説明

日よけシート

【課題】通気性と遮光性の両方を兼ね備え、誰でも簡単に取り付けることができる日よけシートを提供する。
【解決手段】シートの厚さをT、太陽光の入射角をθとした場合に、透光孔の開口高さHがH=T×tanθで表される透光孔を多数備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夏場に窓ガラスや網戸など室内に太陽光を取り込む場所に設置され、太陽光の一部を遮蔽する日よけシートに関し、さらに詳しく言えば、通気性と遮蔽性を両立する日よけシートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示すように、夏場の強い日差しが屋内に入るのを避けるため、窓や玄関などに吊り下げて使用するすだれ(簾)がある。簾を吊すことにより、室内に入り込む太陽光の一部が遮蔽され、室温の上昇を抑えることができる。
【0003】
また、簾は、細く切った竹や葦、樹脂製のチューブなどを糸で上下に連結したものであるため、適度な通気性を備えている。とりわけ、最近では省エネ志向が強いため、この種の日よけグッズに注目が集まっている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−89316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、昔ながらの簾を吊す方法では、以下のような問題があった。すなわち、従来の簾は、窓の軒先などに吊下フックを介して吊り下げていたため、風の強い場所などでは、簾が煽られて窓にぶつかったりして危険であった。
【0006】
また、軒先に簾が吊り下がった状態で外に出ようとした場合、簾を一旦巻き上げるか、もしくは、簾を避けないと外に出られないため、不便でもある。さらには、賃貸住宅などの場合、吊下用のフックを壁面に打ち込んだりすることを躊躇うユーザもいる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は上述した問題を解決するため、通気性と遮光性の両方を兼ね備え、誰でも簡単に取り付けることができる日よけシートを提供することにある。
【0008】
上述した目的を達成するため、本発明は以下に示すいくつかの特徴を備えている。請求項1に記載の発明は、太陽光を室内に取り込む窓ガラスや網戸などの枠部材に取り付けられ、上記太陽光の一部を遮蔽する日よけシートにおいて、上記太陽光を取り込むための透光孔を多数有し、上記シートの厚さをT、上記太陽光の入射角をθとした場合に、透光孔の開口高さHがH≦T×tanθで表されることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1において、上記厚さTは0.35mm以上であることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2において、上記入射角θが55〜78°であることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1,2または3において、上記透光孔の開口幅をWとしたとき、上記透光孔は、開口高さHよりも開口幅Wが大きく(W>H)なるように形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、窓枠や網戸に沿って貼り合わせることが可能な薄いシートであっても、そのシート厚と開口高さとの関係を調整することによって、直射日光が室内に到達する光線量を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る日よけシートの使用状態を示す模式図であり、図2は日よけシートの拡大正面図であり、図3は、本発明の日よけシートの遮光メカニズムを説明する説明図である。
【0014】
図1に示すように、この日よけシート1は、窓枠サッシ2に沿って設けられた網戸3のサッシ部分に沿って専用の治具4を介して取り付けられている。この例において、日よけシート1は、網戸3のサッシ部分に取り付けられているが、窓枠サッシ2のガラス面に沿って取り付けられてもよい。
【0015】
図2および図3を併せて参照して、日よけシート1は、ポリエステル繊維を編み込んだメッシュシートからなり、無数の透光孔5が規則的に配置されている。日よけシート1は、シート厚さTが0.35mm以上となるように設計されている。
【0016】
すなわち、厚さTが0.35mm以上であることにより、シートの柔軟性を維持しながら、窓ガラスなどへの貼着性を良好に確保しつつ、かつ、入射光を効果的に遮ることができる。
【0017】
透光孔5は、全て同じ形状であるため、以下においては、いずれか1つを例にとって説明する。この例において、透光孔5は千鳥格子に配置されているが、その配置順序は仕様に応じて任意である。
【0018】
透光孔5は、その開口高さHがH=T×tanθとなるように形成されており、より好ましくは、その入射角θが55〜78°であることが好ましい。これによれば、5月から9月にかけての入射角55°〜78°の日差しが強い季節に直射日光を効果的に遮ることができる。
【0019】
図3に示すように、太陽Sの位置が高い(入射角が大きい)夏場の場合、メッシュにより直射直射日光が遮られるため、より遮蔽効果が高い。また、太陽の位置が低い(入射角が低い)場合は、わずかに直射日光が入り込む。
【0020】
ところで、網戸などに貼り付けて使用する場合、網戸の通気性を損なってはならない。通気性は、開口面積を大きくすればしただけよくなる反面、上述した遮蔽性が損なわれる。そこで、この透光孔5は、開口幅Wが開口高さHよりも大きくなる(W>H)ように形成されている。
【0021】
この例において、透光孔5は、開口幅Wが1.75mmであり、開口高さHが1.05mm(アスペクト比約1:0.6)となる菱形状に形成されているが、開口幅Wが開口高さHよりも大きくなる形状であれば、長方形や楕円形などであってもよい。
【0022】
これによれば、透光孔5の開口高さHを大きくすることなく、十分な開口面積が得られることにより、遮光性を確保しつつ、十分な通気性を保つことができる。
【0023】
この例において、日よけシート1は、クリップ式の治具4を介して、上下左右の4辺を止めて固定されているが、例えばロールスクリーンの巻き上げ装置などに本発明の日よけシート1を取り付けてもよい。さらには、日よけシート1自体に粘着性や水貼り性を持たせて、窓ガラスなどに直に貼り付けるようにしてもよい。
【実施例】
【0024】
次に、本発明の具体的な実施例について比較例とともに比較検討する。まず、実施例として、ポリエステル繊維からなるメッシュシート(縦200mm×横400mm,厚さ0.4mm,透後部:開口高さH1.26mm×開口幅W1.81mm)を用意し、市販の窓ガラスに貼り付けた。同様に比較例として、ガラス単体と、市販の簾(厚さ2.8mm)を用意した。
【0025】
これらを同一条件で日照させたのち、その床面温度を測定した。併せて、照度(lux)および遮光比率、可視光線透過率ならびに通気性を測定した。さらには、昼間と夜間における目隠し効果を検討した。以下にその結果を示す。
【0026】
《実施例1》
〔ポリエステル繊維メッシュシート〕
〔厚み〕:0.4mm
〔床面温度〕:31.2℃
〔照度〕:8950lux
〔遮光比率〕:20.6%
〔可視光線透過率〕:60.07%
〔通気性〕:1.4m/s
〔目隠し効果〕:昼間○,夜間△
【0027】
〈比較例1〉
〔ガラス単体〕
〔厚み〕:−
〔床面温度〕:42.0℃
〔照度〕:43400lux
〔遮光比率〕:100%(基準)
〔可視光線透過率〕:90.26%
〔通気性〕:−
〔目隠し効果〕:昼間×,夜間×
【0028】
〈比較例2〉
〔市販簾〕
〔厚み〕:2.8
〔床面温度〕:30.4℃
〔照度〕:6490lux
〔遮光比率〕:15.0%
〔可視光線透過率〕:28.81%
〔通気性〕:1.4m/s
〔目隠し効果〕:昼間◎,夜間△
【0029】
以下に、実施例と比較例のまとめを表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
この結果により、以下のような知見を得た。
・実施例1は、床面温度、照度および遮光比率において、簾とほぼ同じ性能が得られる。
・通気性は、実施例1も比較例2も同一である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る日よけシートの使用状態図。
【図2】上記日よけシートの透光孔を拡大した拡大図。
【図3】上記日よけシートの遮光メカニズムを説明する説明図。
【符号の説明】
【0033】
1 日よけシート
2 窓枠サッシ
3 網戸
4 取付治具
5 透光孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を室内に取り込む窓ガラスや網戸などの枠部材に取り付けられ、上記太陽光の一部を遮蔽する日よけシートにおいて、
上記太陽光を取り込むための透光孔を多数有し、上記シートの厚さをT、上記太陽光の入射角をθとした場合に、透光孔の開口高さHがH≦T×tanθで表されることを特徴とする日よけシート。
【請求項2】
上記厚さTは0.35mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の日よけシート。
【請求項3】
上記入射角θが55〜78°であることを特徴とする請求項1または2に記載の日よけシート。
【請求項4】
上記透光孔の開口幅をWとしたとき、上記透光孔は、開口高さHよりも開口幅Wが大きく(W>H)なるように形成されていることを特徴とする請求項1,2または3に記載の日よけシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−197428(P2009−197428A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38425(P2008−38425)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(390003562)株式会社ニトムズ (64)
【Fターム(参考)】