説明

日常圏設定システム、日常圏設定方法及び日常圏設定プログラム

【課題】ユーザの日常圏を自動的に設定することができる日常圏設定装置を提供する。
【解決手段】日常圏設定システムは、携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納手段と、前記測位点と前記測位時刻を前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成手段と、前記基礎データに基づいて、各メッシュ領域における所定期間内の前記測位点の測位回数及び/又は前記携帯端末のユーザの滞在時間を算出し、当該各メッシュ領域と当該算出した測位回数及び/又は滞在時間とを対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成手段と、前記メッシュデータに含まれる測位回数及び/又は滞在時間が所定の閾値以上であるメッシュ領域を、前記ユーザの日常圏として設定する日常圏設定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(Global Positioning System :全地球測位システム)等を利用する情報処理技術に関し、特に、GPSを利用して測位した移動端末の測位情報を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
GPSを利用した様々なサービスが提供されている。かかるサービスの一例として、下記特許文献1には、電子メールに関する情報と経路上の送信地点とを設定する手段と、車両の現在の自車位置を算出する手段と、算出された自車位置が前記設定された送信地点に到達したか否かを監視する手段と、自車位置が送信地点に到達した場合に、前記設定された電子メールを送信する送信手段とを有するナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−285382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯端末、インターネット、ナビゲーションシステム等の急激な普及に伴い、様々なシーンでGPSの利用用途が拡大している。その結果、GPS機能を搭載した携帯端末の利用者間では、GPSを利用したサービスの利便性向上に対するニーズが益々高まっている。携帯端末のGPS機能を利用したサービスの一例として、携帯端末の現在位置を定期的に測位し、当該測位した現在位置が、ユーザが予め設定した目的地に近づいた場合に、その旨をユーザに通知したり当該目的地に関連する情報を提供したりするサービスが知られている。しかしながら、かかるサービスや上記特許文献1に記載のナビゲーション装置の構成では、ユーザが予め目的地や送信地点を設定しなければならないため、設定作業が煩雑になりやすく、また、設定していない施設や場所については関連情報が得られないという問題があった。
【0005】
そこで、ユーザが設定していない所定の施設や場所等についても、ユーザの現在位置に基づいて関連情報を自動的に送信することが考えられる。しかし、この場合には、所定地近辺にいる全てのユーザに対して関連情報を送信することとなるところ、当該所定地とユーザの関係によっては、当該関連情報が有用な場合もあれば不用な場合もある。例えば、当該所定地が観光地である場合に、当該観光地を訪れたユーザに対して観光情報を送信することはユーザの利便性を高める一方、当該観光地に住んでいるユーザに対して観光情報を送信することはユーザの利便性を逆に損なってしまう。また、例えば、ある場所をいつも訪れているユーザとたまたま訪れたユーザとでは、当該場所について必要とする情報の内容は異なる場合が多い。よって、ユーザの日常生活における行動パターン、すなわち、日常生活圏(以下、「日常圏」という。)を考慮した上で、当該ユーザの現在位置に応じた適切な情報を送信することができれば望ましい。
【0006】
したがって、本発明は、ユーザの日常圏を自動的に設定することができる日常圏設定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本日常圏設定装置は、携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納手段と、前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成手段と、前記基礎データに基づいて、各メッシュ領域における所定期間内の前記測位点の測位回数及び前記携帯端末のユーザの滞在時間の少なくとも一方を算出し、当該各メッシュ領域と当該算出した測位回数及び滞在時間の少なくとも一方とを対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成手段と、前記メッシュデータに含まれる測位回数及び滞在時間の少なくとも一方が所定の閾値以上であるメッシュ領域を、前記ユーザの日常圏として設定する日常圏設定手段と、備えることを特徴とする。
【0008】
前記メッシュデータ生成手段は、第1測位点と時間軸上当該第1測位点の次に配置される第2測位点について、当該第1測位点の第1測位時刻から当該第2測位点の第2測位時刻までの測位点間時間と前記第2測位点と前記第1測位点との間の測位点間距離とを算出し、当該測位点間時間と当該測位点間距離に基づいて決定される配分条件に従って、当該測位点間時間を前記第1測位点と前記第2測位点を結んだ結線上のメッシュ領域に滞在時間として配分する配分手段を備え、前記配分された配分時間に基づいて、前記メッシュ領域における前記滞在時間を算出することを特徴とする。
【0009】
前記配分手段は、前記測位点間時間が所定時間未満であること及び前記測位点間距離が所定距離未満であることの少なくとも一方が成立する場合は、前記測位点間時間より前記第1測位点から前記第2測位点への移動時間を減算して得られる移動時間減算済み時間を前記第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分し、前記移動時間を前記結線上のメッシュ領域に略均等に配分することを特徴とする。
【0010】
前記配分手段は、前記測位点間時間が所定の時間未満であること及び前記測位点間距離が所定の距離未満でないことの少なくとも一方が成立する場合は、前記測位点間時間より前記第1測位点から第2測位点への移動時間を減算して得られる移動時間減算済み時間を前記第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分し、前記移動時間を前記結線上のメッシュ領域に配分しないことを特徴とする。
【0011】
前記配分手段は、前記第1測位点の第1測位時刻と前記第2測位点の第2測位時刻とが所定基準時刻にまたがる場合は、当該第1測位時刻から前記所定基準時刻までの時間を最大として第1メッシュ領域に配分し、当該第2基準時刻から前記所定基準時刻までの時間を最大として第2メッシュ領域に配分することを特徴とする。
【0012】
前記メッシュデータ生成手段は、前記各メッシュ領域において前記測位点が測位された測位日数をさらに集計し、前記日常圏設定手段は、前記メッシュデータの前記測位回数、前記滞在時間及び前記測位日数のうちの少なくとも1つ又は2つ以上の組み合わせが所定の閾値以上であるメッシュ領域を、前記ユーザの日常圏として設定することを特徴とする。
【0013】
携帯端末とネットワークを介して通信可能に接続されたシステムにおける日常圏設定方法であって、前記携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納ステップと、前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成ステップと、前記基礎データに基づいて、各メッシュ領域における所定期間内の前記測位点の測位回数及び前記携帯端末のユーザの滞在時間の少なくとも一方を算出し、当該各メッシュ領域と当該算出した測位回数及び滞在時間の少なくとも一方とを対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成ステップと、前記メッシュデータに含まれる測位回数及び滞在時間の少なくとも一方が所定の閾値以上であるメッシュ領域を、前記ユーザの日常圏として設定する日常圏設定ステップと、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとしても成立する。このプログラムは、CD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0015】
また、本明細書等において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザの日常圏を当該ユーザの移動に基づいて自動的に設定することができる日常圏設定装置を提供する装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】日常圏設定システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】携帯端末の概略構成を示すブロック図である。
【図3】測位情報DBと基礎データDBのデータ構造の一例を示す図である。
【図4】日別メッシュDBと日常圏DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】日常圏設定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】基礎データの一例を説明する図である。
【図7】日別メッシュデータの一例を説明する図である。
【図8】測位点間の時間配分を説明する図である。
【図9】測位点間の時間配分を説明する図である。
【図10】期間別メッシュデータの一例を説明する図である。
【図11】日常圏の設定を説明する図である。
【図12】日別メッシュデータ生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図13】期間別メッシュデータ生成処理および日常圏設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図14】日常圏の利用形態の一例を説明する図である。
【図15】日別メッシュDBと日常圏DBのデータ構造の一例を示す図である。
【図16】日常圏の設定を説明する図である。
【図17】サービス提供装置の概略構成を示すブロック図である。
【図18】日常圏同士の領域間の関係の判定に基づくサービスを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。各記載において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
[日常圏設定システムの構成]
図1は、本実施形態に係る日常圏設定システムの概略構成の一例を示すブロック図である。日常圏設定システム(日常圏設定装置)10は、ネットワークNを介して携帯移動端末装置(以下、「携帯端末」という。)20と相互に接続されている。
【0020】
日常圏設定システム10は、主制御手段101、通信手段102、測位情報格納手段103、基礎データ生成手段104、日別メッシュ生成手段105(滞在時間/測位回数集計手段106、配分補完手段107)、期間別メッシュ生成手段108、日常圏設定手段109、測位情報DB110、基礎データDB111、日別メッシュDB112、期間別メッシュDB113、日常圏DB114などの各種機能実現手段を主に備える。
【0021】
日常圏設定システム10には、図示してはいないが、CPU、ROMやRAM等のメモリ、各種の情報を格納する外部記憶装置、入出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバスを備える専用又は汎用のサーバ・コンピュータを適用することができ、例えば、CPUがROM等に格納された所定のプログラムを実行することにより、上記各機能実現手段として機能する。なお、日常圏設定システム10は、単一のコンピュータより構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数のコンピュータより構成されるものであってもよい。
【0022】
主制御手段101は、日常圏設定システム10の動作全体及び上述した各手段の動作を制御する。通信手段102は、ネットワークNを介して携帯端末20と通信することにより各種情報を送受信するためのインタフェースである。通信手段102は、携帯端末20から送信される測位情報を受け付ける受付手段としても機能する。
【0023】
測位情報格納手段103は、携帯端末20から送信される測位情報を測位情報DB110に格納する。測位情報には、携帯端末20の現在位置を測位した測位点(座標情報)と、当該測位点の測位時刻と、携帯端末20のユーザを一意的に識別するユーザ識別情報(ID)と、が含まれる。図3(A)は、測位情報DB110のデータ構造の一例を示す図である。同図によれば、測位情報DB110には、「測位時刻」、「ユーザID」、「緯度」、「経度」などのデータが測位情報の履歴として対応付けて格納されている。また、測位情報DB110に格納されている測位情報には、「測位レベル」が含まれていてもよい。ここで、「測位レベル」とは、測位点の信頼度の高さ、すなわち、携帯端末20における現在位置の測位精度の高さを表す。また、SNSアプリケーションによる「チェックイン」のようなユーザ操作に基づいて測位情報を生成し、登録できるようにしてもよい。このようなユーザ操作による測位情報は、測位レベルの高い情報として扱うことができる。
【0024】
定期的に自動的に送信される測位情報のみを用いた場合には、ユーザの意図によらない日常圏を作成することができる。一方、ユーザ操作による測位情報を含めると、ユーザ意図に沿った日常圏を作成することができる。また、自動送信の場合でも、ユーザの移動の有無に関わらず定期的に測位情報を送信するようにしてもよい。
【0025】
図1に戻り、基礎データ生成手段104は、測位情報DB110に格納されている測位情報に基づいて、ユーザ毎かつ測位日毎に測位点及び測位時刻を地図の該当メッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する(図3(B)、図6参照)。メッシュ領域とは、緯度経度に基づいて地図を分割して得られる複数の分割領域であり、仕様や設計に応じて適宜分割領域のサイズを設定することができる(例えば、ユーザが頻繁に滞在するエリアを特定したい場合はサイズを大きく設定し、一方、ユーザが頻繁に訪れる店などを特定したい場合はサイズを小さく設定することができる)。メッシュ領域の形状は、例えば四角形、六角形、ひし形等の多角形や、円等の曲線で囲まれた領域とすることができる。また、メッシュ領域のサイズは一定でなくてもよい。例えば、都市部のメッシュはより小さく(細かく)するようにしてもよい。また、人口統計情報によって地域毎にメッシュのサイズを変えたり(例えば人口が多い地域のメッシュは小さくする。)、市区町村の分類、宅地種別、日常圏の情報などに基づいてサイズを設定したりしてもよい。また、ある期間(例えば8月、平日の朝等)の測位情報や現在の測位情報に基づいてサイズを設定してもよい。具体的には、ある期間の滞在人数が少なければメッシュを大きくしたり、測位精度が低ければメッシュを大きくしたりしてもよい。また、滞在人数が多くても、測位精度が低ければメッシュは大きくすることが望ましい。なお、該当するメッシュ領域とは、測位点の座標情報が属するメッシュ領域を意味する。また、生成された基礎データは、基礎データDB111に格納される。
【0026】
図3(B)は、このような基礎データDB111のデータ構造の一例を示す図である。同図によれば、基礎データDB111には、「ユーザID」、「測位日」、「メッシュ番号」、「測位時刻」などのデータが対応付けて格納されている。また、測位情報DB110に「測位レベル」が含まれている場合には、基礎データDB111にも「測位レベル」が格納されていてもよい。なお、「メッシュ番号」には、メッシュ領域を一意的に識別する識別情報が格納される。一方、図6は、測位情報DB110に格納されている測位情報に基づいて基礎データが生成される様子を説明する図である。同図には、ユーザ(AAAAAさん)の測位日(2010/03/03)について、各メッシュ領域に測位点及び測位時刻を対応付けた基礎データB1が該当日におけるユーザの行動軌跡として記載されている。
【0027】
図1に戻り、日別メッシュ生成手段105は、ユーザ毎に所定単位期間(例:1日)毎に各メッシュ領域における測位回数及びユーザの滞在時間を表すデータ(以下、「単位期間別メッシュデータ」又は「日別メッシュデータ」という。)を生成する(図4(A)、図7参照)。所定単位期間とは、メッシュデータを生成する最小単位期間であり、仕様・設計に応じて適宜設定することができ、本実施形態では1日が設定されているが、その期間に特に限定はなく、例えば、半日などを設定してもよい。また、日別メッシュ生成手段105は、基礎データDB111に「測位レベル」が含まれている場合、日別メッシュデータを測位レベルに応じて作成することができる。測位レベルに応じて生成された日別メッシュデータは、日別メッシュDB112に格納される。図4(A)および図15(A)は、日別メッシュDB112のデータ構造の一例を示す図である。図4(A)は全ての測位レベルのデータを用いた日別メッシュデータ、図15(A)は測位レベルが所定値以上の高測位レベルのデータのみを用いた日別メッシュデータの例である。図4(A)および図15(A)によれば、日別メッシュDB112には、「ユーザID」、「測位日」、「メッシュ番号」、「滞在時間」「測位回数」などのデータが対応付けて格納されている。一方、図7は、基礎データDB111に格納されている基礎データに基づいて日別メッシュデータが生成される様子を説明する図である。図4(A)には、ユーザ(AAAAAさん)の測位日(2010/03/03)について、各メッシュ領域に滞在時間と測位回数を対応付けたメッシュデータM1が記載されている。なお、本実施形態ではメッシュ領域ごとに測位回数と滞在時間を算出して対応づける場合について説明しているが、測位回数又は滞在時間のみを算出して対応づけるようにしてもよい。
【0028】
図1に戻り、日別メッシュ生成手段105は、具体的には、滞在時間/測位回数集計手段106と、配分補完手段107とを有する。
【0029】
滞在時間/測位回数集計手段106は、基礎データDB111に格納されている基礎データに基づいて、各メッシュ領域における測位点の測位回数及び前記携帯端末のユーザの滞在時間を所定単位期間ごとに算出し、各メッシュ領域と当該算出した測位回数及び滞在時間とを対応付ける。各メッシュ領域における測位回数は、該当メッシュ領域において測位が行われた回数を合計することにより算出する。各メッシュ領域における滞在時間は、後述する配分補完手段107により該当メッシュ領域に配分された配分時間を合計することにより算出する。また、上述したように、日別メッシュデータを測位レベルに応じて作成する場合には、滞在時間/測位回数集計手段106は、高測位レベルの基礎データのみを用いて測位回数及び滞在時間を算出する。一方、測位レベルに関係なく全ての基礎データを用いて日別メッシュデータを作成する場合には、滞在時間/測位回数集計手段106は、全ての基礎データ(低測位レベルのデータと高測位レベルのデータを含む)を用いて測位回数及び滞在時間を算出する。
【0030】
配分補完手段107は、メッシュ領域に対応付けられた測位点から、第1測位点と時間軸上当該第1測位点の次に配置される第2測位点を選択する。第1測位点は移動前地点、第2測位点は移動後地点とも呼ばれる。次に、当該第1測位点の第1測位時刻から当該第2測位点の第2測位時刻までの時間(以下、「測位点間時間」という。)と、第2測位点と第1測位点との間の距離(以下、「測位点間距離」という。)と、を算出する。そして、当該測位点間時間と当該測位点間距離に基づいて配分条件を決定し、当該決定した配分条件に従って、当該測位点間時間を第1測位点から第2測位点への移動経路上に位置するメッシュ領域(第1測位点の第1メッシュ領域と第2測位点の第2メッシュ領域を含む)に配分する。なお、配分には0時間を配分することも含まれ、この場合には、配分しないことと実質的に同じである。
【0031】
配分条件は、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、その内容に特に限定はないが、本実施形態では、携帯端末からの測位情報の送信条件や構成に応じて、以下のように配分条件を設定している。具体的には、本実施形態における携帯端末20は、所定の送信時間間隔(例:5分)で測位情報を日常圏設定システム10へ送信し、ユーザが移動しない場合は、消費電力セーブ等の理由により測位情報を送信しないように構成されている。すなわち、ユーザが電波圏内にいる場合、携帯端末20からの測位情報は、ユーザが移動している場合にのみ所定の送信時間間隔で送信される。したがって、第1測位時刻と第2測位時刻間の測定点間時間から移動時間を除いた時間(以下、「移動時間減算済み時間」)は、移動前地点である第1測位点にユーザが滞在していた時間と推定することができるから、当該移動時間減算済み時間を、第1測位点のメッシュ領域に配分する。なお、測位情報は上記のような所定の送信間隔で自動的に送信されるものに限られず、チェックインのようなユーザ操作による測位情報が含まれてもよい。
【0032】
また、第1測位点及び第2測位点の少なくとも一方の属性に基づいて、配分を制御するようにしてもよい。測位点の属性としては、測位点の属する施設やエリアの種別などがあげられる。配分補完手段107は、これらの属性に基づいてどのような配分を行うかを決定する。測位点の属性は、例えば地図データを参照し、その測位点が属する地図データ上のポリゴンを判定し、該当するポリゴンに対応する施設やエリアを判定することにより特定することができる。あるいは、第1測位点がユーザのチェックイン操作による測位点である場合には、チェックインした施設やエリアを判定することにより特定することができる。
【0033】
また、配分制御の方法としては、第1測位点の属する施設やエリアのジャンルに応じて第1測位点のメッシュ領域に配分する滞在時間に上限を設けるようにしてもよい。すなわち、移動時間減算済み時間が所定の上限値を超える場合には、第1測位点のメッシュ領域には上限の滞在時間を配分し、残りの時間はどのメッシュにも配分しないようにしてもよい。例えば第1測位点の属性がホテルに対応する場合には、滞在時間の上限を12時間とし、レストランであれば1時間とするなどの例があげられる。
【0034】
また、第1測位点と第2測位点が共にユーザのチェックイン操作による測位点である場合には、移動時間減算済み時間を、第1測位点のメッシュ領域に全て配分せずに、第1測位点と第2測位点のメッシュ領域に等分してもよい。また、チェックインした位置に対応する施設のジャンルに応じて配分の割合を決定してもよい。さらに、両測位点の測位レベルに基づいて配分割合を決定してもよい。
【0035】
また、第1測位点と第2測位点の測位時間の間隔が所定値以下の場合や、測位点間の距離が所定値以下の場合には、第2測位点を切り捨て、次の測位点と第1測位点との間で配分を行うようにしてもよい。
【0036】
なお、本実施形態では、上述のように、移動時間を5分として、移動時間減算済み時間を算出しているが、移動時間と滞在時間(移動時間減算済み時間)の配分方法はこれに限られない。例えば、測定点間時間の所定割合(X%)を移動時間または滞在時間に割り当てるようにしてもよい。この場合、測定が本実施形態のようにユーザ移動中に所定間隔で送信されるものであるか、またはユーザ操作によるものであるかによって、上記の所定割合を決定してもよい。
【0037】
また、測定は、ユーザの移動有無に限らず所定の時間間隔で送信されるものであってもよい。この場合にも、測定点間時間の所定割合(X%)を移動時間または滞在時間に割り当てることができる。
【0038】
次に、第1測位点と第2測位点との間のユーザの移動内容(移動手段や移動経路)を推定できる場合(第1測位点と第2測位点との間に連続性がある場合)は、第1測位点から第2測位点への推定された移動経路(以下「推定移動経路」という。)上に位置するメッシュ領域に、移動時間を略均等に配分する(第1配分条件)。すなわち、推定移動経路上のメッシュ領域について滞在時間を補完する。一方、第1測位点と第2測位点との間のユーザの移動内容を推定できない場合(第1測位点と第2測位点との間に連続性がない場合)は、移動時間のメッシュ領域への配分は行わない(0時間を配分する)(第2配分条件)。すなわち、メッシュ領域への滞在時間の補完は行われない。
【0039】
移動内容の推定可否を判断する方法は、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、その内容に特に限定はないが、例えば、測位点間時間及び/又は測位点間距離が所定基準時間未満及び/又は所定基準距離未満である場合は、歩行などによる移動であるとみなしてユーザの移動経路を推定することができるとする。一方、所定基準時間未満及び/又は所定基準距離未満でない場合は、例えば地下鉄利用時などによる移動であるとみなしてユーザの移動経路を推定することができないとすることができる。
【0040】
また、移動時間の算出方法は、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、その内容に特に限定はないが、例えば、携帯端末20の送信時間間隔を利用する方法や、測位点間距離と移動手段(例:電車、車、徒歩)に応じた所定時速より移動時間を計算する方法などがある。本実施形態では、第1配分条件の場合は、携帯端末20における測位情報の送信時間間隔(例:5分)を移動時間として設定する。また、第2配分条件の場合は、測位点間距離と予め設定した所定の時速(例:30km)とに基づいて第1測位点から第2測位点への移動時間を算出する。なお、所定の時速は、推定した移動手段などに応じて適宜設定することができ、例えば、第1配分条件については徒歩時速を利用して移動時間を算出するようにしてもよい。また、データベースにユーザ毎の徒歩の速度、車で移動する場合の速度等を格納しておき、ユーザ固有の値を用いて移動時間を算出するようにしてもよい。ユーザ固有の速度は、ユーザが設定してもよいし、日常圏設定システムにおいて推定するようにしてもよい。推定の方法は、例えば2点間の測位情報から算出した移動距離と時間間隔を用いて移動速度を算出するようにしてもよい。また、ユーザの属性(年齢、性別等)が分かる場合には、それらの情報から推定するようにしてもよい。
【0041】
また、移動経路の特定方法も、仕様や設計に応じて適宜設定することができ、その内容に特に限定はないが、本実施形態では、第1測位点と第2測位点とを結んだ結線によって移動経路を表している。なお、図8(A)において結線は、直線で示されているが、結線は直線に限られず、例えば、道路、路線、建物などに応じて推定される任意の移動経路に沿った形状を有することができる。また、結線上に位置するメッシュ領域のうち、第1測位点と第2測位点のメッシュ領域以外のメッシュ領域を、補完メッシュ領域という。
【0042】
また、補完メッシュ領域には、移動経路上の各メッシュを中心とした周囲のメッシュを含むようにしてもよい。例えば、図16に示すように、メッシュ領域を第1測位点P1と第2測位点P2を長軸の両端とした略楕円形に設定するようにしてもよい。また、第1、第2の測位点以外の測位点(例えば、第1の測位点の1つ前の測位点)も含めて補完メッシュ領域を設定するようにしてもよい。
【0043】
なお、日別メッシュ生成手段105では、測位情報を所定単位期間毎に管理しているので、第1測位点と第2測位点が日をまたぐ場合(基準時刻(例:0時/24時)をまたぐ場合)がある。すなわち、当該単位期間において最初に測位された測位点(以下、「最初測位点」という。)と最後に測位された測位点(以下、「最後測位点」という。)については、組み合わせるべき移動前測位点又は移動後測位点が他の日に属する。そこで、本実施形態では、第3配分条件として、最初測位点については、対応する移動前測位点が他の日に属するため、基準時刻(例:0時)から最初測位点の測位時刻までの時間を滞在時間として当該最初測位点のメッシュ領域に配分する。また、最後測位点については、対応する移動後測位点が他の日に属するため、当該最後測位点の測位時刻から基準時刻(例:24時)までの時間を当該最後測位点のメッシュ領域に配分する。なお、第3配分条件では、メッシュ領域に配分する最大時間を設定することができ、その内容に特に限定はないが、本実施形態では最大6時間が設定されている。
【0044】
図8(A)は、第1配分条件に応じて滞在時間を配分する様子を説明する図である。同図では、まず、第1測位点と第2測位点との間の測定点間時間(10分)から移動時間(5分)を減算して得られる移動時間減算済み時間(5分(300秒))を、第1測位点のメッシュ領域に配分している。次に、第1測位点と第2測位点間のメッシュ領域に滞在時間を補完すべく、第1測位点と第2測位点との結線上に位置する6つのメッシュ領域に移動時間(5分)を略均等(50秒ずつ)に配分している。
【0045】
図8(B)は、第2配分条件に応じて滞在時間を配分する様子を説明する図である。同図では、まず、測位点間距離(10km)と所定の時速(例:30km)より第1測位点と第2測位点との間の移動時間(20分)を算出し、測定点間時間より当該移動時間(20分)を減算して得られる移動時間減算済み時間(100分)を、第1測位点のメッシュ領域に配分している。なお、ここでは、第1測位点と第2測位点間に位置するメッシュ領域への補完は行われないので、移動時間は配分されていない。
【0046】
図9は、第3配分条件に応じて滞在時間を配分する様子を説明する図である。同図では、最初測位点(測位時刻7:30)については、最大時間である6時間が配分されており、最後測位点(測位時刻:23:30)については、当該測位時刻から0時までの30分が配分されている。
【0047】
図1に戻り、期間別メッシュ生成手段108は、単位期間別メッシュデータに含まれる測位回数、滞在時間、滞在日数を所定の集計期間ごとに集計し、各メッシュ領域に当該集計した測位回数、滞在時間、滞在日数を対応付けた集計期間別メッシュデータ(「期間別メッシュデータ」ともいう)を生成する(図10参照)。所定の集計期間は、設計や仕様に応じて適宜設定することができ、その期間内容に特に限定はないが、例えば、直近7日、直近30日、直近180月、直近365日などの集計期間を設定することができる。また、複数の集計期間を同時に設定してもよい。なお、集計期間別メッシュデータが既に存在する場合は、新たに追加する追加対象日(例:最新測位日)と減算対象日(例:既存集計期間内の最も古い測位日)の日別メッシュデータを日別メッシュDB112より読み出して、メッシュ領域毎に追加対象日の滞在時間、測位回数、滞在日数を加算する一方、メッシュ領域毎に当該減算対象日の滞在時間、測位回数、滞在日数を減算する。図10は、単位期間別メッシュデータから集計期間別メッシュデータを生成する様子を説明する図である。同図は、単位期間別メッシュデータM5から生成された集計期間別メッシュデータM6において、メッシュ領域ごとに滞在時間、測位回数、滞在日数が関連付けられている様子を示している。なお、本実施形態ではメッシュ領域ごとに測位回数、滞在時間、測位日数を算出して対応づける場合について説明しているが、測位回数、滞在時間、測位日数のうちのいずれか1つ又は2つを算出して対応づけるようにしてもよい。
【0048】
日常圏設定手段109は、集計期間別メッシュデータに含まれる測位回数、滞在時間及び滞在回数のうちのいずれか1つ又はこれら2つ以上の任意の組合せが、所定の閾値以上であるメッシュ領域を抽出することより、ユーザの日常圏を設定する(図4(B)(C)、図11)。
【0049】
図4(B)は、日常圏条件の一例を示す図である。日常圏条件には、仕様設計に応じた内容を設定することができ、特に限定はないが、同図では、日常圏の種類と条件が対応付けて格納されている。具体的には、日常圏Aには、「対象集計期間」、「滞在日数」、「滞在時間」、「測位回数」が設定され、日常圏Bには、「対象集計期間」、「滞在日数」、「滞在時間」及び「測位回数」が設定され、日常圏Cには、「対象集計期間」と「滞在日数」と「測位回数」が設定されている。さらに、各項目については、日常圏の種類ごとに任意の期間と、閾値としての日数、時間、回数が設定されている。同図に示すように、日常圏の条件は、抽出したい日常圏の種類に応じて設定することができる。例えば、滞在日数を重視して滞在時間や測位回数を考慮しない場合は、通勤経路などを特定することが可能であり、滞在時間を重視して滞在日数を考慮しない場合は、訪れる回数は少ないが長居する場所(例:実家)などを特定することが可能である。また、対象集計期間に長期間を設定すれば、長期旅行や出張などにいった場合に日常圏がなくなることを防止することができる一方、対象集計期間に短期間を設定すれば、日常圏を容易に特定することが可能である。
【0050】
なお、測位レベルに応じた集計期間別メッシュデータ(日別メッシュデータ)を用いて、測位レベル別の日常圏を作成する場合、日常圏条件についても、測位レベルに応じて設けるようにしてもよい。測位レベルが低い測位情報を用いて作成された日常圏は精度が低い。したがって、通勤経路などの細かい(範囲の狭い)日常圏を設定する場合には、高い測位レベルの測位情報のみを用いるのが望ましい。一方、休日の行動範囲や旅行先などを含む、比較的広い範囲の日常圏を設定する場合には、低測位レベルのデータも用いることができる。図15(B)は、図15(A)に示すように測位レベルが高いデータのみを含む日別メッシュデータを用いて日常圏を設定する場合の日常圏条件の一例を示す図である。このように測位レベルに応じて異なる日常圏条件を設定するようにしてもよい。
【0051】
図4(C)は、設定された日常圏の一例を示す図である。同図では、ユーザIDごとに、日常圏の種類とメッシュ番号が対応づけて格納されている。同図によれば、日常圏の種類によって、設定された日常圏のメッシュ番号が異なることがわかる。
【0052】
また、図15(C)は、図15(A)に示す測位レベルが高いデータのみを含む日別メッシュデータに、図15(B)の日常圏条件を適用して作成した日常圏の一例を示す図である。
【0053】
なお、メッシュ番号の代わりに、またはメッシュ番号と共に、メッシュ内にある具体的な住所や施設、建物名、路線等を日常圏の種類と対応付けて格納してもよい。施設等の判断は、例えば、メッシュと施設等を表すポリゴンとの重なりが一定以上である場合や、メッシュの中心とポリゴンの代表点との距離が一定値以下である場合などの条件に基づいて行うことができる。 例えば、東京タワーと日常圏の種類を対応付けて格納しておけば、日常的に東京タワーを利用したり、通過したりするユーザを抽出することができる。また、日常圏の種類に応じて、測位レベルが一定以上低いメッシュは除外するようにしてもよい。
【0054】
図11は、集計期間別メッシュデータより日常圏を設定する様子を説明する図である。同図では、直近30日のメッシュデータM7からは「300分以上かつ3日以上滞在」という条件に合致するメッシュ領域を抽出することによって日常圏を設定する場合や、直近7日のメッシュデータM8からは「60分以上かつ2日以上滞在」という条件に合致するメッシュ領域を抽出することによって日常圏を設定する場合を示している。なお、日常圏は複数設定することが可能であり、抽出されたメッシュ領域の滞在時間や滞在日数の値を参照することにより、日常圏をより細分化することができる。例えば、すべての値が高いメッシュ領域を自宅または会社と判断したり、日数は多いが滞在時間は短いメッシュ領域を通勤経路中の乗換駅と判断したり、日数は少ないが滞在時間は長いメッシュ領域をユーザのいきつけの店と判断したりすることができる。
【0055】
[携帯端末の構成]
図1に戻り、携帯端末20について説明する。携帯端末20は、例えば、携帯電話機、PDA、パーソナルコンピュータなどのGPSを利用して現在位置を測位した測位情報を所定時間間隔でアップロードする機能を備えた従来の端末装置を適用することができる。なお、図1では1つの携帯端末20を記載しているが、利用形態に応じて複数の携帯端末20を日常圏設定システム10と接続することができる。
【0056】
図2に示すように、携帯端末20は、主制御手段201、通信手段202、表示手段203、操作手段204、記憶手段205、現在位置測位手段206、測位情報送信手段207などの各種機能実現手段をおもに備える。
【0057】
主制御手段201は、図示しないCPU、ROMやRAM等のメモリを含むプロセッサで構成されており、ROMに記憶された所定のプログラムをCPUが実行することにより携帯端末20の各部の動作を制御する。通信手段202は、ネットワークNを介して日常圏設定システム10との間で各種情報を送受信するためのインタフェースである。表示手段203は、文字や画像等の情報を表示するディスプレイであり、操作手段204は、ユーザからの操作指示を受け付けるボタンやタッチパネルである。また、記憶手段205は、各種プログラムやデータを記憶する記憶装置としてのメモリである。
【0058】
現在位置測位手段206は、例えば、GPS受信機を備え、GPS衛星信号を所定の受信間隔で受信し処理することによって携帯端末20の現在位置(緯度・経度)を測位する。
【0059】
測位情報送信手段207は、現在位置測位手段206が測位した測位点および測位時刻と、当該携帯端末20を保有するユーザのユーザIDとを含む測位情報を、日常圏設定システム10へ送信する。なお、測位情報の送信は、仕様・設計に応じて適宜設定することができるが、上述したように、本実施形態では、ユーザが移動している場合には、所定の送信間隔にしたがって送信するように構成されている。ユーザが移動しているか否かは、例えば図示しない加速度センサを用いて従来技術を適用することにより判断することができる。
【0060】
ネットワークNは、日常圏設定システム10と携帯端末20との間で情報を送受信するための通信回線である。例えば、インターネット、LAN、専用線、パケット通信網、電話回線、企業内ネットワーク、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0061】
[日常圏設定処理]
次に、上記のように構成される日常圏設定システム10の動作の概要について、図5、図12、図13のフローチャートを参照しながら説明する。なお、後述の各処理ステップは、処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができるとともに、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。
【0062】
図5は、日常圏設定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【0063】
日常圏設定システム10は、携帯端末20から所定送信間隔で送信される測位情報(測位点、測位時刻、ユーザID)を受信すると、当該受信した測位情報を測位情報DB110に格納する(S100)。これにより、ユーザの移動に応じた測位情報の履歴が測位情報DB110に格納される(図3(A)参照)。
【0064】
日常圏設定システム10は、測位情報DB110の測位情報をユーザ別日別に時系列に並び替え、ユーザ別測位日別に、測位点及び測位時刻を該当メッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する(S200)(図6参照)。生成した基礎データを、基礎データDB111に格納する(図3(B)参照)。
【0065】
日常圏設定システム10は、生成された基礎データに基づいて、ユーザ毎に所定単位期間(例:1日)毎の各メッシュ領域における測位回数及びユーザの滞在時間を表す日別メッシュデータを生成する(S300)。生成した日別メッシュデータを、日別メッシュDB112に格納する(図4(A)、図7参照)。なお、日別メッシュデータの生成処理の詳細については、後述する。
【0066】
日常圏設定システム10は、生成された日別メッシュデータに基づいて所定の集計期間における各メッシュ領域の測位回数、滞在時間、滞在日数を集計し、各メッシュ領域に当該集計した測位回数、滞在時間、滞在日数を対応付けた集計期間別メッシュデータを生成する(S400)。生成した集計期間別メッシュデータを、期間別メッシュDB113に格納する(図10参照)。
【0067】
日常圏設定システム10は、集計期間別メッシュデータに含まれる測位回数、滞在時間及び滞在回数のうちのいずれか1つ又はこれら2つ以上の任意の組合せが、所定の日常圏条件を満たすメッシュ領域を抽出することより、ユーザの日常圏を設定する(S500)。生成した日常圏データを、日常圏DB114に格納する(図4(B)(C)、図11参照)。
【0068】
[日別メッシュデータ生成処理]
次に、図12を参照しながら日別メッシュデータ生成処理の流れについて説明する。まず、日常圏設定システム10は、基礎データに基づいて、メッシュ領域上の測位点から、例えば時系列に従って、移動前測位点の第1測位点と移動後測位点の第2測位点との組を特定し、当該組を特定できた場合は(S301;YES)、第1配分条件または第2配分条件を適用するためにステップ302に進み、当該組を特定できなかった場合は(S301;NO)、第3配分条件を適用するためにステップ309へ進む。
【0069】
日常圏設定システム10は、ステップ302へ進んだ場合、第1測位点と第2測位点間の測位点間距離を算出し、第1測位点の第1測位時刻と第2測位点の第2測位時刻間の測位点間時刻を算出する(S302)。
【0070】
日常圏設定システム10は、配分条件の一例として、算出した測位点間距離が所定基準距離未満であり、かつ、算出した測位点間時間が所定基準時間未満であるか否かを判断し(S303)、判断結果が是である場合は、第1配分条件を適用するためにステップ304へ進み、判断結果が否である場合は、第2配分条件を適用するためにステップ307へ進む。
【0071】
日常圏設定システム10は、ステップ304へ進んだ場合、携帯端末における測位情報の送信時間間隔を移動時間に設定する(S304)。そして、測位点間時間から移動時間を減算することにより移動時間減算済み時間を算出し、当該算出した移動時間減算済み時間を配分滞在時間として第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分する(S305)。次に、第1測位点と第2測位点の結線上に位置する1または複数のメッシュ領域に対して、移動時間を配分滞在時間として略均等に配分する(S306)。これにより、第1メッシュ領域、第2メッシュ領域および補完メッシュ領域に対して配分滞在時間が適切に配分される(図8(A)参照)。
【0072】
一方、日常圏設定システム10は、ステップ307へ進んだ場合、測位点間距離と、所定の時速情報とに基づいて、移動時間を算出する(S307)。そして、測位点間時間から移動時間を減算することにより移動時間減算済み時間を算出し、当該算出した移動時間減算済み時間を配分滞在時間として第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分する(S308)。なお、第2測位点が属する第2メッシュ領域や他のメッシュ領域への配分滞在時間の配分は行わない。これにより、第1メッシュ領域に対して配分滞在時間が適切に配分される(図8(B)参照)。
【0073】
なお、日常圏設定システム10は、ステップS301において判断結果が否であるため、ステップ309へ進んだ場合、対象測位点が該当日の最初に測位された最初測位点が最後に測位された最後測位点あるかを判断し、最初測定点である場合は、基準時である0時から対象測位点の測位時刻までの時間を、所定の最大時間内の範囲で、対象メッシュ領域に配分する(S310)。一方、対象測位点が最後測位点である場合は、対象測位点の測位時刻から基準時である24時までの時間を、所定の最大時間内の範囲で、対象メッシュ領域に配分する(S311)。これにより、最初測位点及び最後測位点のメッシュ領域に対しても配分滞在時間が適切に配分される(図9参照)。
【0074】
日常圏設定システム10は、対象メッシュ領域の滞在時間を当該メッシュ領域に配分された配分滞在時間に基づいて算出し、当該メッシュ領域の測位回数を当該メッシュ領域において測位点が測位された回数に基づいて算出する(S312)。なお、補完メッシュ領域については、滞在時間は加算されるが、測位点は加算されない。
【0075】
次に、日常圏設定システム10は、次に処理すべき測位点が存在するか否かを判断し、次に処理すべき測位点が存在する場合は(S313;YES)、ステップS301に戻り、上記処理を繰り返す。一方、次に処理すべき測位点が存在しない場合は、処理を終了する(S313;NO)。
【0076】
[集計期間別メッシュデータ生成処理]
次に、図13(A)を参照しながら集計期間別メッシュデータ生成処理の流れについて説明する(図10参照)。日常圏設定システム10は、対象集計期間の集計期間別メッシュデータが期間別メッシュDB113に存在するか否かを判断し、既に生成されている場合は(S401;YES)、ステップS402に進み、未だ生成されていない場合は(S401;NO)、ステップS403に進む。
【0077】
日常圏設定システム10は、ステップS402に進んだ場合は、期間別メッシュDB113より既存の集計期間別メッシュデータを読み出し、日別メッシュDB112より追加対象日と減算対象日の日別メッシュデータを読み出して、メッシュ領域毎に追加対象日の滞在時間、測位回数、滞在日数を加算する一方、減算対象日の滞在時間、測位回数、滞在日数を減算する(S402)。
【0078】
日常圏設定システム10は、ステップS403に進んだ場合は、日別メッシュDB112より対象集計期間分の日別メッシュデータを読み出し、対象集計期間分の滞在時間、測位回数、滞在日数を集計する(S403)。
【0079】
日常圏設定システム10は、生成した集計期間別メッシュデータを期間別メッシュDB113に格納する(S404)。
【0080】
[日常圏設定処理]
次に、図13(B)を参照しながら日常圏設定処理の流れについて説明する(図11参照)。日常圏設定システム10は、日常圏DB114から対象となる日常圏の種類の日常圏条件を参照し(S501)、期間別メッシュDB113から該当する集計期間別メッシュデータを読み出すと、参照した日常圏条件に合致するメッシュ領域を抽出し、日常圏として設定する(S502)。
【0081】
日常圏設定システム10は、設定した日常圏の種類とメッシュ番号とを対応付けて日常圏DB114に格納する(S503)。なお、メッシュ番号以外に、メッシュ内にある具体的な住所や施設、建物名等を日常圏の種類と対応付けて格納してもよい。
【0082】
[日常圏の利用例]
次に、以上のように設定された日常圏の利用例について説明する。日常圏の利用方法は、目的等に応じて適宜決定することができ、その内容について特に限定はないが、例えば、所定のサービス提供装置は、測位情報を受信すると、ユーザの現在位置が日常圏内であるか否かに応じて、提供情報の内容を変更したり、提供情報の提供形態を変更したりすることができる。また、測位レベルに応じた日常圏を作成した場合には、測位レベルを考慮して適切な情報提供を行うようにすることができる。また、図14に示す例では、日常圏を中心に所定距離帯別のバッファ(散歩圏、遠出圏)を設定する様子を示している。例えば、所定のサービス提供装置は、測位情報を受信すると、ユーザの現在位置から当該ユーザの日常圏(複数ある場合は最も近い日常圏)への距離を測定し、当該距離に応じて提供情報の内容や提供形態を決定することができる。
【0083】
図17は、サービス提供装置30の概略構成を示すブロック図である。図に示すように、サービス提供装置30は、日常圏取得手段301、現在地取得手段302、現在地判定手段303、現在地予測手段304、サービス提供手段305などの各種機能実現手段を主に備える。サービス提供装置30には、図示してはいないが、CPU、ROMやRAM等のメモリ、各種の情報を格納する外部記憶装置、入出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバスを備える専用又は汎用のサーバ・コンピュータを適用することができ、例えば、CPUがROM等に格納された所定のプログラムを実行することにより、上記各機能実現手段として機能する。なお、サービス提供装置30は、単一のコンピュータより構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数のコンピュータより構成されるものであってもよい。
【0084】
サービス提供装置30は、通信ネットワークを介して日常圏設定システム10、携帯端末20と接続されている。
【0085】
サービス提供装置は、サービス提供の際、日常圏取得手段301によって、日常圏設定システム10からユーザ識別情報(ユーザID)に対応した日常圏の情報を取得する。さらに、現在地取得手段302によって携帯端末20からユーザの現在地を取得し、現在地判定手段303によってユーザが日常圏内にいるか日常圏外にいるかを判定する。なお、ユーザが携帯端末20の電波の届かない場所にいるなどの理由でユーザの現在位置が取得できない場合には、ユーザが日常圏内にいるとみなす。または、現在地予測手段304によって現在位置の予測を行い、予測した現在位置に基づいて、日常圏内か否かの判定を行うようにしてもよい。現在位置の予測は、最後の測位点を用いて行うことができる。例えば、最後に測位情報を取得してからの経過時間が一定値(例えば5分)以下ならば、現在も最後の測位点にいるとみなすようにしてもよい。
【0086】
なお、現在位置が取得できない場合に、一律に日常圏内にいるとみなすか、最後の測位点を用いて現在位置を予測するかは、提供する情報の種類によって決定してもよい。例えば、日常圏内の商店のタイムセールスなどの情報は、旅行中で現在位置が取得できないユーザには不要な情報なので、このような情報は、現在地予測手段304によって日常圏内にいると判断された場合に情報提供するようにしてもよい。
【0087】
次に、サービス提供手段305によって提供されるサービスの具体例について説明する。
[災害情報提供サービス]
サービス提供手段305は、日常圏、及び現在位置と日常圏の間の災害情報(地震情報等)を受信した場合に、ユーザが日常圏内にいるか否かに基づいて、受信した災害情報のうちユーザに提供する内容を制御する災害情報提供手段を有する。
【0088】
(日常圏内にいる場合)
災害情報提供手段は、ユーザが日常圏内にいると判定された場合には、日常圏の災害情報をユーザの携帯端末に提供する。具体的には、日常圏内の避難所の場所、停電の情報および復旧情報、避難に関する情報、電車の運行情報等を提供する。
【0089】
(日常圏外にいる場合)
災害情報提供手段は、ユーザが日常圏外にいると判定された場合には、日常圏、及び現在位置と日常圏の間の災害情報をユーザの携帯端末に提供する。また、現在位置から日常圏までの経路を算出し、その経路についての情報を提供する。なお、経路が複数ある場合にはそれぞれの経路についての情報を提供する。例えば、電車で移動する経路と自動車で移動する経路がある場合には、電車の経路については電車の運行状況など、自動車の経路については道路の混雑状況、通行止め等の情報を提供する。また、災害の状況により自宅へ戻れないと判断される場合には、日常圏の避難所の場所の情報を提供してもよい。
【0090】
[帰宅時情報提供サービス]
サービス提供手段305は、日常圏内の情報を受信した場合に、ユーザが日常圏内にいるか否かに基づいて、受信した日常圏内の情報のうちユーザに提供する内容と、提供するタイミングを制御する帰宅時情報提供手段を有する。帰宅時情報提供手段は、ユーザが日常圏外にいると判定された場合には、受信した情報を蓄積しておき、ユーザが日常圏外から日常圏内に帰ってきたことを検出したら、ユーザが日常圏内にいなかった間に日常圏内であった出来事等の情報を提供する。このとき、ユーザが日常圏内にいなかった期間の長さに応じて、提供する情報を決定するようにしてもよい。例えば、期間が1日の場合には、いなかった間に日常圏が位置する地域で起こった大きなニュースと小さなニュースの情報を提供し、10日間いなかった時は地域の大きなニュースの情報のみを提供するようにしてもよい。また、その期間にユーザがいた場所に応じて提供する情報を決定するようにしてもよい。例えば、ユーザが日本国内にいた場合には、その期間に日常圏が位置する地域で起こったニュースの情報を提供し、国外にいた場合には、その期間に日本国内で起こったニュースの情報を提供するようにしてもよい。なお、ユーザが日常圏内にいる場合には、日常圏内の情報を受信したタイミングでユーザに提供してもよいし、提供しなくてもよい。また、日常圏内の情報の受信を行わないようにしてもよい。
【0091】
[日常圏外適応制御サービス]
サービス提供手段305は、測位情報に基づいてユーザが日常圏内から日常圏外に移動したことを検出したら、自動的に次のような制御を行う日常圏外適応制御手段を有する。
(1)日常圏外適応制御手段は、ユーザが日常圏外に移動したら、経路案内のアプリケーションを自動的に起動し、現在地から自宅までの経路案内を常に提示する。自宅の位置情報は携帯端末20から取得してもよいし、サービス提供装置30がユーザIDに対応付けて予め保持しておくようにしてもよい。また、現在地から自宅までの経路探索は、サービス提供装置30からの指示に基づいて携帯端末20が行うようにしてもよいし、ネットワーク上のルート探索システム等に実行させるようにしてもよい。
また、帰宅予定時刻を予め指定しておけば、現在位置から自宅までの所要時間に基づいてユーザが指定時刻に自宅に到着するために帰宅を開始しなければならない時刻を算出し、その時刻になったら、携帯端末20に通知を行うようにしてもよい。
【0092】
(2)日常圏外適応制御手段は、第1ユーザの携帯端末20が日常圏外に移動したことを第2ユーザの携帯端末20に通知する機能を有する。第2ユーザのユーザIDは、第1ユーザのユーザIDに対応付けて記憶されている。この場合の日常圏は、第1ユーザの日常圏であってもよいし、第2ユーザの日常圏であってもよい。あるいは、両者の日常圏を対象としてもよい。さらに、通知には各種の条件を設定することができる。例えば、第1ユーザが日常圏外に移動しても、第1ユーザの現在位置が第2ユーザの現在位置から所定の範囲内である場合には、通知をしないようにしてもよい。また、曜日や時間帯などによって、通知の有無を設定できるようにしてもよい。
具体的な利用方法としては、例えば、第1ユーザが小学生の子供で、第2ユーザがその子供の親である場合があげられる。この場合、例えば、子供が子供自身または親の日常圏外に移動したら、親の携帯端末に通知するように設定する。これにより、子供が自宅や学校、及び親の勤務地から離れた場所に移動したことを親が認知することができる。さらに、子供の現在位置が親の現在位置の一定範囲以内の場合(近くにいる場合)には、通知を行わないように設定することにより、例えば家族で旅行中などの場合には、通知が行われないようにすることができる。
【0093】
(3)日常圏外適応制御手段は、ユーザが日常圏外に移動したら、日常圏内の天気予報の情報を提供する。
【0094】
(4)日常圏外適応制御手段は、ユーザが日常圏外に移動したら、警備会社にその旨を通知する。警備会社の情報(通知先のサーバのアドレス等)は、ユーザIDに対応付けて記憶されている。また、サービス提供装置30から警備会社への通知には警戒度に応じてレベル(高・中・低など)を設定するようにしてもよい。例えば、ユーザIDに対応付けてユーザの家族のユーザIDを記憶しておき、家族全員が日常圏(例えば自宅)にいる場合にはレベル低、家族のうち一人しか日常圏内にいない場合にはレベル中、家族全員が日常圏外にいたらレベル高とする。このように、家族のうちの誰かが在宅の場合には、在宅中の人数に応じて通知のレベルを下げるようにしてもよい。通知を受けた警備会社は、例えばレベル低の場合には、契約者から連絡があったらいつでも警備を開始できるように待機し、レベル中の場合には巡回警備を行う。また、レベル高の場合には各種のセンサ等を稼動させてセンサによる侵入者の監視を行う他、防犯カメラによる撮影や、巡回警備を行うようにしてもよい。
【0095】
(5)日常圏外適応制御手段は、ユーザが日常圏外に移動したら、電話の転送先を変更する。転送元と転送先の番号は、ユーザIDに対応させて記憶しておく。転送処理は、電話機の種類や回線種類に応じて行う。例えば、転送元の電話機がIP電話、ISDN回線の電話機、携帯電話など転送機能を有する電話機の場合には、転送元の電話機に指示を出して、転送先へ転送させる。また、転送元が固定電話の場合には、電話局へ通知して転送処理を行ってもらう。また、転送先として、日常圏内にいる他人(家族等)の携帯電話を選択するようにしてもよい。具体的には、ユーザIDに対応付けて他ユーザのユーザIDを1つ以上記憶しておき、記憶されている他ユーザの中から日常圏内にいるユーザを選択してそのユーザの携帯電話を転送先とする。
【0096】
(6)日常圏外適応制御手段は、DVDレコーダー等の番組録画装置と連動し、ユーザが番組の録画予約をしている場合に、予約時間にユーザが日常圏外にいる場合は録画を実行し、予約時間にユーザが日常圏(例えば自宅)にいる場合には録画を実行しないようにしてもよい。予約時間にユーザが日常圏内にいる場合には、サービス提供装置30から番組録画装置にメール等の手段で通知を行い、録画を実行しないように指示する。あるいは、番組録画装置からサービス提供装置30にユーザの現在位置の問い合わせを行い、ユーザが日常圏内にいることが確認できたら録画を実行しないようにしてもよい。あるいは、サービス提供装置30は録画予約機能を有するようにしてもよい。この場合、ユーザはサービス提供装置30の録画予約機能を利用して番組の録画予約を行う。サービス提供装置30は、ユーザが予約時間に日常圏外にいる場合には、番組録画装置にメール等の手段で録画予約情報を通知し、録画予約を設定する。一方、ユーザが予約時間に日常圏内にいる場合には、サービス提供装置30から番組録画装置への録画予約情報の通知を行わないようにしてもよい。
【0097】
(7)日常圏外適応制御手段は、ユーザが日常圏外に移動したら、地図上に表示されるランドマーク(例えば、交差点に位置する店舗や建物等)を増やすなど、地図の表示情報を詳細にしてもよい。これにより、ユーザは不慣れな場所でもランドマークを目印にして目的地へ移動することができる。
具体的には、地図情報データベース内に、日常圏内外で共通に表示する共通地図レイヤと、日常圏外向けの注記(ランドマーク等を含む)を表示するための日常圏外用レイヤと、日常圏内向けの注記(詳細な建物名等を含む)を表示するための日常圏内用レイヤを保持し、ユーザが日常圏内にいるか日常圏外にいるかによって、日常圏内用レイヤと日常圏外用レイヤのどちらかを共通地図レイヤ重ねて表示するようにしてもよい。
または、地図データを河川などの地形を表示するための地形レイヤ、道路を表示するための道路レイヤ、建物を表示するための建物レイヤ等に分別して保持し、さらに、各々のレイヤについて日常圏内用と日常圏外用を保持しておき、ユーザが日常圏内にいるか日常圏外にいるかによって、それぞれのレイヤを日常圏内用または日常圏外用に切り替えて表示するようにしてもよい。
または、地図情報データベースに格納されている各レイヤについて、どのような内容(地形、道路、建物等)を表示するレイヤかを決めておき、ユーザが日常圏内にいるか日常圏外にいるかによって、それぞれのレイヤ毎に参照するデータを切り替えて表示するようにしてもよい。
【0098】
(8)日常圏外適応制御手段は、ユーザが日常圏外に移動したら、サービス提供装置30からユーザの携帯端末20に指示を通知して、携帯端末20を自動的に省電力モードにするようにしてもよい。日常圏外では携帯端末の充電がしにくくなると考えられるが、省電力モードにすることで電池を節約することができる。
【0099】
(9)日常圏外適応制御手段は、ユーザの設定に基づいて、所定の事象が発生した際に、日常圏内にいる他ユーザ(家族等)の携帯端末20に通知を行う機能を有する。他ユーザのユーザIDは、ユーザIDに対応付けて記憶されている。日常圏外適応制御手段は、ユーザが設定した事象が発生し、且つユーザが日常圏外にいる場合には、登録されている他ユーザの中から日常圏にいる他ユーザ(あるいは、日常圏に最も近い位置にいる他ユーザ)を選択し、その他ユーザに通知を行う。
事象の例としては、日常圏で雨が降る;自宅の警報装置が作動する;宅配業者が訪問する;近所のスーパーでタイムセールスが始まる等があげられる。
それぞれの事象の検出方法は、「日常圏で雨が降る」については、サービス提供装置30が各地域の降雨状況を提供するサービスを利用して、設定を行ったユーザの日常圏での降雨の有無を参照するようにしてもよいし、現在雨が降っている地域の情報を取得し、当該地域内に設定を行ったユーザがいるか否かを判断するようにしてもよい。また、降雨確率が一定値以上の場合には、雨が降ると判断するようにしてもよい。
「自宅の警報装置が作動する」については、警報装置が作動すると、警報装置からサービス提供装置30に通知するようにしてもよいし、サービス提供装置30が定期的に警報装置に問い合わせを行うようにしてもよい。
「宅配業者が訪問する」については、自宅のインターホンの呼び出しボタンが押されたら、インターホンからサービス提供装置30に通知するようにしてもよい。
「近所のスーパーでタイムセールスが始まる」については、店舗のシステムや地域の情報を発信するシステムが、サービス提供装置30にタイムセールスの情報を通知するようにしてもよい。または、サービス提供装置30が、店舗のシステムや地域の情報を発信するシステムに定期的に問い合わせを行い、タイムセールスの情報を収集するようにしてもよい。
【0100】
具体的な利用例としては、ユーザ(母親)が洗濯物を干したまま外出している間に雨が降ったら(事象)、日常圏内にいる家族(他ユーザ)に通知する。これにより、ユーザの代わりに、通知を受信した家族に洗濯物を取り込むなどの必要な処置を行ってもらうことができる。
【0101】
[過去の日常圏の情報提供サービス/新日常圏対応サービス]
日常圏は、定期的に、またはユーザからの指示に基づいて再設定(更新)するようにしてもよい。この場合、サービス提供装置は、例えばユーザの転居や転勤等に伴って、再設定した日常圏が過去の日常圏から変化した場合に、ユーザの過去の日常圏も履歴として保持しておく、日常圏履歴記憶手段を備える。また、この履歴情報を利用して、ユーザに過去の日常圏に関する情報を提供する、旧日常圏情報提供手段を備える。旧日常圏情報提供手段は、例えば、過去の日常圏内で新しい建物が建つなどの変化があった場合に、ユーザにその情報を通知するようにしてもよい。また、ユーザが過去の日常圏に行ったときに、行っていない間にあった変化の情報を提供するようにしてもよい。また、過去の日常圏についても、そこが日常圏であった時と同じように引き続き情報を提供するようにしてもよい。
【0102】
また、サービス提供手段305は、例えばユーザの転居や転勤等に伴って、再設定した日常圏が過去の日常圏から変化した場合に、日常圏が変化したタイミングでユーザにとって必要になる新たな日常圏の地域の情報(例えば、飲食店、公共施設等の情報)を提供する新日常圏情報提供手段を備える。
【0103】
[日常圏メッシュ密度に基づく情報提供サービス]
サービス提供手段305は、あるエリア内の日常圏メッシュの密度に基づいて、提供する情報を変えるメッシュ密度別情報提供手段を備える。日常圏メッシュの密度とは、所定のエリア(市町村単位、駅周辺のエリア等)に含まれる日常圏メッシュの数を単位面積あたりに換算したものである。したがって、あるエリアにおける日常圏メッシュの密度が高いユーザは、そのエリアを主に低速度で移動していると考えられるので、店舗のセール情報や新規開店情報等を提供する。あるエリアにおける日常圏メッシュの密度が低いユーザは、そのエリアを高速度で移動している可能性が大きいので、そのエリアの店舗の情報は提供しない。なお、密度は、各々のメッシュの測位回数や滞在時間を考慮してもよい。
【0104】
[ユーザの行動範囲の広さに基づく情報提供サービス]
サービス提供手段305は、ユーザの行動範囲の広さを判定し、行動範囲が広いユーザと狭いユーザとで、提供する情報を変える行動範囲別情報提供手段を備える。行動範囲の広さは、そのユーザの全ての日常圏を囲う範囲の広さで判定する。具体的には、例えば全ての日常圏を含む最小の円や方形の面積で判定する。なお、日常圏を囲う範囲の広さの代わりに、全ての日常圏を含む最小の円の直径や、方形の対角線の長さ、各日常圏の中心点を結ぶ最小の長さなどで判定してもよい。例えば、東京と北海道に日常圏があるユーザは、移動距離が大きいため行動範囲は広いと判定することができる。一方、東京都内にのみ日常圏が存在するユーザの行動範囲は狭いと判定することができる。行動範囲の広いユーザには、日常圏から遠い地域の情報も通知し、行動範囲が狭いユーザには、近くの地域情報だけを通知するようにしてもよい。
【0105】
[日常圏外に行く頻度に基づく情報提供サービス]
サービス提供手段305は、ユーザが日常圏外に行く頻度を判定し、その頻度に応じて提供する情報を変える外出頻度別情報提供手段を備える。例えば、日常圏外に行く頻度が高い人は旅行などの回数が多く、逆に日常圏外に行く頻度が低い人は、旅行などの回数が少ないと考えられるので、旅行に関する情報を提供する際に、提供する情報を変えるようにしてもよい。例えば、旅行回数が多い人は交通機関の利用にも慣れていると考えられるため、チケットの取り方や乗換え案内など交通機関の利用方法に関する詳しい情報は提供せず、回数券や割引切符などの情報を提供するようにしてもよい。逆に、旅行回数が低い人には、交通機関の利用方法についての詳しい情報を提供するほか、旅行に慣れていない人のための初心者旅行情報なども提供するようにしてもよい。
【0106】
[日常圏の類似度を利用したレコメンドサービス]
サービス提供手段305は、他ユーザの日常圏との類似度を判定し、類似度の高い他ユーザの行動履歴を利用して情報提供を行う類似度判定手段を備える。類似度は、例えば日常圏に含まれる同一メッシュの多さなどによって判断してもよい。より好ましくは、それらの同一メッシュの測位時間帯等が重なるか否かも考慮して判断する。また、メッシュ自体は一致していても、例えば自宅に該当するメッシュと通勤経路上にあるメッシュのように、メッシュの種類の違いを考慮するようにしてもよい。類似度判定手段は、例えばユーザに飲食店や旅行先などの情報を提供する際、日常圏が類似する他ユーザがよく利用している飲食店や旅行先の情報を提供するようにしてもよい。また、ある日常圏(例えば勤務先)が類似する他ユーザの別の日常圏(例えば居住地)の情報に基づいて、引越し先のレコメンドを行うようにしてもよい。
【0107】
[日常圏同士の領域間の関係の判定に基づくサービス]
サービス提供手段305は、複数ユーザの日常圏の領域間の関係の判定を行い、その結果に基づいて情報提供を行う領域間関係判定手段を備える。例えば、領域間関係判定手段は、二人のユーザの日常圏の重複部分のエリアを、二人の待ち合わせ場所に最適な場所として通知する。日常圏の重複部分がない場合には、日常圏の代表点の中間地点、または、互いの日常圏からの距離が等しい地点を待ち合わせ場所に最適な場所として通知してもよい。ここで、ある地点の日常圏からの距離は、ある地点と、日常圏の外縁を結ぶ最短距離で定義される。また、三人以上のユーザの最適な待ち合わせ場所を提示するときにも、全てのユーザの日常圏の重複エリアがある場合には、そのエリアを最適な場所として通知する。一方、全てのユーザの日常圏の重複エリアがない場合には、図18(A)に示すように、全員の日常圏(P,Q,R)からの移動距離の和が最小になる地点Xを最適な場所として通知してもよい。また、各々のユーザの移動距離の偏差が一定値以下で、かつ移動距離の和が最小になる地点を最適な場所として通知してもよい。例えば、各ユーザの日常圏(P,Q,R)が図18(B)に示すような位置関係にある場合、地点Xは、日常圏P,Qからの距離が1とすると、Rからの距離が10で全員の移動距離の和は12であり、ユーザ間の移動距離の最大偏差は10−1=9となる。一方、地点Yは、日常圏P,Q,Rからの距離が5で全員の移動距離の和は15であり地点Xよりも大きくなるが、ユーザ間の移動距離の偏差は0である。このような場合には、両方の地点を提示するようにしてもよいし、どちらか一方を優先的に提示してもよい。例えば、ユーザの移動距離の偏差が5以下であることを提示の条件とすれば、地点Yが選択される。
【0108】
以上、本実施形態によれば、携帯端末から送信される測位情報に基づいて、各メッシュ領域における所定期間内の測位回数、滞在時間、測位日数を表すメッシュデータを生成し、当該測位回数、滞在時間、測位日数が所定閾値以上であるメッシュ領域を日常圏として抽出しているので、ユーザの日常圏を当該ユーザの移動に基づいて自動的かつリアルタイムに設定することができるようになる。
【0109】
また、本実施形態によれば、ユーザがGPS機能付き携帯端末を携帯するだけで、当該ユーザの日常圏を自動的に設定することができるので、日常圏設定のための各種情報登録作業などが不要となり、ユーザの利便性を向上することができる。また、最新の測位情報に基づいて新たな日常圏を適宜設定することができるので、例えば、引越、結婚、転職、入学などによりユーザの日常圏に変化があった場合でも、柔軟な対応が可能である。
【0110】
また、サービス提供装置30は、日常圏設定システム10で設定した日常圏を利用してユーザに各種のサービスを提供するようにしたので、ユーザ自身が自宅や勤務地の情報を登録しなくても、サービス提供装置30がそれらに該当する情報を自動的に取得することができる。このため、引越しや転職によって生活の範囲(エリア)が変わった場合にも自動的に情報が更新されるので、ユーザ自身による変更登録の手間を省略することができる。
【0111】
さらに、サービス提供装置30は、自宅や勤務地など特定の地点に限られない生活の範囲、すなわち日常的によく行く場所の情報も日常圏として取得できるので、ユーザの実情にあったサービスを提供することができる。
【0112】
また、サービス提供装置30は、日常圏を利用することにより、例えば「自宅から2km以内」など画一的に定義されたエリアではなく、ユーザの実際の行動パターンを反映したエリアの情報を利用することができる。ユーザの行動パターンが反映される例としては、自宅の周辺であっても、自宅と駅の間には広範囲に日常圏が存在するが、駅へ向かう方向とは反対側の方向にはほとんど日常圏が存在しない場合などがあげられる。
【0113】
なお、本実施形態では、配分補完手段107によって、第1測位点と第2測位点の間の移動経路上のメッシュ領域に滞在時間を配分する処理を行っているが、配分補完手段107による配分処理を行わないようにしてもよい。すなわち、図12のステップS303〜S308の処理を行わず、ステップS302からステップS312へ移行するようにしてもよい。
【0114】
また、所定の条件を満たす場合には、配分補完手段107による滞在時間の配分を行わず、その他の場合には配分補完手段107による滞在時間の配分を行うようにしてもよい。このような条件の例としては次のものをあげることができる。1つは、メッシュ領域の大きさが所定のサイズよりも大きければ補完を行わないというものである。メッシュの大きさが十分大きい場合(例えば300m四方)、第1測位点と第2測位点が同じメッシュに含まれる場合も多く、補完を行っても結果があまり変わらないからである。もう1つは、第1測位点と第2測位点の間の測位点間時間が閾値よりも短い場合には補完を行わないというものである。測位点間時間が短い場合(例えば10分未満)には、補完を行った場合と行わない場合とで結果にあまり差がでないからである。また、もう1つは、携帯端末20における測位情報の送信時間間隔が閾値よりも短い場合には補完を行わないというものである。送信時間間隔が短い場合(例えば5分未満)には、第1測位点と第2測位点の間の距離は短いことが多く、補完を行った場合と行わない場合とで結果にあまり差がでないからである。また、もう1つは、日常圏判定の距離が閾値よりも大きい場合には補完を行わないというものである。日常圏判定の距離が大きい場合(例えば400m以上)の場合には、補完を行った場合と行わない場合とで結果にあまり差がでないからである。なお、これらの条件のうちの1つを用いて補完を行うか否かを判定してもよいし、2つ以上の条件を組み合わせて判断するようにしてもよい。
【0115】
[その他の実施形態]
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【0116】
例えば、携帯端末20における現在位置の測位精度が低いと判断される場合には、第1測位点から第2測位点への移動経路上に位置するメッシュ領域(以下、「移動経路メッシュ領域」という。)の周辺に位置する1または複数のメッシュ領域を周辺メッシュ領域として設定し、当該周辺メッシュ領域に対しても測位点間時間を配分するように構成することができる。周辺メッシュ領域の設定は、設計や仕様に応じて適宜設定することができるが、例えば、第1測位点及び/又は第2測位点の測位精度が低いような場合は、第1メッシュ領域及び/又は第2メッシュ領域の周辺のメッシュ領域を第1周辺メッシュ領域及び/又は第2周辺メッシュ領域として設定することができる。また、例えば、第1測位点及び第2測位点の双方の測位精度が低いような場合は、移動経路上の補完メッシュ領域の周辺のメッシュ領域を補完周辺メッシュ領域として設定してもよい。配分補完手段107は、周辺メッシュ領域を設定した場合、例えば、上記実施形態にて説明した配分方法に従って算出される、当該周辺メッシュ領域(例:第1メッシュ周辺領域)に対応する移動経路メッシュ領域(例:第1メッシュ領域)に対する配分滞在時間を、当該移動経路メッシュ領域及び周辺メッシュ領域(例:第1メッシュ領域及び第1メッシュ周辺領域)の双方に配分することができる。当該構成によれば、精度の低い測位点を受信した場合には、測位点周辺にも滞在時間が配分される結果、日常圏の精度を高めることが可能になる。
【0117】
また、本実施形態では、メッシュ領域は二次元であるが、三次元のメッシュ領域を用いるようにしてもよい。三次元のメッシュ領域とは、緯度経度に基づいて地図を分割して得られる複数の分割領域を高さ方向にも複数に分割した領域である。具体的には、基礎データ生成手段104が基礎データを生成する際に、三次元のメッシュ領域を用いるようにしてもよい。例えば、(緯度、経度、高度)がそれぞれ(36°30' N, 135°30' E, 0.5m )、(36°30' N, 135°30' E, 0.5m )、(36°30' N, 135°30' E, 10.0m )であるポイントにおいて測位情報が得られた場合、三次元のメッシュデータを用いれば、(36°30' N, 135°30' E, 0.5m )に対応する三次元メッシュの測位回数が2回、(36°30' N, 135°30' E, 10.0m )に対応する三次元メッシュの測位回数が1回となるが、二次元のメッシュデータの場合は緯度経度情報のみに基づいているため(36°30' N, 135°30' E)に対応する二次元メッシュの測位回数が3回としてカウントされる。
【0118】
あるいは、日常圏設定手段109が日常圏を設定する際に、日常圏の種類に対応する二次元のメッシュ番号に加え、各メッシュにおける高度情報を格納するようにしてもよい。これにより、例えばあるユーザの日常圏にビルが含まれる場合に、フロアの階数まで設定することができる。また、例えば高度情報として地下30mが登録されていれば、日常圏が地上ではなく地下鉄の構内であると判別することができる。
【0119】
また、移動手段毎の日常圏を作成するようにしてもよい。具体的には、日別メッシュ生成手段105は、特定の移動手段での移動時に測定された基礎データのみを用いて日別メッシュデータを作成する。移動手段の推定は、例えば、基礎データにおける連続する2点間の測位点間時間が基準時間未満であること、および測位点間距離が所定基準距離未満であることの少なくとも一方が満たされれば、歩行による移動であると推定する。一方、2点間の測位点間時間が基準時間未満であること、および測位点間距離が所定基準距離未満であることのどちらも満たされなければ、例えば車両や地下鉄による移動であると推定することができる。日別メッシュ生成手段105は、各測定点間の移動手段を判定し、特定の移動手段による移動と判定された2測定点の組み合わせを抽出して日別メッシュデータを作成する。
【0120】
日常圏設定手段109は、このようにして作成された、特定の移動手段による日別メッシュデータを用いて移動手段ごとの日常圏設定処理を行い、移動手段別の日常圏を設定する。なお、日常圏条件も移動手段別に設けるようにしてもよい。例えば車で移動する時の日常圏を用いれば、ユーザに駐車場情報など車で移動する際に有用な情報を提供することができる。また、電車移動の際の日常圏を用いて、電車の運行情報などを提供することができる。
【0121】
また、特定の時間帯や平日または休日に限定した日常圏を作成するようにしてもよい。具体的には、日別メッシュ生成手段105は、特定の時間帯(例えば、17:00−21:00)に測定された測位情報のみを抽出して日別メッシュデータを作成する。この日別メッシュデータは、特定の時間帯の測位情報から作成されたメッシュデータ(時間帯別メッシュデータ)である。また、平日または休日に測定された測位情報のみを抽出して日別メッシュデータを作成する。この日別メッシュデータは、平日または休日に測定された測位情報から作成されたメッシュデータ(平日及び休日の少なくとも一方のみの測位情報に基づくメッシュデータ)である。さらに、日常圏設定手段109は、このようにして作成された日別メッシュデータを用いて日常圏設定処理を行い、時間帯別、平日/休日別の日常圏を設定する。なお、日常圏条件も時間帯別、平日/休日別に設けるようにしてもよい。これらの日常圏の利用方法としては、夜の時間帯の日常圏に合わせて近辺の居酒屋の情報を提供したり、休日の日常圏に合わせて近辺のイベント情報を提供したり、などがあげられる。
【0122】
なお、日常圏の情報を日常圏設定システム10がユーザの携帯端末20に通知してもよい。この場合、ユーザが日常圏内にいるか日常圏外にいるかによって携帯端末20から日常圏設定システム10への測位情報通知のオン/オフを切り替えるようにしてもよい。例えば、測位情報によりユーザが日常圏内にいると判定した場合には測位情報通知機能をオフにし、ユーザが日常圏外にいると判定した場合には測位情報通知機能をオンにするようにしてもよい。これにより、携帯端末20の電池を節約することができる。また、現在位置が直線道路上などの場合は、通知の間隔を長くするようにしてもよい。
【0123】
また、携帯端末20に表示する地図の情報に関して、ユーザが日常圏内にいるか日常圏外にいるかに関わりなく、ユーザの日常圏の地図と日常圏外の地図とで表示する内容を変えるようにしてもよい。日常圏については、ランドマークとなるような大きな建物や道路名などの情報は不要と考えられるため、日常圏の地図を表示する際にはこれらの表示はせず、より詳細な建物名、店名などの情報を表示するようにしてもよい。一方、日常圏の外の地図を表示する際には、詳細な情報は表示せず、ランドマークとなるような大きな建物や道路名などの情報を表示するようにしてもよい。また、それぞれの表示内容について、ユーザがカスタマイズできるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0124】
10・・・日常圏設定システム、20・・・携帯端末、101・・・主制御手段、102・・・通信手段、103・・・測位情報格納手段、104・・・基礎データ生成手段、105・・・日別メッシュ生成手段、106・・・測位回数集計手段、107・・・配分補完手段、108・・・期間別メッシュ生成手段、109・・・日常圏設定手段、201・・・主制御手段、202・・・通信手段、203・・・表示手段、204・・・操作手段、205・・・記憶手段、206・・・現在位置測位手段、207・・・測位情報送信手段、110・・・測位情報DB、111・・・基礎データDB、112・・・日別メッシュDB、113・・・期間別メッシュDB、114・・・日常圏DB、N・・・ネットワーク、30・・・サービス提供装置、301・・・日常圏取得手段、302・・・現在地取得手段、303・・・現在地判定手段、304・・・現在地予測手段、305・・・サービス提供手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納手段と、
前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成手段と、
前記基礎データに基づいて、各メッシュ領域における所定期間内の前記測位点の測位回数及び前記携帯端末のユーザの滞在時間の少なくとも一方を算出し、当該各メッシュ領域と当該算出した測位回数及び滞在時間の少なくとも一方とを対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成手段と、
前記メッシュデータに含まれる測位回数及び滞在時間の少なくとも一方が所定の閾値以上であるメッシュ領域を、前記ユーザの日常圏として設定する日常圏設定手段と、
備えることを特徴とする日常圏設定システム。
【請求項2】
前記メッシュデータ生成手段は、
第1測位点と時間軸上当該第1測位点の次に配置される第2測位点について、当該第1測位点の第1測位時刻から当該第2測位点の第2測位時刻までの測位点間時間と前記第2測位点と前記第1測位点との間の測位点間距離とを算出し、当該測位点間時間と当該測位点間距離に基づいて決定される配分条件に従って、当該測位点間時間を前記第1測位点と前記第2測位点を結んだ結線上のメッシュ領域に滞在時間として配分する配分手段を備え、
前記配分された配分時間に基づいて、前記メッシュ領域における前記滞在時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の日常圏設定システム。
【請求項3】
前記配分手段は、
前記測位点間時間が所定時間未満であること及び前記測位点間距離が所定距離未満であることの少なくとも一方が成立する場合は、前記測位点間時間より前記第1測位点から前記第2測位点への移動時間を減算して得られる移動時間減算済み時間を前記第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分し、前記移動時間を前記結線上のメッシュ領域に略均等に配分する
ことを特徴とする請求項2に記載の日常圏設定システム。
【請求項4】
前記配分手段は、
前記測位点間時間が所定の時間未満であること及び前記測位点間距離が所定の距離未満でないことの少なくとも一方が成立する場合は、前記測位点間時間より前記第1測位点から第2測位点への移動時間を減算して得られる移動時間減算済み時間を前記第1測位点が属する第1メッシュ領域に配分し、前記移動時間を前記結線上のメッシュ領域に配分しない
ことを特徴とする請求項2に記載の日常圏設定システム。
【請求項5】
前記配分手段は、
前記第1測位点の第1測位時刻と前記第2測位点の第2測位時刻とが所定基準時刻にまたがる場合は、当該第1測位時刻から前記所定基準時刻までの時間を最大として第1メッシュ領域に配分し、当該第2基準時刻から前記所定基準時刻までの時間を最大として第2メッシュ領域に配分する
ことを特徴とする請求項2から4いずれか1項に記載の日常圏設定システム。
【請求項6】
前記メッシュデータ生成手段は、
前記各メッシュ領域において前記測位点が測位された測位日数をさらに集計し、
前記日常圏設定手段は、
前記メッシュデータの前記測位回数、前記滞在時間及び前記測位日数のうちの少なくとも1つ又は2つ以上の組み合わせが所定の閾値以上であるメッシュ領域を、前記ユーザの日常圏として設定する
ことを特徴とする請求項1から5いずれか1項に記載の日常圏設定システム。
【請求項7】
前記基礎データ生成手段は、
高度情報が設定された三次元のメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する、請求項1から6のいずれか1項に記載の日常圏設定システム。
【請求項8】
前記日常圏設定手段は、
前記日常圏を設定する際に、各メッシュ領域における高度情報を設定する、請求項1から6のいずれか1項に記載の日常圏設定システム。
【請求項9】
前記メッシュデータ生成手段は、
特定の移動手段での移動時に測定された測位点と測位時刻に基づいて、移動手段別メッシュデータを生成し、
前記日常圏設定手段は、前記移動手段別メッシュデータを用いて、移動手段別の日常圏を設定する、請求項1から8のいずれか1項に記載の日常圏設定システム。
【請求項10】
前記メッシュデータ生成手段は、
特定の時間帯に測定された測位点と測位時刻に基づいて、時間帯別メッシュデータを生成し、
前記日常圏設定手段は、前記時間帯別メッシュデータを用いて、時間帯別の日常圏を設定する、請求項1から9のいずれか1項に記載の日常圏設定システム。
【請求項11】
前記メッシュデータ生成手段は、
平日または休日に測定された測位点と測位時刻に基づいて、平日及び休日の少なくとも一方のみの測位情報に基づくメッシュデータを生成し、
前記日常圏設定手段は、前記平日及び休日の少なくとも一方のみの測位情報に基づくメッシュデータを用いて、平日または休日の日常圏を設定する、請求項1から10のいずれか1項に記載の日常圏設定システム。
【請求項12】
携帯端末とネットワークを介して通信可能に接続されたシステムにおける日常圏設定方法であって、
前記携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納ステップと、
前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成ステップと、
前記基礎データに基づいて、各メッシュ領域における所定期間内の前記測位点の測位回数及び前記携帯端末のユーザの滞在時間の少なくとも一方を算出し、当該各メッシュ領域と当該算出した測位回数及び滞在時間の少なくとも一方とを対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成ステップと、
前記メッシュデータに含まれる測位回数及び滞在時間の少なくとも一方が所定の閾値以上であるメッシュ領域を、前記ユーザの日常圏として設定する日常圏設定ステップと、
備えることを特徴とする日常圏設定方法。
【請求項13】
携帯端末とネットワークを介して通信可能に接続されたコンピュータに、
前記携帯端末から送信される当該携帯端末の現在位置を測位した測位点と当該測位点の測位時刻とを対応付けて所定のデータベースに格納する格納ステップと、
前記所定のデータベースに格納されている前記測位点と前記測位時刻を、地図を分割して得られる複数のメッシュ領域のうちの前記測位点が属するメッシュ領域に対応付けた基礎データを生成する基礎データ生成ステップと、
前記基礎データに基づいて、各メッシュ領域における所定期間内の前記測位点の測位回数及び前記携帯端末のユーザの滞在時間の少なくとも一方を算出し、当該各メッシュ領域と当該算出した測位回数及び滞在時間の少なくとも一方とを対応付けたメッシュデータを生成するメッシュデータ生成ステップと、
前記メッシュデータに含まれる測位回数及び滞在時間の少なくとも一方が所定の閾値以上であるメッシュ領域を、前記ユーザの日常圏として設定する日常圏設定ステップと、を実行させるためのプログラム。
【請求項14】
ユーザの携帯端末から取得した現在位置から、請求項1に記載の日常圏設定システムによって設定された当該ユーザの日常圏への距離を測定し、当該距離に応じて提供情報の内容や提供形態を決定するサービス提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−105457(P2013−105457A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250990(P2011−250990)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】