説明

旋回作業機

【課題】仕切壁自体に形成した外気導入口にフィルタを設けることで、外気導入距離をできるだけ短くし、フィルタ越しにラジエータ吸込み側から効率よく外気を導入する。
【解決手段】旋回台2の後部にエンジン3及び吸込み式のラジエータ4を配備し、エンジン3及びラジエータ4を覆ってエンジンルーム5を形成するボンネット6と、エンジンルーム5の前方に設けられたキャビン7とを有し、キャビン7とエンジンルーム5との間にボンネット6の前部を形成する仕切壁8が旋回台2から立設し、仕切壁8の前方で且つキャビン7内の下部に空調装置本体10を配備し、仕切壁8におけるラジエータ吸込み空間Sに面している部分に、空調装置本体10の外気導入口11を形成し、外気導入口11にフィルタ12を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置本体へ外気を導入する機構を備えた旋回作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設機械に適用される空調装置の外気導入機構が知られている。
この外気導入機構は、運転室後部の仕切壁の下方部分を内側に窪ませた建屋延長空間内に、空調装置本体に接続されて外気を取り込むための外気導入ダクトと、この外気導入ダクト内に塵埃等が入り込むのを防止する外気導入フィルタと、この外気導入フィルタを挿脱可能に装着したフィルタケースとが配備されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−87043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の空調装置の外気導入機構は、仕切壁から後方突出したフィルタケース外側面に外気導入口が設けられており、空調装置本体までの距離が長くなる問題がある。
本発明は、このような点に鑑みて、仕切壁自体に空調装置本体の外気導入口を形成することで、外気導入口から空調装置本体までの外気導入距離を可及的に短くした旋回作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、以下の技術的手段を採用した。
第1に、旋回台2の後部にエンジン3及び吸込み式のラジエータ4を配備し、前記エンジン3及びラジエータ4を覆ってエンジンルーム5を形成するボンネット6と、前記エンジンルーム5の前方に設けられたキャビン7とを有し、
このキャビン7とエンジンルーム5との間にボンネット6の前部を形成する仕切壁8が旋回台2から立設し、
前記仕切壁8の前方で且つキャビン7内の下部に空調装置本体10を配備しており、
前記仕切壁8におけるラジエータ吸込み空間Sに面している部分に、前記空調装置本体10の外気導入口11を形成し、この外気導入口11にフィルタ12を設けていることを特徴とする。
【0006】
第2に、前記外気導入口11は仕切壁8から前方突出した取入ダクト13内に形成され、この取入ダクト13内に前記フィルタ12を収容し、
前記取入ダクト13の後端側に、前記フィルタ12の離脱を防止する外気取入面部材14を着脱自在に取り付けていることを特徴とする。
第3に、前記旋回台2にマウント装置15を介して設けられたキャビン7側に、前記空調装置本体10へ外気を導く導入ダクト16が支持され、
前記旋回台2側に支持された取入ダクト13の前端開口13aを、前記導入ダクト16の外気導入側の開口16aに対面させていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によると、仕切壁自体に形成した外気導入口にフィルタを設けることで、外気導入口から空調装置本体までの距離を可及的に短くできると同時に、ラジエータ吸込み側の外気をフィルタ越しに効率よく導入できる。
請求項2に係る発明によると、仕切壁から前方突出した取入ダクト内のフィルタの離脱を防止する外気取入面部材を、取入ダクトの後端側に着脱自在に取り付けて、取入ダクト及び外気取入面部材を、ラジエータ吸込み空間内で後方突出することなく配備でき、ラジエータ吸込み空間の空間効率が上がる。
【0008】
請求項3に係る発明によると、旋回台側の取入ダクトの前端開口を、キャビン側の導入ダクトの外気導入側の開口に対面させて、旋回台にキャビンをマウントさせるだけで、空
調装置本体までの外気導入経路が連結できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る旋回作業機の外気導入機構の一部断面斜視図である。
【図2】外気導入機構の側面断面図である。
【図3】旋回台とキャビンとの分解斜視図である。
【図4】外気導入口の斜視図である。
【図5】外気導入口の拡大斜視図である。
【図6】旋回作業機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜6には、本発明に係る旋回作業機1が示されている。
図6において、旋回作業機1は、左右一対のクローラ走行体21を有する走行装置22の上部に、旋回ベアリング23を介して上下方向の旋回軸心X廻りに回動自在に旋回台2を搭載しており、走行装置22の前部にはドーザ24が設けられている。
【0011】
旋回台2の上部には運転席9や操縦レバー等を取り囲むキャビン7が設けられており、このキャビン7内には空気調節を行う空調装置(エアコンディショナ)20を有している。
旋回台2の前端部には対地作業装置(掘削装置)25が設けられている。
この対地作業装置25は、旋回台2の前部に上下軸廻りに揺動自在に支持されたスイングブラケット26と、このスイングブラケット26に左右軸廻りに揺動自在に支持されたブーム27と、このブーム27の先端部に左右軸廻りに揺動自在に連結されたアーム28と、このアーム28の先端部に左右軸廻りに揺動自在に連結されたバケット29とを備えている。
【0012】
ブーム27は、旋回台2との間に介装されたブームシリンダ30により上下に揺動駆動され、アーム28は、ブーム27との間に介装されたアームシリンダ31により揺動駆動され、バケット29は、アーム28との間に介装されたバケットシリンダ32により掻き込み揺動駆動される。
図3、4に示すように、旋回台2は、骨格となる旋回フレーム33と、この旋回フレーム33の後部に取付固定されたカウンタウエイト34と、このカウンタウエイト34の左右両側に設けられた左右一対の側部プロテクタ35L、35Rとを有している。これらのカウンタウエイト34及び側部プロテクタ35L、35Rによって旋回台2の後部が構成されている。
【0013】
前記旋回フレーム33は、旋回台2の底壁を構成する板材からなり且つ後部にエンジン3を搭載する旋回基板38と、この旋回基板38の前端部に前方突出状に設けられて対地作業装置25のスイングブラケット26を支持する支持ブラケット39と、前記エンジン3の前方で前後に仕切るように旋回基板38から立設した下壁部45(仕切壁8の一部)と、旋回基板38上で支持ブラケット39と下壁部45とを連結する左右一対の縦リブ40L、40Rとを有している。
【0014】
この左右の縦リブ40L、40Rは前部側が支持ブラケット39から後方に向けて互いにハの字状に広がり、後部側が互いに平行になって後方に延出され、それぞれの後端が、後述の下壁部45に溶接等により固着されている。
旋回台2は、左右側面を覆う左右のサイドカバー体36L、36Rと、支持ブラケット39左右の前面を覆うフロントカバー体37が備えられている。
【0015】
図1、2にて示す如く、旋回台2の後部には、取付部材を介して、エンジン3、ラジエータ4等が取り付けられ、これらの部材を囲むエンジンルーム5が、ボンネット6によって覆われている。
エンジンルーム5内では、左右に長く横置きされたエンジン3の左右一側(左方)にラジエータ4が載置され、このラジエータ4によって、エンジンルーム5が左右に分割されている。
【0016】
分割された空間のうち、ラジエータ4の風吸込み側(エンジン3とは反対側)をラジエ
ータ吸込み空間Sとし、この空間S内に、オイルクーラ41、バッテリ42等が配備されている。
なお、ラジエータ吸込み空間Sへは、左方の側部開閉カバー44Lのメッシュ部材61越しに外気が流入する。
【0017】
ボンネット6は、前部が後述する仕切壁8で形成されていて、後部側には開閉自在な後部開閉カバー43を備えている。
ボンネット6の左右側は、前記側部プロテクタ35L、35Rと一体で開閉する側部開閉カバー44L、44Rが設けられている。
図3に示すように、ボンネット6の前部を形成する仕切壁8は、上述した下壁部45と、この下壁部45の上端から後上方へ延設する上斜壁部46と、この上斜壁部46の左右端部からそれぞれ前方に膨出した膨出部47L、47Rとを有している。このうち、左の膨出部47Lに後述する外気導入口11が設けられている。
【0018】
上斜壁部46及び膨出部47L、47Rは、内部が中空状に肉厚形成されていて、エンジンルーム5の熱をキャビン7側へ伝えない(断熱効果)。
ボンネット6は、上斜壁部46の上端と後部開閉カバー43の前端との間を覆う上面固定部48と、左右の側部開閉カバー44L、44Rの前方から上方にかけて位置する左右の側面固定部49L、49Rとを有している。
【0019】
上面固定部48は、ボンネット6を支持する支持フレーム(図示省略)の天板48であって、この天板48に後部開閉カバー43が枢支され、各側面固定部49L、49Rには左右側部開閉カバー44L、44Rが枢支されている。
なお、左方の側部開閉カバー44Lを開いた際には、上述のオイルクーラ41やバッテリ42、そして前記仕切壁8(左の膨出部47L)の背面側が露出することとなる。
【0020】
旋回台2上には、前記キャビン7がマウント装置15を介して設けられている。
このマウント装置15は、旋回台2前端側の左右一対の防振ゴム(マウントゴム)50Fと、ボンネット6の上面固定部48の左右一対の防振ゴム50Rとを有し、前後中途部にも防振ゴムを設けることもある。
これらの防振ゴム50F、50Rが、設置するキャビン7底部の各コーナに当接して、キャビン7の荷重を4点以上で支持し、エンジン3の振動や走行時の揺れ等を吸収する。
【0021】
キャビン7は、下端が開口した箱状に形成されており、この下端開口を塞ぐように、キャビン7がステップ51(底板)上に取り付けられている。
このステップ51は、前部及び中途部が旋回基板38から立設した筒状のステップ支持部材53Fに支持され、後端部が下壁部45の上端から前方突設したステップ取付板53Rによって支持されている。
【0022】
ステップ51上には、運転席9や操縦レバー等とともに、空調装置20が配備されている。
図1に示すように、空調装置20は、キャビン7内へ温風や冷風を送る空調装置本体10と、この空調装置本体10へ送り込む空気(内気又は外気)の流れを切り換える内外気切換器54と、この内外気切換器54を介して空調装置本体10へ外気を導入する導入ダクト16と、この導入ダクト16と連通した取入ダクト13と、この取入ダクト13内に収容されたフィルタ12と、このフィルタ12の離脱を防止する外気取入面部材14とを備えている。
【0023】
これらの空調装置本体10、内外気切換器54及び導入ダクト16の前方には、着脱自在の前蓋55が、キャビン7内と空調装置20の設置スペースとを隔てている。
空調装置本体10は、エンジン3で加熱した温媒などによって温風を発生させるヒータ機能と、エバポレータ(蒸発器)で吸熱して冷風を発生させるクーラ機能とを有しており、ステップ51後部の上にキャビン7内と仕切る前蓋55の後方に配備されている。
【0024】
なお、空調装置20の空調装置本体10などは、前面を前蓋55で塞いだボックス60の中に収納されており、このボックス60の上方に運転席9、及び操作機器が配備されている(つまりキャビン7内の下部に空調装置本体10が配備されている)。
内外気切換器54は、空調装置本体10の左右一側(左側)に付設されていて、前蓋5
5からキャビン7内へ突設し且つ揺動可能に支持された切換レバー56によって、キャビン7外の空気(外気)を空調装置本体10に取り入れる外気導入状態G(図1中の実線及び点線)と、キャビン7内の空気(内気)を空調装置本体10に送り込む内気導入状態N(図1中の2点鎖線)とに切り換え可能となっている。
【0025】
導入ダクト16は、略左右方向に延びていて外気を通す断面略矩形状のダクトであって、左右一方端部、又は左右方向中途部がダクト支持部材52を介してキャビン7側に取付支持されている。
このダクト支持部材52は、後述するボックス60の内部と、キャビン7底面の露出部分とを仕切る仕切板も兼用しており、ボックス60の内気を漏らさずに、導入ダクト16の左右一方(左方)の端部を、外部に露出できる。
【0026】
したがって、内外気切換器54が外気導入状態Gである場合には、外気導入口11から取り入れる外気を空調装置本体10へ送り込むこととなり、内気導入状態Nの場合には、ボックス60の内気やキャビン7の内気を空調装置本体10へ送り込むことができる。
導入ダクト16の左方の端部には、前記取入ダクト13の前端開口13aと連通する開口(連通開口)16aが設けられている。
【0027】
この連通開口16aは、左方側端部、すなわち外気導入をする部分に近い側の端部の下面に設けられており、連通開口16aがキャビン7を旋回台2から外した際にキャビン7の底面側に露出するように、ステップ51の左後部が切り欠かれている。
この切り欠いた部分から、キャビン7を旋回台2に設置した際には、前述の取入ダクト13がキャビン7側へ入り込むこととなる。
【0028】
連通開口16aの開口縁には、下方へ突出状に形成された突出部57が設けられており、この突出部57が取入ダクト13の後述する前端開口13aに入り込む。
なお、導入ダクト16は、内外気切換器54から左右外方へ延設したのち、上方へ湾曲した後、さらに左右外方へ延びている。
つまり、導入ダクト16は、ステップ51上に載置された空調装置本体10や内外気切換器54と略同じ高さから、長手方向中途部で段違いに上方へ移行しており、左右方向外方端部の連通開口16aはステップ51よりも高い位置にある。
【0029】
前記取入ダクト13は、旋回台2側の仕切壁8(左膨出部47L)を貫通する取付孔58に嵌め込んで取り付けられている(すなわち、取入ダクト13は旋回台2側に支持されている)。
この取付孔58は、左膨出部47Lが肉厚形成されているため、所定長さを有することとなり、内周面によって取入ダクト13を支持可能となる。さらに、左膨出部47Lの肉厚によって後述するフィルタ12を収納するスペースが確保できる。
【0030】
取付孔58は、左膨出部47Lのラジエータ吸込み空間Sに面している部分に設けられていることから、ラジエータ吸込み空間Sの前壁を形成する左膨出部47Lに外気導入口11と外気取入面部材14とが設けられることとなる。
取付孔58に嵌め込まれた取入ダクト13は、大部分が左膨出部47Lより前上方突出した状態となっており、長手方向に対して斜めに切断されて略水平に上面開口した前端開口13aが形成され、この前端開口13aは、旋回台2の上面に露出している。
【0031】
したがって、前端開口13aは、キャビン7を旋回台2に設置した際には、底面側から露出している導入ダクト16の連通開口16aと対面する。
つまり、導入ダクト16の開口16a及び取入ダクト13の開口13aが対面するように設けることで、各開口13a、16aの位置決めがなされ、旋回台2にキャビン7をマウント装置15(防振ゴム50F、50R)を介して設けるだけで、空調装置本体10までの外気導入経路を連結可能となり、空調装置(外気導入機構)20の組立容易化が図れる。
【0032】
取入ダクト13の前端開口13aは、導入ダクト16の連通開口16aよりも大きく形成されており、連通開口16aの開口縁の突出部57が入り込む。これによって、取入ダクト13が導入ダクト16とを連通することで、外気の漏れを抑制できる。
さらには、突出部57が前端開口13aに入り込んでいるので、防振ゴム50F、50
Rを介して設けられたキャビン7が多少揺れても、導入ダクト16と取入ダクト13との連通関係は維持される。
【0033】
なお、取入ダクト13の前端開口13aには、開口縁に沿って平面部59が形成されており、この平面部59は、導入ダクト16の連通開口16aの開口縁と当接可能となっている。これによって、連通開口16aの開口縁が取入ダクト13の平面部59と当接した際には、取入ダクト13で導入ダクト16の左端部を支えることとなる。
さらには、取入ダクト13内に嵌め込まれる後述のフィルタ12が平面部59後端に当接することによって、フィルタ12の嵌込方向における位置決めがなされる。
【0034】
取入ダクト13の後端は、ラジエータ吸込み空間Sに露出しており、取入ダクト13における後端側の開口11が、外気を取り入れる外気導入口11を構成している。
つまり、外気導入口11を前方へ膨出した左膨出部47Lに設けることで、外気導入口11は可及的に前方に位置することとなり、外気導入口11から空調装置本体10までの距離を短縮して、ラジエータ吸込み空間Sの外気を効率よく導入できる。
【0035】
また、図4〜6で示す如く、外気導入口11は、左側部開閉カバー44Lのメッシュ部材61より前方に位置し且つ後方に向いて開口しているため、雨天時や洗車時などにメッシュ部材61からラジエータ吸込み空間Sに浸入した水が、外気取入面部材14を通って外気導入口11へ入ることを極力抑えることが可能となる。
取入ダクト13内には、フィルタ12が収容され(嵌め込まれ)ていて、フィルタ12の断面形状は、略矩形であって、外気導入口11の開口形状(取入ダクト13の断面形状)と略相似形で且つ一回り小さく形成されている。
【0036】
外気取入面部材14は、取入ダクト13の後端に着脱自在に取り付けられた略矩形状のプレートであって、複数のスリット62を有し、外気導入口11の開口形状(取入ダクト13の断面形状)と略相似形で且つ一回り大きく形成されている。
図5に示すように、外気取入面部材14の一端側には、取入ダクト13の後端下縁に設けられた係止ストッパ65の嵌入孔65aに嵌入可能な突起部63が形成され、外気取入面部材14の他端側には、取入ダクト13後端の左右側縁に設けられた各係止フック66に係脱自在な係止スリット64が設けられている。
【0037】
したがって、嵌入孔65aに突起部63を嵌め込み、且つ係止フック66に係止スリット64を引っかけながら、外気取入面部材14を左膨出部47Lの背面に沿わせて、所定距離ずらせば、外気取入面部材14を取入ダクト13後端に係止できる。
よって、オイルクーラ41のオイル管41aやバッテリ42等の機器を、左膨出部47Lの背面近傍に配置できるため、ラジエータ吸込み空間Sを空間効率が向上する。
【0038】
なお、外気取入面部材14における突起部63及び係止スリット64を係止部67とし、取入ダクト13における係止ストッパ65及び係止フック66を被係止部68とする。
この係止部67と被係止部68との係止状態は、外気取入面部材14と取入ダクト13後端とにそれぞれ設けられた連通孔69に挿通するベータピン70によって保持される。
本発明に係る旋回作業機1の空調装置20におけるフィルタ12交換について説明する。
【0039】
図4に示すように、左側の側部開閉カバー44Lを開くと、フィルタ12の脱落を防ぐ外気取入面部材14が露出する。
次に、外気取入面部材14と取入ダクト13後端とを連通しているベータピン70を外した後、外気取入面部材14を仕切壁8の左膨出部47L背面に沿って後上方にずらすことで、突起部63と嵌入孔65aとの嵌入状態、及び係止スリット64と係止フック66との係止状態が解除され、外気取入面部材14とともに、フィルタ12を外すことができる。
【0040】
このあと、外気取入面部材14に新たなフィルタ12を付け替え、フィルタ12を外気導入口11から取入ダクト13内へ収容する。
そして、外気取入面部材14を取入ダクト13後端に係止して、ベータピン70を連通させることで係止状態を保持して、フィルタ12交換を完了し、左側部開閉カバー44Lを閉じる。
【0041】
上述したように、仕切壁8におけるラジエータ吸込み空間Sに面している部分に形成した空調装置本体10の外気導入口11にフィルタ12を設けることで、外気導入口11から空調装置本体10までの距離を可及的に短くでき、ラジエータ4の吸込み側の外気を、フィルタ12越しに効率よく空調装置本体10まで導入できる。
また、仕切壁8から前方突出した取入ダクト13内にフィルタ12を収容し、取入ダクト13の後端側に、フィルタ12の離脱を防止する外気取入面部材14を着脱自在に取り付けることで、取入ダクト13及び外気取入面部材14を、ラジエータ吸込み空間S内で後方突出することなく配備でき、取入ダクト13が他の機器をラジエータ吸込み空間S内に配備する際の妨げにならず、ラジエータ吸込み空間S内の利用効率が向上する。
【0042】
さらに、旋回台2側の取入ダクト13の前端開口13aを、キャビン7側の導入ダクト16の外気導入側の開口16aに対面させることで、旋回台2にキャビン7をマウントさせるだけで、空調装置本体10までの外気導入経路が連結でき、外気導入機構の組立容易化が図れる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。旋回作業機1等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【0043】
空調装置本体10は、クーラ機能、ヒータ機能のうち、いずれか一方を備えるものとしてもよい。
空調装置20の空調装置本体10などは、キャビン7内の下部であれば、運転席9直下のボックス60内に配備されていなくともよく、運転席9の後下方、前下方など、運転席9の近傍にあればよい。
【0044】
取入ダクト13及びフィルタ12の断面形状や、外気取入面部材14の形状は、互いに略相似であれば略矩形状であることに限らず、略円形や、略楕円形であってもよい。
外気導入口11、取入ダクト13及び導入ダクト16の断面積は、左膨出部47Lの前方空間や、ボックス60内の空きスペースに応じて可及的に大きくすることで、空調装置本体10への外気導入量を増やしてもよい。
【0045】
係止部67及び被係止部68は、突起部63、係止スリット64、係止ストッパ65、係止フック66に限らず、外気取入面部材14が取入ダクト13の後端に係脱自在となるならば、ビス止め、嵌め合いなどであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 旋回作業機
2 旋回台
3 エンジン
4 ラジエータ
5 エンジンルーム
6 ボンネット
7 キャビン
8 仕切壁
9 運転席
10 空調装置本体
11 外気導入口
12 フィルタ
13 取入ダクト
13a 取入ダクトの前端開口
14 外気取入面部材
15 マウント装置
16 導入ダクト
16a 導入ダクトの外気導入側の開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回台(2)の後部にエンジン(3)及び吸込み式のラジエータ(4)を配備し、前記エンジン(3)及びラジエータ(4)を覆ってエンジンルーム(5)を形成するボンネット(6)と、前記エンジンルーム(5)の前方に設けられたキャビン(7)とを有し、
このキャビン(7)とエンジンルーム(5)との間にボンネット(6)の前部を形成する仕切壁(8)が旋回台(2)から立設し、
前記仕切壁(8)の前方で且つキャビン(7)内の下部に空調装置本体(10)を配備しており、
前記仕切壁(8)におけるラジエータ吸込み空間(S)に面している部分に、前記空調装置本体(10)の外気導入口(11)を形成し、この外気導入口(11)にフィルタ(12)を設けていることを特徴とする旋回作業機。
【請求項2】
前記外気導入口(11)は仕切壁(8)から前方突出した取入ダクト(13)内に形成され、この取入ダクト(13)内に前記フィルタ(12)を収容し、
前記取入ダクト(13)の後端側に、前記フィルタ(12)の離脱を防止する外気取入面部材(14)を着脱自在に取り付けていることを特徴とする請求項1に記載の旋回作業機。
【請求項3】
前記旋回台(2)にマウント装置(15)を介して設けられたキャビン(7)側に、前記空調装置本体(10)へ外気を導く導入ダクト(16)が支持され、
前記旋回台(2)側に支持された取入ダクト(13)の前端開口(13a)を、前記導入ダクト(16)の外気導入側の開口(16a)に対面させていることを特徴とする請求項2に記載の旋回作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−67484(P2012−67484A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212158(P2010−212158)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】