説明

旋回作業車

【課題】旋回作業車においては、エンジンの上下移動を規制するストッパの配設位置がラジエータから離れた位置にあったので、エンジンの上下移動の規制効果が小さく、エンジン側のラジエータファンがシュラウドと干渉して、エンジンが停止するおそれがあった。
【解決手段】エンジン21のラジエータ35側の支持部B・Cは、エンジンに固設した支持フレーム45を防振部材46を介して旋回体2側の床板50上に支持し、前記エンジンのラジエータ35は、前記床板に固設支持し、該ラジエータのエンジン側にシュラウド60を固設し、該エンジンのラジエータファン34を、該シュラウド内に被装し、該ラジエータファンを前記防振部材の分だけ、該シュラウドに対し移動可能に構成し、前記床板にストッパ49を立設し、該ストッパ49が支持フレーム45の下面に当接することによりエンジン21の下方への移動量を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー等の作業機を搭載した旋回作業車であって、特に該旋回作業車におけるエンジンの支持部の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行装置の上方に旋回体を旋回可能に支持し、該旋回体の前端部にバックホー等の作業機を搭載した旋回作業車は知られている。該旋回体の後部には、エンジンが防振部材を介して旋回体に設置され、該防振部材により始動時や運転時の振動を緩和するようにしていた。さらに、エンジンの支持部には、該エンジンの上下方向の移動を規制するストッパが設けられていた。また、エンジンに付設されるラジエータファンは、旋回体の底板に固設したラジエータのシュラウドに被装されており、該ラジエータファンとラジエータ及びシュラウドとは相対的に移動可能に構成して、エンジンが振動等により旋回体の床板に対して上下移動した場合に、エンジンとラジエータとの間に応力がかからないようにしていた。
【特許文献1】特開平11−93210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前述の如く構成した旋回作業車においては、エンジンの上下移動を規制するストッパの配設位置がラジエータから離れた位置にあったので、エンジンの上下移動の規制効果が小さく、エンジンが振動等により上下移動した際には、ラジエータ及びシュラウドに対して移動可能に構成されるエンジン側のラジエータファンが該シュラウドと干渉して、エンジンが停止する等の問題が発生する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
クローラ式走行装置(1)の上方に旋回体(2)を旋回可能に支持し、該旋回体(2)の前端部に回動可能に支持されたブーム(6)と、該ブーム(6)へ回動自在に支持されたアーム(5)と該アーム(5)へ回動自在に支持されたバケット(4)等の作業用アタッチメントとを有する作業機を備えた旋回作業車において、エンジン(21)を旋回体(2)の床板(50)上に支持し、該エンジン(21)のラジエータ(35)側の支持部(B・C)は、該エンジン(21)に固設した支持フレーム(45)を、前記防振部材(46)を介して床板(50)上に支持し、前記エンジン(21)のラジエータ(35)は、前記旋回体(2)側の床板(50)に固設支持し、該ラジエータ(35)のエンジン(21)側にシュラウド(60)を固設し、該エンジン(21)のラジエータファン(34)を、該シュラウド(60)内に被装し、該ラジエータファン(34)を前記防振部材(46)の分だけ、該シュラウド(60)に対し移動可能に構成し、該エンジン(21)のラジエータ(35)側端部に位置する支持フレーム(45)の下方に、前記床板(50)にストッパ(49)を立設し、該エンジン(21)が床板(50)に対して下方に移動した際に、該ストッパ(49)が支持フレーム(45)の下面に当接することによりエンジン(21)の下方への移動量を規制するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
クローラ式走行装置(1)の上方に旋回体(2)を旋回可能に支持し、該旋回体(2)の前端部に回動可能に支持されたブーム(6)と、該ブーム(6)へ回動自在に支持されたアーム(5)と該アーム(5)へ回動自在に支持されたバケット(4)等の作業用アタッチメントとを有する作業機を備えた旋回作業車において、エンジン(21)を旋回体(2)の床板(50)上に支持し、該エンジン(21)のラジエータ(35)側の支持部(B・C)は、該エンジン(21)に固設した支持フレーム(45)を、前記防振部材(46)を介して床板(50)上に支持し、前記エンジン(21)のラジエータ(35)は、前記旋回体(2)側の床板(50)に固設支持し、該ラジエータ(35)のエンジン(21)側にシュラウド(60)を固設し、該エンジン(21)のラジエータファン(34)を、該シュラウド(60)内に被装し、該ラジエータファン(34)を前記防振部材(46)の分だけ、該シュラウド(60)に対し移動可能に構成し、該エンジン(21)のラジエータ(35)側端部に位置する支持フレーム(45)の下方に、前記床板(50)にストッパ(49)を立設し、該エンジン(21)が床板(50)に対して下方に移動した際に、該ストッパ(49)が支持フレーム(45)の下面に当接することによりエンジン(21)の下方への移動量を規制するので、ラジエータのシュラウドに被装されるラジエータファンと、該シュラウド60とが干渉して、エンジンが停止したり、エンジンのラジエータ側端部に固設されるマフラーが旋回体のフレームと干渉して焼損したりすることを防止できる。
特に、該ストッパは、干渉部分であるラジエータファン及びシュラウドの近接位置に配置されているため、エンジンの移動の規制効果が高く、ラジエータファンとシュラウドとの干渉や、マフラーと旋回体のフレームとの干渉を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0007】
図1は本発明の旋回作業車を示す全体側面図、図2はボンネット内部を示す平面図、図3は同じく後面図、図4は旋回体のフレームを示す斜視図、図5はリアウェイトにカウンターウェイトを取り付けた状態の旋回体のフレームを示す平面図である。
【0008】
図6は旋回体のフレームを示す側面図、図7はリアウェイトに取り付けられたカウンターウェイトを示す側面断面図、図8はスイベルジョイントのシャフトに固設した係合ピンと旋回体の床板に固設された係合ステーとの係合状態を示す平面図、図9は同じく斜視図、図10はマルチバルブの取付位置を示す平面図である。
【0009】
図11はマルチバルブの取付状態を示す斜視図、図12は従来の旋回体のフレームを示す平面図、図13は従来のスイベルジョイントのシャフトと旋回体の床板との係合状態を示す斜視図、図14は従来のマルチバルブの設置状態を示す斜視図である。
【0010】
また、従来の技術においては、図12に示すように、旋回体102は、前端部のブーム支持部102aから該旋回体102後部にかけて、底板110に左右一対のメンバ111・112を立設してフレームを構成していた。該床板110における、旋回体102の旋回中心に該当する部分には連絡孔110aが開口されており、図13に示すように該連絡孔110aからは、旋回体102下方の走行装置側に固設されたスイベルジョイント121の上端部が上方に突出している。
【0011】
スイベルジョイント121は、走行装置側に固設される本体部121aと、該本体部121aに回動自在に嵌合するシャフト121bとで構成され、該シャフト121aには係合プレート122が固設されている。前記連絡孔110aの周縁部の一部は切り欠かれて回動ガイド110bを形成しており、該回動ガイド110bに係合プレート122の先端部122aを係合させて、スイベルジョイント121のシャフト121bと旋回体102とが一体的に回動するように構成している。また、従来の技術においては、図14に示すように、旋回体102内に配設された前記マルチバルブ113は、切換操作レバー133aを上端に配置し、ブラケット110を介して床板110に立設されていた。
【0012】
次に、本発明の旋回作業車の構成について説明する。図1において、旋回作業車は、クローラ式走行装置1の上部中央に旋回体2を左右旋回可能に支持しており、該クローラ式走行装置1の前後一端部には、ブレード3を上下回動自在に配設している。旋回体2の上方には、該旋回体2に設置されるエンジン21等を被覆するボンネット14が配設され、該ボンネット14の上方にシート16が取り付けられている。該シート16の前方には、レバーガイド19に運転操作等を行うためのレバー類を配設して構成した運転操作部15が設けられている。該運転操作部15のレバーガイド19とボンネット14との間にはステップ20が配置されている。
【0013】
また、旋回体2の後端部にはカウンターウェイト17が付設され、該カウンターウェイト17にはキャノピー支持部材18が立設されている。そして、運転操作部15及びシート16の上方を覆うキャノピー8が、該キャノピー支持部材18に着脱可能に取り付けられている。前記ボンネット14は、その後端部を、前部の回動中心14aを中心として上下回動可能に構成しており、該ボンネット14の後端部を上方回動することで、ボンネット14内を開放するようにしている。
【0014】
また、旋回体2前端部のブーム支持部2aにはブームブラケット12が左右回動自在に取り付けられ、該ブームブラケット12にはブーム6の下端部が上下回動自在に支持されている。ブーム6は途中部で前方に屈曲して、側面視において屈曲部6dを有する略「く」字状に形成されており、該ブーム6の上端部にはアーム5が回動自在に支持され、該アーム5の先端部には作業用アタッチメントとしてのバケット4が回動自在に支持されている。これらのブーム6、アーム5、及びバケット4等により作業機7が構成されている。
【0015】
そして、前記ブーム6はブームシリンダ11により回動動作され、アーム5はアームシリンダ10により回動動作され、バケット4はバケットシリンダ9により回動動作されている。該ブームシリンダ11、アームシリンダ10、及びバケットシリンダ9は油圧シリンダに構成され、各シリンダ9・10・11は旋回台2のボンネット4内に配設される油圧ポンプから油圧ホースを通じて圧油を供給することにより伸縮駆動されている。また、ブームシリンダ11はブームブラケット12のシリンダ支持部12bとブーム6の途中部前面に設けられたブームシリンダブラケット36との間に介装され、アームシリンダ10はブーム6の途中部背面に設けられるアームシリンダボトムブラケット31とアーム5基端部に設けられるバケットシリンダブラケット30との間に介装され、バケットシリンダ9は該バケットシリンダブラケット30とバケット4に連結されるバケットブラケット29との間に介装されている。
【0016】
次に、旋回体2内部の構成について説明する。図2乃至図4に示すように、旋回体2においては、床板50の前端部から後端部にかけて左右一対の左メンバ51と右メンバ52とを立設し、該旋回体2前端部のブーム支持部2aと左右メンバ51・52の上端に補強板55を固設して、該床板50、左右メンバ51・52、及び補強板55等でフレームを構成している。右メンバ52には、旋回やブームやバケット等の操作パターンを変更可能に構成したマルチバルブ61が固設されており、該マルチバルブ61はステップ20の下方に配置されている。また、旋回体2の後部にはエンジン21が設置され、該エンジン21に付設されるフライホイールが左右一側に配置されるように略左右方向に横設されている。該エンジン21のフライホイールを収納するフライホイールケース21a側端部には油圧ポンプ22が取付けられ、エンジン21のクランク軸(出力軸)により該油圧ポンプ22を駆動している。エンジン21の左右他側には、該エンジン21のクランク軸(出力軸)によりベルトを介して回転駆動されるラジエータファン34が設けられ、該ラジエータファン34に近接してラジエータ35が配設されている。
【0017】
エンジン21は支持部A・B・Cの3点にて旋回体2の床板50に支持固定され、該支持部Aはエンジン21の左右一側の油圧ポンプ22下方に配置され、支持部B・Cはエンジン21の左右他側の前後部に配置されている。支持部Aにおいては、防振部材等で構成される支持部材44によりエンジン21が支持され、支持部B・Cにおいては、同じく防振部材等で構成される支持部材46により、エンジン21に固設された支持フレーム45を介して、該エンジン21が支持され、該支持フレーム45は平面視Π型に構成されている。
【0018】
前記ラジエータ35は旋回体2の床板50に固設され、該ラジエータ35のエンジン21側にはシュラウド60が固設されており、エンジン21のラジエータファン34は該シュラウド60に被装されている。該ラジエータファン34及びエンジン21とシュラウド60とは相対的に移動可能に構成して、防振部材等で構成される支持部材44・46により支持されるエンジン21が振動等により旋回体2の床板50に対して上下移動した場合に、該エンジン21及びラジエータファン34とシュラウド60との間に応力がかからないようにしている。また、ラジエータ35の下方には、前記支持フレーム45の後端部に固設されたマフラー37が配置されている。
【0019】
支持部B・Cにおける支持フレーム45の上方には上ストッパ48・48が配設され、エンジン21が床板50に対して上方に移動した際に、該上ストッパ48・48が支持フレーム45の上面に当接することにより、エンジン21の上方への移動量を規制している。また、エンジン21のラジエータ35側端部に位置する支持フレーム45のラジエータ35側端部の前後略中央部下方には、床板50に立設される下ストッパ49が配置され、エンジン21が床板50に対して下方に移動した際に、該下ストッパ49が支持フレーム45の下面に当接することによりエンジン21の下方への移動量を規制している。
【0020】
該上ストッパ48及び下ストッパ49は、ラジエータファン34がシュラウド60の上面及び下面と干渉しない程度に、該ラジエータファン34のエンジン21の振動等による上下移動量を規制している。このように、上ストッパ48及び下ストッパ49によってエンジン21の上下移動量を規制することで、ラジエータファン34とシュラウド60とが干渉して、エンジン21が停止したり、エンジン21のラジエータ側端部に固設されるマフラー37が旋回体2のフレームと干渉して焼損したりすることを防止できる。特に、干渉部分であるラジエータファン34及びシュラウド60の近接位置に配置される下ストッパ49は、エンジン21の移動量の規制効果が高く、ラジエータファン34とシュラウド60との干渉や、マフラー37と旋回体2のフレームとの干渉を確実に防止することができる。
【0021】
図4乃至図6に示すように、旋回体2の床板50の後端部にはリアウェイト53が配設されており、該リアウェイト53にはカウンターウェイト17を取付可能としている。また、床板50の略中央部には連絡孔50aが開口しており、該連絡孔2aからは、旋回体2下方の走行装置1側に固設されたスイベルジョイント62の上端部が床板50の上方に突出するようにしている。該リアウェイト53と、床板50前端部のブーム支持部2aとは前記左右メンバ51・52により連結され、該リアウェイト53、ブーム支持部2a、及び左右メンバ51・52により箱型構造を構成して、旋回体2のフレーム強度を高めている。また、左右メンバ51・52の前部とブーム支持部2aとの上面には補強板55が固設され、該補強板55によっても強度を高めている。
【0022】
また、左メンバ51は、板状部材である左メインメンバ51aに同じく板状部材である補強メンバ51bを貼設して2層構造とし、右メンバ52は板状部材である右メインメンバ52aに同じく板状部材である補強メンバ52bを貼設して2層構造としている。そして、左右メンバ51・52は、床板50に対して垂直方向であって、それぞれ後部を外方に屈曲して平面視において略「ハ」字状に形成しており、右メンバ52の補強メンバ52bは右メインメンバ52aに対してさらに外方へ屈曲されている。このように、左右メンバ51・52を2層構造とするとともに、左右メンバ51・52の後部をそれぞれ外方に屈曲して略「ハ」字状に形成することで、さらに旋回体2のフレーム強度を高めることがでる。また、フレームの前端部から後端部までの強度を全体的に高めることができて、強度バランスを良好にすることができる。そして、前述の箱型構造と併せることにより、旋回作業車の重要母材としての旋回体2の強度を十分に確保して、旋回作業車の信頼性を向上することができ、近年の旋回作業車の強度・信頼性に対する要望にも応えることが可能となる。
【0023】
また、前記リアウェイト53の左右略中央部にはガイドピン53aが立設され、該リアウェイト53の左右略中央部及び左右端部にはウェイト固定孔53b・53b・・・が穿設されている。そして、図5、図7に示すように、リアウェイト53にカウンターウェイト17を取り付ける際には、リアウェイト53のガイドピン53aをカウンターウェイト17に挿入して該カウンターウェイト17の取付位置を固定し、その後にリアウェイト53のウェイト固定孔53b・53b・・・にボルトを締結して、カウンターウェイト17を取付固定するように構成している。
【0024】
また、走行装置1側に配設される走行モータやブレード3の上下回動用の油圧シリンダ等の油圧機器は、走行装置1に対して旋回可能に構成される旋回体2側の油圧ポンプ22から前記スイベルジョイント62を介して作動油を供給されており、該スイベルジョイント62は、走行装置1側に固設される本体部62aと、該本体部62aに回動自在に嵌合するシャフト62bとで構成されている。図8、図9に示すように、該シャフト62bの上端部には半径方向外側へ突出する係合ピン63が固設されており、床板50における連絡孔50aの周縁部近傍には係合ステー64が固設されている。係合ステー64は、床板50へボルト65や溶接等により取付固定される取付部64aと、連絡孔50aの周縁部から該連絡孔50aの中心方向の斜め上方へ突出する係合部64bとにより構成されている。該係合部64bには上下方向に長孔64cが形成されており、該長孔64cとシャフト62b上端部の係合ピン63とを係合させて、スイベルジョイント62の該シャフト62bと係合ステー64が取り付けられる旋回体2とが一体的に回動するように構成している。
【0025】
このように、スイベルジョイント62のシャフト62bと旋回体2とを一体的に回動させる機構を、該シャフト62b側に固設した係合ピン63と、旋回体2側に取り付けた係合ステー64とを係合させて構成することで、該機構を省スペースでコンパクトに構成することができるとともに、シャフト62bと旋回体2とを確実に一体的に回動させることができる。また、該機構を省スペースかつコンパクトに構成することで、床板50の連絡孔50a周縁部とスイベルジョイント62との間の開口スペースが広く確保できる。これにより、底板50よりも下方に位置するスイベルジョイント62の本体部62aで油漏れ等の異常が発生した場合の、底板50の上方からの該本体部62aにおけるジョイント部等のメンテナンス性を向上することが可能となる。また、係合用の切欠をなくせるので強度低下が防げ、組立時の位置合わせも容易にできる。
【0026】
また、図10、図11に示すように、前記マルチバルブ61が右メンバ52にブラケット66を介して取り付けられている。該マルチバルブ61は床板50と略平行に横設され、所謂横置き状態で操作レバー61aを外側方向へ向けて取り付けられている。そして、該マルチバルブ61は、ステップ20右端部の下方に配置されており、該ステップ20は開閉可能に構成されている。尚、マルチバルブ61は左メンバ51に取り付けて、ステップ20左端部の下方に配置することももちろん可能である。
【0027】
このように、マルチバルブ61を横置き状態で、ステップ20左右端部の下方に配置することにより、該マルチバルブ61の操作レバー61aを操作する場合には、ステップ20を開けるだけで、外部から簡単に操作することが可能となる。また、旋回体2の厚さを薄く構成することが可能となって、旋回作業車の重心を低くすることができ、安定性を向上することができる。さらに、マルチバルブ61からの油圧配管は、例えば全て下方にまとめてレイアウトすることができて配管レイアウトのコンパクト化を図ることが可能となる。そして、配管を前述の如くコンパクト化することにより、油圧配管が急激に屈曲することを防止できるとともに、コントロールバルブやパイロットバルブまでの配管長さを短くすることができる。これにより、配管の圧力損失等が減少され、パイロット信号に対する応答性が向上して操作性の向上を図ることができる。
【0028】
即ち、旋回体にフレームを構成する左右一対のメンバを配設し、該左右一対のメンバにより旋回体前端部のブーム支持部と旋回体後端部のウェイト部材とを連結したので、旋回体のフレーム強度を該フレームの前端部から後端部までバランス良く高めることができる。そして、旋回作業車の重要母材としての旋回体の強度を確保して、旋回作業車の信頼性を向上することができ、近年の旋回作業車の強度・信頼性に対する要望にも応えることが可能となる。
【0029】
更に、前記左右のメンバを、それぞれ複数枚の板状部材を貼設して多層に構成し、該左右のメンバの後部をそれぞれ外方に屈曲して平面視において略「ハ」字状に形成したので、さらに、旋回体のフレーム強度を高めることができ、また、フレームの前端部から後端部までの強度バランスをさらに良好にすることができる。そして、前述の箱型構造と併せることにより、旋回作業車の重要母材としての旋回体の強度を十分に確保して、旋回作業車の信頼性をさらに向上することができ、近年の旋回作業車の強度・信頼性に対する要望にも確実に応えることが可能となる。
【0030】
更に、油圧機器の操作パターンを変更可能に構成したマルチバルブを、旋回体の前端部から後端部にわたって配設されるフレームのメンバに横設するとともに、該マルチバルブをステップの左右一側の下方に配置したので、該マルチバルブを切換操作する場合には、ステップを開けるだけで、外部から簡単に操作することが可能となる。また、旋回体の厚さを薄く構成することが可能となって、旋回作業車の重心を低くすることができ、安定性を向上することができる。さらに、マルチバルブからの油圧配管は、全て、例えば下方等の一箇所にまとめてレイアウトすることができて配管レイアウトのコンパクト化を図ることが可能となる。そして、配管を前述の如くコンパクト化することにより、油圧配管が急激に屈曲することを防止できるとともに、コントロールバルブやパイロットバルブまでの配管長さを短くすることができる。これにより、配管の圧力損失等が減少され、パイロット信号に対する応答性が向上して操作性の向上を図ることができる。
【0031】
更に、スイベルジョイントのシャフト上端部に半径方向外側へ突出する係合ピンを設け、旋回体側に該係合ピンと係合可能な係合部材を固設し、該係合ピンと係合部材とを係合させることで旋回体とスイベルジョイントのシャフトとを一体的に回動可能としたので、スイベルジョイントのシャフトと旋回体とを一体的に回動させる機構を、省スペースでコンパクトに構成することができるとともに、シャフトと旋回体とを確実に一体的に回動させることができる。また、該機構を省スペースかつコンパクトに構成することで、旋回体の床板に形成した連絡孔周縁部とスイベルジョイントとの間の開口スペースが広く確保できる。これにより、旋回体の底板よりも下方に位置するスイベルジョイントの本体部で油漏れ等の異常が発生した場合の、底板の上方からの該本体部におけるジョイント部等のメンテナンス性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の旋回作業車を示す全体側面図である。
【図2】ボンネット内部を示す平面図である。
【図3】同じく後面図である。
【図4】旋回体のフレームを示す斜視図である。
【図5】リアウェイトにカウンターウェイトを取り付けた状態の旋回体のフレームを示す平面図である。
【図6】旋回体のフレームを示す側面図である。
【図7】リアウェイトに取り付けられたカウンターウェイトを示す側面断面図である。
【図8】スイベルジョイントのシャフトに固設した係合ピンと旋回体の床板に固設された係合ステーとの係合状態を示す平面図である。
【図9】同じく斜視図である。
【図10】マルチバルブの取付位置を示す平面図である。
【図11】マルチバルブの取付状態を示す斜視図である。
【図12】従来の旋回体のフレームを示す平面図である。
【図13】従来のスイベルジョイントのシャフトと旋回体の床板との係合状態を示す斜視図である。
【図14】従来のマルチバルブの設置状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
2 旋回体
2a ブーム支持部
20 ステップ
21 エンジン
45 支持フレーム
49 下ストッパ
50 床板
50a 連絡孔
51 左メンバ
51a 左メインメンバ
51b 補助メンバ
52a 右メインメンバ
52b 補助メンバ
53 リアウェイト
61 マルチバルブ
62 スイベルジョイント
62b シャフト
63 係合ピン
64 係合ステー
A・B・C 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラ式走行装置(1)の上方に旋回体(2)を旋回可能に支持し、該旋回体(2)の前端部に回動可能に支持されたブーム(6)と、該ブーム(6)へ回動自在に支持されたアーム(5)と該アーム(5)へ回動自在に支持されたバケット(4)等の作業用アタッチメントとを有する作業機を備えた旋回作業車において、エンジン(21)を旋回体(2)の床板(50)上に支持し、該エンジン(21)のラジエータ(35)側の支持部(B・C)は、該エンジン(21)に固設した支持フレーム(45)を、前記防振部材(46)を介して床板(50)上に支持し、前記エンジン(21)のラジエータ(35)は、前記旋回体(2)側の床板(50)に固設支持し、該ラジエータ(35)のエンジン(21)側にシュラウド(60)を固設し、該エンジン(21)のラジエータファン(34)を、該シュラウド(60)内に被装し、該ラジエータファン(34)を前記防振部材(46)の分だけ、該シュラウド(60)に対し移動可能に構成し、該エンジン(21)のラジエータ(35)側端部に位置する支持フレーム(45)の下方に、前記床板(50)にストッパ(49)を立設し、該エンジン(21)が床板(50)に対して下方に移動した際に、該ストッパ(49)が支持フレーム(45)の下面に当接することによりエンジン(21)の下方への移動量を規制することを特徴とする旋回作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−144582(P2008−144582A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8539(P2008−8539)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【分割の表示】特願平11−123031の分割
【原出願日】平成11年4月28日(1999.4.28)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】