説明

日射遮蔽材昇降装置

【課題】日射遮蔽材の昇降操作を円滑に行い得るクラッチユニットを備えた日射遮蔽材昇降装置を提供する。
【解決手段】クラッチユニットは、前記操作コードの操作に基づいて回転される回転ドラム81と、前記昇降動作部を駆動する伝達ドラム86と、前記回転ドラム81と伝達ドラム86に形成された第一及び第二の係合手段87、88と、前記第一及び第二の係合手段を係合させて前記回転ドラム81の回転を前記伝達ドラム86に伝達し、また前記第一及び第二の係合手段の係合を解除させて前記回転ドラム81と前記伝達ドラム86との間の伝達を遮断するクラッチ部とを備えている。前記クラッチ部は、前記第一及び第二の係合手段が係合した状態で前記伝達ドラム86が日射遮蔽材を下降させる方向に回転したときには前記回転ドラム81を伝達ドラム86から離間する方向に移動させて前記第一及び第二の係合手段の係合を解除させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、横型ブラインド、たくし上げカーテン、プリーツカーテン、ロールブラインド等の日射遮蔽装置において、日射遮蔽材を二重に吊下支持し、一本の操作コードで各遮蔽材を昇降操作可能とする昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたロールブラインドのクラッチユニットでは、操作コードをスクリーン下降操作側に連続して回転させると、係合部材がパイプ受けとプーリーとに係合して、巻取りパイプを連続して回転させてスクリーンの下降操作が可能となる。
【0003】
また、下降操作を行った後、操作コードを手放せば、巻取りスプリングによるスクリーンの引き上げが阻止される。
また、操作コードのスクリーン上昇操作側をわずかに引き下げることにより、プーリーと回転筒とが相対回転して、回転筒とパイプ受けとの連結が解除される。すると、巻取りスプリングの弾性力によりスクリーンの引き上げ操作が可能となる。
【0004】
スクリーンの引き上げ操作の停止は、スクリーンの下降操作側をわずかに引き下げることにより、プーリーと回転筒とが相対回転して、回転筒とパイプ受けとが連結される。すると、巻取りパイプが回転不可能な状態となり、スクリーンの引き上げ操作が停止される。
【特許文献1】特許第2860230号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなロールブラインドでは、プーリーの回転により回転筒の孔部から係合部材を径方向に押し出し、あるいは引き込むことにより、パイプ受けの段部と係合あるいは係合解除可能としている。
【0006】
ところが、このような構成ではパイプ受けの段部が回転筒の孔部上に位置している状態で係合部材が押し出されると、段部の頂点に係合部材が当接し、係合不能となる。
従って、スクリーンの引き下げ操作あるいは引き上げ操作の停止操作が不能となることがあり、スクリーンの円滑な昇降操作ができないという問題点がある。
【0007】
また、係合部材を径方向に押し出しあるいは引き込む構成であるため、クラッチユニットが大型化し、このクラッチユニットを収納するスクリーンの巻取軸が大型化するという問題点がある。
【0008】
この発明の目的は、日射遮蔽材の昇降操作を円滑に行い得るクラッチユニットを備えた日射遮蔽材昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1では、ヘッドボックスから日射遮蔽材を吊下支持し、前記ヘッドボックスから垂下される操作コードを操作することにより、クラッチユニットを介して昇降動作部を動作させ、前記日射遮蔽材を引き上げおよび自重による下降を可能とした日射遮蔽材昇降装置において、前記クラッチユニットは、前記操作コードの操作に基づいて回転される回転ドラムと、前記昇降動作部を駆動する伝達ドラムと、前記回転ドラムと伝達ドラムに形成された第一及び第二の係合手段と、前記第一及び第二の係合手段を係合させて前記回転ドラムの回転を前記伝達ドラムに伝達し、また前記第一及び第二の係合手段の係合を解除させて前記回転ドラムと前記伝達ドラムとの間の伝達を遮断するクラッチ部とを備え、前記クラッチ部は、前記回転ドラムの回転に伴って回転ドラムをその軸方向であって伝達ドラムに近接する方向に移動させて前記第一及び第二の係合手段を係合させるとともに、前記第一及び第二の係合手段が係合した状態で前記伝達ドラムが日射遮蔽材を下降させる方向に回転したときには前記回転ドラムをその軸方向であって伝達ドラムから離間する方向に移動させて前記第一及び第二の係合手段の係合を解除させる。
【0010】
請求項2では、前記クラッチユニットは、案内溝が形成されたクラッチドラムを備え、前記クラッチ部は、クラッチドラムに形成された案内溝と、前記回転ドラムに形成され前記案内溝に沿って移動するクラッチ凸部とで構成し、前記回転ドラムは、クラッチ凸部が案内溝を移動する範囲においてクラッチドラムに対して相対回転かつ軸方向に移動可能である。
【0011】
請求項3では、前記第一の係合手段は前記回転ドラムに設けた駆動係止歯であり、前記第二の係合手段は前記伝達ドラムに設けた被動係止歯であり、前記案内溝は係合溝と解除溝により構成されており、前記クラッチ凸部が係合溝に位置するときは前記回転ドラムの駆動係止歯は伝達ドラムの被動係止歯に係合する位置に保持され、また前記クラッチ凸部が解除溝に位置するときは前記回転ドラムの駆動係止歯は伝達ドラムの被動係止歯との係合が解除される位置に保持され、前記回転ドラムの駆動係止歯と伝達ドラムの被動係止歯とが係合した状態で前記伝達ドラムが日射遮蔽材を下降させる方向に回転したときには、前記回転ドラムがクラッチドラムと相対回転することによりクラッチ凸部が解除溝へと案内されて駆動係止歯と被動係止歯との係合が解除される。
【発明の効果】
【0012】
以上詳述したように、この発明は日射遮蔽材の昇降操作を円滑に行い得るクラッチユニットを備えた日射遮蔽材昇降装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第一の実施の形態)
以下、この発明を日射遮蔽装置としての二重たくし上げカーテンに具体化した第一の実施の形態を図面に従って説明する。
【0014】
図1及び図2に示すように、ヘッドボックス1の前面からたくし上げカーテンの前側生地2aが日射遮蔽材として吊下支持され、ヘッドボックス1の後面から後側生地2bが同じく日射遮蔽材として吊下支持されている。
【0015】
前記前側生地2a及び後側生地2bの後面には、複数本のリングテープ3が上下方向に取着され、そのリングテープ3には複数のリング4が等間隔に取着されている。
前記前側生地2aに取着されたリング4には昇降コード5aが挿通される。前記昇降コード5aの上端部は、図3に示すように、前記ヘッドボックス1内で支持部材6に回転可能に支持される巻取軸7aに前記ヘッドボックス1の前側から巻着されている。
【0016】
前記昇降コード5aの下端にはフック8aが取着され、そのフック8aには前記複数のリング4のうち最下部に位置するリング4が吊下支持されている。従って、前記巻取軸7aで昇降コード5aが巻き取られると、図2に示すように、前側生地2aが下端部から順に折り畳まれながら引き上げられる。
【0017】
また、昇降コード5aが巻戻されると、前側生地2aはその上部から順に、ヘッドボックス1から垂下される状態に復帰する。
前記後側生地2bのリング4には昇降コード5bが挿通される。前記昇降コード5bの上端部は、図3に示すように、前記巻取軸7aの後方において、前記支持部材6に回転可能に支持される巻取軸7bに前記ヘッドボックス1の後側から巻着されている。
【0018】
前記昇降コード5bの下端にはフック8bが取着され、そのフック8bには前記複数のリング4のうち最下部に位置するリング4が吊下支持されている。従って、前記巻取軸7bで昇降コード5bが巻き取られると、後側生地2bが下端部から順に折り畳まれながら引き上げられる。
【0019】
また、昇降コード5bが巻戻されると、後側生地2bはその上部から順に、ヘッドボックス1から垂下される状態に復帰する。
前記巻取軸7a,7bの中心部には、六角軸で構成される駆動軸9a,9bが挿通され、その駆動軸9a,9bの回転に基づいて巻取軸7a,7bが回転される。
【0020】
上記のような昇降コード5a、巻取軸7a、駆動軸9aにより第一の昇降動作部が構成され、昇降コード5b、巻取軸7b、駆動軸9bにより第二の昇降動作部が構成される。
次に、前記駆動軸9a,9bを回転駆動するための操作装置について説明する。
【0021】
図4に示すように、前記ヘッドボックス1の一端に設けられる操作装置10は、ケース11の基端部がヘッドボックス1の端部に嵌着固定される。ケース11の先端部はヘッドボックス1の下縁より下方に延接され、図7に示すプレート12を介して同先端部と同形状のキャップ13がネジ着される。
【0022】
図5及び図6に示すように、前記ケース11の先端部には支軸14aが形成され、前記キャップ13の下部には前記支軸14aに対向するように支軸14bが形成されている。前記ケース11の先端部内において、前記支軸14a,14bには駆動ギヤ15が回転可能に支持されている。
【0023】
前記駆動ギヤ15は、六角軸状の軸部16がキャップ13側に突出され、その軸部16にプーリー17が嵌着されている。前記プーリー17には無端状のボールチェーン18が操作コードとして掛装されている。
【0024】
そして、ボールチェーン18の操作によりプーリー17が回転されると、前記駆動ギヤ15がプーリー17と一体に回転されるようになっている。なお、前記駆動ギヤ15とプーリー17との間に前記プレート12が介在されている。
【0025】
前記駆動ギヤ15及びプーリー17の上方において、駆動ギヤ15の回転中心から等距離を隔てた位置に2本の第一及び第二のシャフト19a,19bが配設されている。前記第一及び第二のシャフト19a,19bはその先端部が六角軸状に形成され、その先端部が前記プレート12及びキャップ13に形成された六角孔20a,20bに嵌合されている。
【0026】
従って、第一及び第二のシャフト19a,19bはキャップ13及びプレート12を介して前記ヘッドボックス1に対し回転不能に支持される。
図6に示すように、前記第一及び第二のシャフト19a,19bには、前記駆動ギヤ15に噛合う伝達ギヤ21a,21bが回転可能に支持されている。そして、駆動ギヤ15が図6に示す矢印A方向に回転されると、伝達ギヤ21a,21bは矢印b方向に回転され、駆動ギヤ15が矢印B方向に回転されると、伝達ギヤ21a,21bは矢印a方向に回転される。
【0027】
図7に示すように、前記伝達ギヤ21a,21bの先端側には、ギヤ部より径の大きい円板部22が形成され、その円板部の外周部には、先端側に向かって突出する2つの凸部23が中心に対し線対称状に形成されている。
【0028】
そして、伝達ギヤ21a,21bの回転が、前記凸部23を介して、第一及び第二のシャフト19a,19bに支持される第一及び第二のクラッチユニット24a,24bに伝達される。
【0029】
次に、前記第一のクラッチユニット24aの構成を説明する。図8及び図15に示すように、第一のクラッチユニット24aは回転ドラム25と、伝達部としてのクラッチドラム26と、伝達ドラム27と、ストップバネ28及びスリップバネ29及び前記第一のシャフト19aとから構成される。
【0030】
前記回転ドラム25は、円筒状に形成されるとともに、先端部に形成された透孔30に第一のシャフト19aが貫通されて、同第一のシャフト19aに回転可能に、かつ軸方向に移動不能に支持されている。
【0031】
回転ドラム25の先端面外周部には、前記伝達ギヤ21aの凸部23に係合可能とした切り欠き部31が中心に対し90°の範囲で形成されている。従って、伝達ギヤ21aは回転ドラム25に対し90°の範囲で相対回転可能であり、凸部23が切り欠き部31の端縁に当接した後は、回転ドラム25が伝達ギヤ21aと一体に回転されるようになっている。
【0032】
回転ドラム25の先端縁には、半長円状の凹部32が前記第一のシャフト19aの軸方向に形成されている。
前記クラッチドラム26は、第一のシャフト19aに対し回転可能に、かつ軸方向に移動不能に支持され、その一方には前記回転ドラム25内に突出する係合片33が形成されている。
【0033】
前記係合片33は中心に対し60°の範囲で形成され、回転ドラム25内には、図9に示すように、係合片33の回動軌跡上において180°の範囲で段部34が形成されている。
【0034】
従って、クラッチドラム26は係合片33の端縁が段部34の端縁に当接するまでのほぼ120°の範囲で回転ドラム25に対し相対回動可能となっている。
前記クラッチドラム26と回転ドラム25との間において、前記第一のシャフト19aには前記ストップバネ28が巻着されている。ストップバネ28は、図10に示すように、その両端部35a,35bが前記係合片33の両側において、回転ドラム25の段部34の回動軌跡上に突出するように折り曲げられている。
【0035】
そして、係合片33が端部35a,35bのいずれかに当接すると、ストップバネ28と第一のシャフト19aとの摩擦が増大して、クラッチドラム26の回転が阻止される。
また、回転ドラム25の段部34が端部35a,35bのいずれかに当接すると、ストップバネ28と第一のシャフト19aとの摩擦が減少して、クラッチドラム26及びストップバネ28が回転ドラム25と一体に回転するようになっている。
【0036】
前記クラッチドラム26の外周面には、断面半円状の案内溝36が周方向に形成されている。その案内溝36は、図11に示すように、中央部の係合溝37に対し、両端部の解除溝38が回転ドラム25側にオフセットされるように連続して形成されている。
【0037】
前記案内溝36には鋼球で形成されるクラッチボール39が同案内溝36内を移動可能に収容される。また、クラッチボール39が案内溝36内を移動するとき、そのクラッチボール39は、図12〜図14に示すように、前記回転ドラム25の凹部32に対し出没するようになっている。
【0038】
図15に示すように、前記クラッチドラム26と第一のシャフト19aとの間には、前記スリップバネ29が配設されている。そして、クラッチドラム26は第一のシャフト19aを支点とするスリップバネ29の付勢力により、前記伝達ドラム27に向かって付勢されている。
【0039】
このようなクラッチドラム26、クラッチボール39及びスリップバネ29によりクラッチ部が構成される。
前記伝達ドラム27は、前記第一のシャフト19aに対し回転可能に、かつ軸方向に移動不能に支持される。伝達ドラム27の先端部は、前記クラッチドラム26の外周を回転可能に形成され、その先端面には前記回転ドラム25に向かって突出する係止突起40が等間隔に3つ形成されている。
【0040】
そして、図14に示すように、クラッチボール39が係合溝37内に移動したとき、同クラッチボール39がいずれかの係止突起40に係合する位置まで移動するようになっている。
【0041】
前記伝達ドラム27の基端部には一対の連結片41が形成され、その連結片41がジョイントキャップ42に嵌着されている。また、前記ジョイントキャップ42の中心部には六角孔が形成され、その六角孔に前記駆動軸9aが嵌挿されている。
【0042】
従って、駆動軸9aはジョイントキャップ42を介して伝達ドラム27と一体に回転する。
前記第二のクラッチユニット24bは、図15及び図16に示すように、クラッチボール39が係止突起40に対し反対側に位置する点を除いて、第一のクラッチユニット24aと同様な構成である。
【0043】
図1に示すように、前記ジョイントキャップ42に隣接して第一及び第二のストッパーユニット43a,43bが配設される。この第一及び第二のストッパーユニット43a,43bは、逆方向の回転に基づいて同様に動作する点を除いて同一構成であるので、第一のストッパーユニット43aについてのみ説明する。
【0044】
前記第一のストッパーユニット43aは、例えば特開平11−187973号公報に記載されたストッパと同様な構成である。図17に示すように、ストッパードラム44は、前記駆動軸9aが中心部に嵌挿されて、同駆動軸9aと一体に回転する。
【0045】
ストッパーケース45は、ストッパードラム44の周囲に配設されて、前記ヘッドボックス1に対し回転不能に支持される。ストッパーボール46は、そのストッパードラム44とストッパーケース45との間に配設される。
【0046】
前記ストッパーケース45の内周面には前記ストッパーボール46を前記駆動軸9aに沿う方向に移動可能に支持する断面半円状のスライド溝47が形成される。前記ストッパードラム44の外周面には、同じく断面半円状の案内溝48が外周面上を周回するように形成されている。
【0047】
前記ストッパーボール46は前記スライド溝47及びストッパー案内溝48に沿って移動可能である。従って、ストッパードラム44が回転されると、ストッパーボール46はストッパー案内溝48に沿ってストッパードラム44の外周面上を相対的に周回しながら、スライド溝47に沿って移動する。
【0048】
前記ストッパー案内溝48の構成を図18に示す展開図に従って説明する。図18において、ストッパードラム44が前側生地2aの引き上げ方向に回転されると、ストッパーボール46はストッパー案内溝48上を相対的に矢印C方向に移動する。
【0049】
また、ストッパードラム44が前側生地2aの引き下げ方向に回転されると、ストッパーボール46はストッパー案内溝48上を相対的に矢印D方向に移動する。
前記ストッパードラム44の外周面一側には引き下げ溝49が形成される。前記引き下げ溝49には、矢印C方向に分岐する第一の戻り溝50が連通し、第一の戻り溝50は引き上げ溝51に対し矢印C方向に合流している。
【0050】
前記引き上げ溝51には、矢印D方向に分岐するストップ溝52が連通し、ストップ溝52は矢印D方向には係止部53で行き止まりとなり、矢印C方向に延びる第二の戻り溝54を経て、前記引き下げ溝49に合流している。
【0051】
このように構成された第一のストッパーユニット43aでは、前記ボールチェーン18の操作に基づいて、第一のクラッチユニット24aを介して駆動軸9aが前側生地2aの引き上げ方向に回転されると、ストッパーボール46は引き上げ溝51内を矢印C方向に移動する。
【0052】
前側生地2aを所望位置まで引き上げた後、ボールチェーン18を手放すと、前側生地2aの重量により、昇降コード5aが巻き戻されて、駆動軸9aを介してストッパードラム44が回転され、ストッパーボール46が引き上げ溝51内を矢印D方向に移動する。
【0053】
すると、ストッパーボール46は係止部53に係合して、ストッパードラム44のそれ以上の回転が阻止される。従って、この状態では前側生地2aの自重降下が阻止される。
次いで、前側生地2aを下降操作する場合には、ボールチェーン18を操作して前側生地2aを僅かに引き上げれば、ストッパーボール46は係止部53から第二の戻り溝54を経て引き下げ溝49内に案内される。
【0054】
すると、ストッパーボール46は引き下げ溝49内を矢印D方向に周回可能となるので、ボールチェーン18を手放せば、前側生地2aの自重による下降操作が可能となる。
また、ストッパーボール46が係止部53に係合している状態から、さらに前側生地2aを引き上げる場合には、ボールチェーン18を前側生地2aの引き上げ方向に操作する。
【0055】
すると、ストッパーボール46は係止部53から第二の戻り溝54を経て引き下げ溝49内に案内され、さらに第一の戻り溝50を経て引き上げ溝51内に案内される。従って、ボールチェーン18による前側生地2aの引き上げ操作が可能となる。
【0056】
前記ストッパーユニット43bは、ストッパードラム44の駆動軸9aとは逆方向となる駆動軸9bの回転に基づいて、第一のストッパーユニット43aと同様に動作する。
次に、上記のように構成された二重たくし上げカーテンの動作を説明する。
【0057】
[前側生地2aの引き上げ操作]
前側生地2aを引き上げるには、プーリー17から室内側に垂下されるボールチェーン18を下方へ引く。すると、駆動ギヤ15は図6に示す矢印A方向に回転され、これにともなって伝達ギヤ21a,21bは矢印a方向に回転される。
【0058】
伝達ギヤ21aの回転にともなって、第一のクラッチユニット24aの回転ドラム25が同方向に回転される。すると、回転ドラム25がクラッチドラム26に対し相対回転して、図12〜図14に示すように、クラッチボール39が解除溝38内から係合溝37内に移動する。そして、クラッチボール39が回転ドラム25の凹部32とクラッチドラム26の係止突起40とに係合する状態となる。
【0059】
また、図10(b)に示すように、回転ドラム25の段部34がストップバネ28の端部35aに当接する。すると、ストップバネ28と第一のシャフト19aとの摩擦が低減して、回転ドラム25とストップバネ28及びクラッチドラム26とが一体に回転する状態となる。従って、回転ドラム25の回転がクラッチドラム26に伝達される。
【0060】
クラッチドラム26が回転されると、ジョイントキャップ42を介して駆動軸9aが回転される。すると、巻取軸7aが回転されて、昇降コード5aが巻き取られ、前側生地2aが引き上げられる。
【0061】
このとき、第一のストッパーユニット43aでは駆動軸9aの回転にともなってストッパードラム44が回転する。そして、ストッパーボール46が係止部53から矢印C方向に相対移動して、引き下げ溝49内を移動し、第一の戻り溝50を経て引き上げ溝51内に移動し、引き上げ溝51内を周回する状態となる。
【0062】
従って、室内側に垂下されるボールチェーン18を下方へ引くことにより、前側生地2aが引き上げられる。
このような前側生地2aの引き上げ操作時に、後側生地2bが昇降されることはない。すなわち、駆動ギヤ15が矢印A方向に回転されて、伝達ギヤ21bが矢印b方向に回転される。すると、図15及び図16に示すように、クラッチドラム26の回転がストップバネ28により阻止された状態で、第二のクラッチユニット24bの回転ドラム25の回転に基づいてクラッチボール39が係合溝37から解除溝38内へ移動する。
【0063】
この状態では、クラッチボール39が凹部32内に移動するため、伝達ドラム27の係止突起40に係合することはない。従って、回転ドラム25の回転が伝達ドラム27に伝達されることはない。
【0064】
また、クラッチボール39が凹部32内に移動した後、回転ドラム25の段部34がストップバネ28の端部35aに当接すると、回転ドラム25とストップバネ28及びクラッチドラム26とが一体に回転する。
【0065】
ストッパーユニット43bでは、ストッパーボール46が係止部53に係合し、後側生地2bの自重降下を阻止する状態にある。従って、前側生地2aの引き上げ操作時に後側生地2bが昇降することはない。
【0066】
[前側生地2aの引き上げ停止操作]
前側生地2aを所望位置まで引き上げた後、ボールチェーン18を手放すと、前側生地2aの重量により駆動軸9aが昇降コード5aの巻き戻し方向に回転しようとする。
【0067】
すると、第一のストッパーユニット43aにおいて、ストッパーボール46が引き上げ溝51内を矢印D方向に移動して、係止部53に係合する。すると、駆動軸9aのそれ以上の回転が阻止され、前側生地2aの自重降下が阻止される。
【0068】
このとき、駆動軸9aの回転にともなって伝達ドラム27が回転され、伝達ドラム27の回転にともなって回転ドラム25が回転される。すると、クラッチボール39が、図19〜図21に示すように、係合溝37から解除溝38に移動する。また、回転ドラム25は伝達ギヤ21aに対し切り欠き部31の範囲で相対回転可能であるので、回転ドラム25の回転が伝達ギヤ21aに伝達されることはない。
【0069】
従って、駆動ギヤ15が回転されることはないので、第二のクラッチユニット24bは動作せず、後側生地2bが引き上げられることもない。
[前側生地2aの下降操作]
前側生地2aを下降操作する場合には、室内側に垂下されるボールチェーン18を僅かに下方へ引く。すると、駆動ギヤ15及び伝達ギヤ21aを介して第一のクラッチユニット24aの回転ドラム25が回転され、回転ドラム25の回転に基づいて伝達ドラム27が回転される。
【0070】
伝達ドラム27の回転に基づいて、第一のストッパーユニット43aのストッパードラム44が回転され、ストッパードラム44が回転されて、ストッパーボール46が図18に示す矢印C方向に移動し、係止部53から第二の戻り溝54を経て引き下げ溝49内に移動する。
【0071】
この状態で、ボールチェーン18を手放すと、ストッパーボール46は引き下げ溝49内を相対的に矢印D方向に周回可能な状態となり、ストッパードラム44が回転可能な状態となる。
【0072】
すると、駆動軸9a及び巻取軸7aが回転可能な状態となり、前側生地2aの重量により巻取軸7aから昇降コード5aが巻き戻されて、前側生地2aが下限まで下降可能となる。
【0073】
このような下降動作の開始時には、駆動軸9aの回転にともなって伝達ドラム27及び回転ドラム25が回転されるが、クラッチドラム26はストップバネ28によりその回転が阻止されている。
【0074】
すると、ストッパーボール46は図19〜図21に示すように、案内溝36内において係合溝37から解除溝38に向かって移動し、図21に示すように解除溝38内に移動する。
【0075】
従って、回転ドラム25がわずかに回転した後は、伝達ドラム27の回転が回転ドラム25に伝達されることはない。
このような前側生地2aの下降操作時において、ボールチェーン18の操作により駆動ギヤ15を介して伝達ギヤ21bがわずかに回転される。このとき、第二のクラッチユニット24bでは図15及び図16に示すように、クラッチボール39が伝達ドラム27の係止突起40から離れる方向に移動するため、伝達ドラム27が回転されることはない。
【0076】
従って、前側生地2aを下降させるためにボールチェーン18を操作するとき、後側生地2bが動作することはない。
また、前側生地2aが下降動作を開始するとき、回転ドラム25がわずかに回転されるが、回転ドラム25は切り欠き部31により伝達ギヤ21aに対し相対回転するので、回転ドラム25の回転が伝達ギヤ21aに伝達されることはない。従って、前側生地2aの下降操作により後側生地2bが動作することはない。
【0077】
[前側生地2aの下降停止操作]
前側生地2aの下降動作を途中で停止させる場合には、室内側に垂下されるボールチェーン18をわずかに下方へ引く。すると、駆動ギヤ15が回転され、伝達ギヤ21aを介して第一のクラッチユニット24aの回転ドラム25が回転される。
【0078】
回転ドラム25の回転に基づいて、回転ドラム25がクラッチドラム26に対し相対回転して、クラッチボール39は図21、図20及び図19に示すように、解除溝38内から係合溝37内に移動する。
【0079】
すると、伝達ドラム27の係止突起40がクラッチボール39に係合して、伝達ドラム27の回転が阻止される。この結果、駆動軸9aの回転が阻止されて、ストッパードラム44の回転が停止されるとともに、前側生地2aの下降動作が停止される。
【0080】
この状態からさらに回転ドラム25が回転されると、第一のストッパーユニット43aにおいて、ストッパーボール46が引き下げ溝49内を矢印C方向に移動し、第一の戻り溝50を経て、引き上げ溝51内に移動する。
【0081】
この状態でボールチェーン18を手放すと、前側生地2aの重量により駆動軸9aが回転されて、ストッパードラム44が回転され、ストッパーボール46は引き上げ溝51内を矢印D方向に相対移動する。
【0082】
すると、ストッパーボール46は係止部53に係止されてそれ以上の相対移動が阻止されるので、駆動軸9aの回転が阻止される。従って、前側生地2aの下降動作が停止される。
【0083】
このような下降停止操作時にも、上記前側生地2aの引き上げ操作時及び下降操作時と同様に、ボールチェーン18の操作により後側生地2bが動作することはない。
[後側生地2bの引き上げ操作]
後側生地2bを引き上げるには、プーリー17から室外側に垂下されるボールチェーン18を下方へ引く。すると、駆動ギヤ15は図6に示す矢印B方向に回転され、これにともなって伝達ギヤ21a,21bは矢印a方向に回転される。
【0084】
伝達ギヤ21bの回転にともなって、第二のクラッチユニット24bの回転ドラム25が同方向に回転される。そして、第二のクラッチユニット24b及びストッパーユニット43bが、その回転方向を除いて、上記前側生地2aの引き上げ操作にともなう第一のクラッチユニット24a及び第一のストッパーユニット43aと同様に動作する。
【0085】
この結果、駆動軸9bが回転されて、昇降コード5bが巻き上げられ、後側生地2bが引き上げられる。
このような後側生地2bの引き上げ操作時に、前側生地2aが昇降されることはない。すなわち、駆動ギヤ15が矢印B方向に回転されて、伝達ギヤ21aが矢印b方向に回転される。すると、第一のクラッチユニット24aにおいて、図15及び図16に示すように、クラッチドラム26の回転がストップバネ28により阻止された状態で、回転ドラム25の回転に基づいてクラッチボール39が係合溝37から解除溝38内へ移動する。
【0086】
この状態では、クラッチボール39が凹部32内に移動するため、回転ドラムの係止突起40に係合することはない。従って、回転ドラム25の回転が伝達ドラム27に伝達されることはない。
【0087】
また、クラッチボール39が凹部32内に移動した後、回転ドラム25の段部34がストップバネ28の端部35aに当接すると、回転ドラム25とストップバネ28及びクラッチドラム26とが一体に回転する。
【0088】
第一のストッパーユニット43aでは、ストッパーボール46が係止部53に係合し、前側生地2aの自重降下を阻止する状態にある。従って、後側生地2bの引き上げ操作時に前側生地2aが動作することはない。
【0089】
[後側生地2bの下降操作]
後側生地2bを下降操作する場合には、室外側に垂下されるボールチェーン18を僅かに下方へ引く。すると、駆動ギヤ15及び伝達ギヤ21bを介して第二のクラッチユニット24bの回転ドラム25が回転され、回転ドラム25の回転に基づいて伝達ドラム27が回転される。
【0090】
伝達ドラム27の回転に基づいて、ストッパーユニット43bのストッパードラム44が回転され、ストッパードラム44が回転されて、ストッパーボール46が図14に示す矢印C方向に移動し、係止部53から第二の戻り溝54を経て引き下げ溝49内に移動する。
【0091】
この状態で、ボールチェーン18を手放すと、ストッパーボール46は引き下げ溝49内を相対的に矢印D方向に周回可能な状態となり、ストッパードラム44が回転可能な状態となる。
【0092】
すると、駆動軸9b及び巻取軸7bが回転可能な状態となり、後側生地2bの重量により巻取軸7bから昇降コード5bが巻き戻されて、後側生地2bが下限まで下降可能となる。
【0093】
このような下降動作の開始時には、駆動軸9bの回転にともなって第二のクラッチユニット24bの伝達ドラム27及び回転ドラム25が回転されるが、クラッチドラム26はストップバネ28によりその回転が阻止されている。
【0094】
すると、クラッチボール39は図19及び図20に示すように、案内溝36内において係合溝37から解除溝38に向かって移動し、図21に示すように解除溝38内に移動する。
【0095】
従って、回転ドラム25がわずかに回転した後は、伝達ドラム27の回転が回転ドラム25に伝達されることはない。
このような後側生地2bの下降操作時において、ボールチェーン18の操作により駆動ギヤ15を介して伝達ギヤ21aがわずかに回転されるが、第一のクラッチユニット24aでは、クラッチボール39が伝達ドラム27の係止突起40から離れる方向に移動するため、伝達ドラム27が回転されることはない。
【0096】
従って、後側生地2bを下降させるためにボールチェーン18を操作するとき、前側生地2aが動作することはない。
また、後側生地2bが下降動作を開始するとき、第二のクラッチユニット24bの回転ドラム25がわずかに回転されるが、同回転ドラム25は切り欠き部31により伝達ギヤ21bに対し相対回転するので、同回転ドラム25の回転が伝達ギヤ21bに伝達されることはない。従って、後側生地2bの下降操作により前側生地2aが動作することはない。
【0097】
[後側生地2bの下降停止操作]
後側生地2bの下降動作を途中で停止させる場合には、室外側に垂下されるボールチェーン18をわずかに下方へ引く。すると、駆動ギヤ15が回転され、伝達ギヤ21bを介して第二のクラッチユニット24bの回転ドラム25が回転される。
【0098】
そして、前側生地2aの下降停止操作時の第一のクラッチユニット24aと第一のストッパーユニット43aの動作と同様に第二のクラッチユニット24b及びストッパーユニット43bが動作して、後側生地2bの下降動作が停止される。
【0099】
このような下降停止操作時にも、上記後側生地2bの引き上げ操作時及び下降操作時と同様に、ボールチェーン18の操作により前側生地2aが動作することはない。
[クラッチユニット24a,24bの動作エラー防止動作]
前側生地2aを引き上げ操作するために、室内側に垂下されたボールチェーン18を下方へ引いて、第一のクラッチユニット24aの回転ドラム25を回転させる場合の動作エラー防止動作について説明する。
【0100】
図22及び図23に示すように、回転ドラム25の回転に基づいて、クラッチボール39が解除溝38から係合溝37に移動しようとするとき、クラッチボール39が係止突起40の頂部に当接することがある。
【0101】
この場合には、クラッチドラム26は軸方向に移動可能であるので、図15(b)に示すように、クラッチドラム26がスリップバネ29の付勢力に抗して駆動ドラム側に移動する。そして、図24に示すように、クラッチボール39が係合溝37内に移動する。
【0102】
この状態から回転ドラム25がさらに回転されて、係止突起40がクラッチボール39を乗り越えると、図25に示すように、クラッチドラム26がスリップバネ29の付勢力により原位置に復帰する。そして、クラッチボール39が係止突起40及び凹部32に係合可能となる。
【0103】
従って、回転ドラム25を前側生地2aの引き下げ操作側に回転操作するとき、クラッチボール39が係止突起40の頂部に当接しても、クラッチボール39が解除溝38から係合溝37内に移動され、回転ドラム25の回転が伝達ドラム27に伝達される状態となる。
【0104】
また、後側生地2bに対応する第二のクラッチユニットにおいても同様に動作する。
上記のような二重たくし上げカーテンでは、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)一本のボールチェーン18の操作により、前側生地2aの昇降操作と、後側生地2bの昇降操作とをそれぞれ独立して行うことができる。
(2)前側生地2a及び後側生地2bは、自重による下降操作が可能であるので、その下降操作を容易に行うことができる。
(3)前側生地2a及び後側生地2bの昇降操作を、一本のボールチェーン18で行うことができるので、その昇降操作を容易にかつ迅速に行うことができる。
(4)前側生地2aの昇降操作時に後側生地2bが昇降されることはなく、後側生地2bの昇降操作時に前側生地2aが昇降されることはない。
(5)前側生地2aを引き上げ操作する場合には、室内側に垂下されるボールチェーン18を下方に引く操作を行えばよい。また、前側生地2aを所望位置まで引き上げた後はボールチェーン18を手放せば、前側生地2aの自重降下が阻止されて、前側生地2aが所望位置に吊下支持される。前側生地2aを下降操作する場合には室内側に垂下されたボールチェーン18を僅かに下方へ引き下げた後手放せば、前側生地2aをその自重により下降操作することができる。また、前側生地2aの下降操作を停止する場合には、室内側に垂下されたボールチェーン18をわずかに下方へ引けばよい。従って、前側生地2aの昇降操作は、室内側に垂下されるボールチェーン18を操作することにより行うことができるので、その昇降操作を迅速にかつ容易に行うことができる。
(6)後側生地2bを引き上げ操作する場合には、室外側に垂下されるボールチェーン18を下方に引く操作を行えばよい。また、後側生地2bを所望位置まで引き上げた後はボールチェーン18を手放せば、後側生地2bの自重降下が阻止されて、後側生地2bが所望位置に吊下支持される。後側生地2bを下降操作する場合には室外側に垂下されたボールチェーン18を僅かに下方へ引き下げた後手放せば、後側生地2bをその自重により下降操作することができる。また、後側生地2bの下降操作を停止する場合には、室外側に垂下されたボールチェーン18をわずかに下方へ引けばよい。従って、後側生地2bの昇降操作は、室外側に垂下されるボールチェーン18を操作することにより行うことができるので、その昇降操作を迅速にかつ容易に行うことができる。
(7)回転ドラム25を前側生地2aあるいは後側生地2bの引き上げ操作側に回転操作するとき、クラッチボール39が係止突起40の頂部に当接しても、クラッチボール39を解除溝38から係合溝37内に移動させて、回転ドラム25の回転を伝達ドラム27に確実に伝達することができる。従って、前側生地2aあるいは後側生地2bの昇降操作を円滑に行うことができる。
(8)クラッチドラム26を軸方向に移動させて、クラッチボール39と係止突起40の頂部との無用な係合を回避することができるので、第一及び第二のクラッチユニット24a,24bを径方向に大型化させることがない。
(9)クラッチボール39を回転ドラム25の回転軸方向に移動させるので、第一及び第二のクラッチユニット24a,24bを径方向に大型化させることがない。
【0105】
(第二の実施の形態)
図26は、第二の実施の形態を示す。この実施の形態は、前記第一の実施の形態の第一及び第二のクラッチユニット24a,24bに対する別の実施の形態を示すものである。クラッチユニット以外の構成は、第一あるいは第二の実施の形態と同様である。
【0106】
第三のシャフト71は、前記実施の形態と同様にキャップを介してヘッドボックスに対し回転不能に支持される。駆動ドラム72は、第三のシャフト71に対し回転可能にかつ軸方向に移動不能に支持され、前記実施の形態と同様に、ボールチェーンの操作に基づいて駆動ギヤ及び図28に示す伝達ギヤ89を介して回転される。
【0107】
前記伝達ギヤ89は、第三のシャフト71に対し回転可能に支持され、中心に対し60°の範囲で係合部90が形成される。図26に示す駆動ドラム72の係合部72aは、伝達ギヤ89の係合部90と同一回動軌跡上に位置し、中心に対し60°の範囲で形成されている。
【0108】
従って、伝達ギヤ89と駆動ドラム72は、係合部90,72aが互いに当接したとき一体に回転するため、前記第一の実施の形態と同様に、伝達ギヤ89と駆動ドラム72との間には、所定角度の空転領域が存在する。
【0109】
前記駆動ドラム72に隣接して、クラッチドラム73が第三のシャフト71に対し回転可能に、かつ軸方向に移動可能に支持されている。前記クラッチドラム73は、図28に示すように、その外周面に案内溝74が中心に対し点対称状に形成され、その案内溝74は係合溝75と解除溝76とが軸方向にオフセットされて形成されている。
【0110】
前記駆動ドラム72とクラッチドラム73との間にはスリップバネ77が配設されている。クラッチドラム73は駆動ドラム72を支点とするスリップバネ77の付勢力により、駆動ドラム72から離間する方向、すなわち図26に示す矢印E方向に付勢されている。
【0111】
前記クラッチドラム73に隣接して、前記第三のシャフト71にはカラー78が回転不能に嵌着され、そのカラー78の外周面にはストップバネ79が巻着されている。ストップバネ79の両端部80a,80bは、図27に示すように、径方向に折り曲げられ、その両端部80a,80b間に前記クラッチドラム73の係合部73aが突出されている。
【0112】
そして、係合部73aがストップバネ79の端部80a,80bのいずれかに当接すると、ストップバネ79とカラー78との摩擦が増大して、クラッチドラム73の回転が阻止されるようになっている。
【0113】
前記クラッチドラム73の周囲には、回転ドラム81が回転可能に、かつ軸方向に移動可能に支持されている。回転ドラム81には前記駆動ドラム72側に開口する係合凹部82が形成され、その係合凹部82には前記駆動ドラム72に形成された係合凸部83が係合されている。従って、回転ドラム81は駆動ドラム72と一体に回転される。
【0114】
前記回転ドラム81の内周面には、前記クラッチドラム73の案内溝74に係合する半球状のクラッチ凸部84が形成されている。そして、回転ドラム81が回転すると、クラッチ凸部84が案内溝74に案内されて、回転ドラム81が軸方向に移動するようになっている。
【0115】
前記回転ドラム81の内周面には、前記ストップバネ79の端部80a,80bに当接する係合部85が形成されている。そして、係合部85が端部80a,80bのいずれかに係合すると、ストップバネ79とカラー78との摩擦が低減されて、ストップバネ79及びクラッチドラム73が回転ドラム81と一体に回転される。
【0116】
前記第三のシャフト71の先端部には、伝達ドラム86が回転可能に、かつ軸方向に移動不能に支持されている。伝達ドラム86の基端側端面、すなわち前記回転ドラム81に対向する端面には、一対の鋸歯状の被動係止歯87が形成されている。
【0117】
前記回転ドラム81の先端側端面、すなわち前記伝達ドラム86に対向する端面には、一対の鋸歯状の駆動係止歯88が形成される。そして、回転ドラム81が回転されて伝達ドラム86側に移動すると、駆動係止歯88が被動係止歯87に係合して、回転ドラム81と伝達ドラム86とが一体に回転される。
【0118】
また、図29、図30に示すように、回転ドラム81が駆動ドラム72側に移動すると、駆動係止歯88と被動係止歯87との係合が解除されて、伝達ドラム86が自在に回転可能な状態となる。
【0119】
前記伝達ドラム86は、例えば第一の実施の形態の駆動軸9a,9bと同様な駆動軸と一体に回転するように連結される。また、駆動軸は第一の実施の形態と同様なストッパーユニットによりその回転動作が制御される。
【0120】
このように構成されたクラッチユニットを備えた二重たくし上げカーテンでは、ボールチェーンの操作により、駆動ドラム72が生地の引き上げ方向に回転されると、クラッチドラム73の回転がストップバネ79により阻止された状態で、回転ドラム81が回転される。
【0121】
そして、クラッチ凸部84が係合溝75内に案内されて、回転ドラム81が伝達ドラム86に向かって移動し、駆動係止歯88が被動係止歯87に係合する。
すると、駆動ドラム72の回転が回転ドラム81を介して伝達ドラム86に伝達され、伝達ドラム86の回転に基づいて、生地が引き上げられる。
【0122】
このとき、駆動係止歯88が被動係止歯87に係合した後は、回転ドラム81の係合部がストップバネ79の端部80aに当接するため、クラッチドラム73及びストップバネ79は駆動ドラム72と一体に回転される。
【0123】
生地を所望位置まで引き上げた後、ボールチェーンを手放したときには、ストッパーユニットの動作により、生地の自重降下が阻止される。
生地が所望位置に吊下支持されている状態から、ボールチェーンを前記引き上げ操作と同方向へ僅かに操作して、ストッパーユニットで自重降下を許容する状態とすると、駆動軸及び伝達ドラム86を介して回転ドラム81が生地の下降方向に回転される。
【0124】
すると、クラッチドラム73の回転が阻止された状態で回転ドラム81が回転され、その回転に基づいて回転ドラム81が駆動ドラム72側に移動する。この結果、回転ドラム81の駆動係止歯88と伝達ドラム86の被動係止歯87との係合が解除され、伝達ドラム86は自在に回転可能な状態となる。従って、生地は自重により下降する。
【0125】
生地の下降動作を停止するには、ボールチェーンをさらに同方向へ僅かに引くと、駆動ドラム72が回転されて回転ドラム81が伝達ドラム86と係合する状態となる。そして、第一の実施の形態と同様に、ストッパーユニットの動作により、生地の自重降下が阻止される。
【0126】
このような動作により、この実施の形態のクラッチユニットを備えたたくし上げカーテンでは、前記第一の実施の形態と同様な作用効果を得ることができる。
また、この実施の形態では、回転ドラム81の一対のクラッチ凸部84をクラッチドラム73の一対の案内溝74に係合させたので、回転ドラム81を軸方向に円滑に移動させることができる。
【0127】
また、カーテン生地の引き上げ操作を行うために、駆動ドラム72を回転させて、駆動係止歯88を被動係止歯87に係合させるとき、図31に示すように、駆動係止歯88と被動係止歯87との先端が当接することがある。
【0128】
このような場合には、図32に示すように、回転ドラム81とクラッチドラム73がスリップバネ77の付勢力に抗して軸方向に移動する。この結果、駆動係止歯88が被動係止歯87を乗り越えて、図27に示すように、互いに係合する状態となる。
【0129】
従って、駆動係止歯88と被動係止歯87とを確実に係合させて、カーテン生地の昇降操作を円滑に行うことができる。
上記実施の形態は、次に示すように変更することもできる。
・伝達ドラム27の係止突起40は、一つのみとしてもよい。
・第一及び第二のストッパーユニット43a,43bは、駆動軸9a,9bを貫通し得る位置であれば、ヘッドボックス1内の任意の位置に設けてもよい。
・たくし上げカーテンやロールブラインドに代えて、プリーツカーテンや横型ブラインドの昇降装置に応用してもよい。
・クラッチドラム26の案内溝36は、係合溝37の一方にのみ解除溝38を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】第一の実施の形態の二重たくし上げカーテンを示す一部破断正面図である。
【図2】第一の実施の形態を示す右側面図である。
【図3】第一の実施の形態を示す一部破断左側面図である。
【図4】操作装置を示す断面図である。
【図5】操作装置内のプーリーを示す正面図である。
【図6】操作装置内のギヤ機構を示す正面図である。
【図7】プレートを示す正面図である。
【図8】クラッチユニットを示す分解斜視図である。
【図9】駆動ドラムを示す側面図である。
【図10】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図11】伝達ドラムの案内溝を示す展開図である。
【図12】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図13】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図14】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図15】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図16】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図17】ストッパーユニットを示す断面図である。
【図18】ストッパー案内溝を示す展開図である。
【図19】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図20】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図21】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図22】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図23】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図24】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図25】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図26】第二の実施の形態を示す断面図である。
【図27】第二の実施の形態を示す断面図である。
【図28】第二の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図29】第二の実施の形態を示す断面図である。
【図30】第二の実施の形態を示す断面図である。
【図31】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【図32】クラッチユニットの動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0131】
1 ヘッドボックス
2a,2b 遮蔽材
18 操作コード(ボールチェーン)
7a,7b 昇降動作部(巻取軸)
24a,24b クラッチユニット
25,81 回転ドラム
27,86 伝達ドラム
32,88 第一の係合手段(凹部、駆動係止歯)
40,87 第二の係合手段(係止突起、被動係止歯)
26,73 クラッチ部(クラッチドラム)
39,84 クラッチ部(クラッチボール、クラッチ凸部)
29,77 付勢手段(スリップバネ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックスから日射遮蔽材を吊下支持し、前記ヘッドボックスから垂下される操作コードを操作することにより、クラッチユニットを介して昇降動作部を動作させ、前記日射遮蔽材を引き上げおよび自重による下降を可能とした日射遮蔽材昇降装置において、
前記クラッチユニットは、
前記操作コードの操作に基づいて回転される回転ドラムと、
前記昇降動作部を駆動する伝達ドラムと、
前記回転ドラムと伝達ドラムに形成された第一及び第二の係合手段と、
前記第一及び第二の係合手段を係合させて前記回転ドラムの回転を前記伝達ドラムに伝達し、また前記第一及び第二の係合手段の係合を解除させて前記回転ドラムと前記伝達ドラムとの間の伝達を遮断するクラッチ部とを備え、
前記クラッチ部は、前記回転ドラムの回転に伴って回転ドラムをその軸方向であって伝達ドラムに近接する方向に移動させて前記第一及び第二の係合手段を係合させるとともに、前記第一及び第二の係合手段が係合した状態で前記伝達ドラムが日射遮蔽材を下降させる方向に回転したときには前記回転ドラムをその軸方向であって伝達ドラムから離間する方向に移動させて前記第一及び第二の係合手段の係合を解除させることを特徴とする日射遮蔽材昇降装置。
【請求項2】
前記クラッチユニットは、案内溝が形成されたクラッチドラムを備え、
前記クラッチ部は、クラッチドラムに形成された案内溝と、前記回転ドラムに形成され前記案内溝に沿って移動するクラッチ凸部とで構成し、
前記回転ドラムは、クラッチ凸部が案内溝を移動する範囲においてクラッチドラムに対して相対回転かつ軸方向に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の日射遮蔽材昇降装置。
【請求項3】
前記第一の係合手段は前記回転ドラムに設けた駆動係止歯であり、前記第二の係合手段は前記伝達ドラムに設けた被動係止歯であり、
前記案内溝は係合溝と解除溝により構成されており、前記クラッチ凸部が係合溝に位置するときは前記回転ドラムの駆動係止歯は伝達ドラムの被動係止歯に係合する位置に保持され、また前記クラッチ凸部が解除溝に位置するときは前記回転ドラムの駆動係止歯は伝達ドラムの被動係止歯との係合が解除される位置に保持され、
前記回転ドラムの駆動係止歯と伝達ドラムの被動係止歯とが係合した状態で前記伝達ドラムが日射遮蔽材を下降させる方向に回転したときには、前記回転ドラムがクラッチドラムと相対回転することによりクラッチ凸部が解除溝へと案内されて駆動係止歯と被動係止歯との係合が解除されることを特徴とする請求項2に記載の日射遮蔽材昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2008−231913(P2008−231913A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125047(P2008−125047)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【分割の表示】特願2002−174444(P2002−174444)の分割
【原出願日】平成14年6月14日(2002.6.14)
【出願人】(000250672)立川ブラインド工業株式会社 (224)
【Fターム(参考)】