旋回作業車のキャノピー支持構造
【課題】旋回作業車のキャノピー支持構造において、キャノピーを後部キャノピー支持部材のみで支持する場合に比べて支持強度の向上を図るとともに、前部キャノピー支持部材を運転操作部や作業者用のガードとして用いることができるようにする。
【解決手段】旋回体2の前部に前部キャノピー支持部材としての支持板56と支持ブラケット57を設け、前記キャノピー8の前部支柱19・19を該支持ブラケット57に固定可能とし、前記前部キャノピー支持部材としての支持板56と支持ブラケット57と、旋回体2の後部のカウンターウェイト17に固設した後部キャノピー支持部材18とによりキャノピー8を着脱可能に支持する構成とした。
【解決手段】旋回体2の前部に前部キャノピー支持部材としての支持板56と支持ブラケット57を設け、前記キャノピー8の前部支柱19・19を該支持ブラケット57に固定可能とし、前記前部キャノピー支持部材としての支持板56と支持ブラケット57と、旋回体2の後部のカウンターウェイト17に固設した後部キャノピー支持部材18とによりキャノピー8を着脱可能に支持する構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー等の作業機を搭載した旋回作業車であって、特に小型の旋回作業車におけるキャノピーの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バックホー等の作業機を搭載した旋回作業車、特に小型の旋回作業車においては、シート及び運転操作部の上方にキャノピーが配設されているものがあった。該キャノピーは、シート及び運転操作部の上方を覆うキャノピールーフと該キャノピールーフを支持する支柱とにより一体的に構成されており、支柱を旋回体の後部のボンネットに直接固設することにより旋回作業車に取り付けられていた。また、このような小型の旋回作業車は、低木が植え付けられた果樹園や公園やビニールハウス等、背が高いと入り込めない場所での作業を行う機会が多く、このような場所で作業を行う場合には、キャノピーを取り外す必要があった。
【特許文献1】特開平7−127099号公報
【特許文献2】特開平9−25649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記キャノピーは一人の作業者では持ち運びができない程度のかなりの重さを有しているため、該キャノピーの着脱作業を行う際には複数の作業者が必要となっていた。また、キャノピーの着脱作業時は一人の作業者がキャノピーを取付位置にて支持し、他の作業者がボルトを締め付ける等の取付作業を行い、複数の作業者が同時に着脱作業に加わる必要があった。このように、キャノピーの着脱作業の機会が多いにもかかわらず、複数の作業者を必要とするとともに、煩雑で重労働あった。また、キャノピーは、ボルト等の締結部材により旋回体へ取付固定されていたが、ボルト等の締め付けが甘かったり、締め忘れがあった場合には、キャノピーが傾いたり脱落したりする恐れがあった。また、キャノピーはボンネットに直接取り付けられていたので、ボンネットを上方に回動してボンネット内を開放する、所謂フルオープンタイプのボンネットに構成することができなかった。従って、ボンネットは分割され、ボンネット内の後部のメンテナンスは、ボンネット後端部に形成した窓から行うこととなり、開口面積が小さく、作業性が悪かった。さらに、キャノピーはボンネットに直接取り付けていたので、シートの配置スペースを広く取ることができず、身長に合わせてシートを前後方向に移動可能とする構成とすることができず、運転部のスペースも小さくなっていた。また、キャノピーを設けない仕様となっている旋回作業車にキャノピーを後付けで取り付ける場合には、ボンネットやその内部を分解するなどの煩雑な作業が必要であった。本発明は更に、キャノピーを後部キャノピー支持部材のみで支持する場合に比べて支持強度を向上するものである。また、前部キャノピー支持部材を運転操作部や作業者用のガードとして用いるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
請求項1においては、旋回可能に構成した旋回体(2)へ回動可能に取り付けられたブーム(6)と該ブーム(6)へ回動自在に取り付けられたアーム(5)と、該アーム(5)へ回動自在に取り付けられた作業用アタッチメントとを有した作業機(7)を備え、前記旋回体(2)の後端部にカウンターウェイト(17)を配設した旋回作業車において、前記カウンターウェイト(17)にキャノピー支持部材(18)を固設し、該キャノピー支持部材(18)は二本の支持支柱(18a・18a)と支持ブラケット(18b)にて構成し、該支持支柱(18a・18a)は、左右方向に一定の間隔を設けてカウンターウェイト(17)に立設され、上方へいくにつれて、支持支柱(18a・18a)の互いの間隔が小さくなるように途中部から内側方向へ屈曲しており、該支持支柱(18a・18a)の上端部に、両者を連結する支持ブラケット(18b)を固設し、前記キャノピー(8)は、キャノピールーフ(8a)と二本の支柱(8b・8b)と被支持ブラケット(8c)とにより構成し、該キャノピールーフ(8a)から、支柱(8b・8b)を左右方向に一定の間隔を設けて下方へ延出し、下方へいくにつれて互いの間隔を小さくすべく途中部から内側方向へ屈曲させ、該支柱(8b・8b)の下端部には、両者を連結するように被支持ブラケット(8c)を固設し、前記キャノピー支持部材(18)の支持ブラケット(18b)に、ガイドピン(22)を立設し、キャノピー(8)の被支持ブラケット(8c)に設けた嵌合穴(8d・8d)と該ガイドピン(22)を着脱自在に嵌合すべく構成し、該旋回体(2)前部に前部キャノピー支持部材としての支持板(56)と支持ブラケット(57)を設け、前記キャノピー(8)の前部支柱(19・19)を該支持ブラケット(57)に固定可能とし、該前部キャノピー支持部材と後部キャノピー支持部材(18)とによりキャノピー(8)を着脱可能に支持したものである。
【0005】
請求項2においては、請求項1記載の旋回作業車のキャノピー支持構造において、前記前部キャノピー支持部材の旋回体前部への取り付けは、該前部キャノピー支持部材の下端に固設した支持板(56)を旋回体のフレーム(2a)に取付固定するとともに、該前部キャノピー支持部材を支持ブラケット(57)を介して旋回体(2)の側板(2b)に取付固定することにより行うものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1の如く、旋回可能に構成した旋回体(2)へ回動可能に取り付けられたブーム(6)と該ブーム(6)へ回動自在に取り付けられたアーム(5)と、該アーム(5)へ回動自在に取り付けられた作業用アタッチメントとを有した作業機(7)を備え、前記旋回体(2)の後端部にカウンターウェイト(17)を配設した旋回作業車において、前記カウンターウェイト(17)にキャノピー支持部材(18)を固設し、該キャノピー支持部材(18)は二本の支持支柱(18a・18a)と支持ブラケット(18b)にて構成し、該支持支柱(18a・18a)は、左右方向に一定の間隔を設けてカウンターウェイト(17)に立設され、上方へいくにつれて、支持支柱(18a・18a)の互いの間隔が小さくなるように途中部から内側方向へ屈曲しており、該支持支柱(18a・18a)の上端部に、両者を連結する支持ブラケット(18b)を固設し、前記キャノピー(8)は、キャノピールーフ(8a)と二本の支柱(8b・8b)と被支持ブラケット(8c)とにより構成し、該キャノピールーフ(8a)から、支柱(8b・8b)を左右方向に一定の間隔を設けて下方へ延出し、下方へいくにつれて互いの間隔を小さくすべく途中部から内側方向へ屈曲させ、該支柱(8b・8b)の下端部には、両者を連結するように被支持ブラケット(8c)を固設し、前記キャノピー支持部材(18)の支持ブラケット(18b)に、ガイドピン(22)を立設し、キャノピー(8)の被支持ブラケット(8c)に設けた嵌合穴(8d・8d)と該ガイドピン(22)を着脱自在に嵌合すべく構成したので、旋回体に支持されシート等の上方を覆うキャノピーを、着脱可能なキャノピーとカウンターウェイトに固設されるキャノピー支持部材とに分割した構成とすることができるため、着脱可能な部分である該キャノピーの重量を低減することができ、一人の作業者でも持ち運びが可能となっている。従って、着脱作業を簡便にして労力を低減するとともに、該作業の作業者の削減を図ることができる。
また、キャノピー支持部材は、ボンネットを保護するボンネットガードとしての機能も兼ね備えることができるため、部品点数を削減してコストダウンを図ることが可能となる。
また、キャノピー支持部材はウェイト部材に取り付けられているので、ボンネットを上方回動可能に構成することができ、所謂フルオープンタイプのボンネットに構成することができて、ボンネット内部のメンテナンス作業スペースを大きく確保することができて、作業性の向上を図ることができる。さらに、ボンネット内のスペースを小さく構成することが可能となって、エンジン等のレイアウト構成も簡単にすることができる。
また、キャノピー支持部材はウェイト部材に取り付けられているので、ボンネットの後部にスペースができ、シートをボンネットの後端部にまで配置することができて、運転操作部のスペースを広く確保することが可能となった。
【0007】
更に、前記キャノピー支持部材の支持部にガイドピンを立設し、キャノピーの被支持部に該ガイドピンを嵌脱自在に構成したので、キャノピーをキャノピー支持部材に載置した後は、ガイドピンによりキャノピーが支持されることとなり、作業者がキャノピーを支えておく必要がなくなって、キャノピーをキャノピー支持部材に載置した作業者がそのままキャノピーとキャノピー支持部材との連結作業を行うことが可能となる。
また、キャノピーをキャノピー支持部材に載置する際に、ガイドピンによりキャノピーの載置位置が自動的に位置決めされるので、作業者がキャノピーの載置位置を気にかけることなく作業を行うことができる。
また、ガイドピンによりキャノピーを支持するように構成することにより、キャノピーとキャノピー支持部材とを連結するとともに両者の連結強度を確保するためのボルトの締結本数を少なくすることが可能となり、キャノピーの着脱作業を簡便にするとともにコストダウンを図ることができる。
さらに、キャノピーを取り付ける際に、万が一ボルト等の連結部材を締め忘れたとしても、該キャノピーはガイドピンの支持により傾倒しないように構成されているので、該キャノピーの脱落を防止することができる。
【0008】
更に、該旋回体(2)前部に前部キャノピー支持部材としての支持板(56)と支持ブラケット(57)を設け、前記キャノピー(8)の前部支柱(19・19)を該支持ブラケット(57)に固定可能とし、該前部キャノピー支持部材と後部キャノピー支持部材(18)とによりキャノピー(8)を着脱可能に支持したので、キャノピーを後部キャノピー支持部材のみで支持する場合に比べて支持強度を向上することができる。
また、前部キャノピー支持部材を運転操作部や作業者用のガードとして用いることができる。
【0009】
更に、請求項2の如く、請求項1記載の旋回作業車のキャノピー支持構造において、前記前部キャノピー支持部材の旋回体前部への取り付けは、該前部キャノピー支持部材の下端に固設した支持板(56)を旋回体のフレーム(2a)に取付固定するとともに、該前部キャノピー支持部材を支持ブラケット(57)を介して旋回体(2)の側板(2b)に取付固定することにより行うので、旋回体には該支持ブラケットや支持板を取り付けるための取付孔等を形成するだけの簡単な加工を施すだけで、該前部キャノピー支持部材を取り付けることが可能となり、また、簡単な作業で着脱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は本発明のキャノピー支持構造を具備する旋回作業車を示す全体側面図、図2は旋回体を示す平面図、図3はカウンターウェイトに取付固定されたキャノピー支持部材と該キャノピー支持部材に支持されたキャノピーとを示す後面図、図4は同じく側面図である。
【0011】
図5はキャノピー支持部材のカウンターウェイトへの取付固定部を示す側面断面図、図6はキャノピーのキャノピー支持部材による支持部を示す後面図、図7は同じくキャノピー支持部材の支持ブラケットを示す平面図、図8はキャノピー及びキャノピー支持部材とシート及びボンネットとの位置関係を示す側面図、図9はキャノピー支持部材のカウンターウェイトへの取付構造の別実施例を示す旋回体の平面図、図10は同じくカウンターウェイトに取付固定されたキャノピー支持部材と該キャノピー支持部材に支持されたキャノピーとを示す後面図、図11は同じく側面図、図12はキャノピー支持部材のカウンターウェイトへの取付部を示す側面断面図、図13はキャノピー支持構造の別実施例を示す旋回作業者の全体側面図、図14は同じく旋回体を示す平面図、図15は前部支柱の旋回体への取付構造を示す側面図、図16は同じく平面図である。
【0012】
まず、本発明の作業機構造を有する旋回作業車の構成について説明する。図1において、旋回作業車は、クローラ式走行装置1の上部中央に旋回体2を左右旋回可能に支持しており、該クローラ式走行装置1の前後一端部には、ブレード3を上下回動自在に配設している。旋回体2の上方にはエンジン等を被覆するボンネット14が配設され、該ボンネット14の上方にシート16が取り付けられている。該シート16の前方には運転操作部15が設けられ、該運転操作部15及びシート16の上方にはキャノピー8が配設されている。また、旋回体2の後端部にはカウンターウェイト17が付設され、該カウンターウェイト17にはキャノピー支持部材18が立設されている。前記キャノピー8はキャノピールーフ8aと支柱8bとで構成され、該支柱8bを前記キャノピー支持部材18に着脱可能に取り付けることで、該キャノピー8を旋回体2に装着している。
【0013】
また、旋回体2の前端部にはブームブラケット12が左右回動自在に取り付けられ、該ブームブラケット12にはブーム6の下端部が上下回動自在に支持されている。
ブーム6は途中部で前方に屈曲して、側面視において屈曲部6dを有する略「く」字状に形成されており、該ブーム6の上端部にはアーム5が回動自在に支持され、該アーム5の先端部には作業用アタッチメントとしてのバケット4が回動自在に支持されている。これらのブーム6、アーム5、及びバケット4等により作業機7が構成されている。
【0014】
そして、前記ブーム6はブームシリンダ11により回動動作され、アーム5はアームシリンダ10により回動動作され、バケット4はバケットシリンダ9により回動動作されている。該ブームシリンダ11、アームシリンダ10、及びバケットシリンダ9は油圧シリンダに構成され、各シリンダ9・10・11は旋回台2のボンネット4内に配設される油圧ポンプから油圧ホースを通じて圧油を供給することにより伸縮駆動されている。また、ブームシリンダ11はブームブラケット12のシリンダ支持部12bとブーム6の途中部前面に設けられたブームシリンダブラケット36との間に介装され、アームシリンダ10はブーム6の途中部背面に設けられるアームシリンダボトムブラケット31とアーム5基端部に設けられるバケットシリンダブラケット30との間に介装され、バケットシリンダ9は該バケットシリンダブラケット30とバケット4に連結されるバケットブラケット29との間に介装されている。
【0015】
次に、キャノピー8及びキャノピー支持部材18の構成、並びにキャノピー8の支持構造について説明する。図2乃至図4に示すように、前記キャノピー支持部材18は二本の支持支柱18a・18aと支持ブラケット18bとで構成されている。該支持支柱18a・18aは、左右方向に一定の間隔を設けてカウンターウェイト17上面に立設され、上方へいくにつれて互いの間隔が小さくなるように途中部から内側方向へ屈曲しており、該支持支柱18a・18aの上端部には、両者を連結するように支持ブラケット18bが固設されている。
【0016】
前記キャノピー8は、キャノピールーフ8aと二本の支柱8b・8bと被支持部8bとにより構成されている。該キャノピールーフ8aから、支柱8b・8bが左右方向に一定の間隔を設けて下方へ延出し、下方へいくにつれて互いの間隔が小さくなるように途中部から内側方向へ屈曲している。該支柱8b・8bの下端部には、両者を連結するように被支持ブラケット8cが固設されている。そして、キャノピー支持部材18の支持ブラケット18bに、キャノピー8の被支持ブラケット8cが着脱可能に支持されている。
【0017】
カウンターウェイト17上面におけるキャノピー支持部材18の取付部には、図5に示すように、取付部材20が埋設されており、該取付部材20の上端から突出する嵌合突起20aに、パイプ状に形成されたキャノピー支持部材18の支持支柱18aを嵌合し、その後に溶接等により両者を接続している。また、図6に示すように、キャノピー8の支柱8bはパイプ状に形成されており、被支持ブラケット8cが固設される支柱8b下端部には、該支柱8bよりも小径のパイプ状に形成された補強パイプ21を内嵌して、支持ブラケット8cとの接続部の強度を補強している。
【0018】
また、図6、図7に示すように、支持支柱18aの上端部に固設される支持ブラケット18bには複数のガイドピン22・22が埋設され、該ガイドピン22・22の上部が支持ブラケット18bから上方に突出している。該ガイドピン22・22の突出部は、キャノピー8の被支持ブラケット8cの下面に形成された嵌合穴8d・8dと着脱自在に嵌合しており、該被支持ブラケット8cと支持ブラケット18bとは複数のボルト23・23・・・により締結されている。即ち、キャノピー8の被支持ブラケット8cと、キャノピー支持部材18の支持ブラケット18bとは、ガイドピン22・22及びボルト23・23・・・により連結され、これにより、キャノピー8がキャノピー支持部材18に支持されているのである。尚、本例においてはガイドピン22を二本、ボルト23を三本設けているが、この本数に限るものではなく、また、ガイドピン22・22及びボルト23・23・・・は略直線状に配置されているが、ガイドピン22・22とボルト23・23・・・とを千鳥状に配置する等してもよい。
【0019】
そして、キャノピー8をキャノピー支持部材18に取付固定する場合には、まず、キャノピー8の被支持ブラケット8cを、キャノピー支持部材18の支持ブラケット18b上へ、該支持ブラケット18bのガイドピン22・22と被支持ブラケット8cの嵌合穴8d・8dの位置を合わせて載置し、該嵌合穴8d・8dとガイドピン22・22とを嵌合させる。キャノピー8をキャノピー支持部材18上に載置した後、ボルト23・23・・・を、例えばキャノピー支持部材18に下方から挿入し、該キャノピー支持部材18とキャノピー8とを締結して両者を連結することで、キャノピー8をキャノピー支持部材18に取付固定する。
【0020】
この場合、キャノピー8は支柱8b・8bを被支持ブラケット8cから略垂直上方に延設し、キャノピールーフ8aを支柱8b・8bから前方に張り出して構成しているため、該キャノピー8の重心は被支持ブラケット8cよりも前方に位置することとなり、該被支持ブラケット8cを支持ブラケット18bに載置すると、該被支持ブラケット8cにはキャノピー8が前方へ傾倒する方向の力がかかる。しかし、支持ブラケット18bに載置された状態の被支持ブラケット8cには、該支持ブラケット18bに立設されたガイドピン22・22が嵌合しているため、被支持ブラケット8cは該ガイドピン22・22により支持され、キャノピー8が傾倒することが防止される。
【0021】
これにより、被支持ブラケット8cを支持ブラケット18bに載置した後は、作業者が該被支持ブラケット8cを支えておく必要がなく、被支持ブラケット8cを支持ブラケット18bに載置した作業者がそのままボルトの締結を行うことが可能となる。また、被支持ブラケット8cを支持ブラケット18bに載置する際に、嵌合穴8dにガイドピン22を嵌合させることで、被支持ブラケット8cの載置位置が自動的に位置決めされるので、作業者が被支持ブラケット8cの載置位置を気にかけることなく作業を行うことができる。また、キャノピー8はキャノピー支持部材18を介してカウンターウェイト17に取り付けられており、即ち、ボンネット14等に直接取り付けられた支柱によりキャノピールーフを支持して構成した従来のキャノピーを、着脱可能なキャノピー8とカウンターウェイト17に固設されるキャノピー支持部材18とに分割した構成としているため、着脱可能な部分である該キャノピー8の重量を低減することができ、一人の作業者でも持ち運びが可能となっている。また、ガイドピン22によりキャノピー8を支持するように構成することにより、被支持ブラケット8cと支持ブラケット18bとを連結するとともに両者の連結強度を確保するためのボルト23の締結本数を少なくすることが可能となり、キャノピー8の着脱作業を簡便にするとともにコストダウンを図ることができる。
【0022】
このように、本キャノピー8においては、着脱作業を簡便にして労力を低減するとともに、該作業を一人の作業者のみで行うことが可能となる。さらに、キャノピー8を取り付ける際に、万が一ボルト23を締め忘れたとしても、該キャノピー8はガイドピン22の支持により傾倒しないように構成されているので、該キャノピー8の脱落を防止することができる。
【0023】
また、図8に示すように、前記シート16はボンネット14の後部を構成する開閉部14aの上端部に取り付けられている。該開閉部14aは、回動支点14bを中心に前後へ回動可能に構成され、該開閉部14aを前方に回動してボンネット14内を開放することにより内部のメンテナンスを行い、該開閉部14aの回動操作は、例えばシート16を持って前後に押し引き操作することにより行うように構成している。一方、前記キャノピー支持部材18の支持ブラケット18bは、シート16の高さを超えない高さに配置されており、つまり、図3に示すように、シート16上端の高さよりも距離H低い位置に支持ブラケット18bの上端が位置するように構成している。また、支持支柱18aはカウンターウェイト17から略直上方に延出した後に途中部で後方へ屈曲して、支持ブラケット18bが支持支柱18aの下端部よりも後方に配置されている。該支持支柱18aの後方への屈曲度合いは、前記開閉部14aの後端部の回動軌跡Sと、該支持支柱18a及び支持ブラケット18bとが干渉せず、かつ支持ブラケット18bが旋回体2の旋回半径よりも後方外側へはみ出さない程度としている。
【0024】
また、キャノピー支持部材18はカウンターウェイト17に取り付けられているので、ボンネット14を上方回動可能に構成することができ、所謂フルオープンタイプのボンネット14に構成することができて、ボンネット14内部のメンテナンス作業スペースを大きく確保することができて、作業性の向上を図ることができる。さらに、ボンネット14内のスペースを小さく構成することが可能となって、エンジン等のレイアウト構成も簡単にすることができる。また、キャノピー支持部材18はカウンターウェイト17に取り付けられているので、ボンネット14の後部にスペースができ、シート16をボンネット14の後端部にまで配置することができて、運転操作部のスペースを広く確保することが可能となった。
【0025】
このように、支持ブラケット18bをシート16の高さを超えない高さに配置することにより、作業者が後ろを向いたときに支持ブラケット18bで視界を遮ることがない。また、キャノピー8を取り外しているときにボンネット14内のメンテナンスを行う場合の開閉部14aの操作性を損なわないようにしている。即ち、開閉部14aの開閉操作はシート16により行うため、キャノピー支持部材18の上端となる支持ブラケット18bの配置高さを該シート16を超えない高さとすることで、該キャノピー支持部材18と干渉することなくシート16を操作することが可能となるのである。さらに、支持ブラケット18bをシート16の高さを超えない高さに配置すると同時に、前記開閉部14aの回動支点14bよりも高位置に配置することで(図8)、開閉部14aの後端が開閉時に支持ブラケット18bと当たることがなく、操作性を損なうことなく、左右の支持支柱18aと支持ブラケット18bとで囲まれた空間を広く確保して、ボンネット14内のメンテナンス性をも保持することが可能となる。
【0026】
また、前記支持支柱18aの上部を、支持ブラケット18bが旋回体2の旋回半径よりも後方外側へはみ出さない程度に後方へ屈曲しているので、旋回体2の旋回半径を大きくすることなく、キャノピー支持部材18が開閉時の開閉部14aと干渉することを防止することができ、ボンネット14の開閉操作性を保持することができる。
【0027】
次に、キャノピー支持部材18のカウンターウェイトへの取付構造の別実施例について図9乃至図12により説明する。図9等に示すカウンターウェイト17’は、前記カウンターウェイト17よりも平面視における厚みを薄く形成したものであり、前述の如くカウンターウェイト17’に前記取付部材20を埋設してキャノピー支持部材18を取り付けることが困難である。このような場合には、次のように取付部材としての支持柱51を用いることで、キャノピー支持部材18をカウンターウェイト17’に取り付けることが可能となる。
【0028】
即ち、カウンターウェイト17’の側面へ、キャノピー支持部材18の左右の支持支柱18aの間隔に合わせて、柱状に形成した支持柱51・51を配設する。そして、該支持柱51の下端に支持板52を溶接等によって一体的に固設し、該支持板52とカウンターウェイト17’が付設される旋回体2のフレーム2aとをボルト53・53を用いて締結するとともに、支持柱51の上部とカウンターウェイト17’とをボルト53・53を用いて締結することで、支持柱51をカウンターウェイト17’に取付固定している。
【0029】
また、支持柱51のカウンターウェイト17’への取付高さは、該支持柱51の上端面とカウンターウェイト17’の上端面とが略同じ高さとなるようにしている。さらに、該支持柱51は、キャノピー支持部材18の平面視における取付位置が、前述のカウンターウェイト17にキャノピー支持部材18を取り付ける場合の取付位置と同じになる形状に形成されている。該支持柱51の上端面からは嵌合突起51aが突出しており、該嵌合突起51aにキャノピー支持部材18の支持支柱18aを嵌合し、その後に溶接等により両者を接続することで、キャノピー支持部材18を支持柱51を介してカウンターウェイト17’に取付固定している。
【0030】
このように、カウンターウェイト17’へ、該カウンターウェイト17’に取り付けた支持柱51を介してキャノピー支持部材18を取り付けるように構成することにより、厚みが薄いカウンターウェイト17’に対してもキャノピー支持部材18を取付固定することが可能となる。また、支持柱51の取付高さや形状等を前述の如く構成することで、キャノピー支持部材18を前記カウンターウェイト17に取り付ける場合と同じ位置に取り付けることが可能となり、カウンターウェイト17’を有する旋回作業車とカウンターウェイト17を有する旋回作業車とで、キャノピー支持部材18及びキャノピー8を共用することができる。また、キャノピー8を設けない仕様となっている旋回作業車にキャノピー8を後付けで取り付ける場合には、キャノピー支持部材18を取付部材である支持板52やボルト53を用いて外部からウェイト部材に付設するだけでよく、ボンネット14やその内部を分解する必要がないので、キャノピー8の取付作業を簡便にすることができる。尚、キャノピー支持部材18を取付部材としての支持柱51を介してカウンターウェイト17’の側面へ取り付けた場合にも、前記カウンターウェイト17の上面にキャノピー支持部材18を取り付けた場合と同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0031】
次に、キャノピー8の支持構造の別実施例について図13乃至図16により説明する。図13に示すキャノピー8は、キャノピー支持部材18により前述の如く支持されるとともに、旋回体2前部の左右に立設される前部支柱19・19によっても支持されている。即ち、キャノピー8は、前部キャノピー支持部材としての前部支柱19・19と、後部キャノピー支持部材としてのキャノピー支持部材18とにより支持されている。これにより、キャノピー8のキャノピールーフ8aは、キャノピー支持部材18に支持される支柱8b・8bと前記前部支柱19・19との合計四本の支柱により支持されることとなる。
【0032】
前部支柱19は、その下端部を旋回体2前部の側板2bに取付固定されており、その上端部をキャノピールーフ8aに取付固定されている。また、左右の前部支柱19・19は、互いに別体に形成しても良く、また、上端部を互いに連結して正面視において略門型状に形成してもよい。
【0033】
前部支柱19の下端には支持板56が溶接等により固設されており、該支持板56が旋回体2のフレーム2aにボルト58・58により締結され、支持ブラケット57をボルト58・58を用いて旋回体2の側板2bに締結することにより、該前部支柱19の下端部が側板2bに取付固定されている。
このように、前部支柱19は、支持板56と支持ブラケット57とを用いて側板2bに取り付けられている。
【0034】
また、該前部支柱19はボルト58・58・・・を緩めることで旋回体2から取り外すことが可能である。従って、キャノピー8を旋回作業車から取り外す場合には、キャノピー8の被支持ブラケット8cをキャノピー支持部材18の支持ブラケット18bから取り外すとともに、前部支柱19・19の下端部を旋回体を取り外せばよい。前部支柱19はボルト58・58・・・の締結により旋回体2へ取り付けるように構成しているので、該旋回体2にはボルト用孔を形成するだけの簡単な加工を施すだけで該前部支柱19の取り付けが可能となり、また、簡単な作業で着脱することができる。
【0035】
また、キャノピーは、前部の前部支柱19・19と、後部のキャノピー支持部材18とにより支持されているため、キャノピー支持部材18のみで支持する場合に比べて支持強度を向上することができる。さらに、前部支柱19・19を運転操作部15や作業者用のガードとして用いることができる。
【0036】
尚、前部支柱19・19の上端部をキャノピールーフ8aに対して着脱可能に構成して、該前部支柱19・19を旋回体2に取り付けたままの状態でキャノピー8を取り外すように構成することも可能であり、この場合は、キャノピー8を取り外した状態でも、前部支柱19・19を運転操作部15や作業者用のガードとして用いることができる。また、前部支柱19の取付構造は、前述のカウンターウェイト17’にキャノピー支持部材18を取り付ける際の構造に適用することが可能である。
【0037】
即ち、ウェイト部材の側面にキャノピー支持部材を取付部材を用いて取り付け、該キャノピー支持部材上に支持部を設け、該支持部によりキャノピーを着脱自在に支持可能としたので、ウェイト部材の平面視における厚みが薄くて上面にキャノピー支持部材を取り付けることが困難な場合であっても、ウェイト部材の上面に取り付ける場合と同様の位置でキャノピー支持部材を支持することが可能となり、ウェイト部材の上面にキャノピー支持部材を取り付けた旋回作業車とウェイト部材の側面にキャノピー支持部材を取り付けた旋回作業車とで、キャノピー支持部材及びキャノピーを共用することができ、コストダウンを図ることができる。また、旋回体に支持されシート等の上方を覆うキャノピーを、着脱可能なキャノピーとカウンターウェイトに固設されるキャノピー支持部材とに分割した構成とすることができるため、着脱可能な部分である該キャノピーの重量を低減することができ、一人の作業者でも持ち運びが可能となって、着脱作業を簡便にして労力を低減するとともに、該作業の作業者の削減を図ることができる。また、キャノピーを設けない仕様となっている旋回作業車にキャノピーを後付けで取り付ける場合には、キャノピー支持部材を取付部材を用いて外部からウェイト部材に付設するだけでよく、ボンネットやその内部を分解する必要がないので、キャノピーの取付作業を簡便にすることができる。また、キャノピー支持部材は、ボンネットを保護するボンネットガードとしての機能も兼ね備えることができるため、部品点数を削減してコストダウンを図ることが可能となる。また、キャノピー支持部材はウェイト部材に取り付けられているので、ボンネットを上方回動可能に構成することができ、所謂フルオープンタイプのボンネットに構成することができて、ボンネット内部のメンテナンス作業スペースを大きく確保することができて、作業性の向上を図ることができる。さらに、ボンネット内のスペースを小さく構成することが可能となって、エンジン等のレイアウト構成も簡単にすることができる。また、キャノピー支持部材はウェイト部材に取り付けられているので、ボンネットの後部にスペースができ、シートをボンネットの後端部にまで配置することができて、運転操作部のスペースを広く確保することが可能となった。
【0038】
更に、前記キャノピー支持部材の支持部上端の高さを、旋回体上に配設したシートの上端より低く配置したので、キャノピーを取り外している状態でボンネット内のメンテナンスを行う場合の該ボンネットの開閉操作性が損なわれない。即ち、ボンネットの開閉操作はシートにより行うため、キャノピー支持部材の上端となる支持ブラケットの配置高さを該シートを超えない高さとすることで、該キャノピー支持部材と干渉することなくシートを操作することが可能となり、シートをより後方へ配置することが可能となるのである。さらに、支持ブラケットをシートの高さを超えない高さに配置することに加えて、前記ボンネットの開閉時の回動支点よりも高位置に配置することで、開閉操作性を損なうことなく、メンテナンススペースを広く確保してボンネット内のメンテナンス性をも保持することが可能となる。
【0039】
更に、前記キャノピー支持部材の上部を、旋回体の旋回半径から外側へ飛び出さない範囲で、該キャノピー支持部材下端のウェイト部材への取り付け部よりも後方へ配置したので、旋回体の旋回半径を大きくすることなく、旋回体を回転させてもキャノピー支持部材が他の障害物と当接することがなく、また、該キャノピー支持部材が開閉時のボンネットと干渉することを防止することができ、該ボンネットの開閉操作性を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のキャノピー支持構造を具備する旋回作業車を示す全体側面図である。
【図2】旋回体を示す平面図である。
【図3】カウンターウェイトに取付固定されたキャノピー支持部材と該キャノピー支持部材に支持されたキャノピーとを示す後面図である。
【図4】同じく側面図である。
【図5】キャノピー支持部材のカウンターウェイトへの取付固定部を示す側面断面図である。
【図6】キャノピーのキャノピー支持部材による支持部を示す後面図である。
【図7】同じくキャノピー支持部材の支持ブラケットを示す平面図である。
【図8】キャノピー及びキャノピー支持部材とシート及びボンネットとの位置関係を示す側面図である。
【図9】キャノピー支持部材のカウンターウェイトへの取付構造の別実施例を示す旋回体の平面図である。
【図10】同じくカウンターウェイトに取付固定されたキャノピー支持部材と該キャノピー支持部材に支持されたキャノピーとを示す後面図である。
【図11】同じく側面図である。
【図12】キャノピー支持部材のカウンターウェイトへの取付部を示す側面断面図である。
【図13】キャノピー支持構造の別実施例を示す旋回作業者の全体側面図である。
【図14】同じく旋回体を示す平面図である。
【図15】前部支柱の旋回体への取付構造を示す側面図である。
【図16】同じく平面図である。
【符号の説明】
【0041】
2 旋回体
5 アーム
6 ブーム
7 作業機
8 キャノピー
8a キャノピールーフ
8b 支柱
8c 被支持ブラケット
14 ボンネット
15 運転操作部
16 シート
17 カウンターウェイト
18 キャノピー支持部材
18a 支持支柱
18b 支持ブラケット
22 ガイドピン
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー等の作業機を搭載した旋回作業車であって、特に小型の旋回作業車におけるキャノピーの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バックホー等の作業機を搭載した旋回作業車、特に小型の旋回作業車においては、シート及び運転操作部の上方にキャノピーが配設されているものがあった。該キャノピーは、シート及び運転操作部の上方を覆うキャノピールーフと該キャノピールーフを支持する支柱とにより一体的に構成されており、支柱を旋回体の後部のボンネットに直接固設することにより旋回作業車に取り付けられていた。また、このような小型の旋回作業車は、低木が植え付けられた果樹園や公園やビニールハウス等、背が高いと入り込めない場所での作業を行う機会が多く、このような場所で作業を行う場合には、キャノピーを取り外す必要があった。
【特許文献1】特開平7−127099号公報
【特許文献2】特開平9−25649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記キャノピーは一人の作業者では持ち運びができない程度のかなりの重さを有しているため、該キャノピーの着脱作業を行う際には複数の作業者が必要となっていた。また、キャノピーの着脱作業時は一人の作業者がキャノピーを取付位置にて支持し、他の作業者がボルトを締め付ける等の取付作業を行い、複数の作業者が同時に着脱作業に加わる必要があった。このように、キャノピーの着脱作業の機会が多いにもかかわらず、複数の作業者を必要とするとともに、煩雑で重労働あった。また、キャノピーは、ボルト等の締結部材により旋回体へ取付固定されていたが、ボルト等の締め付けが甘かったり、締め忘れがあった場合には、キャノピーが傾いたり脱落したりする恐れがあった。また、キャノピーはボンネットに直接取り付けられていたので、ボンネットを上方に回動してボンネット内を開放する、所謂フルオープンタイプのボンネットに構成することができなかった。従って、ボンネットは分割され、ボンネット内の後部のメンテナンスは、ボンネット後端部に形成した窓から行うこととなり、開口面積が小さく、作業性が悪かった。さらに、キャノピーはボンネットに直接取り付けていたので、シートの配置スペースを広く取ることができず、身長に合わせてシートを前後方向に移動可能とする構成とすることができず、運転部のスペースも小さくなっていた。また、キャノピーを設けない仕様となっている旋回作業車にキャノピーを後付けで取り付ける場合には、ボンネットやその内部を分解するなどの煩雑な作業が必要であった。本発明は更に、キャノピーを後部キャノピー支持部材のみで支持する場合に比べて支持強度を向上するものである。また、前部キャノピー支持部材を運転操作部や作業者用のガードとして用いるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
請求項1においては、旋回可能に構成した旋回体(2)へ回動可能に取り付けられたブーム(6)と該ブーム(6)へ回動自在に取り付けられたアーム(5)と、該アーム(5)へ回動自在に取り付けられた作業用アタッチメントとを有した作業機(7)を備え、前記旋回体(2)の後端部にカウンターウェイト(17)を配設した旋回作業車において、前記カウンターウェイト(17)にキャノピー支持部材(18)を固設し、該キャノピー支持部材(18)は二本の支持支柱(18a・18a)と支持ブラケット(18b)にて構成し、該支持支柱(18a・18a)は、左右方向に一定の間隔を設けてカウンターウェイト(17)に立設され、上方へいくにつれて、支持支柱(18a・18a)の互いの間隔が小さくなるように途中部から内側方向へ屈曲しており、該支持支柱(18a・18a)の上端部に、両者を連結する支持ブラケット(18b)を固設し、前記キャノピー(8)は、キャノピールーフ(8a)と二本の支柱(8b・8b)と被支持ブラケット(8c)とにより構成し、該キャノピールーフ(8a)から、支柱(8b・8b)を左右方向に一定の間隔を設けて下方へ延出し、下方へいくにつれて互いの間隔を小さくすべく途中部から内側方向へ屈曲させ、該支柱(8b・8b)の下端部には、両者を連結するように被支持ブラケット(8c)を固設し、前記キャノピー支持部材(18)の支持ブラケット(18b)に、ガイドピン(22)を立設し、キャノピー(8)の被支持ブラケット(8c)に設けた嵌合穴(8d・8d)と該ガイドピン(22)を着脱自在に嵌合すべく構成し、該旋回体(2)前部に前部キャノピー支持部材としての支持板(56)と支持ブラケット(57)を設け、前記キャノピー(8)の前部支柱(19・19)を該支持ブラケット(57)に固定可能とし、該前部キャノピー支持部材と後部キャノピー支持部材(18)とによりキャノピー(8)を着脱可能に支持したものである。
【0005】
請求項2においては、請求項1記載の旋回作業車のキャノピー支持構造において、前記前部キャノピー支持部材の旋回体前部への取り付けは、該前部キャノピー支持部材の下端に固設した支持板(56)を旋回体のフレーム(2a)に取付固定するとともに、該前部キャノピー支持部材を支持ブラケット(57)を介して旋回体(2)の側板(2b)に取付固定することにより行うものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1の如く、旋回可能に構成した旋回体(2)へ回動可能に取り付けられたブーム(6)と該ブーム(6)へ回動自在に取り付けられたアーム(5)と、該アーム(5)へ回動自在に取り付けられた作業用アタッチメントとを有した作業機(7)を備え、前記旋回体(2)の後端部にカウンターウェイト(17)を配設した旋回作業車において、前記カウンターウェイト(17)にキャノピー支持部材(18)を固設し、該キャノピー支持部材(18)は二本の支持支柱(18a・18a)と支持ブラケット(18b)にて構成し、該支持支柱(18a・18a)は、左右方向に一定の間隔を設けてカウンターウェイト(17)に立設され、上方へいくにつれて、支持支柱(18a・18a)の互いの間隔が小さくなるように途中部から内側方向へ屈曲しており、該支持支柱(18a・18a)の上端部に、両者を連結する支持ブラケット(18b)を固設し、前記キャノピー(8)は、キャノピールーフ(8a)と二本の支柱(8b・8b)と被支持ブラケット(8c)とにより構成し、該キャノピールーフ(8a)から、支柱(8b・8b)を左右方向に一定の間隔を設けて下方へ延出し、下方へいくにつれて互いの間隔を小さくすべく途中部から内側方向へ屈曲させ、該支柱(8b・8b)の下端部には、両者を連結するように被支持ブラケット(8c)を固設し、前記キャノピー支持部材(18)の支持ブラケット(18b)に、ガイドピン(22)を立設し、キャノピー(8)の被支持ブラケット(8c)に設けた嵌合穴(8d・8d)と該ガイドピン(22)を着脱自在に嵌合すべく構成したので、旋回体に支持されシート等の上方を覆うキャノピーを、着脱可能なキャノピーとカウンターウェイトに固設されるキャノピー支持部材とに分割した構成とすることができるため、着脱可能な部分である該キャノピーの重量を低減することができ、一人の作業者でも持ち運びが可能となっている。従って、着脱作業を簡便にして労力を低減するとともに、該作業の作業者の削減を図ることができる。
また、キャノピー支持部材は、ボンネットを保護するボンネットガードとしての機能も兼ね備えることができるため、部品点数を削減してコストダウンを図ることが可能となる。
また、キャノピー支持部材はウェイト部材に取り付けられているので、ボンネットを上方回動可能に構成することができ、所謂フルオープンタイプのボンネットに構成することができて、ボンネット内部のメンテナンス作業スペースを大きく確保することができて、作業性の向上を図ることができる。さらに、ボンネット内のスペースを小さく構成することが可能となって、エンジン等のレイアウト構成も簡単にすることができる。
また、キャノピー支持部材はウェイト部材に取り付けられているので、ボンネットの後部にスペースができ、シートをボンネットの後端部にまで配置することができて、運転操作部のスペースを広く確保することが可能となった。
【0007】
更に、前記キャノピー支持部材の支持部にガイドピンを立設し、キャノピーの被支持部に該ガイドピンを嵌脱自在に構成したので、キャノピーをキャノピー支持部材に載置した後は、ガイドピンによりキャノピーが支持されることとなり、作業者がキャノピーを支えておく必要がなくなって、キャノピーをキャノピー支持部材に載置した作業者がそのままキャノピーとキャノピー支持部材との連結作業を行うことが可能となる。
また、キャノピーをキャノピー支持部材に載置する際に、ガイドピンによりキャノピーの載置位置が自動的に位置決めされるので、作業者がキャノピーの載置位置を気にかけることなく作業を行うことができる。
また、ガイドピンによりキャノピーを支持するように構成することにより、キャノピーとキャノピー支持部材とを連結するとともに両者の連結強度を確保するためのボルトの締結本数を少なくすることが可能となり、キャノピーの着脱作業を簡便にするとともにコストダウンを図ることができる。
さらに、キャノピーを取り付ける際に、万が一ボルト等の連結部材を締め忘れたとしても、該キャノピーはガイドピンの支持により傾倒しないように構成されているので、該キャノピーの脱落を防止することができる。
【0008】
更に、該旋回体(2)前部に前部キャノピー支持部材としての支持板(56)と支持ブラケット(57)を設け、前記キャノピー(8)の前部支柱(19・19)を該支持ブラケット(57)に固定可能とし、該前部キャノピー支持部材と後部キャノピー支持部材(18)とによりキャノピー(8)を着脱可能に支持したので、キャノピーを後部キャノピー支持部材のみで支持する場合に比べて支持強度を向上することができる。
また、前部キャノピー支持部材を運転操作部や作業者用のガードとして用いることができる。
【0009】
更に、請求項2の如く、請求項1記載の旋回作業車のキャノピー支持構造において、前記前部キャノピー支持部材の旋回体前部への取り付けは、該前部キャノピー支持部材の下端に固設した支持板(56)を旋回体のフレーム(2a)に取付固定するとともに、該前部キャノピー支持部材を支持ブラケット(57)を介して旋回体(2)の側板(2b)に取付固定することにより行うので、旋回体には該支持ブラケットや支持板を取り付けるための取付孔等を形成するだけの簡単な加工を施すだけで、該前部キャノピー支持部材を取り付けることが可能となり、また、簡単な作業で着脱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は本発明のキャノピー支持構造を具備する旋回作業車を示す全体側面図、図2は旋回体を示す平面図、図3はカウンターウェイトに取付固定されたキャノピー支持部材と該キャノピー支持部材に支持されたキャノピーとを示す後面図、図4は同じく側面図である。
【0011】
図5はキャノピー支持部材のカウンターウェイトへの取付固定部を示す側面断面図、図6はキャノピーのキャノピー支持部材による支持部を示す後面図、図7は同じくキャノピー支持部材の支持ブラケットを示す平面図、図8はキャノピー及びキャノピー支持部材とシート及びボンネットとの位置関係を示す側面図、図9はキャノピー支持部材のカウンターウェイトへの取付構造の別実施例を示す旋回体の平面図、図10は同じくカウンターウェイトに取付固定されたキャノピー支持部材と該キャノピー支持部材に支持されたキャノピーとを示す後面図、図11は同じく側面図、図12はキャノピー支持部材のカウンターウェイトへの取付部を示す側面断面図、図13はキャノピー支持構造の別実施例を示す旋回作業者の全体側面図、図14は同じく旋回体を示す平面図、図15は前部支柱の旋回体への取付構造を示す側面図、図16は同じく平面図である。
【0012】
まず、本発明の作業機構造を有する旋回作業車の構成について説明する。図1において、旋回作業車は、クローラ式走行装置1の上部中央に旋回体2を左右旋回可能に支持しており、該クローラ式走行装置1の前後一端部には、ブレード3を上下回動自在に配設している。旋回体2の上方にはエンジン等を被覆するボンネット14が配設され、該ボンネット14の上方にシート16が取り付けられている。該シート16の前方には運転操作部15が設けられ、該運転操作部15及びシート16の上方にはキャノピー8が配設されている。また、旋回体2の後端部にはカウンターウェイト17が付設され、該カウンターウェイト17にはキャノピー支持部材18が立設されている。前記キャノピー8はキャノピールーフ8aと支柱8bとで構成され、該支柱8bを前記キャノピー支持部材18に着脱可能に取り付けることで、該キャノピー8を旋回体2に装着している。
【0013】
また、旋回体2の前端部にはブームブラケット12が左右回動自在に取り付けられ、該ブームブラケット12にはブーム6の下端部が上下回動自在に支持されている。
ブーム6は途中部で前方に屈曲して、側面視において屈曲部6dを有する略「く」字状に形成されており、該ブーム6の上端部にはアーム5が回動自在に支持され、該アーム5の先端部には作業用アタッチメントとしてのバケット4が回動自在に支持されている。これらのブーム6、アーム5、及びバケット4等により作業機7が構成されている。
【0014】
そして、前記ブーム6はブームシリンダ11により回動動作され、アーム5はアームシリンダ10により回動動作され、バケット4はバケットシリンダ9により回動動作されている。該ブームシリンダ11、アームシリンダ10、及びバケットシリンダ9は油圧シリンダに構成され、各シリンダ9・10・11は旋回台2のボンネット4内に配設される油圧ポンプから油圧ホースを通じて圧油を供給することにより伸縮駆動されている。また、ブームシリンダ11はブームブラケット12のシリンダ支持部12bとブーム6の途中部前面に設けられたブームシリンダブラケット36との間に介装され、アームシリンダ10はブーム6の途中部背面に設けられるアームシリンダボトムブラケット31とアーム5基端部に設けられるバケットシリンダブラケット30との間に介装され、バケットシリンダ9は該バケットシリンダブラケット30とバケット4に連結されるバケットブラケット29との間に介装されている。
【0015】
次に、キャノピー8及びキャノピー支持部材18の構成、並びにキャノピー8の支持構造について説明する。図2乃至図4に示すように、前記キャノピー支持部材18は二本の支持支柱18a・18aと支持ブラケット18bとで構成されている。該支持支柱18a・18aは、左右方向に一定の間隔を設けてカウンターウェイト17上面に立設され、上方へいくにつれて互いの間隔が小さくなるように途中部から内側方向へ屈曲しており、該支持支柱18a・18aの上端部には、両者を連結するように支持ブラケット18bが固設されている。
【0016】
前記キャノピー8は、キャノピールーフ8aと二本の支柱8b・8bと被支持部8bとにより構成されている。該キャノピールーフ8aから、支柱8b・8bが左右方向に一定の間隔を設けて下方へ延出し、下方へいくにつれて互いの間隔が小さくなるように途中部から内側方向へ屈曲している。該支柱8b・8bの下端部には、両者を連結するように被支持ブラケット8cが固設されている。そして、キャノピー支持部材18の支持ブラケット18bに、キャノピー8の被支持ブラケット8cが着脱可能に支持されている。
【0017】
カウンターウェイト17上面におけるキャノピー支持部材18の取付部には、図5に示すように、取付部材20が埋設されており、該取付部材20の上端から突出する嵌合突起20aに、パイプ状に形成されたキャノピー支持部材18の支持支柱18aを嵌合し、その後に溶接等により両者を接続している。また、図6に示すように、キャノピー8の支柱8bはパイプ状に形成されており、被支持ブラケット8cが固設される支柱8b下端部には、該支柱8bよりも小径のパイプ状に形成された補強パイプ21を内嵌して、支持ブラケット8cとの接続部の強度を補強している。
【0018】
また、図6、図7に示すように、支持支柱18aの上端部に固設される支持ブラケット18bには複数のガイドピン22・22が埋設され、該ガイドピン22・22の上部が支持ブラケット18bから上方に突出している。該ガイドピン22・22の突出部は、キャノピー8の被支持ブラケット8cの下面に形成された嵌合穴8d・8dと着脱自在に嵌合しており、該被支持ブラケット8cと支持ブラケット18bとは複数のボルト23・23・・・により締結されている。即ち、キャノピー8の被支持ブラケット8cと、キャノピー支持部材18の支持ブラケット18bとは、ガイドピン22・22及びボルト23・23・・・により連結され、これにより、キャノピー8がキャノピー支持部材18に支持されているのである。尚、本例においてはガイドピン22を二本、ボルト23を三本設けているが、この本数に限るものではなく、また、ガイドピン22・22及びボルト23・23・・・は略直線状に配置されているが、ガイドピン22・22とボルト23・23・・・とを千鳥状に配置する等してもよい。
【0019】
そして、キャノピー8をキャノピー支持部材18に取付固定する場合には、まず、キャノピー8の被支持ブラケット8cを、キャノピー支持部材18の支持ブラケット18b上へ、該支持ブラケット18bのガイドピン22・22と被支持ブラケット8cの嵌合穴8d・8dの位置を合わせて載置し、該嵌合穴8d・8dとガイドピン22・22とを嵌合させる。キャノピー8をキャノピー支持部材18上に載置した後、ボルト23・23・・・を、例えばキャノピー支持部材18に下方から挿入し、該キャノピー支持部材18とキャノピー8とを締結して両者を連結することで、キャノピー8をキャノピー支持部材18に取付固定する。
【0020】
この場合、キャノピー8は支柱8b・8bを被支持ブラケット8cから略垂直上方に延設し、キャノピールーフ8aを支柱8b・8bから前方に張り出して構成しているため、該キャノピー8の重心は被支持ブラケット8cよりも前方に位置することとなり、該被支持ブラケット8cを支持ブラケット18bに載置すると、該被支持ブラケット8cにはキャノピー8が前方へ傾倒する方向の力がかかる。しかし、支持ブラケット18bに載置された状態の被支持ブラケット8cには、該支持ブラケット18bに立設されたガイドピン22・22が嵌合しているため、被支持ブラケット8cは該ガイドピン22・22により支持され、キャノピー8が傾倒することが防止される。
【0021】
これにより、被支持ブラケット8cを支持ブラケット18bに載置した後は、作業者が該被支持ブラケット8cを支えておく必要がなく、被支持ブラケット8cを支持ブラケット18bに載置した作業者がそのままボルトの締結を行うことが可能となる。また、被支持ブラケット8cを支持ブラケット18bに載置する際に、嵌合穴8dにガイドピン22を嵌合させることで、被支持ブラケット8cの載置位置が自動的に位置決めされるので、作業者が被支持ブラケット8cの載置位置を気にかけることなく作業を行うことができる。また、キャノピー8はキャノピー支持部材18を介してカウンターウェイト17に取り付けられており、即ち、ボンネット14等に直接取り付けられた支柱によりキャノピールーフを支持して構成した従来のキャノピーを、着脱可能なキャノピー8とカウンターウェイト17に固設されるキャノピー支持部材18とに分割した構成としているため、着脱可能な部分である該キャノピー8の重量を低減することができ、一人の作業者でも持ち運びが可能となっている。また、ガイドピン22によりキャノピー8を支持するように構成することにより、被支持ブラケット8cと支持ブラケット18bとを連結するとともに両者の連結強度を確保するためのボルト23の締結本数を少なくすることが可能となり、キャノピー8の着脱作業を簡便にするとともにコストダウンを図ることができる。
【0022】
このように、本キャノピー8においては、着脱作業を簡便にして労力を低減するとともに、該作業を一人の作業者のみで行うことが可能となる。さらに、キャノピー8を取り付ける際に、万が一ボルト23を締め忘れたとしても、該キャノピー8はガイドピン22の支持により傾倒しないように構成されているので、該キャノピー8の脱落を防止することができる。
【0023】
また、図8に示すように、前記シート16はボンネット14の後部を構成する開閉部14aの上端部に取り付けられている。該開閉部14aは、回動支点14bを中心に前後へ回動可能に構成され、該開閉部14aを前方に回動してボンネット14内を開放することにより内部のメンテナンスを行い、該開閉部14aの回動操作は、例えばシート16を持って前後に押し引き操作することにより行うように構成している。一方、前記キャノピー支持部材18の支持ブラケット18bは、シート16の高さを超えない高さに配置されており、つまり、図3に示すように、シート16上端の高さよりも距離H低い位置に支持ブラケット18bの上端が位置するように構成している。また、支持支柱18aはカウンターウェイト17から略直上方に延出した後に途中部で後方へ屈曲して、支持ブラケット18bが支持支柱18aの下端部よりも後方に配置されている。該支持支柱18aの後方への屈曲度合いは、前記開閉部14aの後端部の回動軌跡Sと、該支持支柱18a及び支持ブラケット18bとが干渉せず、かつ支持ブラケット18bが旋回体2の旋回半径よりも後方外側へはみ出さない程度としている。
【0024】
また、キャノピー支持部材18はカウンターウェイト17に取り付けられているので、ボンネット14を上方回動可能に構成することができ、所謂フルオープンタイプのボンネット14に構成することができて、ボンネット14内部のメンテナンス作業スペースを大きく確保することができて、作業性の向上を図ることができる。さらに、ボンネット14内のスペースを小さく構成することが可能となって、エンジン等のレイアウト構成も簡単にすることができる。また、キャノピー支持部材18はカウンターウェイト17に取り付けられているので、ボンネット14の後部にスペースができ、シート16をボンネット14の後端部にまで配置することができて、運転操作部のスペースを広く確保することが可能となった。
【0025】
このように、支持ブラケット18bをシート16の高さを超えない高さに配置することにより、作業者が後ろを向いたときに支持ブラケット18bで視界を遮ることがない。また、キャノピー8を取り外しているときにボンネット14内のメンテナンスを行う場合の開閉部14aの操作性を損なわないようにしている。即ち、開閉部14aの開閉操作はシート16により行うため、キャノピー支持部材18の上端となる支持ブラケット18bの配置高さを該シート16を超えない高さとすることで、該キャノピー支持部材18と干渉することなくシート16を操作することが可能となるのである。さらに、支持ブラケット18bをシート16の高さを超えない高さに配置すると同時に、前記開閉部14aの回動支点14bよりも高位置に配置することで(図8)、開閉部14aの後端が開閉時に支持ブラケット18bと当たることがなく、操作性を損なうことなく、左右の支持支柱18aと支持ブラケット18bとで囲まれた空間を広く確保して、ボンネット14内のメンテナンス性をも保持することが可能となる。
【0026】
また、前記支持支柱18aの上部を、支持ブラケット18bが旋回体2の旋回半径よりも後方外側へはみ出さない程度に後方へ屈曲しているので、旋回体2の旋回半径を大きくすることなく、キャノピー支持部材18が開閉時の開閉部14aと干渉することを防止することができ、ボンネット14の開閉操作性を保持することができる。
【0027】
次に、キャノピー支持部材18のカウンターウェイトへの取付構造の別実施例について図9乃至図12により説明する。図9等に示すカウンターウェイト17’は、前記カウンターウェイト17よりも平面視における厚みを薄く形成したものであり、前述の如くカウンターウェイト17’に前記取付部材20を埋設してキャノピー支持部材18を取り付けることが困難である。このような場合には、次のように取付部材としての支持柱51を用いることで、キャノピー支持部材18をカウンターウェイト17’に取り付けることが可能となる。
【0028】
即ち、カウンターウェイト17’の側面へ、キャノピー支持部材18の左右の支持支柱18aの間隔に合わせて、柱状に形成した支持柱51・51を配設する。そして、該支持柱51の下端に支持板52を溶接等によって一体的に固設し、該支持板52とカウンターウェイト17’が付設される旋回体2のフレーム2aとをボルト53・53を用いて締結するとともに、支持柱51の上部とカウンターウェイト17’とをボルト53・53を用いて締結することで、支持柱51をカウンターウェイト17’に取付固定している。
【0029】
また、支持柱51のカウンターウェイト17’への取付高さは、該支持柱51の上端面とカウンターウェイト17’の上端面とが略同じ高さとなるようにしている。さらに、該支持柱51は、キャノピー支持部材18の平面視における取付位置が、前述のカウンターウェイト17にキャノピー支持部材18を取り付ける場合の取付位置と同じになる形状に形成されている。該支持柱51の上端面からは嵌合突起51aが突出しており、該嵌合突起51aにキャノピー支持部材18の支持支柱18aを嵌合し、その後に溶接等により両者を接続することで、キャノピー支持部材18を支持柱51を介してカウンターウェイト17’に取付固定している。
【0030】
このように、カウンターウェイト17’へ、該カウンターウェイト17’に取り付けた支持柱51を介してキャノピー支持部材18を取り付けるように構成することにより、厚みが薄いカウンターウェイト17’に対してもキャノピー支持部材18を取付固定することが可能となる。また、支持柱51の取付高さや形状等を前述の如く構成することで、キャノピー支持部材18を前記カウンターウェイト17に取り付ける場合と同じ位置に取り付けることが可能となり、カウンターウェイト17’を有する旋回作業車とカウンターウェイト17を有する旋回作業車とで、キャノピー支持部材18及びキャノピー8を共用することができる。また、キャノピー8を設けない仕様となっている旋回作業車にキャノピー8を後付けで取り付ける場合には、キャノピー支持部材18を取付部材である支持板52やボルト53を用いて外部からウェイト部材に付設するだけでよく、ボンネット14やその内部を分解する必要がないので、キャノピー8の取付作業を簡便にすることができる。尚、キャノピー支持部材18を取付部材としての支持柱51を介してカウンターウェイト17’の側面へ取り付けた場合にも、前記カウンターウェイト17の上面にキャノピー支持部材18を取り付けた場合と同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0031】
次に、キャノピー8の支持構造の別実施例について図13乃至図16により説明する。図13に示すキャノピー8は、キャノピー支持部材18により前述の如く支持されるとともに、旋回体2前部の左右に立設される前部支柱19・19によっても支持されている。即ち、キャノピー8は、前部キャノピー支持部材としての前部支柱19・19と、後部キャノピー支持部材としてのキャノピー支持部材18とにより支持されている。これにより、キャノピー8のキャノピールーフ8aは、キャノピー支持部材18に支持される支柱8b・8bと前記前部支柱19・19との合計四本の支柱により支持されることとなる。
【0032】
前部支柱19は、その下端部を旋回体2前部の側板2bに取付固定されており、その上端部をキャノピールーフ8aに取付固定されている。また、左右の前部支柱19・19は、互いに別体に形成しても良く、また、上端部を互いに連結して正面視において略門型状に形成してもよい。
【0033】
前部支柱19の下端には支持板56が溶接等により固設されており、該支持板56が旋回体2のフレーム2aにボルト58・58により締結され、支持ブラケット57をボルト58・58を用いて旋回体2の側板2bに締結することにより、該前部支柱19の下端部が側板2bに取付固定されている。
このように、前部支柱19は、支持板56と支持ブラケット57とを用いて側板2bに取り付けられている。
【0034】
また、該前部支柱19はボルト58・58・・・を緩めることで旋回体2から取り外すことが可能である。従って、キャノピー8を旋回作業車から取り外す場合には、キャノピー8の被支持ブラケット8cをキャノピー支持部材18の支持ブラケット18bから取り外すとともに、前部支柱19・19の下端部を旋回体を取り外せばよい。前部支柱19はボルト58・58・・・の締結により旋回体2へ取り付けるように構成しているので、該旋回体2にはボルト用孔を形成するだけの簡単な加工を施すだけで該前部支柱19の取り付けが可能となり、また、簡単な作業で着脱することができる。
【0035】
また、キャノピーは、前部の前部支柱19・19と、後部のキャノピー支持部材18とにより支持されているため、キャノピー支持部材18のみで支持する場合に比べて支持強度を向上することができる。さらに、前部支柱19・19を運転操作部15や作業者用のガードとして用いることができる。
【0036】
尚、前部支柱19・19の上端部をキャノピールーフ8aに対して着脱可能に構成して、該前部支柱19・19を旋回体2に取り付けたままの状態でキャノピー8を取り外すように構成することも可能であり、この場合は、キャノピー8を取り外した状態でも、前部支柱19・19を運転操作部15や作業者用のガードとして用いることができる。また、前部支柱19の取付構造は、前述のカウンターウェイト17’にキャノピー支持部材18を取り付ける際の構造に適用することが可能である。
【0037】
即ち、ウェイト部材の側面にキャノピー支持部材を取付部材を用いて取り付け、該キャノピー支持部材上に支持部を設け、該支持部によりキャノピーを着脱自在に支持可能としたので、ウェイト部材の平面視における厚みが薄くて上面にキャノピー支持部材を取り付けることが困難な場合であっても、ウェイト部材の上面に取り付ける場合と同様の位置でキャノピー支持部材を支持することが可能となり、ウェイト部材の上面にキャノピー支持部材を取り付けた旋回作業車とウェイト部材の側面にキャノピー支持部材を取り付けた旋回作業車とで、キャノピー支持部材及びキャノピーを共用することができ、コストダウンを図ることができる。また、旋回体に支持されシート等の上方を覆うキャノピーを、着脱可能なキャノピーとカウンターウェイトに固設されるキャノピー支持部材とに分割した構成とすることができるため、着脱可能な部分である該キャノピーの重量を低減することができ、一人の作業者でも持ち運びが可能となって、着脱作業を簡便にして労力を低減するとともに、該作業の作業者の削減を図ることができる。また、キャノピーを設けない仕様となっている旋回作業車にキャノピーを後付けで取り付ける場合には、キャノピー支持部材を取付部材を用いて外部からウェイト部材に付設するだけでよく、ボンネットやその内部を分解する必要がないので、キャノピーの取付作業を簡便にすることができる。また、キャノピー支持部材は、ボンネットを保護するボンネットガードとしての機能も兼ね備えることができるため、部品点数を削減してコストダウンを図ることが可能となる。また、キャノピー支持部材はウェイト部材に取り付けられているので、ボンネットを上方回動可能に構成することができ、所謂フルオープンタイプのボンネットに構成することができて、ボンネット内部のメンテナンス作業スペースを大きく確保することができて、作業性の向上を図ることができる。さらに、ボンネット内のスペースを小さく構成することが可能となって、エンジン等のレイアウト構成も簡単にすることができる。また、キャノピー支持部材はウェイト部材に取り付けられているので、ボンネットの後部にスペースができ、シートをボンネットの後端部にまで配置することができて、運転操作部のスペースを広く確保することが可能となった。
【0038】
更に、前記キャノピー支持部材の支持部上端の高さを、旋回体上に配設したシートの上端より低く配置したので、キャノピーを取り外している状態でボンネット内のメンテナンスを行う場合の該ボンネットの開閉操作性が損なわれない。即ち、ボンネットの開閉操作はシートにより行うため、キャノピー支持部材の上端となる支持ブラケットの配置高さを該シートを超えない高さとすることで、該キャノピー支持部材と干渉することなくシートを操作することが可能となり、シートをより後方へ配置することが可能となるのである。さらに、支持ブラケットをシートの高さを超えない高さに配置することに加えて、前記ボンネットの開閉時の回動支点よりも高位置に配置することで、開閉操作性を損なうことなく、メンテナンススペースを広く確保してボンネット内のメンテナンス性をも保持することが可能となる。
【0039】
更に、前記キャノピー支持部材の上部を、旋回体の旋回半径から外側へ飛び出さない範囲で、該キャノピー支持部材下端のウェイト部材への取り付け部よりも後方へ配置したので、旋回体の旋回半径を大きくすることなく、旋回体を回転させてもキャノピー支持部材が他の障害物と当接することがなく、また、該キャノピー支持部材が開閉時のボンネットと干渉することを防止することができ、該ボンネットの開閉操作性を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のキャノピー支持構造を具備する旋回作業車を示す全体側面図である。
【図2】旋回体を示す平面図である。
【図3】カウンターウェイトに取付固定されたキャノピー支持部材と該キャノピー支持部材に支持されたキャノピーとを示す後面図である。
【図4】同じく側面図である。
【図5】キャノピー支持部材のカウンターウェイトへの取付固定部を示す側面断面図である。
【図6】キャノピーのキャノピー支持部材による支持部を示す後面図である。
【図7】同じくキャノピー支持部材の支持ブラケットを示す平面図である。
【図8】キャノピー及びキャノピー支持部材とシート及びボンネットとの位置関係を示す側面図である。
【図9】キャノピー支持部材のカウンターウェイトへの取付構造の別実施例を示す旋回体の平面図である。
【図10】同じくカウンターウェイトに取付固定されたキャノピー支持部材と該キャノピー支持部材に支持されたキャノピーとを示す後面図である。
【図11】同じく側面図である。
【図12】キャノピー支持部材のカウンターウェイトへの取付部を示す側面断面図である。
【図13】キャノピー支持構造の別実施例を示す旋回作業者の全体側面図である。
【図14】同じく旋回体を示す平面図である。
【図15】前部支柱の旋回体への取付構造を示す側面図である。
【図16】同じく平面図である。
【符号の説明】
【0041】
2 旋回体
5 アーム
6 ブーム
7 作業機
8 キャノピー
8a キャノピールーフ
8b 支柱
8c 被支持ブラケット
14 ボンネット
15 運転操作部
16 シート
17 カウンターウェイト
18 キャノピー支持部材
18a 支持支柱
18b 支持ブラケット
22 ガイドピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回可能に構成した旋回体(2)へ回動可能に取り付けられたブーム(6)と該ブーム(6)へ回動自在に取り付けられたアーム(5)と、該アーム(5)へ回動自在に取り付けられた作業用アタッチメントとを有した作業機(7)を備え、前記旋回体(2)の後端部にカウンターウェイト(17)を配設した旋回作業車において、前記カウンターウェイト(17)にキャノピー支持部材(18)を固設し、該キャノピー支持部材(18)は二本の支持支柱(18a・18a)と支持ブラケット(18b)にて構成し、該支持支柱(18a・18a)は、左右方向に一定の間隔を設けてカウンターウェイト(17)に立設され、上方へいくにつれて、支持支柱(18a・18a)の互いの間隔が小さくなるように途中部から内側方向へ屈曲しており、該支持支柱(18a・18a)の上端部に、両者を連結する支持ブラケット(18b)を固設し、前記キャノピー(8)は、キャノピールーフ(8a)と二本の支柱(8b・8b)と被支持ブラケット(8c)とにより構成し、該キャノピールーフ(8a)から、支柱(8b・8b)を左右方向に一定の間隔を設けて下方へ延出し、下方へいくにつれて互いの間隔を小さくすべく途中部から内側方向へ屈曲させ、該支柱(8b・8b)の下端部には、両者を連結するように被支持ブラケット(8c)を固設し、前記キャノピー支持部材(18)の支持ブラケット(18b)に、ガイドピン(22)を立設し、キャノピー(8)の被支持ブラケット(8c)に設けた嵌合穴(8d・8d)と該ガイドピン(22)を着脱自在に嵌合すべく構成し、該旋回体(2)前部に前部キャノピー支持部材としての支持板(56)と支持ブラケット(57)を設け、前記キャノピー(8)の前部支柱(19・19)を該支持ブラケット(57)に固定可能とし、該前部キャノピー支持部材と後部キャノピー支持部材(18)とによりキャノピー(8)を着脱可能に支持したことを特徴とする旋回作業車のキャノピー支持構造。
【請求項2】
請求項1記載の旋回作業車のキャノピー支持構造において、前記前部キャノピー支持部材の旋回体前部への取り付けは、該前部キャノピー支持部材の下端に固設した支持板(56)を旋回体のフレーム(2a)に取付固定するとともに、該前部キャノピー支持部材を支持ブラケット(57)を介して旋回体(2)の側板(2b)に取付固定することにより行うことを特徴とする旋回作業車のキャノピー支持構造。
【請求項1】
旋回可能に構成した旋回体(2)へ回動可能に取り付けられたブーム(6)と該ブーム(6)へ回動自在に取り付けられたアーム(5)と、該アーム(5)へ回動自在に取り付けられた作業用アタッチメントとを有した作業機(7)を備え、前記旋回体(2)の後端部にカウンターウェイト(17)を配設した旋回作業車において、前記カウンターウェイト(17)にキャノピー支持部材(18)を固設し、該キャノピー支持部材(18)は二本の支持支柱(18a・18a)と支持ブラケット(18b)にて構成し、該支持支柱(18a・18a)は、左右方向に一定の間隔を設けてカウンターウェイト(17)に立設され、上方へいくにつれて、支持支柱(18a・18a)の互いの間隔が小さくなるように途中部から内側方向へ屈曲しており、該支持支柱(18a・18a)の上端部に、両者を連結する支持ブラケット(18b)を固設し、前記キャノピー(8)は、キャノピールーフ(8a)と二本の支柱(8b・8b)と被支持ブラケット(8c)とにより構成し、該キャノピールーフ(8a)から、支柱(8b・8b)を左右方向に一定の間隔を設けて下方へ延出し、下方へいくにつれて互いの間隔を小さくすべく途中部から内側方向へ屈曲させ、該支柱(8b・8b)の下端部には、両者を連結するように被支持ブラケット(8c)を固設し、前記キャノピー支持部材(18)の支持ブラケット(18b)に、ガイドピン(22)を立設し、キャノピー(8)の被支持ブラケット(8c)に設けた嵌合穴(8d・8d)と該ガイドピン(22)を着脱自在に嵌合すべく構成し、該旋回体(2)前部に前部キャノピー支持部材としての支持板(56)と支持ブラケット(57)を設け、前記キャノピー(8)の前部支柱(19・19)を該支持ブラケット(57)に固定可能とし、該前部キャノピー支持部材と後部キャノピー支持部材(18)とによりキャノピー(8)を着脱可能に支持したことを特徴とする旋回作業車のキャノピー支持構造。
【請求項2】
請求項1記載の旋回作業車のキャノピー支持構造において、前記前部キャノピー支持部材の旋回体前部への取り付けは、該前部キャノピー支持部材の下端に固設した支持板(56)を旋回体のフレーム(2a)に取付固定するとともに、該前部キャノピー支持部材を支持ブラケット(57)を介して旋回体(2)の側板(2b)に取付固定することにより行うことを特徴とする旋回作業車のキャノピー支持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−114852(P2008−114852A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18368(P2008−18368)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【分割の表示】特願平11−118576の分割
【原出願日】平成11年4月26日(1999.4.26)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【分割の表示】特願平11−118576の分割
【原出願日】平成11年4月26日(1999.4.26)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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