説明

日焼け止め水中油型乳化化粧料

【課題】紫外線散乱剤として疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンを含有し、有機紫外線吸収剤を含有しないノンケミカルな日焼け止め化粧料において、高い紫外線防御効果を維持しつつ、優れた乳化安定性と使用感を発揮する日焼け止め水中油型乳化化粧料を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)〜(F)を配合し、有機紫外線吸収剤を配合しないことを特徴とする日焼け止め水中油型乳化化粧料である。
(A)オクチルトリエトキシシラン及び/又はジメチルポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛及び/又は疎水化処理した酸化チタン
(B)液状高級脂肪酸
(C)カルボキシル基を構造中に有するシリコーン又は糖エステル
(D)非イオン性界面活性剤
(E)カルボキシメチルセルロースナトリウム
(F)水

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は日焼け止め水中油型乳化化粧料に関する。さらに詳しくは、紫外線散乱剤として疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンを含有する日焼け止め化粧料において、有機紫外線吸収剤を配合しないノンケミカルな日焼け止め化粧料であって、疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンを油相中に均一かつ安定に分散させることによって優れた乳化安定性と、優れた使用感を発揮する日焼け止め水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
疎水化処理した紫外線散乱剤を内相に分散させた日焼け止め水中油型乳化化粧料は、みずみずしい使用感触と高SPF化を両立できる処方系として有用である。
紫外線散乱剤としては、主に酸化亜鉛と酸化チタンが活用されているが(例えば特許文献1)。酸化亜鉛と酸化チタンを水中油型乳化化粧料の内相である油相へ安定に配合するためには、酸化亜鉛や酸化チタンを油分中にて均一かつ安定に分散させる技術が極めて重要となる。
【0003】
一方、有機紫外線吸収剤を含まない日焼け止め化粧料であるサンスクリーン(ノンケミカルサンスクリーン)は、通常、油中水型乳化組成物の外相の油相に紫外線散乱剤を分散させるため、粉っぽい、乾燥感があるなど使用感に欠点があった。特許文献2には、揮発性成分、有機変性粘土鉱物、球状樹脂粉末、皮膜剤、紫外線散乱剤(酸化亜鉛及び/又は酸化チタン)を含有し、有機紫外線吸収剤を含まないノンケミカルな油中水型日焼け止め化粧料が開示されているが、油中水型組成物の外相の油相に紫外線散乱剤を分散させているため、その使用感は、上述した如く、粉っぽい、乾燥感があるなど極めて悪いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−222349号公報
【特許文献2】特開平9−255543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は上述の観点に鑑み、紫外線散乱剤として疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンを含有し、有機紫外線吸収剤を含有しないノンケミカル日焼け止め化粧料において、疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンの高い分散性による優れた乳化安定性と、優れた使用感を実現させるために鋭意研究を重ねた結果、特定の配合成分の組み合わせによる水中油型乳化組成物からなる日焼け止め化粧料において、多量の疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンを内相の油相に安定して分散させることができ、高い紫外線防御効果を維持しつつ、優れた乳化安定性(紫外線散乱剤の分散安定性)と優れた使用感を有する、有機紫外線吸収剤を含有しないノンケミカルな水中油型乳化日焼け止め化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明の目的は、紫外線散乱剤として疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンを含有し、有機紫外線吸収剤を含有しないノンケミカルな日焼け止め化粧料において、紫外線防御効果を維持しつつ、優れた乳化安定性と優れた使用感とを発揮する日焼け止め水中油型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、下記成分(A)〜(F)を配合し、有機紫外線吸収剤を配合しないことを特徴とする日焼け止め水中油型乳化化粧料を提供するものである。
(A)オクチルトリエトキシシラン及び/又はジメチルポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛及び/又は疎水化処理した酸化チタン
(B)液状高級脂肪酸
(C)カルボキシル基を構造中に有するシリコーン又は糖エステル
(D)非イオン性界面活性剤
(E)カルボキシメチルセルロースナトリウム
(F)水
【0008】
また、本発明は、日焼け止め水中油型乳化化粧料全量に対して、前記(A)オクチルトリエトキシシラン及び/又はジメチルポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛及び/又は疎水化処理した酸化チタンの配合量が3〜35質量%であり、前記(B)液状高級脂肪酸の配合量が0.1〜2質量%であり、前記(C)カルボキシル基を構造中に有するシリコーン又は糖エステルの配合量が0.1〜1.5質量%であり、前記(D)非イオン性界面活性剤の配合量が0.5〜4.5質量%であり、前記(E)カルボキシメチルセルロースナトリウムの配合量が0.1〜1質量%であることを特徴とする上記の日焼け止め水中油型乳化化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、紫外線散乱剤として疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンを含有し、有機紫外線吸収剤を含有しないノンケミカルな日焼け止め化粧料において、高い紫外線防御効果を維持しながら、優れた乳化安定性と使用感を発揮する日焼け止め水中油型乳化化粧料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は実施例5と比較例3のUVスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳述する。
「(A)オクチルトリエトキシシラン及び/又はジメチルポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛及び/又は酸化チタン」
本発明においては、酸化亜鉛及び/又は酸化チタンの疎水化処理剤はオクチルトリエトキシシラン及び/又はジメチルポリシロキサンに限定される。これら以外の疎水化処理剤を使用すると、酸化亜鉛及び/又は酸化チタンの分散性が悪化する。なお、ジメチルポリシロキサンは重合度100〜1000のジメチルポリシロキサンが好ましい。
酸化亜鉛及び/又は酸化チタンの疎水化処理の方法は特に限定されず常法に従って表面処理される。例えば、オクチルトリエトキシシラン及び/又はジメチルポリシロキサン中にて酸化亜鉛及び/又は酸化チタンを、一定時間、混合攪拌し、これをろ過することによって、オクチルトリエトキシシラン及び/又はジメチルポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛及び/又は疎水化処理した酸化チタンを製造することが出来る。なお、ジメチルポリシロキサンは疎水化処理可能な液状のものを用いる。
本発明に用いる酸化亜鉛及び/又は酸化チタンは微粉末であり、平均粒子径が10〜80nmである微粉末を用いることが好ましい。
【0012】
オクチルトリエトキシシラン及び/又はジメチルポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛及び/又は疎水化処理した酸化チタンの配合の総量は、日焼け止め水中油型乳化化粧料全量に対して、3〜35質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜30質量%であり、最も好ましくは12〜25質量%である。
オクチルトリエトキシシラン及び/又はジメチルポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛及び/又は疎水化処理した酸化チタンの配合量が上記範囲外であると、当該酸化亜鉛及び/又は酸化チタンの分散性が悪化する場合がある。
【0013】
「(B)液状高級脂肪酸」
本発明に用いる液状高級脂肪酸は、例えば、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられ、特にイソステアリン酸が好ましく使用される。
本発明において、油分である液状高級脂肪酸は、(C)成分の分散剤と共に、日焼け止め水中油型乳化化粧料の内相の油相を構成する成分である。
本願発明においては、当該油分からなる油相中に、上記の(A)成分の疎水化処理した酸化亜鉛又は酸化チタンが均一に分散するが、液状高級脂肪酸が配合されないと、酸化亜鉛又は酸化チタンの分散性が低下する。
本発明においては、(A)成分の疎水化処理酸化亜鉛又は疎水化処理酸化チタンを全ての油相成分中で分散させ、油相を形成する。
なお、油相を構成する油分には、本発明の効果を損なわない限度にて、炭化水素油(ワセリン、スクワラン等)のその他の油分を配合することが可能である。揮発性油分を配合することも好ましい。揮発性油分としては、例えば、比較的低分子量の炭化水素油、比較的低分子量の直鎖状シリコーン、比較的低分子量の環状シリコーンが挙げられ、特に、軽質流動性イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、揮発性ジメチルポリシロキサン、または環状ポリシロキサン(例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘプタシロキサンなど)が好ましい。
【0014】
液状高級脂肪酸の配合量は、日焼け止め水中油型乳化化粧料全量に対して、0.1〜2質量%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.8質量%であり、最も好ましくは0.5〜1.5質量%である。
液状高級脂肪酸の配合量が上記範囲外であると、酸化亜鉛及び/又は酸化チタンの分散性が低下する場合がある。
【0015】
「(C)カルボキシル基を構造中に有するシリコーン又は糖エステル(分散剤)」
本発明に用いるカルボキシル基を構造中に有するシリコーンは、例えば、カルボキシデシルトリシロキサン、アクリル酸アルキル共重合体メチルポリシロキサンエステルなどが挙げられる。特に好ましくはカルボキシデシルトリシロキサンである。
また、本発明に用いる糖エステルは、例えば、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが挙げられる。特に好ましくはセスキイソステアリン酸ソルビタンである。
本発明において、(C)成分は油相中に疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンを均一かつ安定に分散させるための分散剤として機能する。
【0016】
カルボキシル基を構造中に有するシリコーン又は糖エステルの配合量は、日焼け止め水中油型乳化化粧料全量に対して、0.1〜1.5質量%が好ましく、さらに好ましくは0.2〜1.2質量%であり、最も好ましくは0.3〜1.0質量%である。
カルボキシル基を構造中に有するシリコーン又は糖エステルの配合量が上記範囲外であると、酸化亜鉛及び/又は酸化チタンの分散性が悪化する場合がある。
【0017】
「(D)非イオン性界面活性剤」
本発明に用いる非イオン性界面活性剤は、本発明において、安定した水中油型乳化組成物を製造するために、乳化剤として配合される成分である。本発明においては親水性非イオン界面活性剤を用いることが好ましい。
具体的には、親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油・POE-硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸などが挙げられる。
一方、親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテルなどが挙げられる。
【0018】
非イオン性界面活性剤の配合量は、日焼け止め水中油型乳化化粧料全量に対して、0.5〜4.5質量%が好ましく、さらに好ましくは1.0〜4.0質量%である。
非イオン性界面活性剤の配合量が上記範囲外であると、水中油型乳化化粧料の安定性が低下する場合がある。
【0019】
「(E)カルボキシメチルセルロースナトリウム」
本発明に用いるカルボキシメチルセルロースナトリウムは、本発明の水中油型乳化組成物の内相に、多量の紫外線散乱剤(疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタン)を安定に配合し、優れた乳化安定性を保つための必須成分である。従来の技術では、水中油型乳化組成物の内相に、多量の紫外線散乱剤(疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタン)を安定に配合することは極めて困難であった。
本願発明の(A)〜(E)の必須成分の組み合わせにおいては、(E)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウムを配合することにより、多量の紫外線散乱剤(疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタン)を安定に配合できて優れた乳化安定性を保ちながら、有機紫外線吸収剤を配合しなくても、高い紫外線防御効果(高SPF)を達成できる点は、まさしく本願発明のキーポイントとなる本願発明の利点である。
【0020】
カルボキシメチルセルロースナトリウムの配合量は、日焼け止め水中油型乳化化粧料全量に対して0.1〜1質量%が好ましく、0.2〜0.8質量%がさらに好ましく、最も好ましくは0.3〜0.6質量%である。
カルボキシメチルセルロースナトリウムの配合量の上記範囲外であると、多量の紫外線散乱剤(疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタン)を安定に配合できない場合があり、高い紫外線防御効果が発揮できず、ノンケミカルな日焼け止め化粧料として有用でない場合がある。
【0021】
「(F)水」
本発明で用いる水は特に限定されず、具体的に示すとすれば、精製水、イオン交換水などが挙げられる。
水はその他の水性成分と共に、日焼け止め水中油型乳化化粧料の外相の水相を構成する成分である。
水の配合量は、内相の油相を構成する油分の配合量によって適宜決定されるが、日焼け止め水中油型乳化化粧料全量に対して、20〜55質量%が好ましく、さらに好ましくは25〜45質量%である。
水の配合量が上記範囲外であると、水中油型乳化化粧料の安定性が低下したり、みずみずしい使用感が低下したりする場合がある。
【0022】
「有機紫外線吸収剤を配合しないこと」
本発明の日焼け止め水中油型乳化化粧料には一切の有機紫外線吸収剤を配合しないことを特徴とするノンケミカルな日焼け止め化粧料である。しかしながら、多量の紫外線散乱剤を安定に、本発明の日焼け止め水中油型乳化化粧料に配合できるため、有機紫外線吸収剤無配合であっても、高い紫外線防御効果(高いSPF)を発揮できる。
なお、日焼け止め化粧料に、通常配合される有機紫外線吸収剤としては具体的に下記化合物が挙げられるが、本発明は下記具体例に例示される一切の有機紫外線吸収剤を配合しない。
(1)安息香酸系紫外線吸収剤
例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステルなど。
(2)アントラニル酸系紫外線吸収剤
例えば、ホモメンチル-N- アセチルアントラニレートなど。
(3)サリチル酸系紫外線吸収剤
例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレートなど。
(4)ケイ皮酸系紫外線吸収剤
例えば、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート) 、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメートなど。
(5)トリアジン系紫外線吸収剤
例えば、ビスレゾルシニルトリアジン。
さらに具体的には、ビス{〔4−(2−エチルヘキシロキシ)−2−ヒドロキシ〕フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス{4−(2−エチルヘキシロキシカルボニル)アニリノ}1,3,5−トリアジンなど。
(6)その他の有機紫外線吸収剤
例えば、3-(4'-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン。ジモルホリノピリダジノンなどのピリダジン誘導体。
【0023】
「水中油型乳化化粧料」
本発明の日焼け止め水中油型乳化化粧料は、上記必須成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、保湿剤、増粘剤、粉末、アルコール、天然高分子、合成高分子、糖類、酸化防止剤、緩衝剤、各種抽出液、安定化剤、防腐剤、色素、香料等の通常化粧料に配合される成分を適宜配合することができる。
本発明の日焼け止め水中油型乳化化粧料の製造方法においては、(A)成分のオクチルトリエトキシシラン及び/又はジメチルポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛及び/又は疎水化処理した酸化チタンの分散は、分散性が良い(B)成分の液状高級脂肪酸と(C)成分の分散剤を含む油性成分中にてHMミキサー等を使用して混合攪拌して油相とする。一方、(F)成分の水と(D)成分の親水性非イオン性界面活性剤と(E)成分のカルボキシメチルセルロースナトリウムと、エタノールや増粘剤や保湿剤などの水性成分を混合して水相とする。最後に、水相と油相を常法により乳化して、本発明の日焼け止め水中油型乳化化粧料が得られる。
本発明の日焼け止め水中油型乳化化粧料は、極めて優れた乳化安定性を有する乳化組成物である。
また、本発明のノンケミカルな日焼け止め水中油型乳化化粧料は、紫外線散乱剤として酸化亜鉛及び/又は酸化チタンの粉末を使用し、油相中に酸化亜鉛及び/又は酸化チタンの粉末が均一に分散しているので、粉ぎしみがなく、みずみずしいという優れた使用感を有し、例えば、日焼け止め乳液や日焼け止めクリームとして好適に利用される。
また、多量の酸化亜鉛又は酸化チタンを安定に配合できるので、粉ぎしみがなく、みずみずしいという優れた使用感を優先させた発揮させた場合であっても、高い紫外線防御効果を有し、使用感を優先させない日焼け止め水中油型乳化化粧料と比較しても、同等若しくはそれ以上の紫外線防御効果が期待できる。
【実施例】
【0024】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、配合量は全量に対する質量%を表す。
【0025】
「表1」及び「表2」に示す処方にて、常法により、日焼け止め水中油型乳化化粧料である乳液を製造し、以下の評価を行った。
【0026】
「乳化安定性:疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンの分散性」
製造直後の実施例及び比較例の乳液を円筒型の容器に約半分入れて、室温(25〜30℃)にて45rpmで2時間回転運動させて、疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンの分散状態について、光学顕微鏡(400倍)を用いて目視にて観察し、以下の評価基準で判定した。
<評価基準>
○:試験前と状態が変化せず、乳化状態が安定化している。すなわち、油相中に疎水化処理酸化亜鉛又は酸化チタンの微粒子が均一に分散している。
△:油相に分散させた疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンの微粒子が均一に分散しておらず、偏在している。
×:油相に分散させた疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンの水相への飛び出しが観察される。
【0027】
「粉ぎしみの使用感」
専門パネル10名により腕に塗布する実使用試験を行い、以下の評価基準で判定した。
<評価基準>
○:10名中、8名以上が粉ぎしみがないと評価した。
△:10名中、5名以上7名以下が粉ぎしみがないと評価した。
×:10名中、5名未満が粉ぎしみがないと評価した。
【0028】
「みずみずしさの使用感」
専門パネル10名により腕に塗布する実使用試験を行い、以下の評価基準で判定した。
<評価基準>
○:10名中、8名以上がみずみずしいと評価した。
△:10名中、5名以上7名以下がみずみずしいと評価した。
×:10名中、5名未満がみずみずしいと評価した。
































【0029】
【表1】

<製法>[水相の調製]
(1)に(17)(18)(19)(20)を添加し、溶解する。(4)(5)(6)を(3)で湿潤し、(1)に混合する。
[油相の調製]
(8),(9),(10),(11),(12),(13)を均一に混合し、そこに、(14),(15)を添加し、HMミキサーにて分散する。
[水中油型乳化組成物の調製]
上記水相(70℃)に、(7)を混合し、油相を乳化する。(2)(16)の混合パーツを添加し、冷却することにより、乳液を得る。




【0030】
【表2】

<製法>
表1の実施例の製法に準じて、実施例3と比較例3の日焼け止め水中油型乳化化粧料の乳液を製造した。
【0031】
「表1」及び「表2」とから、本発明の必須成分を全て配合した実施例1〜4の日焼け止め水中油型乳化化粧料は、疎水乳化安定性と使用感の両方に優れた効果を発揮することが分かる。
また、その有機紫外線吸収剤防御効果も、紫外線散乱剤の疎水化処理酸化亜鉛及び疎水化処理酸化チタンの配合量を同じとした実施例3と比較例3とのUスペクトルはほぼ同一であり、実施例3のように使用感を優先させた場合であっても、紫外線防御効果が低下せず変化しないことが分かる。
一方、本発明の構成により、多量の紫外線散乱剤の疎水化処理酸化亜鉛及び疎水化処理酸化チタンを水中油型乳化組成物中に安定に配合でき、その使用感を優れたものとすることが出来るので、紫外線散乱剤の配合量を多くすることによって希望する高い紫外線防御効果を発揮させることが可能である。
本発明の実施例1〜4の乳液は、粉ぎしみがなく、みずみずしいという優れた使用感を有する日焼け止め水中油型乳化化粧料である。また、塗布した際に紫外線散乱剤の白さが目立つという属性を抑制するものであった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、紫外線散乱剤として疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンを含有する日焼け止め化粧料において、有機紫外線吸収剤を配合しないノンケミカルな日焼け止め化粧料であって、紫外線散乱剤の疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンを油相中に均一かつ安定に分散させることによって優れた乳化安定性と、優れた使用感を発揮する日焼け止め水中油型乳化化粧料を提供できる。
本発明においては、疎水化処理酸化亜鉛及び/又は疎水化処理酸化チタンからなる紫外線散乱剤を多量に安定に配合できるので、有機紫外線吸収剤を配合しなくても、高い紫外線防御効果を有するノンケミカルな日焼け止め化粧料を設計できる。また、その使用感も粉ぎしみがなく、みずみずしいという優れた使用感を有するので、本発明は極めて有用な日焼け止め水中油型乳化化粧料として利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(F)を配合し、有機紫外線吸収剤を配合しないことを特徴とする日焼け止め水中油型乳化化粧料。
(A)オクチルトリエトキシシラン及び/又はジメチルポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛及び/又は疎水化処理した酸化チタン
(B)液状高級脂肪酸
(C)カルボキシル基を構造中に有するシリコーン又は糖エステル
(D)非イオン性界面活性剤
(E)カルボキシメチルセルロースナトリウム
(F)水
【請求項2】
日焼け止め水中油型乳化化粧料全量に対して、前記(A)オクチルトリエトキシシラン及び/又はジメチルポリシロキサンで疎水化処理した酸化亜鉛及び/又は疎水化処理した酸化チタンの配合量が3〜35質量%であり、前記(B)液状高級脂肪酸の配合量が0.1〜2質量%であり、前記(C)カルボキシル基を構造中に有するシリコーン又は糖エステルの配合量が0.1〜1.5質量%であり、前記(D)非イオン性界面活性剤の配合量が0.5〜4.5質量%であり、前記(E)カルボキシメチルセルロースナトリウムの配合量が0.1〜1質量%であることを特徴とする請求項1記載の日焼け止め水中油型乳化化粧料。

【図1】
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【公開番号】特開2013−91625(P2013−91625A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235612(P2011−235612)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】