説明

既設管路の二次覆工コンクリート破砕機

【課題】 老朽化した下水管等の既設管路の補修又は解体に際して、この既設管路の二次覆工コンクリートを能率よく破砕、除去することができる破砕機を提供する。
【解決手段】 筒状胴体1の前端に、老朽化した既設管路Pの二次覆工コンクリートP2を破砕する複数個のローラカッタ3を設けたカッタヘッド2を回転自在に配設し、このカッタヘッド2の外周部に破砕したガラを機内に取り込んでカッタヘッド2の背面の掻き上げ板8側に送り込むガラ取込口5を設けると共にカッタヘッド2の面板前面にガラ掬い取り部材9を前方に向かって突設してあり、ローラカッタ3によって破砕したガラをこのガラ掬い取り部材9と上記掻き上げ板8により掻き上げてカッタヘッド2の中央開口部4に配設しているガラ受け入れホッパ7内に投下させ、ベルトコンベア10によって既設管路P内を通じて排出するように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長年の使用によって老朽化した下水管等の既設管路、特に、一次覆工セグメントの内周面に二次覆工コンクリートを設けてなる既設管路の改修或いは解体する際に、この既設管路における二次覆工コンクリートの破砕機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
老朽化した既設管路の二次覆工コンクリートを破砕、除去する装置としては、例えば、特許文献1に記載されているように、既設管路(トンネル)の長さ方向に長いビームからなる装置基台を、既設管路の管軸位置においてトンネル長さ方向に移動自在に配設すると共に、この装置基台の長さ方向の中央部に、先端にローラカッタを回転自在に軸支した複数のローラカッタ支持台を既設管路の半径方向に伸縮自在に設けてなる回転ヘッドを配設し、さらに、各ローラカッタに隣接してローラカッタによって破砕したガラの掻き上げ板を回転ヘッドの回転方向に向けて固設していると共にこのガラ掻き上げ板によって上方位置まで掻き上げられた大径のガラを受け入れるガラ受けホッパを配設し、このガラ受けホッパの下端開口部から排出されるガラを受け取って後方に搬送するコンベアを設置し、又、ローラカッタによる二次覆工コンクリートの破砕時に発生する粉塵やローラカッタによって破砕された二次覆工コンクリートの掘削面の内底面に堆積するガラや粉塵を吸引、回収するバキュームホースを備えた装置が開発されている。
【0003】
このように構成した既設管路の二次覆工コンクリートの破砕装置は、ビームからなる装置基台を既設管路内における二次覆工コンクリート破砕位置に固定し、回転ヘッドを回転させながらローラカッタ支持台を径方向に伸長させることにより、ローラカッタを二次覆工コンクリートの内面に押し付けて二次覆工コンクリートを厚み方向に一次覆工セグメントに達するまで破砕し、破砕したガラを回転ヘッドの回転に伴って掻き上げ板により掻き上げることにより上方位置まで移送した後、ガラ受けホッパ内に自然落下させてガラ受けホッパの下端開口部に搬送始端部を臨ませているコンベアによって後方に搬出すると共に、ローラカッタによって破砕された二次覆工コンクリートの掘削面の内底面に堆積するガラや粉塵をバキュームホースによって吸引、除去している。
【0004】
こうして、ローラカッタによって二次覆工コンクリートがローラカッタの厚みに相当する一定の長さ部分だけ破砕されると、ローラカッタ支持台を収縮させてローラカッタを後退させたのち、ビームからなる装置基台を次の破砕位置まで移動させてその位置で停止させ、再び上記同様にしてローラカッタ支持台を伸長させてローラカッタによる二次覆工コンクリートの所定長さ部分の破砕、除去を行い、この作業を既設管路の長さ方向に繰り返し行うことによって二次覆工コンクリートの解体を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−115788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような既設管路における二次覆工コンクリートの破砕装置によれば、ビームからなる装置基台にこの装置基台回りを回転する回転ヘッドを設け、この回転ヘッドに、先端にローラカッタを備えた複数の支持台を周方向に間隔を存して一体に設け、この支持台を径方向に伸長させることによりローラカッタを二次覆工コンクリートの内面に押し付けてこの二次覆工コンクリートを厚み方向に破砕するように構成しているので、二次覆工コンクリートがローラカッタの肉厚に相当する長さだけローラカッタによって破砕される毎に装置基台の移動と停止とを繰り返し行わなければならないため、二次覆工コンクリートの破砕能率が低下して解体に長期間を要することになる。
【0007】
さらに、ローラカッタによって破砕されたガラはローラカッタ手前の次に破砕すべき二次覆工コンクリート部分の内底面に堆積するが、このガラを、ローラカッタに隣接してガラ掻き上げ面を回転ヘッドの回転方向に向けている上記掻き上げ板では掻き取ることができず、この堆積したガラが二次覆工コンクリートの破砕作業に支障を及ぼす虞れがある。その上、改修、或いは解体すべき老朽化した既設管路が下水等の排水管路として使用されていない場合には、この二次覆工コンクリート破砕装置を既設管路内に設置して該既設管路の二次覆工コンクリートの破砕作業を行うことができるが、既設管路が老朽化していても、未だ下水等が流れている使用中の既設管路の場合には、小径ホース等からなる仮の既設管路をこの破砕装置を貫通させるようにして既設管路内に設置することが困難な構造となっているため、この老朽化した既設管路の補修、特に、長期間の作業を必要とする新設管路との更新工事が行えなくなるといった問題点があった。
【0008】
また、ローラカッタによって破砕したガラをコンベアによって後方に搬出するように構成しているが、二次覆工コンクリートの破砕装置の後方側に一次覆工セグメントの解体撤去装置等が設けられているため、老朽化した既設管路を新たな新設管路に更新するような場合には上記コンベアの配設が困難になるといった問題点が生じることになる。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、老朽化した下水管等の既設管路における二次覆工コンクリートの破砕作業が能率よく行えると共に、破砕したガラ等の排除が円滑且つ確実に行え、さらに、老朽化した既設管路の補修又は解体時においては、小径のホース等からなるバイパス管の配設を可能にして下水等の流れを停止させることなく二次覆工コンクリートの破砕除去作業が行える既設管路の二次覆工コンクリート破砕機を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の既設管路の二次覆工コンクリート破砕機は、請求項1に記載したように、筒状胴体の前端開口部に、外周部の複数箇所に筒状胴体の前進に従って既設管路の二次覆工コンクリートを既設管路の長さ方向に破砕するローラカッタを設け且つ中央部に前後方向に開口した開口部を設けたカッタヘッドを回転自在に配設してあり、このカッタヘッドにおける隣接するローラカッタ間にスクレーパを介してガラを機内に取り込むガラ取込み口を設けると共に上記中央開口部に上方に向かって開口したガラ受け入れホッパをその後半部を機内に、前半部をカッタヘッドから前方に向かって突出させた状態にして配設してあり、さらに、カッタヘッドの外周後面にガラ掻き上げ板を周方向に所定間隔毎に突設すると共にカッタヘッドの外周前面にガラ掬い取り部材を周方向に所定間隔毎に設けてこれらのガラ掻き上げとガラ掬い取り部材とによって、上記ローラカッタにより破砕されたガラをカッタヘッドの回転に伴って掻き上げて上記ガラ受け入れホッパに投入させ、このホッパからコンベアを通じて搬出させるように構成している。
【0011】
このように構成した既設管路の二次覆工コンクリート破砕機において、請求項2に係る発明は、上記カッタヘッドの面板外周部を外周端に向かうに従って後方に凸円弧状に湾曲した湾曲壁部に形成してあり、この湾曲壁部にローラカッタをその刃先を前方に向かって斜め上方に傾斜させた状態にして回転自在に設けていると共に後方に向かって湾曲している上記湾曲壁面の後端面に円環状の背面板の外周端部を固着してこの背面板の前面と湾曲壁部の後面との間に掻き上げ板によって仕切られ、且つ、ガラ受け入れホッパに向かって開口した複数のガラ収容部を設けていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、上記ガラ掬い取り部材を、ローラカッタを挟むようにしてカッタヘッドの面板外周湾曲壁部の前面に前方に向かって突設している側面矩形状の突片と、二次覆工コンクリートの内周面に沿うようにこの突片の外側端面に固着している掬い取り片と、突片の前端面に固着したガラ漏れ規制片とからなることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項4に係る発明は、上記カッタヘッドの中央開口部にバイパス管を挿通させると共に、筒状胴体内にこのバイパス管が配設可能な空間部を設けていることを特徴とし、請求項5に係る発明は、上記筒状胴体の前端部内に、カッタヘッドの背面外周部に向かって開口した散水管を配設していることを特徴とする。なお、請求項6に記載したように、筒状胴体は互いにスライドジャッキによって長さ方向に伸縮可能に連結した前胴と後胴とからなり、前胴に前側グリッパを、後胴に後側グリッパを配設してなる構造を有している。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、筒状胴体の前端開口部に、外周部の複数箇所に筒状胴体の前進に従って既設管路の二次覆工コンクリートを破砕するローラカッタを設けたカッタヘッドを回転自在に配設しているので、このカッタヘッドを回転させながら筒状胴体を二次覆工コンクリートの破砕除去跡の一次覆工セグメントの内周壁面に沿って前進させることにより、二次覆工コンクリートの後端面にローラカッタを押し付けながらこのローラカッタにより二次覆工コンクリートを既設管路の長さ方向に連続的に能率よく破砕することができ、さらに、上記カッタヘッドの中央部を開口させているので、老朽化した既設管路の二次覆工コンクリートを破砕除去する場合には、この開口部を通じて小径のホース等よりなるバイパス管を配設してこのバイパス管を通じて下水等を流通させることができ、従って、使用中の下水管等の既設管路であっても該既設管路の補修や解体工事を円滑に行うことができる。
【0015】
また、カッタヘッドにおける上記隣接するローラカッタ間にスクレーパを介してガラを機内に取り込むガラ取込み口を設けると共にカッタヘッドの外周後面にガラ掻き上げ板を周方向に所定間隔毎に突設し、さらに、カッタヘッドの上記中央開口部に上方に向かって開口したガラ受け入れホッパをその後半部を機内に、前半部をカッタヘッドから前方に向かって突出させた状態にして配設しているので、ローラカッタによって破砕された二次覆工コンクリートのガラをスクレーパによって効率よくガラ取込み口に掻き寄せてカッタヘッドの背面側機内に取り込むことができると共に取り込んだガラをガラ掻き上げ板によって掻き上げてガラ受け入れホッパの後半部内に投下し、このホッパからコンベアを通じて搬出させることができる。
【0016】
さらに、上記カッタヘッドの前面側においてもその外周部にガラ掬い取り部材を周方向に所定間隔毎に設けているので、ローラカッタによって破砕されたガラが上記ガラ取込み口内に取り込まれることなくカッタヘッドの前面側の二次覆工コンクリートの内底面上に落下したガラをこのガラ掬い取り部材によって掬い取りながらカッタヘッドの回転に伴って掻き上げてカッタヘッドの中央開口部から前方に突出しているガラ受け入れホッパの前半部内に投入し、上記スクレーパによって掻き込まれて掻き上げ板によりガラ受け入れホッパの前半部内に投入されたガラと共に上記コンベアを通じて搬出することができ、従って、ローラカッタによって掘削されるガラを効率よく排除しながら筒状胴体を前進させて二次覆工コンクリートを破砕していくことができ、工期の短縮を図ることができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、上記カッタヘッドの面板外周部を外周端に行くに従って後方に凸円弧状に湾曲した湾曲壁部に形成してあり、この湾曲壁部にローラカッタをその刃先を前方に向かって斜め上方に傾斜させた状態にして回転自在に設けているので、ローラカッタの切削刃を破砕すべき既設管路における二次覆工コンクリートの後端面に押し付けてカッタヘッドを回転させながら筒状胴体を推進させることにより、二次覆工コンクリートを既設管路の長さ方向に該ローラカッタによって確実且つ円滑に破砕していくことができると共に、後方に向かって湾曲している上記湾曲壁面の後端面に円環状の背面板の外周端部を固着してこの背面板の前面と湾曲壁部の後面との間に掻き上げ板によって仕切られ、且つ、ガラ受け入れホッパに向かって開口した複数のガラ収容部を形成しているので、ローラカッタによって破砕されてスクレーパによりガラ取込み口を通じて機内に取り込まれたガラをガラ収容部内に収容し、外部に漏出させることなくカッタヘッドの回転に伴って上方位置まで移送して上記ガラ受け入れホッパの後半部内に円滑且つ確実に投入させることができる。
【0018】
また、請求項3に係る発明によれば、上記ガラ掬い取り部材を、ローラカッタを挟むようにしてカッタヘッドの面板外周湾曲壁部の前面に前方に向かって突設している側面矩形状の突片と、この突片における二次覆工コンクリートの内周面に沿う外側端面に固着した掬い取り片と、突片の前端面に固着したガラ漏れ規制片とから構成しているので、ローラカッタによって破砕されてカッタヘッドの前面側の二次覆工コンクリートの内底面上に落下するガラをこのガラ掬い取り部材の掬い取り片によってカッタヘッドの回転に伴い掬い取ることができ、掬い取ったガラをガラ漏れ規制片によって外部に漏出するのを確実に防止しながら突片によって上方位置まで移送して上記ガラ受け入れホッパの前半部内に確実に投入させることができ、従って、カッタヘッドの前方側にガラを堆積させることがなく、筒状胴体を推進させながらカッタヘッドによる二次覆工コンクリートの破砕作業が能率良く行うことができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、上記カッタヘッドの中央開口部にバイパス管を挿通させると共に、筒状胴体内にこのバイパス管が配管可能な空間部を設けているので、上述したように、下水等の流れを停止させることなくこのバイパス管により下水等を流通させながら老朽化した既設管路の補修や解体作業行うことができる。また、請求項5に係る発明によれば、上記筒状胴体の前端部内にカッタヘッドの背面外周部における上方部側に向かって開口した散水管を配設しているので、二次覆工コンクリートをローラカッタによって破砕した際に発生する粉塵をこの散水管からの放射水によって湿潤させて粉塵が拡散するのを防止しながらガラと共に排除することができる。
【0020】
また、上記筒状胴体は、互いにスライドジャッキによって長さ方向に伸縮可能な前胴と後胴とからなり、前胴に前側グリッパを、後胴に後側グリッパを配設してなる構造としているので、既に除去された二次覆工コンクリートの除去跡の既設管路における一次覆工セグメントの内周壁面上に後側のグリッパを圧着させる一方、前側のグリッパを収縮させた状態にしてスライドジャッキを伸長させることにより、後胴に対して前胴を前進させてカッタヘッドのローラカッタを二次覆工コンクリートの後端面に押し付けながら二次覆工コンクリートをスライドジャッキの伸長量に応じて破砕することができ、次いで、前側のグリッパを伸長させて既に除去された二次覆工コンクリートの除去跡に露出している既設管路内周壁面に圧着させると共に後側グリッパを収縮させて後胴の支持を解き、この状態にスライドジャッキを収縮させることにより、後胴を次の破砕作業位置まで前進させることができ、二次覆工コンクリートの破砕作業を効率よく行うことができる。
【0021】
なお、二次覆工コンクリートはローラカッタによって一次覆工セグメントの内周面が露出するまで破砕除去すると、一次覆工セグメントの接合部等の隙間を通じて地下水が既設管路内に浸入する虞れがあるので、その外周部が薄く残存するように破砕し、この残存した二次覆工コンクリートの薄層を上記グリッパが圧着する内周壁面としている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明既設管路の二次覆工コンクリート破砕機の簡略正面図。
【図2】そのA−A線における簡略縦断側面図。
【図3】図2におけるBーB線簡略背面図。
【図4】カッタヘッドの外周部における一部の簡略斜視図。
【図5】カッタヘッドから突設しているガラ掬い取り部材の横断面図。
【図6】破砕作業を行っている状態の簡略縦断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1〜図3において、一次覆工セグメントP1の内周面に二次覆工コンクリートP2を層着してなる老朽化した下水管等の既設管路Pを補修或いは解体する際に、この既設管路Pの上記二次覆工コンクリートP2の破砕機であって、外径を上記二次覆工コンクリートP2の内径よりも僅かに小径に形成している一定長さの鋼製の筒状胴体1を本体とし、この筒状胴体1の前端開口部にカッタヘッド2を回転自在に配設、支持してあり、筒状胴体1の前端から突出しているこのカッタヘッド2の面板外周部に設けた複数個のローラカッタ3によって上記二次覆工コンクリートP2を破砕し、破砕したガラを既設管路P内を通じて到達側に搬出するように構成している。
【0024】
上記カッタヘッド2はその面板中央部に前後方向に貫通した円形の開口部4を設けていると共に、面板の外周部をこの中央開口部4の周縁から外周端に行くに従って後方に向かって凸円弧状に湾曲した湾曲壁面2aに形成してあり、この湾曲壁面2aの後端部の外径を上記筒状胴体1の外径に等しい径に形成してその後端面を筒状胴体1の前端面に突き合わせ状に対向させていると共に、湾曲壁面2aの外周部複数箇所(図においては6箇所)にローラカッタ3の装着するための透孔2bを周方向に一定間隔毎に設けてこの透孔2b内にローラカッタ3をその円形破砕刃の刃先を前方に向かって斜め上方に傾斜させた状態に配設し、その回転中心軸を湾曲壁面2aの湾曲方向に向けた状態にしてこの湾曲壁面2aに回転自在に支持されている。
【0025】
さらに、このカッタヘッド2の湾曲壁面2aにおける隣接するローラカッタ3、3間の壁面部を切除して図1、図2及び図4に示すように、前後方向に開通したガラ取込み口5を穿設していると共に各ガラ取込み口5の両側端、即ち、ローラカッタ3の両側部にローラカッタ3によって破砕された二次覆工コンクリートP2のガラをガラ取込み口5に向かって掻き寄せるスクレーパ6、6を前方に向かって突設してあり、また、カッタヘッド2の上記中央開口部4に、上端が上方に向かって全面的に開口しているガラ受け入れホッパ7を、その後端部を機内、即ち、カッタヘッド2から後方に突出させ、前半部をカッタヘッド2から前方に向かって突出させた状態にして配設している。
【0026】
カッタヘッド2の上記外周湾曲壁面2aにおける後面に後方に向かって掻き上げ板8を周方向に所定間隔毎に突設してこれらの掻き上げ板8により上記湾曲壁面2aの後方部を複数分割していると共に、カッタヘッド2の湾曲壁面2aの前面に各ローラカッタ3を挟むようにしてガラ掬い取り部材9を周方向に所定間隔毎に前方に向かって突設してあり、これらのガラ掻き上げ板8とガラ掬い取り部材9とによって上記ローラカッタ3により破砕されたガラをカッタヘッド2の回転に伴って掻き上げて上記ガラ受け入れホッパ7内に投入し、このガラ受け入れホッパ7の下端開口部からこの開口部の搬送始端部を臨ませているベルトコンベア10によって既設管路P内を通じて前方に搬出させるように構成している。
【0027】
上記掻き上げ板8は、側面扇形状に形成されていてその凸円弧状に湾曲した外端面をカッタヘッド2の上記湾曲壁面2aの後面に当接させた状態で固着してあり、さらに、後方に向かって湾曲している上記湾曲壁面2aの後端面に円環状の背面板11の外周端部を固着すると共にこの背面板11の前面に掻き上げ板8の垂直な後端面を固着し、この背面板11の前面と湾曲壁面2aの後面との間の空間部を上記掻き上げ板8によって仕切って、隣接する掻き上げ板8、8の対向側面間にガラ受け入れホッパ7に向かって、即ち、機内の中心部に向かって開口しているガラ収容部12を形成している。
【0028】
上記ガラ掬い取り部材9は図4、図5に示すように、ローラカッタ3を挟むようにしてカッタヘッド2の上記湾曲壁面2aの前面に前方に向かって突設している側面矩形状の突片9aと、この突片9aにおけるカッタヘッド2の外径方向に向いている外側端面に固着したガラ掬い取り片9bと、突片9cの前端面に固着したガラ漏れ規制片9cとからなり、ガラ掬い取り片9bとガラ漏れ規制片9cとは一定幅を有する長方形状の板材から形成されてその幅方向の中央部を突片9aの外側端面と前端面とにそれぞれ固着した状態で互いに直角に連続していると共に、掬い取り片9bは、ローラカッタ3の円形破砕刃の刃先よりも内方位置において二次覆工コンクリートP2の内周面に沿って平行に設けられている。
【0029】
また、二次覆工コンクリートP2の破砕除去機の本体を形成している上記筒状胴体1は、図2に示すように、前胴1aと後胴1bとに2分割されていて前胴1aの後端部と後胴1bの前端部とを互いに長さ方向に摺動自在に重合していると共に、前胴1aの後端部内周面と後胴1bの前端部内周面との複数箇所をスライドジャッキ13によって連結している。また、これらの前胴1aと後胴1bとに複数個の前側グリッパ14と後側グリッパ15をそれぞれ配設していると共に、前胴1a内にカッタヘッド2の背面外周部、即ち、ローラカッタ3の背面側に向かってそのノズルの開口端を臨ませている散水管16を配設している。
【0030】
さらに、筒状胴体1の前胴1aの前端部内に外周端面を前胴1aの内周面に固着している隔壁1cを設けてあり、この隔壁1cの外周部に上記カッタヘッド2の背面に一体に設けている背面板11から後方に突設したリング部材17を回転自在に支持させている。このリング部材15の後端面にはリング形状の内歯車18を一体に設けてあり、上記隔壁1cの後面に装着している駆動モータ19をの回転軸に固着した小歯車20を上記内歯車18に噛合させて、駆動モータ19を作動させることにより、カッタヘッド2を回転させるように構成している。また、上記隔壁1cの上部には図3に示すように、下水バイパス管となる小径の仮既設管路P'が挿通可能な開口部21を設けていると共に、隔壁1cの中央下部における前面に上記ガラ受け入れホッパ7の後端面を固着、支持させている。
【0031】
このように構成した既設管路覆工コンクリート破砕機によって、老朽化した既設管路Pの二次覆工コンクリートP2を破砕、除去するには、図2、図6に示すように、筒状胴体1を既にこの破砕機によって破砕除去された二次覆工コンクリート跡の一次覆工セグメントP1からなる既設管路P内に設置していると共に、作業中に下水を流通させる小径ホースからなるバイパス管P'をカッタヘッド2の中央開口部4から隔壁1cの開口部21に挿通して機内を貫通した状態で既設管路P内に配管してあり、さらに、カッタヘッド2のローラカッタ3を既に切削した二次覆工コンクリートP2の切削後端面に当接させていると共に筒状胴体1の後胴1bをスライドジャッキ13によって前胴1a側に引き寄せて後側グリッパ15を二次覆工コンクリートP2の破砕、除去跡の上記既設管路Pの内周壁面、即ち、二次覆工コンクリートの薄層が残存している一次覆工セグメントP1の内周面に圧着させ、且つ、前側グリッパ14をこの一次覆工セグメントP1の内周壁面から離間させた状態から、駆動モータ19によってカッタヘッド2を回転させると共にスライドジャッキ13を伸長させる。
【0032】
このスライドジャッキ13の伸長によって前胴1aが後胴1bを支点として前進し、ローラカッタ3によって二次覆工コンクリートP2がその後端面から前方に向かってスライドジャッキ13の伸長長さに応じて徐々に破砕される。ローラカッタ3の円形破砕刃の刃先は、既設管路Pの一次覆工セグメントP1の内周面に接することなくこの内周面から僅かに内径方向に位置しており、従って、二次覆工コンクリートP2の外周部が破砕されることなく薄いコンクリート層として残存し、このコンクリート層によって地下水が既設管路P内に浸入するのを防止しながらローラカッタ3によって二次覆工コンクリートP2を破砕していく。なお、破砕によって発生する粉塵は機内に配設している散水管16からの圧力水の噴射によって飛散するのを防止する。
【0033】
破砕された二次覆工コンクリートのガラや粉粒体(以下、ガラとして説明する)は、カッタヘッド2における隣接するローラカッタ3、3間の湾曲壁面2aに開口しているガラ取込口5内にスクレーパ6によって掻き寄せられながらカッタヘッド2の背面側に取込まれてガラ収容部12内に収容される。この際、ガラ収容部12を形成している背面板11と湾曲壁面2aの後面とによってガラが外部に飛散したり、漏出するのを防止され、ガラ収容部12内に滞留させることができる。
【0034】
一方、カッタヘッド2の前方には既設管路Pの内部空間が存在しているので、上記ローラカッタ3によって破砕されたガラの一部は、スクレーパ6によってガラ取込口5内を通じてカッタヘッド2の背面側に取込まれることなく、湾曲壁面2aの前面を伝うようにして落下し、ローラカッタ3によって次に破砕される二次覆工コンクリートP2の内底面上に堆積しようとするが、この内底面に沿ってカッタヘッド2の湾曲壁面2aから突設しているガラ掬い取り部材9がカッタヘッド2の回転に伴って移行し、内底面に堆積するガラをそのガラ掬い取り片9bによって掬い取り、ガラ漏規制片9cによってガラが前方側に漏出するのを防止されながら突片9a上に滞留した状態で上記ガラ収容部12と共に上方位置まで移行し、外端側から内端側に向かって下向きとなったガラ収容部12の掻き上げ板8とガラ掬い取り部材9の突片9a上を伝ってガラを落下させ、カッタヘッド2の中央開口部4から前後方向に突出しているガラ受け入れホッパ7の前半部内と後半部内にガラを投入する。
【0035】
ガラ受け入れホッパ7内に投入されたガラは、このホッパ7の下端開口部に搬送始端部を臨ませているベルトコンベア10上に移載される。このベルトコンベア10は、破砕機の前方側の未だ二次覆工コンクリートP2が破砕されていない老朽化した既設管路P内に破砕機から前方の所定長さ位置に至るまで配設されていると共に、このベルトコンベア10の搬送終端から破砕機が到達する側に至るまでの既設管路Pの内底面上には、図6に示すように、レール22が敷設されていてこのレール22上にバッテリーロコ23によって牽引されるズリ運搬トロ24を走行させ、ベルトコンベア10の搬送終端からガラをズリ運搬トロ24に搭載して到達側に搬出する。
【0036】
こうして、スライドジャッキ13の伸長量に応じた長さだけ、カッタヘッド2のローラカッタ3によって二次覆工コンクリートP2の後端部が破砕、除去されると、前側グリッパ14を二次覆工コンクリートP2が破砕、除去された既設管路Pの内周壁面、即ち、ローラカッタ3により破砕されることなく残存した二次覆工コンクリートP2の外周薄層を有する一次覆工セグメントP1の内周面に圧着することにより前胴1aを固定する一方、後側グリッパ14を後退させたのちスライドジャッキ13を収縮させることにより後胴1bを前胴1a側に引き寄せてその位置で後側グリッパ15を既設管路Pの上記一次覆工セグメントP1の内周面上に圧着させて後胴1bを固定し、しかるのち、前側グリッパ14を後退させて前胴1aの支持を解き、再び、上記同様にしてカッタヘッド2を回転させると共にスライドジャッキ13を伸長させることにより前胴1aと共にカッタヘッド2を前進させてローラカッタ3により二次覆工コンクリートP2を一定長、破砕する。
【0037】
ベルトコンベア10はカッタヘッド2による二次覆工コンクリートP2の破砕が進行するに従って、前方側に移動すると共に一定長の二次覆工コンクリートP2の破砕、除去が行われる毎に後端側のレール22を順次、撤去していく。なお、老朽化した既設管路Pを新設管路に更新する場合には、まず、該既設管路Pの二次覆工コンクリートP2を上記のように全長に亘って破砕、除去したのち、一次覆工セグメントP1を解体し、この解体に後続して新設既設管路を築造すればよく、既設管路Pを補修する場合には、補修すべき箇所の二次覆工コンクリートP2を所定長、破砕すればよい。
【符号の説明】
【0038】
P 既設管路
P1 一次覆工セグメント
P2 二次覆工コンクリート
P' バイパス管
1 筒状胴体
2 カッタヘッド
3 ローラカッタ
4 中央開口部
5 ガラ取込口
6 スクレーパ
7 ガラ受け入れホッパ
8 掻き上げ板
9 ガラ掬い取り部材
10 コンベア
11 背面板
12 ガラ収容部
13 スライドジャッキ
16 散水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状胴体の前端開口部に、外周部の複数箇所に筒状胴体の前進に従って既設管路の二次覆工コンクリートを既設管路の長さ方向に破砕するローラカッタを設け且つ中央部に前後方向に開口した開口部を設けたカッタヘッドを回転自在に配設してあり、このカッタヘッドにおける隣接するローラカッタ間にスクレーパを介してガラを機内に取り込むガラ取込み口を設けると共に上記中央開口部に上方に向かって開口したガラ受け入れホッパをその後半部を機内に、前半部をカッタヘッドから前方に向かって突出させた状態にして配設してあり、さらに、カッタヘッドの外周後面にガラ掻き上げ板を周方向に所定間隔毎に突設すると共にカッタヘッドの外周前面にガラ掬い取り部材を周方向に所定間隔毎に設けてこれらのガラ掻き上げとガラ掬い取り部材とによって、上記ローラカッタにより破砕されたガラをカッタヘッドの回転に伴って掻き上げて上記ガラ受け入れホッパに投入させ、このホッパからコンベアを通じて搬出させるように構成していることを特徴とする既設管路の二次覆工コンクリート破砕機。
【請求項2】
カッタヘッドの面板外周部を外周端に向かうに従って後方に凸円弧状に湾曲した湾曲壁部に形成してあり、この湾曲壁部にローラカッタをその刃先を前方に向かって斜め上方に傾斜させた状態にして回転自在に設けていると共に後方に向かって湾曲している上記湾曲壁面の後端面に円環状の背面板の外周端部を固着してこの背面板の前面と湾曲壁部の後面との間に掻き上げ板によって仕切られ、且つ、ガラ受け入れホッパに向かって開口した複数のガラ収容部を設けていることを特徴とする請求項1に記載の既設管路の二次覆工コンクリート破砕機。
【請求項3】
ガラ掬い取り部材は、ローラカッタを挟むようにしてカッタヘッドの面板外周湾曲壁部の前面に前方に向かって突設している側面矩形状の突片と、二次覆工コンクリートの内周面に沿うようにこの突片の外側端面に固着している掬い取り片と、突片の前端面に固着したガラ漏れ規制片とからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の既設管路の二次覆工コンクリート破砕機。
【請求項4】
カッタヘッドの中央開口部にバイパス管を挿通させると共に、筒状胴体内にこのバイパス管が配設可能な空間部を設けていることを特徴とする請求項1に記載の既設管路の二次覆工コンクリート破砕機。
【請求項5】
筒状胴体の前端部内に、カッタヘッドの背面外周部に向かって開口した散水管を配設していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の既設管路の二次覆工コンクリート破砕機。
【請求項6】
筒状胴体は互いにスライドジャッキによって長さ方向に伸縮可能に連結した前胴と後胴とからなり、前胴に前側グリッパを、後胴に後側グリッパを配設していることを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の既設管路の二次覆工コンクリート破砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−188803(P2012−188803A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50591(P2011−50591)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【Fターム(参考)】