説明

日付表示付き小袋包装体及びその小袋包装体の製造方法

【課題】小袋包装体の日付表示部から印字由来のインキがはがれて小袋内容物、或いは小袋包装体を添付した商品に混入させることなく、レーザー光線を用いても小袋包装体の積層内のフィルムに影響を与えずに明確な印字表示を付した小袋包装体とその製造方法を提供する。
【解決手段】小袋包装体の基材フィルムの外層フィルムの内側に発色剤含有インキと白色インキを積層した日付印刷インキ層を挟装すると共に、該日付印刷インキ層をレーザー光照射により発色させてある日付表示付き小袋包装体及びその製造方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日付表示付き小袋包装体及びその製造方法に関し、さらに詳しくはレーザー光照射により日付を印字した小袋包装体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小袋包装体において、製造年月日や消費期限日付を表示する方法として、製造時にサーマルプリンターで印字する或いはインクジェットプリンターで印字する方法が広く知られているが、これらの印字方法はフィルムの表面にインキを載置させているため、他の物と接触すると消えてしまう可能性があり、消えない方法としてシールの際、日付のエンボスを利用して表示する方法が用いられている。
【0003】
他にも、例えば、包装用積層フィルムの一方の表面に位置するヒートシール層を相互にヒートシールしてなる包装袋であって、この包装袋の、少なくとも一方のヒートシール部分で、両ヒートシール層間に、所要の文字、記号等を表示する、インクジェットプリンターにより形成されたインク層を介在させるとともに、このインク層のバインダーをヒートシール層と同系の材料にて構成してなる包装袋が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、レーザー光線照射により発色する発色剤を含む特殊な多層フィルムを用いた液体小袋用積層シートが提案されている(特許文献2参照)。また、基材表面の印刷にポリエチレン等でのコーティングしてある表層を成形する際にレーザー照射部の表層を剥離させて表層内の印刷にレーザー光で印字する提案がなされている(特許文献3参照)。
【0005】
しかし、ジェットプリンターを用いる方法はヒートシール面に日付インキが載置されているのでヒートシールの影響で不鮮明になりやすい問題があった。また、レーザー光で発色するシートを含有する積層シートを用いる提案は上記インキの問題は解決されるものの、レーザー光線でシートが変質して部分的にフィルムの強度が低下する可能性が懸念される問題がある。さらに、表層を剥離させる方法においても、小袋包装体においてはフィルム強度が弱化するという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特許第3319504号公報
【特許文献2】特開2005−186507号公報
【特許文献3】特許第3293923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、小袋包装体の日付表示部から、積層フィルムの表面または内面の印字由来のインキがはがれて小袋内容物、或いは小袋包装体を添付した商品に混入することなく、レーザー光線を用いても小袋包装体の積層内のフィルムに変化を生じさせず、また、明確な印字表示を付した日付表示付き小袋包装体及びその小袋包装体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するためになされたもので、第1の発明は、基材フィルムとシーラントフィルムを具有する多層の包装用フィルムを縦および横にヒートシールをし、液体を密封包装してある小袋包装体において、前記基材フィルムの外層フィルムの内側に発色剤含有インキ層と白色インキ層を積層した日付印刷インキ層を挟装すると共に、該日付印刷インキ層をレーザー光照射により発色させてあることを特徴とする日付表示付き小袋包装体である。
【0009】
さらに、第2の発明は、前記外層フィルムの内側で外側から発色剤含有インキ層と白色インキ層とした前記日付印刷インキ層は、接着層を介して中間層またはシーラントフィルムに接着してあり、レーザー光照射は前記外層フィルムを貫通して前記発色剤含有インキ層に照射してある第1の発明に記載の日付表示付き小袋包装体である。
【0010】
第3の発明は、前記レーザー光を照射される発色剤含有インキ層に相対する外層フィルムは発色剤含有インキ層の発色形状に沿って凸状に隆起させてある第1の発明及び第2の発明に記載の日付表示付き小袋包装体である。
【0011】
また、第4の発明は、基材フィルムとシーラントフィルムを具有し、前記基材フィルムの外層フィルムの内側で外側から発色剤含有インキ層と白色インキ層を両フィルムで挟装してある可撓性で多層の包装用フィルムを用い、シーラントフィルムの面を対向させて折り曲げ、長手方向の端縁部をヒートシールすると共に、長手方向と直交する方向に所定間隔でヒートシールして小袋を成形し、連続的に形成された複数の小袋に液体の内容物を充填する小袋包装体の製造方法であって、前記包装用フィルムを連続して供給するフィルム供給工程と、前記外層フィルムの外方から前記発色剤含有インキ層にレーザー光線を照射し日付を印字する工程と、前記フィルムのシーラント層の面を対向させて折り曲げる工程と、前記フィルムの折り曲げ部に対向する側縁部をヒートシールする縦シール工程と、前記の重ね合わせたフィルムを長手方向と直交する方向へ後成形の小袋の底辺と先成形の小袋開口部に相当する位置を同時にシールする横シール工程と、後成形の小袋の開口部から液体の内容物を充填する充填工程とを順次行うに際して前記横シール工程で日付の印字部分を同時に横シールすることを特徴とする日付表示付き小袋包装体の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の日付表示付き小袋包装体によれば、白地インキ層の上の発色剤含有インキ層に日付が表示されているので従来のエンボス方式の日付に比べて格段に読みやすく、かつ日付表示部に印字があり、裏面は白色であるため読み違えが生じない。また、印字部分を凸状に隆起させているので一層読み取りやすいものである。さらに、日付表示部分をその箇所に限定して高価な発色剤含有インキで印刷をすることでフィルムのコストを低減することができる。また、本発明の日付表示付き小袋包装体の製造方法は、従来の日付表示付き小袋包装体の製造方法の工程順序に創意工夫を加えて用いることにより、従来品の問題を解決した日付表示付き小袋包装体を得ることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の日付表示付き小袋包装体は、液体を密封包装してある小袋包装体の包装用フィルムの外層フィルムの内側に表面から順に発色剤含有インキの印刷と白色インキの印刷がなされた日付印刷インキ層を挟装された多層の包装用フィルムに、該インキ層をレーザー光線の照射により発色させた後、該インキ層を包装用フィルムのシール工程にて横シールを行って製造するものである。
包装用フィルムは、単体フィルム(ラミネートしていないもの)と積層フィルム(ラミネートしたもの)を用いたものがある。積層フィルムの表面に用いるフィルムを表材と表現したり、或いは基材フィルムと表現するが、本発明では単体のフィルムだけではなく、その用途に応じた積層フィルムも含めて基材フィルムと表現する。
次に、本発明の日付表示付き小袋包装体(以下、たんに「小袋包装体」ともいう)をその製造方法の一実施例に基づき説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の小袋包装体1の一実施例を示す説明図であり、図2と図3は、日付表示部5を説明する概略断面説明図である。図4は、本発明の日付表示付き小袋包装体1の製造手段の一実施例を示す概略説明図である。
図1において、小袋包装体1は日付表示部5を設け、この日付表示部5にレーザー光照射により日付を印字した小袋包装体1としてある。小袋包装体1の上部横シール部3には日付を印字する日付表示部5が設けられている。日付表示部5以外の部分には特別な制限はなく、自由に印刷することが出来る。
また、折り曲げた際に日付表示部5の背面に相当する部分においても印刷デザインは任意である。
【0015】
図2は、2層構成の積層フィルム(包装用フィルム)14を示し、外層フィルム(基材フィルム)7は層厚15ミクロンの透明ナイロン層であり、内層のシーラントフィルム10は40ミクロンのポリエチレン層である。外層の内側には発色剤含有のインキにより第1の印刷(発色剤含有インキ層8)、さらに重ねて白色のインキの印刷(白色インキ層9)が施されている。これらの層を貼りあわせて包装用フィルム14としてある。
【0016】
図3は、3層構成の包装用フィルム14を示し、外層フィルム7は層厚12ミクロンの透明PET(ポリエチレンテレフタレート)であり、中間フィルム11は15ミクロンのナイロン層で内層のシーラントフィルム10は40ミクロンのポリエチレン層である。インキ層は2層の場合と同様に発色剤含有インキ印刷と白色インキ印刷が施された外層フィルム7と中間フィルム11を接着剤で張り合わせた基材フィルムとシーラントフィルム10の内層を貼りあわせて包装用フィルム14としてある。
【0017】
発色剤含有インキ8に用いる発色剤としては、例えば、染料、顔料等の着色剤、粘土類等を使用することができ、具体的には、黄色酸化鉄、無機鉛化合物、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、水銀、コバルト、銅、ビスマス、ニッケル等の金属化合物、真珠光沢顔料、珪素化合物、雲母類、カオリン類、珪砂、硅藻土、タルク、酸化チタン被覆雲母類、二酸化錫被覆雲母類、アンチモン被覆雲母類、スズ+アンチモン被覆雲母類、スズ+アンチモン+酸化チタン被覆雲母類等の1種ないし2種以上を使用することができる。また、カーボンブラック、フェニルスルホン酸銅が含有しているとさらに好ましい。
【0018】
本発明の作用を製造方法の一実施例に基づき説明する。
図4に示すように先ず小袋包装体1の製造手段に装着した上記説明の包装フィルム14のロールフィルム20をフィルムスタンドから充填シール部へ連続して供給し、該フィルム14のシーラントフィルム10をフォーマー25にて対向させて折り曲げる間に該フィルム14の外方からレーザーマーカー22にて日付印字部5にレーザー光線照射し日付を印字する。
【0019】
この際、日付印字部5に印字するには、フィルムに印刷されたIマーク12をIマーク検出器23で検出してレーザーマーカー22と同期させれば日付印字部5に正確に印字することができる。また、印字に用いられるレーザーは一般には炭酸ガスレーザー(波長10.6μm)を用いるが、炭酸ガスレーザー光線を照射して表面を切削、炭化させることによりレーザー印字を行うものであり、照射中に印字の部分に穴開きが容易に発生すること等の問題点があるので好ましくない。それ故、本発明において、レーザー光線としては、YAG〔イットリウム(Y)・アルミニウム(A)・ガーネット(G)〕レーザー光線(波長1.064μm)を用いてレーザー印字を行う。このことは、煙、穴開き等の発生を防止できるので好ましいものである。
【0020】
そして、上記のYAGレーザー光線は、透明体を透過してしまう性質を有し、発色剤含有インキをレーザー光線照射により発色させ、日付を印字可とするものであるため、裏面に白色インキ印刷があることでさらに鮮明に表示することができる。また、レーザー光線の照射を受けた発色剤含有インキ層8が凸状に隆起するので印字をさらに鮮明に形成し得るものである。
【0021】
また、上記において、レーザーの照射位置としては、レーザー光をガイドロール21上、或いはガイド板の上で日付印字部5の位置に照射することにより、走行中の長尺シートの遥動が抑えられるので、鮮明な印字画像を形成することができるため好ましい。
【0022】
レーザーマーカー22としては、例えば株式会社キーエンス社製MD−V9600を用いることが出来る。印字の大きさは高さ3ミリ、幅2ミリでフィルムの繰り出し条件にあわせて印字条件を設定すればよい。
【0023】
印字後の該フィルムは、シーラントフィルム10を対向させて折り曲げられると長手方向の端縁部を縦シールロール26によりヒートシールされ、連続した筒状のフィルムを長手方向と直交する方向に配置された横シールロール27により所定の間隔でヒートシールする。横シール3、4の終了と前後して開口部から液体の内容物の充填と共に所定の間隔にフィルムが送られて充填スペースが確保される、充填と前後して次の横シール3、4の位置が定まり、この位置を横シールロール27によりヒートシールを繰り返し順次行うものである。前記日付印字部5は横シールロール27によりヒートシールする位置に合致するように設計されており、日付印字部5で印字された印字部分を横シールで同時に押圧しヒートシールする。このヒートシールによりレーザー光照射により貼り合わされた基材フィルムとシーラントフィルム10が再度熱シールで補強することが出来ると共に、印字部がシール部であることから万が一のピンホールにおいても即刻補修がなされるものである。
【0024】
尚、本発明の日付表示付き小袋包装体の製造方法の実施例においては、シール部は内容物充填部の2枚分のフィルムであり、日付表示部5を平面状に出来るので印字がより読みやすいという利点が生じるものである。
また、横シール3、4の後冷却シールロール28により横シール3、4部を冷却してヒートシール部を安定させる。その後、縦シール2に切り口となるIカット6を入れ、次の工程で小袋包装体1として個別に切断する。個別切断はミシン目カットを用いて複数個が連続し、使用に際して自由に分けられる例えば2連、3連とした方法とすることできる。
上記の製造方法においては、レーザー光線を照射する場合に可変情報を鮮明に印字することができ、衛生性、偽造防止、高速充填適性に優れるものであった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例の小袋包装体を示す説明図。
【図2】本発明の一実施例の日付表示部を説明する概略断面説明図。
【図3】本発明の他の実施例の日付表示部を説明する概略断面説明図。
【図4】本発明を製造する製造方法の構成を説明する一実施例の概略説明図。
【符号の説明】
【0026】
1 小袋包装体
2 縦シール
3 横シール(上)
4 横シール(下)
5 日付印字部(日付表示部)
6 Iカット
7 外層フィルム
8 発色剤含有インキ層
9 白色インキ層
10 シーラントフィルム
11 中間フィルム
12 Iマーク
13 ノズル
14 積層フィルム(包装用フィルム)
20 ロールフィルム
21 ローラー
22 レーザーマーカー
23 Iマーク検出器
25 フォーマー
26 縦シールロール
27 横シールロール
28 冷却シールロール
29 Iカット装置
30 個別切断装置



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムとシーラントフィルムを具有する多層の包装用フィルムを縦および横にヒートシールをし、液体を密封包装してある小袋包装体において、前記基材フィルムの外層フィルムの内側に発色剤含有インキ層と白色インキ層を積層した日付印刷インキ層を挟装すると共に、該日付印刷インキ層をレーザー光照射により発色させてあることを特徴とする日付表示付き小袋包装体
【請求項2】
前記外層フィルムの内側で外側から発色剤含有インキ層と白色インキ層とした前記日付印刷インキ層は、接着層を介して中間層またはシーラントフィルムに接着してあり、レーザー光照射は前記外層フィルムを貫通して前記発色剤含有インキ層に照射してある請求項1記載の日付表示付き小袋包装体
【請求項3】
前記レーザー光を照射される発色剤含有インキ層に相対する外層フィルムは発色剤含有インキ層の発色形状に沿って凸状に隆起させてある請求項1及び2記載の日付表示付き小袋包装体
【請求項4】
基材フィルムとシーラントフィルムを具有し、前記基材フィルムの外層フィルムの内側で外側から発色剤含有インキ層と白色インキ層を両フィルムで挟装してある可撓性で多層の包装用フィルムを用い、シーラントフィルムの面を対向させて折り曲げ、長手方向の端縁部をヒートシールすると共に、長手方向と直交する方向に所定間隔でヒートシールして小袋を成形し、連続的に形成された複数の小袋に液体の内容物を充填する小袋包装体の製造方法であって、前記包装用フィルムを連続して供給するフィルム供給工程と、前記外層フィルムの外方から前記発色剤含有インキ層にレーザー光線を照射し日付を印字する工程と、前記フィルムのシーラント層の面を対向させて折り曲げる工程と、前記フィルムの折り曲げ部に対向する側縁部をヒートシールする縦シール工程と、前記の重ね合わせたフィルムを長手方向と直交する方向へ後成形の小袋の底辺と先成形の小袋開口部に相当する位置を同時にシールする横シール工程と、後成形の小袋の開口部から液体の内容物を充填する充填工程とを順次行うに際して前記横シール工程で日付の印字部分を同時に横シールすることを特徴とする日付表示付き小袋包装体の製造方法



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−168847(P2007−168847A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368598(P2005−368598)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【出願人】(502310841)株式会社ケイパック (6)
【Fターム(参考)】