は、上述したように、指示認識部11、データ管理部12、情報検索部13および結果出力部14から構成されている。
【0029】
(5−1)指示認識部
指示認識部11は、操作信号入力部33、音声認識部34および命令解釈部35から構成されている。操作信号入力部33は、リモコン21から検索指示データとして送られてくる信号、タッチパネル22から検索指示データとして送られてくる信号および操作スイッチ23から検索指示データとして送られてくる信号を受け取り、操作信号として命令解釈部35に送る。音声認識部34は、マイク24から検索指示データとして送られてくる音声信号に基づき音声認識を実行し、この音声認識の結果を操作信号として命令解釈部35に送る。
【0030】
命令解釈部35は、操作信号入力部33から送られてくる操作信号または音声認識部34から送られてくる操作信号を解釈し、実際に行うべき操作を指示するための操作指示信号を生成する。より詳しくは、命令解釈部35は、操作信号を解釈した結果、例えば「左側の建物は何ですか」や「左側の山は何ですか」といった施設検索を指示する操作であることを判断した場合は、施設検索を実行するための操作指示信号を情報検索部13に送る。一方、命令解釈部35は、操作信号を解釈した結果、施設検索を指示する操作以外の操作、例えばモードの切り替えや画面設定変更の操作であることを判断した場合は、表示位置の移動といった操作を実行するための操作指示信号を結果出力部14に送る。
【0031】
(5−2)データ管理部
データ管理部12は、上述したように、現在データ管理部15、履歴データ管理部16、施設データ管理部17および地図データ管理部18から構成されている。
【0032】
現在データ管理部15は、位置計算部28で計算された現在位置データ、速度センサ26で検出された速度データ、角度センサ27で検出された方位データおよび光度センサ29で検出された光度データを所定のタイミング毎に収集し、これらに時間情報を付して現在データを作成する。所定のタイミングとしては、一定時間毎または曲がり角に到達する毎などを用いることができる。この現在データ管理部16で作成された現在データは、情報検索部13、結果出力部14、履歴データ管理部16、施設データ管理部17および地図データ管理部18に送られる。
【0033】
履歴データ管理部16は、現在データ管理部15から送られてくる現在データを履歴データとして順次蓄積する。この履歴データ管理部16に蓄積された履歴データは、情報検索部13および結果出力部14に送られる。
【0034】
施設データ管理部17および地図データ管理部18は、ストレージ装置36、通信装置37およびデータ読出制御部38から構成されている。なお、ストレージ装置36および通信装置37は、ナビゲーション制御装置5の外部に設けられるが、便宜上、施設データ管理部17および地図データ管理部18の一部として説明する。
【0035】
ストレージ装置36は、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)といった記録媒体のドライブやHDD(Hard Disk Drive)から構成されている。このストレージ装置36は、施設データおよび地図データを記憶している。通信装置37は、例えば携帯電話から構成されており、外部から情報を取得する。この通信装置37によって取得される情報には、施設データおよび地図データが含まれる。データ読出制御部38は、ストレージ装置36または通信装置37から施設データまたは地図データを取得する制御を行う。このデータ読出制御部38の制御によってストレージ装置36または通信装置37から取得された施設データおよび地図データは、情報検索部13および結果出力部14に送られる。
【0036】
(5−3)情報検索部
情報検索部13は、ジャンル判定部39、範囲判定部40、方向判定部41、遡行期間決定部42および検索実行部43から構成されている。この発明の時間変更手段および距離変更手段は、遡行期間決定部42によって構成されている。
【0037】
ジャンル判定部39は、指示認識部11の命令解釈部35から送られてくる操作指示信号に基づき、例えばレストラン、コンビニ、ガソリンスタンド、学校といった検索対象のジャンルを判定する。このジャンル判定部39による判定結果は、検索条件の1つとして検索実行部43に通知される。範囲判定部40は、指示認識部11の命令解釈部35から送られてくる操作指示信号に基づき、施設等を検索する検索範囲、例えば自車位置または指定された地点から所定距離の範囲を判定する。この範囲判定部40で判定された検索範囲は、検索条件の他の1つとして検索実行部43に通知される。方向判定部41は、指示認識部11の命令解釈部35から送られてくる操作指示信号に基づき、自車位置の前後左右といった検索する方向を判定する。この方向判定部41で判定された検索範囲は、検索条件のさらに他の1つとして検索実行部43に通知される。
【0038】
遡行期間決定部42は、現在データ管理部15からの現在データ、履歴データ管理部16からの履歴データならびにデータ読出制御部38からの施設データおよび地図データに基づいて、施設検索を実行する際に基準として使用する地点(以下、「基準地点」という)を決定する。より詳しくは、遡行期間決定部42は、現時点から一定時間だけ遡った時点の履歴データを履歴データ管理部15から読み出し、該読み出した履歴データによって示される地点、または現地点から一定距離だけ遡った地点の履歴データを履歴データ管理部15から読み出し、該読み出した履歴データによって示される地点を基準地点とし決定する。この遡行期間決定部42で決定された基準地点を表すデータは、検索実行部43に送られる。
【0039】
検索実行部43は、遡行期間決定部42から送られてくる基準地点を中心とし、ジャンル判定部39、範囲判定部40および方向判定部41から送られてくる検索条件に従って、データ読出制御部38から読み出した施設データおよび地図データを検索する。この検索実行部43における検索によって得られた施設に関する情報は、地図描画部45および現在位置描画部46に送られるとともに、音声化部49に送られる。施設に関する情報は、施設の位置情報、施設情報および利用者に提示する内容の文字列などを含む。
【0040】
(5−4)結果出力部
結果出力部14は、操作実行部44、地図描画部45、現在位置描画部46、案内情報出力部47、画像出力部48、音声化部49および音声出力部50から構成されている。操作実行部44は、施設検索を指示する操作以外の操作が指示された旨を表す操作指示信号を命令解釈部35から受け取った場合は、地図描画部45および現在位置描画部46を起動し、また、操作指示信号の内容によっては音声化部49を起動する。
【0041】
地図描画部45は、操作実行部44からの起動に応答して、現在データ管理部15から送られてくる現在データ、履歴データ管理部16から送られてくる履歴データ、データ読出制御部38から送られてくる施設データおよび地図データを使用して、ナビゲーション機能用の地図を描画するための地図描画データを生成する。この地図描画部45で生成された地図描画データは、画像出力部48に送られる。現在位置描画部46は、操作実行部44からの起動に応答して、現在データ管理部15から送られてくる現在データ、履歴データ管理部16から送られてくる履歴データ、データ読出制御部38から送られてくる施設データおよび地図データを使用して現在位置を描画するための現在位置描画データを生成する。この現在位置描画部46で生成された現在位置描画データは、画像出力部48に送られる。
【0042】
案内情報出力部47は、現在データ管理部15から送られてくる現在データ、履歴データ管理部16から送られてくる履歴データ、データ読出制御部38から送られてくる施設データおよび地図データを使用して、例えば交差点情報などといった案内情報を描画するための案内情報描画データを生成する。この案内情報出力部47で生成された案内情報描画データは、画像出力部48に送られる。また、案内情報出力部47は、音声による出力が必要となった場合に、音声出力を音声化部49に指示する。画像出力部48は、地図描画部45からの地図描画データに、現在位置描画部46からの現在位置描画データおよび案内情報出力部47からの案内情報描画データを重畳させた画像データを生成し、画像表示装置31に送る。これにより、画像表示装置31に、地図、自車位置を表すマーク、および案内情報が表示される。
【0043】
音声化部49は、操作実行部44からの起動または案内情報出力部47からの指示に応答して、音声データを作成し、また、予め用意してある音声データを準備する。この音声化部49で作成または準備された音声データは、音声出力部50に送られる。音声出力部50は、音声化部49から送られてくる音声データに基づいて、例えばスピーカで再生可能な音声信号を生成し、音声出力装置32に送る。これにより、音声出力装置32から音声によるメッセージが出力される。
【0044】
以上のように構成される、この発明の実施の形態1に係る施設検索装置は、入力装置1から検索指示が入力された場合に、ナビゲーション制御装置5の情報検索部13は、遡行期間決定部42によって決定された、現時点から一定時間だけ遡った時点、または現地点から一定距離だけ遡った地点の履歴データを履歴データ管理部15から読み出す。そして、この読み出した履歴データによって示される地点を基準地点として、ジャンル判定部39、範囲判定部40および方向判定部41から出力される検索条件に従って、データ読出制御部38によって読み出された施設データおよび地図データを検索して施設に関する情報を取得する。そして、取得した施設に関する情報を、結果出力部14を介して出力装置4に出力する。これにより、例えば、画面表示の場合は、検索条件に適合した地点(施設)を丸で囲んでマーキングし、「大阪城です。由来は・・・」などと表示される。また、音声出力の場合は、「大阪城です。由来は・・・」と音声で出力される。
【0045】
従って、利用者の施設検索の指示に応じて情報検索部13が検索を実行する際は、図3に示すように、現在走行中の地点Bを基準地点として検索が行われるのではなく、利用者が施設検索を指示した時点より少し前の時点または利用者が検索を指示した地点より少し前の地点が、利用者が存在していた地点Aと推測され、この推測された地点Aを基準地点として検索が行われる。
【0046】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る施設検索装置によれば、利用者が検索を指示した時点で存在していたと推測される地点を基準地点として検索が行われるので、利用者が施設検索の指示を出した時と実際に施設検索が行われる時との地点移動に起因するずれを補正することができる。従って、施設検索の精度を向上させることができるとともに、処理速度の高速化を必要としないので安価な施設検索装置を実現できる。
【0047】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る施設検索装置は、実施の形態1に係る施設検索装置において、施設検索を実行する際に遡るべき時間または遡るべき距離を変更できるようにしたものである。
【0048】
実施の形態2に係る施設検索装置の構成は、遡行期間決定部42の構成および動作を除けば、上述した実施の形態1に係る施設検索装置の構成および動作と同じである。以下では、遡行期間決定部42の構成および動作を中心に説明する。
【0049】
図4は、実施の形態2に係る施設検索装置の遡行期間決定部42の構成を示すブロック図である。この遡行期間決定部42は、遡行期間設定部51、利用者設定遡行期間データメモリ52、デフォルト遡行期間データメモリ53、自動決定スイッチ制御部54、自動決定スイッチ55および遡行期間自動決定部56から構成されている。
【0050】
遡行期間設定部51は、入力装置1からの入力に応じて遡行期間を設定する。例えば、利用者が入力装置1から「1分前」、「200m前」といった任意の指示を入力すると、遡行期間設定部51は、この指示に対応する遡行期間を算出し、利用者設定遡行期間データとして利用者設定遡行期間データメモリ52に格納する。利用者設定遡行期間データメモリ52に格納された利用者設定遡行期間データは、遡行期間自動決定部56によって読み出される。デフォルト遡行期間データメモリ53には、遡行期間のデフォルト値が、デフォルト遡行期間データとしてあらかじめ記憶されている。デフォルト遡行期間データメモリ53に格納されたデフォルト遡行期間データは、遡行期間自動決定部56によって読み出される。
【0051】
自動決定スイッチ制御部54は、入力装置1からの入力に応じて自動決定スイッチ55のON/OFFを制御する。自動決定スイッチ55は、自動的に設定された遡行期間を使用するか利用者によって設定された遡行期間を使用するかを記憶する。この自動決定スイッチ55の設定状態は、遡行期間自動決定部56によって参照される。遡行期間自動決定部56は、情報検索部13からの問い合わせに応答して、自動決定スイッチ55の設定状態に応じた遡行期間を情報検索部13に返す。この遡行期間自動決定部56の詳細は、後述する。
【0052】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態2に係る施設検索装置の動作を、遡行期間決定部42の動作を中心に、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0053】
遡行期間決定部42では、情報検索部13から遡行すべき地点の問い合わせがあると、まず、自動決定スイッチ55の状態が調べられる(ステップST10)。すなわち、遡行期間自動決定部56は、自動決定スイッチ55の状態を読み出し、そのON/OFFを調べる。ここで、自動決定スイッチ55がONであることが判断されると、最適な期間が計算される(ステップST11)。すなわち、遡行期間自動決定部56は、現在データ管理部15から送られてくる現在データおよび履歴データ管理部16から送られてくる履歴データに基づいて最適な遡行期間を決定し、決定した遡行期間を情報検索部13に返す。最適な遡行期間は、例えば、現在データに含まれる速度データを参照し、この速度データで示される速度が速ければより以前に遡るような遡行期間が決定される。また、利用者による「2分前」、「1つ前の交差点」などといった指示から、「現在都市部なので時速30kmとして17m過去の地点」、「地図から1つ前の交差点を調べてその地点」などと決定するように構成できる。その後、シーケンスは、ステップST15に進む。
【0054】
上記ステップST10において、自動決定スイッチ55がOFFであることが判断されると、次いで、利用者設定遡行期間データが存在するかどうかが調べられる(ステップST12)。ここで、利用者設定遡行期間データが存在することが判断されると、利用者設定遡行期間データが遡行期間として使用される(ステップST13)。すなわち、遡行期間自動決定部56は、利用者設定遡行期間データメモリ52から利用者設定遡行期間データを読み出し、この利用者設定遡行期間データに基づいて遡行期間を決定する。その後、シーケンスはステップST15に進む。
【0055】
上記ステップST12において、利用者設定遡行期間データが存在しないことが判断されると、デフォルト遡行期間データが遡行期間として使用される(ステップST14)。すなわち、遡行期間自動決定部56は、デフォルト遡行期間データメモリ53からデフォルト遡行期間データを読み出し、このデフォルト遡行期間データに基づいて遡行期間を決定する。その後、シーケンスはステップST15に進む。
【0056】
ステップST15では、履歴データおよび地図データから遡行した地点が計算される。すなわち、遡行期間自動決定部56は、ステップST11、ステップST13またはステップST14で決定された遡行期間と現在データ管理部15から送られてくる現在データおよび履歴データ管理部16から送られてくる履歴データとに基づき遡行すべき時点または遡行すべき地点を計算する。次いで、計算結果が情報検索部13に送信される(ステップST16)。以上により、遡行期間決定部42における処理は終了する。
【0057】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る施設検索装置によれば、利用者の嗜好や周囲の状況に応じて遡る時間や距離を変化させることができるので、利用者の意図に沿った検索結果が得られやすくなる。また、遡る時間や地点を利用者がリアルタイムでかつ任意に指定できるので、施設検索の精度を向上させることができる。
【0058】
なお、上述した実施の形態2に係る施設検索装置では、最適な遡行期間を現在データおよび履歴データに基づいて決定するように構成したが、その他のパラメータ、例えば昼夜、利用者の特性などといったパラメータを用いることができる。昼夜というパラメータを用いる場合は、昼間であれば他車も多く、速度が出ないと推測されるので遡行する期間を短くし、逆に夜であれば遡行する期間を長くするように構成できる。また、利用者というパラメータを用いる場合は、若者は速度を出す傾向があるので遡行期間を長くし、老人は安全運転をする傾向があるので遡行期間を短くするように構成できる。また、利用者の嗜好(スピードを出す傾向がある、通り過ぎてから検索指示を出す傾向がある)などが分かっていれば、それを反映して遡行期間を変化させるように構成することもできる。
【0059】
さらに、上述したパラメータとして、施設データが定期的に更新されるといった方法で状況の変化に反応することで、山や建物といった固定的なものだけでなく、祭事、車、紅葉といった時間的に変化しやすいものを含むことができる。例えば、施設データが固定の場合、「南禅寺は紅葉で有名である」ことはわかっても、「現在紅葉がどのような状況になっているか(特に見ごろか)」は分からない。これに対し、施設データが定期的に更新された場合、更新頻度にもよるが「紅葉の状態」といったリアルタイムな情報を得ることができる。この構成によれば、周囲の検索可能な対象が増加し、利用者の満足度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明の実施の形態1に係る施設検索装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る施設検索装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る施設検索装置の動作を説明するための図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る施設検索装置の遡行期間決定部の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る施設検索装置の遡行期間決定部の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 入力装置、2 位置検出装置、3 利用者データ検出装置、4 出力装置、5 ナビゲーション制御装置、11 指示認識部、12 データ管理部、13 情報検索部、14 結果出力部、15 現在データ管理部、16 履歴データ管理部、17 施設データ管理部、18 地図データ管理部、21 リモコン、22 タッチパネル、23 操作スイッチ、24 マイク、25 GPS受信機、26 速度センサ、27 角度センサ、28 位置計算部、29 光度センサ、31 画像表示装置、32 音声出力装置、33 操作信号入力部、34 音声認識部、35 命令解釈部、36 ストレージ装置、37 通信装置、38 データ読出制御部、39 ジャンル判定部、40 範囲判定部、41 方向判定部、42 遡行期間決定部、43 検索実行部、44 操作実行部、45 地図描画部、46 現在位置描画部、47 案内情報出力部、48 画像出力部、49 音声化部、50 音声出力部、51 遡行期間設定部、52 利用者設定遡行期間データメモリ、53 デフォルト遡行期間データメモリ、54 自動決定スイッチ制御部、55 自動決定スイッチ、56 遡行期間自動決定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過した地点に関する情報を履歴データとして順次記憶する履歴データ管理部と、
入力された指示を認識する指示認識部と、
前記指示認識部で検索の指示がなされたことが認識された場合に、現時点から一定時間だけ遡った時点の履歴データを前記履歴データ管理部から読み出し、該読み出した履歴データによって示される地点を基準として、前記指示認識部で認識された指示に含まれる検索条件に従って、施設の情報を検索する情報検索部と、
前記情報検索部で検索された結果を出力する結果出力部
とを備えた施設検索装置。
【請求項2】
遡るべき時間を変更する時間変更手段を備え、
情報検索部は、
指示認識部で検索の指示がなされたことが認識された場合に、現時点から前記時間変更手段で変更された時間だけ遡った時点の履歴データを履歴データ管理部から読み出し、該読み出した履歴データによって示される地点を基準として、前記指示認識部で認識された指示に含まれる検索条件に従って、施設の情報を検索する
ことを特徴とする請求項1記載の施設検索装置。
【請求項3】
時間変更手段は、遡るべき時間をリアルタイムで入力する入力装置から成り、
情報検索部は、
指示認識部で検索の指示がなされたことが認識された場合に、現時点から前記入力装置で入力された時間だけ遡った時点の履歴データを履歴データ管理部から読み出し、該読み出した履歴データによって示される地点を基準として、前記指示認識部で認識された指示に含まれる検索条件に従って、施設の情報を検索する
ことを特徴とする請求項2記載の施設検索装置。
【請求項4】
通過した地点に関する情報を履歴データとして順次記憶する履歴データ管理部と、
入力された指示を認識する指示認識部と、
前記指示認識部で検索の指示がなされたことが認識された場合に、現地点から一定距離だけ遡った地点の履歴データを前記履歴データ管理部から読み出し、該読み出した履歴データによって示される地点を基準として、前記指示認識部で認識された指示に含まれる検索条件に従って、施設の情報を検索する情報検索部と、
前記情報検索部で検索された結果を出力する結果出力部
とを備えた施設検索装置。
【請求項5】
遡るべき距離を変更する距離変更手段を備え、
情報検索部は、
指示認識部で検索の指示がなされたことが認識された場合に、現地点から前記距離変更手段で変更された距離だけ遡った地点の履歴データを履歴データ管理部から読み出し、該読み出した履歴データによって示される地点を基準として、前記指示認識部で認識された指示に含まれる検索条件に従って、施設の情報を検索する
ことを特徴とする請求項4記載の施設検索装置。
【請求項6】
距離変更手段は、遡るべき距離をリアルタイムで入力する入力装置から成り、
情報検索部は、
指示認識部で検索の指示がなされたことが認識された場合に、現地点から前記入力装置で入力された距離だけ遡った地点の履歴データを履歴データ管理部から読み出し、該読み出した履歴データによって示される地点を基準として、前記指示認識部で認識された指示に含まれる検索条件に従って、施設の情報を検索する
ことを特徴とする請求項5記載の施設検索装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−195909(P2006−195909A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9405(P2005−9405)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】