説明

旋回環方式の掘進機

【課題】超高圧噴射ノズルを多く設置することができ、もって、小中規模な障害物だけでなく、多くの数の超高圧噴射ノズルを必要とする大規模な障害物に対しても粉砕しつつ推進することができる、旋回環方式の超高圧噴射ノズルラインを備えた掘進機を得る。
【解決手段】 旋回環方式の掘進機1であって、回転軸2を有するシールド本体部3と、シールド本体部3に対して回転可能な、複数の超高圧噴射ノズルを設置したカッターヘッド部5と、シールド本体部3に対して回転軸2を中心にして回転可能に取り付けられた回転フレーム6とを備え、回転フレーム6は、その一部分がカッターヘッド部5及び回転軸2に取り付けられており、複数の超高圧噴射ノズルは、それぞれ超高圧噴射ノズルライン13に接続されており、複数の超高圧噴射ノズルライン13のうちの少なくとも一つは、回転軸2の周囲において回転フレーム6に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回環方式の超高圧噴射ノズルラインを備えた掘進機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、様々な旋回環方式の掘進機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。掘進機のカッター駆動方式が旋回環方式である掘進機は、ノズルラインを、回転軸に設けられたスイベルを経由することにより掘進機内部から掘進機面盤部に設置されている超高圧噴射ノズルまで接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−169888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来における回転軸に設けられたスイベルを経由したノズルライン接続方式は、掘進機面盤部における超高圧噴射ノズルの設置数が多い場合には、構造上限度があるために対応することが困難であり、このため超高圧噴射ノズルの設置数が少ない場合にしか対応することができなかった。
【0005】
本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、大口径の掘進機で特に必要な超高圧噴射ノズルを多く設置することができ、もって、小中規模な障害物だけでなく、多くの数の超高圧噴射ノズルを必要とする大規模な障害物に遭遇してもそれを粉砕しつつ推進することができる、旋回環方式の超高圧噴射ノズルラインを備えた掘進機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、旋回環方式の掘進機であって、回転軸を有するシールド本体部と、前記シールド本体部に対して回転可能な、複数の超高圧噴射ノズルを有するカッターヘッド部と、前記シールド本体部に対して前記回転軸を中心にして回転可能に取り付けられた回転フレームすなわち旋回環とを備え、前記回転フレームは、その一部分が前記カッターヘッド部及び前記回転軸に取り付けられており、前記超高圧噴射ノズルは、それぞれ超高圧噴射ノズルラインに接続されており、前記一つ以上の超高圧噴射ノズルラインのうちの少なくとも一つは、前記回転軸の周囲において前記回転フレームに取り付けられていることを特徴とする旋回環方式の掘進機を提供する。
【0007】
また、前記回転フレームは、前記回転軸を中心としたプレートを有し、前記複数の超高圧噴射ノズルラインのうちの少なくとも一つは、前記回転フレームの前記プレートに取り付けられている。また、前記複数の超高圧噴射ノズルラインのうちの二つ以上を前記回転フレームの前記プレートに取り付けた場合、これらの超高圧噴射ノズルラインは、前記回転軸を中心とした一つの同心円上に配置されることができる。
【0008】
また、前記回転フレームは、横断面が円錐台状である筒状フレームにすることができる。
【0009】
さらに、前記回転軸の駆動力は、回転フレームを介して伝達されるようになっている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、旋回環方式の掘進機であって、回転軸を有するシールド本体部と、前記シールド本体部に対して回転可能な、複数の超高圧噴射ノズルを設置したカッターヘッド部と、前記シールド本体部に対して前記回転軸を中心にして回転可能に取り付けられた回転フレームとを備え、前記回転フレームは、その一部分が前記カッターヘッド部及び前記回転軸に取り付けられており、前記複数の超高圧噴射ノズルは、それぞれ超高圧噴射ノズルラインに接続されており、前記複数の超高圧噴射ノズルラインのうちの少なくとも一つは、前記回転軸の周囲において前記回転フレームに取り付けられているため、従来における回転軸に設けられたスイベルを経由したノズルライン接続方式に超高圧噴射ノズルを多く設置することができ、もって、小中規模な障害物だけでなく、多くの数の超高圧噴射ノズルを必要とする大規模な障害物に対しても粉砕しつつ推進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1(a)は、本発明にかかる旋回環方式の掘進機の実施の一形態に適用可能なシールド本体部を示す前面図であり、図1(b)は、本発明にかかる旋回環方式の掘進機の実施の一形態を示す部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明にかかる掘進機のカッター駆動方式が旋回環方式である掘進機を実施するための最良の形態について図面を参照しながら述べる。図1(a)には、本発明にかかる旋回環方式の掘進機のシールド本体部の前面図を示し、図1(b)には、本発明にかかる旋回環方式の掘進機の部分断面側面図を示している。
【0013】
図1に示すように、掘進機1は、その中心部に回転軸2を有するシールド本体部3と、シールド本体部3に対して回転可能な、一つ以上の超高圧噴射ノズル4a、4b、4c、4e、4f、4g、4hを有するカッターヘッド部5と、シールド本体部3に対して回転軸2を中心にして回転可能に取り付けられた回転フレーム6と、スクリューコンベヤ等を有する排泥管7と、駆動用モータ8とを主に備えている。
【0014】
カッターヘッド部5は推進方向先端部に設けられ、図1(b)に示すように互いに直交する取り付け板10、11が掛け渡されて固定されている。その取り付け板10、11は回転軸2において互いに交差しており、取り付け板10、11には中心ビットやカッタービットなどの複数のビット9が適宜設けられている。
【0015】
また、カッターヘッド部5の取り付け板10、11には、一つ以上の超高圧噴射ノズル4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4hが設けられている。図示の例では、超高圧噴射ノズル4a、4b及び4hは地盤改良用ノズルであり、超高圧噴射ノズル4c、4d、4e、4f及び4gは切断用ノズルである。
【0016】
図1(a)に示すように、回転フレーム6は、横断面が円錐台状である筒状フレームとして構成されており、その基端部(図1(a)において右側端部)がシールド本体部3に対して適宜の手段によって回転軸2を中心にして回転可能に取り付けられていると共に、駆動用モータ8の駆動力が回転フレーム6に伝達されるようになっている。
【0017】
一方、回転フレーム6の先端部(図1(a)において左側端部)には、回転フレーム6の一部分を構成する回転軸2を中心とした環状プレート12が設けられており、この環状プレート12を介して回転フレーム6はカッターヘッド部5及び回転軸2に取り付けられている。従って、回転軸2の駆動力である駆動用モータ8の駆動力は、回転フレーム6を介して伝達され、回転軸2及びカッターヘッド部5は、回転フレーム6と共に駆動用モータ8の駆動力によって回転する。
【0018】
上述の超高圧噴射ノズル4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4hは、それぞれ超高圧噴射ノズルライン13に接続されており、これらの複数の超高圧噴射ノズルラインのうちの少なくとも一つが、回転軸2の周囲において底端でホースラインの寄せ板すなわちホースライン設置のヘッダーとしての回転フレーム6の環状プレート12に取り付けられている。図示の実施例のように超高圧噴射ノズルライン13のうちの二つ以上が回転フレーム6の環状プレート12に取り付けられる場合(図示の実施例の場合は全ての超高圧噴射ノズルライン)、これらの超高圧噴射ノズルラインは、回転軸2を中心とした一つの同心円上に配置されるように環状プレート12に取り付けることが好適である。
【0019】
以上の構成によれば、掘進時回転フレーム6と一体的に環状プレート12に連なるホース群がゆっくり回転する。
【0020】
超高圧噴射ノズルライン13は、図示しない外部供給源からの超高圧ジェット水を噴射ノズル側に供給するジェットラインと、図示しない外部供給源からのアブレシブスラリー又は地盤改良材を噴射ノズル側に供給するアブレシブラインとからなるホースラインで構成されており、障害物の切断時はジェットラインからの超高圧水とアブレシブラインからのアブレシブスラリー及び/又は地盤改良材とが混合されて上述の超高圧噴射ノズルから噴射される。即ち、カッターヘッド部5の前面に出現した障害物の大小、形状に応じて、カッターヘッド部5面に設置された噴射ノズルを選定したうえこれらの噴射ノズルからアブレシブスラリーを噴射することにより障害物の切断、破砕とそれらの排出を遂行する。
【0021】
上記実施の形態では、全ての超高圧噴射ノズルラインが回転軸2の周囲において回転フレーム6の環状プレート12に取り付けられているが、これに限定されない。例えば、超高圧噴射ノズルラインのうちのいくつかを従来のように回転軸に設けられたスイベルを経由させたノズルライン接続方式で設けてもよい。また、上記実施の形態では、回転フレーム6の一部分(環状プレート12)がカッターヘッド部5及び回転軸2に取り付けられているが、これに限定されず、例えば、カッターヘッド部5あるいは回転軸2に取り付けられるようにすることも可能である。すなわち、回転フレーム6に伝達される駆動用モータ8の駆動力によって回転フレーム6と共に回転軸2及びカッターヘッド部5が回転駆動される構成であればよい。
【0022】
なお、ホースライン又はマシンセンタ軸を経由せずに、外部材料等供給源に超高圧噴射ノズルラインの全部又は一部を直結することも必要に応じて可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 掘進機
2 回転軸
3 シールド本体部
4a〜4h 超高圧噴射ノズル
5 カッターヘッド部
6 回転フレーム
7 排泥管
8 駆動用モータ
9 ビット
10 取り付け板
11 取り付け板
12 環状プレート
13 超高圧噴射ノズルライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回環方式の掘進機であって、
回転軸を有するシールド本体部と、
前記シールド本体部に対して回転可能な、複数の超高圧噴射ノズルを設置したカッターヘッド部と、
前記シールド本体部に対して前記回転軸を中心にして回転可能に取り付けられた回転フレームとを備え、
前記回転フレームは、その一部分が前記カッターヘッド部及び前記回転軸に取り付けられており、
前記複数の超高圧噴射ノズルは、それぞれ超高圧噴射ノズルラインに接続されており、
前記複数の超高圧噴射ノズルラインのうちの少なくとも一つは、前記回転軸の周囲において前記回転フレームに取り付けられていることを特徴とする旋回環方式の掘進機。
【請求項2】
請求項1に記載の旋回環方式の掘進機において、
前記回転フレームは、前記回転軸を中心としたプレートを有し、
前記複数の超高圧噴射ノズルラインのうちの少なくとも一つは、前記回転フレームの前記プレートに取り付けられていることを特徴とする旋回環方式の掘進機。
【請求項3】
請求項2に記載の旋回環方式の掘進機において、
前記複数の超高圧噴射ノズルラインのうちの二つ以上が、前記回転フレームの前記プレートに取り付けられており、これらの超高圧噴射ノズルラインは、前記回転軸を中心とした一つの同心円上に配置されていることを特徴とする旋回環方式の掘進機。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の旋回環方式の掘進機において、
前記回転フレームは、横断面が円錐台状である筒状フレームであることを特徴とする旋回環方式の掘進機。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一つに記載の旋回環方式の掘進機において、
前記回転軸の駆動力は、回転フレームを介して伝達されることを特徴とする旋回環方式の掘進機。

【図1】
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【公開番号】特開2012−41706(P2012−41706A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182774(P2010−182774)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(596149899)中黒建設株式会社 (11)
【Fターム(参考)】