説明

既設集排水管の補修構造

【課題】地中に埋設してある既設集排水管の管内での鉄バクテリアの繁殖を簡単且つ確実に抑制して、既設集排水管における目詰まりを生じ難くすることができ、既設集排水管のメンテナンスを軽減しながらも、集排水性能を長期に亘って良好に維持することができる既設集排水管の補修構造を提供する。
【解決手段】この既設集排水管の補修構造は、地中に埋設した既設集排水管1の管内に、複数の透水孔10a・・を有し、且つ、少なくとも外周面側に抗菌剤11を設けた補修用有孔管10を挿入して二重構造とし、補修用有孔管10の外周面側の抗菌剤11によって、既設集排水管1と補修用有孔管10との間の隙間Sにおける鉄バクテリアの繁殖を抑制している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地滑り防止、軟弱地盤の改良、水道用、工業用、農業用等のための地下水の集水や地下水の水質調査、擁壁やトンネル等の構造物の地下水圧による崩壊防止等を目的として地中に埋設した既設集排水管の補修構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地滑り防止、軟弱地盤の改良、水道用、工業用、農業用等のための地下水の集水や地下水の水質調査、擁壁やトンネル等の構造物の地下水圧による崩壊防止等のために、複数の透水孔を有する例えば塩化ビニル樹脂製の集排水管を地中に埋設して、地中に浸透した雨水や湧水を管内に集めて排水するといった対策が採られている。
【0003】
ところが、この種の集排水管においては、地中に生息する好気性の鉄バクテリアが繁殖、汚泥化して目詰まりを生じさせることで、集排水性能が損なわれるといった問題があった。なお、鉄バクテリアは、無酸素状態においては繁殖することはないが、地中に集排水管を埋設することで、集排水管の管内に流入する空気中の酸素を用いて地下水中の鉄イオンを酸化させて、そのエネルギーを利用して繁殖し、赤褐色の汚泥を生成するといった性質を有している。
【0004】
そこで、このような既設集排水管における目詰まりを解消するために、既設集排水管の管内に高圧洗浄水を噴射して汚泥を取り除くといった洗浄作業が一般的に行われている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平3−15674号公報
【特許文献2】実公平3−15675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、洗浄作業による汚泥の除去は、一時的なものであって、暫くすると再び鉄バクテリアの繁殖、汚泥化により目詰まりが生じてしまうことから、集排水性能を長期に亘って良好に維持するためには、面倒な洗浄作業を定期的に繰り返し行う必要があり、多大な労力と費用を要するといった不具合があった。
【0007】
一方、近年においては、鉄バクテリアの繁殖を抑えるための抗菌剤が各種提案されている。従って、このような抗菌剤を使用して、洗浄後の既設集排水管の内周面側に抗菌剤を吹き付けたり、塗り付けるといった抗菌処理を施すことも考えられる。しかしながら、地中に埋設してある既設集排水管に対して、抗菌剤を後から安定的に保持させることは困難であって、信頼性に乏しいといった不具合があった。
【0008】
そこで、この発明は、上記の不具合を解消して、地中に埋設してある既設集排水管の管内での鉄バクテリアの繁殖を簡単且つ確実に抑制して、既設集排水管における目詰まりを生じ難くすることができ、既設集排水管のメンテナンスを軽減しながらも、集排水性能を長期に亘って良好に維持することができる既設集排水管の補修構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の既設集排水管の補修構造は、地中に埋設した既設集排水管1の管内に、複数の透水孔10a・・を有し、且つ、少なくとも外周面側に抗菌剤11を設けた例えばポリオレフィン系樹脂製の補修用有孔管10を挿入して二重構造とし、前記補修用有孔管10の外周面側の抗菌剤11によって、前記既設集排水管1と補修用有孔管10との間の隙間Sにおける鉄バクテリアの繁殖を抑制するようにしたことを特徴とする。
【0010】
具体的には、前記補修用有孔管10の外周面側のみ、或いは、外周面側及び内周面側の双方に、前記抗菌剤11を設けるようにしている。また、前記抗菌剤11を、前記補修用有孔管10の少なくとも透水孔10a・・周りに配置させながら部分的に設けるようにしている。
【0011】
さらに、前記補修用有孔管10の開孔率を、前記既設集排水管1の開孔率よりも高くなるようにしている。さらにまた、前記補修用有孔管10を、その内外周面に凹凸部15、16を有する波形状に形成している。
【0012】
また、前記補修用有孔管10は、合成樹脂製の帯状体12を引き伸ばしながら螺旋状に巻回して、その先行する帯状体12と後続する帯状体12の管軸方向に隣接する端縁部同士を接着若しくは熱融着してなり、前記帯状体12には、前記抗菌剤11が一体的に設けてあるとともに、その抗菌剤領域に複数の切込部13・・が形成してあり、前記帯状体12の引き伸ばしに伴って前記切込部13・・を開口することで、前記透水孔10a・・を形成している。さらに、前記帯状体12には、その表面又は表裏面に沿って前記抗菌剤11が一体的に設けてあるとともに、その抗菌剤領域に複数の切込部13・・が薄肉部分を残して非貫通状態で形成してあり、前記帯状体12の引き伸ばしに伴って前記薄肉部分を切り離しながら前記切込部13・・を開口することで、前記抗菌剤11を孔壁部分に回り込ませた状態の前記透水孔10a・・を形成している。
【発明の効果】
【0013】
この発明の既設集排水管の補修構造においては、既設集排水管の管内に、少なくとも外周面側に抗菌剤を設けた補修用有孔管を挿入して、既設集排水管と補修用有孔管との間の隙間における鉄バクテリアの繁殖を抑制しているので、既設集排水管の内周面側に後から抗菌剤を保持させるときと比べて、簡単且つ確実に抗菌性能を付与させることができ、既設集排水管における目詰まりを生じ難くして、洗浄作業等のメンテナンスを軽減しながら、集排水性能を長期に亘って良好に維持することができる。なお、鉄バクテリアを含む地中の雨水や湧水が補修用有孔管の管内に流れ込むためには、既設集排水管と補修用有孔管との間の隙間を通過する必要があることから、この隙間において鉄バクテリアの繁殖を抑制(鉄バクテリアを殺菌除去)しておけば、補修用有孔管の管内での鉄バクテリアの繁殖を抑制することにもなる。
【0014】
また、補修用有孔管の外周面側のみに抗菌剤を設けることで、高価な抗菌剤の使用量を抑えて、コスト削減を図ることができ、補修用有孔管の外周面側及び内周面側の双方に抗菌剤を設けることで、鉄バクテリアの繁殖を確実に抑制して、信頼性をより一層高めることができる。さらに、抗菌剤を、補修用有孔管の少なくとも透水孔周りに配置させながら部分的に設けることで、抗菌性能を良好に発揮させながら、高価な抗菌剤の使用量を抑えて、コスト削減を図ることができる。
【0015】
また、補修用有孔管の開孔率を、既設集排水管の開孔率よりも高くすることで、既設集排水管の管内に補修用有孔管を挿入して二重構造としても、既設集排水管の管内に集められた地中の雨水や湧水を、補修用有孔管の管内にスムーズに導いて排水させることができ、集排水性能を良好に維持することができる。さらにまた、補修用有孔管を波形状に形成することで、可撓性を良好にして、耐圧偏平強度を高めることができるとともに、表面積が拡大することで、抗菌剤を広範囲に亘って設けることが可能となり、抗菌性能の向上を図ることができる。
【0016】
また、補修用有孔管の透水孔を、帯状体の引き伸ばしに伴って抗菌剤領域の切込部を開口させることで形成しているので、ドリル等によって抗菌剤領域を穿孔して透水孔を形成するときのような抗菌剤を含む切り屑(リサイクルに不向きな切り屑)が発生せず、高価な抗菌剤を無駄にすることなく、抗菌剤によって囲まれた透水孔を形成することができる。さらに、帯状体の表面又は表裏面に沿って抗菌剤を設けて、その抗菌剤領域に薄肉部分を残しながら切込部を形成して、帯状体の引き伸ばしに伴って薄肉部分を切り離しながら切込部を開口して、切込部周りの抗菌剤を透水孔の孔壁部分にも回り込ませるようにすることで、抗菌剤の使用量を増やすことなく透水孔の孔壁部分にも抗菌剤を効率良く配置することができ、補修用有孔管の透水孔部分における鉄バクテリアの繁殖を確実に抑制して、信頼性を高めることができる。
【0017】
また、しなやかで割れ難いポリオレフィン系樹脂製の補修用有孔管を用いることで、既設集排水管の管内への挿入をスムーズに行うことができ、脱塩ビを実現して環境にも配慮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施形態に係る既設集排水管の補修構造を示す縦断面図である。
【図2】同じくその要部縦断面図である。
【図3】補修用有孔管の一部破断側面図である。
【図4】補修用有孔管の製造工程を示す概略図である。
【図5】補修用有孔管の透水孔部分の縦断面図である。
【図6】別の実施形態に係る補修用有孔管の一部破断側面図である。
【図7】抗菌剤を成形素材に直接配合した補修用有孔管の一部破断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1及び図2は、この発明の一実施形態に係る既設集排水管の補修構造を示している。図において、1は、傾斜地2の地滑り防止を目的として、その地中に埋設してある既設集排水管である。具体的に、既設集排水管1は、傾斜地2に形成した水平ボーリング孔3に嵌挿されていて、その一端部が傾斜地2を覆う擁壁4を貫通して、一端部の開口端が擁壁4の外表面側において開放されている。
【0020】
この既設集排水管1は、例えば塩化ビニル樹脂製であって、内外周面が略平滑な円筒状の管壁には、複数の透水孔1a・・が適宜間隔をあけて形成されており、傾斜地2の地中に浸透した雨水や湧水を、透水孔1a・・を介して管内に集めて、一端部の開口端から排水するようになっている。
【0021】
10は、洗浄後の既設集排水管1の管内に、その略全長に亘って挿入された可撓性を有する補修用有孔管である。既設集排水管1の洗浄は、例えば従来と同様に、既設集排水管1の管内に高圧洗浄水を噴射することによってなされている。これによって、洗浄後の既設集排水管1は、その管内から鉄バクテリアによって生成された汚泥が一時的に取り除かれた状態となっている。なお、管内において鉄バクテリアの汚泥化が未だ進行していない既設集排水管1に対しては、洗浄作業を行わずに補修用有孔管10をそのまま挿入するようにしても良い。
【0022】
補修用有孔管10は、ポリオレフィン系樹脂製(具体的には、ポリエチレン樹脂製又はポリプロピレン樹脂製)であって、塩化ビニル樹脂製の既設集排水管1に比べてしなやかで割れ難くなっており、また脱塩ビを実現することで環境にも配慮されている。この補修用有孔管10は、内外周面が略平滑な円筒状の管壁を有していて、既設集排水管1の管内にスムーズに挿入可能とするように、その外径が既設集排水管1の内径よりも小さくなっている。
【0023】
また、補修用有孔管10の管壁には、図3に示すように、複数の透水孔10a・・が適宜間隔をあけながら螺旋状に並ぶようにして形成されており、その開孔率(5〜30%)が既設集排水管1の開孔率(0.5%程度)よりも格段に高くなっている。従って、既設集排水管1の管内に補修用有孔管10を挿入して二重構造としても、既設集排水管1の管内に集められた地中の雨水や湧水を、透水孔10a・・を介して補修用有孔管10の管内にスムーズに導いて排水させることができ、集排水性能を殆ど損なわないように配慮されている。なお、補修用有孔管10の透水孔10a・・は、長孔状に形成されているが、例えば円孔状やその他どのような形状であっても良い。
【0024】
さらに、補修用有孔管10の管壁の外周面側及び内周面側の双方には、鉄バクテリアの繁殖を抑制する抗菌剤11が夫々設けられている。具体的に、抗菌剤11としては、銀系抗菌剤や有機系抗菌剤等の公知の抗菌剤が用いられており、少なくとも透水孔10a・・周りに配置するように(少なくとも透水孔10a・・を囲むように)、透水孔10a・・の形成位置に沿って螺旋状のラインを描くようにして、補修用有孔管10の管壁の外周面側及び内周面側において部分的に設けられている。このように、抗菌剤11をライン状に部分的に設けることで、高価な抗菌剤11の使用量を抑えて、コスト削減を図るようにしている。
【0025】
上記の補修用有孔管10は、次のようにして製造されている。すなわち、図4に示すように、押出機20において、管壁を構成するポリエチレン樹脂製又はポリプロピレン樹脂製の帯状体を押し出すとともに、この帯状体を挟むようにして、抗菌剤11を配合した熱可塑性樹脂製の一対の帯状体を押し出して、これらを合流させて融着一体化することで、表裏面に沿ってライン状の抗菌剤11を一体的に有する帯状体を形成する。そして、この帯状体を孔形成機21に送り込んで、その抗菌剤領域に沿って複数の切込部13・・を等間隔をあけて形成する。これら切込部13・・は、帯状体12の厚み方向の略中央部分において薄肉部分を残すようにして、帯状体12に対して非貫通状態で形成されている。なお、切込部13・・は、薄肉部分を残した非貫通状態で形成するだけでなく、薄肉部分を残さずに貫通状態で形成しても良い。
【0026】
続いて、抗菌剤11及び切込部13・・を有する帯状体12を管成形機22に送り込んで、帯状体12を引き伸ばしながらマンドレル上に螺旋状に巻回する。このとき、帯状体12の引き伸ばしに伴って、その薄肉部分が引っ張られて切り離され、これにより切込部13・・が開口して、帯状体12に複数の透水孔10a・・が形成される。
【0027】
そして、マンドレル上に螺旋巻回した帯状体12において、先行する帯状体12と後続する帯状体12の管軸方向に隣接する端縁部同士を熱融着することで、補修用有孔管10が製造される。このようにして製造された補修用有孔管10では、帯状体12の引き伸ばしにより薄肉部分が切り離されて切込部13・・が開口するときに、切込部13・・周りの抗菌剤11が透水孔10a・・内に引き込まれることで、図5に示すように、抗菌剤11が透水孔10a・・の孔壁部分にも回り込んだ状態となっていて、抗菌剤11が無駄なく効果的に配置されている。
【0028】
上記の既設集排水管1の補修構造においては、洗浄後の既設集排水管1の管内に、管壁の外周面側及び内周面側の透水孔10a・・周り(その孔壁部分を含む)に抗菌剤11を設けた補修用有孔管10が挿入されているので、管壁外周面側の抗菌剤11によって、既設集排水管1と補修用有孔管10との間の空気層を形成する隙間S(既設集排水管1の透水孔1a・・部分及び補修用有孔管10の透水孔10a・・部分を含む)における鉄バクテリアの繁殖、汚泥化が抑制される。しかも、管壁内周面側の抗菌剤11によって、補修用有孔管10の管内での鉄バクテリアの繁殖、汚泥化を確実に抑制することができる。
【0029】
これにより、既設集排水管1における目詰まりを生じ難くすることができ、以後の洗浄作業等のメンテナンスを軽減して、集排水性能を長期に亘って良好に維持することができる。すなわち、この補修構造では、既設集排水管1の内周面側に後から抗菌剤を保持させるとき比べて、簡単且つ確実に既設集排水管路に対して抗菌性能を付与させることができる。
【0030】
図6は、別の実施形態に係る補修用有孔管10を示している。この補修用有孔管10は、管壁内外周面に螺旋状の凹凸部15、16を管軸方向に交互に有する波形状に形成されている。そして、凸部15及び凹部16には、複数の透水孔10a・・が適宜間隔をあけながら螺旋状に並ぶようにして形成されている。また、凸部15及び凹部16の外周面側及び内周面側には、抗菌剤11が透水孔10a・・の形成位置に沿って螺旋状のラインを描くようにして夫々設けられている。この補修用有孔管10においては、可撓性が良好で、耐圧偏平強度に優れるとともに、管壁の表面積が拡大することで、抗菌剤11を広範囲に亘って設けることが可能となり、抗菌性能の向上を図ることができる。
【0031】
なお、上記の補修用有孔管10において、透水孔10a・・及び抗菌剤11は、必ずしも凸部15及び凹部16の双方に設ける必要はなく、これらのうちの一方に設けるようにしても良い。その他の構成及び作用効果は、図3に示す補修用有孔管10を用いた場合と同様である。
【0032】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。
【0033】
例えば、既設集排水管は、地滑り防止のためだけでなく、軟弱地盤の改良、水道用、工業用、農業用等のための地下水の集水や地下水の水質調査、擁壁やトンネル等の構造物の地下水圧による崩壊防止等のその他の目的で地中に埋設されたものであっても良い。
【0034】
また、既設集排水管としては、塩化ビニル樹脂製の直筒状のものだけに限らず、その他の材質、形状のものであっても良い。補修用有孔管としては、ポリオレフィン系樹脂製の直筒状、波形状のものだけに限らず、その他の材質、形状のものであっても良い。
【0035】
さらに、抗菌剤としては、補修用有孔管の管壁の外周面側及び内周面側に部分的に設けるだけでなく、管壁の外周面側及び内周面側に全体的に設けるようにしても良い。さらにまた、補修用有孔管の管壁の内周面側に設けることなく、外周面側のみに部分的又は全体的に設けるようにしても良い。この場合、補修用有孔管の管内での鉄バクテリアの繁殖、汚泥化が懸念されるが、鉄バクテリアを含む地中の雨水や湧水が補修用有孔管の管内に流れ込むためには、既設集排水管と補修用有孔管との間の隙間を通過する必要があることから、この隙間を通過する際に外周面側の抗菌剤によって鉄バクテリアが殺菌除去されるので、補修用有孔管の管内での鉄バクテリアの繁殖、汚泥化が抑制されることにもなり、特に問題はない。
【0036】
また、抗菌剤を部分的に設けるにあたって、必ずしも螺旋状に設ける必要はなく、例えば管周方向に沿った環状若しくは管軸方向に沿った直線状に設けるようにしても良い。
【0037】
さらに、抗菌剤は、補修用有孔管の成形素材に直接配合して、管壁の厚み方向全体に跨るようにして管壁に部分的に設けるようにしたり(例えば図7参照)、管壁の厚み方向全体に跨るようにして管壁に全体的に設けるようにしても良い。さらにまた、補修用有孔管を3層以上の複層構造として、その外層或いは内外層の成形素材に抗菌剤を配合して、外層或いは内外周層に抗菌剤を設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0038】
1・・既設集排水管、10・・補修用有孔管、10a・・透水孔、11・・抗菌剤、12・・帯状体、13・・切込部、15・・凸部、16・・凹部、S・・隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設した既設集排水管(1)の管内に、複数の透水孔(10a)・・を有し、且つ、少なくとも外周面側に抗菌剤(11)を設けた補修用有孔管(10)を挿入して二重構造とし、前記補修用有孔管(10)の外周面側の抗菌剤(11)によって、前記既設集排水管(1)と補修用有孔管(10)との間の隙間(S)における鉄バクテリアの繁殖を抑制するようにしたことを特徴とする既設集排水管の補修構造。
【請求項2】
前記補修用有孔管(10)の外周面側のみに、前記抗菌剤(11)を設けるようにした請求項1記載の既設集排水管の補修構造。
【請求項3】
前記補修用有孔管(10)の外周面側及び内周面側の双方に、前記抗菌剤(11)を設けるようにした請求項1記載の既設集排水管の補修構造。
【請求項4】
前記抗菌剤(11)を、前記補修用有孔管(10)の少なくとも透水孔(10a)・・周りに配置させながら部分的に設けるようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の既設集排水管の補修構造。
【請求項5】
前記補修用有孔管(10)の開孔率を、前記既設集排水管(1)の開孔率よりも高くなるようにした請求項1乃至4のいずれかに記載の既設集排水管の補修構造。
【請求項6】
前記補修用有孔管(10)を、その内外周面に凹凸部(15)(16)を有する波形状に形成した請求項1乃至5のいずれかに記載の既設集排水管の補修構造。
【請求項7】
前記補修用有孔管(10)は、合成樹脂製の帯状体(12)を引き伸ばしながら螺旋状に巻回して、その先行する帯状体(12)と後続する帯状体(12)の管軸方向に隣接する端縁部同士を接着若しくは熱融着してなり、前記帯状体(12)には、前記抗菌剤(11)が一体的に設けてあるとともに、その抗菌剤領域に複数の切込部(13)・・が形成してあり、前記帯状体(12)の引き伸ばしに伴って前記切込部(13)・・を開口することで、前記透水孔(10a)・・を形成した請求項1乃至6のいずれかに記載の既設集排水管の補修構造。
【請求項8】
前記帯状体(12)には、その表面又は表裏面に沿って前記抗菌剤(11)が一体的に設けてあるとともに、その抗菌剤領域に複数の切込部(13)・・が薄肉部分を残して非貫通状態で形成してあり、前記帯状体(12)の引き伸ばしに伴って前記薄肉部分を切り離しながら前記切込部(13)・・を開口することで、前記抗菌剤(11)を孔壁部分に回り込ませた状態の前記透水孔(10a)・・を形成した請求項7記載の既設集排水管の補修構造。
【請求項9】
前記補修用有孔管(10)は、ポリオレフィン系樹脂を主素材として成形してある請求項1乃至8のいずれかに記載の既設集排水管の補修構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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