旅行時間情報処理装置及び走行経路探索システム
【課題】交通状況の変化後の状態が定常的な状態となる場合であっても統計旅行時間の質を向上させることが可能となる旅行時間情報処理装置及び走行経路探索システムを提供する。
【解決手段】非定常データ記憶部306に記憶した非定常データの交通情報が定常性を有すると判定した場合は、その交通情報を定常データ記憶部305に記憶し、以後においては定常データとして扱うようにしたので、交通状況が変化した場合であっても統計旅行時間の質を向上させることができると共に、質の高い統計旅行時間に基づいて最適な経路情報を推測してナビゲーション装置に対して送信することができる。
【解決手段】非定常データ記憶部306に記憶した非定常データの交通情報が定常性を有すると判定した場合は、その交通情報を定常データ記憶部305に記憶し、以後においては定常データとして扱うようにしたので、交通状況が変化した場合であっても統計旅行時間の質を向上させることができると共に、質の高い統計旅行時間に基づいて最適な経路情報を推測してナビゲーション装置に対して送信することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過去の交通情報に基づいて地図を構成するリンクの統計旅行時間を求める旅行時間情報処理装置、及びその統計旅行時間に基づいて最適な走行経路を探索する走行経路探索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行履歴を収集して統計情報を生成し,渋滞などの推定・予測などに活用される技術がある。生成された統計情報は、出発地から目的地までの経路探索時のコストの重み付け等にも利用される。そして、従来、渋滞情報の推定・予測には、過去の交通情報を道路リンクごとに蓄積し、統計的に処理した統計旅行時間を用いている。
その際、統計的に処理する統計旅行時間の質を高めるため、すなわち、定常的な交通状況を表現する統計旅行時間を生成するためには、交通情報処理時のエラーにより生成された異常値を含む交通情報や、交通状況に影響を与える所定のイベントが発生した際の特異的な交通情報は、統計処理に含めないことが望ましい。つまり、定常的な交通情報から差分(変化量)の大きい特異な交通情報は、統計旅行時間を生成するためには適しておらず、ノイズ(異常値)として除去することが望ましい。
【0003】
特許文献1では交通情報の異常値の除去方法には以下の2種類を用いている。
(1)道路属性により所定の閾値を与える方法
(2)過去の蓄積交通情報との比較により異常値の判定を行う方法
(1)の場合、朝夕の通勤退勤時の定常的に発生する渋滞や深夜の比較的すいている場合の交通状況など、実際の交通状況であると考えられる低速あるいは高速の状態を除去しないために広めに閾値を与える必要がある。この場合、閾値が広く設定されているために、道路工事などで車線規制(いわゆるイベント)が発生した場合の交通情報を除去できるとは考えにくい。
また、(2)の場合、過去の交通情報との比較によりイベントが発生した場合の非定常的な交通状況を異常値として判定できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−11290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のものでは、例えば、道路構造の変化により現在から定常性が継続する場合や、実は定期的に発生するイベントにより交通状況に定常性がある場合においても、過去の交通情報との比較した際に、異常値であると判定してしまい、交通情報を除去してしまう。つまり、変化後の状態が定常的な状態であるにも関わらず、異常として除去してしまうという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、交通状況の変化後の状態が定常的な状態となる場合であっても統計旅行時間の質を向上させることが可能となる旅行時間情報処理装置及び走行経路探索システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明によれば、非定常データ記憶手段に記憶した非定常データの交通情報が定常性を有すると非定常データ監視手段が判定した場合は、その交通情報を定常データ記憶手段に記憶し、以後において定常データとして扱うようにしたので、交通状況が変化した場合であっても統計旅行時間の質を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、リンクの旅行時間に影響を与える要因毎に非定常データが定常性を示すかを判定するので、判定精度を高めることができる。
請求項3の発明によれば、統計処理により許容値を算出し、受信した交通情報が許容値内にあるかに基づいて非定常データかを判定するようにしたので、許容値を設定することで非定常データかを精度よく判定することができる。
【0007】
請求項4の発明によれば、要因を階層的に構成するようにしたので、要因毎に分類された交通情報に基づいて統計旅行時間を最適に管理することができる。
請求項5の発明によれば、路側感知器、或いはプローブカーにより交通状態量を取得するので、多様な交通環境に適用することができる。
請求項6の発明によれば、ナビゲーション装置に対して質の高い統計旅行時間を提供することができるので、ナビゲーション装置が案内する走行経路の精度を高めることができる。
請求項7の発明によれば、情報センタにて統計旅行時間を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態における走行経路探索システム全体の構成を概略的に示す図
【図2】リンク移動時間の統計情報を概念的に示す図
【図3】所要時間の変動量を示す統計情報を概念的に示す図
【図4】各要因が階層的に構成された状態を示す概念図
【図5】交通情報が定常性または非定常性を有するかの判定方法を示す図
【図6】道路構造が変化した場合を示す図5相当図
【図7】非定常データ監視部による非定常データの監視を示す図
【図8】道路構造が変化した時点でリンクの旅行時間が長くなった状態が定常化した状態を示す図
【図9】交通情報記憶ルーチンを示すフローチャート
【図10】統計旅行時間生成ルーチンを示すフローチャート
【図11】統計情報提供ルーチンを示すフローチャート
【図12】定常データ抽出ルーチンを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、走行経路探索システム全体の構成を概略的に示している。走行経路探索システムは、ナビゲーション装置100、交通状態量取得装置200(交通状態量取得手段に相当)、及び交通情報センタ300を備えて構成されている。また、交通状態量取得装置200及び交通情報センタ300により旅行時間情報処理装置が構成されている。
ナビゲーション装置100は、コンピュータ(CPU)を主体として構成され全体を制御する制御部101、その制御部101に接続されて外部との無線通信を行う通信装置102、地図データベース103、記憶装置104、自車位置を検出するための位置検出装置105、例えばフルカラー液晶ディスプレイからなる表示装置106、タッチパネルやメカスイッチを含む操作スイッチ群107、音声出力装置108を備えて構成されている。
【0010】
位置検出装置105は、GPS用の人工衛星からの送信電波に基づいて自車両の位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機、自車両の回転角速度を検出するジャイロセンサ、車速度センサ(いずれも図示せず)などを含んで構成されている。制御部101は、そのソフトウェア構成(及びハードウェア構成)により、位置検出装置105を構成する各センサからの入力に基づいて、自車両の現在位置(絶対位置)、進行方向、速度や走行距離、現在時刻などを高精度で検出する。そして、検出した自車の現在位置、及び、地図データベースから得られる地図データに基づいて、表示装置106の画面に、自車周辺の道路地図と共に自車の現在位置(及び進行方向)を重ね合せて表示させるロケーション機能を実現する。この場合、一般に、ロケーション機能を実現するにあたっては、自車の位置を、表示される電子地図の道路上となるように、自車の移動軌跡と道路地図データ中の道路形状とを比較照合して、現在走行中の道路を推測するマップマッチングが行われる。
【0011】
地図データベースは、例えば日本全土の道路地図データや、それに付随する、各種施設や店舗等の施設データ等を記憶するものである。道路地図データは、地図上の道路を、交差点などをノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンクとして規定したリンクデータとして与えられる。このリンクデータは、リンク固有のリンクID(識別子)、リンク長、リンクの始点,終点(ノード)の位置データ(経度,緯度)、角度(方向)データ、道路幅、道路種別などのデータを含んで構成される。また、リンクデータは、道路地図を表示装置の画面上に再生(描画)するためのデータを含んでいる。
通信装置102は、例えば、図示しない無線基地局及びインターネット等の通信ネットワークを介して、交通情報センタ300との間で通信(テレマティクス通信)を行うようになっている。この場合、交通情報センタ300に対し、プローブ情報を送信する機能と、経路情報を受信する機能とを持つ。通信装置102としては、携帯電話機、DSRC、無線LANなど様々なものを採用することができる。
【0012】
ナビゲーション装置100の制御部101は、通信装置102により、後述する経路探索リクエスト情報などの各種の情報を交通情報センタ300に対して送信する。また、制御部101は、交通情報センタ300から送信される経路情報を通信装置102により取得(受信)する。また、制御部101は、交通情報センタ300から取得した経路情報に基づいて車両の経路案内を実行する。周知のように、この経路案内は、表示装置106の画面に走行すべき経路を道路地図に重ね合わせて表示すると共に、自車位置が所定のポイントに至ったときに音声出力装置108により案内音声を出力することにより行われる。
交通状態量取得装置200は、例えば前述したナビゲーション装置100を搭載したプローブカー201や路側感知器202等の少なくとも一方であり、プローブカー201にて生成されるプローブ情報(例えば渋滞度やリンク旅行時間等)や路側感知器202にて計測された車両通過量等を取得し、有線または無線で交通情報センタ300との間で通信を行い、交通情報を送信する。なお、交通情報は各道路(リンク)ごとに値をもつ。
【0013】
一方、交通情報センタ300は、コンピュータを主体として構成された制御部301を備えている。制御部301は、CPUにおいて制御プログラムを実行することにより、非定常データ判定部301a(非定常判定手段に相当)、非定常データ監視部301b(非定常データ監視手段に相当)、統計旅行時間生成部301c(統計旅行時間生成手段に相当)、経路情報推定部301d(経路情報推定手段に相当)をソフトウェアによって仮想的に実現する。
【0014】
通信装置302(受信手段、送信手段に相当)は、ナビゲーション装置100の通信装置102との間と、交通状態量取得装置200との間の通信を行なうようになっている。
交通情報センタ300の制御部301は、ナビゲーション装置100から送信される経路探索リクエスト情報を、通信装置302による通信装置102との通信により取得(受信)すると共に、後述する経路情報を通信装置302によりナビゲーション装置100に送信する。また、制御部301は、交通状態量取得装置200から送信される交通状態量を通信装置302により受信可能である。この交通状態量とはリンクの旅行時間の指標となる情報のことで、交通情報(渋滞、事故、工事、車線規制、交通規制などの情報)、環境情報(天候、風向き、路面状況などの情報)などの経路探索に有用な最新のデータを含む。また、制御部301は、通信装置302により受信した各種の交通状態量を蓄積するようになっている。
【0015】
交通情報センタ300が備える地図データベース303には、経路探索用の最新の道路地図データが記憶されており、交通情報の生成に用いられる。地図データベース303は、ナビゲーション装置100が備える地図データベース103と同様に、例えば日本全土の道路地図データや、それに付随する、各種施設や店舗などの施設データなどを記憶するものである。道路地図データは、地図上の道路を、交差点などをノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンクとして規定したリンクデータとして与えられる。このリンクデータは、リンク固有のリンクID(識別子)、リンク長、リンクの始点,終点(ノード)の位置データ(経度,緯度)、角度(方向)データ、道路幅、道路種別などのデータを含んで構成される。また、リンクデータは、道路地図をナビゲーション装置100の表示装置106の画面上に再生(描画)するためのデータも含んでいる。さらに、リンクデータは、上述のプローブ情報に基づいて設定されたリンク移動時間を示すデータを含んでいる。このリンク移動時間は、そのリンクにおける車両の移動時間(そのリンク全体を車両が走行するのに要する所要時間)である。リンク移動時間を示すデータは、所定の期間にそのリンクを走行した車両から送信される。このリンク移動時間は、その車両が当該リンクを走行したときの渋滞状況や環境状況などによって変動する。
【0016】
交通情報センタ300の制御部301は、多数の車両から受信したリンク移動時間を統計情報として後述するように統計処理要因提供部304(統計処理要因提供手段に相当)が提供する要因に基づいて定常データ記憶部305(定常データ記憶手段に相当)または非定常データ記憶部306(非定常データ記憶手段に相当)に記憶する。そして、記憶したリンク移動時間の平均値を、そのリンクのリンク旅行時間として算出し、算出したリンク旅行時間(多数のリンク移動時間の平均値)とリンク移動時間の分散値(リンク移動時間のばらつき度合いを示すデータ)とを記憶する。制御部301は、ナビゲーション装置100から経路探索リクエスト情報を受信すると、その経路探索リクエスト情報に含まれるデータと地図データベースの道路地図データとに基づいて、指定された出発地(例えば自車両の現在位置)から目的地までの経路を探索する。これにて、ユーザにより指定された目的地までの推奨する走行経路を探索する経路探索機能が実現されるようになっている。そして、制御部301は、その経路探索機能により探索した経路を、経路探索リクエスト情報を送信したナビゲーション装置100に送信する。
【0017】
次に、上記した経路探索機能について説明する。
図2は、交通情報センタ300の制御部301が記憶するリンク移動時間の統計情報を概念的に示す図である。制御部301は、交通状態量取得装置200から受信した交通情報が示すリンク移動時間と、当該リンク移動時間の分散値とを記憶する。従って、リンク移動時間の統計情報は、図2に示すように、リンク移動時間の平均値(リンク旅行時間)とリンク移動時間の分散値(リンク移動時間のばらつき度合い)とに基づく確率モデル(確率密度分布)で表現することができる。制御部301は、図2に示すような統計情報を道路地図データに含まれるリンクごとに予め作成し記憶している。なお、制御部301は、図2に示すような統計情報を適宜更新し、最新の統計情報を保持するようになっている。
【0018】
図3は、交通情報センタ300の制御部301が上述の経路探索機能により探索した経路を車両が走行した場合に当該車両が現在地から目的地に到着するまでに要する所要時間の変動量を示す統計情報を概念的に示す図である。図3に示すように、目的地に到着するまでに要する所要時間は、探索された経路を構成する各リンクの統計情報(図2参照)の和により求められる。従って、このように求められる所要時間の統計情報も、図3に示すように、所要時間の平均値と所要時間の分散値とに基づく確率モデル(確率密度分布)で表現することができる。制御部301は、探索した経路ごとに、図3に示すような統計情報を作成する。また、制御部301は、所要時間の平均値を、目的地に到着するまでに要する予想所要時間(到着予想所要時間)として設定すると共に、その到着予想所要時間を現在時刻に加算した時刻を到着予想時刻tとして設定する。
【0019】
次に、交通情報センタ300の制御部301がソフトウェアにより仮想的に実行する非定常データ判定部301a、非定常データ監視部301b、統計旅行時間生成部301c、経路情報推定部301dについて説明する。
非定常データ判定部301aは、まず、交通状態量取得装置200より送信された交通情報に対して、その交通情報がどの要因に当てはまるかを判定する。図4にその判定方法について示した。統計処理要因提供部304が有する統計処理要因記憶部304a(統計処理要因記憶手段に相当)には、図4に示すように各要因(天候、イベント、曜日など)が階層的に構成されており、各要因においては、交通情報(の代表値、モデル、もしくは、統計旅行時間)が記憶されている。階層的に構成とは、互いに独立した上位の階層となる要因に対して互いに独立した下位となる要因を順に組み合わして構成していることを意味する。このような判定に用いられる要因は統計処理要因提供部304より抽出されるもので、統計処理要因提供部304は、判定に用いられる要因を外部情報より取得して提供する(例えば、判定に用いられる要因が季節ならカレンダー、天候なら気象情報、イベントならイベント情報など)。
【0020】
非定常データ判定部301aは、図5に示すように、受信した交通情報が、過去データ統計処理により算出された許容値(受信した交通情報があてはめられた要因における道路(リンク)ごと(さらに時間帯ごと)に設定される)内にあるか、または、統計旅行時間生成部301cにて要因ごと、リンクごと、(時間帯ごと)に生成された統計旅行時間と比較して著しく乖離していないか等により異常値の判定を行う。
定常データ記憶部305は、非定常データ判定部301aにて異常値でないと判定された交通情報を、各要因、道路(リンク)ごとに記憶する。なお、定常データ記憶部305に記憶される交通情報は、経路情報の推定に利用される。
非定常データ記憶部306は、非定常データ判定部301aにて異常値であると判定された交通情報を各要因、道路(リンク)ごとに記憶し、また、道路(リンク)毎に全ての情報を一括して(要因ごとに分けずに)記憶する。
【0021】
非定常データ監視部301bは、非定常データ記憶部306で記憶された交通情報に関して、定常性を持つ交通情報がないか監視する機能を持つ。ここで非定常データ記憶部306にて記憶された交通情報が定常性を持つと判定された場合は、その非定常データは定常データ記憶部305に記憶される。
定常性と判定された要因に関して限定的な要因(例えば、ある期間、あるイベント発生時、台風)が統計処理要因提供部304より抽出された場合には、その要因を統計処理要因記憶部304aに新たな要因として追加・管理する。要因が抽出された場合には、その要因を統計処理要因記憶部304aに新たに追加した上で、定常データ記憶部305に定常データとして記憶し直す。
【0022】
統計旅行時間生成部301cは、定常データ記憶部305に記憶された交通情報より統計処理要因提供部304にて抽出された統計旅行時間生成対象道路の要因に対して、統計処理要因記憶部304aで記憶された要因(例えば、季節、曜日、天候など)に基づいて統計処理を実施することで統計旅行時間を生成し、経路情報推定部301dにおいて経路情報が推定される。
統計旅行時間は、各道路(リンク)、所定時間毎に、要因ごとに生成される(例えば、「この道路における通常の水曜日(要因)は、7時5分から7時10分においては統計旅行時間は30秒」)。生成方法としては、各リンク、各要因、各時間ごとに含まれている定常データ(旅行時間情報)を、上述したように例えば平均して生成する。尚、統計旅行時間生成は、所定時間毎、例えば1日毎に実行される。
【0023】
交通情報センタ300の制御部301は、本発明に関連して交通情報記憶ルーチン、統計旅行時間生成ルーチン、統計情報提供ルーチン、定常データ抽出ルーチンを実行している。
図9は、交通情報センタ300が受信した交通情報を記憶する交通情報記憶ルーチンである。制御部301は、ナビゲーション装置100から交通情報を受信したときは(A1:YES)、要因を特定し(A2)、受信した交通情報が、要因、道路(リンク)ごとに設定された閾値(許容値)内に含まれる場合は(A3:YES)、定常データ記憶部305に記憶し(A4)、含まれない場合は(A3:NO)、非定常データ記憶部306に記憶する(図5参照)。定常データ記憶部305では要因・リンクごとに情報が記憶(管理)され、非定常データ記憶部306では、要因・リンクごと、及び、リンク毎(要因は考慮しない)に情報が記憶(管理)される。
【0024】
図10は、統計旅行時間を生成する統計旅行時間生成ルーチンである。統計旅行時間は、定常データにおいて、あるリンク、ある要因ごと、ある時間帯ごとに、そこに含まれる受信した交通情報を、例えば平均して生成し(B1)、その統計旅行時間を記憶する(B2)。この場合、統計情報は統計旅行時間生成対象道路に対応する要因に基づいて生成される。また、統計情報はナビゲーション装置100側にて必要な場合にリクエストするもので、経路探索や、予測交通情報表示の際に必要となる。経路探索では、統計情報が経路探索時のリクエストに加味される(例えば、30分後にこの道路を走行する場合の所定時間(≒リンクコスト))。予測交通情報表示では、予測渋滞情報を地図上に表示させる際に必要となる。
図11は、図10の統計旅行時間生成ルーチンにて生成された統計旅行時間をユーザ(ナビゲーション装置100)などに提供する統計情報提供ルーチンを示している。ナビゲーション装置100から、経路探索や、予測経路情報を表示させる等の提供リクエストがあった場合に(C1:YES)、必要な情報を、統計旅行時間を用いて生成(推定)し(C2)、ナビゲーション装置100に提供する(C3)。
【0025】
さて、例えば、物理的道路構造の変化や、現在から数年にわたる長期間の工事などの今後定常的に起こるイベントによって交通状況が変化する場合、図6に示すように単に過去に蓄積した統計旅行時間から定常性判定の許容値を設定するだけでは今後の定常性を持つデータを非定常データとして処理を行ってしまう。そして、この状態のまま統計旅行時間を生成すると過去の交通状況を記憶した交通情報を統計情報として使用してしまうため、本来の交通状況とは異なる過去の定常データに基づいて経路情報を推定してしまうことになる。即ち、変化後の交通状況が今後定常的に続く場合、変化前では異常値として扱われる変化後の交通情報を、定常的である(新たに定常的となった交通情報である)と判定する必要がある。また、非定常的なデータ(異常値)についても、特殊な状況で定期的・恒常的に発生しているものについては、定常的なデータであると判定する必要がある。
【0026】
そこで、交通状況の変化が定常的である場合、非定常データ判定部301aにより交通情報はいったん非定常データ記憶部306に記憶されるが、非定常データ監視部301bは、図7に示すように非定常データ記憶部306に記憶された交通情報から定常性を判定し、定常と判定される交通情報を遡って定常データ記憶部305に記憶しなおす。この際、もともと定常データ記憶部305に記憶されていた交通情報は消去され、新規に統計旅行時間から定常性判定の許容値を設定するので、変化後の交通状況の定常性を精度よく判定することができる。
【0027】
図12は、交通情報センタ300の非定常データ監視部301bが非定常データを監視して、定常データを抽出する定常データ抽出ルーチンである。非定常データ監視部301bは、要因、リンク毎に記憶されている非定常データに定常的なデータが存在するか(D1)、リンク毎に記憶されている非定常データに定常的なデータが存在するか(D6)を判定している。非定常データに定常的なデータが存在する場合は(D1:YES)、次のようにして要因を更新する。即ち、存在する定常的なデータを定常データとして定常データ記憶部305に記憶し(D2)、定常的なデータが出現する時点を特定してから(D3)、当該時点以前の情報を定常データから削除し(D4)、要因の許容値(閾値)を新たな定常データの平均分散から再設定して記憶する(D5)。これにより、道路構造などの要因の変化に対応することが可能となる。尚、定常的なデータが出現する時点以前の情報を定常データから削除するのに代えてそのまま残し、残した情報を無視して(除いて)監視するようにしても良い。
【0028】
図8は、ある時点で道路構造が変化し、道路構造が変化した時点からリンクの旅行時間が長くなり、その状態が定常化したことから定常性データとして扱うまでの旅行時間の変化を示している。非定常データ監視部301bは、定常性を判定した結果、統計処理要因提供部304からの要因提供により道路構造が変化したと判定し、それ以前の情報を削除することにより考慮しない一方、それ以降の旅行時間の統計処理により許容値を再設定する。そして、再設定された許容値に基づいて定常データであると判定した場合は定常データ記憶部305に記憶し、非定常データであると判定した場合は非定常データ記憶部306に記憶する。
以上のようにして、統計旅行時間の質を向上させることができる。
【0029】
一方、非定常データ監視部301bは、リンク毎に記憶されている非定常データ(全ての要因を含む)に定常的なデータが存在する場合は(D6:YES)、次のようにして新規要因を記憶する(D10)。即ち、存在する定常的なデータを定常データとして定常データ記憶部305に記憶し(D7)、新たな要因を外部からの入力情報により特定してから(D8)、新たな定常データの平均分散から要因の許容値を算出して設定し(D9)、新規要因を記憶する(D10)。これにより、イベント、台風などの新規要因に対応することが可能となる。
【0030】
要因ごとに記憶されている情報を監視しつつ、定常データを抽出する方法としては(非定常データから定常的なデータが存在するか否かを判定する手法としては)、定常データと非定常データに記憶される情報の割合を監視する(受信した交通情報が非定常データに5割以上含まれていないか?)、非定常データの平均・分散を監視する(バラツキのない交通情報が非定常データに含まれていないか?)などの方法を採用することができる。
また、リンク毎に全てが記憶されている情報を監視しつつ定常データを抽出する方法としては、予め新しい要因を想定し、その要因に基づいて非定常データから情報を抽出した場合に、その情報に定常性が存在するか否かを判定する手法がある。例えば、統計処理要因記憶部304aに記憶されていない新たな要因に基づいて非定常データを参照する。新たな要因は例えば、イベント(スポーツやライブなど)の発生、日付(毎月30日は縁日など)、新たな天候条件(台風、大雨など)、等、予測可能な要因が考えられる(例えば、交通事故などの予測不可能な要因は含まれない)。
【0031】
一方、新たな要因に基づいて参照した結果、非定常データ記憶部306から定常的なデータが存在するかを判定することもできる。例えば、「ある道路において、毎月30日の11時〜15時」は、確率90%以上で、旅行時間が定常データとして設定されている閾値の上限を超える」場合は、ある道路の毎月30日の11時〜15時は非定常データが定常的であると判定する方法が考えられる。例えば、「ある道路において、毎月30日の11時〜15時」は、情報(受信した交通情報の非定常データ)の時系列変化の類似度が非常に高く、これらの情報は定常的であると判定する。さらに、定常的なデータが新たに存在する場合は、要因を新たに設定する。例えば、要因は「縁日(ある道路において、毎月30日、11時〜15時、ただし縁日開催時に限る)」となる)。
なお、リンク毎に全てが記憶されている情報を監視しつつ定常データを抽出する方法としては、上記の手法だけでなく、非定常データを所定間隔に区切り、該区切られた所定間隔に含まれる非定常データ形状に基づいて、類似するものがあるかどうかを判定し、その類似パターンが定期的に出現していないか、その類似パターンはある特定のイベントが関与していないか、といった手法により定常データを抽出、要因を特定する手法などもある。
【0032】
このような実施形態によれば、交通情報センタ300は、非定常データ記憶部306に記憶した非定常データの交通情報が定常性を有すると判定した場合は、その交通情報を定常データ記憶部305に記憶し、以後においては定常データとして扱うようにしたので、交通状況が変化した場合であっても統計旅行時間の質を向上させることができると共に、質の高い統計旅行時間に基づいて最適な経路情報を推測してナビゲーション装置100に対して提供することができる。
また、リンクの旅行時間に影響を与える要因毎に非定常データが定常性を示すかを判定し、その要因ごとの過去データに対して統計処理を行うようにしたので、経路情報の精度を一層高めることができる。
【0033】
さらに、統計処理により許容値を算出し、受信した交通情報が許容値内にあるかに基づいて非定常データかを判定するようにしたので、許容値を設定することで非定常データかを精度よく判定することができる。
尚、本実施形態では、旅行時間情報処理装置を利用した走行経路探索システムに適用した例を示したが、旅行時間処理装置が求めた統計旅行時間を利用するシステムであれば、各種システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
図面中、100はナビゲーション装置、200は交通状態量取得装置(交通状態量取得手段、旅行時間情報処理装置)、300は情報センタ(旅行時間情報処理装置)、301aは非定常データ判定部(非定常データ判定手段)、301bは非定常データ監視部(非定常データ監視手段)、301cは統計旅行時間生成部(統計旅行時間生成手段)、301dは経路情報推定部(経路情報推定手段)、302は通信装置(受信手段、送信手段)、304は統計処理要因提供部(統計処理要因提供手段)、304aは統計処理要因記憶部(統計処理要因記憶手段)、305は定常データ記憶部(定常データ記憶手段)、306は非定常データ記憶部(非定常データ記憶手段)である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、過去の交通情報に基づいて地図を構成するリンクの統計旅行時間を求める旅行時間情報処理装置、及びその統計旅行時間に基づいて最適な走行経路を探索する走行経路探索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行履歴を収集して統計情報を生成し,渋滞などの推定・予測などに活用される技術がある。生成された統計情報は、出発地から目的地までの経路探索時のコストの重み付け等にも利用される。そして、従来、渋滞情報の推定・予測には、過去の交通情報を道路リンクごとに蓄積し、統計的に処理した統計旅行時間を用いている。
その際、統計的に処理する統計旅行時間の質を高めるため、すなわち、定常的な交通状況を表現する統計旅行時間を生成するためには、交通情報処理時のエラーにより生成された異常値を含む交通情報や、交通状況に影響を与える所定のイベントが発生した際の特異的な交通情報は、統計処理に含めないことが望ましい。つまり、定常的な交通情報から差分(変化量)の大きい特異な交通情報は、統計旅行時間を生成するためには適しておらず、ノイズ(異常値)として除去することが望ましい。
【0003】
特許文献1では交通情報の異常値の除去方法には以下の2種類を用いている。
(1)道路属性により所定の閾値を与える方法
(2)過去の蓄積交通情報との比較により異常値の判定を行う方法
(1)の場合、朝夕の通勤退勤時の定常的に発生する渋滞や深夜の比較的すいている場合の交通状況など、実際の交通状況であると考えられる低速あるいは高速の状態を除去しないために広めに閾値を与える必要がある。この場合、閾値が広く設定されているために、道路工事などで車線規制(いわゆるイベント)が発生した場合の交通情報を除去できるとは考えにくい。
また、(2)の場合、過去の交通情報との比較によりイベントが発生した場合の非定常的な交通状況を異常値として判定できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−11290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のものでは、例えば、道路構造の変化により現在から定常性が継続する場合や、実は定期的に発生するイベントにより交通状況に定常性がある場合においても、過去の交通情報との比較した際に、異常値であると判定してしまい、交通情報を除去してしまう。つまり、変化後の状態が定常的な状態であるにも関わらず、異常として除去してしまうという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、交通状況の変化後の状態が定常的な状態となる場合であっても統計旅行時間の質を向上させることが可能となる旅行時間情報処理装置及び走行経路探索システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明によれば、非定常データ記憶手段に記憶した非定常データの交通情報が定常性を有すると非定常データ監視手段が判定した場合は、その交通情報を定常データ記憶手段に記憶し、以後において定常データとして扱うようにしたので、交通状況が変化した場合であっても統計旅行時間の質を向上させることができる。
請求項2の発明によれば、リンクの旅行時間に影響を与える要因毎に非定常データが定常性を示すかを判定するので、判定精度を高めることができる。
請求項3の発明によれば、統計処理により許容値を算出し、受信した交通情報が許容値内にあるかに基づいて非定常データかを判定するようにしたので、許容値を設定することで非定常データかを精度よく判定することができる。
【0007】
請求項4の発明によれば、要因を階層的に構成するようにしたので、要因毎に分類された交通情報に基づいて統計旅行時間を最適に管理することができる。
請求項5の発明によれば、路側感知器、或いはプローブカーにより交通状態量を取得するので、多様な交通環境に適用することができる。
請求項6の発明によれば、ナビゲーション装置に対して質の高い統計旅行時間を提供することができるので、ナビゲーション装置が案内する走行経路の精度を高めることができる。
請求項7の発明によれば、情報センタにて統計旅行時間を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態における走行経路探索システム全体の構成を概略的に示す図
【図2】リンク移動時間の統計情報を概念的に示す図
【図3】所要時間の変動量を示す統計情報を概念的に示す図
【図4】各要因が階層的に構成された状態を示す概念図
【図5】交通情報が定常性または非定常性を有するかの判定方法を示す図
【図6】道路構造が変化した場合を示す図5相当図
【図7】非定常データ監視部による非定常データの監視を示す図
【図8】道路構造が変化した時点でリンクの旅行時間が長くなった状態が定常化した状態を示す図
【図9】交通情報記憶ルーチンを示すフローチャート
【図10】統計旅行時間生成ルーチンを示すフローチャート
【図11】統計情報提供ルーチンを示すフローチャート
【図12】定常データ抽出ルーチンを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、走行経路探索システム全体の構成を概略的に示している。走行経路探索システムは、ナビゲーション装置100、交通状態量取得装置200(交通状態量取得手段に相当)、及び交通情報センタ300を備えて構成されている。また、交通状態量取得装置200及び交通情報センタ300により旅行時間情報処理装置が構成されている。
ナビゲーション装置100は、コンピュータ(CPU)を主体として構成され全体を制御する制御部101、その制御部101に接続されて外部との無線通信を行う通信装置102、地図データベース103、記憶装置104、自車位置を検出するための位置検出装置105、例えばフルカラー液晶ディスプレイからなる表示装置106、タッチパネルやメカスイッチを含む操作スイッチ群107、音声出力装置108を備えて構成されている。
【0010】
位置検出装置105は、GPS用の人工衛星からの送信電波に基づいて自車両の位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機、自車両の回転角速度を検出するジャイロセンサ、車速度センサ(いずれも図示せず)などを含んで構成されている。制御部101は、そのソフトウェア構成(及びハードウェア構成)により、位置検出装置105を構成する各センサからの入力に基づいて、自車両の現在位置(絶対位置)、進行方向、速度や走行距離、現在時刻などを高精度で検出する。そして、検出した自車の現在位置、及び、地図データベースから得られる地図データに基づいて、表示装置106の画面に、自車周辺の道路地図と共に自車の現在位置(及び進行方向)を重ね合せて表示させるロケーション機能を実現する。この場合、一般に、ロケーション機能を実現するにあたっては、自車の位置を、表示される電子地図の道路上となるように、自車の移動軌跡と道路地図データ中の道路形状とを比較照合して、現在走行中の道路を推測するマップマッチングが行われる。
【0011】
地図データベースは、例えば日本全土の道路地図データや、それに付随する、各種施設や店舗等の施設データ等を記憶するものである。道路地図データは、地図上の道路を、交差点などをノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンクとして規定したリンクデータとして与えられる。このリンクデータは、リンク固有のリンクID(識別子)、リンク長、リンクの始点,終点(ノード)の位置データ(経度,緯度)、角度(方向)データ、道路幅、道路種別などのデータを含んで構成される。また、リンクデータは、道路地図を表示装置の画面上に再生(描画)するためのデータを含んでいる。
通信装置102は、例えば、図示しない無線基地局及びインターネット等の通信ネットワークを介して、交通情報センタ300との間で通信(テレマティクス通信)を行うようになっている。この場合、交通情報センタ300に対し、プローブ情報を送信する機能と、経路情報を受信する機能とを持つ。通信装置102としては、携帯電話機、DSRC、無線LANなど様々なものを採用することができる。
【0012】
ナビゲーション装置100の制御部101は、通信装置102により、後述する経路探索リクエスト情報などの各種の情報を交通情報センタ300に対して送信する。また、制御部101は、交通情報センタ300から送信される経路情報を通信装置102により取得(受信)する。また、制御部101は、交通情報センタ300から取得した経路情報に基づいて車両の経路案内を実行する。周知のように、この経路案内は、表示装置106の画面に走行すべき経路を道路地図に重ね合わせて表示すると共に、自車位置が所定のポイントに至ったときに音声出力装置108により案内音声を出力することにより行われる。
交通状態量取得装置200は、例えば前述したナビゲーション装置100を搭載したプローブカー201や路側感知器202等の少なくとも一方であり、プローブカー201にて生成されるプローブ情報(例えば渋滞度やリンク旅行時間等)や路側感知器202にて計測された車両通過量等を取得し、有線または無線で交通情報センタ300との間で通信を行い、交通情報を送信する。なお、交通情報は各道路(リンク)ごとに値をもつ。
【0013】
一方、交通情報センタ300は、コンピュータを主体として構成された制御部301を備えている。制御部301は、CPUにおいて制御プログラムを実行することにより、非定常データ判定部301a(非定常判定手段に相当)、非定常データ監視部301b(非定常データ監視手段に相当)、統計旅行時間生成部301c(統計旅行時間生成手段に相当)、経路情報推定部301d(経路情報推定手段に相当)をソフトウェアによって仮想的に実現する。
【0014】
通信装置302(受信手段、送信手段に相当)は、ナビゲーション装置100の通信装置102との間と、交通状態量取得装置200との間の通信を行なうようになっている。
交通情報センタ300の制御部301は、ナビゲーション装置100から送信される経路探索リクエスト情報を、通信装置302による通信装置102との通信により取得(受信)すると共に、後述する経路情報を通信装置302によりナビゲーション装置100に送信する。また、制御部301は、交通状態量取得装置200から送信される交通状態量を通信装置302により受信可能である。この交通状態量とはリンクの旅行時間の指標となる情報のことで、交通情報(渋滞、事故、工事、車線規制、交通規制などの情報)、環境情報(天候、風向き、路面状況などの情報)などの経路探索に有用な最新のデータを含む。また、制御部301は、通信装置302により受信した各種の交通状態量を蓄積するようになっている。
【0015】
交通情報センタ300が備える地図データベース303には、経路探索用の最新の道路地図データが記憶されており、交通情報の生成に用いられる。地図データベース303は、ナビゲーション装置100が備える地図データベース103と同様に、例えば日本全土の道路地図データや、それに付随する、各種施設や店舗などの施設データなどを記憶するものである。道路地図データは、地図上の道路を、交差点などをノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンクとして規定したリンクデータとして与えられる。このリンクデータは、リンク固有のリンクID(識別子)、リンク長、リンクの始点,終点(ノード)の位置データ(経度,緯度)、角度(方向)データ、道路幅、道路種別などのデータを含んで構成される。また、リンクデータは、道路地図をナビゲーション装置100の表示装置106の画面上に再生(描画)するためのデータも含んでいる。さらに、リンクデータは、上述のプローブ情報に基づいて設定されたリンク移動時間を示すデータを含んでいる。このリンク移動時間は、そのリンクにおける車両の移動時間(そのリンク全体を車両が走行するのに要する所要時間)である。リンク移動時間を示すデータは、所定の期間にそのリンクを走行した車両から送信される。このリンク移動時間は、その車両が当該リンクを走行したときの渋滞状況や環境状況などによって変動する。
【0016】
交通情報センタ300の制御部301は、多数の車両から受信したリンク移動時間を統計情報として後述するように統計処理要因提供部304(統計処理要因提供手段に相当)が提供する要因に基づいて定常データ記憶部305(定常データ記憶手段に相当)または非定常データ記憶部306(非定常データ記憶手段に相当)に記憶する。そして、記憶したリンク移動時間の平均値を、そのリンクのリンク旅行時間として算出し、算出したリンク旅行時間(多数のリンク移動時間の平均値)とリンク移動時間の分散値(リンク移動時間のばらつき度合いを示すデータ)とを記憶する。制御部301は、ナビゲーション装置100から経路探索リクエスト情報を受信すると、その経路探索リクエスト情報に含まれるデータと地図データベースの道路地図データとに基づいて、指定された出発地(例えば自車両の現在位置)から目的地までの経路を探索する。これにて、ユーザにより指定された目的地までの推奨する走行経路を探索する経路探索機能が実現されるようになっている。そして、制御部301は、その経路探索機能により探索した経路を、経路探索リクエスト情報を送信したナビゲーション装置100に送信する。
【0017】
次に、上記した経路探索機能について説明する。
図2は、交通情報センタ300の制御部301が記憶するリンク移動時間の統計情報を概念的に示す図である。制御部301は、交通状態量取得装置200から受信した交通情報が示すリンク移動時間と、当該リンク移動時間の分散値とを記憶する。従って、リンク移動時間の統計情報は、図2に示すように、リンク移動時間の平均値(リンク旅行時間)とリンク移動時間の分散値(リンク移動時間のばらつき度合い)とに基づく確率モデル(確率密度分布)で表現することができる。制御部301は、図2に示すような統計情報を道路地図データに含まれるリンクごとに予め作成し記憶している。なお、制御部301は、図2に示すような統計情報を適宜更新し、最新の統計情報を保持するようになっている。
【0018】
図3は、交通情報センタ300の制御部301が上述の経路探索機能により探索した経路を車両が走行した場合に当該車両が現在地から目的地に到着するまでに要する所要時間の変動量を示す統計情報を概念的に示す図である。図3に示すように、目的地に到着するまでに要する所要時間は、探索された経路を構成する各リンクの統計情報(図2参照)の和により求められる。従って、このように求められる所要時間の統計情報も、図3に示すように、所要時間の平均値と所要時間の分散値とに基づく確率モデル(確率密度分布)で表現することができる。制御部301は、探索した経路ごとに、図3に示すような統計情報を作成する。また、制御部301は、所要時間の平均値を、目的地に到着するまでに要する予想所要時間(到着予想所要時間)として設定すると共に、その到着予想所要時間を現在時刻に加算した時刻を到着予想時刻tとして設定する。
【0019】
次に、交通情報センタ300の制御部301がソフトウェアにより仮想的に実行する非定常データ判定部301a、非定常データ監視部301b、統計旅行時間生成部301c、経路情報推定部301dについて説明する。
非定常データ判定部301aは、まず、交通状態量取得装置200より送信された交通情報に対して、その交通情報がどの要因に当てはまるかを判定する。図4にその判定方法について示した。統計処理要因提供部304が有する統計処理要因記憶部304a(統計処理要因記憶手段に相当)には、図4に示すように各要因(天候、イベント、曜日など)が階層的に構成されており、各要因においては、交通情報(の代表値、モデル、もしくは、統計旅行時間)が記憶されている。階層的に構成とは、互いに独立した上位の階層となる要因に対して互いに独立した下位となる要因を順に組み合わして構成していることを意味する。このような判定に用いられる要因は統計処理要因提供部304より抽出されるもので、統計処理要因提供部304は、判定に用いられる要因を外部情報より取得して提供する(例えば、判定に用いられる要因が季節ならカレンダー、天候なら気象情報、イベントならイベント情報など)。
【0020】
非定常データ判定部301aは、図5に示すように、受信した交通情報が、過去データ統計処理により算出された許容値(受信した交通情報があてはめられた要因における道路(リンク)ごと(さらに時間帯ごと)に設定される)内にあるか、または、統計旅行時間生成部301cにて要因ごと、リンクごと、(時間帯ごと)に生成された統計旅行時間と比較して著しく乖離していないか等により異常値の判定を行う。
定常データ記憶部305は、非定常データ判定部301aにて異常値でないと判定された交通情報を、各要因、道路(リンク)ごとに記憶する。なお、定常データ記憶部305に記憶される交通情報は、経路情報の推定に利用される。
非定常データ記憶部306は、非定常データ判定部301aにて異常値であると判定された交通情報を各要因、道路(リンク)ごとに記憶し、また、道路(リンク)毎に全ての情報を一括して(要因ごとに分けずに)記憶する。
【0021】
非定常データ監視部301bは、非定常データ記憶部306で記憶された交通情報に関して、定常性を持つ交通情報がないか監視する機能を持つ。ここで非定常データ記憶部306にて記憶された交通情報が定常性を持つと判定された場合は、その非定常データは定常データ記憶部305に記憶される。
定常性と判定された要因に関して限定的な要因(例えば、ある期間、あるイベント発生時、台風)が統計処理要因提供部304より抽出された場合には、その要因を統計処理要因記憶部304aに新たな要因として追加・管理する。要因が抽出された場合には、その要因を統計処理要因記憶部304aに新たに追加した上で、定常データ記憶部305に定常データとして記憶し直す。
【0022】
統計旅行時間生成部301cは、定常データ記憶部305に記憶された交通情報より統計処理要因提供部304にて抽出された統計旅行時間生成対象道路の要因に対して、統計処理要因記憶部304aで記憶された要因(例えば、季節、曜日、天候など)に基づいて統計処理を実施することで統計旅行時間を生成し、経路情報推定部301dにおいて経路情報が推定される。
統計旅行時間は、各道路(リンク)、所定時間毎に、要因ごとに生成される(例えば、「この道路における通常の水曜日(要因)は、7時5分から7時10分においては統計旅行時間は30秒」)。生成方法としては、各リンク、各要因、各時間ごとに含まれている定常データ(旅行時間情報)を、上述したように例えば平均して生成する。尚、統計旅行時間生成は、所定時間毎、例えば1日毎に実行される。
【0023】
交通情報センタ300の制御部301は、本発明に関連して交通情報記憶ルーチン、統計旅行時間生成ルーチン、統計情報提供ルーチン、定常データ抽出ルーチンを実行している。
図9は、交通情報センタ300が受信した交通情報を記憶する交通情報記憶ルーチンである。制御部301は、ナビゲーション装置100から交通情報を受信したときは(A1:YES)、要因を特定し(A2)、受信した交通情報が、要因、道路(リンク)ごとに設定された閾値(許容値)内に含まれる場合は(A3:YES)、定常データ記憶部305に記憶し(A4)、含まれない場合は(A3:NO)、非定常データ記憶部306に記憶する(図5参照)。定常データ記憶部305では要因・リンクごとに情報が記憶(管理)され、非定常データ記憶部306では、要因・リンクごと、及び、リンク毎(要因は考慮しない)に情報が記憶(管理)される。
【0024】
図10は、統計旅行時間を生成する統計旅行時間生成ルーチンである。統計旅行時間は、定常データにおいて、あるリンク、ある要因ごと、ある時間帯ごとに、そこに含まれる受信した交通情報を、例えば平均して生成し(B1)、その統計旅行時間を記憶する(B2)。この場合、統計情報は統計旅行時間生成対象道路に対応する要因に基づいて生成される。また、統計情報はナビゲーション装置100側にて必要な場合にリクエストするもので、経路探索や、予測交通情報表示の際に必要となる。経路探索では、統計情報が経路探索時のリクエストに加味される(例えば、30分後にこの道路を走行する場合の所定時間(≒リンクコスト))。予測交通情報表示では、予測渋滞情報を地図上に表示させる際に必要となる。
図11は、図10の統計旅行時間生成ルーチンにて生成された統計旅行時間をユーザ(ナビゲーション装置100)などに提供する統計情報提供ルーチンを示している。ナビゲーション装置100から、経路探索や、予測経路情報を表示させる等の提供リクエストがあった場合に(C1:YES)、必要な情報を、統計旅行時間を用いて生成(推定)し(C2)、ナビゲーション装置100に提供する(C3)。
【0025】
さて、例えば、物理的道路構造の変化や、現在から数年にわたる長期間の工事などの今後定常的に起こるイベントによって交通状況が変化する場合、図6に示すように単に過去に蓄積した統計旅行時間から定常性判定の許容値を設定するだけでは今後の定常性を持つデータを非定常データとして処理を行ってしまう。そして、この状態のまま統計旅行時間を生成すると過去の交通状況を記憶した交通情報を統計情報として使用してしまうため、本来の交通状況とは異なる過去の定常データに基づいて経路情報を推定してしまうことになる。即ち、変化後の交通状況が今後定常的に続く場合、変化前では異常値として扱われる変化後の交通情報を、定常的である(新たに定常的となった交通情報である)と判定する必要がある。また、非定常的なデータ(異常値)についても、特殊な状況で定期的・恒常的に発生しているものについては、定常的なデータであると判定する必要がある。
【0026】
そこで、交通状況の変化が定常的である場合、非定常データ判定部301aにより交通情報はいったん非定常データ記憶部306に記憶されるが、非定常データ監視部301bは、図7に示すように非定常データ記憶部306に記憶された交通情報から定常性を判定し、定常と判定される交通情報を遡って定常データ記憶部305に記憶しなおす。この際、もともと定常データ記憶部305に記憶されていた交通情報は消去され、新規に統計旅行時間から定常性判定の許容値を設定するので、変化後の交通状況の定常性を精度よく判定することができる。
【0027】
図12は、交通情報センタ300の非定常データ監視部301bが非定常データを監視して、定常データを抽出する定常データ抽出ルーチンである。非定常データ監視部301bは、要因、リンク毎に記憶されている非定常データに定常的なデータが存在するか(D1)、リンク毎に記憶されている非定常データに定常的なデータが存在するか(D6)を判定している。非定常データに定常的なデータが存在する場合は(D1:YES)、次のようにして要因を更新する。即ち、存在する定常的なデータを定常データとして定常データ記憶部305に記憶し(D2)、定常的なデータが出現する時点を特定してから(D3)、当該時点以前の情報を定常データから削除し(D4)、要因の許容値(閾値)を新たな定常データの平均分散から再設定して記憶する(D5)。これにより、道路構造などの要因の変化に対応することが可能となる。尚、定常的なデータが出現する時点以前の情報を定常データから削除するのに代えてそのまま残し、残した情報を無視して(除いて)監視するようにしても良い。
【0028】
図8は、ある時点で道路構造が変化し、道路構造が変化した時点からリンクの旅行時間が長くなり、その状態が定常化したことから定常性データとして扱うまでの旅行時間の変化を示している。非定常データ監視部301bは、定常性を判定した結果、統計処理要因提供部304からの要因提供により道路構造が変化したと判定し、それ以前の情報を削除することにより考慮しない一方、それ以降の旅行時間の統計処理により許容値を再設定する。そして、再設定された許容値に基づいて定常データであると判定した場合は定常データ記憶部305に記憶し、非定常データであると判定した場合は非定常データ記憶部306に記憶する。
以上のようにして、統計旅行時間の質を向上させることができる。
【0029】
一方、非定常データ監視部301bは、リンク毎に記憶されている非定常データ(全ての要因を含む)に定常的なデータが存在する場合は(D6:YES)、次のようにして新規要因を記憶する(D10)。即ち、存在する定常的なデータを定常データとして定常データ記憶部305に記憶し(D7)、新たな要因を外部からの入力情報により特定してから(D8)、新たな定常データの平均分散から要因の許容値を算出して設定し(D9)、新規要因を記憶する(D10)。これにより、イベント、台風などの新規要因に対応することが可能となる。
【0030】
要因ごとに記憶されている情報を監視しつつ、定常データを抽出する方法としては(非定常データから定常的なデータが存在するか否かを判定する手法としては)、定常データと非定常データに記憶される情報の割合を監視する(受信した交通情報が非定常データに5割以上含まれていないか?)、非定常データの平均・分散を監視する(バラツキのない交通情報が非定常データに含まれていないか?)などの方法を採用することができる。
また、リンク毎に全てが記憶されている情報を監視しつつ定常データを抽出する方法としては、予め新しい要因を想定し、その要因に基づいて非定常データから情報を抽出した場合に、その情報に定常性が存在するか否かを判定する手法がある。例えば、統計処理要因記憶部304aに記憶されていない新たな要因に基づいて非定常データを参照する。新たな要因は例えば、イベント(スポーツやライブなど)の発生、日付(毎月30日は縁日など)、新たな天候条件(台風、大雨など)、等、予測可能な要因が考えられる(例えば、交通事故などの予測不可能な要因は含まれない)。
【0031】
一方、新たな要因に基づいて参照した結果、非定常データ記憶部306から定常的なデータが存在するかを判定することもできる。例えば、「ある道路において、毎月30日の11時〜15時」は、確率90%以上で、旅行時間が定常データとして設定されている閾値の上限を超える」場合は、ある道路の毎月30日の11時〜15時は非定常データが定常的であると判定する方法が考えられる。例えば、「ある道路において、毎月30日の11時〜15時」は、情報(受信した交通情報の非定常データ)の時系列変化の類似度が非常に高く、これらの情報は定常的であると判定する。さらに、定常的なデータが新たに存在する場合は、要因を新たに設定する。例えば、要因は「縁日(ある道路において、毎月30日、11時〜15時、ただし縁日開催時に限る)」となる)。
なお、リンク毎に全てが記憶されている情報を監視しつつ定常データを抽出する方法としては、上記の手法だけでなく、非定常データを所定間隔に区切り、該区切られた所定間隔に含まれる非定常データ形状に基づいて、類似するものがあるかどうかを判定し、その類似パターンが定期的に出現していないか、その類似パターンはある特定のイベントが関与していないか、といった手法により定常データを抽出、要因を特定する手法などもある。
【0032】
このような実施形態によれば、交通情報センタ300は、非定常データ記憶部306に記憶した非定常データの交通情報が定常性を有すると判定した場合は、その交通情報を定常データ記憶部305に記憶し、以後においては定常データとして扱うようにしたので、交通状況が変化した場合であっても統計旅行時間の質を向上させることができると共に、質の高い統計旅行時間に基づいて最適な経路情報を推測してナビゲーション装置100に対して提供することができる。
また、リンクの旅行時間に影響を与える要因毎に非定常データが定常性を示すかを判定し、その要因ごとの過去データに対して統計処理を行うようにしたので、経路情報の精度を一層高めることができる。
【0033】
さらに、統計処理により許容値を算出し、受信した交通情報が許容値内にあるかに基づいて非定常データかを判定するようにしたので、許容値を設定することで非定常データかを精度よく判定することができる。
尚、本実施形態では、旅行時間情報処理装置を利用した走行経路探索システムに適用した例を示したが、旅行時間処理装置が求めた統計旅行時間を利用するシステムであれば、各種システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
図面中、100はナビゲーション装置、200は交通状態量取得装置(交通状態量取得手段、旅行時間情報処理装置)、300は情報センタ(旅行時間情報処理装置)、301aは非定常データ判定部(非定常データ判定手段)、301bは非定常データ監視部(非定常データ監視手段)、301cは統計旅行時間生成部(統計旅行時間生成手段)、301dは経路情報推定部(経路情報推定手段)、302は通信装置(受信手段、送信手段)、304は統計処理要因提供部(統計処理要因提供手段)、304aは統計処理要因記憶部(統計処理要因記憶手段)、305は定常データ記憶部(定常データ記憶手段)、306は非定常データ記憶部(非定常データ記憶手段)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を構成するリンク毎の旅行時間の指標となる交通状態量を取得し、当該交通状態量を示す交通情報を送信する交通状態量取得手段が送信した交通情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した交通情報が非定常データかを判定する非定常データ判定手段と、
前記非定常データ判定手段が非定常データでないと判定した交通情報を蓄積して記憶する定常データ記憶手段と、
前記非定常データ判定手段が非定常データであると判定した交通情報を蓄積して記憶する非定常データ記憶手段と、
前記非定常データ記憶手段に記憶されている交通情報が定常性を有するかを監視し、定常性を有する交通情報があると判定した場合は、前記定常性を有する交通情報を前記定常データ記憶手段に記憶すると共に、当該定常データ記憶手段に記憶されている交通情報の内、定常的なデータが出現する時点以前の情報を除いて監視する非定常データ監視手段と、
前記定常データ記憶手段に記憶されている交通情報に対して統計処理を行うことによりリンク毎の統計旅行時間を生成する統計旅行時間生成手段と、
を備えたことを特徴とする旅行時間情報処理装置。
【請求項2】
前記リンクの旅行時間に影響を与える要因を記憶した統計処理要因記憶手段と、
前記統計処理要因記憶手段に記憶されている要因を提供する統計処理要因提供手段と、を備え、
前記非定常データ判定手段は、前記交通状態量取得手段から受信した交通情報が前記統計処理要因提供手段から提供された何れの要因にあてはまるかを判定し、
前記定常データ記憶手段及び前記非定常データ記憶手段は、前記非定常データ判定手段が判定した要因に対応して交通情報を記憶する請求項1記載の旅行時間情報処理装置。
【請求項3】
前記非定常データ判定手段は、前記受信手段が受信した交通情報が前記定常データ記憶手段に記憶されている過去データの統計処理により算出された許容値内にあるかに基づいて非定常データかを判定することを特徴とする請求項1または2記載の旅行時間情報処理装置。
【請求項4】
前記要因は、互いに独立した上位の階層となる要因に対して互いに独立した下位の階層となる要因が順に組み合わされることにより階層的に構成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の旅行時間情報処理装置。
【請求項5】
前記交通状態量取得手段は、路側に設けられて車両の交通状態を検出する路側感知器、または車両の交通状態を感知する機能を有したプローブカーの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の旅行時間情報処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れかに記載の旅行時間処理装置と、
車両に搭載され、出発地から目的地までの経路探索をリクエストする経路探索リクエスト情報を送信するナビゲーション装置と、
前記統計旅行時間生成手段が生成した統計旅行時間に基づいて前記ナビゲーション装置から送信された経路探索リクエスト情報が示す出発地から目的地までの最適経路を示す経路情報を推測する経路情報推定手段と、
前記経路情報推定手段が推定した経路情報を前記ナビゲーション装置に送信する送信手段と、を備え、
前記ナビゲーション装置は、受信した経路情報に基づいて出発地から目的地までの経路を案内することを特徴とする走行経路探索システム。
【請求項7】
前記受信手段、前記非定常データ判定手段、前記定常データ記憶手段、前記非定常データ記憶手段、前記非定常データ監視手段、前記統計旅行時間生成手段、前記統計処理要因記憶手段、前記統計処理要因提供手段、前記経路情報推定手段、及び前記送信手段は、情報センタに備えられていることを特徴とする請求項6記載の走行経路探索システム。
【請求項1】
地図を構成するリンク毎の旅行時間の指標となる交通状態量を取得し、当該交通状態量を示す交通情報を送信する交通状態量取得手段が送信した交通情報を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した交通情報が非定常データかを判定する非定常データ判定手段と、
前記非定常データ判定手段が非定常データでないと判定した交通情報を蓄積して記憶する定常データ記憶手段と、
前記非定常データ判定手段が非定常データであると判定した交通情報を蓄積して記憶する非定常データ記憶手段と、
前記非定常データ記憶手段に記憶されている交通情報が定常性を有するかを監視し、定常性を有する交通情報があると判定した場合は、前記定常性を有する交通情報を前記定常データ記憶手段に記憶すると共に、当該定常データ記憶手段に記憶されている交通情報の内、定常的なデータが出現する時点以前の情報を除いて監視する非定常データ監視手段と、
前記定常データ記憶手段に記憶されている交通情報に対して統計処理を行うことによりリンク毎の統計旅行時間を生成する統計旅行時間生成手段と、
を備えたことを特徴とする旅行時間情報処理装置。
【請求項2】
前記リンクの旅行時間に影響を与える要因を記憶した統計処理要因記憶手段と、
前記統計処理要因記憶手段に記憶されている要因を提供する統計処理要因提供手段と、を備え、
前記非定常データ判定手段は、前記交通状態量取得手段から受信した交通情報が前記統計処理要因提供手段から提供された何れの要因にあてはまるかを判定し、
前記定常データ記憶手段及び前記非定常データ記憶手段は、前記非定常データ判定手段が判定した要因に対応して交通情報を記憶する請求項1記載の旅行時間情報処理装置。
【請求項3】
前記非定常データ判定手段は、前記受信手段が受信した交通情報が前記定常データ記憶手段に記憶されている過去データの統計処理により算出された許容値内にあるかに基づいて非定常データかを判定することを特徴とする請求項1または2記載の旅行時間情報処理装置。
【請求項4】
前記要因は、互いに独立した上位の階層となる要因に対して互いに独立した下位の階層となる要因が順に組み合わされることにより階層的に構成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の旅行時間情報処理装置。
【請求項5】
前記交通状態量取得手段は、路側に設けられて車両の交通状態を検出する路側感知器、または車両の交通状態を感知する機能を有したプローブカーの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の旅行時間情報処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れかに記載の旅行時間処理装置と、
車両に搭載され、出発地から目的地までの経路探索をリクエストする経路探索リクエスト情報を送信するナビゲーション装置と、
前記統計旅行時間生成手段が生成した統計旅行時間に基づいて前記ナビゲーション装置から送信された経路探索リクエスト情報が示す出発地から目的地までの最適経路を示す経路情報を推測する経路情報推定手段と、
前記経路情報推定手段が推定した経路情報を前記ナビゲーション装置に送信する送信手段と、を備え、
前記ナビゲーション装置は、受信した経路情報に基づいて出発地から目的地までの経路を案内することを特徴とする走行経路探索システム。
【請求項7】
前記受信手段、前記非定常データ判定手段、前記定常データ記憶手段、前記非定常データ記憶手段、前記非定常データ監視手段、前記統計旅行時間生成手段、前記統計処理要因記憶手段、前記統計処理要因提供手段、前記経路情報推定手段、及び前記送信手段は、情報センタに備えられていることを特徴とする請求項6記載の走行経路探索システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−252630(P2012−252630A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126254(P2011−126254)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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