説明

旅行時間提供装置、旅行時間提供方法及び旅行時間提供プログラム

【課題】出発地から目的地までのルートの中に、複数のノードを有する交差点が含まれるときに、ルート旅行時間を精度良く算出できるようなリンク旅行時間を設定する。
【解決手段】リンク旅行時間提供装置1は、地図情報記憶部21、位置情報検出部12、リンクマッチ処理部31、マッチング結果記憶部32、リンク旅行時間算出部37を備える。リンク旅行時間算出部37は、リンク旅行時間の算出対象リンクが複数のノードを含む交差点の上流側でその交差点に直接つながるリンクであるとき、交差点から退出する退出リンクごとに、対象リンク及び交差点を通過するのに要した時間を対象リンクのリンク旅行時間として算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の位置情報を地図上で道路などを示すリンクと対応付けて、移動体が移動したと推定される経路の走行リンク及び走行ルートの移動に要した旅行時間を計測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPSなどを用いて車両などの移動体の位置を計測し、その移動体の位置を地図上のリンクと対応付けるための技術として、リンクマッチングが用いられている。例えば、走行リンクを確定し、確定した走行リンクのリンク旅行時間を算出する技術として、特許文献1記載の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−101504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、交差点の上流につながるリンクに左折レーン、直進レーン及び右折レーンがある場合、交差点の混雑時には右折レーンのみが混雑することもしばしば見受けられる。例えば、中央分離帯がある比較的大きな道路同士の交差点で、交差点内に複数のノードが設定されている場合には、その交差点内のリンクを直進車両は高速で通り抜け、右折車両はしばらく留まるようなこともしばしば起こる。また、合流箇所などでは、合流レーンと直進レーンとで車両の速度が異なることもある。従って、リンク旅行時間は走行レーン別(退出していくリンクごと又は進行してきたリンクごと)に設定することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、出発地から目的地までのルートの中に、複数のノードを有する交差点が含まれるときであっても、ルート旅行時間を精度良く算出できるようなリンク旅行時間を設定することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施態様態に係るリンク旅行時間提供装置は、ノード及びリンクにより構成される地図情報を記憶する地図情報記憶部と、異なる時刻における移動体の位置を示す移動体位置情報を記憶する位置情報記憶部と、前記地図情報及び前記移動体位置情報に基づいて、前記異なる時刻における移動体の位置のそれぞれを一のリンクにマッチングさせるリンクマッチ処理部と、前記移動体位置情報及び前記マッチングの結果に基づいて、リンク旅行時間の算出対象となる対象リンクのリンク旅行時間を算出するリンク旅行時間算出部であって、前記対象リンクが複数のノードを含む交差点の上流側で前記交差点に直接つながるリンクであるとき、前記交差点から退出する退出リンクごとに、前記対象リンク及び前記交差点を通過するのに要した時間を前記対象リンクのリンク旅行時間として算出する、前記リンク旅行時間算出部と、を備える。
【0007】
好適な実施態様では、交差点内の前記複数のノードを一つの仮想ノードに置換する置換処理部をさらに有し、前記リンク旅行時間算出部は、前記対象リンクが前記仮想ノードの上流側に直接つながるリンクであるとき、前記仮想ノードに直接つながる前記対象リンク以外のリンクを前記退出リンクとして、前記退出リンクごとの対象リンクのリンク旅行時間を算出するようにしてもよい。
【0008】
好適な実施態様では、前記仮想ノードに置換した後のリンク構成において、前記対象リンクを通過した移動体を特定し、前記特定された移動体が前記対象リンクを通過するのに要した時間を前記退出リンクごとに区分し、前記退出リンクごとの対象リンクのリンク旅行時間を算出するようにしてもよい。
【0009】
好適な実施態様では、前記退出リンクごとの対象リンクのリンク旅行時間と、前記対象リンクの識別情報に前記退出リンクの識別情報を結合させた結合識別情報とを対応付けて記憶するリンク旅行時間記憶部と、をさらに備えてもよい。
【0010】
好適な実施態様では、前記対象リンクの識別情報は、前記対象リンクの両端のノードの識別情報により特定されていて、前記退出リンクの識別情報は、前記交差点内の複数のノードのうちのいずれか一つと前記退出リンクを介してつながるノードの識別情報を用いて特定されていて、前記結合識別情報は、前記対象リンクの両端のノードの識別情報及び前記交差点内の複数のノードのうちのいずれか一つと前記退出リンクを介してつながるノードの識別情報を用いた3個以上のノードの識別情報により特定されているようにしてもよい。
【0011】
好適な実施態様では、操作者が指定した出発地及び目的地に基づいて、前記出発地から前記目的地までのルートを設定するルート設定部と、前記ルート設定部により設定されたルートに含まれる各リンクのリンク旅行時間に基づいてルート旅行時間を算出するルート旅行時間算出部であって、前記退出リンクごとのリンク旅行時間を有するリンクについては、前記設定されたルートでの退出リンクに対応するリンク旅行時間を用いる、前記ルート旅行時間算出部と、をさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るリンク旅行時間提供システムの構成図である。
【図2】プローブデータ記憶部のデータ構造の一例を示す。
【図3】マッチング結果記憶部のデータ構造の一例を示す。
【図4】日別リンク旅行時間記憶部のデータ構造の一例を示す。
【図5】第1の実施形態における交差点内のリンク及びノードとリンクIDとの関係の一例を示す。
【図6】第1の実施形態における交差点内のリンク及びノードとリンクIDとの関係の一例を示す。
【図7】統計リンク旅行時間記憶部のデータ構造の一例を示す。
【図8】第1の実施形態におけるリンク旅行時間処理を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施形態におけるルート旅行時間の照会を受け付けたときのルート旅行時間の算出処理を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態における交差点内のリンク及びノードとリンクIDとの関係の一例を示す。
【図11】第2の実施形態における複数ノードを有する交差点の上流につながるリンクLのリンク旅行時間を算出する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の旅行時間提供装置、旅行時間提供方法及び旅行時間提供プログラムを2つの実施形態を用いて説明する。
【0014】
はじめに、第1の実施形態について説明する。本実施形態においては、後述する通り、交差点内のノードが1個の場合を想定している。
【0015】
本実施形態に係る旅行時間提供装置1は、主として、中央演算処理装置、記憶装置、入出力装置及び通信装置を備えるコンピュータにより構成されている。そして、図1及び以下に説明する旅行時間提供装置1の個々の構成要素または機能は、コンピュータプログラムとして本実施形態の旅行時間提供装置1にインストールされた本実施形態の旅行時間提供プログラムを実行することにより実現される。これら本実施形態の旅行時間提供プログラムは、例えばコンピュータを用いる場合に本実施形態の旅行時間提供方法を具体的に実現するためのコンピュータプログラムであり、例えば旅行時間提供装置1の記憶装置など、旅行時間提供装置1が読み取り可能な記録媒体に格納されている。
【0016】
本実施形態の旅行時間提供装置1は、図1に示すように、地図情報記憶部21、位置情報検出部12、リンクマッチ処理部31、マッチング結果記憶部32及びリンク旅行時間算出部37を備える。また、本実施形態の旅行時間提供装置1は、任意の構成要素又は機能として、日別リンク旅行時間記憶部41、統計処理部45、統計リンク旅行時間記憶部43、リンク旅行時間出力部39、ルート設定部51、ルート旅行時間算出部52及びルート旅行時間出力部53を更に備える。
【0017】
地図情報記憶部21は、道路網の地図情報を記憶している。この地図情報は、道路を構成する多数のノードN及びリンクLに関する情報を含んでおり、リンク単位で定義されている。つまり、地図情報においては、各ノードN又は各リンクLの識別情報並びに緯度及び経度により示されるリンクLの位置情報が記憶されている。各リンクLを識別する場合、少なくとも各ノードN又は各リンクLのどちらか一方に識別情報が付されていれば、地図情報に含まれる全てのリンクLを識別することができる。
【0018】
位置情報検出部12は、移動体の位置情報を検出する構成要素であり、図1に示すように、プローブ情報受信部11及びプローブ情報記憶部13を有している。
【0019】
プローブ情報受信部11は、図示しないプローブ情報提供システムからプローブ情報を取得する。プローブ情報は、例えば、車両などの移動体に搭載された位置情報検出装置によって検出された位置情報(緯度及び経度)とそのときの時刻とを含む。位置情報検出装置は、例えばGPS(Global Positioning System)機能を利用して位置を検出する機能を備えた情報処理装置であり、例えば、車両取付型または可搬型のカーナビの車載装置あるいはGPS機能付きの携帯電話機などでよい。
【0020】
プローブ情報記憶部13は、プローブ情報受信部11が取得したプローブ情報を記憶する。図2に、プローブ情報記憶部13の情報構造の一例を示す。プローブ情報記憶部13は、図2に示すように、データ項目として、車両ID133と、日時135と、車両位置137とを有する。車両ID133は、各車両の識別情報である。日時135は、車両が車両位置137に存在する日時135を示す。車両位置137は、日時135における緯度及び経度で示される車両位置情報である。
【0021】
つまり、プローブ情報記憶部13は、時々刻々収集されたプローブ情報を蓄積する。本実施形態では、1つの情報レコードがある車両のある時刻の車両位置137を示す。従って、ある車両について、異なる時刻に収集されたプローブ情報が、それぞれ1つの情報レコードとしてプローブ情報記憶部13に格納される。
【0022】
リンクマッチ処理部31は、プローブ情報(移動体の位置情報)と一のリンクLとを対応付けるリンクマッチ処理を行う。リンクマッチ処理部31は、例えば、移動体の位置情報(プローブ情報)に含まれる移動体位置情報(車両位置137)と地図情報に含まれるリンクLの地図情報とを比較して、各々の移動体位置情報(車両位置137)に対する一のリンクLを抽出する。例えば、リンクマッチ処理部31は、プローブ情報記憶部13に記憶されているプローブ情報の1つのレコードごとにリンクマッチ処理を行う。
【0023】
マッチング結果記憶部32は、リンクマッチ処理部31によるマッチング結果を記憶する。図3に、マッチング結果記憶部32の情報構造の一例を示す。プローブ情報記憶部13は、図3に示すように、データ項目として、車両ID133と、日時135と、リンクID139とを有する。リンクID139は、車両ID133に示された車両の日時135に示された日時の車両位置137をリンクマッチによって対応付けたリンク(以下、対象リンクと呼ぶ)Lを示す識別情報である。このリンクID139は、後述するリンクID415とは異なり、進入リンク又は退出リンクを考慮しない、対象リンクL単独の識別情報である。
【0024】
リンク旅行時間算出部37は、プローブデータが示す移動体位置情報及びリンクマッチ処理部31によるマッチング結果に基づいて、リンク旅行時間の算出対象となる対象リンクLのリンク旅行時間を算出する。例えば、リンク旅行時間算出部37は、プローブ情報の日時135を参照し、それぞれの車両が各リンクLを移動するのに要したリンク旅行時間を算出する。リンク旅行時間算出部37が算出したリンク旅行時間は、プローブ情報を取得してから間もない、ほぼリアルタイムの旅行時間となる。
【0025】
日別リンク旅行時間記憶部41は、リンク旅行時間算出部37が算出したリンク旅行時間データを記憶する。
【0026】
日別リンク旅行時間記憶部41は、図4に示すように、データ項目として、日付411と、時間帯413と、リンクID415と、旅行時間417とを有する。日別リンク旅行時間記憶部41には、プローブデータを取得してから間もない、ほぼリアルタイムの旅行時間が保存される。ここで、リンクID415には、対象リンクLの識別情報に進入リンクLの識別情報又は退出リンクLの識別情報、あるいは、進入リンクLの識別情報及び退出リンクLの識別情報の双方を結合させた結合識別情報が記憶される。進入リンクL及び退出リンクLについては、以下に説明する。
【0027】
リンクID415の表記例について図5及び図6を用いて説明する。図5のリンクID415は、車両が対象リンクLから退出した直後に走行したリンクである退出リンクLの識別情報を結合させた識別情報(結合識別情報)を示している。退出リンクLは、対象リンクLの終点となるノードに直接接続されている。このようにして、対象リンクLに対して退出リンク別に異なる識別情報を設定することにより、一の対象リンクを実質的に複数のリンクに分けることができる。同様に、図6のリンクID415は、車両が対象リンクLに進入する直前に走行したリンクである進入リンクLの識別情報を結合させた識別情報(結合識別情報)を示している。進入リンクLは、対象リンクLの始点となるノードに直接接続されている。このようにして、一の対象リンクLに対して、進入リンク別に異なる識別情報を設定することにより、対象リンクを実質的に複数のリンクに分けることができる。
【0028】
図5Aに示すように、対象リンクLをリンクL1とし、退出リンクLをリンクL2(A退出コース)、リンクL3(B退出コース)又はリンクL4(C退出コース)とした場合、A退出コース、B退出コース及びC退出コースに対してそれぞれ異なるリンクID415が設定される。例えば、A退出コースを選択した場合のリンクL1のリンクID415は、図5Bに示す通り、「L1−oL2」(リンク方式)又は「1−4−o2」(ノード方式)となる。ここで、図5Bの表中のリンクID415におけるリンク方式とは、リンクLに識別情報が付されている場合のリンクID415の表記を示している。一方、ノード方式とは、ノードNに識別情報が付されている場合のリンクID415の表記を示している。つまり、リンクL1は、リンク方式では“L1”で表され、ノード方式では“1−4”(ノード1からノード4へ向かうリンクの意)と表される。また、「oL2」及び「o2」に付された「o」は退出(out)リンクLを示す識別情報であり、「L2」(リンク方式)は退出リンクがリンクL2であることを示し、「2」(ノード方式)は、退出リンクの終点のノードNの識別情報が「2」であることを示す。同様に、B退出コース又はC退出コースを選択した場合のリンクL1のリンクID415は図5Bの表に示す通りである。
【0029】
一方、図6Aに示すように、対象リンクLをリンクL4とし、進入リンクLをリンクL1(D進入コース)、リンクL2(E進入コース)又はリンクL3(F進入コース)とした場合、D進入コース、E進入コース及びF進入コースに対してそれぞれ異なるリンクID415が設定される。例えば、D進入コースを選択した場合のリンクL4のリンクID415は、図6Bの表に示す通り、「iL1−L4」(リンク方式)又は「i1−4−5」(ノード方式)となる。ここで、リンク方式及びノード方式の表記方法は、図5の場合と同様である。また、「iL1」及び「i1」に付された「i」は進入(in)リンクLを示す識別情報であり、「L1」(リンク方式)は、進入リンクがリンクL1であることを示し、「1」(ノード方式)は、進入リンクの始点のノードNの識別情報が「1」であることを示す。同様に、E進入コース又はF進入コースを選択した場合のL4のリンクID415は図6Bの表に示す通りである。
【0030】
なお、対象リンクLの識別情報の表記方法として、上記の退出リンク別の識別情報及び進入リンク別の識別情報を組み合わせても良い。つまり、図6に示すように、対象リンクLをリンクL4とし、進入リンクLをリンクL3(F進入コース)とし、退出リンクLをリンクL6(G退出コース)とした場合のリンクL4のリンクID415は、「iL3−L4−oL6」(リンク方式)又は「i3−4−5−o6」(ノード方式)となる。本明細書では、主に退出リンク別の識別情報又は進入リンク別の識別情報を用いる場合について説明するが、特に記載していない場合であっても、退出リンク別かつ進入リンク別の識別情報を適用することもできる。
【0031】
リンクID415をリンク方式又はノード方式のどちらで表記するかは任意である。本実施形態では、ノード方式によれば、図5又は図6の表中のリンクID415は、対象リンクLの両端の2個のノードNの識別情報により特定されている。さらに、進入リンクLの識別情報又は退出リンクLの識別情報が、対象リンクLの両端のノードNのうちの一方のノードNに隣接する(進入リンク又は退出リンクを介してつながる)1個のノードNの識別情報により、特定されるようにしてもよい。そして、リンクID415(結合識別情報)は、対象リンクLを表す2個のノードN及び2個のノードNのうちの一方のノードNに関連付けた1個の進入リンクを特定するノードNの識別情報又は退出リンクを特定するノードNの識別情報のうちの少なくとも一方の識別情報を用いた3個以上のノードNの識別情報により、特定されるようにしてもよい。
【0032】
リンク旅行時間算出部37の説明に戻ると、リンク旅行時間算出部37は、対象リンクに進入する進入リンクごと又は対象リンクから退出する退出リンクごとに、対象リンクのリンク旅行時間を算出する。例えば、リンク旅行時間算出部37は、対象リンクを通過した移動体を特定し、特定された移動体が前記対象リンクの通過に要した時間を進入リンクごと又は退出リンクごとに区別した上で、進入リンクごと又は退出リンクごとのリンク旅行時間を算出する。つまり、リンク旅行時間算出部37は、図3及び図5又は図6表中のリンクID415などに示したマッチング結果に基づいて、リンク旅行時間の算出対象となる対象リンクLにマッチングされている車両ID133を特定し、その車両ID133の車両が対象リンクLを通過するのに要した時間を、対象リンクLに進入する進入リンクごとに又は対象リンクLから退出する退出リンクごとに集計する。例えば、ある車両について、図5に示すA退出コースを通過した場合のリンクL1のリンク旅行時間は2分、B退出コースを通過した場合のリンクL1のリンク旅行時間は1分、C退出コースを通過した場合のリンクL1のリンク旅行時間は5分といったように算出する。これにより、一つの対象リンクLが進入リンク又は退出リンク別の複数のリンク旅行時間を有する。
【0033】
なお、リンクマッチ処理部31がリンクマッチを行う段階で、退出リンクごと又は進入リンクごとの結合識別情報を付与するようにしても良い。つまり、リンクマッチ処理部31が、一つの車両位置137を一つのリンクにマッチングさせた後、その車両ID133の車両のマッチングさせたリンクに対する退出リンク又は進入リンクが確定した後に、退出リンクごと又は進入リンクごとのリンクIDを確定させるようにしてもよい。
【0034】
統計処理部45は、日別リンク旅行時間記憶部41に格納されている日別のリンク旅行時間データを統計的に処理し、統計リンク旅行時間データを生成する。統計リンク旅行時間データは、統計リンク旅行時間記憶部43に格納される。例えば、統計処理部45は、リンク旅行時間データを読み込んで、図7に示すように、曜日別、時間帯別、リンクID415別に、平均の旅行時間を算出し、統計リンク旅行時間記憶部43に格納する。
【0035】
統計リンク旅行時間記憶部43は、日別リンク旅行時間記憶部41に記憶されているリンク旅行時間を統計処理した統計リンク旅行時間データを記憶する。そして、統計処理部45が、統計リンク旅行時間記憶部43に記憶された統計リンク旅行時間データに基づき、所定の集計単位(例えば、曜日、五十日など)で集計したリンクごとの平均旅行時間を算出し、統計リンク旅行時間記憶部43は、リンクごとの平均旅行時間を記憶する。
【0036】
統計リンク旅行時間記憶部43は、データ項目として、図7に示すように、曜日431と、時間帯413と、リンクID415と、平均旅行時間437とを有する。
【0037】
リンク旅行時間出力部39は、日別リンク旅行時間記憶部41または統計リンク旅行時間記憶部43を参照し、車両に実装されたカーナビゲーションシステムなどの外部装置に対して、リンクID415別のリンク旅行時間を出力する。例えば、日別リンク旅行時間記憶部41にデータが存在すれば、それを出力するようにしてもよい。日別リンク旅行時間記憶部41にデータが存在しないときは、統計リンク旅行時間記憶部43を参照して、現在の曜日及び時間帯に応じたリンク旅行時間を出力しても良い。リンク旅行時間出力部39は、例えば、定期的にリンク旅行時間を出力しても良いし、外部装置からのリクエストに応じてリンク旅行時間を出力しても良い。
【0038】
ルート設定部51は、地図情報記憶部21を参照して、操作者が指定した出発地及び目的地に基づいて、出発地から目的地までのルートを設定する。このルート設定部51は、本実施形態のように、位置情報検出部12等などとともに旅行時間提供装置1内に配置されてもよいし、車両に実装されたカーナビゲーションシステムなどの外部装置に配置されてもよい。
【0039】
例えば、ルート設定部51は、カーナビの車載装置あるいはGPS機能付きの携帯電話機などからルート検索要求を受け付けたときに、指定された出発地から目的地までの複数のルートを設定し、次に説明するルート旅行時間算出部52が算出した設定されたルートのルート旅行時間に基づいて、一つのルートをルート検索要求に対する応答として出力しても良い。また、ルート設定部51は、カーナビの車載装置あるいはGPS機能付きの携帯電話機、あるいは他の情報処理装置から出発地から目的地までの旅行時間の照会を受けたときは、指定された出発地から目的地までの複数のルートを設定する。
【0040】
ルート旅行時間算出部52は、設定されたルート及びリンク旅行時間出力部39から出力された複数の対象リンクLのリンク旅行時間に基づいて、そのルートに沿って移動する場合に要する旅行時間であるルート旅行時間を算出する。ルート旅行時間算出部52は、ルート設定部51と同様、外部装置(例えば、車載装置などのユーザ側の装置)に配置されてもよい。
【0041】
ルート旅行時間算出部52は、ルート設定部51が複数のルートを設定したときは、各ルートに含まれるリンクのリンク旅行時間を加算して、出発地から目的地までのルート別のルート旅行時間を算出する。その際、退出リンク別、進入リンク別又は退出リンク及び進入リンク別にリンク旅行時間が設定されている対象リンクについては、そのルートにおける対象リンクに対する退出リンク別、進入リンク別又は退出リンク及び進入リンク別に対応するリンク旅行時間を用いる。なお、一つのリンクに退出リンク別のリンク旅行時間と進入リンク別のリンク旅行時間とが設定されている場合、退出リンク別のリンク旅行時間を優先的に適用しても良い。リンク旅行時間は、退出リンクの影響をより大きく受けると考えられるからである。
【0042】
そして、ルート旅行時間出力部53は、例えば、出発地から目的地までの旅行時間の照会を受けたときは、上記のルート旅行時間を出力する。ルート旅行時間出力部53は、出発地から目的地までの最短のルート旅行時間を出力しても良いし、複数のルート別のルート旅行時間を出力しても良い。このルート旅行時間出力部53は、ルート設定部51及びルート旅行時間算出部52と同様、外部装置(例えば、車載装置などのユーザ側の装置)に配置されてもよい。
【0043】
次に、図8に示すフローチャートを用いて、本実施形態のリンク旅行時間の算出処理について説明する。
【0044】
まず、プローブ情報受信部11が、プローブ情報を受信して、プローブ情報記憶部13へ格納する(S11)。
【0045】
次に、リンクマッチ処理部31は、プローブ情報記憶部13に格納されているプローブ情報の各車両位置137に対応する位置のリンクを特定して、リンクマッチを行う(S12)。
【0046】
そして、リンク旅行時間算出部37は、マッチング結果記憶部32に記憶された対象リンクLの旅行時間を、対象リンクLに進入する進入リンクごとに又は対象リンクLから退出する退出リンクごとに区別した上で算出し、日別リンク旅行時間記憶部41に格納する(S13)。
【0047】
本実施形態によれば、リンク旅行時間の算出対象となる一つの対象リンクLのリンク旅行時間を、進入リンクごと、退出リンクごとあるいは進入リンク及び退出リンクごとに、複数のリンク旅行時間を設定することができる。つまり、本実施形態によれば、ある交差点の上流のリンクのリンク旅行時間を、その交差点から先の進行方向(例えば、左折、直進、右折など)別に算出することができる。あるいは、本実施形態によれば、ある交差点の下流のリンクのリンク旅行時間を、その交差点へ進入した方向(例えば、左折、直進、右折など)別に算出することができる。
【0048】
そのため、進入リンクL又は退出リンクLに応じて対象リンクLにおける車両の混雑状況が異なる場合であっても、それに応じた対象リンクLのリンク旅行時間を算出することができる。
【0049】
次に、図9に示すフローチャートを用いて、ルート旅行時間の照会を受け付けたときのルート旅行時間の算出処理について説明する。
【0050】
まず、ルート設定部51は、ルート旅行時間の照会を受け付けると、地図情報記憶部21を参照して、指定された出発地から目的地までの複数のルートを生成する(S21)。
【0051】
ルート旅行時間算出部52が、ルート設定部51が生成した各ルートのルート旅行時間を算出する(S22)。このときに、退出リンク又は進入リンク別のリンク旅行時間が設定されているリンクについては、それぞれのルートに含まれている退出リンク又は進入リンクと対応するリンク旅行時間を用いて、ルート旅行時間を算出する。
【0052】
ルート旅行時間出力部53は、ルート旅行時間算出部52が算出した複数のルート旅行時間を出力する(S23)。
【0053】
本実施形態では、ルート旅行時間を算出する際に退出リンク別あるいは進入リンク別のリンク旅行時間を用いるので、対象リンクLのリンク旅行時間が退出リンク別あるいは進入リンク別に異なるときは、それぞれに適したリンク旅行時間を用いてルート旅行時間を算出することができる。例えば、対象リンクの下流にある交差点を直進する場合と右折する場合とで対象リンクのリンク旅行時間が異なる場合、その交差点を直進するルートと右折するルートとでは、対象リンクのリンク旅行時間として異なる時間が適用され、より正確にルート旅行時間を算出できる。
【0054】
以上説明した実施形態によれば、退出していくリンクごと又は進行してきたリンクごとに、一つのリンクに複数のリンク旅行時間を設定することができる。さらに、実施形態によれば、一つのリンクに、そのリンクから退出していくリンクごと又はそのリンクに進入してきたリンクごとの識別情報を付与することができる。あるいは、実施形態によれば、出発地から目的地までのルートのルート旅行時間を精度良く算出することができる。
【0055】
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、後述する通り、交差点内に複数個のノードが存在する場合を想定している。交差点内に複数個のノードNが存在する場合の一例としては、対向車線が中央分離帯等により区切られている、比較的大きな道路(例えば片側3車線以上)同士の交差点が挙げられる。
【0056】
本実施形態に係る旅行時間提供装置1は、主として、中央演算処理装置、記憶装置、入出力装置及び通信装置を備えるコンピュータにより構成されている。そして、図1及び以下に説明する旅行時間提供装置1の個々の構成要素または機能は、コンピュータプログラムとして本実施形態の旅行時間提供装置1にインストールされた本実施形態の旅行時間提供プログラムを実行することにより実現又は発揮される。これら本実施形態の旅行時間提供プログラムは、例えばコンピュータを用いる場合に本実施形態の旅行時間提供方法を具体的に実現するためのコンピュータプログラムであり、例えば旅行時間提供装置1の記憶装置など、旅行時間提供装置1が読み取り可能な記録媒体に格納されている。
【0057】
本実施形態の旅行時間提供装置1は、図1に示すように、地図情報記憶部21、位置情報検出部12、リンクマッチ処理部31、マッチング結果記憶部32及びリンク旅行時間算出部37を備える。また、本実施形態の旅行時間提供装置1は、任意の構成要素又は機能として、日別リンク旅行時間記憶部41、統計処理部45、統計リンク旅行時間記憶部43、リンク旅行時間出力部39、ルート設定部51、ルート旅行時間算出部52及びルート旅行時間出力部53を更に備える。
【0058】
地図情報記憶部21、位置情報検出部12及びリンクマッチ処理部31、マッチング結果記憶部32並びに日別リンク旅行時間記憶部41、統計処理部45、統計リンク旅行時間記憶部43、リンク旅行時間出力部39、ルート設定部51、ルート旅行時間算出部52及びルート旅行時間出力部53は、第1の実施形態と同様である。
【0059】
リンク旅行時間算出部37は、第1の実施形態と同様に、マッチング結果記憶部32を参照して、退出リンク又は進入リンク別のリンク旅行時間を算出する。本実施形態では、これに加えて、リンク旅行時間算出部37がリンク旅行時間を算出する際に、以下の処理を行う。すなわち、リンク旅行時間算出部37は、交差点内に複数のノードNを有する交差点の上流側につながるリンクLを対象リンクLとしたとき、その交差点に対する退出リンクごと又は進入リンクごとに、対象リンクL及びその交差点を通過するのに要した時間を対象リンクLのリンク旅行時間として算出する。
【0060】
リンク旅行時間算出部37は、対象リンクL及びその交差点を通過した車両を特定し、特定された車両が対象リンクL及びその交差点を通過するのに要した時間を退出リンクLごとに区分し、退出リンクごとの対象リンクLのリンク旅行時間を算出する。例えば、リンク旅行時間算出部37は、対象リンクL及びその交差点内のリンクLにマッチングされている車両ID133を特定する。さらに、リンク旅行時間算出部37は、その車両ID133の車両が対象リンクL及びその交差点内のリンクを通過するのに要した時間を退出リンクごとに区分して集計し、退出リンクLごとの対象リンクLのリンク旅行時間とする。つまり、これによって、交差点内のリンクLの旅行時間の分も対象リンクLのリンク旅行時間に割り当てられ、交差点内リンクのリンク旅行時間は0となる。
【0061】
例えば、リンク旅行時間算出部37は、その交差点の複数ノードNを1個の仮想ノードNTに置換する置換処理部として機能するようにしてもよい。リンク旅行時間算出部37は、交差点の複数ノードNを仮想ノードNTに置換したリンク構成において、進入リンクL又は退出リンクL別のリンクID415を特定する。リンク旅行時間算出部37は、このようにして特定した、仮想ノードNTに直接つながるリンクID415に対してリンク旅行時間を算出する。リンク旅行時間算出部37は、このようにして仮想ノードNTを用いてリンク旅行時間を算出した後、仮想ノードNTを、元の複数の交差点内ノードNのうち、仮想ノードNTの上流のリンクLとつながっているノードNに戻す。これにより、交差点内リンクLのリンク旅行時間を0として、その分を仮想ノードNTの上流のリンクLのリンク旅行時間に含ませることができる。以下、図10を参照してこの処理を詳細に説明する。
【0062】
図10Aは交差点内に複数個のノードNが存在する場合を示しており、同図Bの表のリンクID415は、対象リンクLに対して退出リンクLを対応付けした対応識別情報を示している。同図Aにおける各リンクLに対する車両の進行方向は標識Sに示す通りである。
【0063】
図10Aに示すように、仮想ノードNTに直接つながるリンクL1を対象リンクLとしたとき、仮想ノードNTに直接つながる対象リンクL以外のリンクが退出リンクとなる。そして、退出リンクLをL2(A退出コース)、L6(B+C退出コース)又はL9(B+D+E退出コース)とした場合、A退出コース、B+C退出コース及びB+D+E退出コースに対してそれぞれ異なるリンクID415が設定される。そこで、それぞれの退出コース別のリンクL1のリンク旅行時間を以下のようにして算出する。
【0064】
まず、交差点内の4つのノードN(識別情報「4」、「5」、「7」及び「8」)を一つの仮想ノードNT(識別情報「T1」)に置換する。この場合、例えばリンクL4、リンクL5のような交差点内のリンク(識別情報「4」、「5」、「7」及び「8」のノードN間を結ぶリンク)は、仮に存在しないものとして扱われることになる。なお、交差点内のノードは予め特定されている。
【0065】
まず、ノード方式を用いてリンクID415を表現する場合について説明する。上記の場合、A退出コースを選択した場合のリンクL1のリンクID415は「1−4−o2」となる。ここで、ノード「4」は、仮想ノード「T1」に置換される。従って、置換後のリンクL1のリンクID415は、図10Bの表に示す通り「1−T1−o2」(ノード方式)となる。
【0066】
リンク旅行時間算出後、リンクID415に含まれる「T1」を仮想ノードNTの上流のリンクLとつながっているノードNである「4」に戻す。つまり、上記処理では、リンクL1のリンクID415「1−4−o2」のリンク旅行時間が算出される。
【0067】
次に、B+C退出コースを選択した場合のリンクL1のリンクID415は「1−4−o5」、リンクL4のリンクID415は「4−5−o6」となる。ここで、ノード「4」、及びノード「5」は、いずれも仮想ノード「T1」に置換される。これによって、リンクL4は存在しないもとして扱われるので、置換後のリンクL1のリンクID415は、図10Bの表に示す通り「1−T1−o6」となる。
【0068】
リンク旅行時間算出後、リンクID415に含まれる「T1」を仮想ノードNTの上流のリンクLとつながっているノードNである「4」に戻す。つまり、上記処理では、リンクL1のリンクID415「1−4−o6」のリンク旅行時間が算出される。ここで、ノード「6」は、ノード「4」と直接つながっていないが、退出リンクは交差点の外である必要があるので、このままとする。
【0069】
同様に、B+D+E退出コースを選択した場合のリンクL1のリンクID415は「1−4−o5」、リンクL4のリンクID415は「4−5−o8」、リンクL5のリンクID415は「5−8−o9」となる。ここで、ノード「4」、ノード「5」及びノード「8」は、いずれも仮想ノード「T1」に置換される。これによって、リンクL4及びリンクL5は存在しないもとして扱われるので、置換後のリンクL1のリンクID415は、図10Bの表に示す通り「1−T1−o9」となる。
【0070】
リンク旅行時間算出後、リンクID415に含まれる「T1」を仮想ノードNTの上流のリンクLとつながっているノードNである「4」に戻す。つまり、上記処理では、リンクL1のリンクID415「1−4−o9」のリンク旅行時間が算出される。ここで、上記と同様に、ノード「9」もノード「4」と直接つながっていないが、退出リンクは交差点の外である必要があるので、このままとする。
【0071】
これにより、交差点内リンク(L4,L5)におけるリンク旅行時間も、上述したリンクID415で表されるリンクL1のリンク旅行時間に含まれることになる。
【0072】
一方、リンク方式を用いてリンクID415を表現する場合、リンク旅行時間算出部37は、交差点内リンクLのリンク旅行時間は、仮想ノードT1の上流側に直接つながるリンクLへ付け替える処理を行う。つまり、リンク旅行時間算出部37は、退出リンクLごとに交差点内リンクのリンク旅行時間を集計し、集計された交差点内リンクのリンク旅行時間を対象リンクLのリンク旅行時間に割り当てて、交差点内リンクのリンク旅行時間を0にしてもよい。例えば、B+C退出コースを選択した場合、リンクL1のリンクID415は「L1−oL4」、リンクL4のリンクID415は「L4−oL6」となる。このとき、リンク旅行時間算出部37は、リンクL4のリンク旅行時間をリンクL1に付け替えて、リンクL1のリンクID415を「L1−oL6」とする。同様に、B+D+E退出コースを選択した場合、リンクL1のリンクID415は「L1−oL4」、リンクL4のリンクID415は「L4−oL5」、リンクL5のリンクID415は「L5−oL9」、となる。このとき、リンク旅行時間算出部37は、リンクL4及びリンクL5のリンク旅行時間をリンクL1に付け替えて、リンクL1のリンクID415を「L1−oL9」とする。
【0073】
なお、リンクID415をリンク方式又はノード方式のどちらにより識別するかは第1の実施形態と同様である。
【0074】
次に、図11のフローチャートを用いて、複数ノードを有する交差点の上流につながるリンクLのリンク旅行時間を算出する処理について説明する。ここでは、リンクID415をノード方式で表現する。
【0075】
まず、リンク旅行時間算出部37は、マッチング結果記憶部32を参照して、複数のノードNを有する交差点の上流側に直接つながるリンクLからその交差点の下流につながるリンクLまで、各リンクLの退出リンクL別のリンク旅行時間を算出する(S31)。
【0076】
そして、リンク旅行時間算出部37は、リンクID415に含まれる交差点内の複数のノードNの識別情報を、一つの仮想ノードNTの識別情報に置換する(S32)。
【0077】
ここで、ノード方式で表現されるリンクID415の始点及び終点がいずれも仮想ノードNTとなるリンクについては、リンク旅行時間算出部37は、そのリンク旅行時間を上流側の隣のリンクに付け替える(S33)。
【0078】
次に、リンク旅行時間算出部37は、リンクID415に含まれる仮想ノードNTの識別情報を、仮想ノードNTの上流のリンクLとつながっているノードNのオリジナルの識別情報に戻す(S34)。
【0079】
本実施形態によれば、複数のノードNを有する交差点の上流のリンクにおける退出リンク別のリンク旅行時間も、単一ノードの交差点の場合と同様に求めることができる。
【0080】
さらに、本実施形態によれば、ルート旅行時間算出部52がこの結果を用いてルート旅行時間を算出すると、出発地から目的地までのルートの中に、複数のノードを有する交差点が含まれるときであっても、ルート旅行時間を精度良く算出できるようになる。
【0081】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 旅行時間提供装置、11 プローブ情報受信部、12 位置情報検出部、13 プローブ情報記憶部、21 地図情報記憶部、31 リンクマッチ処理部、32 マッチング結果記憶部、37 リンク旅行時間算出部、39 リンク旅行時間出力部、41 日別リンク旅行時間記憶部、43 統計リンク旅行時間記憶部、51 ルート設定部、52 ルート旅行時間算出部、53 ルート旅行時間出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノード及びリンクにより構成される地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
異なる時刻における移動体の位置を示す移動体位置情報を記憶する位置情報記憶部と、
前記地図情報及び前記移動体位置情報に基づいて、前記異なる時刻における移動体の位置のそれぞれを一のリンクにマッチングさせるリンクマッチ処理部と、
前記移動体位置情報及び前記マッチングの結果に基づいて、リンク旅行時間の算出対象となる対象リンクのリンク旅行時間を算出するリンク旅行時間算出部であって、前記対象リンクが複数のノードを含む交差点の上流側で前記交差点に直接つながるリンクであるとき、前記交差点から退出する退出リンクごとに、前記対象リンク及び前記交差点を通過するのに要した時間を前記対象リンクのリンク旅行時間として算出する、前記リンク旅行時間算出部と、を備えるリンク旅行時間提供装置。
【請求項2】
交差点内の前記複数のノードを一つの仮想ノードに置換する置換処理部をさらに有し、
前記リンク旅行時間算出部は、前記対象リンクが前記仮想ノードの上流側に直接つながるリンクであるとき、前記仮想ノードに直接つながる前記対象リンク以外のリンクを前記退出リンクとして、前記退出リンクごとの対象リンクのリンク旅行時間を算出する、請求項1記載のリンク旅行時間提供装置。
【請求項3】
前記リンク旅行時間算出部は、前記仮想ノードに置換した後のリンク構成において、前記対象リンクを通過した移動体を特定し、前記特定された移動体が前記対象リンクを通過するのに要した時間を前記退出リンクごとに区分し、前記退出リンクごとの対象リンクのリンク旅行時間を算出する、請求項2記載のリンク旅行時間提供装置。
【請求項4】
前記退出リンクごとの対象リンクのリンク旅行時間と、前記対象リンクの識別情報に前記退出リンクの識別情報を結合させた結合識別情報とを対応付けて記憶するリンク旅行時間記憶部と、をさらに備える請求項1〜3のいずれかに記載の旅行時間提供装置。
【請求項5】
前記対象リンクの識別情報は、前記対象リンクの両端のノードの識別情報により特定されていて、
前記退出リンクの識別情報は、前記交差点内の複数のノードのうちのいずれか一つと前記退出リンクを介してつながるノードの識別情報を用いて特定されていて、
前記結合識別情報は、前記対象リンクの両端のノードの識別情報及び前記交差点内の複数のノードのうちのいずれか一つと前記退出リンクを介してつながるノードの識別情報を用いた3個以上のノードの識別情報により特定されている、請求項4記載の旅行時間提供装置。
【請求項6】
操作者が指定した出発地及び目的地に基づいて、前記出発地から前記目的地までのルートを設定するルート設定部と、
前記ルート設定部により設定されたルートに含まれる各リンクのリンク旅行時間に基づいてルート旅行時間を算出するルート旅行時間算出部であって、前記退出リンクごとのリンク旅行時間を有するリンクについては、前記設定されたルートでの退出リンクに対応するリンク旅行時間を用いる、前記ルート旅行時間算出部と、をさらに備える請求項1〜5のいずれかに記載の旅行時間提供装置。
【請求項7】
ノード及びリンクにより構成される地図情報を記憶した地図情報記憶部を有するリンク旅行時間提供装置が行う方法であって、
異なる時刻における移動体の位置を示す移動体位置情報を位置情報記憶部に記憶するステップと、
前記地図情報及び前記移動体位置情報に基づいて、前記異なる時刻における移動体の位置のそれぞれを一のリンクにマッチングさせるステップと、
前記移動体位置情報及び前記マッチングの結果に基づいて、リンク旅行時間の算出対象となる対象リンクのリンク旅行時間を算出するステップであって、前記対象リンクが複数のノードを含む交差点の上流側で前記交差点に直接つながるリンクであるとき、前記交差点から退出する退出リンクごとに、前記対象リンク及び前記交差点を通過するのに要した時間を前記対象リンクのリンク旅行時間として算出するステップと、を行うリンク旅行時間提供方法。
【請求項8】
ノード及びリンクにより構成される地図情報を記憶した地図情報記憶部を有するリンク旅行時間提供装置のためのコンピュータプログラムであって、
異なる時刻における移動体の位置を示す移動体位置情報を位置情報記憶部に記憶するステップと、
前記地図情報及び前記移動体位置情報に基づいて、前記異なる時刻における移動体の位置のそれぞれを一のリンクにマッチングさせるステップと、
前記移動体位置情報及び前記マッチングの結果に基づいて、リンク旅行時間の算出対象となる対象リンクのリンク旅行時間を算出するステップであって、前記対象リンクが複数のノードを含む交差点の上流側で前記交差点に直接つながるリンクであるとき、前記交差点から退出する退出リンクごとに、前記対象リンク及び前記交差点を通過するのに要した時間を前記対象リンクのリンク旅行時間として算出するステップと、を前記リンク旅行時間提供装置に実行させるコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−3344(P2012−3344A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135473(P2010−135473)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【特許番号】特許第4693935号(P4693935)
【特許公報発行日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】