説明

旋回給電装置

【課題】構造が簡単で視認性に優れ、故障時の不具合部位の発見と対応を迅速且つ容易に行うことができると共に、支柱の周方向基準位置からの旋回を一方向に限らず反対方向にも可能とし作業効率向上を図り得る旋回給電装置を提供する。
【解決手段】軸線Oを中心としてベースポスト16を固定配置し、軸線O延長線上に、支柱20を周方向基準位置から一方向へ一旋回自在で且つ周方向基準位置から反対方向へ一旋回自在となるよう配設し、ベースポスト16と支柱20との間を給電ケーブル3によって接続するにあたり、支柱20の外周部に、支柱20の旋回と連動して給電ケーブル3を巻き取り・繰り出し自在な旋回方向巻取手段9を配設すると共に、ベースポスト16側に、旋回方向巻取手段9による給電ケーブル3の巻き取り・繰り出しに伴う長さ変動を移動体10の昇降動作により吸収自在な上下方向吸収手段11を固定配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ジブクレーン等の旋回機能を有する建設機械では、地上から立設されるポストや下部走行体上に上部旋回体を旋回可能に設けてなる構成を有しているため、固定側と旋回側とを電気的に接続する旋回給電装置を装備する必要がある。
【0003】
従来から使用されている旋回給電装置としては、例えば、スリップリング、ケーブルベア及びカーテンケーブル等が広く知られている。
【0004】
前記スリップリングは、旋回体に対し同芯状に配設された環状電路とブラシとを介して電力や信号を伝達するようになっている。
【0005】
又、前記ケーブルベアは、図6に示される如く、環状の固定枠1の内部に、該固定枠1より小径の旋回枠2を図示していない旋回体の支柱と一体に旋回自在に配設し、給電ケーブル3の一端を前記固定枠1に接続すると共に、給電ケーブル3の他端を旋回枠2に巻き付けるようにして接続し、これにより、図6の実線で示される位置から前記旋回枠2を時計方向へ旋回させると、該旋回枠2に巻き付けられていた給電ケーブル3が、図6の仮想線で示される如く、繰り出されつつ前記固定枠1の内周面に沿うように配設されて行き、略一回転する位置まで前記旋回枠2を旋回させることができ、その位置から前記旋回枠2を反時計方向へ旋回させると、前記固定枠1の内周面に沿うように配設されていた給電ケーブル3が、図6の実線で示される如く、再び巻き取られつつ前記旋回枠2の内周面に沿うように配設されて行き、元の位置まで前記旋回枠2を旋回させることができるようになっている。
【0006】
更に又、前記カーテンケーブルは、図7及び図8に示される如く、旋回体4の支柱5の外周に環状のガイドレール6を固定配置し、該ガイドレール6に複数のケーブルハンガー7をスライド自在に取り付け、該ケーブルハンガー7に、一端が固定側に接続され且つ他端が旋回側に接続される給電ケーブル3の中途部を吊り下げるように連結支持せしめ、これにより、図7(a)で示される位置から前記旋回体4の支柱5を時計方向へ旋回させると、前記給電ケーブル3の固定端側に寄せ集められていたケーブルハンガー7(図8(a)参照)が、旋回端側から順次ガイドレール6に沿ってスライドして行き、この動作に伴って、それまで隣接するケーブルハンガー7の間で弛ませる形で吊り下げられていた給電ケーブル3が徐々に引き延ばされ、図7(b)に示される如く、略一回転する位置まで前記旋回体4の支柱5を旋回させることができ、その位置から前記旋回体4の支柱5を反時計方向へ旋回させると、前記引き延ばされた給電ケーブル3の旋回端側のケーブルハンガー7(図8(b)参照)が、隣接するケーブルハンガー7との間隔を狭めるように順次ガイドレール6に沿ってスライドして行き、この動作に伴って、それまで隣接するケーブルハンガー7の間で引き延ばされる形で吊り下げられていた給電ケーブル3が徐々に弛み、図7(a)に示される如く、再び前記ケーブルハンガー7が寄せ集められるように配設されて行き、元の位置まで前記旋回体4の支柱5を旋回させることができるようになっている。
【0007】
尚、前述の如き旋回給電装置のうち前記ケーブルベアと関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−69381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述の如き旋回給電装置としてのスリップリングは、無限旋回にも対応可能であるという利点を有しているものの、ケーブル類が装置の内部に隠れる形となるため、断線等の故障の発見が遅れる可能性があると共に、構造が複雑で専門家による補修が必要となるケースが多く、修復に時間がかかる一方、定期的にブラシの交換も必要になるという欠点を有していた。
【0010】
又、前記ケーブルベアやカーテンケーブルは、周方向基準位置から一方向へ一旋回(図6のケーブルベアで約360°旋回、図7及び図8のカーテンケーブルで約270°旋回)の範囲内で有限旋回を行うことは可能で実績も多いが、例えば、支柱5の周方向基準位置を時計の12時の方向に見立てた場合、該支柱5を9時の方向へ旋回させるためには、時計方向へ270°の旋回が必要となり、前記支柱5を周方向基準位置から反時計方向へ90°旋回させることは困難となるため、作業効率が低下するという問題を有していた。
【0011】
本発明は、斯かる実情に鑑み、構造が簡単で視認性に優れ、故障時の不具合部位の発見と対応を迅速且つ容易に行うことができると共に、支柱の周方向基準位置からの旋回を一方向に限らず反対方向にも可能とし作業効率向上を図り得る旋回給電装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上下方向へ延びる軸線を中心として固定配置されるベースポストと、該ベースポストの軸線延長線上に周方向基準位置から一方向へ一旋回自在で且つ周方向基準位置から反対方向へ一旋回自在となるよう配設される支柱との間を、給電ケーブルによって接続する旋回給電装置であって、
前記支柱の外周部に配設され且つ該支柱の旋回と連動して給電ケーブルを巻き取り・繰り出し自在な旋回方向巻取手段と、
前記ベースポスト側に固定配置され且つ前記旋回方向巻取手段による給電ケーブルの巻き取り・繰り出しに伴う長さ変動を移動体の昇降動作により吸収自在な上下方向吸収手段と
を備えたことを特徴とする旋回給電装置にかかるものである。
【0013】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0014】
先ず、支柱が周方向基準位置にある場合、旋回方向巻取手段から給電ケーブルが最大限繰り出された状態となり、上下方向吸収手段の移動体が下限位置に降下した状態となるようにしておき、この状態で、前記周方向基準位置から支柱を一方向へ旋回させると、給電ケーブルが旋回方向巻取手段に巻き取られて行き、この動きと連動して前記上下方向吸収手段の移動体は、下限位置から上昇して行き、前記支柱が一旋回すると、前記給電ケーブルが旋回方向巻取手段の略全周に巻き取られると共に、前記上下方向吸収手段の移動体は、上限位置まで上昇する。この状態から支柱を反対方向へ旋回させると、給電ケーブルが旋回方向巻取手段から繰り出されて行き、この動きと連動して前記上下方向吸収手段の移動体は、上限位置から下降して行き、前記支柱が一旋回して周方向基準位置に戻ると、前記給電ケーブルが旋回方向巻取手段から最大限繰り出された状態に戻ると共に、前記上下方向吸収手段の移動体は、下限位置に降下した状態に戻る。
【0015】
又、前記周方向基準位置から支柱を反対方向へ旋回させると、給電ケーブルが旋回方向巻取手段に巻き取られて行き、この動きと連動して前記上下方向吸収手段の移動体は、下限位置から上昇して行き、前記支柱が一旋回すると、前記給電ケーブルが旋回方向巻取手段の略全周に巻き取られると共に、前記上下方向吸収手段の移動体は、上限位置まで上昇する。この状態から支柱を一方向へ旋回させると、給電ケーブルが旋回方向巻取手段から繰り出されて行き、この動きと連動して前記上下方向吸収手段の移動体は、上限位置から下降して行き、前記支柱が一旋回して周方向基準位置に戻ると、前記給電ケーブルが旋回方向巻取手段から最大限繰り出された状態に戻ると共に、前記上下方向吸収手段の移動体は、下限位置に降下した状態に戻る。
【0016】
この結果、本発明の旋回給電装置は、スリップリングに比べ、ケーブル類が装置の内部に隠れる形とならず外部からも見えるため、断線等の故障の発見が迅速に行えると共に、構造が簡単で専門家でなくても補修が可能となり、修復に時間がかからなくなる一方、定期的にブラシを交換したりする必要もない。
【0017】
又、ケーブルベアやカーテンケーブルは、周方向基準位置から一方向へ一旋回の範囲内でしか有限旋回を行えないが、本発明の旋回給電装置では、例えば、支柱の周方向基準位置を時計の12時の方向に見立てた場合、該支柱を9時の方向へ旋回させるためには、わざわざ時計方向へ270°旋回させる必要はなく、前記支柱を周方向基準位置から反時計方向へ90°旋回させることが可能となるため、作業効率を向上させることが可能となる。
【0018】
前記旋回給電装置においては、前記支柱の外周部に、前記給電ケーブルを巻き取り・繰り出し自在なドラムを取り付けることによって、前記旋回方向巻取手段を構成すると共に、
前記ベースポスト側の所要高さ位置に固定シーブを固定配置し、該固定シーブに対し昇降自在に昇降シーブを配設し、前記旋回方向巻取手段のドラムから繰り出される給電ケーブルを前記昇降シーブと固定シーブとに順次掛け回し、該給電ケーブルの先端をベースポスト側に固定することによって、前記上下方向吸収手段を構成することができる。
【0019】
又、前記旋回給電装置においては、前記支柱を旋回中心として旋回走行車輪の駆動により旋回自在に配置された脚フレームの上部にジブを起伏自在に取り付けてなるジブクレーンに適用することが有効となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の旋回給電装置によれば、構造が簡単で視認性に優れ、故障時の不具合部位の発見と対応を迅速且つ容易に行うことができると共に、支柱の周方向基準位置からの旋回を一方向に限らず反対方向にも可能とし作業効率向上を図り得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の旋回給電装置の実施例を示す側面図である。
【図2】(a)は本発明の旋回給電装置の実施例における周方向基準位置での旋回方向巻取手段を示す平面図であって、図1のIIa−IIa矢視相当図であり、(b)は本発明の旋回給電装置の実施例における周方向基準位置での上下方向吸収手段を示す正面図であって、図1のIIb−IIb矢視相当図である。
【図3】(a)は本発明の旋回給電装置の実施例における周方向基準位置から時計方向へ一旋回させた位置での旋回方向巻取手段を示す平面図であり、(b)は本発明の旋回給電装置の実施例における周方向基準位置から時計方向へ一旋回させた位置での上下方向吸収手段を示す正面図である。
【図4】(a)は本発明の旋回給電装置の実施例における周方向基準位置から反時計方向へ一旋回させた位置での旋回方向巻取手段を示す平面図であり、(b)は本発明の旋回給電装置の実施例における周方向基準位置から反時計方向へ一旋回させた位置での上下方向吸収手段を示す正面図である。
【図5】本発明の旋回給電装置を適用したジブクレーンの一例を示す側面図である。
【図6】従来のケーブルベアの一例を示す平面図である。
【図7】従来のカーテンケーブルの一例を示す平面図であって、(a)はケーブルハンガーが給電ケーブルの固定端側に寄せ集められている状態を示す図、(b)は給電ケーブルが引き延ばされている状態を示す図である。
【図8】従来のカーテンケーブルの一例を示す側面図であって、(a)はケーブルハンガーが給電ケーブルの固定端側に寄せ集められている状態を示す図、(b)は給電ケーブルが引き延ばされている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0023】
図1〜図5は本発明の旋回給電装置の実施例であって、上下方向へ延びる軸線Oを中心としてベースポスト16を固定配置し、該ベースポスト16の軸線O延長線上に、旋回ポスト装置8を介して支柱20を周方向基準位置から一方向へ一旋回(360°旋回)自在で且つ周方向基準位置から反対方向へ一旋回(360°旋回)自在となるよう配設し、前記ベースポスト16と支柱20との間を給電ケーブル3によって接続するにあたり、前記支柱20の外周部に、該支柱20の旋回と連動して給電ケーブル3を巻き取り・繰り出し自在な旋回方向巻取手段9を配設すると共に、前記ベースポスト16側に、前記旋回方向巻取手段9による給電ケーブル3の巻き取り・繰り出しに伴う長さ変動を移動体10の昇降動作により吸収自在な上下方向吸収手段11を固定配置することによって、旋回給電装置12を構成したものである。
【0024】
本実施例の場合、前記旋回方向巻取手段9は、前記支柱20の外周部に、前記給電ケーブル3を巻き取り・繰り出し自在なドラム9aを取り付けることによって構成してある。尚、図1に示す例では、前記給電ケーブル3は、複数本のケーブルを並列させた偏平帯状のものとしてあり、該給電ケーブル3に対しその巻き取り・繰り出し時に無理な力が作用しないよう、前記ドラム9aの周方向一箇所には、図2(a)に示す如く、給電ケーブル3を両側から挟み込むように支持する円弧状挟持部9bを形成してある。
【0025】
前記上下方向吸収手段11は、前記ベースポスト16側の所要高さ位置に固定シーブ13を固定配置し、該固定シーブ13に対し昇降自在に前記移動体10としての昇降シーブ10aを配設し、前記旋回方向巻取手段9のドラム9aから繰り出される給電ケーブル3を前記昇降シーブ10aと固定シーブ13とに順次掛け回し、該給電ケーブル3の先端をベースポスト16側に固定される電源や制御装置等の接続箱17に接続することによって構成してある。尚、図2〜図4に示す例では、前記固定シーブ13を二個配設すると共に、前記昇降シーブ10aをリンク10bで連結する形で二個配設してあるが、給電ケーブル3の長さに応じてその個数を増減し得ることは言うまでもない。又、前記旋回方向巻取手段9のドラム9aと上下方向吸収手段11の昇降シーブ10aとの間には、該ドラム9aから水平方向へ繰り出される給電ケーブル3の方向を下方へ90°変換させて昇降シーブ10aへ導くガイドシーブ14と、該ガイドシーブ14及び給電ケーブル3を両側から挟み付けるように支持し且つ端部を広げるように湾曲させて給電ケーブル3をガイドシーブ14へ導くガイドプレート15とを配設してある。
【0026】
そして、本実施例の旋回給電装置12は、さまざまなクレーンに適用可能であるが、例えば、図5に示す如く、前記支柱20を旋回中心として旋回走行車輪25の駆動により旋回自在に配置された脚フレーム26の上部にジブ27を起伏自在に取り付けてなるジブクレーン28に適用することができる。尚、この場合、前記連結ピン19は、ジブ27の起伏中心軸29と平行に配設するようにしてあり、又、前記旋回走行車輪25は、前記軸線Oを中心として円形に敷設されたレール30上を転動するようにしてある。
【0027】
次に、上記実施例の作用を説明する。
【0028】
先ず、図2(a)に示す如く、支柱20が周方向基準位置にある場合、旋回方向巻取手段9のドラム9aから給電ケーブル3が最大限繰り出された状態となっており、この状態で、上下方向吸収手段11の移動体10としての昇降シーブ10aは、図2(b)に示す如く、下限位置に降下した状態となっている。
【0029】
図2(a)に示す周方向基準位置から支柱20を一方向(例えば、時計方向)へ旋回させると、給電ケーブル3が旋回方向巻取手段9のドラム9aの図中右側の円弧状挟持部9bに倣いつつ該ドラム9aに巻き取られて行き、この動きと連動して前記上下方向吸収手段11の移動体10としての昇降シーブ10aは、図2(b)に示す状態から上昇して行き、前記支柱20が一旋回(360°旋回)すると、図3(a)に示す如く、前記給電ケーブル3が旋回方向巻取手段9のドラム9aの略全周に巻き取られると共に、前記上下方向吸収手段11の移動体10としての昇降シーブ10aは、図3(b)に示す如く固定シーブ13に近接する上限位置まで上昇する。
【0030】
ここで、前記給電ケーブル3がドラム9aに巻き取られることにより、該給電ケーブル3の角度がガイドシーブ14の軸線に対し直交する方向(図2(a)参照)から振れる(図3(a)参照)ようになるが、ガイドシーブ14及び給電ケーブル3を両側から挟み付けるように支持するガイドプレート15の端部は、互いの間隔が広がるように湾曲させてあるため、給電ケーブル3をガイドシーブ14へ確実に導くことが可能となり、該給電ケーブル3がガイドシーブ14から外れたりする心配はない。
【0031】
図3(a)に示す状態から支柱20を反対方向(例えば、反時計方向)へ旋回させると、給電ケーブル3が旋回方向巻取手段9のドラム9aから繰り出されて行き、この動きと連動して前記上下方向吸収手段11の移動体10としての昇降シーブ10aは、図3(b)に示す状態から下降して行き、前記支柱20が一旋回(360°旋回)して周方向基準位置に戻ると、図2(a)に示す如く、前記給電ケーブル3が旋回方向巻取手段9のドラム9aから最大限繰り出された状態に戻ると共に、前記上下方向吸収手段11の移動体10としての昇降シーブ10aは、図2(b)に示す如く、下限位置に降下した状態に戻る。
【0032】
又、図2(a)に示す周方向基準位置から支柱20を反対方向(例えば、反時計方向)へ旋回させると、給電ケーブル3が旋回方向巻取手段9のドラム9aの図中左側の円弧状挟持部9bに倣いつつ該ドラム9aに巻き取られて行き、この動きと連動して前記上下方向吸収手段11の移動体10としての昇降シーブ10aは、図2(b)に示す状態から上昇して行き、前記支柱20が一旋回(360°旋回)すると、図4(a)に示す如く、前記給電ケーブル3が旋回方向巻取手段9のドラム9aの略全周に巻き取られると共に、前記上下方向吸収手段11の移動体10としての昇降シーブ10aは、図4(b)に示す如く固定シーブ13に近接する上限位置まで上昇する。
【0033】
ここで、前記給電ケーブル3がドラム9aに巻き取られることにより、該給電ケーブル3の角度がガイドシーブ14の軸線に対し直交する方向(図2(a)参照)から振れる(図4(a)参照)ようになるが、ガイドシーブ14及び給電ケーブル3を両側から挟み付けるように支持するガイドプレート15の端部は、互いの間隔が広がるように湾曲させてあるため、給電ケーブル3をガイドシーブ14へ確実に導くことが可能となり、該給電ケーブル3がガイドシーブ14から外れたりする心配はない。
【0034】
図4(a)に示す状態から支柱20を一方向(例えば、時計方向)へ旋回させると、給電ケーブル3が旋回方向巻取手段9のドラム9aから繰り出されて行き、この動きと連動して前記上下方向吸収手段11の移動体10としての昇降シーブ10aは、図4(b)に示す状態から下降して行き、前記支柱20が一旋回(360°旋回)して周方向基準位置に戻ると、図2(a)に示す如く、前記給電ケーブル3が旋回方向巻取手段9のドラム9aから最大限繰り出された状態に戻ると共に、前記上下方向吸収手段11の移動体10としての昇降シーブ10aは、図2(b)に示す如く、下限位置に降下した状態に戻る。
【0035】
この結果、本実施例の旋回給電装置12は、スリップリングに比べ、ケーブル類が装置の内部に隠れる形とならず外部からも見えるため、断線等の故障の発見が迅速に行えると共に、構造が簡単で専門家でなくても補修が可能となり、修復に時間がかからなくなる一方、定期的にブラシを交換したりする必要もない。
【0036】
又、ケーブルベアやカーテンケーブルは、周方向基準位置から一方向へ一旋回(図6のケーブルベアで約360°旋回、図7及び図8のカーテンケーブルで約270°旋回)の範囲内でしか有限旋回を行えないが、本実施例の旋回給電装置12では、例えば、支柱20の周方向基準位置を時計の12時の方向に見立てた場合、該支柱20を9時の方向へ旋回させるためには、わざわざ時計方向へ270°旋回させる必要はなく、前記支柱20を周方向基準位置から反時計方向へ90°旋回させることが可能となるため、作業効率を向上させることが可能となる。
【0037】
こうして、構造が簡単で視認性に優れ、故障時の不具合部位の発見と対応を迅速且つ容易に行うことができると共に、支柱20の周方向基準位置からの旋回を一方向に限らず反対方向にも可能とし作業効率向上を図り得る。
【0038】
尚、本発明の旋回給電装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
3 給電ケーブル
9 旋回方向巻取手段
9a ドラム
10 移動体
10a 昇降シーブ
11 上下方向吸収手段
12 旋回給電装置
13 固定シーブ
16 ベースポスト
20 支柱
25 旋回走行車輪
26 脚フレーム
27 ジブ
28 ジブクレーン
O 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向へ延びる軸線を中心として固定配置されるベースポストと、該ベースポストの軸線延長線上に周方向基準位置から一方向へ一旋回自在で且つ周方向基準位置から反対方向へ一旋回自在となるよう配設される支柱との間を、給電ケーブルによって接続する旋回給電装置であって、
前記支柱の外周部に配設され且つ該支柱の旋回と連動して給電ケーブルを巻き取り・繰り出し自在な旋回方向巻取手段と、
前記ベースポスト側に固定配置され且つ前記旋回方向巻取手段による給電ケーブルの巻き取り・繰り出しに伴う長さ変動を移動体の昇降動作により吸収自在な上下方向吸収手段と
を備えたことを特徴とする旋回給電装置。
【請求項2】
前記支柱の外周部に、前記給電ケーブルを巻き取り・繰り出し自在なドラムを取り付けることによって、前記旋回方向巻取手段を構成すると共に、
前記ベースポスト側の所要高さ位置に固定シーブを固定配置し、該固定シーブに対し昇降自在に昇降シーブを配設し、前記旋回方向巻取手段のドラムから繰り出される給電ケーブルを前記昇降シーブと固定シーブとに順次掛け回し、該給電ケーブルの先端をベースポスト側に固定することによって、前記上下方向吸収手段を構成した請求項1記載の旋回給電装置。
【請求項3】
前記支柱を旋回中心として旋回走行車輪の駆動により旋回自在に配置された脚フレームの上部にジブを起伏自在に取り付けてなるジブクレーンに適用した請求項1又は2記載の旋回給電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−86961(P2013−86961A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231873(P2011−231873)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)