説明

日射遮蔽装置

【課題】被固定部材をフレーム内に安定して固定可能した日射遮蔽装置を提供する。
【解決手段】開口部を備えた形材で形成したフレーム1と、フレーム内で該フレームの長手方向にのみ移動可能に支持された被固定部材と、被固定部材に取着され、該被固定部材をフレームに固定する固定手段とを備えた日射遮蔽装置において、固定手段は、弾性を有する圧接部材24と、被固定部材に形成され、圧接部材を被固定部材の固定位置と固定解除位置との間で回動可能に支持する支持部と、被固定部材に形成され、固定位置で圧接部材24をフレーム1の内側面上部に圧接する圧接力生成手段31を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たくし上げカーテンの昇降コード巻取り装置等の被固定部材に、該被固定部材をフレームに固定する固定手段を備えた日射遮蔽装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たくし上げカーテンは、フレームからカーテン生地が吊下支持され、そのカーテン生地の下端部を昇降コードで引き上げることによりカーテン生地をたくし上げ、あるいは下降させて採光量を調節可能としたものである。
【0003】
フレーム内には昇降コード巻取り装置が配設され、フレームの一端には操作チェーンを垂下した操作装置が取着される。そして、操作チェーンの操作により操作装置を介して駆動軸を回転させ、その駆動軸の回転に基づいてカーテン生地を昇降可能となっている。
【0004】
上記のようなたくし上げカーテンでは、昇降コード巻取り装置を固定ネジでフレームに固定したり、特許文献1に開示されるように、昇降コード巻取り装置の軸受け部材に設けられた固定金具を回動させることによりフレームに固定するようになっている。
【0005】
また、合成樹脂の弾性を利用して、昇降コード巻取り装置をフレームに固定する固定装置も提案されている。
特に、カーテン生地が設置現場でフレームに取着されるたくし上げカーテンでは、カーテン生地の裏面に取着される案内リングに昇降コードを挿通するために、昇降コード巻取り装置の固定位置をフレームの長手方向に調整する必要がある。従って、昇降コード巻取り装置をフレームの所望位置に固定するために、上記のような固定ネジや固定金具を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−5314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
昇降コード巻取り装置の軸受け部材を固定ネジで固定するたくし上げカーテンでは、その固定作業にドライバ等の工具が必要となるとともに、フレームの下方から固定ネジを螺入する作業が煩雑である。
【0008】
合成樹脂の弾性を利用して昇降コード巻取り装置をフレームに固定する固定装置では、合成樹脂の塑性変形により保持力が経時劣化するため、昇降コード巻取り装置を安定して固定することができない。
【0009】
特許文献1に開示される固定装置では、固定金具をフレームの開口部近傍に当接させて、軸受け部材をフレーム内の天井面に圧接する構成である。このため、形材で形成されるフレームの開口部の寸法精度がもともと不安定であることと、固定金具による押圧力により開口部に撓みが生じ易いことから、軸受け部材をフレームに確実に固定できなかったり、あるいは固定金具を回動操作するために大きな操作力が必要となることがある。
【0010】
この発明の目的は、被固定部材をフレーム内に安定して固定可能した日射遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1では、開口部を備えた形材で形成したフレームと、前記フレーム内で該フレームの長手方向にのみ移動可能に支持された被固定部材と、前記被固定部材に取着され、該被固定部材を前記フレームに固定する固定手段とを備えた日射遮蔽装置において、前記固定手段は、弾性を有する圧接部材と、前記被固定部材に形成され、前記圧接部材を前記被固定部材の固定位置と固定解除位置との間で回動可能に支持する支持部と、前記被固定部材に形成され、前記固定位置で前記圧接部材を前記フレームの内側面上部に圧接する圧接力生成手段とを備えた。
【0012】
請求項2では、前記被固定部材には、前記圧接部材を前記固定位置に案内する操作片を設け、前記操作片を前記フレームの開口部に露出した。
請求項3では、前記被固定部材には、前記圧接部材を前記固定位置に保持する保持部を設けた。
【0013】
請求項4では、前記被固定部材には、前記保持部の作動を解除する解除装置を設け、前記解除装置を前記開口部に露出した。
請求項5では、前記圧接部材は、金属線材を折り曲げて並行に延びる並行部を形成するとともに、前記並行部の先端を前記フレームの内側面に向かって折曲げ、前記被固定部材には前記固定位置で前記並行部の間隔を拡大して該並行部の先端を前記フレームの内側面に圧接する突起を前記圧接力生成手段として設けた。
【0014】
請求項6では、前記圧接部材を、弾性を有する金属線材で形成した。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被固定部材をフレーム内に安定して固定可能した日射遮蔽装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】たくし上げカーテンを示す正面図である。
【図2】たくし上げカーテンを示す側面図である。
【図3】昇降コード巻取り装置を示す正面図である。
【図4】昇降コード巻取り装置を示す側面図である。
【図5】昇降コード巻取り装置を示す分解斜視図である。
【図6】圧接部材の動作を示す正面図である。
【図7】圧接部材の動作を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。図1及び図2に示すたくし上げカーテンは、フレーム1からカーテン生地2が吊下支持され、そのカーテン生地2の下端部に形成された袋状部3内にボトムレール4が挿通支持されている。
【0018】
前記フレーム1内には少なくとも2つの昇降コード巻取り装置5が配設され、その昇降コード巻取り装置5から昇降コード6が吊下支持されている。前記昇降コード6の下端にはフック7が取着され、そのフック7が前記カーテン生地2の下端部に取着されている。
【0019】
前記昇降コード巻取り装置5は、支持部材8に巻取軸9が回転可能に支持され、その巻取軸9に前記昇降コード6の上端部が取着されている。そして、巻取軸9の回転により昇降コード6が巻取軸9に巻き取られ、あるいは巻き戻されるようになっている。
【0020】
前記巻取軸9の中心部には六角棒状の駆動軸10が相対回転不能に挿通され、その駆動軸10の一端は前記フレーム1の一端部に取着された操作装置11の出力軸に嵌着されている。
【0021】
次に、前記昇降コード巻取り装置5の具体的構成を図3〜図5に従って説明する。図4に示すように、前記フレーム1は下方に開口する開口部を備えたほぼ四角筒状の形材で形成されている。前記支持部材8は、弾性を有する合成樹脂で、前記フレーム1の側方から同フレーム1内に挿入可能とする形状に形成され、その長手方向両端部が前記フレーム1に対し同フレーム1の長手方向にのみ移動可能に保持されている。また、前記支持部材8の長手方向両端部には軸受部20a,20bが形成されている。
【0022】
前記巻取軸9は一端から他端に向かって直径が徐々に小さくなるように形成され、その両端部に軸部21が形成されている。そして、軸部21が前記軸受部20aに形成された軸受孔18と、前記軸受部20bに形成された軸受溝19に回転可能に支持されている。
【0023】
また、軸受溝19の内側面には、軸部21を軸受溝19内に保持する一対の突起19aが対向して設けられている。
前記巻取軸9の他端側には、前記昇降コード6の上端を掛止めする掛止め部22が形成されている。前記昇降コード6は、その上端が前記掛止め部22に取着され、前記巻取軸9の外周面を経て、前記支持部材8の一端部に設けられた案内部23から下方へ垂下されている。
【0024】
そして、巻取軸9が昇降コード巻取り方向に回転されると、昇降コード6は巻取軸9の大径側に巻き取られるとともに小径側に向かって順次送られて螺旋状に巻き取られる。
前記支持部材8の他端部には、支持部材8を前記フレーム1内で移動不能に固定するための圧接部材24が取着されている。前記圧接部材24は、変形可能領域内で弾性変形する金属線材を折り曲げて形成される。
【0025】
すなわち、一本の線材の中間部を折り曲げて矩形の係止部25が形成され、その係止部25の両側に延びる線材は、係止部25の近傍位置で同一方向に直角に折り曲げられて、並行部26a,26bが形成されている。
【0026】
前記並行部26a,26bは、折曲げ位置から並行部26a,26bの中間位置までその間隔が徐々に拡大され、各並行部26a,26bの先端部は互いに遠ざかる方向に直角に折曲げられて、回動支点部27a,27bが形成されている。
【0027】
前記支持部材8の他端側の軸受部20bの上端部には、前記回動支点部27a,27bを弾性的に嵌合可能とした支持溝28a,28bが形成されている。また、軸受部20bの外側面には、前記軸受溝19の開口縁に沿ってリブ30が形成され、そのリブ30の前後両側には、前記フレーム1の前後幅方向に突出する一対の突起31が形成されている。
【0028】
前記突起31の先端部には、図4及び図5に示すように、前記支持部材8の外側に向かう斜面29が形成されている。
前記軸受部20bには下方へ突出する操作片32が形成され、その操作片32の下端部に設けられた凹凸部33を図6に示す矢印A方向に押圧すると、操作片32の下端部が同方向へ撓むようになっている。また、前記圧接部材24を前記支持溝28a,28bに取着した状態では、前記操作片32は前記並行部26a,26b間に位置している。
【0029】
前記支持部材8には、その底面の長手方向中央部から前記操作片32に向かって延びる弾性片34が形成され、その弾性片34の先端には前記係止部25を保持可能とした保持部35が形成されている。
【0030】
そして、図6に示す状態から操作片32を矢印A方向に撓ませると、圧接部材24の係止部25が支持溝28a,28bを回動支点として同方向に回動して、図3に示すように、係止部25が保持部35に保持されるようになっている。
【0031】
前記弾性片34は、上方すなわち図3に示す矢印B方向へ押圧操作すると、合成樹脂の弾性によりその先端が上方へ撓んで保持部35から係止部25が外れるようになっている。
【0032】
前記圧接部材24は、図6及び図7に示す状態から操作片32の操作により矢印A方向に回動されて、図3に示す状態となると、圧接部材24の並行部26a,26bが斜面29から突起31に乗り上げて、その間隔が拡大される。
【0033】
すると、図4に示すように回動支点部27a,27bが互いに遠ざかる方向すなわち矢印C1,C2方向に移動して、回動支点部27a,27bの先端がフレーム1の内側面に圧接される。この結果、支持部材8がフレーム1に対し移動不能に固定される。
【0034】
次に、上記のように構成された昇降コード巻取り装置5の作用を説明する。
フレーム1内に収容され、巻取軸9に駆動軸10が挿通された昇降コード巻取り装置5をフレーム1内の所望位置に固定するには、図6に示すように、圧接部材24を保持部35から外した状態とする。
【0035】
この状態では、図7に示すように、圧接部材24の回動支点部27a,27bの先端がフレーム1の内側面に圧接されないので、フレーム1内で支持部材8を同フレーム1の長手方向に移動可能である。
【0036】
支持部材8を所望位置まで移動させた後、操作片32を矢印A方向へ押して、図3に示すように圧接部材24の係止部25を弾性片34の保持部35に引っ掛ける。
すると、図4に示すように、圧接部材24の並行部26a,26bが斜面29から突起31に乗り上げ、回動支点部27a,27bが矢印C1,C2方向に移動して、回動支点部27a,27bの先端がフレーム1の内側面上部に圧接され、昇降コード巻取り装置5がフレーム1内で移動不能に固定される。
【0037】
また、昇降コード巻取り装置5がフレーム1に固定されている状態から、弾性片34を上方すなわち矢印B方向へ押し上げると、保持部35から係止部25が外れる。すると、圧接部材24は図6に示す状態まで回動されて、回動支点部27a,27bのフレーム1の内側面への圧接が解除され、フレーム1に対し昇降コード巻取り装置5を移動させ得る状態となる。
【0038】
上記のように構成された昇降コード巻取り装置5では、次に示す効果を得ることができる。
(1)圧接部材24の係止部25を弾性片34の保持部35に係合しない状態では、昇降コード巻取り装置5をフレーム1内で同フレーム1の長手方向に位置調節することができる。
(2)圧接部材24の係止部25を弾性片34の保持部35に係合させると、回動支点部27a,27bの先端がフレーム1の内側面に圧接されるので、昇降コード巻取り装置5をフレーム1内に固定することができる。
(3)回動支点部27a,27bの先端をフレーム1の内側面の上端部に圧接することができる。フレーム1は下方へ開口されているので、内側面の上部の間隔の寸法精度の確保は容易であるとともに、圧接力による塑性変形も生じ難い。従って、昇降コード巻取り装置5をフレーム1に安定して固定することができる。
(4)圧接部材24の弾性を利用して、回動支点部27a,27bの先端をフレーム1の内側面の上端部に圧接しているので、突起31の高さを充分に確保しておけば、フレーム1の内側面間の寸法が僅かにばらついても、昇降コード巻取り装置5を安定して固定することができる。
(5)圧接部材24は、弾性を備えた金属で形成したので、圧接力の経時劣化が生じ難い。
(6)フレーム1の開口部に露出される操作片32を押圧操作することにより、圧接部材24の係止部25を弾性片34の保持部35に掛止めすることができる。従って、フレーム1内に収容された昇降コード巻取り装置5の固定操作を、工具を必要とすることなく容易に行うことができる。
(7)フレーム1の開口部に露出される弾性片34を上方へ押し上げることにより、保持部35から係止部25を外すことができる。従って、フレーム1内に収容された昇降コード巻取り装置5の固定解除操作を、工具を必要とすることなく容易に行うことができる。
【0039】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・たくし上げカーテンの昇降コード巻取り装置に限らず、プリーツカーテンの昇降コード巻取り装置をフレームに固定する場合、カーテンレールに任意の部品を固定する場合等に実施することもできる。
【符号の説明】
【0040】
1…フレーム、5…被固定部材(昇降コード巻取り装置)、8…被固定部材(支持部材)、24…固定手段(圧接部材)、26a,26b…並行部、28a,28b…固定手段(支持部、支持溝)、31…固定手段(圧接力生成手段、突起)、32…操作片、34…解除装置(弾性片)、35…保持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備えた形材で形成したフレームと、
前記フレーム内で該フレームの長手方向にのみ移動可能に支持された被固定部材と、
前記被固定部材に取着され、該被固定部材を前記フレームに固定する固定手段と
を備えた日射遮蔽装置において、
前記固定手段は、
弾性を有する圧接部材と、
前記被固定部材に形成され、前記圧接部材を前記被固定部材の固定位置と固定解除位置との間で回動可能に支持する支持部と、
前記被固定部材に形成され、前記固定位置で前記圧接部材を前記フレームの内側面上部に圧接する圧接力生成手段と
を備えたことを特徴とする日射遮蔽装置。
【請求項2】
前記被固定部材には、前記圧接部材を前記固定位置に案内する操作片を設け、前記操作片を前記フレームの開口部に露出したことを特徴とする請求項1記載の日射遮蔽装置。
【請求項3】
前記被固定部材には、前記圧接部材を前記固定位置に保持する保持部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の日射遮蔽装置。
【請求項4】
前記被固定部材には、前記保持部の作動を解除する解除装置を設け、前記解除装置を前記開口部に露出したことを特徴とする請求項3記載の日射遮蔽装置。
【請求項5】
前記圧接部材は、金属線材を折り曲げて並行に延びる並行部を形成するとともに、前記並行部の先端を前記フレームの内側面に向かって折曲げ、前記被固定部材には前記固定位置で前記並行部の間隔を拡大して該並行部の先端を前記フレームの内側面に圧接する突起を前記圧接力生成手段として設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の日射遮蔽装置。
【請求項6】
前記圧接部材を、弾性を有する金属線材で形成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の日射遮蔽装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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