説明

旋回作業機

【課題】 コントロールバルブから作業装置へと配設される油圧ホースの組付けけの容易化を図った旋回作業機を提供する。
【解決手段】 旋回フレーム18の前部に設けた作業装置17を支持する支持部39を、左右の縦板56L,56Rと、縦板56L,56R間に設けた底板58とから構成し、左右の縦板56L,56Rに作業装置17のブーム41を枢支するブーム枢支部63を設け、ブーム枢支部63の前方側且つ下方側に、ブーム41を揺動させる油圧シリンダ51の一端側を枢支するシリンダ枢支部65を設け、コントロールバルブ27側の縦板56Rの上側縁部71の前部74が、支持部39の側方に設けたコントロールバルブ27から作業装置17へと配設される油圧ホース75の配設経路76及びシリンダ枢支部65の下方に位置するように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー等の旋回作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、旋回作業機として、走行体上に上下軸廻りに旋回自在に支持された旋回フレームを備え、この旋回フレームの前部に設けた支持部に、オフセット型のブームを備えた掘削作業装置を取り付けてなる超小旋回型のバックホーがある。
このバックホーの支持部は、左右方向で対向配置された一対の縦板と、該縦板間に設けられた底板と、該底板上の前部に固定された左右一対のシリンダブラケットとを備えている。
左右の各縦板には、前記シリンダブラケットの後方側においてブームを支持するブーム枢支部が設けられており、シリンダブラケットの上部にはシリンダ枢支部が設けられ、このシリンダ枢支部は前記ブーム枢支部の前方側且つ下方側に位置している。
【0003】
また、掘削作業装置は、オフセット型ブームと、アームと、バケットとを備えている。
ブームは、基部側が前記ブーム枢支部に左右軸廻りに回動自在に枢支されていて上下揺動自在とされたメインブームと、このメインブームの先端側に基部側が枢支連結されていて左右揺動自在とされたオフセットブームと、このオフセットブームの先端側に枢支連結されていて左右揺動自在とされたアームブラケットと、前端側がアームブラケットに枢支連結され後端側がメインブームの先端側に枢支連結されたオフセットリンクとを備えている。
【0004】
メインブームは、一端側が前記シリンダ枢支部に枢支され他端側がメインブーム先端側に枢支されたメインブームシリンダの伸縮動作によって上下に揺動動作される。
オフセットブーム及びオフセットリンクは、メインブーム先端側とオフセットブーム先端側とにわたって設けられたオフセットシリンダの伸縮動作によって左右に揺動動作され、オフセットリンクとオフセットブームとが共に左右揺動させることでアームブラケットを左右に平行移動(オフセット)させることができるよう構成されている。
アームは、基部側が前記アームブラケットに左右軸回りに回動自在に枢支連結されていて、アームブラケットとアームの基部側とにわたって設けられたアームシリンダの伸縮動作によって前後に揺動動作される。
【0005】
バケットは、アームの先端側に左右軸回りに回動自在に枢支連結され、アーム先端側及びバケットに枢支連結されたリンク機構とアームの基部側とにわたって設けられたバケットシリンダの伸縮動作によってスクイ・ダンプ動作可能とされている。
前記メインブームシリンダ、オフセットシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダは油圧シリンダによって構成されている。
前記旋回フレーム上の支持部の右側にはタンクルームが設けられ、このタンクルーム内には、油圧機器用の作動油を貯留する作動油タンクと、前記メインブームシリンダ、オフセットシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダを制御する各制御弁の他バックホーに設けられた各種油圧機器を制御する制御弁を集約してなるコントロールバルブとが収容されている。
【0006】
前記右側の縦板は前記タンクルームの左側の側壁の一部を構成しており、この右側の縦板の底板より上方側に油圧ホース挿通用のホース挿通孔を貫通形成し、このホース挿通孔を通してコントロールバルブからオフセットシリンダ、アームシリンダ及びバケットシリンダ用の油圧ホースを掘削作業装置へと配設しているバックホーがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−92380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来のバックホーにあっては、オフセットシリンダ、アームシリンダ及びバケットシリンダ用の油圧ホースを、コントロールバルブから掘削作業装置へと配設する際において、縦板に形成した前記ホース挿通孔を挿通させるので、組付けが困難であると共にメンテナンスや作業効率もわるく、また、油圧ホースに無理な負荷をかけるため該油圧ホースを傷める惧れがある。
そこで、本発明は、前記問題点に鑑みて、コントロールバルブから作業装置へと配設される油圧ホースの組付けの容易化を図った旋回作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、走行体上に上下軸廻りに旋回自在に支持された旋回フレームを備え、この旋回フレームの前部に、油圧シリンダによって上下揺動されるブームを備えた作業装置を支持する支持部を設け、この支持部は左右方向で対向配置された一対の縦板と、該縦板間に設けられた底板とを備え、左右の縦板に、該縦板間に挿入されたブームの基部を枢支するブーム枢支部を設け、縦板間の底板上方側であって前記ブーム枢支部の前方側且つ下方側に、前記油圧シリンダの一端側を枢支するシリンダ枢支部を設け、前記支持部の左右一側方にコントロールバルブを設け、このコントロールバルブから作業装置へと配設される油圧ホースが、底板の上方側で且つコントロールバルブ側の縦板の前部側において、該縦板を左右方向に通過して配設される旋回作業機において、
コントロールバルブ側の縦板の上側縁部の前部が、側面視において、前記油圧ホースの配設経路及びシリンダ枢支部の下方に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記支持部のコントロールバルブ側の側方に作動油タンクを収容するタンクルームを設け、このタンクルーム内に前記コントロールバルブを収容し、タンクルーム側の縦板と共に該タンクルームの支持部側の側壁を構成する側板をタンクルーム側の縦板に着脱自在に取付固定し、この側板に前記油圧ホースが挿通するホース挿通用切欠きを形成し、このホース挿通用切欠きは下方側に向けて開放状に形成されているのがよい。
また、前記油圧ホースをクランプするホースクランプを、前記ブームの基部の近傍位置にて、左右縦板の対向側の面から突出するステーに取付固定することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コントロールバルブから縦板を左右方向に通過して作業装置へと配設される油圧ホースは縦板の上を通して配設できるので、該油圧ホースの組付けが容易であると共にメンテナンスや作業効率もよく、また、該油圧ホースを傷めることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図3及び図4において、1は旋回作業機(掘削作業機)として例示する超小旋回型のバックホーを示しており、該バックホー1は上部の旋回体2と、下部の走行体3とから主構成されている。
走行体3は、トラックフレーム4の左右両側にクローラ式走行装置5を設けてなる。
左右の各クローラ式走行装置5は、前部のアイドラ6と、後部のスプロケット7と、これらアイドラ6とスプロケット7との間に配置された複数の転輪8とをトラックフレーム4に左右軸回りに回転可能に支持すると共に、これらアイドラ6,スプロケット7,複数の転輪8にわたって巻き掛けられた無端帯状のクローラベルト9を備え、油圧モータ(ホイルモータ)からなる走行モータ10によって前記スプロケット7を回転駆動することにより該スプロケット7からクローラベルト9に駆動力が伝達されて該クローラベルト9が長手方向に循環回走され、これによってバックホー1が前後方向に走行可能とされている。
【0012】
走行体3の前部にはドーザ装置11が設けられている。このドーザ装置11は、トラックフレーム4に上下揺動自在に支持された左右一対のドーザアーム12と、この左右ドーザアーム12の前端側に固定されたブレード13と、ドーザアーム12を上下揺動させる油圧シリンダからなるドーザシリンダ14とを備えている。
旋回体2は、走行体3のトラックフレーム4に上下方向の旋回軸心回りに旋回自在に支持された旋回台15と、この旋回台15上に搭載されたキャビン16と、旋回台15の前部側に設けられた作業装置17(掘削作業装置、対地作業装置)とを備えている。
【0013】
図1、図2、図5〜11に示すように、旋回台15は、骨格(本体部分)となる旋回フレーム18と、該旋回フレーム18の後部に取り付けられていて旋回台15の後面及び左右側面の後側を構成するウエイト19と、旋回フレーム18の右前側面及び右前面を覆う右旋回カバー20と、旋回フレーム18の左前側面及び左前面を覆う左旋回カバーと、旋回フレーム18上面の前部左側を覆うステップ29とを備えている。
旋回フレーム18は、走行体3のトラックフレーム4上に旋回ベアリングを介して上下方向の旋回軸心廻りに旋回自在に支持された旋回基板21と、この旋回基板21上に溶接等によって固定された部材であって旋回基板21上に機器、作業装置、タンク類などを取付支持するための部材等とを有する。
【0014】
旋回台15上には、キャビン16、エンジン23、ラジエータ24、燃料タンク25、作動油タンク26、コントロールバルブ27等が搭載されている。
前記キャビン16は旋回台15の右側に配置され、該キャビン16内には、運転席28の他、走行体3,作業装置17又は旋回台15等を操作する操作装置などが設けられている。
エンジン23は旋回台15の後部に(クランク軸の軸心が左右方向に一致するように)横置き配置され、エンジン23の左側には該エンジン23で駆動される油圧ポンプPが取り付けられている。
【0015】
ラジエータ24は、エンジン23の右側方に、ラジエータコアが左右方向を向くように配置されており、このラジエータ24とエンジン23との間にはエンジン23によって駆動される冷却ファン30が設けられ、この冷却ファン30はラジエータ24の右側からラジエータコアを通してエンジン23側へと冷却風が流れるように構成されている。
また、ラジエータ24の右側にはオイルクーラ31が配置されている。
燃料タンク25は、エンジン23の左側の前方で且つステップ29の下方側に配置されている。
【0016】
作動油タンク26は、油圧機器用の作動油を貯留するものであって、ラジエータ24の前方側に配置されており、この作動油タンク26の右側上方にはバッテリー32が配置されている。
コントロールバルブ27は、当該バックホー1に設けられた油圧機器を制御する制御弁を集約してなるものであり、各制御弁は上下方向に並べられて結合され、上部が作動油タンク26に固定のブラケット33に固定され、下部が作動油タンク26を支持するタンク支持台に固定のブラケット33に固定されている。
【0017】
エンジン23、ラジエータ24、作動油タンク26は旋回台15から上方に突出状とされていて、これらはカバー体34によって覆われている。
カバー体34は、エンジン23を覆うボンネット35と、ラジエータ24を覆うラジエータカバー36と、作動油タンク26を覆うタンクカバー37とから主構成されている。
前記タンクカバー37によって、作動油タンク26,バッテリー32及びコントロールバルブ27を収容するタンクルームの右側壁、前壁及び上壁が構成されており、該タンクカバー37は前側下部が旋回フレーム18側に左右軸廻りに回動自在に枢支されていて該枢支部分を中心として前後揺動自在(図5の実線及び仮想線参照)とされている。
【0018】
旋回台15の前部の、キャビン16右側方で且つタンクルームの左側方には(キャビン16とタンクルームとの間には)、前記作業装置17を支持する支持部39が設けられている。
作業装置17は、ブーム41と、アーム42と、バケット43(作業具)とを備えている。
ブーム41は、オフセット型ブームによって構成されており、前記支持部39に基部側が枢支されていて上下揺動自在とされたメインブーム44と、このメインブーム44の先端側に基部側が枢支連結されていて左右揺動自在とされたオフセットブーム45と、このオフセットブーム45の先端側に枢支連結されていて左右揺動自在とされたアームブラケット46と、前端側がアームブラケット46に枢支連結され後端側がメインブーム44の先端側に枢支連結されたオフセットリンク47とを備えている。
【0019】
このメインブーム44は、図2に示すように、本体部44Aと、この本体部44Aのブーム長手方向基端側に設けられた基部44Bと、本体部44Aのブーム長手方向先端側に設けられた先端部44Cとから構成されている。
このメインブーム44の基部44Bは、左右方向に間隔をおいて対向配置された左右一対の側壁48と、この左右側壁48間のブーム長手方向先端側の固着部材49と、左右側壁48間のブーム長手方向基端側のボス50とから構成されており、固着部材49が本体部44Aのブーム長手方向基端側に固着されている。
【0020】
また、メインブーム44の前側には、前記支持部39とメインブーム44の本体部44Aの先端側とにわたって設けられたメインブームシリンダ51が配置され、このメインブームシリンダ51の伸縮動作によってメインブーム44が上下に揺動動作する。
オフセットブーム45及びオフセットリンク47は、メインブーム44の先端側とオフセットブーム45の先端側とにわたって設けられたオフセットシリンダ52の伸縮動作によって左右に揺動動作され、オフセットリンク47とオフセットブーム45とが共に左右揺動させることでアームブラケット46を左右に平行移動(オフセット)させることができる。
【0021】
アーム42は、基部側が前記アームブラケット46に左右軸回りに回動自在に枢支連結されていて、アームブラケット46とアーム42の基部側とにわたって設けられたアームシリンダ53の伸縮動作によって前後に揺動動作される。
バケット43は、アーム42の先端側に左右軸回りに回動自在に枢支連結され、アーム42先端側及びバケット43に枢支連結されたリンク機構54とアーム42の基部側とにわたって設けられたバケットシリンダ55の伸縮動作によってスクイ・ダンプ動作可能とされている。
【0022】
前記メインブームシリンダ51、オフセットシリンダ52、アームシリンダ53、バケットシリンダ55は複動型の油圧シリンダによって構成されており、前記コントロールバルブ27は、これら各油圧シリンダ51,52,53,55を制御するメインブーム用制御弁,オフセット用制御弁,アーム用制御弁,バケット用制御弁の他、走行体3の左右走行モータ10を制御する走行用制御弁、ドーザシリンダ14を制御するドーザ用制御弁、旋回台15を旋回させる旋回モータを制御する旋回用制御弁等の制御弁を集約してなる。
前記支持部39は、左右一対の縦板56L,56Rと、左右縦板56L,56Rの後端側に配置された後部板57と、左右縦板56L,56R間に設けられた底板58と、左右一対のシリンダブラケット59とを備えている。
【0023】
左右の縦板56L,56Rは板面が左右方向を向くように旋回基板21上に立設されていて左右方向で対向配置されている。
後部板57は板面が前後方向を向くように旋回基板21上に立設されており、右端が右側の縦板56Rの左側面に固着され、左端側が左側の縦板56Lの後端に固着されている。
底板58は、前方に行くに従って下方に移行する傾斜状に配置されており、後端が後部板57の前面上部に固着され、前端が旋回基板21に固着されている。
【0024】
また、この底板58は前後方向中途部で屈曲されており、前部側が後部側よりも急傾斜とされている。
左右の縦板56L,56Rの、後部板57の前方側で且つ底板58の下方側には、タンクルームと旋回台15内のステップ29の下方側とにわたって配設される油圧ホース等を通すための開口60が貫通形成されている。
左右縦板56L,56R間で且つ前記開口60の前側には、第1の補強板61が設けられている。この第1の補強板61は板面が前後方向を向くように旋回基板21上に立設されており、旋回基板21から底板58にわたるように且つ左右縦板56L,56R間にわたるように設けられ、旋回基板21、底板58及び左右縦板56L,56Rに溶接によって固着されている。
【0025】
また、左側の縦板56Lの左側には、前記第1の補強板61の左側方に位置する(前記第1の補強板61に左右方向で対応する位置に位置する)第2の補強板62が設けられている。この第2の補強板62は略三角形状に形成され、板面が左右方向を向くように旋回基板21上に立設されると共に左側の縦板56L,56Rの左側面に重ね合わされて該左側の縦板56L,56R及び旋回基板21に溶接によって固着されている。
左右の各縦板56L,56Rの前後方向中間部の上部には(底板58の前後方向中間の屈曲部分の上方側には)、ブーム枢支部63が設けられ、この左右ブーム枢支部63間にメインブーム44の基部44Bのボス50が挿入されると共に、これら左右のブーム枢支部63及びメインブーム基部44Bのボス50にわたって左右方向の軸心を有するブーム枢軸64が挿通され、これによってメインブーム44の基部44B(オフセット型ブームの基部)が支持部39に左右軸廻りに回動自在に支持されている。
【0026】
左右のシリンダブラケット59は、左右の縦板56L,56Rの間で且つブーム枢支部63の前下方側に配置され、底板58上の前部に溶接によって固着されている。
また、左右各シリンダブラケット59の上部には、メインブームシリンダ51が枢支されるシリンダ枢支部65が設けられており、このシリンダ枢支部65は前記ブーム枢支部63の前方側且つ下方側に位置している。
メインブームシリンダ51の一端側(本実施形態ではボトム側)の被枢支部66は、左右のシリンダ枢支部65間に挿入されてシリンダ枢軸67によって該シリンダ枢支部65に左右軸廻りに回動自在に枢支連結されている。
【0027】
前記シリンダ枢軸67は、ピン68と該ピン68の軸心方向一端側に固着されたフランジ69とからなるフランジピン(フランジ付きピン)によって構成され、前記ピン68は左右のシリンダ枢支部65及びメインブームシリンダ51一端側の被枢支部66にわたって挿通され、フランジ69は右側の縦板56Rの右側面に重ね合わされていると共に該フランジ69を貫通してシリンダブラケット59に形成されたネジ孔に螺合されたネジによってシリンダブラケット59に固着されている。
右側の縦板56R(コントロールバルブ27側の縦板56R)の上側縁部71は、後部側の位置が高く、前部側の位置が低くなるように形成されている。
【0028】
この右側縦板56Rの上側縁部71を、後部72と、中間部73と、前部74とに分けて詳細に説明すると、先ず、後部72は、後端からブーム枢支部63の上方に至るまで水平方向に延びるように形成されている。
また、中間部73はブーム枢支部63の前側から下方に延びるように垂下状に形成されている。
また、前部74は、その後半側74Aが前方に行くに従って下方に移行する傾斜方向に延びるように形成されていると共に、中途部で屈曲されて前半側74Bが前方に向けて水平方向に延びるように形成されている。
【0029】
前記コントロールバルブ27は、右側縦板56Rの上側縁部71の中間部73の右側方に、該中間部73に沿って上下方向に配置され、このコントロールバルブ27から作業装置17へと配設される、オフセットシリンダ用、アームシリンダ用及びバケットシリンダ用の油圧ホース75は、前記右側縦板56Rの上側縁部71の前部74の後半側74Aの上方を通してコントロールバルブ27からメインブーム44の基部44B側へと配設されている。
従来のものにあっては、コントロールバルブ側の縦板の上側縁部は、オフセットシリンダ用、アームシリンダ用及びバケットシリンダ用の油圧ホースの配設経路の上方側にあり、これら油圧ホースを該縦板に貫通形成されたホース挿通孔を通してコントロールバルブ27からメインブームの基部側へと配設しているのに対し、本実施形態では、右側縦板56Rの上側縁部71の前部74がオフセットシリンダ用、アームシリンダ用及びバケットシリンダ用の油圧ホース75の配設経路76の下側に位置していて、オフセットシリンダ用、アームシリンダ用及びバケットシリンダ用の油圧ホース75を、前記右側縦板56Rの上側縁部71の前部74の後半側74Aの上方を越えてコントロールバルブ27からメインブーム44の基部44B側へと配設することができるよう構成されている。
【0030】
また、従来のものにあっては、シリンダブラケットのシリンダ枢支部の右側方は右側の縦板によって覆われていると共に縦板とシリンダブラケットとの間の隙間は狭いので、シリンダ枢軸をシリンダ枢支部及びメインブームシリンダ一端側の被枢支部に挿通するのに、右側の縦板にピン挿通孔を形成し、このピン挿通孔を通して前記シリンダ枢軸をシリンダ枢支部及びメインブームシリンダ一端側の被枢支部に挿通している。
このため、シリンダ枢軸の組付けが困難であったが、本実施形態では、右側縦板56Rの上側縁部71の前部74の前半側74Bは、側面視において、シリンダ枢支部65より下方側に位置していて、右側方から見てシリンダ枢支部65及びシリンダ枢軸67のフランジ69が露出状とされており、前記フランジ付きピンからなるシリンダ枢軸67を、右側の縦板56Rの右側方から該縦板56Rの上を通過させて組付けることができ、該シリンダ枢軸67をシリンダ枢支部65に側方から組み付けやすいよう構成されている。
【0031】
前記右側の縦板56Rは、タンクルームの左側の側壁の一部を構成しており、この右側の縦板56Rには、該縦板56Rと共にタンクルームの左側の側壁の一部を構成する側板77(これを第1の側板という)がネジによって着脱自在に取付固定されている。
この第1の側板77は、右側縦板56Rの上側縁部71から上方に延出状とされていて、シリンダ枢支部65の右側方を覆っている。
また、この第1の側板77には、オフセットシリンダ用、アームシリンダ用及びバケットシリンダ用の油圧ホース75を通すためのホース挿通用切欠き78が形成され、このホース挿通用切欠き78は下方側に向けて開放状とされており、このホース挿通用切欠き78の開放部分から前記油圧ホース75をホース挿通用切欠き78内に挿入可能とされている。
【0032】
したがって、オフセットシリンダ用、アームシリンダ用及びバケットシリンダ用の油圧ホース75をコントロールバルブ27から右側縦板56Rの上側縁部71の上方を越えてメインブーム44の基部44B側へと配設した後に、該第1の側板77を右側の縦板56L,56Rに取付固定することができるようになっており、前記油圧ホース75の配設及び第1の側板77の組付けの作業性がよい。
また、この第1の側板77の上部には、前記右側縦板56R及び第1の側板77と共にタンクルームの左側の側壁を構成する第2の側板79が取付固定されている。
【0033】
前記右側の縦板56Rと、第1の側板77と、第2の側板79とでタンクルームの左側の側壁が構成されている。
前記構成のバックホー1にあっては、シリンダ枢支部65は、ブーム枢支部63の前下方の近傍位置に位置していると共に、油圧ホース75の配設経路76は、側面視において、ブーム枢支部63とシリンダ枢支部65との間に位置している。すなわち、本実施形態では、油圧ホース75の配設経路76と、シリンダ枢軸67をシリンダ枢支部65及びメインブームシリンダ51の被枢支部66に挿通するための組付け経路とは前後方向に関して隣接している。
【0034】
したがって、右側の縦板56Rの前部を後部に対して、側方から見て油圧ホース75の配設経路76及びシリンダ枢支部65の下方位置まで大きく切り欠くことにより、油圧ホース75の配設の容易化とシリンダ枢軸67の組付けの容易化とを同時に達成することができる。
前記オフセットシリンダ用、アームシリンダ用及びバケットシリンダ用の油圧ホース75は、コントロールバルブ27から右側縦板56Rの上を通して左右縦板56L,56R間へと配設された後、メインブーム44の基部44Bの下方側から、該メインブーム基部44Bの側壁48間であって且つ固着部材49とボス50との間を通してメインブーム44の上面側へと配設され、その後、メインブーム44の上面側に固定された油圧配管80に接続されている。
【0035】
図11に示すように、左右の各縦板56L,56Rの対向側の面のブーム枢支部63の下方側には、オフセットシリンダ用、アームシリンダ用及びバケットシリンダ用の油圧ホース75をメインブーム44の基部44Bの下方側近傍位置でクランプするホースクランプ81を取付固定するためのステー82が左右縦板56L,56Rの対向側の面から対向方向に向けて突出するように設けられている。
オフセットシリンダ用、アームシリンダ用及びバケットシリンダ用の油圧ホース75はそれぞれ2本ずつあり、これら油圧ホース75は左右方向に並べられてホースクランプ81によってクランプされている。
【0036】
また、前記ステー82には、ホースクランプ81と共に、ホース押え83が取り付けられている。
このホース押え83は、ホースクランプ81の前側に重ね合わされていてホースクランプ81と共にステー82に取り付けられる取付プレート84と、この取付プレート84に固着されていて棒材を折曲してなる押え部材85とから構成されている。
押え部材85は、ホースクランプ81から上方側に延出されていて、オフセットシリンダ用、アームシリンダ用及びバケットシリンダ用の油圧ホース75をブーム枢支部63の近傍で前側から押さえている。
【0037】
オフセットシリンダ用、アームシリンダ用及びバケットシリンダ用の油圧ホース75を、メインブーム基部44Bの枢支部分近傍を通すことにより、メインブーム44の揺動時における油圧ホース75の変化量を少なくすることができる。
本実施形態のバックホー1にあっては、バケット43の基部側にフック(図示省略)が設けられていてクレーン作業が行えるようになっており、また、図2に示すように、メインブームシリンダ51のシリンダ本体51Aの下面側には、該シリンダ51に作動油を供給する油圧管路が破損した場合にメインブーム44の下降を防止するホールド弁86が設けられている。
【0038】
このホールド弁86は、図12に示すように、パイロット圧を導入するパイロットポート87と、タンク26に接続されるドレンポート88と、メインブームシリンダ51のシリンダ本体51Aのボトム側の油室に油圧管路89を介して接続されるシリンダポート90と、メインブームシリンダ51を制御するメインブーム用制御弁91に油圧管路92を介して接続される入口ポート93と、切換弁94と、遮断弁95とを備えている。
また、メインブーム用制御弁91は、パイロット操作切換弁によって構成されていて、運転席28の横に配置されたパイロット弁96にパイロット油路97a,97bを介して接続されていて、このパイロット弁96の操作によるパイロット圧によって操作される。
【0039】
また、メインブーム用制御弁91は油圧管路98を介してブームシリンダ51のシリンダ本体51Aのロッド側の油室に接続されている。
パイロットポート87は、パイロット管路99を介して前記パイロット油路97a,97bに接続されている。
図12に示す構成の油圧回路にあっては、前記パイロット弁96を操作してメインブーム用制御弁91を中立位置XからY位置に切り換えると、同時に切換弁94がF位置に切り換えられると共に、油圧ポンプPからの作動油が入口ポート93から遮断弁95に供給され、作動油が遮断弁95のポペット100を押圧して油圧管路101に流れ、さらにシリンダポート90から油圧管路89を介してメインブームシリンダ51のボトム側に供給され、また、ブームシリンダ51のロッド側の作動油がタンク26にドレンされる。
【0040】
これにより、メインブームシリンダ51のピストンロッド51Bが伸張動作されてメインブーム44が上げ動作される。
また、パイロット弁96を操作してメインブーム用制御弁91をZ位置に切り換えると、切換弁94はF位置のままであると共に、油圧ポンプPからの作動油がメインブームシリンダ51のロッド側に供給されると共に、メインブームシリンダ51のボトム側の作動油が油圧管路89、シリンダポート90、油圧管路101を経て、遮断弁95に至り、ポペット100を押圧して油圧管路102、入口ポート93、油圧管路92を経てタンク26にドレンされる。
【0041】
これにより、メインブームシリンダ51のピストンロッド51Bが縮退動作されてメインブーム44が下げ動作される。
一方、ホールド弁86の入口ポート93とメインブーム用制御弁91との間の油圧管路92が破損して作動油がリークすると、パイロット弁96を中立位置Xに操作することにより、切換弁94がE位置に切り替わり、メインブームシリンダ51のボトム側の作動油が、油圧管路89、シリンダポート90、油圧管路101,103,104を経て、遮断弁95に至り、ポペット100の背面を押圧して遮断弁95を閉じて作動油の入口ポート93からの排出を止める。これにより、メインブームシリンダ51のピストンロッド51Bの縮退動作が阻止されて、メインブーム44が下げ動作するのを防止するようになっている。
【0042】
また、左右の各縦板56L,56Rの前下部には、ホース継手(図示省略)を装着するための装着孔105が形成されている。
左右一方の縦板56L,56Rの装着孔105に装着されたホース継手には、メインブーム用制御弁91に接続された一対の油圧ホース(図示省略)のうちの一方が接続され、該ホース継手とホールド弁86の入口ポート93とが、前記油圧管路92の一部を構成する油圧ホース106によって接続されている。
また、左右他方の縦板56L,56Rの装着孔105に装着されたホース継手には、メインブーム用制御弁91に接続された一対の油圧ホースのうちの他方が接続され、該ホース継手とメインブームシリンダ51のボトム側とが、前記油圧管路98の一部を構成する油圧ホース107によって接続されている。
【0043】
なお、前記各油圧ホース106,107は左右方向で同じ側にある縦板56L,56Rとシリンダブラケット59との間に配設されている。
一方、前記パイロット管路99はパイロットホース99によって主構成され、該パイロットホース99は、タンクルーム内から前記ホース挿通用切欠き78を通して左右縦板56L,56R間のシリンダブラケット59後方側に配設され、その後、左右シリンダブラケット59間であって且つシリンダ枢軸67のピン68の下方側(メインブームシリンダ51の一端側の被枢支部66の下側)を通ってメインブームシリンダ51のシリンダ本体51Aの下面側へと配設され、その後、メインブームシリンダ51のシリンダ本体51Aの下面側に沿ってホールド弁86まで配設されている。
【0044】
前述したようにパイロットホース99を、メインブームシリンダ51の下側の枢支点の近傍を通すことにより、メインブーム44を上下揺動させたときのホースの変化量を少なくすることができる。
なお、アームシリンダ53にも圧油リーク時のアーム42の下降を防止するホールド弁が設けられるが、このホールド弁へと配設されるパイロットホースも前記メインブーム用のホールド弁86のパイロットホース99と同じ経路を通るように配設することができる。
【0045】
なお、前記実施形態において、旋回台15上の部材の配置構成は左右が逆の構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】支持部の側面図である。
【図2】メインブーム及び支持部の側面図である。
【図3】バックホーの側面図である。
【図4】バックホーの平面図である。
【図5】旋回台の側面図である。
【図6】旋回台の平面図である。
【図7】旋回フレームの斜視図である。
【図8】旋回フレームの側面図である。
【図9】旋回フレームの背面図である。
【図10】旋回フレームの平面図である。
【図11】メインブームの基部の取付部分の斜視図である。
【図12】油圧回路である。
【符号の説明】
【0047】
3 走行体
17 作業装置
18 旋回フレーム
26 作動油タンク
27 コントロールバルブ
39 支持部
41 ブーム
51 油圧シリンダ(メインブームシリンダ)
56L 左側縦板
56R 右側縦板
58 底板
63 ブーム枢支部
65 シリンダ枢支部
71 右側縦板の上側縁部
74 右側縦板の上側縁部の前部
75 油圧ホース
76 油圧ホースの配設経路
77 側板(第1の側板)
78 ホース挿通用切欠き
81 ホースクランプ
82 ステー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体(3)上に上下軸廻りに旋回自在に支持された旋回フレーム(18)を備え、この旋回フレーム(18)の前部に、油圧シリンダ(51)によって上下揺動されるブーム(41)を備えた作業装置(17)を支持する支持部(39)を設け、この支持部(39)は左右方向で対向配置された一対の縦板(56L,56R)と、該縦板(56L,56R)間に設けられた底板(58)とを備え、左右の縦板(56L,56R)に、該縦板(56L,56R)間に挿入されたブーム(41)の基部を枢支するブーム枢支部(63)を設け、縦板(56L,56R)間の底板(58)上方側であって前記ブーム枢支部(63)の前方側且つ下方側に、前記油圧シリンダ(51)の一端側を枢支するシリンダ枢支部(65)を設け、前記支持部(39)の左右一側方にコントロールバルブ(27)を設け、このコントロールバルブ(27)から作業装置(17)へと配設される油圧ホース(75)が、底板(58)の上方側で且つコントロールバルブ(27)側の縦板(56R)の前部側において、該縦板(56R)を左右方向に通過して配設される旋回作業機において、
コントロールバルブ(27)側の縦板(56R)の上側縁部(71)の前部(74)が、側面視において、前記油圧ホース(75)の配設経路(76)及びシリンダ枢支部(65)の下方に位置するように形成されていることを特徴とする旋回作業機。
【請求項2】
前記支持部(39)のコントロールバルブ(27)側の側方に作動油タンク(26)を収容するタンクルームを設け、このタンクルーム内に前記コントロールバルブ(27)を収容し、タンクルーム側の縦板(56R)と共に該タンクルームの支持部(39)側の側壁を構成する側板(77)をタンクルーム側の縦板(56R)に着脱自在に取付固定し、この側板(77)に前記油圧ホース(75)が挿通するホース挿通用切欠き(78)を形成し、このホース挿通用切欠き(78)は下方側に向けて開放状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の旋回作業機。
【請求項3】
前記油圧ホース(75)をクランプするホースクランプ(81)を、前記ブーム(41)の基部の近傍位置にて、左右縦板(56L,56R)の対向側の面から突出するステー(82)に取付固定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の旋回作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−150813(P2010−150813A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330042(P2008−330042)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】