説明

既設ケーソンの耐衝撃補強方法及び耐衝撃補強構造

【課題】 ケーソン壁の前面に配置された消波ブロックの撤去や、上部コンクリートの撤去作業及び中詰材の抜き取り作業が必要ではなく、低コストで消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤及び護岸に対して耐衝撃補強を行うことが可能な既設ケーソンの耐衝撃補強方法及び耐衝撃補強構造を提供する。
【解決手段】 既設ケーソン13の外側面を構成する鉄筋コンクリート壁(ケーソン壁15)の上方から、当該鉄筋コンクリート壁(ケーソン壁15)の内部下方へ向かって補強部材挿入孔80を穿孔する工程(b)と、補強部材挿入孔80内に、曲げ変形を抑制すると共に押し抜きせん断破壊に対する耐力を向上させるため補強部材100を挿入する工程(d)と、補強部材挿入孔80内に充填材(120)を充填する工程(e,f)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤や護岸に対して耐衝撃補強を行うための既設ケーソンの耐衝撃補強方法及び耐衝撃補強構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤や護岸においては、高波浪時に波の力により消波ブロックが移動し、ケーソン壁に衝突して、ひび割れや穴あきなどが発生する損傷事例が多数報告されている。一般的なケーソン式防波堤における被災状況の一例を図9に示す。図9は、消波ブロックがケーソンへ衝突する様子を示す模式図である。
【0003】
一般的な消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤は、海底に敷設したマウンド20の上に防波堤本体10を構築し、防波堤本体10の波が衝突する側(例えば外洋側)に消波ブロック50を積み上げた構造となっている。この防波堤本体10は、海底に敷設したマウンド20の上にケーソン13を設置すると共に、ケーソン13の内部に砂等の中詰材14を充填し、ケーソン13の上部に蓋コンクリート12と上部コンクリート11を打設して構築されている(図2参照)。
【0004】
このようなケーソン式防波堤では、台風等の影響で高波浪が発生すると、図9に示すように、波浪のエネルギーにより消波ブロック50が移動して防波堤本体10に衝突し、ケーソン壁15に穴があくおそれがある。そして、ケーソン壁15に穴があくと、ケーソン13内に充填した中詰材(図示せず)が流出してケーソン13の重量を減少させるため、防波堤滑動に対する安定性を低下させてしまう。
【0005】
既設のケーソン13の耐衝撃性を向上させるための方法として、以下に説明する2つの方法が考えられる。図10は、従来の耐衝撃補強方法の第1の例を示す模式図、図11は、従来の耐衝撃補強方法の第2の例を示す模式図である。
【0006】
第1の耐衝撃補強方法は、図10に示すように、ケーソン壁15の外側に設置された消波ブロック50を一時的に撤去し、ケーソン壁15のコンクリート厚さが増すようにコンクリートを打ち足したり、あるいはケーソン壁15の前面に緩衝材や鋼板を取り付けたりして補強壁200を形成するものである。
【0007】
第2の耐衝撃補強方法は、図11に示すように、ケーソン13の上部に打設した上部コンクリート11を一時的に撤去すると共に中詰材14を抜き取り、中詰材14をコンクリート220に置き換えたり、あるいはケーソン壁15の内面に鉄板210を取り付けたりするものである。
【0008】
また、従来、一般的な鉄筋コンクリート構造物に対するせん断補強方法が種々提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載された技術は、補強すべき鉄筋コンクリート構造物の所定箇所に所定深さの孔を穿孔し、当該孔内に棒状の補強部材を装入した後に、自己硬化型充填材を充填するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−275927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上述した従来の方法では種々の不都合が生じるおそれがある。すなわち、従来の耐衝撃補強方法の第1の例では、消波ブロック50の撤去作業が必要であり、コストが上昇する。また、消波ブロック50が撤去されている期間は、防波堤が波浪に対して不安定な状態となる。さらに、消波ブロック50は、長期間の波浪による沈下や消波ブロック50同士の噛み合いによって安定した状態となるが、消波ブロック50を再度設置し直すことにより、せっかく安定した状態となっていた消波ブロック50が初期の不安定な状態に戻ってしまう。
【0011】
また、従来の耐衝撃補強方法の第2の例では、上部コンクリート11及び蓋コンクリート12の撤去工事と、中詰材14の抜き取り工事が必要であり、コストが上昇する。また、上部コンクリート11が撤去されると共に中詰材14が抜き取られている期間は、防波堤が波浪に対して不安定な状態となる。
【0012】
なお、特許文献1に記載された技術は、鉄筋コンクリート基礎のような構造物において、既設構造がせん断破壊に対して十分な安全を確保できない場合に、鉄筋量を増加することによって、せん断耐力のみを向上させるものである。したがって、本発明のように、壁状の鉄筋コンクリート構造物において、曲げ変形を抑制すると共に押し抜きせん断破壊に対する耐力を向上させることはできない。また、特許文献1に記載された技術の対象となる基礎コンクリート内部には、通常、柱部材の鉄筋が定着されていたり、あるいは新設時に設置されたせん断補強鉄筋が存在したりするため、横方向から補強部材を挿入することは現実的ではない。さらに、自己硬化型充填材を流し込むことを考えると、対象構造物を横方向に補強することは考えられない。
【0013】
また、一般的な壁構造物の上部には、鉄筋コンクリートの上部構造が存在し、あるいは壁自体の鉄筋にせん断補強鉄筋が配置されており、補強工事を行うことは困難である。また、水路や半地下の道路のような構造物の壁部では、上部コンクリートが存在しない場合もあるが、このような構造物ではそもそも耐衝撃補強の必要がない。一方、ケーソン壁は、その上部に上部コンクリートが存在するが、通常は無筋コンクリートが使用されるため、穿孔に対する制約がない。さらに、ケーソン壁には、せん断補強鉄筋が配置されていないのが一般的であり、ケーソン壁内に補強部材を挿入することが可能である。
【0014】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、ケーソン壁の前面に配置された消波ブロックの撤去や、上部コンクリートの撤去作業及び中詰材の抜き取り作業が必要ではなく、低コストで消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤や護岸に対して耐衝撃補強を行うことが可能な既設ケーソンの耐衝撃補強方法及び耐衝撃補強構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の既設ケーソンの耐衝撃補強方法及び耐衝撃補強構造は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。
すなわち、本発明の既設ケーソンの耐衝撃補強方法は、消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤及び護岸に対して耐衝撃補強を行うための方法であって、既設ケーソンの外側面を構成する鉄筋コンクリート壁(ケーソン壁)の上方から、当該鉄筋コンクリート壁(ケーソン壁)の内部下方へ向かって補強部材挿入孔を穿孔する工程と、補強部材挿入孔内に、曲げ変形を抑制すると共に押し抜きせん断破壊に対する耐力を向上させるための補強部材を挿入する工程と、補強部材挿入孔内に充填材を充填する工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0016】
また、補強部材挿入孔を穿孔した後に、当該補強部材挿入孔の内壁面に目粗し処理を施す工程を含むことが好ましい。
【0017】
本発明の既設ケーソンの耐衝撃補強構造は、消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤及び護岸に対する耐衝撃補強構造であって、既設ケーソンの外側面を構成する鉄筋コンクリート壁(ケーソン壁)の上方から、当該鉄筋コンクリート壁(ケーソン壁)の内部下方へ向かって穿孔された補強部材挿入孔と、補強部材挿入孔内に挿入して、曲げ変形を抑制すると共に押し抜きせん断破壊に対する耐力を向上させるための補強部材と、補強部材挿入孔内に充填された充填材と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の既設ケーソンの耐衝撃補強方法及び耐衝撃補強構造によれば、消波ブロックの移動や中詰材の抜き取り等を行うことなく、既設ケーソンの外側面を構成する鉄筋コンクリート壁(ケーソン壁)の上方から、当該鉄筋コンクリート壁(ケーソン壁)の内部下方へ向かって補強部材挿入孔を穿孔し、この補強部材挿入孔内に補強部材を挿入すると共に、充填材を充填することにより、低コストで、曲げ変形を抑制すると共に押し抜きせん断破壊に対する耐力を向上させることができる。さらに、消波ブロックを移動させないので、消波ブロックの安定状態を乱すことがなく、防波堤や護岸が波浪に対して安定な状態のままで耐衝撃補強工事を行うことができる。
【0019】
また、補強部材挿入孔内に目粗し処理を施すことにより、補強部材の付着力がより一層強固なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る既設ケーソンの耐衝撃補強方法の手順を示す模式図。
【図2】本発明の実施形態に係る既設ケーソンの耐衝撃補強方法及び耐衝撃補強構造を適用する消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤の模式図。
【図3】ケーソン壁の構造の一部を示す模式図。
【図4】既設ケーソンの耐衝撃補強構造の具体例を示す横断面模式図(施工前)。
【図5】既設ケーソンの耐衝撃補強構造の具体例を示す横断面模式図(第1の実施形態)。
【図6】既設ケーソンの耐衝撃補強構造の具体例を示す横断面模式図(第2の実施形態)。
【図7】既設ケーソンの耐衝撃補強構造の具体例を示す横断面模式図(第3の実施形態)。
【図8】既設ケーソンの耐衝撃補強構造の具体例を示す横断面模式図(第4の実施形態)。
【図9】消波ブロックがケーソンへ衝突する様子を示す模式図。
【図10】従来の耐衝撃補強方法の第1の例を示す模式図。
【図11】従来の耐衝撃補強方法の第2の例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<耐衝撃補強方法及び耐衝撃補強構造の概要>
以下、図面を参照して、本発明に係る既設ケーソンの耐衝撃補強方法及び耐衝撃補強構造の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る既設ケーソンの耐衝撃補強方法の手順を示す模式図である。また、図2は、本発明の実施形態に係る既設ケーソンの耐衝撃補強方法及び耐衝撃補強構造を適用する消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤の模式図、図3は、ケーソン壁の構造の一部を示す模式図である。なお、図3(a)はケーソン壁の横断面模式図、図3(b)はケーソン壁の縦断面模式図、図3(c)はケーソン壁の側断面模式図をそれぞれ示す。
【0022】
本発明の実施形態に係る既設ケーソンの耐衝撃補強方法及び耐衝撃補強構造は、消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤や護岸に対して耐衝撃補強を行うためのものであり、特に、曲げ変形を抑制すると共に押し抜きせん断破壊に対する耐力を向上させることができるようになっている。なお、以下の実施形態では、ケーソン式防波堤について説明するが、本発明は消波ブロック被覆式のケーソン式護岸に適用できるのは勿論である。
【0023】
<消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤>
本発明の実施形態に係る既設ケーソンの耐衝撃補強方法及び耐衝撃補強構造を適用する消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤は、図2に示すように、海底に敷設したマウンド20の上に防波堤本体10を構築し、防波堤本体10の波が衝突する側(例えば外洋側)に消波ブロック50を積み上げた構造となっている。この防波堤本体10は、海底に敷設したマウンド20の上に被覆石30を敷設し、この被覆石30上にケーソン13を設置すると共に、ケーソン13の内部に砂等の中詰材14を充填し、ケーソン13の上部に蓋コンクリート12と上部コンクリート11を打設して構築される。また、ケーソン13の下端部側面には、根固ブロック40が設置されている。ケーソン13は、鉄筋コンクリート製のケーソン壁15を外殻体として、この外殻体の内部に中詰材14が充填されている。
【0024】
<耐衝撃補強方法の手順>
ここで、前面側のケーソン壁15の構造は、2つの隔壁の間を考えると、鉛直方向に長い面部材と考えることができる。そして、破壊モードとしては、短辺方向の曲げ破壊、長辺方向の曲げ破壊、押し抜きせん断破壊の3つを想定することができる。これらの破壊モードの中で、消波ブロック50におけるケーソン壁15の穴あきは、特に、押し抜きせん断破壊が大きな影響を与えていると考えることができる。そこで、本発明の実施形態に係る既設ケーソンの耐衝撃補強方法では、図3に示すように、曲げ変形を抑制すると共に押し抜きせん断破壊に対する耐力を向上させることを目的として、ケーソン壁15において、鉄筋で囲まれた内部に補強部材を埋め込んでいる。
【0025】
すなわち、ケーソン壁15の内部には、図3(a)〜(c)に示すように、消波ブロック50に対向する前面側と、消波ブロック50とは他側となる背面側に鉄筋60が配筋されている。なお、鉄筋60は、主鉄筋と、主鉄筋と略直交する配力筋とからなる。このような構造からなるケーソン壁15は、前面側に配筋された鉄筋60と背面側に配筋された鉄筋60との間に、鉄筋60が配筋されていない領域が存在し、この領域に補強部材を埋め込むことにより、曲げ変形を抑制すると共に押し抜きせん断破壊に対する耐力を向上させることができる。
【0026】
本実施形態に係る既設ケーソンの耐衝撃補強方法は、図1において(a)〜(f)に示す手順で行われる。耐衝撃補強を実施する前のケーソン13に対して、波浪のエネルギーにより消波ブロック50が移動して防波堤本体10に衝突すると、ケーソン壁15に穴があくおそれがある(図1(a)参照)。そこで、まず、コンクリートコアカッターやクローラドリル等の穿孔装置70を用いて、上部コンクリート11の上方からケーソン壁15の内部下方へ向かって補強部材挿入孔80を穿孔する(図1(b))。続いて、ロッド90の先端に目粗しビット(図示せず)を取り付けて、ロッド90を回転させることにより、補強部材挿入孔80の内面に目粗し処理を施す(図1(c))。なお、補強部材挿入孔80の内部に挿入する補強部材100の形状及び性状によっては、目粗し処理を省略することができる。
【0027】
そして、補強部材挿入孔80の上部から、補強部材挿入孔80の補強部材埋込領域(図3参照)に補強部材100を挿入する(図1(d))。続いて、補強部材挿入孔80の上部に充填ノズル110を挿入し(図1(e))、補強部材挿入孔80の空隙部に充填材120を充填する(図1(f))。なお、充填材120は自己硬化型のものを用いることが好ましく、例えば無収縮モルタルが用いられる。
【0028】
<耐衝撃補強構造>
次に、本発明の実施形態に係る既設ケーソンの耐衝撃補強構造の具体的構成について説明する。図4〜図8は、既設ケーソンの耐衝撃補強構造の具体例を示す横断面模式図である。なお、図4〜図8は、消波ブロック側に位置するケーソン壁を示すものである。
【0029】
本発明の実施形態に係る既設ケーソンの耐衝撃補強構造は、上述した手順により構築されるが、使用する補強部材100に合わせて穿孔の直径や深さ、位置等が異なっている。以下、使用する補強部材100毎に、本発明の実施形態に係る既設ケーソンの耐衝撃補強構造を説明する。
【0030】
図4は、耐衝撃補強を行う前のケーソン壁の横断面模式図である。耐衝撃補強を行う前のケーソン壁15の内部には、図4に示すように、対向する両壁面側に鉄筋60が配筋されている。図4に示す例では、ケーソン壁15の長手方向及び縦方向に複数の鉄筋60が配筋されている。
【0031】
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係る耐衝撃補強構造は、補強部材として略鉛直方向に複数の鉄筋130aを配筋したものである。すなわち、第1の実施形態に係る耐衝撃補強構造では、図5に示すように、所定間隔でケーソン壁15の上部から下方へ向かって補強部材挿入孔80を穿孔し、各補強部材挿入孔80内にそれぞれ鉄筋130aを挿入し、補強部材挿入孔80の空隙部に充填材(図示せず)を充填する。
【0032】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る耐衝撃補強構造は、補強部材として略鉛直方向に複数のH型鋼130bを挿入したものである。すなわち、第2の実施形態に係る耐衝撃補強構造では、図6に示すように、所定間隔でケーソン壁15の上部から下方へ向かって補強部材挿入孔80を穿孔し、各補強部材挿入孔80内にそれぞれH型鋼130bを挿入し、補強部材挿入孔80の空隙部に充填材(図示せず)を充填する。なお、定着力を高めるために、フランジ外面やウェブ両面に複数の突起を有する突起付H型鋼を用いることが好ましい。また、H型鋼130bだけではなく、等辺山形鋼や溝形鋼等の各種形鋼を補強部材として使用してもよい。
【0033】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る耐衝撃補強構造は、補強部材として略鉛直方向及び略水平方向に配筋した網目状の鉄筋130cを複数配筋したものである。すなわち、第3の実施形態に係る耐衝撃補強構造では、図7に示すように、所定間隔でケーソン壁15の上部から下方へ向かって補強部材挿入孔80を穿孔する。この際、隣り合う補強部材挿入孔80が互いに重複するようにして、全体として横一連の補強部材挿入孔80を形成する。そして、直交する2方向に鉄筋60を配筋した網目状の鉄筋130cを補強部材挿入孔80内へ挿入し、補強部材挿入孔80の空隙部に充填材(図示せず)を充填する。
【0034】
<第4の実施形態>
第4の実施形態に係る耐衝撃補強構造は、補強部材として繊維補強シート130dを挿入したものである。すなわち、第4の実施形態に係る耐衝撃補強構造では、図8に示すように、所定間隔でケーソン壁15の上部から下方へ向かって補強部材挿入孔80を穿孔する。この際、隣り合う補強部材挿入孔80が互いに重複するようにして、全体として横一連となる補強部材挿入孔80を形成する。そして、補強部材挿入孔80内に繊維補強シート130dを挿入し、補強部材挿入孔80の空隙部に充填材(図示せず)を充填する。なお、繊維補強シート130dとしては、炭素繊維シート、アラミド繊維シート等を使用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 防波堤本体
11 上部コンクリート
12 蓋コンクリート
13 ケーソン
14 中詰材
15 ケーソン壁
20 マウンド
30 被覆石
40 根固ブロック
50 消波ブロック
60 鉄筋
70 穿孔装置
80 補強部材挿入孔
90 ロッド
100 補強部材
110 充填ノズル
120 充填材
130a 鉄筋
130b H型鋼
130c 網目状の鉄筋
130d 繊維補強シート
200 補強壁
210 鉄板
220 コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤及び護岸に対して耐衝撃補強を行うための方法であって、
既設ケーソンの外側面を構成する鉄筋コンクリート壁の上方から、当該鉄筋コンクリート壁の内部下方へ向かって補強部材挿入孔を穿孔する工程と、
前記補強部材挿入孔内に、曲げ変形を抑制すると共に押し抜きせん断破壊に対する耐力を向上させるための補強部材を挿入する工程と、
前記補強部材挿入孔内に充填材を充填する工程と、
を含むことを特徴とする既設ケーソンの耐衝撃補強方法。
【請求項2】
前記補強部材挿入孔の内壁面に目粗し処理を施す工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の既設ケーソンの耐衝撃補強方法。
【請求項3】
消波ブロック被覆式のケーソン式防波堤及び護岸に対する耐衝撃補強構造であって、
既設ケーソンの外側面を構成する鉄筋コンクリート壁の上方から、当該鉄筋コンクリート壁の内部下方へ向かって穿孔された補強部材挿入孔と、
前記補強部材挿入孔内に挿入して、曲げ変形を抑制すると共に押し抜きせん断破壊に対する耐力を向上させるための補強部材と、
前記補強部材挿入孔内に充填された充填材と、
を備えたことを特徴とする既設ケーソンの耐衝撃補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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