説明

旅行計画支援システム

【課題】管理者会員が作成した旅行計画を他の会員が閲覧する際に、会員各人に応じた旅行計画を提示する。
【解決手段】出発地から目的地までの経路を定義した旅行計画をパソコン端末5から旅行計画支援サーバ1にアップロードし、コミュニティサーバ領域1bに記憶する。旅行計画支援サーバ1は。パソコン端末6からの旅行計画のダウンロード要求に応答して、パソコン端末6の基準位置を読み込み、その基準位置を出発地として目的地までの経路を変更して記憶し、記憶した新たな経路をパソコン端末6に返信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業会社が提供するポータルサイトを利用して、旅行計画を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
事業会社が提供するポータルサイトを利用した旅行計画支援システムとして、事業会社や旅行会社で作成された旅行計画をパブリックサーバ上に一般公開し、個人や団体の旅行計画を支援するサイトや、旅行計画をユーザの好みに応じてリコメンドするサイト等が知られている。これらのサイトでは、会員登録をすると会員同士でしか閲覧できないコミュニティサーバ領域を提供している。
【0003】
したがって、これから旅行を計画しようとしている管理者会員は、パブリックサーバ上に公開されている旅行計画を参考にしたり、自身で独自に計画したりすることで旅行計画をたて、コミュニティサーバにアップデートし、他の会員にメール等で通知する。ここで、通知を受けた会員はこの旅行計画を閲覧し、さらに修正を加えたり、新たな旅行計画を提案したりして、会員同士で旅行計画をコミュニティサーバ上で完成させることができる旅行計画支援システムが知られている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−177999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された旅行計画支援システムによれば、管理者会員が作成した旅行計画を会員同士で閲覧し、自由に修正できるのであるが、最終的に決められた旅行計画は、一般に管理者会員の自宅からの計画であり、これを閲覧する他の会員は自分で出発地を変更して読み取らなければならない。このように、従来の旅行計画支援システムでは、管理者会員が作成した旅行計画を他の会員が閲覧する際に、会員各人に応じた旅行計画を提示することができないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記問題を解決することができる旅行計画支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、出発地から目的地までの経路を定義した旅行計画を記憶するサーバと、旅行計画をサーバにアップロードする第1のクライアント端末と、サーバから第1のクライアント端末によりアップロードされた旅行計画をダウンロードする第2のクライアント端末と、を備えた旅行計画支援システムにおいて、サーバは、第2のクライアント端末からの旅行計画のダウンロード要求に応答して、第2のクライアント端末の基準位置を読み込み、読み込んだ基準位置を出発地として目的地までの経路を変更して記憶し、記憶した新たな経路を第2のクライアント端末に返信することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の旅行計画支援システムにおいて、第2のクライアント端末は、サーバから返信された旅行計画をメモリ手段に保存することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の旅行計画支援システムにおいて、第1および第2のクライアント端末の少なくともいずれか一方は、車両に搭載されておりサーバとの接続機能を有するカーナビゲーション端末としたことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の旅行計画支援システムにおいて、第1および第2のクライアント端末の少なくともいずれか一方は、サーバとの接続機能を有する携帯電話としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、管理者会員が作成した旅行計画を他の会員が閲覧する際に、会員各人に応じた旅行計画を提示できる旅行計画支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る旅行計画支援システムの構成を示す説明図である。
【図2】情報授受の手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態に係る旅行計画支援システムの管理者クライアント端末での旅行計画作成画面を示す説明図である。
【図4】本実施形態に係る旅行計画支援システムの閲覧者クライアント端末での旅行計画表示画面を示す説明図である。
【図5】旅行計画を実行するカーナビゲーションの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一般に、事業会社が提供する旅行計画支援カーナビゲーションポータルサイトでは、さまざまなイベント、アイテム、スポット等のタイプ別の旅行計画を一般公開し、ユーザが旅行計画を立てる際に、これら公開された旅行計画を参考にし、ユーザ独自の旅行計画を作成することを支援するサービスを行っている。また、ユーザが出発地、目的地、経由地、出発時間等を与えるとユーザに適した旅行計画を自動生成し、その後ユーザが自由にカスタマイズできる会員サービスも行っている。
【0011】
本発明による旅行計画支援システムの実施の形態は、事業会社が提供するカーナビゲーションポータルサイトを利用して、ユーザが旅行計画を作成し、作成した旅行計画をカーナビゲーション装置に入力して、実行するものである。以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
本発明による旅行計画支援システムは、図1に示すように、さまざまな旅行計画を記憶したデータベース(以下「旅行計画DB」と称する)2と接続され、事業会社のカーナビゲーションポータルサイトを構成する旅行計画支援サーバ1と、インターネット回線3を介し旅行計画DB2に記憶された旅行計画を閲覧できるクライアント端末を構成するパソコン端末5、6を備えている。なお、図1ではパソコン端末5、6を一台ずつ図示しているが、実際にはユーザの数に応じて多数のパソコン端末5、6がインターネット回線3に接続されている。
【0013】
旅行計画支援サーバ1には、全てのユーザが自由に閲覧できる情報が記憶されているパブリックサーバ領域1aと、同一のコミュニティに所属している会員同士でしか閲覧できない情報が記憶されているコミュニティサーバ領域1bが設けられている。コミュニティとは、ナビゲーションポータルサイト内に仮想的に設けられる会員同士の交流の場である。コミュニティサーバ領域1bには、様々なコミュニティが予め登録されている。各コミュニティには、少なくとも一名の管理者会員と、そのコミュニティに所属する管理者以外の会員とが登録されており、これらの所属会員同士で旅行計画などの様々な情報を共有することができる。
【0014】
パソコン端末5は、管理者会員が使用するパソコン端末である。一方パソコン端末6は、管理者以外の閲覧者会員が使用するパソコン端末である。これらパソコン端末5、6を操作することにより、ナビゲーションポータルサイトの各会員は、旅行計画支援サーバ1のパブリックサーバ領域1aについては、すべての情報に自由にアクセスできる。一方、コミュニティサーバ領域1bについては、当該会員が所属しているコミュニティの情報のみアクセス可能であり、これは自由にアップロードおよびダウンロードもすることができる。
【0015】
まず、ナビゲーションポータルサイトの旅行計画支援サーバ1を利用するために、ユーザは会員登録をする。その会員登録時に、基準位置情報として、自宅の位置情報を含む自宅POI(Point of interest)を登録し、旅行計画支援サーバ1に保存することができる。この旅行計画支援サーバ1では、様々な種類の施設について、その施設の緯度、経度、住所、電話番号などの情報がPOIとして提供されており、その中に自宅POIも含まれる。各POIはその施設の種類を表す情報を有しており、その中に自宅かどうかを判定するための自宅フラグの情報も含まれる。なお、自宅POIはそれを登録したユーザおよび当該ユーザが公開を許可した他のユーザのみに公開し、それ以外のユーザには公開しないことが好ましい。
【0016】
ここで、旅行計画支援サーバ1とそれぞれのパソコン端末5、6の間では、次の手順で情報の授受が行われる。
【0017】
図2を参照して、旅行計画支援サーバ1とパソコン端末5、6との間における情報授受の手順を説明する。ステップ1で、管理者会員は、パソコン端末5を用いて、事業会社のナビゲーションポータルサイトで提供される旅行計画DB2に保存された旅行計画やこの計画に修正を加えあるいはユーザ独自で旅行計画を作成し、旅行計画支援サーバ1のコミュニティサーバ領域1bにアップロードする。図3は、この作成された旅行計画のパソコン端末5上での表示画面例を示す。すなわち、管理者会員の自宅から、集合場所等の経由地を通り目的地へ向かうルートとタイムスケジュールを併記した旅行計画の表示画面である。この時に、各閲覧者会員(同一コミュニティに所属しており閲覧を許可する会員)のURLを同時にコミュニティサーバ領域1b上にアップロードする。そこで、旅行計画支援サーバ1はアップロードされた旅行計画をコミュニティ領域1bに記憶する。
【0018】
ステップ2で、閲覧者会員は、パソコン端末6からポータルサイトにアクセスし、旅行計画支援サーバ1に旅行計画の表示を要求する。すると旅行計画支援サーバ1は、管理者会員が入力したURLをもとにパソコン端末6を操作している閲覧者会員が管理者会員と同じコミュニティに所属している会員であるか否かを判断し、同じコミュニティに所属している会員であれば旅行計画の表示を許可して次のステップへ進む。一方、パソコン端末6を操作している閲覧者会員が管理者会員と同じコミュニティに所属している会員ではない場合、旅行計画支援サーバ1は旅行計画の表示を禁止し、その旨をパソコン端末6へ通知して処理を中断する。
【0019】
ステップ3で、旅行計画支援サーバ1は、パソコン端末6を操作している閲覧者会員の自宅POIが登録済みであるか否かを判定する。登録済みであればステップ6へ進み、未登録であれば、ステップ4でパソコン端末6に対して自宅POIを要求する。ステップ5で、パソコン端末6はステップ4の要求に対する応答を行い、旅行計画支援サーバ1に自宅POIを送信する。
【0020】
ステップ6で、旅行計画支援サーバ1は、登録済みの自宅POIまたはステップ5で受信した自宅POIを基準位置として読み込む。ステップ7では、ステップ1でアップロードされた旅行計画における自宅とステップ6で読み込んだ自宅POIが一致するか否かを判定する。これらが一致する場合、すなわちステップ2で旅行計画の表示要求を行ったのが管理者会員である場合はステップ10へ進む。一方、旅行計画における自宅と自宅POIが一致しない場合、すなわちステップ2で旅行計画の表示要求を行ったのが管理者会員以外の会員である場合はステップ8へ進む。
【0021】
ステップ8で、旅行計画支援サーバ1は、ステップ6で読み込んだ自宅POIにより旅行計画の自宅を書き換える。ステップ9では、ステップ8で書き換えられた自宅を出発地として、そこから目的地までの経路探索を行うことにより、管理者会員のパソコン端末5からアップロードされた元の旅行計画とは別に新たな旅行計画を算出し、その算出結果を記憶する。このとき前述のように集合場所等の経由地が設定されている場合は、その経由地までの経路探索を行い、経由地から目的地までは元の旅行計画と同じにすればよい。ステップ10では、閲覧者会員のパソコン端末6に対して、ステップ9で記憶した新たな旅行計画を送信する。
【0022】
ステップ11で、閲覧者会員のパソコン端末6は、ステップ10で旅行計画支援サーバ1から送信された旅行計画を表示する。この旅行計画ではステップ8の処理により、出発地が管理者会員の自宅から閲覧者会員の自宅POIに置き換えられている。これにより、図4では図3と比べて、閲覧者会員の自宅POIを出発地として、そこから集合場所としての経由地を通って目的地に至るルートに変更されている。
【0023】
ステップ12で、パソコン端末6は、ステップ11で表示した旅行計画をSDカード等の可搬型のメモリ手段に保存する。これにより、旅行計画支援システムで会員同士が最終的に同意した旅行計画は、メモリ手段を介して各会員のカーナビゲーション装置や携帯端末へ移行され、旅行計画が実行されることとなる。もちろんこれら外部端末がインターネットに接続できる場合は、旅行計画支援サーバ1に直接アクセスして旅行計画を直接ダウンロードすることができる。
【0024】
図5は、一般的なカーナビゲーションシステムにおいて用いられるナビゲーション装置10の構成図を示す。このナビゲーション装置10は車両に搭載されて使用され、ユーザから設定された検索条件に該当する施設を検索して、その施設の中から選択された施設を目的地としたルート案内、または図1の旅行計画支援システムで作成されたルートの案内を行うものである。
【0025】
図5において、ナビゲーション装置10は、制御回路20、ROM15、RAM16、方位センサ11、車速センサ12、GPSセンサ13、表示モニタ17、入力装置18、およびディスクドライブを含む地図データベース(以下「地図DB」と称す)14および外部で作成された旅行計画を入力するカードスロット19を有している。地図DB14には、DVD−ROMやインターネットから地図データが蓄積される。
【0026】
制御回路20は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM16を作業エリアとしてROM15に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。この制御回路20において、地図DB14に記録された地図データに基づいて、施設検索処理や、設定された目的地までの推奨ルートの探索処理などが行われる。
【0027】
GPSセンサ13は、自車両の現在地を検出する装置であり、自車両の進行方位を検出する方位センサ11、車速を検出する車速センサ12とともに、表示モニタ17上で自車両の進行ルートをナビゲートする。
【0028】
入力装置18は、ユーザが施設検索条件の設定や検索された施設の中から目的地とする施設を選択するための各種入力スイッチを有し、これは操作パネルやリモコンなどによって実現される。すなわち、ユーザは表示モニタ17に表示される画面指示に従って入力装置18を操作することにより、検索条件をナビゲーション装置10に入力してその検索条件に該当する施設を検索させるとともに、検索された施設の中からいずれかを選択して目的地に設定することができる。
【0029】
地図DBから読み出された地図データには、目的地までのルート探索に用いられる経路計算データや、交差点名称および道路名称など、推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられる経路誘導データ、さらに道路を表す道路データなどが含まれている。また、河川や鉄道、地図上の各種施設等(ランドマーク)など、道路以外の地図形状を表す背景データなども地図データに含まれている。
【0030】
旅行計画支援サーバ1で作成された旅行計画は、パソコン端末5または6でSDカード等のメモリ手段にいったん保存される。このメモリ手段から、ナビゲーション装置10へカードスロット19を介して旅行計画が入力される。ナビゲーション装置10はこの入力された旅行計画をもとに、ナビゲーションを実行することができる。
【0031】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)管理者会員が自分に合った旅行計画を作成しても、閲覧者会員のそれぞれが自分に合った旅行計画として参照できる。
【0032】
(2)旅行計画をサーバ上で参照し、しかも閲覧者会員は自宅からの計画として参照できるため、修正変更等が簡単に共有できる。
【0033】
―変形例―
なお、上述した実施の形態は、以下のように変形することもできる。
(変化例1)管理者会員と閲覧者会員がそれぞれ操作する端末をインターネットに接続されたパソコン端末5、6として説明したが、これらいずれか一方または両方の端末をインターネットを介して旅行計画サーバ1と接続可能なカーナビゲーション端末、またはインターネットを介した旅行計画サーバ1との接続機能を有する携帯電話やスマートフォンなどの携帯端末としてもよい。このようにした場合は、旅行計画支援サーバ1から旅行計画を直接送信すればよいため、カーナビゲーションや携帯端末と情報のやり取りを行うSDカード等のメモリ手段は必要なくなる。
【0034】
(変形例2)閲覧者会員のパソコン端末6には、自宅位置変更後の旅行計画のみを返信するようにしたが、管理者会員のパソコン端末5で作成された元の旅行計画も一緒に返信し、これらを同時に表示させるようにしてもよい。
【0035】
(変形例3)元の旅行計画から変更された部分と変更されていない部分とを識別可能とするために、色を変えて表示するようにしてもよい。
【0036】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 旅行計画支援サーバ
2 旅行計画DB
3 インターネット回線
5、6 パソコン端末
10 ナビゲーション装置
11 方位センサ
12 車速センサ
13 GPSセンサ
14 地図DB
15 ROM
16 RAM
17 表示モニタ
18 入力装置
19 カードスロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの経路を定義した旅行計画を記憶するサーバと、
前記旅行計画を前記サーバにアップロードする第1のクライアント端末と、
前記サーバから前記第1のクライアント端末によりアップロードされた旅行計画をダウンロードする第2のクライアント端末と、を備えた旅行計画支援システムにおいて、
前記サーバは、前記第2のクライアント端末からの前記旅行計画のダウンロード要求に応答して、前記第2のクライアント端末の基準位置を読み込み、前記読み込んだ基準位置を出発地として前記目的地までの経路を変更して記憶し、
前記記憶した新たな経路を前記第2のクライアント端末に返信することを特徴とする旅行計画支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の旅行計画支援システムにおいて、前記第2のクライアント端末は、サーバから返信された旅行計画をメモリ手段に保存することを特徴とする旅行計画支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の旅行計画支援システムにおいて、前記第1および第2のクライアント端末の少なくともいずれか一方は、車両に搭載されており前記サーバとの接続機能を有するカーナビゲーション端末としたことを特徴とする旅行計画支援システム
【請求項4】
請求項1に記載の旅行計画支援システムにおいて、前記第1および第2のクライアント端末の少なくともいずれか一方は、前記サーバとの接続機能を有する携帯電話としたことを特徴とする旅行計画支援システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−15484(P2013−15484A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149968(P2011−149968)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】