説明

旅行情報処理装置

【課題】本発明は、海外旅行者から提供される危険情報をより有効に活用することができる技術の提供を課題とする。
を課題とする。
【解決手段】本発明は、旅行中の旅行者が携帯する情報端末との間で送受信される情報を処理する旅行情報処理装置において、旅行者の情報端末から危険情報を受け取ったときに、危険発生地域に滞在する他の旅行者を特定し、特定された旅行者の情報端末へ危険の種別及び危険発生地域を特定する情報を送信するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旅行情報を処理する装置に関し、特に海外旅行者から提供される危険情報を処理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
海外旅行者が旅行先で緊急事態に遭遇したときに、海外旅行者が携帯する情報端末(携帯端末)から所定の緊急連絡先への連絡を取り次ぐ技術が提案されている(たとえば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−245678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、旅行者から提供される情報を処理する装置において、旅行者から提供される危険情報をより有効に活用することができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記した課題を解決するために、旅行者の携帯端末から提供される情報を処理する旅行情報処理装置において、旅行者の携帯端末から発信された危険情報を受信したときに、危険情報に含まれる危険地域情報と他の旅行者の現在位置を比較することにより危険地域及びその周辺に位置する他の旅行者を特定し、特定された他の旅行者の情報端末へ危険情報を送信するようにした。ここでいう「危険」は、第三者に影響が及ぶ可能性のある事態を示し、たとえば、地震や津波などの自然災害、交通機関の事故や暴動などの人為災害などである。
【0006】
詳細には、本発明に係わる旅行情報処理装置は、
危険が発生した地域を特定する危険地域情報及び危険の種別を特定する危険種別情報を含む危険情報を旅行者の携帯端末から受信する受信手段と、
他の旅行者の現在位置を取得する取得手段と、
前記受信手段が受信した危険情報に含まれる危険地域情報と前記取得手段が取得した現在位置を比較することにより、危険地域及びその周辺に位置する他の旅行者を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された他の旅行者の情報端末へ危険情報を送信する送信手段と、
を備えるようにした。
【0007】
このように構成された発明によれば、旅行中の旅行者が危険に遭遇した場合又は危険の発生を認知した場合に、危険地域及びその周辺に位置する他の旅行者へ危険の発生を知らせることが可能となる。さらに、情報端末の操作が不慣れな旅行者や情報伝達設備が整っていない地域にいる旅行者であっても、危険の発生を速やかに知ることができる。その結果、他の旅行者は、危険地域を回避したり、危険地域から速やかに離脱したりすることができる。したがって、本発明の旅行情報処理装置によれば、旅行者から提供される危険情報を他の旅行者の安全性向上に有用することができる。
【0008】
本発明に係わる取得手段は、他の旅行者の携帯端末から発信される位置情報を現在位置
として取得してもよい。また、本発明に係わる取得手段は、旅行者が旅行中に経由するランドマークの位置識別情報とランドマークの発着予定日時とを各旅行者を識別する情報と関連づけて記憶する旅程テーブルと、前記旅程テーブルに記憶された情報と現在の日時とを比較して各旅行者の現在位置を予測する現在位置予測部と、を具備してもよい。その場合、他の旅行者の携帯端末が位置情報の発信機能を有していなくても、他の旅行者の現在位置を取得することができる。
【0009】
本発明に係わる送信手段は、他の旅行者の携帯端末へ危険情報を送信する際に、返信要求を添付するようにしてもよい。その場合、本発明の旅行情報処理装置は、前記返信要求に対する返信が所定期間なければ、前記他の旅行者を識別する情報を所定の連絡先へ通知する通知手段をさらに備えるようにしてもよい。ここでいう「所定の連絡先」は、他の旅行者が予め登録した緊急連絡先、及び大使館などの公的機関を含む。
【0010】
このような構成によれば、危険に巻き込まれた可能性のある旅行者を特定することができるとともに、その旨を緊急連絡先や公的機関へ知らせることができる。
【0011】
本発明は、上記手段の少なくとも一部を有する旅行情報処理システムとして捉えても良いし、上記処理の少なくとも一部を含む旅行情報処理方法、又はかかる方法を実現するためのプログラムやそのプログラムを記録した記録媒体として捉えることもできる。なお、上記手段及び処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、旅行者から提供される情報を処理する装置において、旅行者から提供される危険情報をより有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用するシステムの全体構成を示す図である。
【図2】旅行情報処理装置の構成を示す概念図である。
【図3】個人情報テーブルの一例を示す図である。
【図4】危険情報テーブルの一例を示す図である。
【図5】旅程テーブルの一例を示す図である。
【図6】移動時間テーブルの一例を示す図である。
【図7】現在位置テーブルの一例を示す図である。
【図8】危険情報を入力する画面の一例を示す図である。
【図9】情報端末へ送信される危険情報の一例を示す図である。
【図10】制御部により実行される処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。先ず、本発明の旅行情報処理装置を適用するシステムの全体構成について図1に基づいて説明する。
【0015】
<全体構成>
図1は、本発明を適用するシステムの全体構成を示す図である。図1に示すシステムは、ネットワーク1を介して相互に通信可能な旅行情報処理装置2と情報端末3とデータベース4とを備えている。
【0016】
情報端末3は、海外旅行中の旅行者が携帯するユーザ端末である。情報端末3は、ネットワーク1に接続された無線基地局と無線通信回線を確立することによりネットワーク1にアクセスする一般的な通信機能と、提供されたデータに基づく画面を表示及び操作する
ことができる一般的なユーザインタフェース機能とを有するものであればよく、本発明は情報端末3のハードウェア構成及び機能構成を限定するものではない。なお、このような情報端末3としては、携帯電話や携帯型情報端末などを例示することができる。
【0017】
旅行情報処理装置2は、旅行代理店、或いは旅行代理店と提携したインターネットプロバイダーなどにより管理される端末であり、各旅行者の属性情報や旅程に関する情報などを記憶する機能、各旅行者の現在位置を取得する機能、各旅行者の現在位置に応じた情報を作成する機能、作成された情報をネットワーク1を介して情報端末3へ送信する機能、などを有する装置である。旅行情報処理装置2は、たとえば、CPU、RAM、ROM、記憶装置(たとえば、ハードディスク)、及び通信装置を備えたコンピュータシステムにより実現される。
【0018】
データベース4は、旅行代理店、クレジットカード会社、旅行保険を取り扱う会社、或いは大使館などの公的機関が管理するデータベースである。旅行代理店が管理するデータベース4には、旅行者の旅程に関する情報が旅行者の識別情報と関連づけて記憶されるとともに、海外各地のお奨め情報やキャンペーン情報などが地域別に記憶されている。クレジットカード会社が管理するデータベース4には、各旅行者の属性に関する情報が旅行者の識別情報と関連づけて記憶されている。公的機関が管理するデータベース4には、各国毎の危険情報(渡航情報)などが記憶されている。
【0019】
なお、上記した各データベース4は、インターネットなどのオープンネットワークを介して旅行情報処理装置2と接続されてもよいが、クローズドネットワークを介して旅行情報処理装置2と接続されることが好ましい。
【0020】
<旅行情報処理装置の構成>
次に、旅行情報処理装置2の構成について図2乃至図9に基づいて説明する。図2は、旅行情報処理装置2の構成を示す概念図である。図2において、旅行情報処理装置2は、記憶部20と制御部21とを備えている。
【0021】
記憶部20は、たとえば、ハードディスクで構成され、制御部21が各種処理を実行する際に利用するデータや制御部21が実行するためのアプリケーションプログラムなどを記憶する。
【0022】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)などの1つ又は複数のプロセッサ
、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、インターフェース回路などによって構成される。通信部22は、ネットワーク1に接続され、情報端末3との通信や、データベース4との通信を実現する。
【0023】
(1)記憶部20の構成
記憶部20には、旅行者情報DB200、危険情報DB201、旅程DB202、現在位置DB203などの各種データベースが記憶される。
【0024】
旅行者情報DB200は、個々の旅行者に対応した個人情報テーブルを記憶している。個人情報テーブルは、図3に示すように、旅行者の「氏名」、「個人ID」、「年齢」、「性別」、「代表者」、「旅行人数」、「血縁ID」、「友人ID」、「住所」、「電話番号」、「メールアドレス」、「旅行予約状況」、「旅行開始日時」、「旅行終了日時」、「旅行予約ID」、「同行者ID」、「過去旅行ID」、「過去旅行の同行者ID」、「緊急連絡先」、「危険情報投稿回数」、「信頼度」などが記憶される。
【0025】
「代表者」は、旅行者が旅行者及び同行者を含む旅行グループの代表者であるか否かを
識別する情報であり、旅行者が代表者である場合には「1」が記憶され、旅行者が代表者ではない場合には「0」が記憶される。なお、旅行者が単独で旅行する場合には、「代表者」の値は「1」に設定される。
【0026】
「血縁ID」は、旅行者の血縁者を識別する情報である。友人IDは、代表者の友人を識別する情報である。なお、図3に示す例では、友人IDは、未登録であるため、「null」が記憶されている。
【0027】
「旅行予約ID」は、旅行中又は旅行前の旅行であって、予約済みの旅行を識別するIDである。「同行者ID」は、旅行予約IDにより識別される旅行において、旅行者と同行する者を識別するIDである。なお、図3では、旅行者の同行者が血縁者である例を示している。
【0028】
「過去旅行ID」は、旅行者が過去に予約した旅行を識別するIDである。図3に示す例では、旅行者が過去に2回の旅行を予約しているので、過去旅行aのIDと過去旅行bのIDが記憶されている。
【0029】
「緊急連絡先」は、旅行者が旅行中に危険に巻き込まれた場合などの連絡先を識別する情報、及び連絡方法などを含む情報である。「危険情報投稿回数」は、旅行者が過去に危険情報を送信(投稿)した回数を示す情報である。「信頼度」は、旅行者が過去に送信(投稿)した危険情報の信憑性の程度を示す情報である。
【0030】
このように構成される個人情報テーブルは、旅行者が旅行の予約を行ったときに旅行情報処理装置2のオペレータが作成してもよく、旅行の予約を受け付けた旅行代理店が管理するデータベース4から提供されてもよく、或いは旅行者が旅行の決済を行ったときに使用したクレジットカードの会社により管理されるデータベース4から提供されるようにしてもよい。なお、上記した個人情報テーブルは、旅行者の各同行者についても作成されるものとする。
【0031】
次に、危険情報DB201は、各国において発生した危険の属性を示す情報と、危険発生地域を特定する危険地域情報と、を関連づけて記憶する危険情報テーブルが記憶されている。詳細には、危険情報テーブルは、図4に示すように、「危険情報登録日時」、「緯度・経度」、「種別」、「情報詳細」、「危険度」、「移動時間テーブルの倍数」、「情報ソース」、「情報ソース信頼度」、などが記憶されている。
【0032】
「緯度・経度」は、危険が発生した場所の中心位置を示す情報であり、本発明に係わる危険地域情報に相当する。「種別」は、発生した危険の種類を示す情報である。「情報詳細」は、危険の発生状況や現地の状況などを示す情報である。「危険度」は、旅行者に及ぶ可能性がある被害の大きさを示す情報である。「移動時間テーブルの倍数」は、前記した「危険度」に応じて決定される係数であり、後述する移動時間テーブルにより特定される移動時間に乗算される。「情報ソース」は、危険情報の提供元を示す情報である。「情報ソース信頼度」は、前記した「情報ソース」から提供される情報の信憑性を示す情報である。
【0033】
危険情報テーブルに記憶される危険情報は、公的機関が管理するデータベース4から取得される情報に加え、旅行者の情報端末3から送信される情報も含む。
【0034】
ここで図2に戻り、旅程DB202は、旅行中の旅行者又は旅行グループが経由するランドマークの位置識別情報と各ランドマークの発着予定日時とを記憶する旅程テーブル、及び、旅行者がランドマーク間を移動する所要時間を記憶する移動時間テーブルなどを記
憶している。
【0035】
旅程テーブルは、旅行者毎又は旅行グループ毎に作成されるテーブルであり、旅行IDによって旅行者又は旅行グループに関連づけられている。図5は、旅程テーブルの一例を示す図である。図5に示す旅程テーブルには、各ランドマークの「発着予定日時」と「位置(緯度・経度)」が時系列に記憶される。
【0036】
移動時間テーブルは、ランドマーク間を識別する情報であるマーカー情報と、移動距離に応じた所要時間と、を関連づけて記憶するテーブルである。図6は、移動時間テーブルの一例を示す図である。図6に示す移動時間テーブルは、徒歩による移動時間を記憶したテーブルと、自動車(タクシー、バス)による移動時間を記憶したテーブルと、を備えている。
【0037】
図6中のマーカー「W1」及び「T1」は、たとえば、ランドマークaからランドマークbまでの移動区間を示し、「W2」及び「T2」はランドマークbからランドマークcまでの移動区間を示している。
【0038】
次に、現在位置DB203は、旅行中の旅行者の現在位置に関する情報を記憶している。具体的には、現在位置DB203には、各旅行者の現在位置テーブルを備えている。現在位置テーブルは、図7に示すように、旅行者の「個人ID」、「旅行ID」、「旅行予定時間」、「場所(緯度・経度)」、「利用可能交通機関」、「現在時刻」、「場所予測(緯度・経度)」、「予測場所周辺スポット」などが記憶される。
【0039】
「旅行予定時間」は、旅行者が直前に出発したランドマークの出発予定日時を示す情報である。「場所(緯度・経度)」は、旅行者が直前に出発したランドマークの位置を示す情報である。「利用可能交通機関」は、旅行者が直前に出発したランドマークから次のランドマークまで移動する際に利用可能な交通機関を示す情報である。「現在時刻」は、現時点の日時を示す情報である。「場所予測(緯度・経度)」は、旅行者の現在位置の予測情報である。「予測場所周辺スポット」は、予測された現在位置の周辺に存在する観光スポットを示す情報である。
【0040】
(2)制御部21の構成
制御部21は、記憶部20に記憶されるアプリケーションプログラムを実行することにより、図2に示す処理ブロックを実現する。このような処理ブロックには、情報受信部210、現在位置取得部211、危険情報処理部212、情報送信部213などが含まれる。
【0041】
情報受信部210は、情報端末3から送信される危険情報を通信部22により受信する。情報端末3から送信される危険情報には、「種別」、「性別」、「場所」、「詳細場所」、「現在時刻」、「発生時間」、「危険度」、「メッセージ」などの情報が含まれる。
【0042】
その際、上記した各種情報は、情報端末3がアクセス可能な専用のウェブページにおいて入力されるようにしてもよい。ウェブページでは、たとえば、図8に示すように、「種別入力欄」、「性別入力欄」、「場所表示欄」、「詳細場所入力欄」、「現在時刻表示欄」、「発生時間入力欄」、「危険度入力欄」、「メッセージ入力欄」、「送信ボタン」などが表示される。
【0043】
「種別入力欄」は、地震、津波、火災などの予め定型化された選択肢の中から選択して入力可能なプルダウンメニューで構成されている。「場所表示欄」は、情報端末3が備えるGPSユニットにより検知された情報が表示されるように構成されている。なお、情報
端末3がGPSユニットを備えていない場合には空欄となる。「詳細場所入力欄」は、旅行者が任意で入力可能に構成されている。「現在時刻表示欄」は、情報端末3が備える時計ユニットにより検知される現在時刻が表示されるように構成されている。「発生時間入力欄」は、旅行者が任意で入力可能に構成されている。「危険度入力欄」は、危険、普通、その他などの予め定型化された選択肢の中から選択して入力可能なプルダウンメニューで構成されている。「メッセージ入力欄」は、旅行者が任意で入力可能に構成されている。「送信ボタン」は、上記した各種情報を送信するためのボタンである。この「送信ボタン」が選択(操作)された場合は、旅行者を特定する情報、又は情報端末3を識別する情報とともに上記した各種情報が旅行情報処理装置2へ送信される。
【0044】
現在位置取得部211は、図5に示したような旅程テーブルに記憶された情報と、図6に示したような移動時間テーブルと、地図情報テーブルと、現在の日時と、に基づいて、図7に示したような現在位置テーブルを作成する。
【0045】
たとえば、図7に示した例では、現在時刻が「2009年12月18日11時00分」であるため、旅行者が直前に出発したランドマークは、図5中の「ランドマークa」となる。そこで、現在位置取得部211は、「旅行予定時間」としてランドマークaの出発予定日時(2009年12月18日10時05分)を登録し、「場所(緯度・経度)」としてランドマークaの緯度・経度を登録する。
【0046】
また、図6に示した例では、ランドマークaとランドマークbとの間(W1、T1)で旅行者が利用可能な交通機関は徒歩及び自動車(タクシー、バス)であるため、「利用可能交通機関」として徒歩及び自動車(タクシー、バス)が登録される。
【0047】
現在位置取得部211は、「旅行予定時間」と「現在時刻」との差、及び移動時間テーブルに登録された情報から、旅行者がランドマークaから移動した距離を求める。なお、旅行者が利用可能な交通機関が複数ある場合には、現在位置取得部211は、複数の交通機関のうち、移動速度が最も速い交通機関を利用した場合を想定して移動距離を求めてもよく、又は全ての交通機関について移動距離を求めてもよい。現在位置取得部211は、「場所(緯度・経度)」に登録された情報と移動距離とをパラメータとして旅行者の現在位置(緯度・経度)を演算し、その演算結果を「場所予測(緯度・経度)」に登録する。
【0048】
なお、旅行者の情報端末3がGPSユニットを備えている場合には、現在位置取得部211は、情報端末3から発信される位置情報を利用して現在位置テーブルを作成してもよく、或いは上記した方法により作成された現在位置テーブルの登録内容(「場所予測(緯度・経度)」)を情報端末3から発信される位置情報によって更新又は補正するようにしてもよい。
【0049】
危険情報処理部212は、情報受信部210が情報端末3から受信した危険情報や、公的機関が管理するデータベース4から取得した危険情報により危険情報テーブルを作成する。また、危険情報処理部212は、情報受信部210が情報端末3から危険情報を受信したときに、公的機関のデータベース4から取得した危険情報、危険情報の送信者である旅行者が過去に送信した危険情報の信頼度、或いは危険情報の送信者である旅行者が過去に危険情報を送信した回数などをパラメータとして信頼度を決定する。
【0050】
危険情報処理部212は、危険情報テーブルに登録された危険地域情報(図4中の「緯度経度(危険地中心)」)と現在位置テーブルに登録された旅行者の現在位置情報(図7中の「場所予測(緯度・経度)」)とを比較し、危険発生地域及びその周辺に位置する旅行者を特定する。
【0051】
情報送信部213は、通信部22を介して情報端末3へ種々の情報を送信する。詳細には、情報送信部213は、危険情報処理部212により特定された旅行者の情報端末3へ危険情報を送信する。その際、情報送信部213から情報端末3へ送信される危険情報は、たとえば、図9に示すように、「現在、重大な危険が起こっています。どのような状況にいるかお伝えください。(○回目のお知らせです)」などの返信要求が含まれる。さらに、上記した危険情報には、「1.怪我をしています/まだ逃げることができません」、「2.既に避難し終え、無事です」、「3.災害にはあっていません」などのリンク情報が含ま
れ、旅行者が適当なリンクを選択するだけで返信可能になっている。
【0052】
なお、上記した危険情報の送信処理は、情報端末3からの返信(リンクの選択)が発生するまで繰り返される。さらに、情報送信部213は、危険情報の送信回数が予め定めた上限数に達した場合、或いは1回目の送信から所定時間内に返信が発生しない場合には、その旨を示す情報を当該旅行者の個人情報テーブルに登録されている緊急連絡先や大使館などの公的機関へ送信する。
【0053】
<旅行情報処理装置の動作>
以下、旅行情報処理装置2の動作について図10のフローチャートに沿って説明する。図10は、旅行情報処理装置2の制御部21により実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。この処理ルーチンは、旅行者の情報端末3から危険情報を受信したときに実行される。
【0054】
制御部21は、旅行者の情報端末3から危険情報を受信したか否かを判別する(S101)。旅行者の情報端末3から危険情報を受信していない場合は、制御部21は、本ルーチンの実行を終了する。旅行者の情報端末3から危険情報を受信した場合は、制御部21は、S102へ進む。
【0055】
制御部21は、S101で受信した危険情報に基づいて危険情報テーブルを作成する(S102)。制御部21は、S101で受信した危険情報の信頼度を解析する。たとえば、危険情報の発信者である旅行者の現在位置が危険地域又はその近傍であるか否か、旅行者の個人情報テーブルに登録されている「危険情報投稿回数」及び「信頼度」、公的機関のデータベース4から取得された危険情報、などをパラメータとして信頼度を決定する(S103)。
【0056】
制御部21は、現在位置テーブルから他の旅行者の現在位置情報(図7中の「場所予測(緯度・経度)」)を読み出し、その現在位置情報と危険情報テーブルに登録された危険地域情報(図4中の「緯度・経度」)とを比較する。そして、制御部21は、危険地域及びその近傍に位置する他の旅行者を特定する(S104)。
【0057】
制御部21は、危険地域及びその近傍に存在する他の旅行者がいるか否かを判別する(S105)。危険地域及びその近傍に他の旅行者が存在する場合は、制御部21は、他の旅行者の情報端末3へ前述した図9で例示したような危険情報を送信する(S106)。
【0058】
制御部21は、前記S106において危険情報が送信された他の旅行者から返信があったか否かを判別する(S107)。他の旅行者の情報端末3から返信がない場合は、制御部21は、危険情報の送信回数がn(1以上の整数)回以上であるか否かを判別する(S108)。送信回数がn回未満である場合は、制御部21は、前記した他の旅行者に対する旅行情報の送信回数を1つインクリメントし(S111)、前述したS106の処理へ戻る。その際、送信回数に関する情報は、他の旅行者の個人情報テーブルに記憶されてもよく、又は前記S104において特定された他の旅行者に関する情報(たとえば、個人ID、同行者ID、緊急連絡先、危険情報の送信回数など)を登録するための専用のテーブ
ルに記憶されるようにしてもよい。一方、送信回数がn回以上である場合は、制御部21は、危険情報テーブルの「信頼度」を高める(S109)。続いて、制御部21は、緊急連絡先及び公的機関へ前記した他の旅行者を識別する情報及び危険情報を通知する(S110)。
【0059】
前記したS107において他の旅行者の情報端末3から返信があった場合は、制御部21は、S108をスキップしてS109へ進み、返信内容に応じて危険情報テーブルの信頼度を更新する。
【0060】
前記したS105において危険地域及びその近傍に存在する他の旅行者がいない場合は、S110へ進み、前記S101で受信した危険情報の内容を公的機関へ通知する。
【0061】
なお、S110において、制御部21は、旅行代理店が管理するウェブページ(たとえば、旅行前のユーザが旅行予約を行う際に表示されるウェブページに危険情報を表示させるようにしてもよい。その際、制御部21は、ユーザの個人情報テーブルから過去の旅行履歴や同行者などの情報を取得し、それらの情報に基づいてお奨めの地域の旅行情報や危険情報を選択して表示させるようにしてもよい。
【0062】
以上述べた実施例によれば、旅行中の旅行者から提供される危険情報を他の旅行者の安否確認や安全性向上に活用することができるとともに、旅行予約を行おうとしているユーザにも提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1 ネットワーク
2 旅行情報処理装置
3 情報端末
4 データベース
20 記憶部
21 制御部
22 通信部
201 危険情報DB
202 旅程DB
203 現在位置DB
210 情報受信部
211 現在位置取得部
212 危険情報処理部
213 情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旅行中の旅行者から提供される情報を処理する旅行情報処理装置であって、
危険が発生した地域を特定する危険地域情報及び危険の種別を特定する危険種別情報を含む危険情報を旅行者の携帯端末から受信する受信手段と、
他の旅行者の現在位置を取得する取得手段と、
前記受信手段が受信した危険情報に含まれる危険地域情報と前記取得手段が取得した現在位置を比較することにより、危険発生地域及びその周辺に位置する他の旅行者を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された他の旅行者の情報端末へ危険情報を送信する送信手段と、
を備える旅行情報処理装置。
【請求項2】
請求項1において、前記取得手段は、各旅行者が旅行中に経由するランドマークの位置識別情報とランドマークの発着予定日時とを各旅行者を識別する情報と関連づけて記憶する旅程テーブルを具備し、前記旅程テーブルに記憶された情報と現在の日時とを比較して各旅行者の現在位置を予測する旅行情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記送信手段から他の旅行者の携帯端末へ送信される危険情報には返信要求が含まれ、
前記返信要求に対する返信が所定期間無い場合に、他の旅行者を特定する属性情報を所定の緊急連絡先へ通知する通知手段をさらに備える旅行情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−211569(P2011−211569A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78313(P2010−78313)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(591117192)ニフティ株式会社 (144)
【Fターム(参考)】