旅行時間推計方法,旅行時間推計装置,その方法を実装した旅行時間推計プログラム及びそのプログラムを格納した記録媒体、旅行時間予測方法,旅行時間予測装置,その方法を実装した旅行時間予測プログラム及びそのプログラムを格納した記録媒体
【課題】道路リンクの旅行時間を精度良く推計する。道路の将来の旅行時間を当該道路の渋滞情報から予測する。
【解決手段】算出された過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)(221,222)との関係を用いて、正規化リンク旅行時間を算出する第1変換式の係数を算出する(223)。第1変換式の各係数を変数とし、重回帰分析及び数量化理論I類分析の混合モデルによって回帰式を求める(224)。算出された旅行時間推計対象の渋滞度J(l2)(226)を前記回帰式に適用し、第2変換式の係数を算出する(225)。前記算出された係数を第2変換式に適用し、旅行時間推計対象の正規化リンク旅行時間NT(l2)の推定値を算出する(227)。正規化リンク旅行時間NT(l2)に基づき、当該道路リンク旅行時間の推定値を算出する(228)。上述の旅行時間推計方法を用いて、道路リンク旅行時間の予測値を算出する。
【解決手段】算出された過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)(221,222)との関係を用いて、正規化リンク旅行時間を算出する第1変換式の係数を算出する(223)。第1変換式の各係数を変数とし、重回帰分析及び数量化理論I類分析の混合モデルによって回帰式を求める(224)。算出された旅行時間推計対象の渋滞度J(l2)(226)を前記回帰式に適用し、第2変換式の係数を算出する(225)。前記算出された係数を第2変換式に適用し、旅行時間推計対象の正規化リンク旅行時間NT(l2)の推定値を算出する(227)。正規化リンク旅行時間NT(l2)に基づき、当該道路リンク旅行時間の推定値を算出する(228)。上述の旅行時間推計方法を用いて、道路リンク旅行時間の予測値を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報における旅行時間を推計もしくは予測する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、道路リンクとは道路を構成する単位であって、例えば、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)システム(例えば、非特許文献1参照)では交差点と交差点とを結ぶ道路区間を「VICS(登録商標)リンク」として定義している。以下、「リンク」とは、VICS(登録商標)システムで取り扱われている「VICS(登録商標)リンク」のことを指すものとする。
【0003】
現在のVICS(登録商標)システムにおいて、交通情報が提供されている道路リンクでは、渋滞状況に関する情報(渋滞情報)は概ね全ての道理リンクで提供されているが、道路リンクを通過するために要するリンク旅行時間は、約半数の道路リンクでしか提供されていない。
【0004】
また、カーナビゲーションのように出発地と目的地の2点を指定して、この2点間を移動するために要する旅行時間を検索するような応用サービスでは、次のように時間計算を行う。まず、出発地から目的地まで一つまたは複数のルートをデジタル道路地図データから検索する。そして、その検索されたルートを構成する道路リンクの旅行時間の現在値,予測値を積算することで最適な移動ルートや所要時間を算出する。
【0005】
しかし、検索された移動ルートを構成する道路リンクに、旅行時間情報が提供されていない道路リンクが含まれている場合は、正確な所用時間を算出することが困難であるという問題があった。
【0006】
このような問題に対して、次のような従来の旅行時間推計技術(例えば、特許文献1参照)が提案されている。まず、渋滞情報と旅行時間情報の両方が提供されている道路リンクの過去のデータから、旅行時間と渋滞度の関係を統計的に処理して渋滞度から旅行時間を算出する変換式を求める。次に、この変換式を構成する各係数の大きさと、当該道路リンクの道路種別や幅員、規則速度等の属性情報の関係を統計的に処理して、道路属性情報と渋滞度−旅行時間変換式の関係を求める。そして、前記道路属性情報と渋滞度−旅行時間変換式の関係によって、渋滞情報だけが提供されている道路リンクの旅行時間を当該道路リンクの属性情報と渋滞情報から推計する。
【0007】
なお、上述の関連技術としては、VICS(登録商標)データにおける渋滞情報の具体的な提供形式(例えば、特許文献2参照)、重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルによる回帰分析の方法(例えば、非特許文献2参照)、道路リンクの過去および現在の渋滞情報から将来の渋滞状況を予測する方法(例えば、非特許文献3,4参照)、道路リンクの過去および現在の旅行時間情報から将来の旅行時間情報を予測する方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【特許文献1】特開2005−208791号公報(段落[0040]〜[0106],[0068]等)。
【特許文献2】特開2004−164373号公報(段落[0030]〜[0031]等)。
【特許文献3】特開2005−173996号公報(段落[0032]〜[0090]等)。
【非特許文献1】財団法人 道路交通情報通信システムセンター、“豊かなモビリティ社会を創る道路交通情報通信システムVICS”、[online]、財団法人 道路交通情報通信システムセンター、[平成19年1月12日検索]、インターネット<URL:http://www.vics.or.jp/vics/pdf/vics_pamph.pdf>。
【非特許文献2】上田太一郎,苅田正雄,本田和恵、「実践ワークショップExcel徹底活用多変量解析」、秀和システム、2003(平成15)年8月、pp.190〜231。
【非特許文献3】毛利仁士,堀越力他、「事例ベース推論による交通渋滞予測手法」、電子情報通信学会、1999(平成11)年、vol.J82−B No.11、pp.1993−2001。
【非特許文献4】金澤昭浩,市河研一他、「決定木を利用した交通渋滞予測手法に関する考察」、電子情報通信学会ITS研究会ITS2003−130、2004(平成16)年。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の旅行時間推計技術には、次に述べるような課題もしくは問題点が見られる。
【0009】
まず、第1課題としては、正規化リンク旅行時間の誤差の増大がある。
【0010】
過去の渋滞状況と旅行時間の関係を分析すると、多くの道路リンクではその時の渋滞度に応じて旅行時間が増減することが分かっている。一例として、図5に渋滞度と正規化リンク旅行時間との関係を散布図として示す。なお、図5に関しては、後で詳細に説明する。
【0011】
図5に基づいて、渋滞度毎の正規化リンク旅行時間を分析すると、渋滞度が0(ゼロ)より大きく100より小さい場合、概ね渋滞度の大きさに応じて線形に増加することが判る。
【0012】
しかし、渋滞度が0の場合は、交通渋滞状況が道路リンク上の移動に要する旅行時間に影響を与えることは無いため、同じ渋滞度0の状況でも観測される旅行時間が長いケースも短いケースもあり、その分布は広がる傾向にある。
【0013】
また、渋滞度が100の場合は、道路リンク全体の交通状況が「渋滞」していることになる。即ち、車両の移動速度が「渋滞」を規定する速度以下(例えば、一般道では時速20km/h(キロメートルパーアワ)以下)となっているわけであるが、同じ「渋滞」のケースでも、時速10km/hの場合もあるし、時速2km/hの場合もあるように、それらを考慮して旅行時間に換算すると、とても大きな範囲に値が分布する傾向にある。
【0014】
そして、渋滞度0の場合も渋滞度100の場合も、そのいずれの渋滞度の場合における旅行時間の分布の中心は、「0<渋滞度<100」の事例、もしくは、「0≦渋滞度≦100」の事例から求まる回帰直線の渋滞度0の値、あるいは、渋滞度100の値とは必ずしも同程度の値になるとは限らない。
【0015】
なお、複数の一般道について、1年365日,一日5分間隔で取得したデータ(約10万標本)を渋滞度別に分析すると、比較的渋滞しない道路では、渋滞度0の事例数が95%以上、渋滞度が0より大きく100より小さい事例及び渋滞度が100の事例がそれぞれ1〜3%位である。
【0016】
また、比較的渋滞しやすい道路では、渋滞度0の事例数が90%以上、渋滞度が0より大きく100より小さい事例及び渋滞度が100の事例がそれぞれ3〜7%位である、ということが判っている。
【0017】
ところが、上述の旅行時間推計技術では渋滞度から旅行時間への変換式を、渋滞度ゼロの場合、渋滞度100の場合も含めて全て一つの渋滞度の1次式としている。このため渋滞度−正規化リンク旅行時間の標本分布に対して唯一つの回帰直線をその変換式として当てはめることとなり、「渋滞度=0」,「0<渋滞度<100」,「渋滞度=100」の各事例ごとに標本が偏在する場合には、変換式から求まる正規化リンク旅行時間の誤差が大きくなってしまうという問題がある。
【0018】
第2課題としては、渋滞度から正規化リンク旅行時間を求める変換式の係数を導出することが出来ないことである。
【0019】
ここで、渋滞度から正規化リンク旅行時間を求める変換式を定め、この変換式の係数の値を、各道路リンクの属性情報(12時間交通量,ピーク時旅行速度,道路種別(国道もしくは県道),リンク種別(本線,連結路,側道)等)から算出することを目的に、変換式の係数と道路属性情報との関連を分析する場合を考える。
【0020】
前記分析に当たって、目的変量である変換式の係数は比尺度で測定される情報であるのに対し、説明変量となる道路属性には、12時間交通量もしくはピーク時旅行速度等といった比尺度で測定される情報と、道路種別もしくはリンク種別等といった名義尺度で測定される情報が混在している。
【0021】
ところが、上述の旅行時間推計技術では、目的変量である変換式の係数と説明変量である道路属性との関連を分析するにあたって、比尺度の目的変量と比尺度の説明変量の関連を分析する重回帰分析の手法によって行っている。
【0022】
このため、上述の旅行時間推計技術で例示されている道路属性情報のうち、道路幅員コードもしくは規制速度コードといった一部の名義尺度の変数は、対応する道路幅員(例えば、道路幅員コード=1は13m(メートル)等)、規制速度(規制速度コード=1は30km/h(キロメートルパーアワ)等)等の比尺度の情報を適用することで分析が可能である。しかし、道路種別コードのように本質的に名義尺度の情報は適切に分析対象に組み入れることが出来ない。
【0023】
結果として、全ての道路属性を対象とした適切な分析が出来ないため、最終的に渋滞度から正規化リンク旅行時間を求める変換式の係数を、道路属性情報に基づいて算出する最適な関係式から導出することが出来ないという問題がある。
【0024】
本発明は、前記課題に基づいてなされたものであって、対象とする標本データが、渋滞度ごとの事例に偏在するような場合においても、渋滞度から旅行時間を高い精度で算出し、より精度の高い変換式の係数を求め、道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から精度良く当該道路リンクの旅行時間を推計する旅行時間推計方法,旅行時間推計装置,その方法を実装した旅行時間推計プログラム及びそのプログラムを格納した記録媒体、渋滞情報から旅行時間を推計する技術用いて、リンク旅行時間が提供されていない道路の将来の旅行時間を当該道路の渋滞情報から予測する旅行時間予測方法,旅行時間予測装置,その方法を実装した旅行時間予測プログラム及びそのプログラムを格納した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記課題の解決を図るために、請求項1記載の発明は、処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,道路属性情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する旅行時間推計方法であって、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する過程と、前記処理対象とする道路リンクに応じた前記リンク旅行時間情報と道路リンク長に基づいて単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する過程と、前記処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度から正規化リンク旅行時間を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を1つまたは複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立なリンク渋滞度のn次式として算出する過程と、前記第1変換式の各係数を目的変数とし、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数とし、重回帰分析及び数量化理論I類分析の混合モデルによって回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める過程と、旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する過程と、旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための第2変換式の係数を算出する過程と、前記算出された係数を前記第2変換式に適用し、推計時刻におけるリンク渋滞度を当該変換式に代入して、旅行時間推計対象となる道路リンクの正規化リンク旅行時間の推定値を算出する過程と、前記旅行時間推計対象となる道路リンクに対して推計された正規化リンク旅行時間NT(l2)に、当該道路のリンク長を乗ずることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する過程と、を有すること特徴とする。
【0026】
請求項2記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する旅行時間推計方法であって、道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理過程と、前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する正規化リンク旅行時間算出処理過程と、前記算出された過去の正規化リンク旅行時間NT(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式の式とし、
【0027】
【数37】
【0028】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程と、前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数rCt(l1)を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程と、
【0029】
【数38】
【0030】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた過去の前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理過程と、当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部もしくは全てを前記回帰式の式2に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程と、
【0031】
【数39】
【0032】
前記算出された係数を前記変換式の式3に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間の推定値NT(l2)を算出する正規化リンク旅行時間推計処理過程と、前記道路リンクの正規化リンク旅行時間NT(l2)に当該道路のリンク長L(l2)を乗ずることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理過程と、を有すること特徴とする。
【0033】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程が、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用して計算する過程、
【0034】
【数40】
【0035】
を有し、
変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程が、式4の係数rC0(l1)、rC1(l1)を目的変数として計算し、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式として計算する過程、
【0036】
【数41】
【0037】
を有し、第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程が、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式を以下の式を採用して計算する過程、
【0038】
【数42】
【0039】
を有する、ことを特徴とする。
【0040】
請求項4記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程が、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用し計算する過程、
【0041】
【数43】
【0042】
を有し、
前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程が、式8、式9、式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する過程、
【0043】
【数44】
【0044】
を有し、
前記第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程が、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用して計算する過程、
【0045】
【数45】
【0046】
を有し、前記式8,式9,式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程が、前記係数minC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最小値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の切片の値とし、前記係数maxC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最大値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の、渋滞度が最大値である点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とし、前記係数midleC0(l1)、midleC1(l1)を、道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データの全てを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、もしくは、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、リンク渋滞度が最小値または最大値であるデータを除いた標本データを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものとそれ以外の標本データに分け、midleC0(l1)は渋滞度が最小値の標本データの代表点とし、midleC1(l1)は渋滞度が最小値以外の標本データを用いて最小二乗法により求めた値とするか、もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものと渋滞度が最大のものと、それ以外の3つの標本データに分け、渋滞度が最小値の標本データの代表点と渋滞度が最大値の標本データの代表点を結んで得られる直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)として、計算する過程を有する、ことを特徴とする。
【0047】
請求項5記載の発明は、処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,道路属性情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する旅行時間推計方法であって、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する旅行時間推計方法であって、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する過程と、処理対象となる道路リンクに応じた前記リンク旅行時間T(l1)とリンク長からリンク旅行速度V(l1)を算出する過程と、前記算出された過去のリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立な渋滞度のn次式もしくは−1次式として算出する過程と、前記第1変換式の各係数を目的変数とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数として、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める過程と、旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する過程と、旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該道路リンクの渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第2変換式の係数を算出する過程と、前記係数を前記第2変換式に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出する過程と、前記算出された旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長を割ることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する過程と、を有することを特徴とする。
【0048】
請求項6記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する旅行時間推計方法であって、道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理過程と、前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理過程と、前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式とし、
【0049】
【数46】
【0050】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程と、
【0051】
【数47】
【0052】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理過程と、当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式19に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、
【0053】
【数48】
【0054】
前記係数rCt(l2)を前記変換式の式20に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理過程と、前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理過程と、を有することを特徴とする。
【0055】
請求項7記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する旅行時間推計方法であって、道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理過程と、前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理過程と、前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)の−1次式とし、
【0056】
【数49】
【0057】
上記式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、前記変換式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を目的変換とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程と、
【0058】
【数50】
【0059】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理過程と、当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式22,式23,式24に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、
【0060】
【数51】
【0061】
前記係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を前記変換式の式25に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理過程と、前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理過程と、を有することを特徴とする。
【0062】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載の発明において、請求項7に記載の旅行時間推計方法において、前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程が、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式に以下のJ(l1)の−1次式を採用して計算する過程、
【0063】
【数52】
【0064】
を有し、
前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程が、式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する過程、
【0065】
【数53】
【0066】
を有し、前記第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程が、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用し計算する過程、
【0067】
【数54】
【0068】
を有し、式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を算出する前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程が、各道路リンクl1のminC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)は、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)の組からなる標本データを、リンク渋滞度J(l1)が最小値であるものと、リンク渋滞度J(l1)が最大値であるものと、それ以外のものの3つの標本データに分類し、minC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、maxC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、midleC0(l1),midleC1(l1),midleC2(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第1点とし、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第2点とし、第1点と第2点を通過し、リンク渋滞度が、「最小値<J(l1)<最大値」である標本データとの2乗誤差が最小となる双曲線を定めるmidleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)の値とする、過程を有する、ことを特徴とする。
【0069】
請求項9記載の発明は、道路リンクを移動するために要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測方法であって、道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、当該道路リンクの将来の渋滞状況を予測する過程と、予測された渋滞状況から当該道路リンクの予測リンク渋滞度を算出する過程と、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を用いて、前記算出された予測リンク渋滞度から道路リンク旅行時間の予測値を算出する過程と、を有することを特徴とする。
【0070】
請求項10記載の発明は、道路リンクを移動するのに要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測方法であって、道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、過去もしくは現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計を行う過程と、当該道路リンクの過去の渋滞情報から過去の渋滞度を算出し、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を用いて、前記算出された過去の渋滞度から当該道路リンクの過去のリンク旅行時間の推計値を算出する過去の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計過程と、当該道路リンクの現在の渋滞情報から現在の渋滞度を算出し、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を用いて、前記算出された現在の渋滞度から当該道路リンクの現在のリンク旅行時間の推計値を算出する現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計過程と、前記推計されたリンク旅行時間のいずれか一つ、もしくは両方を用いて、当該道路リンクの将来のリンク旅行時間を予測する過程と、を有することを特徴とする。
【0071】
請求項11記載の発明は、処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,道路属性情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する手段と、前記処理対象とする道路リンクに応じた前記リンク旅行時間情報と道路リンク長に基づいて単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する手段と、前記処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度から正規化リンク旅行時間を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を1つまたは複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立なリンク渋滞度のn次式として算出する手段と、前記第1変換式の各係数を目的変数とし、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数とし、重回帰分析及び数量化理論I類分析の混合モデルによって回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める手段と、旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する手段と、旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための第2変換式の係数を算出する手段と、前記算出された係数を前記第2変換式に適用し、推計時刻におけるリンク渋滞度を当該変換式に代入して、旅行時間推計対象となる道路リンクの正規化リンク旅行時間の推定値を算出する手段と、前記旅行時間推計対象となる道路リンクに対して推計された正規化リンク旅行時間NT(l2)に、当該道路のリンク長を乗ずることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する手段と、を備えること特徴とする。
【0072】
請求項12記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理手段と、前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する正規化リンク旅行時間算出処理手段と、前記算出された過去の正規化リンク旅行時間NT(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式の式とし、
【0073】
【数55】
【0074】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段と、前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数rCt(l1)を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段と、
【0075】
【数56】
【0076】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた過去の前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理手段と、当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部もしくは全てを前記回帰式の式2に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理手段と、
【0077】
【数57】
【0078】
前記算出された係数を前記変換式の式3に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間の推定値NT(l2)を算出する正規化リンク旅行時間推計処理手段と、前記道路リンクの正規化リンク旅行時間NT(l2)に当該道路のリンク長L(l2)を乗ずることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理手段と、を備えること特徴とする。
【0079】
請求項13記載の発明は、請求項12に記載の発明において、前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段が、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用して計算する手段、
【0080】
【数58】
【0081】
を備え、対応する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段が、式4の係数rC0(l1)、rC1(l1)を目的変数として計算し、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式として計算する手段、
【0082】
【数59】
【0083】
を備え、第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理手段が、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式を以下の式を採用して計算する手段、
【0084】
【数60】
【0085】
を備える、ことを特徴とする。
【0086】
請求項14記載の発明は、請求項12に記載の発明において、前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段が、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用し計算する手段、
【0087】
【数61】
【0088】
を備え、前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段が、式8、式9、式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する手段、
【0089】
【数62】
【0090】
を備え、前記第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理手段が、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用して計算する手段、
【0091】
【数63】
【0092】
を備え、前記式8,式9,式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段が、前記係数minC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最小値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の切片の値とし、前記係数maxC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最大値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の、渋滞度が最大値である点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とし、前記係数midleC0(l1)、midleC1(l1)を、道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データの全てを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、もしくは、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、リンク渋滞度が最小値または最大値であるデータを除いた標本データを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものとそれ以外の標本データに分け、midleC0(l1)は渋滞度が最小値の標本データの代表点とし、midleC1(l1)は渋滞度が最小値以外の標本データを用いて最小二乗法により求めた値とするか、もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものと渋滞度が最大のものと、それ以外の3つの標本データに分け、渋滞度が最小値の標本データの代表点と渋滞度が最大値の標本データの代表点を結んで得られる直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)として、計算する手段を有する、ことを特徴とする。
【0093】
請求項15記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する手段と、処理対象となる道路リンクに応じた前記リンク旅行時間T(l1)とリンク長からリンク旅行速度V(l1)を算出する手段と、前記算出された過去のリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立な渋滞度のn次式もしくは−1次式として算出する手段と、前記第1変換式の各係数を目的変数とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数として、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める手段と、旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する手段と、旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該道路リンクの渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第2変換式の係数を算出する手段と、前記係数を前記第2変換式に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出する手段と、前記算出された旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長を割ることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する手段と、を備えることを特徴とする。
【0094】
請求項16記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理手段と、前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理手段と、前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式とし、
【0095】
【数64】
【0096】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段と、
【0097】
【数65】
【0098】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理手段と、当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式19に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、
【0099】
【数66】
【0100】
前記係数rCt(l2)を前記変換式の式20に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理手段と、前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0101】
請求項17記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理手段と、前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理手段と、前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)の−1次式とし、
【0102】
【数67】
【0103】
上記式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、前記変換式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を目的変換とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段と、
【0104】
【数68】
【0105】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理手段と、当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式22,式23,式24に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、
【0106】
【数69】
【0107】
前記係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を前記変換式の式25に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理手段と、前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0108】
請求項18記載の発明は、請求項17に記載の発明において、前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段が、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式に以下のJ(l1)の−1次式を採用して計算する手段、
【0109】
【数70】
【0110】
を備え、前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段が、式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する手段、
【0111】
【数71】
【0112】
を備え、前記第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段が、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用し計算する手段、
【0113】
【数72】
【0114】
を備え、式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を算出する前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段が、各道路リンクl1のminC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)は、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)の組からなる標本データを、リンク渋滞度J(l1)が最小値であるものと、リンク渋滞度J(l1)が最大値であるものと、それ以外のものの3つの標本データに分類し、minC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、maxC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、midleC0(l1),midleC1(l1),midleC2(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第1点とし、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第2点とし、第1点と第2点を通過し、リンク渋滞度が、「最小値<J(l1)<最大値」である標本データとの2乗誤差が最小となる双曲線を定めるmidleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)の値とする手段を備える、ことを特徴とする。
【0115】
請求項19記載の発明は、道路リンクを移動するために要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測装置であって、道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、当該道路リンクの将来の渋滞状況を予測する手段と、予測された渋滞状況から当該道路リンクの予測リンク渋滞度を算出する手段と、請求項11乃至18のいずれかに記載の旅行時間推計装置を用いて、前記算出された予測リンク渋滞度から道路リンク旅行時間の予測値を算出する手段と、を備えることを特徴とする。
【0116】
請求項20記載の発明は、道路リンクを移動するのに要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測装置であって、道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、過去もしくは現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計を行う手段と、当該道路リンクの過去の渋滞情報から過去の渋滞度を算出し、請求項11乃至18のいずれかに記載の旅行時間推計装置を用いて、前記算出された過去の渋滞度から当該道路リンクの過去のリンク旅行時間の推計値を算出する過去の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計手段と、当該道路リンクの現在の渋滞情報から現在の渋滞度を算出し、請求項11乃至18のいずれかに記載の旅行時間推計装置を用いて、前記算出された現在の渋滞度から当該道路リンクの現在のリンク旅行時間の推計値を算出する現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計手段と、前記推計されたリンク旅行時間のいずれか一つ、もしくは両方を用いて、当該道路リンクの将来のリンク旅行時間を予測する手段と、を備えることを特徴とする。
【0117】
請求項21記載の発明は、旅行時間推計プログラムであって、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述したことを特徴とする。
【0118】
請求項22記載の発明は、旅行時間予測プログラムであって、請求項9または10に記載の旅行時間予測方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述したことを特徴とする。
【0119】
請求項23記載の発明は、記録媒体であって、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述し、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする。
【0120】
請求項24記載の発明は、記録媒体であって、請求項9または10に記載の旅行時間予測方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述し、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする。
【0121】
前記請求項1,2,3,4,11,12,13,14記載の発明は、リンク長に対して不偏な正規化リンク旅行時間を取得できる。
【0122】
前記請求項5,6,7,8,15,16,17,18記載の発明は、正規化リンク旅行時間の逆数であるリンク旅行速度を取得できる。
【0123】
前記請求項9,19記載の発明は、当該道路リンクの予測リンク渋滞度を算出できる。
【0124】
前記請求項10,20記載の発明は、過去の渋滞情報(渋滞度)から推計された過去の旅行時間、前記算出された現在の渋滞情報から推計された現在の旅行時間を取得できる。
【0125】
前記請求項21記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法をコンピュータプログラムとして記載できる。
【0126】
前記請求項22記載の発明は、請求項9または10に記載の旅行時間予測方法をコンピュータプログラムとして記載できる。
【0127】
前記請求項23記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を実装したコンピュータプログラムを記録媒体に記録できる。
【0128】
前記請求項24記載の発明は、請求項9または10に記載の旅行時間予測方法を実装したコンピュータプログラムを記録媒体に記録できる。
【発明の効果】
【0129】
以上示したように請求項1,2,3,4,11,12,13,14の発明によれば、正規化リンク旅行時間を用いることによって、適切な変換式の係数の算出処理、係数と道路属性情報との関連分析処理を行うことができる。
【0130】
リンク渋滞度と正規化リンク旅行時間の関連を分析する際に、対象とする標本データが、渋滞度ごとの事例に偏在するような場合においても、渋滞度から旅行時間を高い精度で算出する変換式を設定できる。
【0131】
目的変量である変換式の係数と説明変量である道路の属性情報との関連を分析するにあたり、比尺度で表される属性情報だけでなく、名義尺度で表される属性情報を含めて処理できるため、より精度の高い変換式の係数を求めることが可能となる。
【0132】
旅行時間情報が提供されていない道路リンクの正規化リンク旅行時間を、当該道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から精度良く推計できる。最終的に当該道路リンクのリンク旅行時間を精度良く推計できる。
【0133】
請求項5,6,7,8,15,16,17,18の発明によれば、リンク渋滞度とリンク旅行速度の関連を分析する際に、対象とする標本データが、渋滞度ごとの事例に偏在するような場合においても、渋滞度から旅行時間を高い精度で算出する変換式を設定することが可能となる。
【0134】
目的変量である変換式の係数と説明変量である道路の属性情報との関連を分析するにあたり、比尺度で表される属性情報だけでなく、名義尺度で表される属性情報を含めて処理することが可能となり、より精度の高い変換式の係数を求めることが可能となる。
【0135】
旅行時間情報が提供されていない道路リンクの正規化リンク旅行時間を、当該道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から精度良く推計できる。最終的に当該道路リンクのリンク旅行時間を精度良く推計できる。
【0136】
請求項9,19の発明によれば、旅行時間情報が提供されていない道路リンクの将来の旅行時間を、当該道路リンクの予測リンク渋滞度(予測リンク渋滞情報)と道路属性情報に基づいて予測できる。
【0137】
請求項10,20の発明によれば、前記算出された過去の渋滞情報から推計された過去の旅行時間、もしくは前記算出された現在の渋滞情報から推計された現在の旅行時間のいずれか一つ、もしくは両方を用いて、当該道路リンクの将来の旅行時間を予測できる。
【0138】
請求項21の発明によれば、旅行時間推計方法を実装したコンピュータプログラムを提供できる。
【0139】
請求項22の発明によれば、旅行時間予測方法を実装したコンピュータプログラムを提供できる。
【0140】
請求項23の発明によれば、旅行時間推計方法を実装したコンピュータプログラムを記録した記録媒体を提供できる。
【0141】
請求項24の発明によれば、旅行時間予測方法を実装したコンピュータプログラムを記録した記録媒体を提供できる。
【0142】
これらを以って交通情報処理分野に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0143】
以下、本発明の実施形態を図面等に基づいて詳細に説明する。
【0144】
[第1旅行時間推計方法]
まず、本発明における旅行時間推計する第1旅行時間推計方法を説明する。前記第1旅行時間推計方法は、道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する方法である。
【0145】
まず、リンク旅行時間情報とリンク渋滞情報の両方が提供されている道路リンクl1について、過去の渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する(第1リンク渋滞度算出処理過程)。なお、リンク旅行時間情報,リンク渋滞情報などの道路リンクの交通状況および属性に関する情報は、それらをメモリやハードディスクに収集もしくは蓄積する装置(例えば、図1中の道路交通情報収集蓄積装置11)で管理されているものとする。
【0146】
次に、道路リンク長L(l1)と過去のリンク旅行時間T(l1)とから、単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する(正規化リンク旅行時間算出処理過程)。即ち、リンク旅行時間提供リンクのリンク旅行時間と道路リンク長から単位長さ当りの正規化リンク旅行時間を算出する。なお、道路リンク長とは、リンク始点からリンク終点までの長さである。
【0147】
次に、過去の正規化リンク旅行時間NT(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を、J(l1)のn次式(nはゼロまたは正の整数)の以下の式とする。
【0148】
【数73】
【0149】
即ち、リンク旅行時間提供リンクの、過去のリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間との関係を用いて、リンク渋滞度から正規化リンク旅行時間を算出するための変換式について、渋滞度の値域を複数の区間(例えば、リンク渋滞度がゼロの場合、リンク渋滞度が100の場合、リンク渋滞度が0より大きく100より小さい場合の3つ)に分けて、それぞれが互いに独立なリンク渋滞度のn次式として算出する。
【0150】
上記式の係数rCt(l1)を算出する(第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程)。この手順(過程)によって、リンク渋滞度と正規化リンク旅行時間の関連を分析する際に、対象とする標本データが、渋滞度(例えば、「渋滞度=0」、「0<渋滞度<100」、「渋滞度=100」)ごとの事例に偏在するような場合においても、渋滞度から旅行時間を高い精度で算出する変換式を設定することが可能となる。
【0151】
次に、前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化した(ダミー変数として扱った)Qjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数rCt(l1)を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する(変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程)。
【0152】
【数74】
【0153】
即ち、前記変換式の各係数を目的変量とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報(12時間交通量、ピーク時旅行速度など)を説明変量とするだけでなく、名義尺度で表現される属性情報(国道もしくは県道といった道路種別、あるいは本線,連結路,側道といったリンク種別など)もダミー変数化することで説明変量として、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める。この手順(過程)によって、目的変量である変換式の係数と説明変量である道路の属性情報との関連を分析するにあたり、比尺度で表される属性情報だけでなく、名義尺度で表される属性情報を含めて処理することが可能となり、より精度の高い変換式の係数を求めることが可能となる。
【0154】
次に、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2について、過去の渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する(第2リンク渋滞度算出処理過程)。
【0155】
次に、当該道路リンクの道路属性の一部または全てを前記回帰式の式2に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する(第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程)。
【0156】
【数75】
【0157】
即ち、当該道路リンクの道路属性の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該道路リンクの渋滞度から正規化リンク旅行時間を算出するための変換係数を算出する。
【0158】
次に、前記係数を前記変換式の式3に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間の推定値NT(l2)を算出する(正規化リンク旅行時間推計処理過程)。
【0159】
即ち、前記係数を前記変換式に適用し、移動を行う時刻のリンク渋滞度を当該変換式に代入して道路リンクの正規化リンク旅行時間の推定値を算出する。この手順(過程)によって、旅行時間情報が提供されていない道路リンクの正規化リンク旅行時間を、当該道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から精度良く推計することが可能となり、最終的に当該道路リンクのリンク旅行時間を精度良く推計することが可能となる。
【0160】
そして、前記道路リンクの正規化リンク旅行時間NT(l2)に当該道路のリンク長L(l2)を乗ずることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する(正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理過程)。即ち、リンク旅行時間推計対象リンクの推計された正規化リンク旅行時間に当該道路のリンク長を乗ずることにより当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する。
【0161】
以上の第1旅行時間推計方法によれば、リンク長が異なる複数の道路リンクについて、渋滞度から旅行時間を算出するための変換式の係数を算出する処理、および、渋滞度から旅行時間を算出する変換式の係数と当該道路リンクの属性情報との関連を分析する処理、に際して、リンク長に対して不偏な正規化リンク旅行時間を用いることで、適切な変換式の係数の算出処理、係数と道路属性情報との関連分析処理を行うことが可能となる。
【0162】
また、前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程において、次のように、各式などを採用しても良い。
【0163】
リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式をJ(l1)の以下の一次式とする。
【0164】
【数76】
【0165】
対応する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程における式4の係数rC0(l1)、rC1(l1)を目的変数とする。
【0166】
道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式とする。
【0167】
【数77】
【0168】
同じく、対応する第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程において、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式は、以下の式とする。
【0169】
【数78】
【0170】
また、前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程において、次のように、各式など採用しても良い。
【0171】
リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式をJ(l1)の以下の一次式とする。
【0172】
【数79】
【0173】
対応する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程における式8、式9、式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式とする。
【0174】
【数80】
【0175】
同じく対応する第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程において、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式は、以下の式とする。
【0176】
【数81】
【0177】
式8,式9,式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程において、各道路リンクl1のminC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を以下のような値に設定する。
【0178】
変換係数minC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最小値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の切片の値とする。
【0179】
変換係数maxC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最大値だけのものからなる標本データの代表点(平均値もしくは最頻値もしくは中央値)の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の、渋滞度が最大値である点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とする。
【0180】
変換係数midleC0(l1)、midleC1(l1)は、以下の(1)〜(4)のいずれかの方法で値を決定する。
(1)l1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データの全てを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とする。
(2)l1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、リンク渋滞度が最小値または最大値であるデータを除いた標本データを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とする。
(3)リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものとそれ以外の標本データに分け、midleC0(l1)は渋滞度が最小値の標本データの代表点(平均値もしくは最頻値もしくは中央値)とし、midleC1(l1)は渋滞度が最小値以外の標本データを用いて最小二乗法により求めた値とする。
(4)リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものと渋滞度が最大のものと、それ以外の3つの標本データに分け、渋滞度が最小値の標本データの代表点(平均値もしくは最頻値もしくは中央値)と渋滞度が最大値の標本データの代表点(平均値もしくは最頻値もしくは中央値)を結んで得られる直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とする。
【0181】
[第2旅行時間推計方法]
本発明における旅行時間推計する第2旅行時間推計方法を説明する。
【0182】
前記第2旅行時間推計方法は、道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する方法である。即ち、第1旅行時間推計方法のように、リンク渋滞度とリンク旅行時間の関係をリンク長が異なる道路リンクに跨って分析し処理するに当たって、リンク旅行時間をリンク長で割って得られる単位長さ当りの正規化リンク旅行時間を利用しても良いが、以下に説明する第2旅行時間推計方法のように、正規化リンク旅行時間の逆数であるリンク旅行速度(リンク長をリンク旅行時間で割って得られる道路リンクの旅行速度)を用いても良い。
【0183】
まず、リンク旅行時間情報とリンク渋滞情報の両方が提供されている道路リンクl1について、過去の渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する(第1リンク渋滞度算出処理過程)。なお、リンク旅行時間情報,リンク渋滞情報などの道路リンクの交通状況および属性に関する情報は、それらをメモリやハードディスクに収集もしくは蓄積する装置(例えば、図6中の道路交通情報収集蓄積装置61)で管理されているものとする。
【0184】
次に、道路リンク長L(l1)と過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出する(リンク旅行速度算出処理過程)。即ち、リンク旅行時間提供リンクのリンク旅行時間とリンク長からリンク旅行速度を算出する。
【0185】
次に、過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式とする。
【0186】
【数82】
【0187】
即ち、リンク旅行時間提供リンクの、過去のリンク渋滞度とリンク旅行速度との関係を用いて、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出するための変換式について、渋滞度の値域を複数の区間(例えば、リンク渋滞度がゼロの場合、リンク渋滞度が100の場合、リンク渋滞度が0より大きく100より小さい場合の3つ)に分けて、それぞれが互いに独立な渋滞度のn次式として算出する。
【0188】
次に、上記式の係数rCt(l1)を算出する(第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程)。この手順(過程)によって、リンク渋滞度とリンク旅行速度の関連を分析する際に、対象とする標本データが、渋滞度(例えば、「渋滞度=0」、「0<渋滞度<100」、「渋滞度=100」)ごとの事例に偏在するような場合においても、渋滞度から旅行時間を高い精度で算出する変換式を設定することが可能となる。
【0189】
次に、前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する(変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程)。
【0190】
【数83】
【0191】
即ち、前記変換式の各係数を目的変量とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報(12時間交通量、ピーク時旅行速度など)を説明変量とするだけでなく、名義尺度で表現される属性情報(国道もしくは県道といった道路種別、あるいは本線,連結路,側道といったリンク種別など)もダミー変数化することで説明変量として、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める。この手順(過程)によって、目的変量である変換式の係数と説明変量である道路の属性情報との関連を分析するにあたり、比尺度で表される属性情報だけでなく、名義尺度で表される属性情報を含めて処理することが可能となり、より精度の高い変換式の係数を求めることが可能となる。
【0192】
次に、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2について、リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する(第2リンク渋滞度算出処理過程)。
【0193】
次に、当該道路リンクの道路属性の一部または全てを前記回帰式の式19に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する(第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程)。
【0194】
【数84】
【0195】
即ち、当該道路リンクの道路属性の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該道路リンクの渋滞度からリンク旅行速度を算出するための変換係数を算出する。
【0196】
次に、前記係数rCt(l2)を前記変換式の式20に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出する(リンク旅行速度推計処理過程)。即ち、前記係数を前記変換式に適用し、移動を行う時刻のリンク渋滞度を当該変換式に代入して道路リンクのリンク旅行速度の推定値を算出する。
【0197】
そして、前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する(リンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理過程)。即ち、リンク旅行時間推計対象リンクの推計されたリンク旅行速度で当該道路のリンク長を割ることにより当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する。この手順(過程)によって、旅行時間情報が提供されていない道路リンクの正規化リンク旅行時間を、当該道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から精度良く推計することが可能となり、最終的に当該道路リンクのリンク旅行時間を精度良く推計することが可能となる。
【0198】
以上の第2旅行時間推計方法によれば、リンク長が異なる複数の道路リンクについて、渋滞度から旅行時間を算出するための変換式の係数を算出する処理、および、渋滞度から旅行時間を算出する変換式の係数と当該道路リンクの属性情報との関連を分析する処理、に際して、リンク長に対して不偏なリンク旅行速度を用いることで、適切な変換式の係数の算出処理、係数と道路属性情報との関連分析処理を行うことが可能となる。
【0199】
前記第2旅行時間推計方法における他の方法である第2’旅行時間推計方法を以下に説明する。
【0200】
まず、リンク旅行時間情報とリンク渋滞情報の両方が提供されている道路リンクl1について、過去の渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する(第1リンク渋滞度算出処理過程)。
【0201】
次に、道路リンク長L(l1)と過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出する(リンク旅行速度算出処理過程)。
【0202】
次に、過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)の−1(マイナスイチ)次式とする。
【0203】
【数85】
【0204】
即ち、リンク旅行時間提供リンクの、過去のリンク渋滞度とリンク旅行速度との関係を用いて、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出するための変換式について、渋滞度の値域を複数の区間(例えば、リンク渋滞度がゼロの場合、リンク渋滞度が100の場合、リンク渋滞度が0より大きく100より小さい場合の3つ)に分けて、それぞれが互いに独立な渋滞度の−1次式として算出する。
【0205】
続いて、上記式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を算出する(第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程)。この手順(過程)によって、リンク渋滞度とリンク旅行速度の関連を分析する際に、対象とする標本データが、渋滞度(例えば、「渋滞度=0」、「0<渋滞度<100」、「渋滞度=100」)ごとの事例に偏在するような場合においても、渋滞度から旅行時間を高い精度で算出する変換式を設定することが可能となる。
【0206】
また、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出する変換式をリンク渋滞度の−1次式とすることで、さらに変換式を定義するリンク渋滞度の区間を、「渋滞度=0」、「0<渋滞度<100」、「渋滞度=100」の3つとすることで、変換関数の算出処理が複雑化せず処理時間が増大することもない。
【0207】
次に、前記変換式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を目的変換とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する(変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程)。
【0208】
【数86】
【0209】
次に、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2について、リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する(第2リンク渋滞度算出処理過程)。
【0210】
次に、当該道路リンクの道路属性の一部または全てを前記回帰式の式22,式23,式24に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を算出する(第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程)。
【0211】
【数87】
【0212】
次に、前記係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を前記変換式の式25に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出する(リンク旅行速度推計処理過程)。
【0213】
そして、前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する(リンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理過程)。
【0214】
前記第2’旅行時間推計方法における第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程において、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式を以下のJ(l1)の−1次式とする。
【0215】
【数88】
【0216】
対応する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程における式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式とする。
【0217】
【数89】
【0218】
同じく対応する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程において、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式は、以下の式とする。
【0219】
【数90】
【0220】
式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程において、各道路リンクl1のminC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)は、l1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)の組からなる標本データを、リンク渋滞度J(l1)が最小値であるものと、リンク渋滞度J(l1)が最大値であるものと、それ以外のものの3つの標本データに分類し、それぞれ以下のような値に設定する。
【0221】
minC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とする。
【0222】
maxC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とする。
【0223】
midleC0(l1),midleC1(l1),midleC2(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第1点とし、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第2点とし、第1点と第2点を通過し、リンク渋滞度が、最小値<J(l1)<最大値である標本データとの2乗誤差が最小となる双曲線を定めるmidleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)の値とする。
【0224】
また、上述の旅行時間推計の第1,第2,第2’旅行時間推計方法のいずれかに基づく旅行時間予測方法は、以下の通りである。
【0225】
まず、道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、当該道路リンクの将来の渋滞状況を予測する。
【0226】
次に、予測された渋滞状況から当該道路リンクの予測リンク渋滞度を算出する。
【0227】
そして、算出された予測リンク渋滞度から上述の旅行時間推計の第1,第2,第2’旅行時間推計方法のいずれかを用いて、道路リンク旅行時間の予測値を算出する。
【0228】
また、他の旅行時間予測方法として、過去,現在の渋滞情報に基づく方法も、以下のように考えられる。
【0229】
まず、道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、過去もしくは現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計を行う。
【0230】
過去の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計方法は、以下の通り。
【0231】
まず、当該道路リンクの過去の渋滞情報から過去の渋滞度を算出する。
【0232】
次に、算出された過去の渋滞度から上述の旅行時間推計の第1,第2,第2’旅行時間推計方法のいずれかを用いて、当該道路リンクの過去のリンク旅行時間の推計値を算出する。
【0233】
現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計方法は、以下の通り。
【0234】
まず、当該道路リンクの現在の渋滞情報から現在の渋滞度を算出する。
【0235】
次に、算出された現在の渋滞度から上述の旅行時間推計の第1,第2,第2’旅行時間推計方法のいずれかを用いて、当該道路リンクの現在のリンク旅行時間の推計値を算出する。
【0236】
なお、過去の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計方法と現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計方法の両方を使っても良い。
【0237】
前記推計された過去のリンク旅行時間もしくは現在のリンク旅行時間のいずれか一つ、もしくは両方を用いて、当該道路リンクの将来のリンク旅行時間を予測する。
【0238】
[第1実施形態]
第1実施形態における旅行時間推計装置の構成を図1に基づいて説明する。なお、図1は、旅行時間推計装置のブロック構成図の一例である。
【0239】
図1中の符号11は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であって、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報(以下、旅行時間情報ともいう)とリンク渋滞情報(以下、渋滞情報ともいう)111,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報112,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ113,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報114を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置(例えば、データベース装置を含む装置)である。
【0240】
図1中の符号12は、具体的なリンク旅行時間情報の推計処理を行う演算処理部であって、リンク旅行時間提供リンクの過去の渋滞情報から当該道理リンクのリンク渋滞度の算出処理を行う第1リンク渋滞度算出処理部121,リンク旅行時間提供リンクの過去の旅行時間情報を正規化リンク旅行時間に変換する正規化リンク旅行時間算出処理部122,符号121および122の処理部で算出された渋滞度と正規化リンク旅行時間の関係から当該道路リンクのリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式の変換係数を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理部123,符号123の処理部で算出された前記変換係数と符号112の処理部における道路属性情報との関連を重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルにより回帰分析し、前記係数を目的変量とし前記道路属性情報を説明変量とする回帰式を算出する、変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理部124,符号124の処理部で得られた変換式係数を目的変数とする回帰式に符号113の処理部にあるリンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を適用して、当該道路リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数を算出する、第2リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理部125,リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度を算出する第2リンク渋滞度算出処理部126,符号125の処理部で算出された変換式係数と符号126の処理部で算出されたリンク渋滞度とから、リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間を推計する正規化リンク旅行時間推計処理部127,符号127の処理部で算出された正規化リンク旅行時間を当該道路のリンク長に応じたリンク旅行時間に変換する正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理部128から構成される。また、図1中の符号13は、最終的に得られたリンク旅行時間の推計値である。
【0241】
なお、前記旅行時間推計装置における各部は、予め備えられた制御部(例えば、CPU(Central Processing Unit))によって制御されてもよい。旅行時間推計装置で使用されるデータや情報(例えば、係数や数値)は、予め備えられた記憶部(例えば、メモリやハードディスク装置)に記憶され管理されて良い。
【0242】
第1実施形態における旅行時間推計装置が行う旅行時間推計方法の処理手順を図2に基づいて説明する。なお、以下の説明で、図1の符号と同じものの説明は省略する。
【0243】
図2中の符号111はリンク旅行時間提供リンクの過去の旅行時間情報と渋滞情報、符号221は符号111の渋滞情報からリンク渋滞度を算出する第1リンク渋滞度算出処理(符号121の処理部が行う処理)、符号222は符号111の旅行時間情報から正規化リンク旅行時間を算出する正規化リンク旅行時間算出処理(符号122の処理部が行う処理)である。ここで、図2中では、最初に符号221の処理を実行し、次に符号222の処理を実行しているが、これらの処理の実行順序は逆でも構わない。
【0244】
符号115は、符号221と222の処理結果として作成されるリンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間の対応データである。
【0245】
符号223は、符号115を処理してリンク渋滞度を正規化リンク旅行時間に変換する式の係数を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理(符号123の処理部が行う処理)であって、符号116は、その結果得られたリンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度から正規化リンク旅行時間への変換関数の係数である。
【0246】
符号224は、符号112(リンク旅行時間提供リンクの道路属性データ)と符号116のデータを回帰分析して、変換関数の係数を目的変量、道路属性情報を説明変量とする回帰式117を算出する重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理(符号124の処理部が行う処理)である。
【0247】
符号225は、回帰式117にリンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報113を適用して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式の係数118を算出する第2リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理(符号125の処理部が行う処理)である。
【0248】
符号226は符号114の情報(リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報)からリンク旅行時間推計対象リンクの渋滞度情報119を算出する第2リンク渋滞度算出処理(符号126の処理部が行う処理)である。
【0249】
符号227は、符号118及び119の情報からリンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間推計値120を算出する正規化リンク旅行時間推計処理(符号127の処理部が行う処理)である。
【0250】
符号228は、符号120のデータからリンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行時間推計値13を算出する正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理(符号128の処理部が行う処理)である。
【0251】
なお、図2の処理手順は、全ての処理を一つの計算機上で行ってもよいし、一つ以上複数の処理をまとめて別々の計算機で実行するように構成し、その間のデータの授受は通信回線や可搬型記録媒体で受け渡すようにしてもよい。
【0252】
さらに、旅行時間推計方法の処理手順を詳細に説明する。
【0253】
リンク旅行時間提供リンクの過去のデータ(即ち、図1,図2中の符号111のデータ)は、例えば過去1年分や過去6ヶ月分など、任意に指定した期間蓄積された交通情報である。以下では、リンク旅行時間提供リンク1982本について、5分間隔で提供されるVICS(登録商標)データを過去1年間蓄積したデータを例とする。
【0254】
第1リンク渋滞度算出処理221は、図2中のデータ111における各道路リンクの渋滞情報を、リンク全体の渋滞度合いであるリンク渋滞度に変換する処理である。以下では、VICS(登録商標)データからリンク渋滞度を計算する方法を図3に基づいて説明する。
【0255】
VICS(登録商標)データの渋滞情報(特許文献2参照)は、最終的には各道路リンクについて、リンクをさらに細かく分割したサブリンクの先頭座標(例えば、リンク終端からの距離を10m(メートル)刻みで示される座標)と、各渋滞箇所の渋滞度(0:不明,1:渋滞なし,2:混雑,3:渋滞)によって表される。
【0256】
図3の符号301はリンク始点、符号302はリンク終点である。図3のリンクは5つのサブリンクに分割されており、各サブリンクの渋滞度はリンク始点側から、1,1,2,3,1となっている。また、各サブリンクの先頭座標は10,8,6,3,1である。なお、リンク渋滞度は以下の式(特許文献2参照)によって算出するものとする。
【0257】
【数91】
【0258】
上記の式によって、図3におけるリンク渋滞度は、以下の式で計算される。
【0259】
【数92】
【0260】
上記のように、全道路リンク区間が渋滞なしの場合は渋滞度0、全道路リンク区間が渋滞の場合は渋滞度100となる。以降、渋滞度は小数点以下を四捨五入して0から100までの整数として扱うものとする。
【0261】
図2中の正規化リンク旅行時間算出処理222は、リンク旅行時間提供リンクについて、過去のリンク旅行時間T(l1)と道路リンク長L(l1)から、単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を以下の式によって算出する。
【0262】
【数93】
【0263】
ここで、図2中の符号221および222の処理によって作成されたリンク旅行時間提供リンクl1のリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間情報の対応データ(図2の符号115のデータ)のイメージを図4に基づいて説明する。先に、リンク旅行時間提供リンク1982本について、5分間隔で提供されるVICSデータを過去1年間蓄積したデータ(図2の符号111)の例としているため、リンク渋滞度と正規化リンク旅行時間がセットとなった標本が1982本のリンクそれぞれについて105120個(5分間隔(1日288標本)×1年(365日)=105120)存在する。図4中の道路リンクは、例えば、1番目の道路リンクRL11,2番目の道路リンクRL12,1981番目の道路リンクRL13,1982番目の道路リンクRL14である。
【0264】
このリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間がセットになった標本の代表例を図5に基づいて説明する。図5は、縦軸を正規化リンク旅行時間、横軸をリンク渋滞度としたグラフにプロットした散布図である。
【0265】
図5の中の個々の黒丸「●」が、一つの標本点(渋滞度とその時の正規化リンク旅行時間の組)を示す。符号510は渋滞度0の標本の集合、符号520は渋滞度が1以上99以下の標本の集合、符号530は渋滞度が100の標本の集合、符号500は渋滞度が0から100までの全標本の集合をそれぞれ示す。
【0266】
点線521と白い四角「□」の符号522,523は、渋滞度が0より大きく100より小さい標本の集合520について最小2乗法により求めた回帰直線とその渋滞度0および渋滞度100の切片を示す。一点鎖線501と白丸「○」の符号502,503は、渋滞度が0から100までの全標本集合500について最小2乗法により求めた回帰直線とその渋滞度0および渋滞度100の切片を示す。
【0267】
また、白三角「△」511と白逆三角「▽」531は、渋滞度0の標本502の正規化リンク旅行時間の平均値もしくは最頻値もしくは中央値、渋滞度100の標本503の正規化リンク旅行時間の平均値もしくは最頻値もしくは中央値をそれぞれ示す点である。
【0268】
なお、図5は、一つの道路リンクの例であるが、リンク旅行時間提供リンクでは、概ねリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間は全体として右肩上がりの線形を示すことが分かっている。
【0269】
また、渋滞度がゼロより大きく100より小さい標本事例に限っても、概ね渋滞度の大きさに応じて正規化リンク旅行時間が線形に増加することが分かっている。
【0270】
しかし、一般に渋滞度が0(ゼロ)の場合は交通渋滞状況が、道路リンク上の移動に要する旅行時間に影響を与えることは無いので、同じ渋滞度0(ゼロ)の状況でも観測される旅行時間が長いケースも短いケースもあり、その分布は広がる傾向にある。
【0271】
また、渋滞度が100の場合は、道路リンク全体の交通状況が「渋滞」している(即ち、車両の移動速度が「渋滞」を規定する速度以下(例えば、一般道では時速20km/h以下))ことになっているわけであるが、同じ「渋滞」のケースでも時速が10km/hの場合もあるし、時速2km/hの場合もあるように、旅行時間に換算すると大きな範囲に値が分布する傾向にある。
【0272】
そして、渋滞度0(ゼロ)の場合も渋滞度100の場合も、そのケースにおける旅行時間の分布の中心は、「1≦渋滞度≦99」の事例、もしくは「0≦渋滞度≦100」の事例から求まる回帰直線の渋滞度0切片あるいは渋滞度100切片の値とは必ずしも同程度の値になるとは限らない。
【0273】
そこで、第1実施形態では、図2中の第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理223において、リンク旅行時間提供リンクの過去の正規化リンク旅行時間NT(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を、リンク渋滞度がJ(l1)が0(ゼロ)の場合と、リンク渋滞度J(l1)が100の場合と、リンク渋滞度J(l1)が1以上99以下の場合の3つについて、個別にJ(l1)の3つの一次式として以下の式のように定義する。
【0274】
【数94】
【0275】
そして、過去のリンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式の係数を求める過程における各変換係数を次のように設定し構成するようにする。
【0276】
変換係数0C0(l1)は、当該道路リンクの過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)とからなるデータの内、リンク渋滞度J(l1)が0であるデータの正規化リンク旅行時間NT(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を設定するか、もしくは全てのリンク渋滞度(0〜100)のデータについて最小2乗法を用いて得られる回帰直線の渋滞度0の値を設定する。
【0277】
変換係数100C0(l1)は、当該道路リンクの過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)とからなるデータの内、リンク渋滞度J(l1)が100であるデータの正規化リンク旅行時間NT(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を設定するか、もしくは全てのリンク渋滞度(0〜100)のデータについて最小2乗法を用いて得られる回帰直線の渋滞度100の値を設定する。
【0278】
変換係数199C0(l1),199C1(l1)は、当該道路リンクの過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)とからなるデータの内、リンク渋滞度が「1≦J(l1)≦99」であるデータについて最小2乗法を用いて得られる回帰直線の渋滞度0の値を199C0(l1)とし、当該回帰直線の傾きを199C1(l1)として設定するか、もしくはリンク渋滞度が「0≦J(l1)≦100」であるデータについて最小2乗法を用いて得られる回帰直線の渋滞度0の値を199C0(l1)とし、当該回帰直線の傾きを199C1(l1)として設定するか、もしくは前記変換係数0C0(l1)、100C0(l1)で定まる渋滞度0および渋滞度100の2点を結ぶ直線の渋滞度0の値を199C0(l1)とし、傾きを199C1(l1)として設定する。
【0279】
なお、各係数に具体的に何の値を設定するかは、全てのリンク旅行時間提供リンクについて、係数ごとに同種の前記統計値を設定するようにしても良いし、道路リンクごとに、各係数に前記複数の統計値を設定して得られる4つの係数の組を算出し、この4つの係数の組で決まる回帰関数について、当該道路リンクのリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間標本に対する相関係数あるいは決定係数を求めて、これらの評価値の値が最も大きい係数の組を、当該道路リンクの最終的な変換式の係数とするように構成しても良い。
【0280】
以上のように、図2において、リンク旅行時間提供リンクl1のリンク渋滞度から正規化リンク旅行時への変換式の係数161は、処理223によって各リンクについて算出された、リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換関数の係数0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1)である。第1実施形態ではリンク旅行時間提供リンクの数を1982本としていることから、0C0(l1)、100C0(l1)、199C0(l1)、199C1(l1)のセットがl1=1〜1982までの1982個在ることになる。
【0281】
なお、図2におけるリンク旅行時間提供リンクl1の道路属性データ112は、リンク旅行時間提供リンクについて、例えば、(財)道路交通情報通信システムセンター(以下、VICS(登録商標)センターと呼称)が提供するVICS(登録商標)リンクデータベースや(財)日本デジタル道路地図協会が提供する全国デジタル道路地図データベース(以下、DRM(Digital Road Map)リンクデータと呼称)などのデータベースを用いて抽出された各道路リンクの道路属性情報である。
【0282】
第1実施形態では、各道路リンクのリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換関数と、当該道路リンクの道路構造等の道路を特徴付ける属性情報との間に密接な関連が存在すると仮定する。これは道路リンクの属性情報が当該道路のリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換関数のパラメータの決定に深く関わっていることを意味する。
【0283】
また、第1実施形態で想定しているリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換関数の係数0C(l1),100C(l1),199C0(l1),199C1(l1)は比尺度の変数であるのに対し、道路を特徴付ける道路属性情報には、比尺度の変数で表現される属性情報(12時間交通量、ピーク時旅行速度など)だけでなく、名義尺度の変数で表現される属性情報(国道もしくは県道といった道路種別、あるいは本線,連結路,側道といったリンク種別など)も含まれる。
【0284】
そこで、第1実施形態では、比尺度の変数を目的変数、比尺度の変数を説明変数とした重回帰分析の手法と、比尺度の変数を目的変数、名義尺度の変数を説明変数とする数量化理論I類の手法を合わせた混合モデルにより、変換関数の係数を目的変数、道路の属性情報を説明変数とする回帰分析を行い、これにより得られる回帰式によって、道路リンクの属性情報と当該道路のリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換関数の係数を関連付ける。
【0285】
なお、道路属性情報には、(財)日本デジタル道路地図協会が提供している「全国デジタル道路地図データベース標準」やVICS(登録商標)センターが提供する「VICSリンク仕様書」等で規定されている道路属性情報や、5年毎に全国の主要な道路を対象に実施される「道路交通センサス」の調査データなどを適用できる。
【0286】
第1実施形態では、1つのVICSリンクに対応する一つまたは複数のDRMリンクに付与されたDRMリンク属性情報を使用する。また、DRMリンク属性情報の中から、比尺度の説明変数情報として12時間交通量,旅行速度ピーク時を、名義尺度の説明変数情報として道路種別コード,リンク種別コード,規制速度コードを選択し、以下の5種類の道路リンク属性情報P1,P2,Q1,Q2,Q3を用いることとする。
【0287】
P1:12時間交通量(単位:百台/7時〜19時)
VICS(登録商標)リンクを構成するDRMリンクの12時間交通量のうち、その延長距離が最も長いDRMリンクの12時間交通量。
【0288】
P2:旅行速度ピーク時(単位:0.1km/h)
VICS(登録商標)リンクを構成するDRMリンクの12時間交通量のうち、その延長距離が最も長いDRMリンクの旅行速度ピーク時。
【0289】
Q1:道路種別コード
VICS(登録商標)リンクを構成するDRMリンクの12時間交通量のうち、その延長距離が最も長いDRMリンクの道路種別コード(1=高速自動車国道、2=都市高速道路、3=一般国道、4=主要地方道(都市府県道)、5=主要地方道(指定市道)、6=一般都道府県道、7=指定市の一般道、8=未定義、9=その他の道路)。
【0290】
Q2:リンク種別コード
VICS(登録商標)リンクを構成するDRMリンクの12時間交通量のうち、その延長距離が最も長いDRMリンクのリンク種別コード(1=本線リンク(上下線非分離)、2=本線リンク(上下線分離)、3=連結リンク(本線の渡り線)、4=交差点内リンク、5=連結路リンク(ランプ)、6=本線と同一路線の側道リンク、7=SA等側線リンク、8=自転車道リンク、9=本線側道接続リンク)。
【0291】
Q3:規制速度コード
VICS(登録商標)リンクを構成するDRMリンクの12時間交通量のうち、その延長距離が最も長いDRMリンクの規制速度コード(1=30km/h未満、2=40km/h、3=50km/h、4=60km/h、5=70km/h、6=80km/h、7=100km/h)。
【0292】
上記の道路リンク属性情報P1〜Q3はいずれも整数として数値化されているが、名義尺度である説明変数Q1、Q2、Q3については、数量化理論I類の考えに従って次のようなダミー変数Q11〜Q33を図10の表T1,図11の表T2,図12の表T3に示す様に定義して用いる。
【0293】
但し、ここで対象とする道路リンク1982本は一般道(高速道路ではない)として、Q1の出現値は(3,4,5,6,9)の5つのいずれか、Q2の出現値は(1,2,3)の3つのいずれか、Q3の出現値は(2,3,4)の3つのいずれか、をとるものとする。
【0294】
図2における重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理224は、リンク旅行時間提供リンクl1のリンク渋滞度から正規化リンク旅行時への変換関数の係数115を目的変数、リンク旅行時間提供リンクl1の道路属性データ112を説明変数として、重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルによる回帰分析を行い、各変換関数の係数を道路属性から算出する回帰式117(即ち、以下の式)を求める処理である。
【0295】
【数95】
【0296】
第1実施形態では先に説明してきたように、目的変数は以下の3つの1次の変換関数の4つのパラメータ0C0(l1)、100C0(l1)、199C0(l1)、199C1(l1)であり、説明変数は5つの道路属性データを一部ダミー変数化した13個の道路属性データP1、P2、Q11〜Q33である。
【0297】
【数96】
【0298】
また、リンク旅行時間提供リンクは1982本あるため、各変数の標本数も1982個ある。これらのデータは図13の表T4,図14の表T5,図15の表T6,図16の表T7に示すようにまとめることが出来る。
【0299】
これらのデータを、重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルによる回帰分析(非特許文献2参照)を行い、0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1)をそれぞれ説明変量P1,P2,Q11〜Q33で表すことが出来る回帰式を求める。なお、重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルによる回帰分析の方法は非特許文献2に詳細に説明されている。
【0300】
第1実施形態では、回帰分析で用いる説明変数の数と組合せのバリエーション(以下、多変量回帰モデルと呼称)を様々に考えて回帰分析を行い、その中で最も当てはまりの良い多変量回帰モデルを採用して回帰式を決定する方法を説明する。
【0301】
各道路リンクのリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換関数は、当該道路リンクの道路構造等の道路属性によって決定づけられると仮定したが、実際に説明変数P1,P2,Q1,Q2,Q3のうち、どの道路属性情報が有効であるかは不明である。従って、説明変数P1,P2,Q1,Q2,Q3の数と組合せのバリエーションを網羅的に変化させて回帰分析を行い、0C0(l1)、100C0(l1)、199C0(l1)、199C1(l1)のそれぞれについて最も当てはまりの良い多変量回帰モデルを採用することとする。
【0302】
本実施の形態では説明変数の数の最大値は実質5個であり、従って多変量回帰モデルのバリエーション数は59通り存在する。この59通りの多変量回帰モデルの中から、最も当てはまりの良い多変量回帰モデルを選択する方法には、決定係数を用いる方法、自由度調整済み決定係数を用いる方法など様々な方法が存在するが、本実施の形態では赤池情報量基準(以下、AIC(Akaike’s Information Criteria)と呼称)を用いて選択する方法を説明する。AICは以下の式によって計算される。
【0303】
【数97】
【0304】
これはモデルの当てはまりの良さを評価する値である。なお、Nは標本数(第1実施形態では1982)、SEは回帰式によって計算される0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1)(以下、0C0,100C0,199C0,199C1と表現する)と実際の0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1)との差の平方和、pは説明変数の数である。
【0305】
AICの値が小さいほうが多変量回帰モデルの当てはまりがよいと評価されるため、0C,100C,199C0,199C1のそれぞれについて最小のAIC値をとる多変量回帰モデルを採用し、該多変量回帰モデル基づく回帰式を採用する。第1実施形態では0C0,100C0,199C0,199C1のそれぞれについて、図17の表T8,図18の表T9,図19の表T10,図20の表T11に示す多変量回帰モデルを採用することとする。
【0306】
図2における変換関数の係数を目的変数とし道路属性情報を説明変数とする回帰式117は、重回帰分析と数量化理論I類混合モデルによる回帰分析処理224の処理過程で、以下のリンク渋滞度から正規化リンク旅行時への変換関数が得られる。
【0307】
【数98】
【0308】
そして、上記変換関数の係数0C、100C、199C0、199C1を道路属性データPi,Qj(ダミー変数化したQjk)から求める以下の回帰式が得られる。
【0309】
【数99】
【0310】
第1実施形態では、0C、100C、199C0、199C1それぞれについて回帰式が求まり、その回帰式に図17の表T8,図18の表T9,図19の表T10,図20の表T11を用いて次のように計算できる。
【0311】
【数100】
【0312】
ここで、図2における正規化リンク旅行時間推計処理227では、先ず旅行時間推計対象リンクの道路属性情報113のデータP1,P2,Q11,Q12,Q13,Q14,Q15,Q31,Q32,Q33を、回帰式117に適用することによって、リンク毎に渋滞度から正規化リンク旅行時間への変換式の係数0C、100C、199C0、199C1(図2中の符号118)が求められる。
【0313】
そして、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度119と、第2リンク渋滞度算出処理225にて算出した旅行時間推計対象リンクの渋滞度情報と、を前記変換式に代入することによって、旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間推計値120を得る。続いて、求めた正規化リンク旅行時間に当該リンクのリンク長を乗じて(図2中の符号228の処理)、旅行時間推計対象道路リンクの推計値13を得る。
【0314】
以上説明したように、図1及び図2に基づいて説明した道路リンク旅行時間推計装置および道路リンク旅行時間推計方法によれば、リンク旅行時間提供リンクの旅行時間情報と渋滞情報および道路リンクの属性情報との関係を用いて、旅行時間未提供リンクのリンク旅行時間を、当該道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から推計できる。
【0315】
また、第1実施形態によれば、図1及び図2におけるリンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報114に、当該道路の現在の旅行時間を入力すれば、当該道路リンクの現在のリンク旅行時間の推計値を得ることができる。同様に符号114の情報に、リンク旅行時間推計対象リンクの過去または現在の渋滞情報から予測された将来の予測渋滞情報を入力すれば、当該リンクの将来の予測リンク旅行時間を得ることが可能となる。
【0316】
なお、道路リンクの過去および現在の渋滞情報から将来の渋滞状況を予測する方法(例えば、非特許文献3,4参照)としては、事例ベース推論を利用した予測方法や決定木を利用した予測手法を用いることができる。
【0317】
また同様に、図1,図2の符号13の推計値にリンク旅行時間推計対象リンクの過去の渋滞情報を入力することによって、当該道路リンクの過去のリンク旅行時間推計値を得ることができる。この当該道路リンクの過去のリンク旅行時間推計値によって、当該リンクの過去のリンク旅行時間と逐次得られる現在のリンク旅行時間の推計値を利用し、当該リンクの将来の予測リンク旅行時間を得ることが可能となる。
【0318】
なお、道路リンクの過去および現在の旅行時間情報から将来の旅行時間情報を予測する方法(例えば、特許文献3参照)は、より具体的には、現在のリンク旅行時間を将来のリンク旅行時間とする接続予測方法や、過去のリンク旅行時間の曜日や時間帯別ごとの平均値や最頻値に基づき予測する手法、あるいはこれら複数の予測方法を道路リンクごと、予測先時間ごとに一定期間評価し、もっとも予測精度の高い予測手法による予測値を、当該道路リンクの予測先時間ごとの予測値とする手法などを用いることができる。
【0319】
[第2実施形態]
第2実施形態における旅行時間推計装置を図6及び図7に基づいて説明する。前記第1実施形態では、リンク旅行時間をそのリンク長で正規化した正規化リンク旅行時間情報を用いた旅行時間推計方法および装置を説明したが、第2実施形態では正規化リンク旅行時間の逆数であるリンク旅行速度情報を用いた旅行時間推計方法および装置の実施形態を示す。
【0320】
図6中の符号61は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であって、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報(以下、旅行時間情報ともいう)とリンク渋滞情報(以下、渋滞情報ともいう)611、リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報612、リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報613、リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報614を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置である。
【0321】
図6の符号62は、具体的なリンク旅行時間の推計処理を行う演算処理部であって、リンク旅行時間提供リンクの過去の渋滞情報から当該道理リンクのリンク渋滞度の算出処理を行う第1リンク渋滞度算出処理部621,リンク旅行時間提供リンクの過去の旅行時間情報をリンク旅行速度に変換するリンク旅行速度算出処理部622,符号621および622の処理部で算出された渋滞度とリンク旅行速度の関係から、当該道路リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換式の変換係数を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理部623,符号623の処理部で算出された前記変換係数と符号612の道路属性情報との関連を、重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルにより回帰分析し、前記係数を目的変量とし前記道路属性情報を説明変量とする回帰式を算出する、変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理部624,符号624の処理部で得られた変換式係数を目的変数とする回帰式に、符号613の情報にあるリンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を適用して、当該道路リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理部625,リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度を算出する第2リンク渋滞度算出処理部626,符号625の処理部で算出された変換式係数と符号626の処理部で算出されたリンク渋滞度とから、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度を推計するリンク旅行速度推計処理部627,符号627の処理部で算出されたリンク旅行速度で当該道路リンクのリンク長を割って(除算して)リンク旅行時間に変換するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理部628から構成される。なお、図6中の符号63は最終的に得られたリンク旅行時間の推計値である。
【0322】
なお、前記旅行時間推計装置における各部は、予め備えられた制御部(例えば、CPU)によって制御されてもよい。旅行時間推計装置で使用されるデータや情報(例えば、係数や数値)は、予め備えられた記憶部(例えば、メモリやハードディスク装置)に記憶され管理されて良い。
【0323】
第2実施形態における旅行時間推計装置が行う旅行時間推計方法の処理手順を図7に基づいて説明する。なお、以下の説明で、図6の符号と同じものの説明は省略する。
【0324】
図7中の符号721処理は、符号611の渋滞情報からリンク渋滞度を算出する第1リンク渋滞度算出処理(符号621の処理部が行う処理)、符号722の処理は、符号611の旅行時間情報からリンク旅行速度を算出するリンク旅行速度算出処理(符号622の処理部が行う処理)である。なお、図7では最初に符号721の処理を実行し、次に722の処理を実行しているが、これらの処理の実行順序は逆でも構わない。
【0325】
符号615は、符号721と722の処理の結果作成されるリンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度とリンク旅行速度の対応データである。
【0326】
符号723は、符号615を処理してリンク渋滞度をリンク旅行速度に変換する式の係数を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理(符号623の処理部が行う処理)であって、符号616はその結果得られたリンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度からリンク旅行速度への変換関数の係数である。
【0327】
符号724は、リンク旅行時間提供リンクの道路属性データ612と符号616のデータを回帰分析して、変換関数の係数を目的変量、道路属性情報を説明変量とする回帰式617を算出する重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理(符号624の処理部が行う処理)である。
【0328】
符号725は、符号617にリンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報613を適用して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換式の係数618を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理(符号625の処理部が行う処理)である。
【0329】
符号726は、リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報614からリンク旅行時間推計対象リンクの渋滞度情報619を算出する第2リンク渋滞度算出処理(符号626の処理部が行う処理)である。
【0330】
符号727は、符号618の係数、符号619の情報から、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度推計値620を算出するリンク旅行速度推計処理(符号627の処理部が行う処理)である。
【0331】
符号728は、符号620のデータからリンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行時間推計値63を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理(符号628の処理部が行う処理)である。
【0332】
なお、図7の処理手順は、全ての処理を一つの計算機上で行ってもよいし、一つ以上複数の処理をまとめて別々の計算機で実行するように構成し、その間のデータの授受は通信回線や可搬型記録媒体で受け渡すようにしてもよい。
【0333】
ここで、図7の符号721および符号722の処理によって作成されたリンク旅行時間提供リンクl1のリンク渋滞度とリンク旅行速度情報の対応データ(図7の符号615のデータ)のイメージを図8に基づいて説明する。第2実施形態においても第1実施形態と同様に、リンク旅行時間提供リンク1982本について、5分間隔で提供されるVICSデータを過去1年間蓄積したデータ(図7の符号611)を例とすると、リンク渋滞度とリンク旅行速度がセットとなった標本が1982本のリンクそれぞれについて105120個(5分間隔(1日288標本)×1年(365日)=105120)存在する。図8中の道路リンクは、例えば、1番目の道路リンクRL21,2番目の道路リンクRL22,1981番目の道路リンクRL23,1982番目の道路リンクRL24である。
【0334】
このリンク渋滞度とリンク旅行速度をセットにした標本の代表例を図9に基づいて説明する。図9は、縦軸をリンク旅行速度、横軸をリンク渋滞度としたグラフにプロットした散布図である。
【0335】
図9の中の個々の黒丸「●」が一つの標本点(渋滞度とその時のリンク旅行速度の組)を示す。楕円910は渋滞度0の標本の集合、楕円920は渋滞度が0より大きく100より小さい標本の集合、楕円930は渋滞度が100の標本の集合、そして楕円900は渋滞度が0から100までの全標本の集合を各々示す。
【0336】
また、符号931,符号932,符号933は渋滞度0の標本集合のそれぞれ平均値,最頻値,中央値、符号941,符号942,符号943は渋滞度100の標本集合のそれぞれ平均値,最頻値,中央値を示す点である。
【0337】
さらに、点線901は、渋滞度0の標本集合の代表点(平均値もしくは最頻値もしくは中央値)と渋滞度100の標本集合の代表点(平均値もしくは最頻値もしくは中央値)を通り、渋滞度が0より大きく100より小さい標本集合920との二乗誤差が最小となるように定めた双曲線である。
【0338】
図9は一つの道路リンクの例であるが、リンク旅行時間提供リンクにおいては、概ねリンク渋滞度とリンク旅行速度は全体として左肩上がりのほぼ双曲線に近い形を示すことが分かっている。
【0339】
また、図5と同様に、渋滞度0の標本集合および渋滞度100の標本集合は、それぞれ渋滞度0および渋滞度100の直線上に広がる傾向にある。
【0340】
そこで、第2実施形態では、図7の第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理723の過程において、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=0」、「0<渋滞度J(l1)<100」、「渋滞度J(l1)=100」の3つに分割し、各区間における変換式をJ(l1)の−1次式として、以下の式を採用する。
【0341】
【数101】
【0342】
対応する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程における前記式の係数0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1),199C2(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式を採用する。
【0343】
【数102】
【0344】
同じく対応する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程において、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式は、以下の式を採用する。
【0345】
【数103】
【0346】
さらに、式52,式53,式54の係数0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1),199C2(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程において、各道路リンクl1の0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1),199C2(l1)は、次のように構成する。
【0347】
まず、l1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)の組からなる標本データを、リンク渋滞度J(l1)が0であるものと、リンク渋滞度J(l1)が100であるものと、それ以外のものの3つの標本データに分類する。
【0348】
0C0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が0である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とする。
【0349】
100C0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が100である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とする。
【0350】
199C0(l1)、199C1(l1)、199C2(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が0である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第1点とする。
【0351】
リンク渋滞度J(l1)が100である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第2点とする。
【0352】
そして、第1点と第2点を通過し、リンク渋滞度が「0<J(l1)<100」である標本データとの2乗誤差が最小となる双曲線を定める199C0(l1),199C1(l1),199C2(l1)の値とする。
【0353】
図7において、リンク旅行時間提供リンクl1のリンク渋滞度から正規化リンク旅行時への変換式の係数616は、処理723によって各リンクについて算出された、リンク渋滞度−リンク旅行速度変換関数の係数0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1),199C2(l1)である。本実施形態では、リンク旅行時間提供リンクの数を1982本としていることから、0C0(l1)、100C0(l1)、199C0(l1)、199C1(l1)、199C2(l1)のセットがl1=1〜1982までの1982個在ることになる。
【0354】
以降の手順は、第2実施形態においても第1実施形態と同じように、リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換関数の係数0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1),199C2(l1)(図7中の係数616)を目的変数とし、リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報(図7中の情報612)を説明変数として、重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルによる回帰分析(図7中の処理724)を行うことによって、回帰式(すなわち回帰式の係数:図7中の係数617)を算出する。
【0355】
そして、得られた回帰式に、リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報(図7中の情報613)を適用することによって、当該道路リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換式の係数(図7中の係数618)を算出し、これにリンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度(図7中の情報619)を適用することで(図7中の推計処理727)、当該道路リンクのリンク旅行速度の推計値(図7中の推計値620)を得る。続いて、得られたリンク旅行速度の推計値で当該道路リンクのリンク長を割ってリンク旅行時間が得られる。
【0356】
以上説明したように、第2実施形態における道路リンク旅行時間推計装置(図6の装置)および道路リンク旅行時間推計方法(図7の方法)によれば、リンク旅行時間提供リンクの旅行時間情報と渋滞情報および道路リンクの属性情報との関係を用いて(リンク旅行速度情報を介して)、旅行時間未提供リンクのリンク旅行時間を、当該道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から推計できる。
【0357】
なお、第1及び第2実施形態の旅行時間推計装置における各手段の一部もしくは全部の機能をコンピュータのプログラムで構成し、そのプログラムをコンピュータを用いて実行して本発明を実現することができること、第1及び第2実施形態における旅行時間推計方法(手順)をコンピュータのプログラムで構成し、そのプログラムをコンピュータに実行させることができることは言うまでもなく、コンピュータでその機能を実現するためのプログラムを、そのコンピュータが読み取り可能な記録媒体(記憶媒体)、例えばFD(Floppy(登録商標) Disk)や、MO(Magneto−Optical disk)、ROM(Read Only Memory)、メモリカード、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、リムーバブルディスクなどに記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記のプログラムをインターネットや電子メールなど、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0358】
さらに、上述の旅行時間推計装置に関する方法もしくは旅行時間推計方法を記述したコンピュータプログラムを、その方法に必要とされる入出力データを格納したメモリや外部記憶部等にアクセスするように実装してもよい。
【0359】
以上のように、第1及び第2実施形態によれば、カーナビゲーションシステムなど交通情報提供サービスに利用できる。
【0360】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものでなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0361】
【図1】第1実施形態における旅行時間推計装置の構成図。
【図2】第1実施形態における旅行時間推計装置が行う旅行時間推計方法の処理手順。
【図3】渋滞度を計算する方法を説明する図。
【図4】リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間情報の対応データのイメージ図。
【図5】リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間情報の標本データの代表例を、縦軸を正規化リンク旅行時間、横軸をリンク渋滞度とした散布図。
【図6】第2実施形態における旅行時間推計装置の構成図。
【図7】第2実施形態における旅行時間推計装置が行う旅行時間推計方法の処理手順。
【図8】リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度とリンク旅行速度情報の対応データのイメージ図。
【図9】リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度とリンク旅行速度情報の標本データの代表例を、縦軸をリンク旅行速度、横軸をリンク渋滞度とした散布図。
【図10】名義尺度変数とダミー変数の関係表の例1を示す図。
【図11】名義尺度変数とダミー変数の関係表の例2を示す図。
【図12】名義尺度変数とダミー変数の関係表の例3を示す図。
【図13】係数0C0(l1)の標本を示す図。
【図14】係数100C0(l1)の標本を示す図。
【図15】係数199C0(l1)の標本を示す図。
【図16】係数199C1(l1)の標本を示す図。
【図17】係数0C0に関する多変量回帰モデルを示す図。
【図18】係数100C0に関する多変量回帰モデルを示す図。
【図19】係数199C0に関する多変量回帰モデルを示す図。
【図20】係数199C1に関する多変量回帰モデルを示す図。
【符号の説明】
【0362】
11…道路交通情報収集蓄積装置
111…リンク旅行時間提供リンクの過去の旅行時間情報と渋滞情報
112…リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報
113…リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報(データ)
114…リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報
115…リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間の対応データ
116…リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度から正規化リンク旅行時間への変換関数の係数
117…変換関数の係数を目的変量、道路属性情報を説明変量とする回帰式
118…リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式の係数
119…リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞度情報
120…リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間推計値
12…リンク旅行時間の推計演算処理部
121…第1リンク渋滞度算出処理部
122…正規化リンク旅行時間に変換する正規化リンク旅行時間算出処理部
123…第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理部
124…変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理部
125…第2リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理部
126…第2リンク渋滞度算出処理部
127…正規化リンク旅行時間推計処理部
128…正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理部
13…リンク旅行時間推計値
221〜228…旅行時間推計方法の処理手順を構成する処理
301…リンク始点
302…リンク終点
RL11〜RL14…道路リンク
500…渋滞度が0から100までの全標本の集合
510…渋滞度0の標本の集合
520…渋滞度が1以上99以下の標本の集合
530…渋滞度が100の標本の集合
521…渋滞度が0より大きく100より小さい標本の集合について最小2乗法により求めた回帰直線
522,523…渋滞度0および渋滞度100の切片
501…渋滞度が0から100までの全標本集合ついて最小2乗法により求めた回帰直線
502,503…渋滞度0および渋滞度100の切片
511…渋滞度0の標本の正規化リンク旅行時間の平均値もしくは最頻値もしくは中央値
531…渋滞度100の標本の正規化リンク旅行時間の平均値もしくは最頻値もしくは中央値
61…道路交通情報収集蓄積装置
611…リンク旅行時間提供リンクの過去の旅行時間情報と渋滞情報
612…リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報
613…旅行時間推計対象リンクの道路属性情報
614…リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報
615…リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度とリンク旅行速度の対応データ
616…リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度からリンク旅行速度への変換関数の係数
617…変換関数の係数を目的変量、道路属性情報を説明変量とする回帰式
618…リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換式の係数
619…リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞度情報
620…リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度推計値
62…リンク旅行時間の推計演算処理部
621…第1リンク渋滞度算出処理部
622…リンク旅行速度算出処理部
623…第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理部
624…変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理部
625…第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理部
626…第2リンク渋滞度算出処理部
627…リンク旅行速度推計処理部
628…リンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理部
63…リンク旅行時間推計値
721〜728…旅行時間推計方法の処理手順を構成する処理
RL21〜RL24…道路リンク
910…渋滞度0の標本の集合
920…渋滞度が0より大きく100より小さい標本の集合
930…渋滞度が100の標本の集合
900…渋滞度が0から100までの全標本の集合
931…渋滞度0の標本集合の平均値
932…渋滞度0の標本集合の最頻値
933…渋滞度0の標本集合の中央値
941…渋滞度100の標本集合の平均値
942…渋滞度100の標本集合の最頻値
943…渋滞度100の標本集合の中央値
901…渋滞度0の標本集合の代表点と渋滞度100の標本集合の代表点を通り、渋滞度が0より大きく100より小さい標本集合との二乗誤差が最小となるように定めた双曲線
T1〜T3…名義尺度変数とダミー変数の関係表
T4〜T7…各変数の標本
T8〜T11…多変量回帰モデル
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報における旅行時間を推計もしくは予測する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、道路リンクとは道路を構成する単位であって、例えば、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)システム(例えば、非特許文献1参照)では交差点と交差点とを結ぶ道路区間を「VICS(登録商標)リンク」として定義している。以下、「リンク」とは、VICS(登録商標)システムで取り扱われている「VICS(登録商標)リンク」のことを指すものとする。
【0003】
現在のVICS(登録商標)システムにおいて、交通情報が提供されている道路リンクでは、渋滞状況に関する情報(渋滞情報)は概ね全ての道理リンクで提供されているが、道路リンクを通過するために要するリンク旅行時間は、約半数の道路リンクでしか提供されていない。
【0004】
また、カーナビゲーションのように出発地と目的地の2点を指定して、この2点間を移動するために要する旅行時間を検索するような応用サービスでは、次のように時間計算を行う。まず、出発地から目的地まで一つまたは複数のルートをデジタル道路地図データから検索する。そして、その検索されたルートを構成する道路リンクの旅行時間の現在値,予測値を積算することで最適な移動ルートや所要時間を算出する。
【0005】
しかし、検索された移動ルートを構成する道路リンクに、旅行時間情報が提供されていない道路リンクが含まれている場合は、正確な所用時間を算出することが困難であるという問題があった。
【0006】
このような問題に対して、次のような従来の旅行時間推計技術(例えば、特許文献1参照)が提案されている。まず、渋滞情報と旅行時間情報の両方が提供されている道路リンクの過去のデータから、旅行時間と渋滞度の関係を統計的に処理して渋滞度から旅行時間を算出する変換式を求める。次に、この変換式を構成する各係数の大きさと、当該道路リンクの道路種別や幅員、規則速度等の属性情報の関係を統計的に処理して、道路属性情報と渋滞度−旅行時間変換式の関係を求める。そして、前記道路属性情報と渋滞度−旅行時間変換式の関係によって、渋滞情報だけが提供されている道路リンクの旅行時間を当該道路リンクの属性情報と渋滞情報から推計する。
【0007】
なお、上述の関連技術としては、VICS(登録商標)データにおける渋滞情報の具体的な提供形式(例えば、特許文献2参照)、重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルによる回帰分析の方法(例えば、非特許文献2参照)、道路リンクの過去および現在の渋滞情報から将来の渋滞状況を予測する方法(例えば、非特許文献3,4参照)、道路リンクの過去および現在の旅行時間情報から将来の旅行時間情報を予測する方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
【特許文献1】特開2005−208791号公報(段落[0040]〜[0106],[0068]等)。
【特許文献2】特開2004−164373号公報(段落[0030]〜[0031]等)。
【特許文献3】特開2005−173996号公報(段落[0032]〜[0090]等)。
【非特許文献1】財団法人 道路交通情報通信システムセンター、“豊かなモビリティ社会を創る道路交通情報通信システムVICS”、[online]、財団法人 道路交通情報通信システムセンター、[平成19年1月12日検索]、インターネット<URL:http://www.vics.or.jp/vics/pdf/vics_pamph.pdf>。
【非特許文献2】上田太一郎,苅田正雄,本田和恵、「実践ワークショップExcel徹底活用多変量解析」、秀和システム、2003(平成15)年8月、pp.190〜231。
【非特許文献3】毛利仁士,堀越力他、「事例ベース推論による交通渋滞予測手法」、電子情報通信学会、1999(平成11)年、vol.J82−B No.11、pp.1993−2001。
【非特許文献4】金澤昭浩,市河研一他、「決定木を利用した交通渋滞予測手法に関する考察」、電子情報通信学会ITS研究会ITS2003−130、2004(平成16)年。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の旅行時間推計技術には、次に述べるような課題もしくは問題点が見られる。
【0009】
まず、第1課題としては、正規化リンク旅行時間の誤差の増大がある。
【0010】
過去の渋滞状況と旅行時間の関係を分析すると、多くの道路リンクではその時の渋滞度に応じて旅行時間が増減することが分かっている。一例として、図5に渋滞度と正規化リンク旅行時間との関係を散布図として示す。なお、図5に関しては、後で詳細に説明する。
【0011】
図5に基づいて、渋滞度毎の正規化リンク旅行時間を分析すると、渋滞度が0(ゼロ)より大きく100より小さい場合、概ね渋滞度の大きさに応じて線形に増加することが判る。
【0012】
しかし、渋滞度が0の場合は、交通渋滞状況が道路リンク上の移動に要する旅行時間に影響を与えることは無いため、同じ渋滞度0の状況でも観測される旅行時間が長いケースも短いケースもあり、その分布は広がる傾向にある。
【0013】
また、渋滞度が100の場合は、道路リンク全体の交通状況が「渋滞」していることになる。即ち、車両の移動速度が「渋滞」を規定する速度以下(例えば、一般道では時速20km/h(キロメートルパーアワ)以下)となっているわけであるが、同じ「渋滞」のケースでも、時速10km/hの場合もあるし、時速2km/hの場合もあるように、それらを考慮して旅行時間に換算すると、とても大きな範囲に値が分布する傾向にある。
【0014】
そして、渋滞度0の場合も渋滞度100の場合も、そのいずれの渋滞度の場合における旅行時間の分布の中心は、「0<渋滞度<100」の事例、もしくは、「0≦渋滞度≦100」の事例から求まる回帰直線の渋滞度0の値、あるいは、渋滞度100の値とは必ずしも同程度の値になるとは限らない。
【0015】
なお、複数の一般道について、1年365日,一日5分間隔で取得したデータ(約10万標本)を渋滞度別に分析すると、比較的渋滞しない道路では、渋滞度0の事例数が95%以上、渋滞度が0より大きく100より小さい事例及び渋滞度が100の事例がそれぞれ1〜3%位である。
【0016】
また、比較的渋滞しやすい道路では、渋滞度0の事例数が90%以上、渋滞度が0より大きく100より小さい事例及び渋滞度が100の事例がそれぞれ3〜7%位である、ということが判っている。
【0017】
ところが、上述の旅行時間推計技術では渋滞度から旅行時間への変換式を、渋滞度ゼロの場合、渋滞度100の場合も含めて全て一つの渋滞度の1次式としている。このため渋滞度−正規化リンク旅行時間の標本分布に対して唯一つの回帰直線をその変換式として当てはめることとなり、「渋滞度=0」,「0<渋滞度<100」,「渋滞度=100」の各事例ごとに標本が偏在する場合には、変換式から求まる正規化リンク旅行時間の誤差が大きくなってしまうという問題がある。
【0018】
第2課題としては、渋滞度から正規化リンク旅行時間を求める変換式の係数を導出することが出来ないことである。
【0019】
ここで、渋滞度から正規化リンク旅行時間を求める変換式を定め、この変換式の係数の値を、各道路リンクの属性情報(12時間交通量,ピーク時旅行速度,道路種別(国道もしくは県道),リンク種別(本線,連結路,側道)等)から算出することを目的に、変換式の係数と道路属性情報との関連を分析する場合を考える。
【0020】
前記分析に当たって、目的変量である変換式の係数は比尺度で測定される情報であるのに対し、説明変量となる道路属性には、12時間交通量もしくはピーク時旅行速度等といった比尺度で測定される情報と、道路種別もしくはリンク種別等といった名義尺度で測定される情報が混在している。
【0021】
ところが、上述の旅行時間推計技術では、目的変量である変換式の係数と説明変量である道路属性との関連を分析するにあたって、比尺度の目的変量と比尺度の説明変量の関連を分析する重回帰分析の手法によって行っている。
【0022】
このため、上述の旅行時間推計技術で例示されている道路属性情報のうち、道路幅員コードもしくは規制速度コードといった一部の名義尺度の変数は、対応する道路幅員(例えば、道路幅員コード=1は13m(メートル)等)、規制速度(規制速度コード=1は30km/h(キロメートルパーアワ)等)等の比尺度の情報を適用することで分析が可能である。しかし、道路種別コードのように本質的に名義尺度の情報は適切に分析対象に組み入れることが出来ない。
【0023】
結果として、全ての道路属性を対象とした適切な分析が出来ないため、最終的に渋滞度から正規化リンク旅行時間を求める変換式の係数を、道路属性情報に基づいて算出する最適な関係式から導出することが出来ないという問題がある。
【0024】
本発明は、前記課題に基づいてなされたものであって、対象とする標本データが、渋滞度ごとの事例に偏在するような場合においても、渋滞度から旅行時間を高い精度で算出し、より精度の高い変換式の係数を求め、道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から精度良く当該道路リンクの旅行時間を推計する旅行時間推計方法,旅行時間推計装置,その方法を実装した旅行時間推計プログラム及びそのプログラムを格納した記録媒体、渋滞情報から旅行時間を推計する技術用いて、リンク旅行時間が提供されていない道路の将来の旅行時間を当該道路の渋滞情報から予測する旅行時間予測方法,旅行時間予測装置,その方法を実装した旅行時間予測プログラム及びそのプログラムを格納した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記課題の解決を図るために、請求項1記載の発明は、処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,道路属性情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する旅行時間推計方法であって、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する過程と、前記処理対象とする道路リンクに応じた前記リンク旅行時間情報と道路リンク長に基づいて単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する過程と、前記処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度から正規化リンク旅行時間を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を1つまたは複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立なリンク渋滞度のn次式として算出する過程と、前記第1変換式の各係数を目的変数とし、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数とし、重回帰分析及び数量化理論I類分析の混合モデルによって回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める過程と、旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する過程と、旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための第2変換式の係数を算出する過程と、前記算出された係数を前記第2変換式に適用し、推計時刻におけるリンク渋滞度を当該変換式に代入して、旅行時間推計対象となる道路リンクの正規化リンク旅行時間の推定値を算出する過程と、前記旅行時間推計対象となる道路リンクに対して推計された正規化リンク旅行時間NT(l2)に、当該道路のリンク長を乗ずることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する過程と、を有すること特徴とする。
【0026】
請求項2記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する旅行時間推計方法であって、道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理過程と、前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する正規化リンク旅行時間算出処理過程と、前記算出された過去の正規化リンク旅行時間NT(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式の式とし、
【0027】
【数37】
【0028】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程と、前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数rCt(l1)を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程と、
【0029】
【数38】
【0030】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた過去の前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理過程と、当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部もしくは全てを前記回帰式の式2に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程と、
【0031】
【数39】
【0032】
前記算出された係数を前記変換式の式3に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間の推定値NT(l2)を算出する正規化リンク旅行時間推計処理過程と、前記道路リンクの正規化リンク旅行時間NT(l2)に当該道路のリンク長L(l2)を乗ずることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理過程と、を有すること特徴とする。
【0033】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程が、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用して計算する過程、
【0034】
【数40】
【0035】
を有し、
変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程が、式4の係数rC0(l1)、rC1(l1)を目的変数として計算し、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式として計算する過程、
【0036】
【数41】
【0037】
を有し、第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程が、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式を以下の式を採用して計算する過程、
【0038】
【数42】
【0039】
を有する、ことを特徴とする。
【0040】
請求項4記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程が、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用し計算する過程、
【0041】
【数43】
【0042】
を有し、
前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程が、式8、式9、式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する過程、
【0043】
【数44】
【0044】
を有し、
前記第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程が、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用して計算する過程、
【0045】
【数45】
【0046】
を有し、前記式8,式9,式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程が、前記係数minC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最小値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の切片の値とし、前記係数maxC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最大値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の、渋滞度が最大値である点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とし、前記係数midleC0(l1)、midleC1(l1)を、道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データの全てを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、もしくは、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、リンク渋滞度が最小値または最大値であるデータを除いた標本データを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものとそれ以外の標本データに分け、midleC0(l1)は渋滞度が最小値の標本データの代表点とし、midleC1(l1)は渋滞度が最小値以外の標本データを用いて最小二乗法により求めた値とするか、もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものと渋滞度が最大のものと、それ以外の3つの標本データに分け、渋滞度が最小値の標本データの代表点と渋滞度が最大値の標本データの代表点を結んで得られる直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)として、計算する過程を有する、ことを特徴とする。
【0047】
請求項5記載の発明は、処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,道路属性情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する旅行時間推計方法であって、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する旅行時間推計方法であって、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する過程と、処理対象となる道路リンクに応じた前記リンク旅行時間T(l1)とリンク長からリンク旅行速度V(l1)を算出する過程と、前記算出された過去のリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立な渋滞度のn次式もしくは−1次式として算出する過程と、前記第1変換式の各係数を目的変数とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数として、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める過程と、旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する過程と、旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該道路リンクの渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第2変換式の係数を算出する過程と、前記係数を前記第2変換式に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出する過程と、前記算出された旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長を割ることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する過程と、を有することを特徴とする。
【0048】
請求項6記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する旅行時間推計方法であって、道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理過程と、前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理過程と、前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式とし、
【0049】
【数46】
【0050】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程と、
【0051】
【数47】
【0052】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理過程と、当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式19に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、
【0053】
【数48】
【0054】
前記係数rCt(l2)を前記変換式の式20に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理過程と、前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理過程と、を有することを特徴とする。
【0055】
請求項7記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する旅行時間推計方法であって、道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理過程と、前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理過程と、前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)の−1次式とし、
【0056】
【数49】
【0057】
上記式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、前記変換式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を目的変換とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程と、
【0058】
【数50】
【0059】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理過程と、当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式22,式23,式24に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、
【0060】
【数51】
【0061】
前記係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を前記変換式の式25に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理過程と、前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理過程と、を有することを特徴とする。
【0062】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載の発明において、請求項7に記載の旅行時間推計方法において、前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程が、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式に以下のJ(l1)の−1次式を採用して計算する過程、
【0063】
【数52】
【0064】
を有し、
前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程が、式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する過程、
【0065】
【数53】
【0066】
を有し、前記第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程が、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用し計算する過程、
【0067】
【数54】
【0068】
を有し、式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を算出する前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程が、各道路リンクl1のminC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)は、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)の組からなる標本データを、リンク渋滞度J(l1)が最小値であるものと、リンク渋滞度J(l1)が最大値であるものと、それ以外のものの3つの標本データに分類し、minC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、maxC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、midleC0(l1),midleC1(l1),midleC2(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第1点とし、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第2点とし、第1点と第2点を通過し、リンク渋滞度が、「最小値<J(l1)<最大値」である標本データとの2乗誤差が最小となる双曲線を定めるmidleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)の値とする、過程を有する、ことを特徴とする。
【0069】
請求項9記載の発明は、道路リンクを移動するために要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測方法であって、道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、当該道路リンクの将来の渋滞状況を予測する過程と、予測された渋滞状況から当該道路リンクの予測リンク渋滞度を算出する過程と、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を用いて、前記算出された予測リンク渋滞度から道路リンク旅行時間の予測値を算出する過程と、を有することを特徴とする。
【0070】
請求項10記載の発明は、道路リンクを移動するのに要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測方法であって、道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、過去もしくは現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計を行う過程と、当該道路リンクの過去の渋滞情報から過去の渋滞度を算出し、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を用いて、前記算出された過去の渋滞度から当該道路リンクの過去のリンク旅行時間の推計値を算出する過去の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計過程と、当該道路リンクの現在の渋滞情報から現在の渋滞度を算出し、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を用いて、前記算出された現在の渋滞度から当該道路リンクの現在のリンク旅行時間の推計値を算出する現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計過程と、前記推計されたリンク旅行時間のいずれか一つ、もしくは両方を用いて、当該道路リンクの将来のリンク旅行時間を予測する過程と、を有することを特徴とする。
【0071】
請求項11記載の発明は、処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,道路属性情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する手段と、前記処理対象とする道路リンクに応じた前記リンク旅行時間情報と道路リンク長に基づいて単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する手段と、前記処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度から正規化リンク旅行時間を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を1つまたは複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立なリンク渋滞度のn次式として算出する手段と、前記第1変換式の各係数を目的変数とし、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数とし、重回帰分析及び数量化理論I類分析の混合モデルによって回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める手段と、旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する手段と、旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための第2変換式の係数を算出する手段と、前記算出された係数を前記第2変換式に適用し、推計時刻におけるリンク渋滞度を当該変換式に代入して、旅行時間推計対象となる道路リンクの正規化リンク旅行時間の推定値を算出する手段と、前記旅行時間推計対象となる道路リンクに対して推計された正規化リンク旅行時間NT(l2)に、当該道路のリンク長を乗ずることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する手段と、を備えること特徴とする。
【0072】
請求項12記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理手段と、前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する正規化リンク旅行時間算出処理手段と、前記算出された過去の正規化リンク旅行時間NT(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式の式とし、
【0073】
【数55】
【0074】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段と、前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数rCt(l1)を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段と、
【0075】
【数56】
【0076】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた過去の前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理手段と、当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部もしくは全てを前記回帰式の式2に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理手段と、
【0077】
【数57】
【0078】
前記算出された係数を前記変換式の式3に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間の推定値NT(l2)を算出する正規化リンク旅行時間推計処理手段と、前記道路リンクの正規化リンク旅行時間NT(l2)に当該道路のリンク長L(l2)を乗ずることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理手段と、を備えること特徴とする。
【0079】
請求項13記載の発明は、請求項12に記載の発明において、前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段が、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用して計算する手段、
【0080】
【数58】
【0081】
を備え、対応する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段が、式4の係数rC0(l1)、rC1(l1)を目的変数として計算し、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式として計算する手段、
【0082】
【数59】
【0083】
を備え、第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理手段が、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式を以下の式を採用して計算する手段、
【0084】
【数60】
【0085】
を備える、ことを特徴とする。
【0086】
請求項14記載の発明は、請求項12に記載の発明において、前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段が、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用し計算する手段、
【0087】
【数61】
【0088】
を備え、前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段が、式8、式9、式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する手段、
【0089】
【数62】
【0090】
を備え、前記第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理手段が、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用して計算する手段、
【0091】
【数63】
【0092】
を備え、前記式8,式9,式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段が、前記係数minC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最小値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の切片の値とし、前記係数maxC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最大値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の、渋滞度が最大値である点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とし、前記係数midleC0(l1)、midleC1(l1)を、道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データの全てを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、もしくは、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、リンク渋滞度が最小値または最大値であるデータを除いた標本データを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものとそれ以外の標本データに分け、midleC0(l1)は渋滞度が最小値の標本データの代表点とし、midleC1(l1)は渋滞度が最小値以外の標本データを用いて最小二乗法により求めた値とするか、もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものと渋滞度が最大のものと、それ以外の3つの標本データに分け、渋滞度が最小値の標本データの代表点と渋滞度が最大値の標本データの代表点を結んで得られる直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)として、計算する手段を有する、ことを特徴とする。
【0093】
請求項15記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する手段と、処理対象となる道路リンクに応じた前記リンク旅行時間T(l1)とリンク長からリンク旅行速度V(l1)を算出する手段と、前記算出された過去のリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立な渋滞度のn次式もしくは−1次式として算出する手段と、前記第1変換式の各係数を目的変数とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数として、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める手段と、旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する手段と、旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該道路リンクの渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第2変換式の係数を算出する手段と、前記係数を前記第2変換式に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出する手段と、前記算出された旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長を割ることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する手段と、を備えることを特徴とする。
【0094】
請求項16記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理手段と、前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理手段と、前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式とし、
【0095】
【数64】
【0096】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段と、
【0097】
【数65】
【0098】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理手段と、当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式19に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、
【0099】
【数66】
【0100】
前記係数rCt(l2)を前記変換式の式20に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理手段と、前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0101】
請求項17記載の発明は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理手段と、前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理手段と、前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)の−1次式とし、
【0102】
【数67】
【0103】
上記式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、前記変換式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を目的変換とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段と、
【0104】
【数68】
【0105】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理手段と、当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式22,式23,式24に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、
【0106】
【数69】
【0107】
前記係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を前記変換式の式25に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理手段と、前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0108】
請求項18記載の発明は、請求項17に記載の発明において、前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段が、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式に以下のJ(l1)の−1次式を採用して計算する手段、
【0109】
【数70】
【0110】
を備え、前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段が、式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する手段、
【0111】
【数71】
【0112】
を備え、前記第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段が、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用し計算する手段、
【0113】
【数72】
【0114】
を備え、式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を算出する前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段が、各道路リンクl1のminC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)は、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)の組からなる標本データを、リンク渋滞度J(l1)が最小値であるものと、リンク渋滞度J(l1)が最大値であるものと、それ以外のものの3つの標本データに分類し、minC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、maxC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、midleC0(l1),midleC1(l1),midleC2(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第1点とし、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第2点とし、第1点と第2点を通過し、リンク渋滞度が、「最小値<J(l1)<最大値」である標本データとの2乗誤差が最小となる双曲線を定めるmidleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)の値とする手段を備える、ことを特徴とする。
【0115】
請求項19記載の発明は、道路リンクを移動するために要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測装置であって、道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、当該道路リンクの将来の渋滞状況を予測する手段と、予測された渋滞状況から当該道路リンクの予測リンク渋滞度を算出する手段と、請求項11乃至18のいずれかに記載の旅行時間推計装置を用いて、前記算出された予測リンク渋滞度から道路リンク旅行時間の予測値を算出する手段と、を備えることを特徴とする。
【0116】
請求項20記載の発明は、道路リンクを移動するのに要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測装置であって、道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、過去もしくは現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計を行う手段と、当該道路リンクの過去の渋滞情報から過去の渋滞度を算出し、請求項11乃至18のいずれかに記載の旅行時間推計装置を用いて、前記算出された過去の渋滞度から当該道路リンクの過去のリンク旅行時間の推計値を算出する過去の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計手段と、当該道路リンクの現在の渋滞情報から現在の渋滞度を算出し、請求項11乃至18のいずれかに記載の旅行時間推計装置を用いて、前記算出された現在の渋滞度から当該道路リンクの現在のリンク旅行時間の推計値を算出する現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計手段と、前記推計されたリンク旅行時間のいずれか一つ、もしくは両方を用いて、当該道路リンクの将来のリンク旅行時間を予測する手段と、を備えることを特徴とする。
【0117】
請求項21記載の発明は、旅行時間推計プログラムであって、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述したことを特徴とする。
【0118】
請求項22記載の発明は、旅行時間予測プログラムであって、請求項9または10に記載の旅行時間予測方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述したことを特徴とする。
【0119】
請求項23記載の発明は、記録媒体であって、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述し、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする。
【0120】
請求項24記載の発明は、記録媒体であって、請求項9または10に記載の旅行時間予測方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述し、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする。
【0121】
前記請求項1,2,3,4,11,12,13,14記載の発明は、リンク長に対して不偏な正規化リンク旅行時間を取得できる。
【0122】
前記請求項5,6,7,8,15,16,17,18記載の発明は、正規化リンク旅行時間の逆数であるリンク旅行速度を取得できる。
【0123】
前記請求項9,19記載の発明は、当該道路リンクの予測リンク渋滞度を算出できる。
【0124】
前記請求項10,20記載の発明は、過去の渋滞情報(渋滞度)から推計された過去の旅行時間、前記算出された現在の渋滞情報から推計された現在の旅行時間を取得できる。
【0125】
前記請求項21記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法をコンピュータプログラムとして記載できる。
【0126】
前記請求項22記載の発明は、請求項9または10に記載の旅行時間予測方法をコンピュータプログラムとして記載できる。
【0127】
前記請求項23記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を実装したコンピュータプログラムを記録媒体に記録できる。
【0128】
前記請求項24記載の発明は、請求項9または10に記載の旅行時間予測方法を実装したコンピュータプログラムを記録媒体に記録できる。
【発明の効果】
【0129】
以上示したように請求項1,2,3,4,11,12,13,14の発明によれば、正規化リンク旅行時間を用いることによって、適切な変換式の係数の算出処理、係数と道路属性情報との関連分析処理を行うことができる。
【0130】
リンク渋滞度と正規化リンク旅行時間の関連を分析する際に、対象とする標本データが、渋滞度ごとの事例に偏在するような場合においても、渋滞度から旅行時間を高い精度で算出する変換式を設定できる。
【0131】
目的変量である変換式の係数と説明変量である道路の属性情報との関連を分析するにあたり、比尺度で表される属性情報だけでなく、名義尺度で表される属性情報を含めて処理できるため、より精度の高い変換式の係数を求めることが可能となる。
【0132】
旅行時間情報が提供されていない道路リンクの正規化リンク旅行時間を、当該道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から精度良く推計できる。最終的に当該道路リンクのリンク旅行時間を精度良く推計できる。
【0133】
請求項5,6,7,8,15,16,17,18の発明によれば、リンク渋滞度とリンク旅行速度の関連を分析する際に、対象とする標本データが、渋滞度ごとの事例に偏在するような場合においても、渋滞度から旅行時間を高い精度で算出する変換式を設定することが可能となる。
【0134】
目的変量である変換式の係数と説明変量である道路の属性情報との関連を分析するにあたり、比尺度で表される属性情報だけでなく、名義尺度で表される属性情報を含めて処理することが可能となり、より精度の高い変換式の係数を求めることが可能となる。
【0135】
旅行時間情報が提供されていない道路リンクの正規化リンク旅行時間を、当該道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から精度良く推計できる。最終的に当該道路リンクのリンク旅行時間を精度良く推計できる。
【0136】
請求項9,19の発明によれば、旅行時間情報が提供されていない道路リンクの将来の旅行時間を、当該道路リンクの予測リンク渋滞度(予測リンク渋滞情報)と道路属性情報に基づいて予測できる。
【0137】
請求項10,20の発明によれば、前記算出された過去の渋滞情報から推計された過去の旅行時間、もしくは前記算出された現在の渋滞情報から推計された現在の旅行時間のいずれか一つ、もしくは両方を用いて、当該道路リンクの将来の旅行時間を予測できる。
【0138】
請求項21の発明によれば、旅行時間推計方法を実装したコンピュータプログラムを提供できる。
【0139】
請求項22の発明によれば、旅行時間予測方法を実装したコンピュータプログラムを提供できる。
【0140】
請求項23の発明によれば、旅行時間推計方法を実装したコンピュータプログラムを記録した記録媒体を提供できる。
【0141】
請求項24の発明によれば、旅行時間予測方法を実装したコンピュータプログラムを記録した記録媒体を提供できる。
【0142】
これらを以って交通情報処理分野に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0143】
以下、本発明の実施形態を図面等に基づいて詳細に説明する。
【0144】
[第1旅行時間推計方法]
まず、本発明における旅行時間推計する第1旅行時間推計方法を説明する。前記第1旅行時間推計方法は、道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する方法である。
【0145】
まず、リンク旅行時間情報とリンク渋滞情報の両方が提供されている道路リンクl1について、過去の渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する(第1リンク渋滞度算出処理過程)。なお、リンク旅行時間情報,リンク渋滞情報などの道路リンクの交通状況および属性に関する情報は、それらをメモリやハードディスクに収集もしくは蓄積する装置(例えば、図1中の道路交通情報収集蓄積装置11)で管理されているものとする。
【0146】
次に、道路リンク長L(l1)と過去のリンク旅行時間T(l1)とから、単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する(正規化リンク旅行時間算出処理過程)。即ち、リンク旅行時間提供リンクのリンク旅行時間と道路リンク長から単位長さ当りの正規化リンク旅行時間を算出する。なお、道路リンク長とは、リンク始点からリンク終点までの長さである。
【0147】
次に、過去の正規化リンク旅行時間NT(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を、J(l1)のn次式(nはゼロまたは正の整数)の以下の式とする。
【0148】
【数73】
【0149】
即ち、リンク旅行時間提供リンクの、過去のリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間との関係を用いて、リンク渋滞度から正規化リンク旅行時間を算出するための変換式について、渋滞度の値域を複数の区間(例えば、リンク渋滞度がゼロの場合、リンク渋滞度が100の場合、リンク渋滞度が0より大きく100より小さい場合の3つ)に分けて、それぞれが互いに独立なリンク渋滞度のn次式として算出する。
【0150】
上記式の係数rCt(l1)を算出する(第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程)。この手順(過程)によって、リンク渋滞度と正規化リンク旅行時間の関連を分析する際に、対象とする標本データが、渋滞度(例えば、「渋滞度=0」、「0<渋滞度<100」、「渋滞度=100」)ごとの事例に偏在するような場合においても、渋滞度から旅行時間を高い精度で算出する変換式を設定することが可能となる。
【0151】
次に、前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化した(ダミー変数として扱った)Qjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数rCt(l1)を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する(変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程)。
【0152】
【数74】
【0153】
即ち、前記変換式の各係数を目的変量とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報(12時間交通量、ピーク時旅行速度など)を説明変量とするだけでなく、名義尺度で表現される属性情報(国道もしくは県道といった道路種別、あるいは本線,連結路,側道といったリンク種別など)もダミー変数化することで説明変量として、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める。この手順(過程)によって、目的変量である変換式の係数と説明変量である道路の属性情報との関連を分析するにあたり、比尺度で表される属性情報だけでなく、名義尺度で表される属性情報を含めて処理することが可能となり、より精度の高い変換式の係数を求めることが可能となる。
【0154】
次に、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2について、過去の渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する(第2リンク渋滞度算出処理過程)。
【0155】
次に、当該道路リンクの道路属性の一部または全てを前記回帰式の式2に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する(第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程)。
【0156】
【数75】
【0157】
即ち、当該道路リンクの道路属性の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該道路リンクの渋滞度から正規化リンク旅行時間を算出するための変換係数を算出する。
【0158】
次に、前記係数を前記変換式の式3に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間の推定値NT(l2)を算出する(正規化リンク旅行時間推計処理過程)。
【0159】
即ち、前記係数を前記変換式に適用し、移動を行う時刻のリンク渋滞度を当該変換式に代入して道路リンクの正規化リンク旅行時間の推定値を算出する。この手順(過程)によって、旅行時間情報が提供されていない道路リンクの正規化リンク旅行時間を、当該道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から精度良く推計することが可能となり、最終的に当該道路リンクのリンク旅行時間を精度良く推計することが可能となる。
【0160】
そして、前記道路リンクの正規化リンク旅行時間NT(l2)に当該道路のリンク長L(l2)を乗ずることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する(正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理過程)。即ち、リンク旅行時間推計対象リンクの推計された正規化リンク旅行時間に当該道路のリンク長を乗ずることにより当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する。
【0161】
以上の第1旅行時間推計方法によれば、リンク長が異なる複数の道路リンクについて、渋滞度から旅行時間を算出するための変換式の係数を算出する処理、および、渋滞度から旅行時間を算出する変換式の係数と当該道路リンクの属性情報との関連を分析する処理、に際して、リンク長に対して不偏な正規化リンク旅行時間を用いることで、適切な変換式の係数の算出処理、係数と道路属性情報との関連分析処理を行うことが可能となる。
【0162】
また、前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程において、次のように、各式などを採用しても良い。
【0163】
リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式をJ(l1)の以下の一次式とする。
【0164】
【数76】
【0165】
対応する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程における式4の係数rC0(l1)、rC1(l1)を目的変数とする。
【0166】
道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式とする。
【0167】
【数77】
【0168】
同じく、対応する第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程において、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式は、以下の式とする。
【0169】
【数78】
【0170】
また、前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程において、次のように、各式など採用しても良い。
【0171】
リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式をJ(l1)の以下の一次式とする。
【0172】
【数79】
【0173】
対応する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程における式8、式9、式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式とする。
【0174】
【数80】
【0175】
同じく対応する第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程において、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式は、以下の式とする。
【0176】
【数81】
【0177】
式8,式9,式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程において、各道路リンクl1のminC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を以下のような値に設定する。
【0178】
変換係数minC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最小値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の切片の値とする。
【0179】
変換係数maxC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最大値だけのものからなる標本データの代表点(平均値もしくは最頻値もしくは中央値)の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の、渋滞度が最大値である点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とする。
【0180】
変換係数midleC0(l1)、midleC1(l1)は、以下の(1)〜(4)のいずれかの方法で値を決定する。
(1)l1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データの全てを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とする。
(2)l1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、リンク渋滞度が最小値または最大値であるデータを除いた標本データを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とする。
(3)リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものとそれ以外の標本データに分け、midleC0(l1)は渋滞度が最小値の標本データの代表点(平均値もしくは最頻値もしくは中央値)とし、midleC1(l1)は渋滞度が最小値以外の標本データを用いて最小二乗法により求めた値とする。
(4)リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものと渋滞度が最大のものと、それ以外の3つの標本データに分け、渋滞度が最小値の標本データの代表点(平均値もしくは最頻値もしくは中央値)と渋滞度が最大値の標本データの代表点(平均値もしくは最頻値もしくは中央値)を結んで得られる直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とする。
【0181】
[第2旅行時間推計方法]
本発明における旅行時間推計する第2旅行時間推計方法を説明する。
【0182】
前記第2旅行時間推計方法は、道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する方法である。即ち、第1旅行時間推計方法のように、リンク渋滞度とリンク旅行時間の関係をリンク長が異なる道路リンクに跨って分析し処理するに当たって、リンク旅行時間をリンク長で割って得られる単位長さ当りの正規化リンク旅行時間を利用しても良いが、以下に説明する第2旅行時間推計方法のように、正規化リンク旅行時間の逆数であるリンク旅行速度(リンク長をリンク旅行時間で割って得られる道路リンクの旅行速度)を用いても良い。
【0183】
まず、リンク旅行時間情報とリンク渋滞情報の両方が提供されている道路リンクl1について、過去の渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する(第1リンク渋滞度算出処理過程)。なお、リンク旅行時間情報,リンク渋滞情報などの道路リンクの交通状況および属性に関する情報は、それらをメモリやハードディスクに収集もしくは蓄積する装置(例えば、図6中の道路交通情報収集蓄積装置61)で管理されているものとする。
【0184】
次に、道路リンク長L(l1)と過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出する(リンク旅行速度算出処理過程)。即ち、リンク旅行時間提供リンクのリンク旅行時間とリンク長からリンク旅行速度を算出する。
【0185】
次に、過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式とする。
【0186】
【数82】
【0187】
即ち、リンク旅行時間提供リンクの、過去のリンク渋滞度とリンク旅行速度との関係を用いて、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出するための変換式について、渋滞度の値域を複数の区間(例えば、リンク渋滞度がゼロの場合、リンク渋滞度が100の場合、リンク渋滞度が0より大きく100より小さい場合の3つ)に分けて、それぞれが互いに独立な渋滞度のn次式として算出する。
【0188】
次に、上記式の係数rCt(l1)を算出する(第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程)。この手順(過程)によって、リンク渋滞度とリンク旅行速度の関連を分析する際に、対象とする標本データが、渋滞度(例えば、「渋滞度=0」、「0<渋滞度<100」、「渋滞度=100」)ごとの事例に偏在するような場合においても、渋滞度から旅行時間を高い精度で算出する変換式を設定することが可能となる。
【0189】
次に、前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する(変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程)。
【0190】
【数83】
【0191】
即ち、前記変換式の各係数を目的変量とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報(12時間交通量、ピーク時旅行速度など)を説明変量とするだけでなく、名義尺度で表現される属性情報(国道もしくは県道といった道路種別、あるいは本線,連結路,側道といったリンク種別など)もダミー変数化することで説明変量として、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める。この手順(過程)によって、目的変量である変換式の係数と説明変量である道路の属性情報との関連を分析するにあたり、比尺度で表される属性情報だけでなく、名義尺度で表される属性情報を含めて処理することが可能となり、より精度の高い変換式の係数を求めることが可能となる。
【0192】
次に、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2について、リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する(第2リンク渋滞度算出処理過程)。
【0193】
次に、当該道路リンクの道路属性の一部または全てを前記回帰式の式19に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する(第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程)。
【0194】
【数84】
【0195】
即ち、当該道路リンクの道路属性の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該道路リンクの渋滞度からリンク旅行速度を算出するための変換係数を算出する。
【0196】
次に、前記係数rCt(l2)を前記変換式の式20に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出する(リンク旅行速度推計処理過程)。即ち、前記係数を前記変換式に適用し、移動を行う時刻のリンク渋滞度を当該変換式に代入して道路リンクのリンク旅行速度の推定値を算出する。
【0197】
そして、前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する(リンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理過程)。即ち、リンク旅行時間推計対象リンクの推計されたリンク旅行速度で当該道路のリンク長を割ることにより当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する。この手順(過程)によって、旅行時間情報が提供されていない道路リンクの正規化リンク旅行時間を、当該道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から精度良く推計することが可能となり、最終的に当該道路リンクのリンク旅行時間を精度良く推計することが可能となる。
【0198】
以上の第2旅行時間推計方法によれば、リンク長が異なる複数の道路リンクについて、渋滞度から旅行時間を算出するための変換式の係数を算出する処理、および、渋滞度から旅行時間を算出する変換式の係数と当該道路リンクの属性情報との関連を分析する処理、に際して、リンク長に対して不偏なリンク旅行速度を用いることで、適切な変換式の係数の算出処理、係数と道路属性情報との関連分析処理を行うことが可能となる。
【0199】
前記第2旅行時間推計方法における他の方法である第2’旅行時間推計方法を以下に説明する。
【0200】
まず、リンク旅行時間情報とリンク渋滞情報の両方が提供されている道路リンクl1について、過去の渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する(第1リンク渋滞度算出処理過程)。
【0201】
次に、道路リンク長L(l1)と過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出する(リンク旅行速度算出処理過程)。
【0202】
次に、過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)の−1(マイナスイチ)次式とする。
【0203】
【数85】
【0204】
即ち、リンク旅行時間提供リンクの、過去のリンク渋滞度とリンク旅行速度との関係を用いて、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出するための変換式について、渋滞度の値域を複数の区間(例えば、リンク渋滞度がゼロの場合、リンク渋滞度が100の場合、リンク渋滞度が0より大きく100より小さい場合の3つ)に分けて、それぞれが互いに独立な渋滞度の−1次式として算出する。
【0205】
続いて、上記式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を算出する(第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程)。この手順(過程)によって、リンク渋滞度とリンク旅行速度の関連を分析する際に、対象とする標本データが、渋滞度(例えば、「渋滞度=0」、「0<渋滞度<100」、「渋滞度=100」)ごとの事例に偏在するような場合においても、渋滞度から旅行時間を高い精度で算出する変換式を設定することが可能となる。
【0206】
また、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出する変換式をリンク渋滞度の−1次式とすることで、さらに変換式を定義するリンク渋滞度の区間を、「渋滞度=0」、「0<渋滞度<100」、「渋滞度=100」の3つとすることで、変換関数の算出処理が複雑化せず処理時間が増大することもない。
【0207】
次に、前記変換式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を目的変換とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する(変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程)。
【0208】
【数86】
【0209】
次に、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2について、リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する(第2リンク渋滞度算出処理過程)。
【0210】
次に、当該道路リンクの道路属性の一部または全てを前記回帰式の式22,式23,式24に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を算出する(第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程)。
【0211】
【数87】
【0212】
次に、前記係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を前記変換式の式25に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出する(リンク旅行速度推計処理過程)。
【0213】
そして、前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する(リンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理過程)。
【0214】
前記第2’旅行時間推計方法における第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程において、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式を以下のJ(l1)の−1次式とする。
【0215】
【数88】
【0216】
対応する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程における式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式とする。
【0217】
【数89】
【0218】
同じく対応する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程において、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式は、以下の式とする。
【0219】
【数90】
【0220】
式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程において、各道路リンクl1のminC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)は、l1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)の組からなる標本データを、リンク渋滞度J(l1)が最小値であるものと、リンク渋滞度J(l1)が最大値であるものと、それ以外のものの3つの標本データに分類し、それぞれ以下のような値に設定する。
【0221】
minC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とする。
【0222】
maxC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とする。
【0223】
midleC0(l1),midleC1(l1),midleC2(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第1点とし、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第2点とし、第1点と第2点を通過し、リンク渋滞度が、最小値<J(l1)<最大値である標本データとの2乗誤差が最小となる双曲線を定めるmidleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)の値とする。
【0224】
また、上述の旅行時間推計の第1,第2,第2’旅行時間推計方法のいずれかに基づく旅行時間予測方法は、以下の通りである。
【0225】
まず、道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、当該道路リンクの将来の渋滞状況を予測する。
【0226】
次に、予測された渋滞状況から当該道路リンクの予測リンク渋滞度を算出する。
【0227】
そして、算出された予測リンク渋滞度から上述の旅行時間推計の第1,第2,第2’旅行時間推計方法のいずれかを用いて、道路リンク旅行時間の予測値を算出する。
【0228】
また、他の旅行時間予測方法として、過去,現在の渋滞情報に基づく方法も、以下のように考えられる。
【0229】
まず、道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、過去もしくは現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計を行う。
【0230】
過去の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計方法は、以下の通り。
【0231】
まず、当該道路リンクの過去の渋滞情報から過去の渋滞度を算出する。
【0232】
次に、算出された過去の渋滞度から上述の旅行時間推計の第1,第2,第2’旅行時間推計方法のいずれかを用いて、当該道路リンクの過去のリンク旅行時間の推計値を算出する。
【0233】
現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計方法は、以下の通り。
【0234】
まず、当該道路リンクの現在の渋滞情報から現在の渋滞度を算出する。
【0235】
次に、算出された現在の渋滞度から上述の旅行時間推計の第1,第2,第2’旅行時間推計方法のいずれかを用いて、当該道路リンクの現在のリンク旅行時間の推計値を算出する。
【0236】
なお、過去の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計方法と現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計方法の両方を使っても良い。
【0237】
前記推計された過去のリンク旅行時間もしくは現在のリンク旅行時間のいずれか一つ、もしくは両方を用いて、当該道路リンクの将来のリンク旅行時間を予測する。
【0238】
[第1実施形態]
第1実施形態における旅行時間推計装置の構成を図1に基づいて説明する。なお、図1は、旅行時間推計装置のブロック構成図の一例である。
【0239】
図1中の符号11は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であって、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報(以下、旅行時間情報ともいう)とリンク渋滞情報(以下、渋滞情報ともいう)111,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報112,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ113,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報114を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置(例えば、データベース装置を含む装置)である。
【0240】
図1中の符号12は、具体的なリンク旅行時間情報の推計処理を行う演算処理部であって、リンク旅行時間提供リンクの過去の渋滞情報から当該道理リンクのリンク渋滞度の算出処理を行う第1リンク渋滞度算出処理部121,リンク旅行時間提供リンクの過去の旅行時間情報を正規化リンク旅行時間に変換する正規化リンク旅行時間算出処理部122,符号121および122の処理部で算出された渋滞度と正規化リンク旅行時間の関係から当該道路リンクのリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式の変換係数を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理部123,符号123の処理部で算出された前記変換係数と符号112の処理部における道路属性情報との関連を重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルにより回帰分析し、前記係数を目的変量とし前記道路属性情報を説明変量とする回帰式を算出する、変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理部124,符号124の処理部で得られた変換式係数を目的変数とする回帰式に符号113の処理部にあるリンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を適用して、当該道路リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数を算出する、第2リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理部125,リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度を算出する第2リンク渋滞度算出処理部126,符号125の処理部で算出された変換式係数と符号126の処理部で算出されたリンク渋滞度とから、リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間を推計する正規化リンク旅行時間推計処理部127,符号127の処理部で算出された正規化リンク旅行時間を当該道路のリンク長に応じたリンク旅行時間に変換する正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理部128から構成される。また、図1中の符号13は、最終的に得られたリンク旅行時間の推計値である。
【0241】
なお、前記旅行時間推計装置における各部は、予め備えられた制御部(例えば、CPU(Central Processing Unit))によって制御されてもよい。旅行時間推計装置で使用されるデータや情報(例えば、係数や数値)は、予め備えられた記憶部(例えば、メモリやハードディスク装置)に記憶され管理されて良い。
【0242】
第1実施形態における旅行時間推計装置が行う旅行時間推計方法の処理手順を図2に基づいて説明する。なお、以下の説明で、図1の符号と同じものの説明は省略する。
【0243】
図2中の符号111はリンク旅行時間提供リンクの過去の旅行時間情報と渋滞情報、符号221は符号111の渋滞情報からリンク渋滞度を算出する第1リンク渋滞度算出処理(符号121の処理部が行う処理)、符号222は符号111の旅行時間情報から正規化リンク旅行時間を算出する正規化リンク旅行時間算出処理(符号122の処理部が行う処理)である。ここで、図2中では、最初に符号221の処理を実行し、次に符号222の処理を実行しているが、これらの処理の実行順序は逆でも構わない。
【0244】
符号115は、符号221と222の処理結果として作成されるリンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間の対応データである。
【0245】
符号223は、符号115を処理してリンク渋滞度を正規化リンク旅行時間に変換する式の係数を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理(符号123の処理部が行う処理)であって、符号116は、その結果得られたリンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度から正規化リンク旅行時間への変換関数の係数である。
【0246】
符号224は、符号112(リンク旅行時間提供リンクの道路属性データ)と符号116のデータを回帰分析して、変換関数の係数を目的変量、道路属性情報を説明変量とする回帰式117を算出する重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理(符号124の処理部が行う処理)である。
【0247】
符号225は、回帰式117にリンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報113を適用して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式の係数118を算出する第2リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理(符号125の処理部が行う処理)である。
【0248】
符号226は符号114の情報(リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報)からリンク旅行時間推計対象リンクの渋滞度情報119を算出する第2リンク渋滞度算出処理(符号126の処理部が行う処理)である。
【0249】
符号227は、符号118及び119の情報からリンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間推計値120を算出する正規化リンク旅行時間推計処理(符号127の処理部が行う処理)である。
【0250】
符号228は、符号120のデータからリンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行時間推計値13を算出する正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理(符号128の処理部が行う処理)である。
【0251】
なお、図2の処理手順は、全ての処理を一つの計算機上で行ってもよいし、一つ以上複数の処理をまとめて別々の計算機で実行するように構成し、その間のデータの授受は通信回線や可搬型記録媒体で受け渡すようにしてもよい。
【0252】
さらに、旅行時間推計方法の処理手順を詳細に説明する。
【0253】
リンク旅行時間提供リンクの過去のデータ(即ち、図1,図2中の符号111のデータ)は、例えば過去1年分や過去6ヶ月分など、任意に指定した期間蓄積された交通情報である。以下では、リンク旅行時間提供リンク1982本について、5分間隔で提供されるVICS(登録商標)データを過去1年間蓄積したデータを例とする。
【0254】
第1リンク渋滞度算出処理221は、図2中のデータ111における各道路リンクの渋滞情報を、リンク全体の渋滞度合いであるリンク渋滞度に変換する処理である。以下では、VICS(登録商標)データからリンク渋滞度を計算する方法を図3に基づいて説明する。
【0255】
VICS(登録商標)データの渋滞情報(特許文献2参照)は、最終的には各道路リンクについて、リンクをさらに細かく分割したサブリンクの先頭座標(例えば、リンク終端からの距離を10m(メートル)刻みで示される座標)と、各渋滞箇所の渋滞度(0:不明,1:渋滞なし,2:混雑,3:渋滞)によって表される。
【0256】
図3の符号301はリンク始点、符号302はリンク終点である。図3のリンクは5つのサブリンクに分割されており、各サブリンクの渋滞度はリンク始点側から、1,1,2,3,1となっている。また、各サブリンクの先頭座標は10,8,6,3,1である。なお、リンク渋滞度は以下の式(特許文献2参照)によって算出するものとする。
【0257】
【数91】
【0258】
上記の式によって、図3におけるリンク渋滞度は、以下の式で計算される。
【0259】
【数92】
【0260】
上記のように、全道路リンク区間が渋滞なしの場合は渋滞度0、全道路リンク区間が渋滞の場合は渋滞度100となる。以降、渋滞度は小数点以下を四捨五入して0から100までの整数として扱うものとする。
【0261】
図2中の正規化リンク旅行時間算出処理222は、リンク旅行時間提供リンクについて、過去のリンク旅行時間T(l1)と道路リンク長L(l1)から、単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を以下の式によって算出する。
【0262】
【数93】
【0263】
ここで、図2中の符号221および222の処理によって作成されたリンク旅行時間提供リンクl1のリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間情報の対応データ(図2の符号115のデータ)のイメージを図4に基づいて説明する。先に、リンク旅行時間提供リンク1982本について、5分間隔で提供されるVICSデータを過去1年間蓄積したデータ(図2の符号111)の例としているため、リンク渋滞度と正規化リンク旅行時間がセットとなった標本が1982本のリンクそれぞれについて105120個(5分間隔(1日288標本)×1年(365日)=105120)存在する。図4中の道路リンクは、例えば、1番目の道路リンクRL11,2番目の道路リンクRL12,1981番目の道路リンクRL13,1982番目の道路リンクRL14である。
【0264】
このリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間がセットになった標本の代表例を図5に基づいて説明する。図5は、縦軸を正規化リンク旅行時間、横軸をリンク渋滞度としたグラフにプロットした散布図である。
【0265】
図5の中の個々の黒丸「●」が、一つの標本点(渋滞度とその時の正規化リンク旅行時間の組)を示す。符号510は渋滞度0の標本の集合、符号520は渋滞度が1以上99以下の標本の集合、符号530は渋滞度が100の標本の集合、符号500は渋滞度が0から100までの全標本の集合をそれぞれ示す。
【0266】
点線521と白い四角「□」の符号522,523は、渋滞度が0より大きく100より小さい標本の集合520について最小2乗法により求めた回帰直線とその渋滞度0および渋滞度100の切片を示す。一点鎖線501と白丸「○」の符号502,503は、渋滞度が0から100までの全標本集合500について最小2乗法により求めた回帰直線とその渋滞度0および渋滞度100の切片を示す。
【0267】
また、白三角「△」511と白逆三角「▽」531は、渋滞度0の標本502の正規化リンク旅行時間の平均値もしくは最頻値もしくは中央値、渋滞度100の標本503の正規化リンク旅行時間の平均値もしくは最頻値もしくは中央値をそれぞれ示す点である。
【0268】
なお、図5は、一つの道路リンクの例であるが、リンク旅行時間提供リンクでは、概ねリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間は全体として右肩上がりの線形を示すことが分かっている。
【0269】
また、渋滞度がゼロより大きく100より小さい標本事例に限っても、概ね渋滞度の大きさに応じて正規化リンク旅行時間が線形に増加することが分かっている。
【0270】
しかし、一般に渋滞度が0(ゼロ)の場合は交通渋滞状況が、道路リンク上の移動に要する旅行時間に影響を与えることは無いので、同じ渋滞度0(ゼロ)の状況でも観測される旅行時間が長いケースも短いケースもあり、その分布は広がる傾向にある。
【0271】
また、渋滞度が100の場合は、道路リンク全体の交通状況が「渋滞」している(即ち、車両の移動速度が「渋滞」を規定する速度以下(例えば、一般道では時速20km/h以下))ことになっているわけであるが、同じ「渋滞」のケースでも時速が10km/hの場合もあるし、時速2km/hの場合もあるように、旅行時間に換算すると大きな範囲に値が分布する傾向にある。
【0272】
そして、渋滞度0(ゼロ)の場合も渋滞度100の場合も、そのケースにおける旅行時間の分布の中心は、「1≦渋滞度≦99」の事例、もしくは「0≦渋滞度≦100」の事例から求まる回帰直線の渋滞度0切片あるいは渋滞度100切片の値とは必ずしも同程度の値になるとは限らない。
【0273】
そこで、第1実施形態では、図2中の第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理223において、リンク旅行時間提供リンクの過去の正規化リンク旅行時間NT(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を、リンク渋滞度がJ(l1)が0(ゼロ)の場合と、リンク渋滞度J(l1)が100の場合と、リンク渋滞度J(l1)が1以上99以下の場合の3つについて、個別にJ(l1)の3つの一次式として以下の式のように定義する。
【0274】
【数94】
【0275】
そして、過去のリンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式の係数を求める過程における各変換係数を次のように設定し構成するようにする。
【0276】
変換係数0C0(l1)は、当該道路リンクの過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)とからなるデータの内、リンク渋滞度J(l1)が0であるデータの正規化リンク旅行時間NT(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を設定するか、もしくは全てのリンク渋滞度(0〜100)のデータについて最小2乗法を用いて得られる回帰直線の渋滞度0の値を設定する。
【0277】
変換係数100C0(l1)は、当該道路リンクの過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)とからなるデータの内、リンク渋滞度J(l1)が100であるデータの正規化リンク旅行時間NT(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を設定するか、もしくは全てのリンク渋滞度(0〜100)のデータについて最小2乗法を用いて得られる回帰直線の渋滞度100の値を設定する。
【0278】
変換係数199C0(l1),199C1(l1)は、当該道路リンクの過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)とからなるデータの内、リンク渋滞度が「1≦J(l1)≦99」であるデータについて最小2乗法を用いて得られる回帰直線の渋滞度0の値を199C0(l1)とし、当該回帰直線の傾きを199C1(l1)として設定するか、もしくはリンク渋滞度が「0≦J(l1)≦100」であるデータについて最小2乗法を用いて得られる回帰直線の渋滞度0の値を199C0(l1)とし、当該回帰直線の傾きを199C1(l1)として設定するか、もしくは前記変換係数0C0(l1)、100C0(l1)で定まる渋滞度0および渋滞度100の2点を結ぶ直線の渋滞度0の値を199C0(l1)とし、傾きを199C1(l1)として設定する。
【0279】
なお、各係数に具体的に何の値を設定するかは、全てのリンク旅行時間提供リンクについて、係数ごとに同種の前記統計値を設定するようにしても良いし、道路リンクごとに、各係数に前記複数の統計値を設定して得られる4つの係数の組を算出し、この4つの係数の組で決まる回帰関数について、当該道路リンクのリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間標本に対する相関係数あるいは決定係数を求めて、これらの評価値の値が最も大きい係数の組を、当該道路リンクの最終的な変換式の係数とするように構成しても良い。
【0280】
以上のように、図2において、リンク旅行時間提供リンクl1のリンク渋滞度から正規化リンク旅行時への変換式の係数161は、処理223によって各リンクについて算出された、リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換関数の係数0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1)である。第1実施形態ではリンク旅行時間提供リンクの数を1982本としていることから、0C0(l1)、100C0(l1)、199C0(l1)、199C1(l1)のセットがl1=1〜1982までの1982個在ることになる。
【0281】
なお、図2におけるリンク旅行時間提供リンクl1の道路属性データ112は、リンク旅行時間提供リンクについて、例えば、(財)道路交通情報通信システムセンター(以下、VICS(登録商標)センターと呼称)が提供するVICS(登録商標)リンクデータベースや(財)日本デジタル道路地図協会が提供する全国デジタル道路地図データベース(以下、DRM(Digital Road Map)リンクデータと呼称)などのデータベースを用いて抽出された各道路リンクの道路属性情報である。
【0282】
第1実施形態では、各道路リンクのリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換関数と、当該道路リンクの道路構造等の道路を特徴付ける属性情報との間に密接な関連が存在すると仮定する。これは道路リンクの属性情報が当該道路のリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換関数のパラメータの決定に深く関わっていることを意味する。
【0283】
また、第1実施形態で想定しているリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換関数の係数0C(l1),100C(l1),199C0(l1),199C1(l1)は比尺度の変数であるのに対し、道路を特徴付ける道路属性情報には、比尺度の変数で表現される属性情報(12時間交通量、ピーク時旅行速度など)だけでなく、名義尺度の変数で表現される属性情報(国道もしくは県道といった道路種別、あるいは本線,連結路,側道といったリンク種別など)も含まれる。
【0284】
そこで、第1実施形態では、比尺度の変数を目的変数、比尺度の変数を説明変数とした重回帰分析の手法と、比尺度の変数を目的変数、名義尺度の変数を説明変数とする数量化理論I類の手法を合わせた混合モデルにより、変換関数の係数を目的変数、道路の属性情報を説明変数とする回帰分析を行い、これにより得られる回帰式によって、道路リンクの属性情報と当該道路のリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換関数の係数を関連付ける。
【0285】
なお、道路属性情報には、(財)日本デジタル道路地図協会が提供している「全国デジタル道路地図データベース標準」やVICS(登録商標)センターが提供する「VICSリンク仕様書」等で規定されている道路属性情報や、5年毎に全国の主要な道路を対象に実施される「道路交通センサス」の調査データなどを適用できる。
【0286】
第1実施形態では、1つのVICSリンクに対応する一つまたは複数のDRMリンクに付与されたDRMリンク属性情報を使用する。また、DRMリンク属性情報の中から、比尺度の説明変数情報として12時間交通量,旅行速度ピーク時を、名義尺度の説明変数情報として道路種別コード,リンク種別コード,規制速度コードを選択し、以下の5種類の道路リンク属性情報P1,P2,Q1,Q2,Q3を用いることとする。
【0287】
P1:12時間交通量(単位:百台/7時〜19時)
VICS(登録商標)リンクを構成するDRMリンクの12時間交通量のうち、その延長距離が最も長いDRMリンクの12時間交通量。
【0288】
P2:旅行速度ピーク時(単位:0.1km/h)
VICS(登録商標)リンクを構成するDRMリンクの12時間交通量のうち、その延長距離が最も長いDRMリンクの旅行速度ピーク時。
【0289】
Q1:道路種別コード
VICS(登録商標)リンクを構成するDRMリンクの12時間交通量のうち、その延長距離が最も長いDRMリンクの道路種別コード(1=高速自動車国道、2=都市高速道路、3=一般国道、4=主要地方道(都市府県道)、5=主要地方道(指定市道)、6=一般都道府県道、7=指定市の一般道、8=未定義、9=その他の道路)。
【0290】
Q2:リンク種別コード
VICS(登録商標)リンクを構成するDRMリンクの12時間交通量のうち、その延長距離が最も長いDRMリンクのリンク種別コード(1=本線リンク(上下線非分離)、2=本線リンク(上下線分離)、3=連結リンク(本線の渡り線)、4=交差点内リンク、5=連結路リンク(ランプ)、6=本線と同一路線の側道リンク、7=SA等側線リンク、8=自転車道リンク、9=本線側道接続リンク)。
【0291】
Q3:規制速度コード
VICS(登録商標)リンクを構成するDRMリンクの12時間交通量のうち、その延長距離が最も長いDRMリンクの規制速度コード(1=30km/h未満、2=40km/h、3=50km/h、4=60km/h、5=70km/h、6=80km/h、7=100km/h)。
【0292】
上記の道路リンク属性情報P1〜Q3はいずれも整数として数値化されているが、名義尺度である説明変数Q1、Q2、Q3については、数量化理論I類の考えに従って次のようなダミー変数Q11〜Q33を図10の表T1,図11の表T2,図12の表T3に示す様に定義して用いる。
【0293】
但し、ここで対象とする道路リンク1982本は一般道(高速道路ではない)として、Q1の出現値は(3,4,5,6,9)の5つのいずれか、Q2の出現値は(1,2,3)の3つのいずれか、Q3の出現値は(2,3,4)の3つのいずれか、をとるものとする。
【0294】
図2における重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理224は、リンク旅行時間提供リンクl1のリンク渋滞度から正規化リンク旅行時への変換関数の係数115を目的変数、リンク旅行時間提供リンクl1の道路属性データ112を説明変数として、重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルによる回帰分析を行い、各変換関数の係数を道路属性から算出する回帰式117(即ち、以下の式)を求める処理である。
【0295】
【数95】
【0296】
第1実施形態では先に説明してきたように、目的変数は以下の3つの1次の変換関数の4つのパラメータ0C0(l1)、100C0(l1)、199C0(l1)、199C1(l1)であり、説明変数は5つの道路属性データを一部ダミー変数化した13個の道路属性データP1、P2、Q11〜Q33である。
【0297】
【数96】
【0298】
また、リンク旅行時間提供リンクは1982本あるため、各変数の標本数も1982個ある。これらのデータは図13の表T4,図14の表T5,図15の表T6,図16の表T7に示すようにまとめることが出来る。
【0299】
これらのデータを、重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルによる回帰分析(非特許文献2参照)を行い、0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1)をそれぞれ説明変量P1,P2,Q11〜Q33で表すことが出来る回帰式を求める。なお、重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルによる回帰分析の方法は非特許文献2に詳細に説明されている。
【0300】
第1実施形態では、回帰分析で用いる説明変数の数と組合せのバリエーション(以下、多変量回帰モデルと呼称)を様々に考えて回帰分析を行い、その中で最も当てはまりの良い多変量回帰モデルを採用して回帰式を決定する方法を説明する。
【0301】
各道路リンクのリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換関数は、当該道路リンクの道路構造等の道路属性によって決定づけられると仮定したが、実際に説明変数P1,P2,Q1,Q2,Q3のうち、どの道路属性情報が有効であるかは不明である。従って、説明変数P1,P2,Q1,Q2,Q3の数と組合せのバリエーションを網羅的に変化させて回帰分析を行い、0C0(l1)、100C0(l1)、199C0(l1)、199C1(l1)のそれぞれについて最も当てはまりの良い多変量回帰モデルを採用することとする。
【0302】
本実施の形態では説明変数の数の最大値は実質5個であり、従って多変量回帰モデルのバリエーション数は59通り存在する。この59通りの多変量回帰モデルの中から、最も当てはまりの良い多変量回帰モデルを選択する方法には、決定係数を用いる方法、自由度調整済み決定係数を用いる方法など様々な方法が存在するが、本実施の形態では赤池情報量基準(以下、AIC(Akaike’s Information Criteria)と呼称)を用いて選択する方法を説明する。AICは以下の式によって計算される。
【0303】
【数97】
【0304】
これはモデルの当てはまりの良さを評価する値である。なお、Nは標本数(第1実施形態では1982)、SEは回帰式によって計算される0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1)(以下、0C0,100C0,199C0,199C1と表現する)と実際の0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1)との差の平方和、pは説明変数の数である。
【0305】
AICの値が小さいほうが多変量回帰モデルの当てはまりがよいと評価されるため、0C,100C,199C0,199C1のそれぞれについて最小のAIC値をとる多変量回帰モデルを採用し、該多変量回帰モデル基づく回帰式を採用する。第1実施形態では0C0,100C0,199C0,199C1のそれぞれについて、図17の表T8,図18の表T9,図19の表T10,図20の表T11に示す多変量回帰モデルを採用することとする。
【0306】
図2における変換関数の係数を目的変数とし道路属性情報を説明変数とする回帰式117は、重回帰分析と数量化理論I類混合モデルによる回帰分析処理224の処理過程で、以下のリンク渋滞度から正規化リンク旅行時への変換関数が得られる。
【0307】
【数98】
【0308】
そして、上記変換関数の係数0C、100C、199C0、199C1を道路属性データPi,Qj(ダミー変数化したQjk)から求める以下の回帰式が得られる。
【0309】
【数99】
【0310】
第1実施形態では、0C、100C、199C0、199C1それぞれについて回帰式が求まり、その回帰式に図17の表T8,図18の表T9,図19の表T10,図20の表T11を用いて次のように計算できる。
【0311】
【数100】
【0312】
ここで、図2における正規化リンク旅行時間推計処理227では、先ず旅行時間推計対象リンクの道路属性情報113のデータP1,P2,Q11,Q12,Q13,Q14,Q15,Q31,Q32,Q33を、回帰式117に適用することによって、リンク毎に渋滞度から正規化リンク旅行時間への変換式の係数0C、100C、199C0、199C1(図2中の符号118)が求められる。
【0313】
そして、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度119と、第2リンク渋滞度算出処理225にて算出した旅行時間推計対象リンクの渋滞度情報と、を前記変換式に代入することによって、旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間推計値120を得る。続いて、求めた正規化リンク旅行時間に当該リンクのリンク長を乗じて(図2中の符号228の処理)、旅行時間推計対象道路リンクの推計値13を得る。
【0314】
以上説明したように、図1及び図2に基づいて説明した道路リンク旅行時間推計装置および道路リンク旅行時間推計方法によれば、リンク旅行時間提供リンクの旅行時間情報と渋滞情報および道路リンクの属性情報との関係を用いて、旅行時間未提供リンクのリンク旅行時間を、当該道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から推計できる。
【0315】
また、第1実施形態によれば、図1及び図2におけるリンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報114に、当該道路の現在の旅行時間を入力すれば、当該道路リンクの現在のリンク旅行時間の推計値を得ることができる。同様に符号114の情報に、リンク旅行時間推計対象リンクの過去または現在の渋滞情報から予測された将来の予測渋滞情報を入力すれば、当該リンクの将来の予測リンク旅行時間を得ることが可能となる。
【0316】
なお、道路リンクの過去および現在の渋滞情報から将来の渋滞状況を予測する方法(例えば、非特許文献3,4参照)としては、事例ベース推論を利用した予測方法や決定木を利用した予測手法を用いることができる。
【0317】
また同様に、図1,図2の符号13の推計値にリンク旅行時間推計対象リンクの過去の渋滞情報を入力することによって、当該道路リンクの過去のリンク旅行時間推計値を得ることができる。この当該道路リンクの過去のリンク旅行時間推計値によって、当該リンクの過去のリンク旅行時間と逐次得られる現在のリンク旅行時間の推計値を利用し、当該リンクの将来の予測リンク旅行時間を得ることが可能となる。
【0318】
なお、道路リンクの過去および現在の旅行時間情報から将来の旅行時間情報を予測する方法(例えば、特許文献3参照)は、より具体的には、現在のリンク旅行時間を将来のリンク旅行時間とする接続予測方法や、過去のリンク旅行時間の曜日や時間帯別ごとの平均値や最頻値に基づき予測する手法、あるいはこれら複数の予測方法を道路リンクごと、予測先時間ごとに一定期間評価し、もっとも予測精度の高い予測手法による予測値を、当該道路リンクの予測先時間ごとの予測値とする手法などを用いることができる。
【0319】
[第2実施形態]
第2実施形態における旅行時間推計装置を図6及び図7に基づいて説明する。前記第1実施形態では、リンク旅行時間をそのリンク長で正規化した正規化リンク旅行時間情報を用いた旅行時間推計方法および装置を説明したが、第2実施形態では正規化リンク旅行時間の逆数であるリンク旅行速度情報を用いた旅行時間推計方法および装置の実施形態を示す。
【0320】
図6中の符号61は、処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であって、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報(以下、旅行時間情報ともいう)とリンク渋滞情報(以下、渋滞情報ともいう)611、リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報612、リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報613、リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報614を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置である。
【0321】
図6の符号62は、具体的なリンク旅行時間の推計処理を行う演算処理部であって、リンク旅行時間提供リンクの過去の渋滞情報から当該道理リンクのリンク渋滞度の算出処理を行う第1リンク渋滞度算出処理部621,リンク旅行時間提供リンクの過去の旅行時間情報をリンク旅行速度に変換するリンク旅行速度算出処理部622,符号621および622の処理部で算出された渋滞度とリンク旅行速度の関係から、当該道路リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換式の変換係数を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理部623,符号623の処理部で算出された前記変換係数と符号612の道路属性情報との関連を、重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルにより回帰分析し、前記係数を目的変量とし前記道路属性情報を説明変量とする回帰式を算出する、変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理部624,符号624の処理部で得られた変換式係数を目的変数とする回帰式に、符号613の情報にあるリンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を適用して、当該道路リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理部625,リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度を算出する第2リンク渋滞度算出処理部626,符号625の処理部で算出された変換式係数と符号626の処理部で算出されたリンク渋滞度とから、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度を推計するリンク旅行速度推計処理部627,符号627の処理部で算出されたリンク旅行速度で当該道路リンクのリンク長を割って(除算して)リンク旅行時間に変換するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理部628から構成される。なお、図6中の符号63は最終的に得られたリンク旅行時間の推計値である。
【0322】
なお、前記旅行時間推計装置における各部は、予め備えられた制御部(例えば、CPU)によって制御されてもよい。旅行時間推計装置で使用されるデータや情報(例えば、係数や数値)は、予め備えられた記憶部(例えば、メモリやハードディスク装置)に記憶され管理されて良い。
【0323】
第2実施形態における旅行時間推計装置が行う旅行時間推計方法の処理手順を図7に基づいて説明する。なお、以下の説明で、図6の符号と同じものの説明は省略する。
【0324】
図7中の符号721処理は、符号611の渋滞情報からリンク渋滞度を算出する第1リンク渋滞度算出処理(符号621の処理部が行う処理)、符号722の処理は、符号611の旅行時間情報からリンク旅行速度を算出するリンク旅行速度算出処理(符号622の処理部が行う処理)である。なお、図7では最初に符号721の処理を実行し、次に722の処理を実行しているが、これらの処理の実行順序は逆でも構わない。
【0325】
符号615は、符号721と722の処理の結果作成されるリンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度とリンク旅行速度の対応データである。
【0326】
符号723は、符号615を処理してリンク渋滞度をリンク旅行速度に変換する式の係数を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理(符号623の処理部が行う処理)であって、符号616はその結果得られたリンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度からリンク旅行速度への変換関数の係数である。
【0327】
符号724は、リンク旅行時間提供リンクの道路属性データ612と符号616のデータを回帰分析して、変換関数の係数を目的変量、道路属性情報を説明変量とする回帰式617を算出する重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理(符号624の処理部が行う処理)である。
【0328】
符号725は、符号617にリンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報613を適用して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換式の係数618を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理(符号625の処理部が行う処理)である。
【0329】
符号726は、リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報614からリンク旅行時間推計対象リンクの渋滞度情報619を算出する第2リンク渋滞度算出処理(符号626の処理部が行う処理)である。
【0330】
符号727は、符号618の係数、符号619の情報から、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度推計値620を算出するリンク旅行速度推計処理(符号627の処理部が行う処理)である。
【0331】
符号728は、符号620のデータからリンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行時間推計値63を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理(符号628の処理部が行う処理)である。
【0332】
なお、図7の処理手順は、全ての処理を一つの計算機上で行ってもよいし、一つ以上複数の処理をまとめて別々の計算機で実行するように構成し、その間のデータの授受は通信回線や可搬型記録媒体で受け渡すようにしてもよい。
【0333】
ここで、図7の符号721および符号722の処理によって作成されたリンク旅行時間提供リンクl1のリンク渋滞度とリンク旅行速度情報の対応データ(図7の符号615のデータ)のイメージを図8に基づいて説明する。第2実施形態においても第1実施形態と同様に、リンク旅行時間提供リンク1982本について、5分間隔で提供されるVICSデータを過去1年間蓄積したデータ(図7の符号611)を例とすると、リンク渋滞度とリンク旅行速度がセットとなった標本が1982本のリンクそれぞれについて105120個(5分間隔(1日288標本)×1年(365日)=105120)存在する。図8中の道路リンクは、例えば、1番目の道路リンクRL21,2番目の道路リンクRL22,1981番目の道路リンクRL23,1982番目の道路リンクRL24である。
【0334】
このリンク渋滞度とリンク旅行速度をセットにした標本の代表例を図9に基づいて説明する。図9は、縦軸をリンク旅行速度、横軸をリンク渋滞度としたグラフにプロットした散布図である。
【0335】
図9の中の個々の黒丸「●」が一つの標本点(渋滞度とその時のリンク旅行速度の組)を示す。楕円910は渋滞度0の標本の集合、楕円920は渋滞度が0より大きく100より小さい標本の集合、楕円930は渋滞度が100の標本の集合、そして楕円900は渋滞度が0から100までの全標本の集合を各々示す。
【0336】
また、符号931,符号932,符号933は渋滞度0の標本集合のそれぞれ平均値,最頻値,中央値、符号941,符号942,符号943は渋滞度100の標本集合のそれぞれ平均値,最頻値,中央値を示す点である。
【0337】
さらに、点線901は、渋滞度0の標本集合の代表点(平均値もしくは最頻値もしくは中央値)と渋滞度100の標本集合の代表点(平均値もしくは最頻値もしくは中央値)を通り、渋滞度が0より大きく100より小さい標本集合920との二乗誤差が最小となるように定めた双曲線である。
【0338】
図9は一つの道路リンクの例であるが、リンク旅行時間提供リンクにおいては、概ねリンク渋滞度とリンク旅行速度は全体として左肩上がりのほぼ双曲線に近い形を示すことが分かっている。
【0339】
また、図5と同様に、渋滞度0の標本集合および渋滞度100の標本集合は、それぞれ渋滞度0および渋滞度100の直線上に広がる傾向にある。
【0340】
そこで、第2実施形態では、図7の第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理723の過程において、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=0」、「0<渋滞度J(l1)<100」、「渋滞度J(l1)=100」の3つに分割し、各区間における変換式をJ(l1)の−1次式として、以下の式を採用する。
【0341】
【数101】
【0342】
対応する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程における前記式の係数0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1),199C2(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式を採用する。
【0343】
【数102】
【0344】
同じく対応する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程において、リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式は、以下の式を採用する。
【0345】
【数103】
【0346】
さらに、式52,式53,式54の係数0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1),199C2(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程において、各道路リンクl1の0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1),199C2(l1)は、次のように構成する。
【0347】
まず、l1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)の組からなる標本データを、リンク渋滞度J(l1)が0であるものと、リンク渋滞度J(l1)が100であるものと、それ以外のものの3つの標本データに分類する。
【0348】
0C0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が0である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とする。
【0349】
100C0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が100である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とする。
【0350】
199C0(l1)、199C1(l1)、199C2(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が0である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第1点とする。
【0351】
リンク渋滞度J(l1)が100である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第2点とする。
【0352】
そして、第1点と第2点を通過し、リンク渋滞度が「0<J(l1)<100」である標本データとの2乗誤差が最小となる双曲線を定める199C0(l1),199C1(l1),199C2(l1)の値とする。
【0353】
図7において、リンク旅行時間提供リンクl1のリンク渋滞度から正規化リンク旅行時への変換式の係数616は、処理723によって各リンクについて算出された、リンク渋滞度−リンク旅行速度変換関数の係数0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1),199C2(l1)である。本実施形態では、リンク旅行時間提供リンクの数を1982本としていることから、0C0(l1)、100C0(l1)、199C0(l1)、199C1(l1)、199C2(l1)のセットがl1=1〜1982までの1982個在ることになる。
【0354】
以降の手順は、第2実施形態においても第1実施形態と同じように、リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換関数の係数0C0(l1),100C0(l1),199C0(l1),199C1(l1),199C2(l1)(図7中の係数616)を目的変数とし、リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報(図7中の情報612)を説明変数として、重回帰分析と数量化理論I類の混合モデルによる回帰分析(図7中の処理724)を行うことによって、回帰式(すなわち回帰式の係数:図7中の係数617)を算出する。
【0355】
そして、得られた回帰式に、リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報(図7中の情報613)を適用することによって、当該道路リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換式の係数(図7中の係数618)を算出し、これにリンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度(図7中の情報619)を適用することで(図7中の推計処理727)、当該道路リンクのリンク旅行速度の推計値(図7中の推計値620)を得る。続いて、得られたリンク旅行速度の推計値で当該道路リンクのリンク長を割ってリンク旅行時間が得られる。
【0356】
以上説明したように、第2実施形態における道路リンク旅行時間推計装置(図6の装置)および道路リンク旅行時間推計方法(図7の方法)によれば、リンク旅行時間提供リンクの旅行時間情報と渋滞情報および道路リンクの属性情報との関係を用いて(リンク旅行速度情報を介して)、旅行時間未提供リンクのリンク旅行時間を、当該道路リンクの渋滞情報と道路属性情報から推計できる。
【0357】
なお、第1及び第2実施形態の旅行時間推計装置における各手段の一部もしくは全部の機能をコンピュータのプログラムで構成し、そのプログラムをコンピュータを用いて実行して本発明を実現することができること、第1及び第2実施形態における旅行時間推計方法(手順)をコンピュータのプログラムで構成し、そのプログラムをコンピュータに実行させることができることは言うまでもなく、コンピュータでその機能を実現するためのプログラムを、そのコンピュータが読み取り可能な記録媒体(記憶媒体)、例えばFD(Floppy(登録商標) Disk)や、MO(Magneto−Optical disk)、ROM(Read Only Memory)、メモリカード、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、リムーバブルディスクなどに記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記のプログラムをインターネットや電子メールなど、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0358】
さらに、上述の旅行時間推計装置に関する方法もしくは旅行時間推計方法を記述したコンピュータプログラムを、その方法に必要とされる入出力データを格納したメモリや外部記憶部等にアクセスするように実装してもよい。
【0359】
以上のように、第1及び第2実施形態によれば、カーナビゲーションシステムなど交通情報提供サービスに利用できる。
【0360】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものでなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0361】
【図1】第1実施形態における旅行時間推計装置の構成図。
【図2】第1実施形態における旅行時間推計装置が行う旅行時間推計方法の処理手順。
【図3】渋滞度を計算する方法を説明する図。
【図4】リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間情報の対応データのイメージ図。
【図5】リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間情報の標本データの代表例を、縦軸を正規化リンク旅行時間、横軸をリンク渋滞度とした散布図。
【図6】第2実施形態における旅行時間推計装置の構成図。
【図7】第2実施形態における旅行時間推計装置が行う旅行時間推計方法の処理手順。
【図8】リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度とリンク旅行速度情報の対応データのイメージ図。
【図9】リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度とリンク旅行速度情報の標本データの代表例を、縦軸をリンク旅行速度、横軸をリンク渋滞度とした散布図。
【図10】名義尺度変数とダミー変数の関係表の例1を示す図。
【図11】名義尺度変数とダミー変数の関係表の例2を示す図。
【図12】名義尺度変数とダミー変数の関係表の例3を示す図。
【図13】係数0C0(l1)の標本を示す図。
【図14】係数100C0(l1)の標本を示す図。
【図15】係数199C0(l1)の標本を示す図。
【図16】係数199C1(l1)の標本を示す図。
【図17】係数0C0に関する多変量回帰モデルを示す図。
【図18】係数100C0に関する多変量回帰モデルを示す図。
【図19】係数199C0に関する多変量回帰モデルを示す図。
【図20】係数199C1に関する多変量回帰モデルを示す図。
【符号の説明】
【0362】
11…道路交通情報収集蓄積装置
111…リンク旅行時間提供リンクの過去の旅行時間情報と渋滞情報
112…リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報
113…リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報(データ)
114…リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報
115…リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度と正規化リンク旅行時間の対応データ
116…リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度から正規化リンク旅行時間への変換関数の係数
117…変換関数の係数を目的変量、道路属性情報を説明変量とする回帰式
118…リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式の係数
119…リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞度情報
120…リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間推計値
12…リンク旅行時間の推計演算処理部
121…第1リンク渋滞度算出処理部
122…正規化リンク旅行時間に変換する正規化リンク旅行時間算出処理部
123…第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理部
124…変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理部
125…第2リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理部
126…第2リンク渋滞度算出処理部
127…正規化リンク旅行時間推計処理部
128…正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理部
13…リンク旅行時間推計値
221〜228…旅行時間推計方法の処理手順を構成する処理
301…リンク始点
302…リンク終点
RL11〜RL14…道路リンク
500…渋滞度が0から100までの全標本の集合
510…渋滞度0の標本の集合
520…渋滞度が1以上99以下の標本の集合
530…渋滞度が100の標本の集合
521…渋滞度が0より大きく100より小さい標本の集合について最小2乗法により求めた回帰直線
522,523…渋滞度0および渋滞度100の切片
501…渋滞度が0から100までの全標本集合ついて最小2乗法により求めた回帰直線
502,503…渋滞度0および渋滞度100の切片
511…渋滞度0の標本の正規化リンク旅行時間の平均値もしくは最頻値もしくは中央値
531…渋滞度100の標本の正規化リンク旅行時間の平均値もしくは最頻値もしくは中央値
61…道路交通情報収集蓄積装置
611…リンク旅行時間提供リンクの過去の旅行時間情報と渋滞情報
612…リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報
613…旅行時間推計対象リンクの道路属性情報
614…リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報
615…リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度とリンク旅行速度の対応データ
616…リンク旅行時間提供リンクのリンク渋滞度からリンク旅行速度への変換関数の係数
617…変換関数の係数を目的変量、道路属性情報を説明変量とする回帰式
618…リンク旅行時間推計対象リンクのリンク渋滞度−リンク旅行速度変換式の係数
619…リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞度情報
620…リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度推計値
62…リンク旅行時間の推計演算処理部
621…第1リンク渋滞度算出処理部
622…リンク旅行速度算出処理部
623…第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理部
624…変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化理論I類混合モデル回帰分析処理部
625…第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理部
626…第2リンク渋滞度算出処理部
627…リンク旅行速度推計処理部
628…リンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理部
63…リンク旅行時間推計値
721〜728…旅行時間推計方法の処理手順を構成する処理
RL21〜RL24…道路リンク
910…渋滞度0の標本の集合
920…渋滞度が0より大きく100より小さい標本の集合
930…渋滞度が100の標本の集合
900…渋滞度が0から100までの全標本の集合
931…渋滞度0の標本集合の平均値
932…渋滞度0の標本集合の最頻値
933…渋滞度0の標本集合の中央値
941…渋滞度100の標本集合の平均値
942…渋滞度100の標本集合の最頻値
943…渋滞度100の標本集合の中央値
901…渋滞度0の標本集合の代表点と渋滞度100の標本集合の代表点を通り、渋滞度が0より大きく100より小さい標本集合との二乗誤差が最小となるように定めた双曲線
T1〜T3…名義尺度変数とダミー変数の関係表
T4〜T7…各変数の標本
T8〜T11…多変量回帰モデル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,道路属性情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する
旅行時間推計方法であって、
前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する過程と、
前記処理対象とする道路リンクに応じた前記リンク旅行時間情報と道路リンク長に基づいて単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する過程と、
前記処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度から正規化リンク旅行時間を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を1つまたは複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立なリンク渋滞度のn次式として算出する過程と、
前記第1変換式の各係数を目的変数とし、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数とし、重回帰分析及び数量化理論I類分析の混合モデルによって回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める過程と、
旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する過程と、
旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための第2変換式の係数を算出する過程と、
前記算出された係数を前記第2変換式に適用し、推計時刻におけるリンク渋滞度を当該変換式に代入して、旅行時間推計対象となる道路リンクの正規化リンク旅行時間の推定値を算出する過程と、
前記旅行時間推計対象となる道路リンクに対して推計された正規化リンク旅行時間NT(l2)に、当該道路のリンク長を乗ずることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する過程と、
を有すること特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項2】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する
旅行時間推計方法であって、
道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理過程と、
前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する正規化リンク旅行時間算出処理過程と、
前記算出された過去の正規化リンク旅行時間NT(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式の式とし、
【数1】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程と、
前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数rCt(l1)を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程と、
【数2】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた過去の前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理過程と、
当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部もしくは全てを前記回帰式の式2に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程と、
【数3】
前記算出された係数を前記変換式の式3に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間の推定値NT(l2)を算出する正規化リンク旅行時間推計処理過程と、
前記道路リンクの正規化リンク旅行時間NT(l2)に当該道路のリンク長L(l2)を乗ずることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理過程と、
を有すること特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項3】
請求項2に記載の旅行時間推計方法において、
前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程が、
リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用して計算する過程、
【数4】
を有し、
変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程が、
式4の係数rC0(l1)、rC1(l1)を目的変数として計算し、
道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式として計算する過程、
【数5】
を有し、
第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程が、
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式を以下の式を採用して計算する過程、
【数6】
を有する、
ことを特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項4】
請求項2に記載の旅行時間推計方法において、
前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程が、
リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用し計算する過程、
【数7】
を有し、
前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程が、
式8、式9、式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する過程、
【数8】
を有し、
前記第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程が、
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用して計算する過程、
【数9】
を有し、
前記式8,式9,式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程が、
前記係数minC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最小値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の切片の値とし、
前記係数maxC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最大値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の、渋滞度が最大値である点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とし、
前記係数midleC0(l1)、midleC1(l1)を、
道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データの全てを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、
もしくは、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、リンク渋滞度が最小値または最大値であるデータを除いた標本データを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、
もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものとそれ以外の標本データに分け、midleC0(l1)は渋滞度が最小値の標本データの代表点とし、midleC1(l1)は渋滞度が最小値以外の標本データを用いて最小二乗法により求めた値とするか、
もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものと渋滞度が最大のものと、それ以外の3つの標本データに分け、渋滞度が最小値の標本データの代表点と渋滞度が最大値の標本データの代表点を結んで得られる直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)として、
計算する過程を有する、
ことを特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項5】
処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,道路属性情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する
旅行時間推計方法であって、
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する
旅行時間推計方法であって、
前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する過程と、
処理対象となる道路リンクに応じた前記リンク旅行時間T(l1)とリンク長からリンク旅行速度V(l1)を算出する過程と、
前記算出された過去のリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立な渋滞度のn次式もしくは−1次式として算出する過程と、
前記第1変換式の各係数を目的変数とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数として、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める過程と、
旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する過程と、
旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該道路リンクの渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第2変換式の係数を算出する過程と、
前記係数を前記第2変換式に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出する過程と、
前記算出された旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長を割ることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する過程と、
を有することを特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項6】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する
旅行時間推計方法であって、
道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理過程と、
前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理過程と、
前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式とし、
【数10】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、
前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程と、
【数11】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理過程と、
当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式19に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、
【数12】
前記係数rCt(l2)を前記変換式の式20に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理過程と、
前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理過程と、
を有することを特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項7】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する
旅行時間推計方法であって、
道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理過程と、
前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理過程と、
前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)の−1次式とし、
【数13】
上記式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、
前記変換式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を目的変換とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程と、
【数14】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理過程と、
当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式22,式23,式24に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、
【数15】
前記係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を前記変換式の式25に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理過程と、
前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理過程と、
を有することを特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項8】
請求項7に記載の旅行時間推計方法において、
前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程が、
リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式に以下のJ(l1)の−1次式を採用して計算する過程、
【数16】
を有し、
前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程が、
式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する過程、
【数17】
を有し、
前記第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程が、
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用し計算する過程、
【数18】
を有し、
式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を算出する前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程が、
各道路リンクl1のminC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)は、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)の組からなる標本データを、リンク渋滞度J(l1)が最小値であるものと、リンク渋滞度J(l1)が最大値であるものと、それ以外のものの3つの標本データに分類し、
minC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、
maxC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、
midleC0(l1),midleC1(l1),midleC2(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第1点とし、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第2点とし、第1点と第2点を通過し、リンク渋滞度が、「最小値<J(l1)<最大値」である標本データとの2乗誤差が最小となる双曲線を定めるmidleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)の値とする、
過程を有する、
ことを特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項9】
道路リンクを移動するために要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測方法であって、
道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、当該道路リンクの将来の渋滞状況を予測する過程と、
予測された渋滞状況から当該道路リンクの予測リンク渋滞度を算出する過程と、
請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を用いて、前記算出された予測リンク渋滞度から道路リンク旅行時間の予測値を算出する過程と、
を有することを特徴とする旅行時間予測方法。
【請求項10】
道路リンクを移動するのに要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測方法であって、
道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、過去もしくは現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計を行う過程と、
当該道路リンクの過去の渋滞情報から過去の渋滞度を算出し、
請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を用いて、前記算出された過去の渋滞度から当該道路リンクの過去のリンク旅行時間の推計値を算出する
過去の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計過程と、
当該道路リンクの現在の渋滞情報から現在の渋滞度を算出し、
請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を用いて、前記算出された現在の渋滞度から当該道路リンクの現在のリンク旅行時間の推計値を算出する
現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計過程と、
前記推計されたリンク旅行時間のいずれか一つ、もしくは両方を用いて、当該道路リンクの将来のリンク旅行時間を予測する過程と、
を有することを特徴とする旅行時間予測方法。
【請求項11】
処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,道路属性情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、
前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する手段と、
前記処理対象とする道路リンクに応じた前記リンク旅行時間情報と道路リンク長に基づいて単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する手段と、
前記処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度から正規化リンク旅行時間を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を1つまたは複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立なリンク渋滞度のn次式として算出する手段と、
前記第1変換式の各係数を目的変数とし、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数とし、重回帰分析及び数量化理論I類分析の混合モデルによって回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める手段と、
旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する手段と、
旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための第2変換式の係数を算出する手段と、
前記算出された係数を前記第2変換式に適用し、推計時刻におけるリンク渋滞度を当該変換式に代入して、旅行時間推計対象となる道路リンクの正規化リンク旅行時間の推定値を算出する手段と、
前記旅行時間推計対象となる道路リンクに対して推計された正規化リンク旅行時間NT(l2)に、当該道路のリンク長を乗ずることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する手段と、
を備えること特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項12】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、
道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理手段と、
前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する正規化リンク旅行時間算出処理手段と、
前記算出された過去の正規化リンク旅行時間NT(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式の式とし、
【数19】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段と、
前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数rCt(l1)を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段と、
【数20】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた過去の前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理手段と、
当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部もしくは全てを前記回帰式の式2に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理手段と、
【数21】
前記算出された係数を前記変換式の式3に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間の推定値NT(l2)を算出する正規化リンク旅行時間推計処理手段と、
前記道路リンクの正規化リンク旅行時間NT(l2)に当該道路のリンク長L(l2)を乗ずることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理手段と、
を備えること特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項13】
請求項12に記載の旅行時間推計装置において、
前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段が、
リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用して計算する手段、
【数22】
を備え、
対応する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段が、
式4の係数rC0(l1)、rC1(l1)を目的変数として計算し、
道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式として計算する手段、
【数23】
を備え、
第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理手段が、
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式を以下の式を採用して計算する手段、
【数24】
を備える、
ことを特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項14】
請求項12に記載の旅行時間推計装置において、
前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段が、
リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用し計算する手段、
【数25】
を備え、
前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段が、
式8、式9、式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する手段、
【数26】
を備え、
前記第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理手段が、
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用して計算する手段、
【数27】
を備え、
前記式8,式9,式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段が、
前記係数minC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最小値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の切片の値とし、
前記係数maxC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最大値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の、渋滞度が最大値である点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とし、
前記係数midleC0(l1)、midleC1(l1)を、
道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データの全てを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、
もしくは、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、リンク渋滞度が最小値または最大値であるデータを除いた標本データを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、
もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものとそれ以外の標本データに分け、midleC0(l1)は渋滞度が最小値の標本データの代表点とし、midleC1(l1)は渋滞度が最小値以外の標本データを用いて最小二乗法により求めた値とするか、
もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものと渋滞度が最大のものと、それ以外の3つの標本データに分け、渋滞度が最小値の標本データの代表点と渋滞度が最大値の標本データの代表点を結んで得られる直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)として、
計算する手段を有する、
ことを特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項15】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、
前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する手段と、
処理対象となる道路リンクに応じた前記リンク旅行時間T(l1)とリンク長からリンク旅行速度V(l1)を算出する手段と、
前記算出された過去のリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立な渋滞度のn次式もしくは−1次式として算出する手段と、
前記第1変換式の各係数を目的変数とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数として、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める手段と、
旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する手段と、
旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該道路リンクの渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第2変換式の係数を算出する手段と、
前記係数を前記第2変換式に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出する手段と、
前記算出された旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長を割ることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する手段と、
を備えることを特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項16】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、
道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理手段と、
前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理手段と、
前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式とし、
【数28】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、
前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段と、
【数29】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理手段と、
当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式19に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、
【数30】
前記係数rCt(l2)を前記変換式の式20に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理手段と、
前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理手段と、
を備えることを特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項17】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、
道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理手段と、
前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理手段と、
前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)の−1次式とし、
【数31】
上記式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、
前記変換式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を目的変換とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段と、
【数32】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理手段と、
当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式22,式23,式24に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、
【数33】
前記係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を前記変換式の式25に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理手段と、
前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理手段と、
を備えることを特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項18】
請求項17に記載の旅行時間推計装置において、
前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段が、
リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式に以下のJ(l1)の−1次式を採用して計算する手段、
【数34】
を備え、
前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段が、
式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する手段、
【数35】
を備え、
前記第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段が、
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用し計算する手段、
【数36】
を備え、
式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を算出する前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段が、
各道路リンクl1のminC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)は、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)の組からなる標本データを、リンク渋滞度J(l1)が最小値であるものと、リンク渋滞度J(l1)が最大値であるものと、それ以外のものの3つの標本データに分類し、
minC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、
maxC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、
midleC0(l1),midleC1(l1),midleC2(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第1点とし、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第2点とし、第1点と第2点を通過し、リンク渋滞度が、「最小値<J(l1)<最大値」である標本データとの2乗誤差が最小となる双曲線を定めるmidleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)の値とする、手段を備える、
ことを特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項19】
道路リンクを移動するために要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測装置であって、
道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、当該道路リンクの将来の渋滞状況を予測する手段と、
予測された渋滞状況から当該道路リンクの予測リンク渋滞度を算出する手段と、
請求項11乃至18のいずれかに記載の旅行時間推計装置を用いて、前記算出された予測リンク渋滞度から道路リンク旅行時間の予測値を算出する手段と、
を備えることを特徴とする旅行時間予測装置。
【請求項20】
道路リンクを移動するのに要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測装置であって、
道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、過去もしくは現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計を行う手段と、
当該道路リンクの過去の渋滞情報から過去の渋滞度を算出し、
請求項11乃至18のいずれかに記載の旅行時間推計装置を用いて、前記算出された過去の渋滞度から当該道路リンクの過去のリンク旅行時間の推計値を算出する
過去の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計手段と、
当該道路リンクの現在の渋滞情報から現在の渋滞度を算出し、
請求項11乃至18のいずれかに記載の旅行時間推計装置を用いて、前記算出された現在の渋滞度から当該道路リンクの現在のリンク旅行時間の推計値を算出する
現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計手段と、
前記推計されたリンク旅行時間のいずれか一つ、もしくは両方を用いて、当該道路リンクの将来のリンク旅行時間を予測する手段と、
を備えることを特徴とする旅行時間予測装置。
【請求項21】
請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述したことを特徴とする旅行時間推計プログラム。
【請求項22】
請求項9または10に記載の旅行時間予測方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述したことを特徴とする旅行時間予測プログラム。
【請求項23】
請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述し、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
【請求項24】
請求項9または10に記載の旅行時間予測方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述し、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
【請求項1】
処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,道路属性情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する
旅行時間推計方法であって、
前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する過程と、
前記処理対象とする道路リンクに応じた前記リンク旅行時間情報と道路リンク長に基づいて単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する過程と、
前記処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度から正規化リンク旅行時間を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を1つまたは複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立なリンク渋滞度のn次式として算出する過程と、
前記第1変換式の各係数を目的変数とし、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数とし、重回帰分析及び数量化理論I類分析の混合モデルによって回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める過程と、
旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する過程と、
旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための第2変換式の係数を算出する過程と、
前記算出された係数を前記第2変換式に適用し、推計時刻におけるリンク渋滞度を当該変換式に代入して、旅行時間推計対象となる道路リンクの正規化リンク旅行時間の推定値を算出する過程と、
前記旅行時間推計対象となる道路リンクに対して推計された正規化リンク旅行時間NT(l2)に、当該道路のリンク長を乗ずることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する過程と、
を有すること特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項2】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する
旅行時間推計方法であって、
道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理過程と、
前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する正規化リンク旅行時間算出処理過程と、
前記算出された過去の正規化リンク旅行時間NT(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式の式とし、
【数1】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程と、
前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数rCt(l1)を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程と、
【数2】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた過去の前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理過程と、
当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部もしくは全てを前記回帰式の式2に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程と、
【数3】
前記算出された係数を前記変換式の式3に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間の推定値NT(l2)を算出する正規化リンク旅行時間推計処理過程と、
前記道路リンクの正規化リンク旅行時間NT(l2)に当該道路のリンク長L(l2)を乗ずることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理過程と、
を有すること特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項3】
請求項2に記載の旅行時間推計方法において、
前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程が、
リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用して計算する過程、
【数4】
を有し、
変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程が、
式4の係数rC0(l1)、rC1(l1)を目的変数として計算し、
道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式として計算する過程、
【数5】
を有し、
第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程が、
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式を以下の式を採用して計算する過程、
【数6】
を有する、
ことを特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項4】
請求項2に記載の旅行時間推計方法において、
前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程が、
リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用し計算する過程、
【数7】
を有し、
前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程が、
式8、式9、式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する過程、
【数8】
を有し、
前記第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理過程が、
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用して計算する過程、
【数9】
を有し、
前記式8,式9,式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理過程が、
前記係数minC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最小値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の切片の値とし、
前記係数maxC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最大値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の、渋滞度が最大値である点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とし、
前記係数midleC0(l1)、midleC1(l1)を、
道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データの全てを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、
もしくは、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、リンク渋滞度が最小値または最大値であるデータを除いた標本データを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、
もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものとそれ以外の標本データに分け、midleC0(l1)は渋滞度が最小値の標本データの代表点とし、midleC1(l1)は渋滞度が最小値以外の標本データを用いて最小二乗法により求めた値とするか、
もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものと渋滞度が最大のものと、それ以外の3つの標本データに分け、渋滞度が最小値の標本データの代表点と渋滞度が最大値の標本データの代表点を結んで得られる直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)として、
計算する過程を有する、
ことを特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項5】
処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,道路属性情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する
旅行時間推計方法であって、
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する
旅行時間推計方法であって、
前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する過程と、
処理対象となる道路リンクに応じた前記リンク旅行時間T(l1)とリンク長からリンク旅行速度V(l1)を算出する過程と、
前記算出された過去のリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立な渋滞度のn次式もしくは−1次式として算出する過程と、
前記第1変換式の各係数を目的変数とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数として、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める過程と、
旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する過程と、
旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該道路リンクの渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第2変換式の係数を算出する過程と、
前記係数を前記第2変換式に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出する過程と、
前記算出された旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長を割ることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する過程と、
を有することを特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項6】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する
旅行時間推計方法であって、
道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理過程と、
前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理過程と、
前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式とし、
【数10】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、
前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程と、
【数11】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理過程と、
当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式19に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、
【数12】
前記係数rCt(l2)を前記変換式の式20に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理過程と、
前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理過程と、
を有することを特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項7】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する装置に使用する
旅行時間推計方法であって、
道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理過程と、
前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理過程と、
前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)の−1次式とし、
【数13】
上記式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、
前記変換式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を目的変換とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程と、
【数14】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理過程と、
当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式22,式23,式24に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程と、
【数15】
前記係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を前記変換式の式25に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理過程と、
前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理過程と、
を有することを特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項8】
請求項7に記載の旅行時間推計方法において、
前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程が、
リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式に以下のJ(l1)の−1次式を採用して計算する過程、
【数16】
を有し、
前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理過程が、
式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する過程、
【数17】
を有し、
前記第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程が、
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用し計算する過程、
【数18】
を有し、
式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を算出する前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理過程が、
各道路リンクl1のminC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)は、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)の組からなる標本データを、リンク渋滞度J(l1)が最小値であるものと、リンク渋滞度J(l1)が最大値であるものと、それ以外のものの3つの標本データに分類し、
minC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、
maxC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、
midleC0(l1),midleC1(l1),midleC2(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第1点とし、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第2点とし、第1点と第2点を通過し、リンク渋滞度が、「最小値<J(l1)<最大値」である標本データとの2乗誤差が最小となる双曲線を定めるmidleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)の値とする、
過程を有する、
ことを特徴とする旅行時間推計方法。
【請求項9】
道路リンクを移動するために要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測方法であって、
道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、当該道路リンクの将来の渋滞状況を予測する過程と、
予測された渋滞状況から当該道路リンクの予測リンク渋滞度を算出する過程と、
請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を用いて、前記算出された予測リンク渋滞度から道路リンク旅行時間の予測値を算出する過程と、
を有することを特徴とする旅行時間予測方法。
【請求項10】
道路リンクを移動するのに要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測方法であって、
道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、過去もしくは現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計を行う過程と、
当該道路リンクの過去の渋滞情報から過去の渋滞度を算出し、
請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を用いて、前記算出された過去の渋滞度から当該道路リンクの過去のリンク旅行時間の推計値を算出する
過去の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計過程と、
当該道路リンクの現在の渋滞情報から現在の渋滞度を算出し、
請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を用いて、前記算出された現在の渋滞度から当該道路リンクの現在のリンク旅行時間の推計値を算出する
現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計過程と、
前記推計されたリンク旅行時間のいずれか一つ、もしくは両方を用いて、当該道路リンクの将来のリンク旅行時間を予測する過程と、
を有することを特徴とする旅行時間予測方法。
【請求項11】
処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,道路属性情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、
前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する手段と、
前記処理対象とする道路リンクに応じた前記リンク旅行時間情報と道路リンク長に基づいて単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する手段と、
前記処理対象とする道路リンクに応じた過去のリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度から正規化リンク旅行時間を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を1つまたは複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立なリンク渋滞度のn次式として算出する手段と、
前記第1変換式の各係数を目的変数とし、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数とし、重回帰分析及び数量化理論I類分析の混合モデルによって回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める手段と、
旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する手段と、
旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための第2変換式の係数を算出する手段と、
前記算出された係数を前記第2変換式に適用し、推計時刻におけるリンク渋滞度を当該変換式に代入して、旅行時間推計対象となる道路リンクの正規化リンク旅行時間の推定値を算出する手段と、
前記旅行時間推計対象となる道路リンクに対して推計された正規化リンク旅行時間NT(l2)に、当該道路のリンク長を乗ずることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する手段と、
を備えること特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項12】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、
道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理手段と、
前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、単位長さ当りの正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出する正規化リンク旅行時間算出処理手段と、
前記算出された過去の正規化リンク旅行時間NT(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式の式とし、
【数19】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段と、
前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数rCt(l1)を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段と、
【数20】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた過去の前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理手段と、
当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部もしくは全てを前記回帰式の式2に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理手段と、
【数21】
前記算出された係数を前記変換式の式3に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクの正規化リンク旅行時間の推定値NT(l2)を算出する正規化リンク旅行時間推計処理手段と、
前記道路リンクの正規化リンク旅行時間NT(l2)に当該道路のリンク長L(l2)を乗ずることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出する正規化リンク旅行時間−リンク旅行時間変換処理手段と、
を備えること特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項13】
請求項12に記載の旅行時間推計装置において、
前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段が、
リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用して計算する手段、
【数22】
を備え、
対応する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段が、
式4の係数rC0(l1)、rC1(l1)を目的変数として計算し、
道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式は、以下の式として計算する手段、
【数23】
を備え、
第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理手段が、
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式を以下の式を採用して計算する手段、
【数24】
を備える、
ことを特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項14】
請求項12に記載の旅行時間推計装置において、
前記第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段が、
リンク渋滞度J(l1)から正規化リンク旅行時間NT(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式にJ(l1)の以下の一次式を採用し計算する手段、
【数25】
を備え、
前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段が、
式8、式9、式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する手段、
【数26】
を備え、
前記第2リンク渋滞度−正規化旅行時間変換式係数算出処理手段が、
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用して計算する手段、
【数27】
を備え、
前記式8,式9,式10の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)を算出する第1リンク渋滞度−正規化リンク旅行時間変換式係数算出処理手段が、
前記係数minC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最小値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の切片の値とし、
前記係数maxC0(l1)を、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、渋滞度が最大値だけのものからなる標本データの代表点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とするか、もしくは全ての渋滞度の標本データについて最小二乗法により求めた回帰直線の、渋滞度が最大値である点の正規化リンク旅行時間NT(l1)の値とし、
前記係数midleC0(l1)、midleC1(l1)を、
道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データの全てを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、
もしくは、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の蓄積された過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データのうち、リンク渋滞度が最小値または最大値であるデータを除いた標本データを用いて回帰分析して得られる回帰直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)とするか、
もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものとそれ以外の標本データに分け、midleC0(l1)は渋滞度が最小値の標本データの代表点とし、midleC1(l1)は渋滞度が最小値以外の標本データを用いて最小二乗法により求めた値とするか、
もしくは、リンク渋滞度J(l1)と正規化リンク旅行時間NT(l1)の組からなる標本データを、渋滞度が最小値だけのものと渋滞度が最大のものと、それ以外の3つの標本データに分け、渋滞度が最小値の標本データの代表点と渋滞度が最大値の標本データの代表点を結んで得られる直線の切片をmidleC0(l1)、傾きをmidleC1(l1)として、
計算する手段を有する、
ことを特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項15】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、
前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する手段と、
処理対象となる道路リンクに応じた前記リンク旅行時間T(l1)とリンク長からリンク旅行速度V(l1)を算出する手段と、
前記算出された過去のリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第1変換式の係数を、渋滞度の値域を複数の区間に分けて、それぞれが互いに独立な渋滞度のn次式もしくは−1次式として算出する手段と、
前記第1変換式の各係数を目的変数とし、該当する道路リンクの道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報を説明変数とし、名義尺度で表現される属性情報もダミー変数化することによって説明変数として、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析を行い、前記係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する回帰式を求める手段と、
旅行時間推計対象となる道路リンクに応じた過去の渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した過去の渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する手段と、
旅行時間推計対象となる道路リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式に適用して、当該道路リンクの渋滞度からリンク旅行速度を算出するための第2変換式の係数を算出する手段と、
前記係数を前記第2変換式に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、当該旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出する手段と、
前記算出された旅行時間推計対象となる道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長を割ることによって、当該道路リンクの旅行時間の推定値を算出する手段と、
を備えることを特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項16】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、
道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理手段と、
前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理手段と、
前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)のn次式とし、
【数28】
上記式の係数rCt(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、
前記変換式の係数rCt(l1)を目的変数とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段と、
【数29】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理手段と、
当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式19に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rCt(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、
【数30】
前記係数rCt(l2)を前記変換式の式20に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理手段と、
前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理手段と、
を備えることを特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項17】
処理対象とする道路リンクの交通状況および属性に関する情報であり、リンク旅行時間提供リンクの過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報,リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報,リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性データ,リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を収集もしくは蓄積する道路交通情報収集蓄積装置を備え、
前記道路リンクを移動するために要する道路リンク旅行時間を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間推計装置であって、
道路リンクl1に対応した前記過去のリンク旅行時間情報とリンク渋滞情報を道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その過去のリンク渋滞情報から当該道路リンクの渋滞度J(l1)を算出する第1リンク渋滞度算出処理手段と、
前記道路リンク長L(l1)と前記過去のリンク旅行時間T(l1)とから、当該リンクのリンク旅行速度V(l1)を算出するリンク旅行速度算出処理手段と、
前記算出された過去のリンク旅行速度V(l1)とリンク渋滞度J(l1)との関係を用いて、リンク渋滞度J(l1)の最小値から最大値までの区間を、一つまたは複数の有限個の区間に分割し、分割された各渋滞度の区間ごとに、リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を、以下のJ(l1)の−1次式とし、
【数31】
上記式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を算出する第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、
前記変換式の係数rC0(l1)、rC1(l1)、rC2(l1)を目的変換とし、該当する前記リンク旅行時間提供リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の内、比尺度で表現される属性情報Pi(l1)と名義尺度で表現される属性情報をダミー変数化したQjk(l1)の一部または全てを説明変数として、目的変数と説明変数の関連を、重回帰分析と数量化理論I類分析の混合モデルにより回帰分析し、前記変換式の係数を前記道路属性情報の一部または全てから算出する以下の回帰式を算出する変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段と、
【数32】
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2に応じた前記リンク旅行時間推計対象リンクの渋滞情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した渋滞情報に基づいて当該道路リンクの渋滞度J(l2)を算出する第2リンク渋滞度算出処理手段と、
当該リンク旅行時間推計対象リンクの道路属性情報を前記道路交通情報収集蓄積装置から取得し、その取得した道路属性情報の一部または全てを前記回帰式の式22,式23,式24に適用して、当該道路リンクの渋滞度J(l2)からリンク旅行速度V(l2)を算出するための以下の変換式の係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を算出する第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段と、
【数33】
前記係数rC0(l2)、rC1(l2)、rC2(l2)を前記変換式の式25に適用し、推計対象時刻のリンク渋滞度J(l2)を当該変換式に代入して、リンク旅行時間推計対象リンクのリンク旅行速度の推定値V(l2)を算出するリンク旅行速度推計処理手段と、
前記道路リンクのリンク旅行速度V(l2)で当該道路のリンク長L(l2)を割ることにより当該道路のリンク旅行時間の推定値T(l2)を算出するリンク旅行速度−リンク旅行時間変換処理手段と、
を備えることを特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項18】
請求項17に記載の旅行時間推計装置において、
前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段が、
リンク渋滞度J(l1)からリンク旅行速度V(l1)を算出するための変換式を定める渋滞度の区間を、「渋滞度J(l1)=最小値」、「最小値<渋滞度J(l1)<最大値」、「渋滞度J(l1)=最大値」の3つに分割し、各区間における変換式に以下のJ(l1)の−1次式を採用して計算する手段、
【数34】
を備え、
前記変換式係数と道路属性情報の重回帰分析及び数量化I類混合モデル回帰分析処理手段が、
式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を目的変数とし、道路リンクl1の属性情報を説明変数とする回帰式に、以下の式を採用して計算する手段、
【数35】
を備え、
前記第2リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段が、
リンク旅行時間推計の対象となる道路リンクl2の渋滞度J(l2)から正規化リンク旅行時間NT(l2)を算出するための変換式に、以下の式を採用し計算する手段、
【数36】
を備え、
式26,式27,式28の係数minC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)を算出する前記第1リンク渋滞度−リンク旅行速度変換式係数算出処理手段が、
各道路リンクl1のminC0(l1)、maxC0(l1)、midleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)は、前記道路交通情報収集蓄積装置から取得した道路リンクl1の過去の渋滞情報と旅行時間情報から得られるリンク渋滞度J(l1)とリンク旅行速度V(l1)の組からなる標本データを、リンク渋滞度J(l1)が最小値であるものと、リンク渋滞度J(l1)が最大値であるものと、それ以外のものの3つの標本データに分類し、
minC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、
maxC0(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値とし、
midleC0(l1),midleC1(l1),midleC2(l1)は、リンク渋滞度J(l1)が最小値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第1点とし、リンク渋滞度J(l1)が最大値である標本データのリンク旅行速度V(l1)の平均値もしくは最頻値もしくは中央値を第2点とし、第1点と第2点を通過し、リンク渋滞度が、「最小値<J(l1)<最大値」である標本データとの2乗誤差が最小となる双曲線を定めるmidleC0(l1)、midleC1(l1)、midleC2(l1)の値とする、手段を備える、
ことを特徴とする旅行時間推計装置。
【請求項19】
道路リンクを移動するために要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測装置であって、
道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、当該道路リンクの将来の渋滞状況を予測する手段と、
予測された渋滞状況から当該道路リンクの予測リンク渋滞度を算出する手段と、
請求項11乃至18のいずれかに記載の旅行時間推計装置を用いて、前記算出された予測リンク渋滞度から道路リンク旅行時間の予測値を算出する手段と、
を備えることを特徴とする旅行時間予測装置。
【請求項20】
道路リンクを移動するのに要する将来の道路リンク旅行時間の予測値を当該道路リンクの渋滞情報から算出する旅行時間予測装置であって、
道路リンク旅行時間予測の対象となる道路リンクについて、過去もしくは現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計を行う手段と、
当該道路リンクの過去の渋滞情報から過去の渋滞度を算出し、
請求項11乃至18のいずれかに記載の旅行時間推計装置を用いて、前記算出された過去の渋滞度から当該道路リンクの過去のリンク旅行時間の推計値を算出する
過去の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計手段と、
当該道路リンクの現在の渋滞情報から現在の渋滞度を算出し、
請求項11乃至18のいずれかに記載の旅行時間推計装置を用いて、前記算出された現在の渋滞度から当該道路リンクの現在のリンク旅行時間の推計値を算出する
現在の渋滞情報に基づくリンク旅行時間推計手段と、
前記推計されたリンク旅行時間のいずれか一つ、もしくは両方を用いて、当該道路リンクの将来のリンク旅行時間を予測する手段と、
を備えることを特徴とする旅行時間予測装置。
【請求項21】
請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述したことを特徴とする旅行時間推計プログラム。
【請求項22】
請求項9または10に記載の旅行時間予測方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述したことを特徴とする旅行時間予測プログラム。
【請求項23】
請求項1乃至8のいずれかに記載の旅行時間推計方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述し、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
【請求項24】
請求項9または10に記載の旅行時間予測方法を、コンピュータで実行可能なコンピュータプログラムとして記述し、そのコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−282161(P2008−282161A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124847(P2007−124847)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】
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