旋回作業車
【目的】 旋回フレームの上に載置する上部構造体の構成部品を、各単位装置毎に重複配置することにより、コンパクトなスペースにまとめ、旋回フレームがクローラ式走行装置の幅内で360度回転可能に構成した。
【構成】 旋回作業車の上部構造体の前端よりも前方に作業機を配置し、エンジンと重複した位置に座席Sを配置した。また、旋回作業車の旋回フレームの上でエンジンEに付設して配置したラジエータ7を、旋回フレームの外壁に沿わせて配置し、ボンネット6に対し防振ゴムを介装し固定した。また、旋回作業車の旋回フレームの上に固定するカウンタウエイトの一部に吊りフックを係止する為の係止凹部を鋳抜き形状で構成した。また、上部構造体を構成するタンク、エンジン、電装品、油圧機器を、一体的に構成したボンネットの内部に収納被覆し、ボンネットに点検窓を設けた。
【構成】 旋回作業車の上部構造体の前端よりも前方に作業機を配置し、エンジンと重複した位置に座席Sを配置した。また、旋回作業車の旋回フレームの上でエンジンEに付設して配置したラジエータ7を、旋回フレームの外壁に沿わせて配置し、ボンネット6に対し防振ゴムを介装し固定した。また、旋回作業車の旋回フレームの上に固定するカウンタウエイトの一部に吊りフックを係止する為の係止凹部を鋳抜き形状で構成した。また、上部構造体を構成するタンク、エンジン、電装品、油圧機器を、一体的に構成したボンネットの内部に収納被覆し、ボンネットに点検窓を設けた。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、座席の前部にメインブームやバケットアームやバケット等の掘削装置を配置し、かつクローラ式走行装置の幅内に旋回フレームを配置して、クローラ式走行装置の通過可能な路地で側溝掘りを可能とした小型の掘削作業車の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からクローラ式走行装置の幅内に旋回フレームを構成し、クローラ式走行装置が通過可能なスペース内で、旋回フレーム部分を360度旋回可能とするコーヒーカップ型の掘削作業車は公知とされているのである。しかしこの型の掘削作業車の場合には、座席の側方にメインブームやバケットアームやバケットが位置することとなり、居住性や安全性や作業速度の点で難があったのである。本発明は、旋回フレームFを略クローラ式走行装置の幅内で180度近い位置まで旋回可能とし、クローラ式走行装置が通過できるスペースならば側溝掘り作業ができ、かつ座席Sの前部にバケットやバケットアームやメインブームを配置したものに関する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のような旋回作業車において、旋回フレームの上に載置構成する上部構造体の構成を、各単位装置毎に重複配置することにより、コンパクトなスペースにまとめ、旋回フレームがクローラ式走行装置の幅内で360度回転可能に構成したものである。またこのように構成した場合に、ボンネットを被覆すると内部の燃料タンクや作動油タンクやエンジンの点検が容易に出来るように構成したものである。また燃料タンクの給油口への給油を簡単にし、またボンネットに設けた点検窓により、ボンネット内のエンジンのメンテナンスが容易に出来るようにしたのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。即ち、走行装置上に旋回台軸受を介して旋回フレームを配置し、該旋回フレーム上に座席やエンジン等により構成される上部構造体を搭載した構成において、該上部構造体を旋回台軸受を中心とする車幅と略同一の幅の旋回直径内に配置し、該上部構造体の前端よりも前方に作業機を配置し、エンジンと重複した位置に座席を配置したものである。
【0005】また、旋回作業車の旋回フレームの上でエンジンに付設して配置したラジエータを、旋回フレームの外壁に沿わせて配置し、ボンネットに対し防振ゴムを介装し固定したものである。
【0006】また、旋回作業車の旋回フレームの上に固定するカウンタウエイトにおいて、該カウンタウエイトの一部に吊りフックを係止する為の係止凹部を鋳抜き形状で構成したものである。
【0007】また、上部構造体を構成するタンク、エンジン、電装品、油圧機器を、一体的に構成したボンネットの内部に収納被覆し、該ボンネットに点検窓を設けたものである。
【0008】また、燃料タンクと作動油タンクを被覆するボンネットを構成し、該燃料タンクと作動油タンクを隣接して配置し、該燃料タンクと作動油タンクの上部に開閉可能なメンテナンスカバー34を取着したものである。
【0009】また、燃料タンクの給油口はボンネットよりも上方へ突出構成し、該突出構成した給油口を被覆するメンテナンスカバーの内部に収納可能な高さとしたものである。
【0010】
【作用】次に作用を説明する。即ち、ボンネット6の内部で特に高さが高くなるラジエータ7の位置を回避した部分に凹部16を構成し、該凹部16の内部に座席Sを配置することが出来るので、オペレーターが座る座席Sの位置を低くすることが出来て、安全性を向上することが出来る。また、ラジエータ7の排風面積を十分に確保することができた。またボンネット6に対して防振ゴム32を介して固定するので、別にラジエータ7を固定する為の部材を必要としないのである。またラジエータ7とラジエータファンの間を広く取ることが出来るので、ファンカウリングを長く取ることが出来て、冷却風を層流化してラジエータ7に送り込むことが出来る。
【0011】また、重量の大きなカウンタウエイトWを脱着するに際して、吊りフック35を掛けるのであるが、該吊りフック35の部分が外れることの無いように金具をボルト固定していたのである。本発明の場合には、カウンタウエイトWの係止凹部36を構成したので、吊りフック35が外れてカウンタウエイトWが転倒する恐れがなく、吊りフック35の係止が簡単に出来る。また、上部構造体Bの全体をボンネット6により一体的に被覆したにも関わらず、エンジンE等の点検必要部品に対する補修を行うことが出来る。
【0012】また、燃料タンクと作動油タンクを被覆するボンネットを構成し、該燃料タンクと作動油タンクを隣接して配置し、該燃料タンクと作動油タンクの上部に開閉可能なメンテナンスカバー34を取着したので、1つのメンテナンスカバー34を開口することより、燃料タンク37と作動油タンク38の両方のメンテナンスを行うことが可能となった。また、給油の場合には、給油口33がボンネット6よりも突出しているので給油が容易であり、非給油の場合には、メンテナンスカバー34により給油口33を被覆して隠すので、デザイン性を向上することが出来る。
【0013】
【実施例】次に実施例を説明する。図1は本発明の掘削作業車の左側面図、図2は同じく左側面図、図3は同じく後面図、図4は旋回フレームFの上の上部構造体B内に於ける平面配置図、図5は上部構造体Bの後面配置断面図、図6はラジエータ7を旋回フレームFの壁部に配置した実施例の平面図、図7はカウンタウエイトWと吊りフック35と係止凹部36の配置を示す図面、図8は同じく側面断面図、図9はカウンタウエイトWの平面図、図10はメンテナンスカバー34を開放した状態の平面図、図11は燃料タンク37と作動油タンク38とメンテナンスカバー34部分の拡大平面図、図12はメンテナンスカバー34と点検窓30の部分の側面断面図、図13は給油口33とボンネット6とメンテナンスカバー34の関係位置を示す前面断面図、図14はメンテナンスカバー34を開放した状態の斜視図、図15はメンテナンスカバー34を閉じた状態の斜視図である。
【0014】図1・図2・図3により掘削作業車の全体構成を説明する。クローラ式走行装置3の上に、旋回台軸受26を介して旋回フレームFを支持している。該旋回フレームFの上にボンネット6と座席Sを配置し、該座席Sの上に、キャノピ支柱11・12により支持したキャノピCを設けている。該キャノピ支柱11・12は座席Sに座ったオペレーターを転倒時において保護する安全フレームをも兼用している。旋回フレームFの前部にはメインブーム1とバケットアーム2により支持され、掘削作業を行うバケット4が支持されている。座席Sの前部には操作コラム5が立設されている。該操作コラム5の左右の位置に操作ペダル25L・25Rが配置されている。本発明は特にキャノピCを支持するキャノピマウント8・9と、操作ペダル25L・25Rの配置構成に関するものである。15は左側キャノピマウント9の部分に設けられた工具箱である。
【0015】ボンネット6が、旋回フレームFの左右にわたり半円状に載置されており、該ボンネット6の中央に座席Sを載置する凹部16が設けられている。該凹部16の左右に、キャノピ支柱11・12を支持するキャノピマウント8・9が配置されている。該キャノピマウント8・9はボンネット6の内部に立設収納されている。キャノピ支柱11・12の基部には、キャノピブーツ11a・12aが付設されており、キャノピ支柱11・12の基部が、右側キャノピマウント8の上に突設されたマウントブラケット8a・9aの上に載置されている。
【0016】該キャノピ支柱11・12の基部をキャノピブーツ11a・12aにより被覆し、デザイン性の向上と安全性を具備させている。また右側キャノピマウント8と左側キャノピマウント9自体はボンネット6の内部に配置されているが、マウントブラケット8a・9aの部分がボンネット6の上面から突出されており、該部分にキャノピ支柱11・12の下部がボルトにより固定されているのである。そして左右のキャノピ支柱11・12の間に、補強杆17が架設されており、該補強杆17は座席Sの後部においてオペレーターの安全バーを兼用している。
【0017】左右に設けられたキャノピマウントの中で、右側キャノピマウント8は、エンジンEの側方のラジエータ7の排風側に配置されている。そして該右側キャノピマウント8はラジエータ7から吐出される排風を後方へ案内する排風ガイドの役目を兼用させているのである。故に右側キャノピマウント8の内部は空洞であり、前面側がガイド板に構成されている。ラジエータ7にはラジエータファン7aが付設されている。
【0018】また左側キャノピマウント9は、進行方向に対して斜めに配置されたエンジンEの左側の位置に配置されており、該エンジンEのクランクシャフトにより駆動すべく延長上に固定した油圧ポンプ装置Pの周囲を被覆すべく構成されている。該左側キャノピマウント9により、高価な精密部品である油圧ポンプ装置Pが、衝撃や衝突により変形破損することの無いように構成している。また図5において示す如く、座席SはエンジンEの上に構成した凹部16に設けられており、高さの高いラジエータ7の部分を回避して凹部16を構成することができ、座席Sを低い位置に配置出来るのである。
【0019】また座席Sの前部に操作コラム5が配置されており、該操作コラム5の前部にフロント手摺り27が設けられている。また座席Sの右側にメンテナンスカバー34が配置され、座席Sの後部に点検窓30が開口され、カウンタウエイトWも後部の旋回フレームFに配置されている。
【0020】図6においては、ラジエータ7を旋回フレームFの外周のボンネット6に近接して配置している。そしてラジエータ7は、ボンネット6に防振ゴム32を介して固定している。このラジエータ7を防振ゴム32によりボンネット6の内面に固定したことにより、ラジエータ7の為の取付ブラケットが必要無くなったのである。またラジエータ7をエンジンEに直角に配置した場合には、ボンネット6に開口する排風開口の面積が狭くなるが、ボンネット6に接触状態に配置することにより、排風開口をラジエータ7の面積いっぱいに構成することが出来たのである。この実施例の場合には、エンジンEとラジエータ7との間に右側キャノピマウント8が配置されているのである。
【0021】次に図7・図8・図9において、カウンタウエイトWの構成を説明する。カウンタウエイトWは図1R>1に示す如く、座席Sの後部の旋回フレームFの上に載置固定されるが、該カウンタウエイトWを持ち上げて、旋回フレームFの上に固定する場合に、吊りフック35とワイヤー29により持ち上げるのである。しかし、通常のクレーン車等で吊り上げた場合には、カウンタウエイトWが不安定であり、転倒したり、抜け落ちたりして人身事故の元となるのである。本発明においては、吊りフック35とワイヤー29により確実にカウンタウエイトWを吊り下げできるように、係止凹部36を設け、該係止凹部36の部分に吊りフック35を嵌装したものである。これによりカウンタウエイトWが倒れなくなったのである。図7において、カウンタウエイトWの上部には係止金具28を嵌入しており、該係止金具28にワイヤー29を通過して、上部の揺れを阻止している。
【0022】次に図10・図11・図12において説明する。座席Sの左側前方でボンネット6の内部に、燃料タンク37と作動油タンク38が配置されており、この部分のボンネット6は開口されている。該開口部分にメンテナンスカバー34が開閉可能に配置されている。該メンテナンスカバー34は、上方に凸の蓋に構成されており、ボンネット6から突出した給油口33の状態が、このメンテナンスカバー34の中に収納されるように構成している。
【0023】図13に示す如く、該燃料タンク37の上部の給油口33が突出した部分はボンネット6が抉れたように開口されており、給油口33の上端は、メンテナンスカバー34を開放すると、ボンネット6から突出した状態となっている。そしてメンテナンスカバー34を閉じると、給油口33が被覆収納される。
【0024】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、請求項1の如く、走行装置上に旋回台軸受を介して旋回フレームを配置し、該旋回フレーム上に座席やエンジン等により構成される上部構造体を搭載した構成において、該上部構造体を旋回台軸受を中心とする車幅と略同一の幅の旋回直径内に配置し、該上部構造体の前端よりも前方に作業機を配置し、エンジンと重複した位置に座席を配置したので、ボンネット6の内部で特に高さが高くなるラジエータ7の位置を回避した部分に凹部16を構成し、該凹部16の内部に座席Sを配置することが出来るので、オペレーターが座る座席Sの位置を低くすることが出来て、安全性を向上することが出来た。
【0025】請求項2の如く、旋回作業車の旋回フレームの上でエンジンに付設して配置したラジエータを、旋回フレームの外壁に沿わせて配置し、ボンネットに対し防振ゴムを介装し固定したので、ラジエータ7の排風面積を十分に確保することができた。またボンネット6に対して防振ゴム32を介して固定するので、別にラジエータ7を固定する為の部材を必要としないのである。またラジエータ7とラジエータファンの間を広く取ることが出来るので、ファンカウリングを長く取ることが出来て、冷却風を層流化してラジエータ7に送り込むことが出来るのである。
【0026】請求項3の如く、旋回作業車の旋回フレームの上に固定するカウンタウエイトにおいて、該カウンタウエイトの一部に吊りフックを係止する為の係止凹部を鋳抜き形状で構成したので、重量の大きなカウンタウエイトWを脱着するに際して、吊りフック35を掛けるのであるが、該吊りフック35の部分が外れることの無いように金具をボルト固定していたのである。本発明の場合には、カウンタウエイトWの係止凹部36を構成したので、吊りフック35が外れてカウンタウエイトWが転倒する恐れがなく、吊りフック35の係止が簡単に出来るのである。
【0027】請求項4の如く、上部構造体を構成するタンク、エンジン、電装品、油圧機器を、一体的に構成したボンネットの内部に収納被覆し、該ボンネットに点検窓を設けたので、ボンネット6により燃料タンク37や作動油タンク38を完全被覆したにも関わらず、エンジンE等の点検必要部品に対する補修を行うことが出来たのである。
【0028】請求項5の如く、燃料タンクと作動油タンクを被覆するボンネットを構成し、該燃料タンクと作動油タンクを隣接して配置し、該燃料タンクと作動油タンクの上部に開閉可能なメンテナンスカバー34を取着したので、1つのメンテナンスカバー34を開口することより、燃料タンク37と作動油タンク38の両方のメンテナンスを行うことが可能となったのである。
【0029】請求項6の如く、燃料タンクの給油口はボンネットよりも上方へ突出構成し、該突出構成した給油口を被覆するメンテナンスカバーの内部に収納可能な高さとしたので、給油の場合には、給油口33がボンネット6よりも突出しているので給油が容易であり、非給油の場合には、メンテナンスカバー34により給油口33を被覆して隠すので、デザイン性を向上することが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の掘削作業車の左側面図。
【図2】同じく右側面図。
【図3】同じく後面図。
【図4】旋回フレームFの上の上部構造体B内に於ける平面配置図。
【図5】上部構造体Bの後面配置断面図。
【図6】ラジエータ7を旋回フレームFの壁部に配置した実施例の平面図。
【図7】カウンタウエイトWと吊りフック35と係止凹部36の配置を示す図面。
【図8】同じく側面断面図。
【図9】カウンタウエイトWの平面図。
【図10】メンテナンスカバー34を開放した状態の平面図。
【図11】燃料タンク37と作動油タンク38とメンテナンスカバー34部分の拡大平面図。
【図12】メンテナンスカバー34と点検窓30の部分の側面断面図。
【図13】給油口33とボンネット6とメンテナンスカバー34の関係位置を示す前面断面図。
【図14】メンテナンスカバー34を開放した状態の斜視図。
【図15】メンテナンスカバー34を閉じた状態の斜視図である。
【符号の説明】
E エンジン
S 座席
F 旋回フレーム
W カウンタウエイト
6 ボンネット
7 ラジエータ
28 係止金具
29 ワイヤー
30 点検窓
32 防振ゴム
33 給油口
34 メンテナンスカバー
35 吊りフック
36 係止凹部
37 燃料タンク
38 作動油タンク
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、座席の前部にメインブームやバケットアームやバケット等の掘削装置を配置し、かつクローラ式走行装置の幅内に旋回フレームを配置して、クローラ式走行装置の通過可能な路地で側溝掘りを可能とした小型の掘削作業車の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からクローラ式走行装置の幅内に旋回フレームを構成し、クローラ式走行装置が通過可能なスペース内で、旋回フレーム部分を360度旋回可能とするコーヒーカップ型の掘削作業車は公知とされているのである。しかしこの型の掘削作業車の場合には、座席の側方にメインブームやバケットアームやバケットが位置することとなり、居住性や安全性や作業速度の点で難があったのである。本発明は、旋回フレームFを略クローラ式走行装置の幅内で180度近い位置まで旋回可能とし、クローラ式走行装置が通過できるスペースならば側溝掘り作業ができ、かつ座席Sの前部にバケットやバケットアームやメインブームを配置したものに関する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のような旋回作業車において、旋回フレームの上に載置構成する上部構造体の構成を、各単位装置毎に重複配置することにより、コンパクトなスペースにまとめ、旋回フレームがクローラ式走行装置の幅内で360度回転可能に構成したものである。またこのように構成した場合に、ボンネットを被覆すると内部の燃料タンクや作動油タンクやエンジンの点検が容易に出来るように構成したものである。また燃料タンクの給油口への給油を簡単にし、またボンネットに設けた点検窓により、ボンネット内のエンジンのメンテナンスが容易に出来るようにしたのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。即ち、走行装置上に旋回台軸受を介して旋回フレームを配置し、該旋回フレーム上に座席やエンジン等により構成される上部構造体を搭載した構成において、該上部構造体を旋回台軸受を中心とする車幅と略同一の幅の旋回直径内に配置し、該上部構造体の前端よりも前方に作業機を配置し、エンジンと重複した位置に座席を配置したものである。
【0005】また、旋回作業車の旋回フレームの上でエンジンに付設して配置したラジエータを、旋回フレームの外壁に沿わせて配置し、ボンネットに対し防振ゴムを介装し固定したものである。
【0006】また、旋回作業車の旋回フレームの上に固定するカウンタウエイトにおいて、該カウンタウエイトの一部に吊りフックを係止する為の係止凹部を鋳抜き形状で構成したものである。
【0007】また、上部構造体を構成するタンク、エンジン、電装品、油圧機器を、一体的に構成したボンネットの内部に収納被覆し、該ボンネットに点検窓を設けたものである。
【0008】また、燃料タンクと作動油タンクを被覆するボンネットを構成し、該燃料タンクと作動油タンクを隣接して配置し、該燃料タンクと作動油タンクの上部に開閉可能なメンテナンスカバー34を取着したものである。
【0009】また、燃料タンクの給油口はボンネットよりも上方へ突出構成し、該突出構成した給油口を被覆するメンテナンスカバーの内部に収納可能な高さとしたものである。
【0010】
【作用】次に作用を説明する。即ち、ボンネット6の内部で特に高さが高くなるラジエータ7の位置を回避した部分に凹部16を構成し、該凹部16の内部に座席Sを配置することが出来るので、オペレーターが座る座席Sの位置を低くすることが出来て、安全性を向上することが出来る。また、ラジエータ7の排風面積を十分に確保することができた。またボンネット6に対して防振ゴム32を介して固定するので、別にラジエータ7を固定する為の部材を必要としないのである。またラジエータ7とラジエータファンの間を広く取ることが出来るので、ファンカウリングを長く取ることが出来て、冷却風を層流化してラジエータ7に送り込むことが出来る。
【0011】また、重量の大きなカウンタウエイトWを脱着するに際して、吊りフック35を掛けるのであるが、該吊りフック35の部分が外れることの無いように金具をボルト固定していたのである。本発明の場合には、カウンタウエイトWの係止凹部36を構成したので、吊りフック35が外れてカウンタウエイトWが転倒する恐れがなく、吊りフック35の係止が簡単に出来る。また、上部構造体Bの全体をボンネット6により一体的に被覆したにも関わらず、エンジンE等の点検必要部品に対する補修を行うことが出来る。
【0012】また、燃料タンクと作動油タンクを被覆するボンネットを構成し、該燃料タンクと作動油タンクを隣接して配置し、該燃料タンクと作動油タンクの上部に開閉可能なメンテナンスカバー34を取着したので、1つのメンテナンスカバー34を開口することより、燃料タンク37と作動油タンク38の両方のメンテナンスを行うことが可能となった。また、給油の場合には、給油口33がボンネット6よりも突出しているので給油が容易であり、非給油の場合には、メンテナンスカバー34により給油口33を被覆して隠すので、デザイン性を向上することが出来る。
【0013】
【実施例】次に実施例を説明する。図1は本発明の掘削作業車の左側面図、図2は同じく左側面図、図3は同じく後面図、図4は旋回フレームFの上の上部構造体B内に於ける平面配置図、図5は上部構造体Bの後面配置断面図、図6はラジエータ7を旋回フレームFの壁部に配置した実施例の平面図、図7はカウンタウエイトWと吊りフック35と係止凹部36の配置を示す図面、図8は同じく側面断面図、図9はカウンタウエイトWの平面図、図10はメンテナンスカバー34を開放した状態の平面図、図11は燃料タンク37と作動油タンク38とメンテナンスカバー34部分の拡大平面図、図12はメンテナンスカバー34と点検窓30の部分の側面断面図、図13は給油口33とボンネット6とメンテナンスカバー34の関係位置を示す前面断面図、図14はメンテナンスカバー34を開放した状態の斜視図、図15はメンテナンスカバー34を閉じた状態の斜視図である。
【0014】図1・図2・図3により掘削作業車の全体構成を説明する。クローラ式走行装置3の上に、旋回台軸受26を介して旋回フレームFを支持している。該旋回フレームFの上にボンネット6と座席Sを配置し、該座席Sの上に、キャノピ支柱11・12により支持したキャノピCを設けている。該キャノピ支柱11・12は座席Sに座ったオペレーターを転倒時において保護する安全フレームをも兼用している。旋回フレームFの前部にはメインブーム1とバケットアーム2により支持され、掘削作業を行うバケット4が支持されている。座席Sの前部には操作コラム5が立設されている。該操作コラム5の左右の位置に操作ペダル25L・25Rが配置されている。本発明は特にキャノピCを支持するキャノピマウント8・9と、操作ペダル25L・25Rの配置構成に関するものである。15は左側キャノピマウント9の部分に設けられた工具箱である。
【0015】ボンネット6が、旋回フレームFの左右にわたり半円状に載置されており、該ボンネット6の中央に座席Sを載置する凹部16が設けられている。該凹部16の左右に、キャノピ支柱11・12を支持するキャノピマウント8・9が配置されている。該キャノピマウント8・9はボンネット6の内部に立設収納されている。キャノピ支柱11・12の基部には、キャノピブーツ11a・12aが付設されており、キャノピ支柱11・12の基部が、右側キャノピマウント8の上に突設されたマウントブラケット8a・9aの上に載置されている。
【0016】該キャノピ支柱11・12の基部をキャノピブーツ11a・12aにより被覆し、デザイン性の向上と安全性を具備させている。また右側キャノピマウント8と左側キャノピマウント9自体はボンネット6の内部に配置されているが、マウントブラケット8a・9aの部分がボンネット6の上面から突出されており、該部分にキャノピ支柱11・12の下部がボルトにより固定されているのである。そして左右のキャノピ支柱11・12の間に、補強杆17が架設されており、該補強杆17は座席Sの後部においてオペレーターの安全バーを兼用している。
【0017】左右に設けられたキャノピマウントの中で、右側キャノピマウント8は、エンジンEの側方のラジエータ7の排風側に配置されている。そして該右側キャノピマウント8はラジエータ7から吐出される排風を後方へ案内する排風ガイドの役目を兼用させているのである。故に右側キャノピマウント8の内部は空洞であり、前面側がガイド板に構成されている。ラジエータ7にはラジエータファン7aが付設されている。
【0018】また左側キャノピマウント9は、進行方向に対して斜めに配置されたエンジンEの左側の位置に配置されており、該エンジンEのクランクシャフトにより駆動すべく延長上に固定した油圧ポンプ装置Pの周囲を被覆すべく構成されている。該左側キャノピマウント9により、高価な精密部品である油圧ポンプ装置Pが、衝撃や衝突により変形破損することの無いように構成している。また図5において示す如く、座席SはエンジンEの上に構成した凹部16に設けられており、高さの高いラジエータ7の部分を回避して凹部16を構成することができ、座席Sを低い位置に配置出来るのである。
【0019】また座席Sの前部に操作コラム5が配置されており、該操作コラム5の前部にフロント手摺り27が設けられている。また座席Sの右側にメンテナンスカバー34が配置され、座席Sの後部に点検窓30が開口され、カウンタウエイトWも後部の旋回フレームFに配置されている。
【0020】図6においては、ラジエータ7を旋回フレームFの外周のボンネット6に近接して配置している。そしてラジエータ7は、ボンネット6に防振ゴム32を介して固定している。このラジエータ7を防振ゴム32によりボンネット6の内面に固定したことにより、ラジエータ7の為の取付ブラケットが必要無くなったのである。またラジエータ7をエンジンEに直角に配置した場合には、ボンネット6に開口する排風開口の面積が狭くなるが、ボンネット6に接触状態に配置することにより、排風開口をラジエータ7の面積いっぱいに構成することが出来たのである。この実施例の場合には、エンジンEとラジエータ7との間に右側キャノピマウント8が配置されているのである。
【0021】次に図7・図8・図9において、カウンタウエイトWの構成を説明する。カウンタウエイトWは図1R>1に示す如く、座席Sの後部の旋回フレームFの上に載置固定されるが、該カウンタウエイトWを持ち上げて、旋回フレームFの上に固定する場合に、吊りフック35とワイヤー29により持ち上げるのである。しかし、通常のクレーン車等で吊り上げた場合には、カウンタウエイトWが不安定であり、転倒したり、抜け落ちたりして人身事故の元となるのである。本発明においては、吊りフック35とワイヤー29により確実にカウンタウエイトWを吊り下げできるように、係止凹部36を設け、該係止凹部36の部分に吊りフック35を嵌装したものである。これによりカウンタウエイトWが倒れなくなったのである。図7において、カウンタウエイトWの上部には係止金具28を嵌入しており、該係止金具28にワイヤー29を通過して、上部の揺れを阻止している。
【0022】次に図10・図11・図12において説明する。座席Sの左側前方でボンネット6の内部に、燃料タンク37と作動油タンク38が配置されており、この部分のボンネット6は開口されている。該開口部分にメンテナンスカバー34が開閉可能に配置されている。該メンテナンスカバー34は、上方に凸の蓋に構成されており、ボンネット6から突出した給油口33の状態が、このメンテナンスカバー34の中に収納されるように構成している。
【0023】図13に示す如く、該燃料タンク37の上部の給油口33が突出した部分はボンネット6が抉れたように開口されており、給油口33の上端は、メンテナンスカバー34を開放すると、ボンネット6から突出した状態となっている。そしてメンテナンスカバー34を閉じると、給油口33が被覆収納される。
【0024】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、請求項1の如く、走行装置上に旋回台軸受を介して旋回フレームを配置し、該旋回フレーム上に座席やエンジン等により構成される上部構造体を搭載した構成において、該上部構造体を旋回台軸受を中心とする車幅と略同一の幅の旋回直径内に配置し、該上部構造体の前端よりも前方に作業機を配置し、エンジンと重複した位置に座席を配置したので、ボンネット6の内部で特に高さが高くなるラジエータ7の位置を回避した部分に凹部16を構成し、該凹部16の内部に座席Sを配置することが出来るので、オペレーターが座る座席Sの位置を低くすることが出来て、安全性を向上することが出来た。
【0025】請求項2の如く、旋回作業車の旋回フレームの上でエンジンに付設して配置したラジエータを、旋回フレームの外壁に沿わせて配置し、ボンネットに対し防振ゴムを介装し固定したので、ラジエータ7の排風面積を十分に確保することができた。またボンネット6に対して防振ゴム32を介して固定するので、別にラジエータ7を固定する為の部材を必要としないのである。またラジエータ7とラジエータファンの間を広く取ることが出来るので、ファンカウリングを長く取ることが出来て、冷却風を層流化してラジエータ7に送り込むことが出来るのである。
【0026】請求項3の如く、旋回作業車の旋回フレームの上に固定するカウンタウエイトにおいて、該カウンタウエイトの一部に吊りフックを係止する為の係止凹部を鋳抜き形状で構成したので、重量の大きなカウンタウエイトWを脱着するに際して、吊りフック35を掛けるのであるが、該吊りフック35の部分が外れることの無いように金具をボルト固定していたのである。本発明の場合には、カウンタウエイトWの係止凹部36を構成したので、吊りフック35が外れてカウンタウエイトWが転倒する恐れがなく、吊りフック35の係止が簡単に出来るのである。
【0027】請求項4の如く、上部構造体を構成するタンク、エンジン、電装品、油圧機器を、一体的に構成したボンネットの内部に収納被覆し、該ボンネットに点検窓を設けたので、ボンネット6により燃料タンク37や作動油タンク38を完全被覆したにも関わらず、エンジンE等の点検必要部品に対する補修を行うことが出来たのである。
【0028】請求項5の如く、燃料タンクと作動油タンクを被覆するボンネットを構成し、該燃料タンクと作動油タンクを隣接して配置し、該燃料タンクと作動油タンクの上部に開閉可能なメンテナンスカバー34を取着したので、1つのメンテナンスカバー34を開口することより、燃料タンク37と作動油タンク38の両方のメンテナンスを行うことが可能となったのである。
【0029】請求項6の如く、燃料タンクの給油口はボンネットよりも上方へ突出構成し、該突出構成した給油口を被覆するメンテナンスカバーの内部に収納可能な高さとしたので、給油の場合には、給油口33がボンネット6よりも突出しているので給油が容易であり、非給油の場合には、メンテナンスカバー34により給油口33を被覆して隠すので、デザイン性を向上することが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の掘削作業車の左側面図。
【図2】同じく右側面図。
【図3】同じく後面図。
【図4】旋回フレームFの上の上部構造体B内に於ける平面配置図。
【図5】上部構造体Bの後面配置断面図。
【図6】ラジエータ7を旋回フレームFの壁部に配置した実施例の平面図。
【図7】カウンタウエイトWと吊りフック35と係止凹部36の配置を示す図面。
【図8】同じく側面断面図。
【図9】カウンタウエイトWの平面図。
【図10】メンテナンスカバー34を開放した状態の平面図。
【図11】燃料タンク37と作動油タンク38とメンテナンスカバー34部分の拡大平面図。
【図12】メンテナンスカバー34と点検窓30の部分の側面断面図。
【図13】給油口33とボンネット6とメンテナンスカバー34の関係位置を示す前面断面図。
【図14】メンテナンスカバー34を開放した状態の斜視図。
【図15】メンテナンスカバー34を閉じた状態の斜視図である。
【符号の説明】
E エンジン
S 座席
F 旋回フレーム
W カウンタウエイト
6 ボンネット
7 ラジエータ
28 係止金具
29 ワイヤー
30 点検窓
32 防振ゴム
33 給油口
34 メンテナンスカバー
35 吊りフック
36 係止凹部
37 燃料タンク
38 作動油タンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行装置上に旋回台軸受を介して旋回フレームを配置し、該旋回フレーム上に座席やエンジン等により構成される上部構造体を搭載した構成において、該上部構造体を旋回台軸受を中心とする車幅と略同一の幅の旋回直径内に配置し、該上部構造体の前端よりも前方に作業機を配置し、エンジンと重複した位置に座席を配置したことを特徴とする旋回作業車。
【請求項2】 旋回作業車の旋回フレームの上でエンジンに付設して配置したラジエータを、旋回フレームの外壁に沿わせて配置し、ボンネットに対し防振ゴムを介装して固定したことを特徴とする旋回作業車。
【請求項3】 旋回作業車の旋回フレームの上に固定するカウンタウエイトにおいて、該カウンタウエイトの一部に吊りフックを係止する為の係止凹部を鋳抜き形状で構成したことを特徴とする旋回作業車。
【請求項4】 上部構造体を構成するタンク、エンジン、電装品、油圧機器を、一体的に構成したボンネットの内部に収納被覆し、該ボンネットに点検窓を設けたことを特徴とする旋回作業車。
【請求項5】 燃料タンクと作動油タンクを被覆するボンネットを構成し、該燃料タンクと作動油タンクを隣接して配置し、該燃料タンクと作動油タンクの上部に開閉可能なメンテナンスカバーを取着したことを特徴とする旋回作業車。
【請求項6】 請求項5記載の旋回作業車において、燃料タンクの給油口はボンネットよりも上方へ突出構成し、該突出構成した給油口を被覆するメンテナンスカバーの内部に収納可能な高さとしたことを特徴とする旋回作業車。
【請求項1】 走行装置上に旋回台軸受を介して旋回フレームを配置し、該旋回フレーム上に座席やエンジン等により構成される上部構造体を搭載した構成において、該上部構造体を旋回台軸受を中心とする車幅と略同一の幅の旋回直径内に配置し、該上部構造体の前端よりも前方に作業機を配置し、エンジンと重複した位置に座席を配置したことを特徴とする旋回作業車。
【請求項2】 旋回作業車の旋回フレームの上でエンジンに付設して配置したラジエータを、旋回フレームの外壁に沿わせて配置し、ボンネットに対し防振ゴムを介装して固定したことを特徴とする旋回作業車。
【請求項3】 旋回作業車の旋回フレームの上に固定するカウンタウエイトにおいて、該カウンタウエイトの一部に吊りフックを係止する為の係止凹部を鋳抜き形状で構成したことを特徴とする旋回作業車。
【請求項4】 上部構造体を構成するタンク、エンジン、電装品、油圧機器を、一体的に構成したボンネットの内部に収納被覆し、該ボンネットに点検窓を設けたことを特徴とする旋回作業車。
【請求項5】 燃料タンクと作動油タンクを被覆するボンネットを構成し、該燃料タンクと作動油タンクを隣接して配置し、該燃料タンクと作動油タンクの上部に開閉可能なメンテナンスカバーを取着したことを特徴とする旋回作業車。
【請求項6】 請求項5記載の旋回作業車において、燃料タンクの給油口はボンネットよりも上方へ突出構成し、該突出構成した給油口を被覆するメンテナンスカバーの内部に収納可能な高さとしたことを特徴とする旋回作業車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図14】
【図15】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図14】
【図15】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開平6−212665
【公開日】平成6年(1994)8月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−4180
【出願日】平成5年(1993)1月13日
【出願人】(000006781)ヤンマーディーゼル株式会社 (3,810)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
【公開日】平成6年(1994)8月2日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)1月13日
【出願人】(000006781)ヤンマーディーゼル株式会社 (3,810)
【出願人】(000005164)セイレイ工業株式会社 (125)
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