説明

旋回作業機のボンネット・カバー構造

【課題】視認しながら中間カバーの位置決めをし、開閉自在な機器カバー及び開閉ボンネットで隠れる位置で中間カバーを締結できる。
【解決手段】旋回台2後部にエンジン3後方の左右一対の後脚部5a、5bを有する支持フレーム5を設け、この支持フレーム5に枢支され左右後脚部5a、5bを後方から覆う後ボンネット6と、この後ボンネット6の左右の中間カバー7a、7bと、これら左右のうち一方の中間カバー7bの上前方の機器カバー9と、この機器カバー9と一方の中間カバー7bとの下方の旋回カバー10bとを有し、一方の中間カバー7bは、後脚部5bに取り付けられる後取付部11bと、旋回カバー10bの上端部12bに係止する係止手段13と、上部のステー14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回作業機のボンネット・カバー構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、旋回台に搭載されたエンジン、燃料タンク等の各種機器を覆うボンネットが設けられたバックホー等の旋回作業機が知られている。
この旋回作業機は、ボンネットがボンネット前壁部と左右一対のボンネット側壁部とを有し、ボンネットの左右両側部の後方にウエイト兼用の左右一対のプロテクタを備えている。また、ボンネット側壁部は、ボンネット前壁部と左右のプロテクタとの間に配置され、ボンネット側壁部の外側に設けた係合部材とプロテクタの内側に設けた係止部材とを係合させて位置決めし、ボルト等の締結具によってボンネット前壁部の左右方向の外側部に締付固定している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−184833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の旋回作業機は、ボンネット側壁部の係合部材とプロテクタの係止部材とがプロテクタに隠れており、係合部材と係止部材の係合を視認しながらボンネット側壁部の位置決めをすることが困難になっている。また、ボンネット側壁部の締結具は露出していて不本意に緩脱されるおそれがある。
本発明は、このような点に鑑みて、視認しながら中間カバーの位置決めをし、開閉自在な機器カバー及び開閉ボンネットで隠れる位置で中間カバーを締結することができるようにした旋回作業機のボンネット・カバー構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的手段を採用した。
第1に、旋回台2の後部に、エンジン3とカウンタウエイト4とを配置し、前記エンジン3の後方の左右一対の後脚部5a、5bとこれら左右後脚部5a、5bの上部を前記エンジン3の上方で結ぶ上枠5cとを有する支持フレーム5を設け、この支持フレーム5に開閉自在に支持されていて前記エンジン3及び前記左右後脚部5a、5bを後方から覆う後ボンネット6と、この後ボンネット6の左右に配置された中間カバー7a、7bと、これら左右のうち一方の中間カバー7bの上前方に配置されていて機器8を覆う機器カバー9と、この機器カバー9と前記一方の中間カバー7bとの下方であって前記旋回台2の前側部に配置された旋回カバー10bとを有しており、前記一方の中間カバー7bは、後部に前記支持フレーム5の後脚部5bに取り付けられて前記後ボンネット6によって覆われる後取付部11bを備え、前下部は前記旋回カバー10bの上端部12bに載置されていて水平方向の位置決めをする係止手段13を備え、上部に前記機器カバー9で隠れる位置で前記旋回台2に固定されるステー14を備えていることを特徴とする。
【0006】
第2に、前記機器カバー9は、前面から上面に至る上壁体15と、この上壁体15の側縁に設けられた側壁体16とを有し、前記上壁体15の前下端が横軸17を介して前記旋回台2に開閉自在に枢支され、前記上壁体15の後部が前記一方の中間カバー7bの前端よりも後方へ張り出して前記ステー14を覆っており、前記側壁体16の下部は前記旋回カバー10bの上端部12bに載置されていて水平方向の位置決めをする係合手段18を備えていることを特徴とする。
第3に、前記機器カバー9の後部側縁には開閉される際に把持する把持部19を備え、前記一方の中間カバー7bの上部に前記把持部19を把持するための凹み20を備えていることを特徴とする。
【0007】
第4に、旋回台2上に搭載された運転席21の周囲にエンジンルーム22とラジエータルーム23と機器ルーム24とを連続して形成し、前記エンジンルーム22を開閉ボンネット6によって開閉自在とし、この開閉ボンネット6を枢支していて前記エンジンルーム22内のエンジン3を跨ぐ支持フレーム5と、前記ラジエータルーム23を覆う着脱可能な中間カバー7bと、前記機器ルーム24を覆う開閉自在な機器カバー9と、この機器カバー9と前記中間カバー7bとの下方であって前記旋回台2の側部に配置された旋回カバー10bとを有しており、前記中間カバー7bは、一方に前記支持フレーム5の脚部のうち前記旋回台2外周側に位置する脚部5bに取り付けられて前記開閉ボンネット6によって覆われる取付部11bを備え、他方の下部に前記旋回カバー10bの上端部12bに載置されていて水平方向の位置決めをする係止手段13を備え、さらに上部に前記機器カバー9で隠れる位置で前記旋回台2に固定されるステー14を備えていることを特徴とする。
【0008】
これにより、一方の中間カバー7bは、後部を後ボンネット6で隠れる後脚部5bに取り付ける後取付部11bと、機器カバー9で隠れる位置で旋回台2に固定されるステー14とを備えることにより、中間カバー7bの締結具を隠して不本意な緩脱を防止することができると共に、旋回カバー10bの上端部12bに係止して位置決めをする係止手段13を備えることで、中間カバー7bの取付位置を視認しながら中間カバー7bを取り付けることができる。
また、機器カバー9は、上壁体15と側壁体16とを有し、上壁体15は、前下端が旋回台2に開閉自在に枢支され、後部が一方の中間カバー7bの前端よりも後方へ張り出してステー14を覆うことにより、中間カバー7bの締結具を隠し不本意な緩脱を防ぐことができると共に、側壁体16は、旋回カバー10bの上端部12bに係合して位置決めをする係合手段18を備えることにより、機器カバー9の水平位置を視認しながら開閉させることができる。
【0009】
さらに、一方の中間カバー7bの上部に、機器カバー9の把持部19を把持するための凹み20を備えることで、凹み20に手を入れて把持部19を掴みやすくなり、機器カバー9の開閉が容易となる。
また、視認しながら中間カバー7b取付時の位置決めをし、開閉自在な機器カバー9及び開閉ボンネット6で隠れる位置で中間カバー7bを締結することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、視認しながら中間カバーの位置決めをし、開閉自在な機器カバー及び開閉ボンネットで隠れる位置で中間カバーを締結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る旋回作業機のボンネット・カバー構造体の平面図。
【図2】ボンネット・カバー構造体の側面図。
【図3】ボンネット・カバー構造体の正面図。
【図4】ボンネット・カバー構造体の要部の平面図。
【図5】ボンネット・カバー構造体の要部の側面図。
【図6】ボンネット・カバー構造体の要部の正面図。
【図7】中間カバーの係止手段及び機器カバーの係合手段の斜視図。
【図8】中間カバー上内部のステーの斜視図。
【図9】ボンネット・カバー構造体の右上側の斜視図。
【図10】旋回作業機の全体側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1、10には、本発明の実施形態に係るボンネット・カバー構造体1を備えた超小旋回型の旋回作業機31が示されている。
この旋回作業機31は、クローラ式走行装置によって構成された下部の走行装置32と、上部の旋回体33と、掘削作業を行う掘削装置36とから構成されている。
旋回体33は、走行装置32上に旋回ベアリング34を介して上下方向の旋回軸X回りに回動自在に支持された旋回台2と、この旋回台2に設けられたエンジン3、運転席21、掘削装置36、燃料タンク37、作動油タンク38等を有する。
【0013】
運転席21は旋回軸Xの左側近傍に配置されており、運転席21の前方側には走行装置32を操縦する走行装置操縦レバー39等が設けられている。運転席21の左右には、掘削装置36を操作する掘削装置操作レバー40が配置されている。
旋回台2は、骨格となる旋回フレーム41と、この旋回フレーム41の後端側に取り付けられていて旋回台2の後部を構成すると共に掘削装置36との重量バランスを図るカウンタウエイト4と、旋回フレーム41の左右の前側面に取り付けられた旋回カバー10a、10b等を備えて主構成されている。
【0014】
旋回フレーム41は、旋回台2の底部を構成する厚板からなる旋回基板43を有し、この旋回基板43上の右側であって左右方向中央に寄った位置には、前後方向中央側から前方に延びる左右一対の縦リブ44が設けられ、この左右縦リブ44間に、掘削装置36のブーム45の基部(下部)が左右軸回りに揺動自在に取り付けられるブーム取付部46が設けられている。
なお、カウンタウエイト4左端部の上方には、後述する左の中間カバー7aが配置され、カウンタウエイト4右端部の上方から右の旋回カバー10bの上端部12b後部の上方にわたり、後述する右の中間カバー7bが配置されている。
【0015】
旋回台2の上面には、エンジン3、ラジエータ47や、燃料タンク37、作動油タンク38等のタンク類、コントロールバルブ48、バッテリ49などの機器8が搭載されている。旋回台2上において、運転席21の後方に配置されたエンジン3を覆うエンジンルーム22が形成され、運転席21の下方に燃料タンク37が配置されている。運転席21の右側方には機器ルーム24が形成され、この機器ルーム24内に作動油タンク38、コントロールバルブ48及びバッテリ49などが配置されている。
エンジンルーム22と機器ルーム24との間、つまり、エンジンルーム22の右方且つ機器ルーム24の後方にラジエータルーム23が形成されている。このラジエータルーム23内でエンジン3の右方にはラジエータ47とが設けられ、エンジン3とラジエータ47との間には、外気をラジエータルーム23に採り入れてラジエータ47を通過させ且つエンジンルーム22へと導く冷却ファン55とファンシュラウド57とが設けられている。さらに、エンジン3の左側に多連式の油圧ポンプ56が駆動可能に装備されている。
【0016】
よって、運転席21の周囲に、エンジンルーム22とラジエータルーム23と機器ルーム24とが連続して形成されている。
これらエンジンルーム22、ラジエータルーム23及び機器ルーム24は、ボンネット・カバー構造体1によって覆われており、このボンネット・カバー構造体1は支持フレーム5及び旋回第2の構造物等によって支えられている。
支持フレーム5は、図1〜3に示すように、板材又はパイプ材等により形成され、左右一対の後脚部5a、5bと、左右一対の前脚部5d、5eと、これら前後脚部5a、5b、5d、5eの各上部をエンジン3の上方で結ぶ上枠5cとを有する。
【0017】
また、支持フレーム5は、エンジン3を跨ぐように前後左右に各脚部5a、5b、5d、5eを有した4柱枠形状になっており、特に左右の後脚部5a、5bは旋回台2に略鉛直に立設されている。これにより、エンジン3後方の無駄なスペースを減らし、支持フレーム5の前後方向の長さを可及的に短くできる。
なお、支持フレーム5の各脚部5a、5b、5d、5eのうち旋回台2外周側に位置する脚部は、左後脚部5a又は右後脚部5bであり、各脚部5a、5b、5d、5eのうち旋回台2外周側に位置する脚部の外面は、左後脚部5aの後面60a又は右後脚部5bの後面60bである。
【0018】
図1〜3、10に示すように、ボンネット・カバー構造体1は、板金製又は硬質樹脂製であって、エンジン3の後方に配置された開閉自在な後ボンネット(開閉ボンネット)6と、この後ボンネット6の左右に配置された中間カバー7a、7bと、右の中間カバー7bの上前方に配置されていて機器8を覆う機器カバー9と、エンジン3の前上方を覆う前上ボンネット52とから主構成されている。
後ボンネット6は、全体が平面視で円弧状であって側面視において上下方向中途部が後方に膨出した形状に形成されている。また、後ボンネット6は、その前上部の内面が支持フレーム5の上枠5c下面に枢支具の横軸を介して左右2箇所が揺動自在に枢支されており、エンジンルーム22の後方を覆っている。つまり、後ボンネット6を横軸廻りに揺動させ上方へ開くことで、エンジンルーム22を後方から開放可能としている。また、後ボンネット6内面の後下部には、カウンタウエイト4の係止具との間で閉鎖状態を施錠する施錠具58が設けられている。
【0019】
図1〜6に示すように、左右の各中間カバー7a、7bは、平面視において後ボンネット6と略同心の円弧状に形成されている。
左中間カバー7aは、後ボンネット6の左側から運転席21の左外方までを旋回台2の外周に沿ってエンジン3の左側方を覆うように設けられている。
左中間カバー7aは、カウンタウエイト4左端部上と左旋回カバー10aの上端部12a上にわたって載置された状態で、左前端部がボンネット・カバー構造体1内部にある燃料タンク37の上面にステーを介してネジ等によって取り付けられ、後右端部(後取付部11a又は取付部11a)が左後脚部5aの後面60aにネジ等によって取り付けられている。
【0020】
なお、カウンタウエイト4は、鋳物製であり、図1〜3、10に示されたように、旋回台2の後端から運転席21後部の左右外方延長上までを旋回台2の外周に沿って、全体として旋回軸Xを曲率中心とする略円弧状となっている。また、カウンタウエイト4は、左右方向中央部が後ボンネット6の下端部に沿った形状となっており、この中央部から左右端部にわたっては、左右の中間カバー7a、7bの載置に支障がないように平らな上面4a、4bが形成されている。
カウンタウエイト4は、円弧状の外側縁が平面視において後ボンネット6及び左右の中間カバー7a、7bの後端よりも外側に位置しており、旋回作業機31の旋回時には後ボンネット6及び左右中間カバー7a、7bよりも先にカウンタウエイト4が障害物(壁、植込み等)に衝突乃至接触し、後ボンネット6及び各中間カバー7a、7bに対する外部からの衝撃を極力減少させている。
【0021】
左右の旋回カバー10a、10bは、板金製又は樹脂製であり、図1〜3、7、10に示すように、旋回フレーム41の左右の前面から側面にわたって取り付けられている。各旋回カバー10a、10bは、それぞれが旋回軸Xを曲率中心とする平面視で略円弧状となっている。
左の旋回カバー10aは、カウンタウエイト4の左前端から旋回台2の左外周面にそって左の縦リブ44までにわたり旋回台2の左前側部を覆うように設けられている。つまり、左旋回カバー10aは、運転席21の左外方から走行装置操縦レバー39等の左前方及び前方を通って、運転席21の右方にある左の縦リブ44の前端までを覆っている。
【0022】
右の旋回カバー10bは、カウンタウエイト4の右前端から旋回台2の右外周面に沿って右の縦リブ44までにわたっており、旋回台2の右前側部を覆うように設けられている。右旋回カバー10bは、その上端縁を内側に略直角に折り曲げたフランジ状の上端部12bが形成されており、この上端部12bは他の部材を載置することができる上面62を有している。
右旋回カバー10bの上端部12b後部における上面62には、右中間カバー7bの後述する係止手段13の突出部13aを挿入して係止するスリット状の受け部13bが形成されている。また、上端部12bの前後方向中途部における上面62には、機器カバー9の後述する係合手段18の突出部18aと係合するように右外方へ平面視略コ字状に切り欠かれた受け部18bを有している。したがって、係止手段13の受け部13bと係合手段18の受け部18bとが右旋回カバー10bの上端部12bの上面62に形成されているため、右中間カバー7bの取付時及び機器カバー9の開閉時に各受け部13b、18bを視認しやすい。
【0023】
右中間カバー7bは、後ボンネット6の右側から運転席21の右外方延長上までを旋回台2の外周に沿ってエンジン3の右後方を覆うように設けられている。また、右中間カバー7bの略中央にはラジエータルーム23とその外部とを連通する吸気孔59が設けられ、この吸気孔59には金網等のメッシュネットを取り付けている。
右中間カバー7bは、前上部が機器カバー9に上方から覆われており、機器カバー9の後述する把持部19を(特に、下方から)把持しやすくなるように、この把持部19の下方に位置する右中間カバー7bの前上部には、左右方向内方へ凹んだ凹み20を設けている。この凹み20の略中央に機器カバー9の施錠具63の鍵穴64が設けられている。
【0024】
右中間カバー7bの前下部には、係止して水平方向の位置決めをする係止手段13の突出部13aを備えている。この係止手段13の突出部13aは、平板状であって、右中間カバー7bの前下部から下方へ突出して形成されている。突出部13aの下端は略台形状に形成され、右旋回カバー10bの受け部13bに挿入しやすくなっている。
右中間カバー7bは、係止手段13の突出部13aを受け部13bに挿入し係止させると、右中間カバー7bがカウンタウエイト4右端部の上面4bから右旋回カバー10bの上端部12bにおける上面62後部にわたって載置された状態で、上内部のステー14とラジエータルーム23の天板23aとが当接して取付可能となり、後左端部(後取付部11b又は取付部11b)と右後脚部5bの後面60bとが当接して取付可能となる。
【0025】
したがって、右中間カバー7bを、上方から嵌め込んでカウンタウエイト4の右上面4b及び右旋回カバー10bの上端部12bにおける上面62に載置し、係止手段13の突出部13aを視認しやすい位置にある受け部13bに係止させることで、取付時における右中間カバー7bの水平方向の位置決めを視認しながらすることができる。さらに、
右中間カバー7b上内部のステー14は、図1〜6、8に示すように、右中間カバー7b上部の内側面から左内方へ向かって突出状に形成されている。このステー14の下面はラジエータルーム23の天板23a上面に当接しており、ステー14の先端は天板23aにネジ等によって取り付けられている。また、右中間カバー7b上部の内側面には、機器カバー9の後述する上壁体15の係止具15aと係止して機器カバー9を施錠する施錠具63が設けられている。
【0026】
右中間カバー7bの後取付部11bは、図1〜6に示すように、上下の補強板65と、それらの間から左内方へ突出した突板66とを有する。補強板65は、右中間カバー7b後部の内面にて左右方向に延びるように立設した上下2枚のリブ状の平板であり、突板66は、これら上下の補強板65の間であって右中間カバー7bの内側面から左内方へ向かって突出した略矩形状の薄板である。突板66の内側面(前面)は支持フレーム5の右後脚部5bの後面60bに当接しており、突板66上下端部は右後脚部5bの後面60bにネジ等によって取り付けられている。つまり、突板66は、右中間カバー7bの外側面端よりも左内方寄りで且つ前寄りの位置で固定されるため、右中間カバー7bの後取付部11bは、後ボンネット6右端部の前方に位置し、後ボンネット6を閉じた場合には完全に覆い隠される。
【0027】
なお、右中間カバー7bにおいて、一方が前部のときは他方は後部であり、一方が後部のときは他方は前部である。
また、左中間カバー7aの後取付部11aは、右中間カバー7bの後取付部11bと同様の構成であり、後ボンネット6左端部の前方に位置し、後ボンネット6を閉じた場合には完全に覆い隠される。
図1〜3、10に示すように、機器カバー9は、旋回台2の右側(運転席21の右方)で全体として前後方向に長く形成され、上壁体15と、側壁体16とから主構成される。
【0028】
機器カバー9の上壁体15は、側面視で前面から上面に至る略L字型であって、平面視においては右側縁が略円弧状に形成されている。また、上壁体15の左側縁は、ブーム45の右側面に沿って前後方向略一直線状に形成されている。
上壁体15の前端部の内面は、旋回台2の右前部上面に蝶番等の枢支具67の横軸17を介して揺動自在に枢支されており、機器カバー9は、全体として機器ルーム24の上方、前方及び右側方を覆い、上壁体15の後部にてラジエータルーム23の上方を覆うように構成されている。つまり、機器カバー9は、横軸17廻りに前上方へ揺動自在であることで、機器ルーム24の上方、前方及び右側方を開閉自在とし且つラジエータルーム23の天板23aの上方を開閉自在としている。
【0029】
なお、上壁体15の前端部は、機器カバー9を閉じた際に、右旋回カバー10bの上端部12b前部における上面62に載置される。
上壁体15の後部は、右中間カバー7bの前端よりも後方へ張り出しており、右中間カバー7bの上内部のステー14とラジエータルーム23の天板23aとの取付部分を上方から覆っている。上壁体15後部の内面(下面)側には略コ字状の係止具15aが設けられ、右中間カバー7b上部の内面側で設けられ且つラジエータルーム23の天板23a上方に位置する施錠具63と係止することで、機器カバー9の閉鎖状態を施錠することができる。
【0030】
図1〜6に示すように、上壁体15後部の右側縁には、機器カバー9が開閉される際に把持する把持部19を備えている。この把持部19は、上壁体15後部の右側縁が右外方へ張り出すように一体成形されている。
なお、図9に示すように、把持部19は、上壁体15の後部側縁に設けられた平面視略楕円状で上下方向に貫通する把持孔19aと、この把持孔19aからさらに右外方へ張り出した取っ手19bとを有するものとしてもよい。
機器カバー9の側壁体16は、平面視において後ボンネット6と略同心の円弧状に形成されている。また、側壁体16は、右中間カバー7bの前側から旋回台2の右前端までを旋回台2の外周に沿ってコントロールバルブ48、バッテリ49等の右側方を覆うように設けられている。
【0031】
なお、上壁体15と側壁体16とは、上壁体15の前端部内面(後面)と側壁体16の前端部内面(左面)と、上壁体15の前後方向中途部内面(下面)と側壁体16の後上部内面(左面)とをそれぞれ連結具を介してネジ等の固定具によって連結されている。
側壁体16の前後方向中途部且つ下部には、係合して水平方向(特に、左右方向)の位置決めをする係合手段18の突出部18aを備えている。
図7に示すように、係合手段18の突出部18aは、平板状であって、側壁体16の前後方向中途部且つ下部の内面側にて下方へ突出するようにネジ等によって取り付けられている。突出部18aの下端は、右旋回カバー10bの内方(左方)側へ湾曲しており、機器カバー9の開閉時に突出部18aを右旋回カバー10bの受け部18bに係合しやすくなっている。
【0032】
機器カバー9は、閉じようとする際に係合手段18の突出部18aを視認しやすい位置にある右旋回カバー10bの受け部18bに係合させることで、上壁体15の前端部及び側壁体16が右旋回カバー10bの上端部12bにおける上面62に載置され、上壁体15後部が右中間カバー7bを覆いながらの係止具15aが右中間カバー7bの施錠具63に係止可能な状態となる。
したがって、開閉時における機器カバー9の水平方向の位置決めを、視認しながら容易に行うことができる。
【0033】
さらに、右中間カバー7bのステー14は、機器カバー9によって隠れる右中間カバー7bの内方側に配置されており、機器カバー9を閉じた際に完全に覆い隠される。
よって、右中間カバー7bのステー14は機器カバー9を開かなくては露出せず、右中間カバー7bの後取付部11bは後ボンネット6を開かなくては露出しない。
したがって、後ボンネット6及び機器カバー9を解錠して開かない限り右中間カバー7bを取り外すことはできず、右中間カバー7bの施錠具を別途設ける必要がないため、構造の簡略化及び製造コストの低減ができる。
【0034】
また、右中間カバー7bの締結具を隠して不本意な緩脱を防止することができると共に、右旋回カバー10bの上端部12bに係止して水平方向の位置決めをする係止手段13を備えることで、右中間カバー7bの取付位置を視認しながら右中間カバー7bを取り付けることができる。
よって、後ボンネット6と機器カバー9とを開くだけで右の中間カバー7bが着脱可能となり、メンテナンスがしやすくなる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。ボンネット・カバー構造体1等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【0035】
支持フレーム5の左右の後脚部5a、5bは、旋回台2に鉛直から若干傾斜して立設されていてもよい。
後ボンネット6は、支持フレーム5に縦軸を介して枢支されていてもよい。
右の中間カバー7bのステー14は、ラジエータルーム23と機器ルーム24とを仕切る板に取り付けられていてもよい。
図7に示すように、係止手段13の受け部13bは、右旋回カバー10bの上端部12bの上面62を右外方へ略コ字状に切り欠いて形成してもよい。
【0036】
係止手段13は、右中間カバー7b側に受け部13bを設け、右旋回カバー10b側に突出部13aを設けてもよい。また、係止手段13は、突出部13aを丸棒状とし受け部13bを丸孔とするなど、右中間カバー7bと右旋回カバー10bとを上下方向に係脱させるのであればよい。
同様に、係合手段18も、機器カバー9の側壁体16側に受け部18bを設け、右旋回カバー10b側に突出部18aを設けてもよい。また、係合手段18は、受け部18bをスリットとする、又は突出部18aを丸棒状とし受け部18bを丸孔とするなど、開閉時に機器カバー9と右旋回カバー10bとを係脱させるのであればよい。
【0037】
後取付部11a、11bは、左右の中間カバー7a、7bの後上部又は後下部などの後部に配置されていればよい。また、後取付部11a、11bは、後ボンネット6で隠れる位置であれば、支持フレーム5の後脚部5a、5bの前面又は側面に取り付けられていてもよい。さらに、ステー14は、機器カバー9で隠れる位置でラジエータルーム23の天板23aに取り付けられるのであれば、右中間カバー7bの上前部又は上後部などに取り付けられていてもよい。
運転席21等が旋回台2の右側に配置されると共に、ラジエータ47、冷却ファン55、機器カバー9、ラジエータルーム23、吸気孔59等が旋回台2の左側に配置されていてもよく、それにともなって、支持フレーム5、左右の中間カバー7a、7b等は、左右が逆になった形状・配置となっていてもよい。
【0038】
前述の実施形態では、運転席21の後方にエンジンルーム22を形成し、運転席21の右側方に機器ルーム24を形成し、その間にラジエータルーム23を形成したが、運転席21の左右一側方にエンジンルーム22を形成し、運転席21の後方に機器ルーム24を形成し、エンジンルーム22と機器ルーム24との間にラジエータルーム23を形成してもよく、エンジンルーム22に関する構成の配置及び機器ルーム24に関する構成の配置を、前後方向と左右方向とを読み替えてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 ボンネット・カバー構造体
2 旋回台
3 エンジン
4 カウンタウエイト
5 支持フレーム
5a、5b 後脚部
5c 上枠
6 後ボンネット(開閉ボンネット)
7a、7b 中間カバー
8 機器
9 機器カバー
10a、10b 旋回カバー
11a、11b 後取付部
12a、12b 旋回カバーの上端部
13 係止手段
14 ステー
15 上壁体
16 側壁体
17 横軸
18 係合手段
19 把持部
20 凹み
21 運転席
22 エンジンルーム
23 ラジエータルーム
24 機器ルーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回台(2)の後部に、エンジン(3)とカウンタウエイト(4)とを配置し、前記エンジン(3)の後方の左右一対の後脚部(5a、5b)とこれら左右後脚部(5a、5b)の上部を前記エンジン(3)の上方で結ぶ上枠(5c)とを有する支持フレーム(5)を設け、この支持フレーム(5)に開閉自在に支持されていて前記エンジン(3)及び前記左右後脚部(5a、5b)を後方から覆う後ボンネット(6)と、この後ボンネット(6)の左右に配置された中間カバー(7a、7b)と、これら左右のうち一方の中間カバー(7b)の上前方に配置されていて機器(8)を覆う機器カバー(9)と、この機器カバー(9)と前記一方の中間カバー(7b)との下方であって前記旋回台(2)の前側部に配置された旋回カバー(10b)とを有しており、
前記一方の中間カバー(7b)は、後部に前記支持フレーム(5)の後脚部(5b)に取り付けられて前記後ボンネット(6)によって覆われる後取付部(11b)を備え、前下部は前記旋回カバー(10b)の上端部(12b)に載置されていて水平方向の位置決めをする係止手段(13)を備え、上部に前記機器カバー(9)で隠れる位置で前記旋回台(2)に固定されるステー(14)を備えていることを特徴とする旋回作業機のボンネット・カバー構造。
【請求項2】
前記機器カバー(9)は、前面から上面に至る上壁体(15)と、この上壁体(15)の側縁に設けられた側壁体(16)とを有し、前記上壁体(15)の前下端が横軸(17)を介して前記旋回台(2)に開閉自在に枢支され、前記上壁体(15)の後部が前記一方の中間カバー(7b)の前端よりも後方へ張り出して前記ステー(14)を覆っており、前記側壁体(16)の下部は前記旋回カバー(10b)の上端部(12b)に載置されていて水平方向の位置決めをする係合手段(18)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の旋回作業機のボンネット・カバー構造。
【請求項3】
前記機器カバー(9)の後部側縁には開閉される際に把持する把持部(19)を備え、前記一方の中間カバー(7b)の上部に前記把持部(19)を把持するための凹み(20)を備えていることを特徴とする請求項2に記載の旋回作業機のボンネット・カバー構造。
【請求項4】
旋回台(2)上に搭載された運転席(21)の周囲にエンジンルーム(22)とラジエータルーム(23)と機器ルーム(24)とを連続して形成し、前記エンジンルーム(22)を開閉ボンネット(6)によって開閉自在とし、この開閉ボンネット(6)を枢支していて前記エンジンルーム(22)内のエンジン(3)を跨ぐ支持フレーム(5)と、前記ラジエータルーム(23)を覆う着脱可能な中間カバー(7b)と、前記機器ルーム(24)を覆う開閉自在な機器カバー(9)と、この機器カバー(9)と前記中間カバー(7b)との下方であって前記旋回台(2)の側部に配置された旋回カバー(10b)とを有しており、
前記中間カバー(7b)は、一方に前記支持フレーム(5)の脚部のうち前記旋回台(2)外周側に位置する脚部(5b)に取り付けられて前記開閉ボンネット(6)によって覆われる取付部(11b)を備え、他方の下部に前記旋回カバー(10b)の上端部(12b)に載置されていて水平方向の位置決めをする係止手段(13)を備え、さらに上部に前記機器カバー(9)で隠れる位置で前記旋回台(2)に固定されるステー(14)を備えていることを特徴とする旋回作業機のボンネット・カバー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−185216(P2010−185216A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29771(P2009−29771)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】