説明

日焼け止め活性化合物の、相乗的組み合わせを含む光防護組成物

日焼け止め活性物質であるオクチノキサート、オクトクリレン、およびアミロキサートの光防護する相乗作用有効量を含む、皮膚および/または髪への局所塗布のための組成物である。組成物の局所塗布による太陽光/UV放射線の有害な影響に対し、皮膚および/または髪を保護する方法である。上記組成物は、無水もしくは水性の固体もしくはペースト、乳濁液、懸濁液、または分散体を含み得る。上記組成物の好ましい形態として、水中油型乳濁液、油中水型乳濁液、アルコール溶液、またはエアゾール処方物が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、日焼け止め活性化合物の、相乗的組み合わせを含む、局所塗布のための組成物に関し、より詳細には、オクチノキサート(octinoxate)、オクトクリレン(octocrylene)、およびアミロキサート(amiloxate)の相乗作用を引き起こす組み合わせを含む、局所塗布のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
日焼け止め組成物が局所的に塗布されるとき、日焼け止め組成物は、太陽の紫外放射線(UVR)への露出による有害な影響に対して皮膚を保護するフィルムを与える。日焼け止め活性化合物は、UVRが皮膚と相互作用し、皮膚を傷つけ得る前にUVRを吸収することにより、皮膚の表面上で作用する。UVRを遮断する特定の組成物の能力は、通常、太陽光線保護指数、すなわちSPF評価で表される。日焼け止め活性化合物の組み合わせは、代表的には、組成物のSPF評価を上げるために、日焼け止め組成物に使用される。
【0003】
特許文献1および特許文献2は、ある日焼け止め活性化合物の組み合わせに基づくSPFの相乗的な増加を主張している。さらには、Andreらが、UV−A吸収およびUV−B吸収を含む、オーガニックの日焼け止めおよびオーガニックでない日焼け止めの組み合わせに基づく相乗効果を報告している(非特許文献1)。しかし、上記の著者らが言及するように、そのようなSPFの相乗的な増加は完全に理解されておらず、どの化合物の組み合わせが相乗効果を示すかは実験前に予測可能ではない。実際に、本明細書中の実験で示されるように、本発明の3つの日焼け止め活性因子の内の2つだけの組み合わせは、SPFの相乗的な増加を示さない。
【0004】
したがって、SPFの相乗的な増加、および、それによる活性化合物の単独使用から予測される性能を超える、強化されたUVR保護性能を示す日焼け止め活性化合物の組み合わせが、有用であり所望される。
【0005】
これら、および他の目的は、本明細書中でより十分に記載され、特許請求される本発明により達成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,030,629号明細書
【特許文献2】米国特許第5,968,481号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】V.Andreら、Cosmetics and Toiletries Manufacture Worldwide 2004、p.19−23
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、光防護する相乗作用有効量のオクチノキサート、オクトクリレン、およびアミロキサートを含む、ヒトの皮膚および/または髪の光防護に適した局所塗布可能な日焼け止め組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、光防護する相乗作用有効量のオクチノキサート、オクトクリレン、およびアミロキサートを含む、ヒトの皮膚および/または髪への局所塗布のための化粧用組成物を提供する。
【0010】
さらに、本発明は、太陽放射線、より具体的には紫外放射線(UVR)の有害な影響に対してヒトの皮膚および/または髪を保護するための方法を提供し、この方法は、本明細書中に記載されるような日焼け止め組成物の有効量をヒトの皮膚および/または髪へ局所塗布することを包含する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(詳細な説明)
本発明は、光防護する相互作用有効量のオクチノキサート、オクトクリレン、およびアミロキサートを含む、ヒトの皮膚および/または髪の光防護に適した局所塗布可能な日焼け止め組成物を提供する。オクチノキサートは、メトキシ桂皮酸オクチル、またはメトキシ桂皮酸エチルヘキシルとしても知られており、EU化粧品指令附属書VIIには、10%までのレベルでの日焼け止め剤としての使用が記載されている。米国では、米国食品医薬品局によって、7.5%までのレベルでの日焼け止め剤としての使用が記載されている。オクトクリレンは、その化学名は2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニル−2−プロペノエートであり、米国食品医薬品局によって10%までの使用が記載され、EU化粧品指令には10%までの使用が記載されている。アミロキサートは、その化学名は2−安息香酸,2−プロペン酸,3−(4−メトキシフェニル)−3−メチルブチルエステルであり、また、4−メトキシ桂皮酸イソアミルエステル、またはp−メトキシ桂皮酸イソアミルとしても知られる。アミロキサートは、10%までの使用に対して米国食品医薬品局によって承認について審査されており、EU化粧品指令には10%までの使用が記載されている。本発明の組成物はこれらの制定法上の制限に制限されないが、これらの制限は、様々な国々で売買され得る製品中のこれらの日焼け止め活性剤の量における実際の制限を例示するために提供されることが理解される。
【0012】
本発明の一つの実施形態において、上記組成物中に存在するオクチノキサート:オクトクリレン:アミロキサートのモル比は、0.034:0.028:0.04〜0.26:0.28:0.40の範囲であり得る。
【0013】
本発明の別の実施形態において、オクチノキサートは上記組成物中に、約1.0重量%〜約7.5重量%の量で存在し得、好ましくは約4.0重量%〜約7.5重量%の量で、より好ましくは約6.5重量%〜約7.5重量%の量で存在し得る。
【0014】
本発明のさらなる実施形態において、オクトクリレンは上記組成物中に、約1.0重量%〜約10.0重量%の量で存在し得、好ましくは約5.0重量%〜約10.0重量%の量で、より好ましくは約8.0重量%〜約10.0重量%の量で存在し得る。
【0015】
本発明のさらなる実施形態において、アミロキサートは上記組成物中に、約1.0重量%〜約10.0重量%の量で存在し得、好ましくは約5.0重量%〜約10.0重量%の量で、より好ましくは約7.5重量%〜約10.0重量%の量で存在し得る。
【0016】
日焼け止め活性因子の相乗的組み合わせを含む本発明の組成物は、化粧品組成物、特に、日焼け止め活性剤を含む組成物を調製する当業者に容易に知られる任意の形態を含み得る。そのような例として、制限はされないが、非イオン性小胞分散体(nonionic vesicle dispersion)、乳濁液、クリーム、乳液、ジェル、クリームジェル、軟膏、懸濁液、分散体、粉末、固体、スティック、フォーム、またはスプレーが挙げられる。
【0017】
確実に好ましい実施形態において、上記組成物は、無水もしくは水性の固体もしくはペースト、乳濁液、懸濁液、または分散体を含み得る。上記組成物の好ましい形態として、水中油型乳濁液、油中水型乳濁液、アルコール溶液、またはエアゾール処方物が挙げられる。
【0018】
本発明の一つの実施形態において、上記組成物はエアゾールの形態であり得、上記組成物は少なくとも一つの推進体と混合される。この推進体は、投薬用スプレー缶の中で圧縮、または液化され得る任意の適切なガスであり得、そして、周囲の温度および圧力条件への暴露の際に蒸気またはガス形態に膨張または揮発し、エアゾール形態の組成物を送達する。適切な推進体として、1個〜5個の炭素原子を有する炭化水素が挙げられ、例えば、制限はされないが、メタン、エタン、プロパン、イソプロパン、ブタン、イソブタン、ブテン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ペンテン、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、クロロフルオロカーボン(CFC)、窒素、エーテル(ジメチルエーテルを含む)、およびこれらの任意の混合物が挙げられる。当業者は、閉じられた容器(例えば、アルミニウム缶、またはガラス瓶)中に、推進体(例えば、ジメチルエーテル)が周囲温度で液体状態へ圧縮されることを認識する。したがって、エアゾール用容器中の組成物は、溶存推進体、不溶存液状推進体およびガス状推進体を含み得る液体処方物である。この全ては、推進体の蒸気圧に起因する圧力下にある。本発明の実施において、上記推進体は、上記エアゾール組成物の全重量に基づいて、約90重量%までの量で存在し得、好ましくは約2重量%〜約50重量%で、より好ましくは約5重量%〜約40重量%で、最も好ましくは30重量%で存在し得る。
【0019】
本発明の組成物は、泡状エアゾール、すなわち、いわゆるムース組成物もまた含み得る。例えば、米国特許6,627,585号は、少なくとも1つの界面活性剤、非水溶性コンディショニング剤の分散粒子、水性キャリヤー;およびエアゾール推進体を含む、泡を形成可能な濃縮物を含むムース形成クレンジングシャンプー組成物を記載している。米国特許6,264,964号は、非乳化性架橋ポリシロキサンエラストマー、および、加圧された系で泡状エアゾール形態であるカルボキシビニルポリマーを含む化粧品組成物を記載している。上記推進体は、標準的なエアゾールディスペンサー(例えば、スプレー缶装置)を使用することにより、充填するときにムース組成物へ導入され得る。
【0020】
本発明は、日焼け止め製品および日焼け防止製品、ならびに、日焼け止め活性剤の添加が製品の効力を減らさず、また、日焼け止め活性剤の日焼け止め能力にも影響を与えない任意の他の局所塗布組成物における、日焼け止め活性因子の相乗的組み合わせの組み込みを企図する。したがって、本発明は、光防護する相乗作用有効量のオクチノキサート、オクトクリレン、およびアミロキサートを含む、ヒトの皮膚および/または髪への局所塗布のための化粧品組成物もまた提供する。そのような化粧品組成物の制限しない例として、モイスチャーライザー、クレンザー、コンディショナー、シャンプー、ボティーウォッシュ(body wash)、スタイリングジェル/ローション(styling gel/lotion)、アイクリーム、およびアイライナー、ほお紅、マスカラ、ファンデーション、マニキュア液、マニキュア除光液、アイシャドー、口紅、リップグロス(lip gloss)、リップライナー、リップクリーム、メイクアップリムーバー(makeup remover)、ネイルトリートメント(nail treatment)、フットケア組成物、にきび治療薬、発赤/酒さ治療薬、静脈瘤症/くも状静脈治療薬、老化防止組成物、サンレスタンニング(sunless tanning)組成物、日焼け手入れ用組成物、コンシーラー、ヘアカラー組成物および漂白組成物、スキンフェイディング/ライトナー(skin fading/lightener)、ボディーファーミングローション(body firming lotion)、シェービングクリーム、アフターシェーブローション、リラクサー(relaxer)、発汗抑制剤、および脱臭剤、エクスフォリアント(exfoliant)、スクラブ、液体ハンドソープ(liquid hand soap)、泡立て剤、疼痛および創傷治療薬(pain and wound treatment)組成物、防虫剤、かゆみおよび発疹抑制クリーム(anti−itch and rash cream)、スタイリングムース、およびフォーム、香水、滑沢剤(lubricant)、ボディオイル(body oil)、ボディスプレー、ベビーローション(baby lotion)、おむつクリーム(diaper cream)、ベビーソープ(baby soap)、ベビーシャンプー(baby shampoo)、ベビーオイル、ベビーワイプ(baby wipe)、抜け毛治療薬、ヘアスプレー、脱毛剤、髪成長抑制剤(hair growth inhibitor)、ヘアリムーバルワックス(hair removal wax)、個人用クレンジング(personal cleansing)、コロン、オイルコントローラー(oil controller)、および手消毒剤(hand sanitizer)のような製品が挙げられ得る。
【0021】
本発明の組成物は、本明細書中で「化粧品成分」として引用される、広範な追加の任意の成分を含み得るが、この追加の任意の成分は、薬学的活性剤として一般的に知られる成分もまた含み得る。The CTFA Cosmetic Ingredient Handbook、第7版、1997、および第8版、2000は、その全体が本明細書中で参考として援用され、そして、スキンケア組成物中に一般的に使用される広範に種々の化粧品および薬学的成分を記載している。これらの化粧品および薬学的成分は、本発明の組成物中への使用に適する。この参考文献中に開示されたこれらの機能的分類の例としては、吸収剤、研磨剤、固化防止剤、発泡防止剤、酸化防止剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝作用添加剤(buffering additive)、充填剤、キレート剤、化学添加剤、着色剤、化粧用収斂剤(cosmetic astringent)、化粧用殺生物剤(cosmetic biocide)、変性剤、薬用収斂剤(drug astringent)、外用鎮痛剤、塗膜形成物、芳香成分、湿潤剤、不透明化剤、pH調節剤、可塑剤、還元剤、肌漂白剤、スキンコンディショニング剤(skin−conditioning agent)(皮膚軟化剤、湿潤剤、その他の多種多様なもの(miscellaneous)、および閉鎖性のもの(occlusive))、肌保護剤、溶媒、フォーム効果促進剤(foam booster)、向水性物質、可溶化剤、懸濁化剤(非界面活性剤)、日焼け止め剤、紫外線光吸収体、SPF効果促進剤(SPF booster)、防水剤、および増粘剤(viscosity increasing agent)(水性および非水性)が挙げられる。
【0022】
本発明の実施において、上記組成物は一つ以上の追加の日焼け止め活性剤を含み得る。本発明の目的のために、「日焼け止め活性剤」または「日焼け止め活性因子」は、UV放射線を吸収するそれらの能力に基づいて、活性な日焼け止め成分としての使用が受容可能とみなされる全ての物質を、単一でまたは組み合わせで含むものとする。そのような化合物は、一般的に、UV−A活性剤、UV−B活性剤、またはUV−A/UV−B活性剤として記載される。一般的に、ヒトへの使用を意図される処方物中の活性剤の含有のためには監督官庁による承認が必要とされる。米国で日焼け止めへの使用が承認されてきた、または現在承認されている活性剤として、限定はされないが、パラアミノ安息香酸、アボベンゾン(avobenzone)、シノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサレート(homosalate)、アントラニル酸メンチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パディメート(padimate) O、フェニルベンゾイミダゾール スルホン酸、スルイソベンゾン(sulisobenzone)、サリチル酸トロラミン、二酸化チタン、酸化亜鉛、メトキシ桂皮酸ジエタノールアミン、ジガロイルトリオレアート(digalloy trioleate)、エチル ジヒドロキシプロピル PABA、アミノ安息香酸グリセリル、ジヒドロキシアセトンを伴うラウソン(lawsone)、赤色ワセリン(red petrolatum)を含む、有機物質および無機物質が挙げられる。米国内でまだ承認されていないが、米国外で販売される処方物では許可される追加の日焼け止め活性因子の例としては、エチルヘキシルトリアゾン、ジオクチル ブタミド トリアゾン、ベンジリデンマロネート ポリシロキサン、テレフタリリデン ジショウノウスルホン酸、フェニル ジベンゾイミダゾール テトラスルホン酸二ナトリウム、ジエチルアミノ ヒドロキシベンゾイル ヘキシル ベンゾアート、ビス ジエチルアミノ ヒドロキシベンゾイル ベンゾアート、ビス ベンズオキサゾイルフェニル エチルヘキシルイミノ トリアジン、ドロメトリゾール(drometrizole) トリシロキサン、メチレン ビス−ベンゾトリアゾリル テトラメチルブチルフェノール、およびビス−エチルヘキシルオキシフェノール メトキシフェニルトリアジン、4−メチルベンジリデンカンファー、および4−メトキシ桂皮酸イソペンチルが挙げられる。しかしながら、承認された日焼け止めのリストは現在拡充されているので、当業者は、本発明が、ヒトへの使用が現在承認されている日焼け止め活性剤に限定されず、将来認可され得る日焼け止め活性剤に容易に適用可能であることを認識する。
【0023】
本発明の一つの実施形態において、追加の日焼け止め活性剤は、少なくとも一つの無機の顔料またはナノ顔料(nanopigment)の粒子の光防護有効量を含む。この顔料の制限しない例として、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
また、本発明の組成物は、UV放射線の散乱および分散のような機構により、最終組成物のSPFも増加させる物質も含み得る。そのような物質は、本明細書中で「UV放射線散乱剤」として言及され、UV吸収活性を示す物質、またはUV吸収活性を示さない物質を含む。そのようなUV放射線散乱剤の例として、高分子材料が挙げられ、例えば、SunSpheresTMとして知られる製品(Rohm and Haas; Philadelphia, PA)である。これらの高分子材料は、乳化重合により製造される、中空のスチレン/アクリレート共重合体の球体として、それらの製造者により記載される。上記高分子球体は、ある表面(例えば、ヒトの皮膚)上に存在する日焼け止めのフィルムの全体にわたって、入射UV放射線を分散および/または散乱することにより、UVAおよびUVB領域に渡って、SPF値を上げると言われる。上記球体は、日焼け止め処方物中のUV吸収日焼け止め活性因子の方へUV放射線の方向を変えることにより、UV放射線は日焼け止め活性分子と反応し、そのエネルギーが熱として放散され、皮膚へと浸透するUV放射線を減少させることが理解される。本明細書中で使用される場合、「球体」または「散乱剤」という用語は、化学的構造、または形状により限定されないが、入射UV放射線の経路を延ばし、放射線が日焼け止め活性分子、すなわち、UV吸収活性剤と接触するという統計的可能性を増加させる効果を生み出す任意の薬剤を含む。これらの物質は、散乱特性も示すUV吸収物質、例えば、ZnO(例として、BASFから入手可能な製品であるZ−CoteTMが挙げられる)、TiO(例として、Uniqema(New Castle,DE,USA)から入手可能な製品であるSolaveilTMが挙げられる)、例えばメチレン ビス−ベンゾトリアゾリル テトラメチルブチルフェノールなどの化合物(Ciba Specialty Chemicals,Inc.(Basel,Switzerland)から入手可能な「TinasorbTM M」)もまた含み得る。UV紫外線散乱剤は、代表的には、最大約10重量%までの量で処方物中に存在し、好ましくは約0.5重量%〜約7.0重量%の範囲で、特に好ましくは3重量%〜約5重量%の範囲で存在する。
【0025】
本明細書中で使用される場合、「サンレスタンニング剤」または「セルフタンニング(self−tanning)組成物」という用語は、それらがヒトの皮膚へ塗布されるとき、自然または人工の太陽光へ皮膚をさらすことで実現される外見に似た外見を皮膚へ与える組成物を示す。サンレスタンニング活性剤の例は、米国特許第6,482,397号、同第6,261,541号、および同第6,231,837号に記載されている。そのようなサンレスタンニング組成物は、代表的には、人工的に皮膚を褐色にするのに有効な量のセルフタンニング剤に加えて、着色剤と、ヒトの皮膚への局所塗布に適応した化粧用に受容可能なキャリヤーとの組成物の有効量を含む。また、上記セルフタンニング剤は、ヒトの皮膚への塗布のための技術分野において一般的に受容される組成物も含み得る。そして、これらの組成物は、塗布されたとき、皮膚の中でアミノ酸と反応し、色素生成物(pigmented product)を形成する。そのような反応により、皮膚を褐色にするのに十分な期間太陽光へさらすことで得られる色に似た茶色い外見が、皮膚に与えられる。適したセルフタンニング剤として、限定はされないが、α−ヒドロキシアルデヒドおよびα−ヒドロキシケトン、グリセルアルデヒドおよび関連のアルコールアルデヒド、種々のインドール、イミダゾールおよびそれらの誘導体、ならびに、種々の承認された色素形成剤(pigmentation agent)が挙げられる。本明細書中で、現在セルフタンニング剤として好ましいのは、α−ヒドロキシアルデヒド、およびα−ヒドロキシケトンである。最も好ましいセルフタンニング剤は、ジヒドロキシアセトン(「DHA」)である。その他の適したセルフタンニング剤として、制限はされないが、メチルグリオキサール、グリセロールアルデヒド、エリトルロース、アロキサン、2,3−ジヒドロキシコハク酸ジアルデヒド、2,3−ジメトキシコハク酸ジアルデヒド、2−アミノ−3−ヒドロキシ−コハク酸ジアルデヒド、および、2−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシコハク酸ジアルデヒドが挙げられる。
【0026】
適した乳化剤または表面活性剤としては、薬学的に受容可能な、非毒性、非イオン性、アニオン性、および、カチオン性表面活性剤が挙げられる。適した非イオン性表面活性剤の例として、グリセロール脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸グリセロール)、グリコール脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール)、多価アルコール脂肪酸エステル(例えば、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(400))、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン(40))、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル(例えば、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)ソルビタンエステル(例えば、モノステアリン酸ソルビタン)、アルキルグリコシド(例えば、セテアリルグルコシド)、脂肪酸エタノールアミドおよびそれらの誘導体(例えば、ステアリン酸のジエタノールアミド)などが挙げられる。適したアニオン性表面活性剤の例として、アルカリ石鹸を含む石鹸が挙げられる。アルカリ石鹸は、例えば、脂肪族カルボン酸(通常は、脂肪酸)のナトリウム塩、カリウム塩、およびアンモニウム塩であり、例えば、ステアリン酸ナトリウムである。有機アミン石鹸(organic amine soap)としては、脂肪族カルボン酸(通常は、脂肪酸)の有機アミン塩が挙げられ、例えば、ステアリン酸トリエタノールアミンである。金属石鹸としては、多価金属と脂肪族カルボン酸(通常は、脂肪酸)との塩が挙げられ、例えば、ステアリン酸アルミニウムである。適したアニオン性界面活性剤の分類としては、硫酸化脂肪酸アルコール(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、硫酸化油(例えば、リシノール酸二ナトリウム塩の硫酸エステル)、および、スルホン化化合物、例えば、アルキルスルホネート(sultonate)(セタンスルホン酸ナトリウムを含む)、スルホン酸アミド(例えば、N−メチル−N−オレイルラウリン酸ナトリウム)、スルホン化二塩基酸エステル(例えば、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム)、アルキルアリールスルホネート(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルナフタレンスルホネート(例えば、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム)、石油スルホネート(petroleum sulfonate)(例えば、アルキル置換基を有するアリールナフタレン)が挙げられる。適したカチオン性表面活性剤の例としては、アミン塩(例えば、塩化オクタデシルアンモニウム)、四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム)が挙げられる。
【0027】
皮膚軟化剤は、皮膚を滑らかにし柔らかくするのを助け、また皮膚の荒れ、ひび割れ、または過敏も減らし得る、油を含む物質、または油状物質である。代表的な適した皮膚軟化剤としては、50センチポアズ〜500センチポアズ(cps)の範囲の粘度を有する鉱油、ラノリン油、やし油、カカオバター、オリーブ油、アーモンド油、マカダミアナッツ油、アロエ抽出物(例えば、アロエ=ベラ リポキノン(lipoquinone))、合成ホホバ油、天然ソノラホホバ油、ベニバナ油、トウモロコシ油、液体ラノリン、綿実油、および落花生油が挙げられる。好ましくは、皮膚軟化剤は、やし油のモノグリセリド、ジグリセリド、およびとりグリセリドの混合物であり、Henkel KGaAからMyritol 331の商標名で市販されている、やしグリセリド(cocoglyceride)、またはHenkel KGaAからCetiol OEの商標名で入手可能なDicaprylyl Ether、またはFinetexからFinsolv TNの商標名で市販されているC12〜C15アルキルベンゾエートである。1つ以上の皮膚軟化剤は、約1重量%〜約10重量%の量の範囲で存在し得、好ましくは約5重量%で存在し得る。別の適した皮膚軟化剤は、シリコーン流体であるDC 200 Fluid 350であり、Dow Corning Corpから入手可能である。
【0028】
他の適した皮膚軟化剤としては、スクワラン、ヒマシ油、ポリブテン、甘扁桃油、アボカド油、カロフィラム(calophyllum)油、リシン油、ビタミンEアセテート、オリーブ油、シリコーン油(例えば、ジメチロポリシロキサン(dimethylopolysiloxane)、およびシクロメチコン)、リノレンアルコール(linolenic alcohol)、オレイルアルコール、穀物の胚芽油(例えば、小麦の胚芽油)、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イロプロピル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、アセチルグリセリド、(C12〜C15)アルコールとのオクタン酸エステルまたは安息香酸エステル、アルコールおよび多価アルコールとのオクタン酸エステルおよびデカン酸エステル(例えば、グリコールおよびグリセロールとのオクタン酸エステルおよびデカン酸エステル)、リシノール酸エステル(例えば、アジピン酸イロプロピル、ラウリン酸ヘキシル、およびドデカン酸オクチル)、マレイン酸ジカプリリル(dicaprylyl)、水素添加植物油、フェニルトリメチコン、ホホバ油、ならびにアロエ=ベラ抽出物が挙げられる。
【0029】
周囲温度で固体または半固体である他の適した皮膚軟化剤が使用され得る。そのような固体または半固体の化粧用皮膚軟化剤としては、ジラウリン酸グリセリル、水素添加ラノリン、水酸化ラノリン、アセチル化ラノリン、ワセリン、ラノリン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、乳酸ミリスチル、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、およびラノリン酸イソセチルが挙げられる。1つ以上の皮膚軟化剤が、必要に応じて、上記処方物中に含まれ得る。
【0030】
湿潤剤は、その吸湿性に起因して水分の保持を促進する加湿剤(moistening agent)である。適した湿潤剤としては、グリセリン、重合体グリコール(例えば、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール)、マンニトール、およびソルビトールが挙げられる。好ましくは、湿潤剤は、Sorbitol、70% USP、または、ポリエチレングリコール400、NFである。1つ以上の湿潤剤が、必要に応じて、約1重量%〜約10重量%の量で、好ましくは、約5重量%の量で上記処方物中に含まれ得る。
【0031】
乾燥感調節剤(dry−feel modifier)は、乳濁液に加えられた場合、その乳濁液が乾燥したときに皮膚に乾燥感を与える薬剤である。乾燥感調節剤は、タルク、カオリン、チョーク、酸化亜鉛、シリコーン流体、無機塩(例えば、硫酸バリウム)、表面処理シリカ、沈降シリカ(precipitated silica)、ヒュームドシリカ(例えば、New York、N.Y.、U.S.A.のDegussa Inc.から入手可能なAerosil)が挙げられ得る。別の乾燥感調節剤は、米国特許第6,488,916号に開示されている型のエピクロロヒドリン架橋グリセリルデンプン(cross−linked glyceryl starch)である。
【0032】
追加の増粘剤(例えば、Noveon Co.から入手可能な種々のCarbopol)を組み込むことは有利であり得る。特に好ましいのは、最終製品の処方物中のラメラ構造を崩壊させない薬剤であり、例えば、非イオン性増粘剤である。追加の増粘剤の選択は、当業者の技術の十分に範囲内である。
【0033】
「抗酸化剤」は、空気中の酸素の作用(酸化)に起因する日焼け止めの劣化から保護するか、またはそれを遅らせるために日焼け止めに加えられる、天然物質または合成物質である。それらは、皮膚組織中の酸化反応もまた減少させ得る。抗酸化剤は、酸敗、および非酵素的褐変反応生成物の発生を引き起こし得る酸化的劣化を防ぐ。代表的な適した抗酸化剤は、没食子酸のプロピルエステル、オクチルエステル、およびドデシルエステル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA、通常、オルトおよびメタの異性体混合物として購入される)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、緑茶抽出物、尿酸、システイン、ピルベート、ノルジヒドログアイアレチン酸、ビタミンA、ビタミンE、およびビタミンC、ならびにそれらの誘導体が挙げられる。1つ以上の抗酸化剤が、必要に応じて、約0.001重量%〜約5重量%の範囲の量で、好ましくは、約0.01重量%〜約0.5重量%の範囲の量で日焼け止め組成物中に含まれ得る。
【0034】
「キレート剤」は、金属イオンとキレート化するか、または結合するために使用される物質であり、例えば、複素環構造を有する物質であり、その結果、金属イオンが、関与する環のそれぞれからの化学結合により固定される。適したキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、EDTA三ナトリウム、アルブミン、トランスフェリン、デスフェロキサミン、デスフェラール(desferal)、デスフェロキサミンメシレート、EDTA四ナトリウム、およびEDTA二カリウム、または、これらの内のいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0035】
芳香剤は、日焼け止め組成物に審美的に気持ちの良い芳香を与え得る芳香物質である。代表的な芳香剤としては、植物原料(すなわち、バラの花びら、クチナシの花、ジャスミンの花など)から抽出された芳香物質が挙げられ、これらの物質はエッセンシャルオイルを生成するために単独、または任意の組み合わせで使用され得る。あるいは、アルコール抽出物が、芳香剤を調合するために調製され得る。しかし、天然物質から芳香剤を得るのにかかる比較的高い費用に起因して、現代は、合成で調製される芳香剤、特に大量生産による芳香剤を使用する傾向にある。1つ以上の芳香剤は、必要に応じて、約0.001重量%〜約5重量%の範囲の量で、好ましくは、約0.01重量%〜約0.5重量%の範囲の量で日焼け止め組成物中に含まれ得る。また、追加の保存料は、所望される場合に使用され得、周知の保存料組成物(例えば、特に、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、および安息香酸、ジアゾリジニル尿素、(diazolydinyl,urea)、クロルフェネシン(chlorphenesin)、カルバミン酸ヨードプロピル、および、カルバミン酸ブチル)を含む。
【0036】
本発明の組成物は、皮膚保護剤活性物質をさらに含み得る。適した例(括弧内数値は好ましい重量%の範囲)としては、アラントイン(0.5重量%〜2重量%)、水酸化アルミニウムゲル(0.15重量%〜5重量%)、カラミン(1重量%〜25重量%)、カカオバター(50重量%より大)、タラ肝油(5重量%〜14重量%)、コロイド状オートミール、ジメチコン(1重量%〜30重量%)、グリセリン(20重量%〜45重量%)、ハードファット(50重量%より大)、カオリン(4重量%〜20重量%)、ラノリン(12.5重量%〜50重量%)、鉱油(50重量%より大)、ワセリン(30重量%より大)、重炭酸ナトリウム、局所デンプン(topical starch)(10重量%〜98重量%)、白色ワセリン(30重量%より大)、酢酸亜鉛(0.1重量%〜2重量%)、炭酸亜鉛(0.2重量%〜2重量%)、および酸化亜鉛(1重量%〜25重量%)が挙げられる。
【0037】
本発明の組成物は、昆虫忌避成分をさらに含み得る。パーソナルケア(personal care)製品に最も広範に使用される昆虫忌避活性成分は、N,N−ジエチル−メタ−トルアミドであり、これはしばしば「DEET」と呼ばれ、少なくとも約95%のDEETを含む濃縮物の形態で入手可能である。他の合成化学忌避剤としては、エチル ブチルアセチルアミノプロピオネート(proprionate)(IR3535(登録商標)としてもまた知られる)、フタル酸ジメチル、エチルヘキサンジオ−ル、インダローン、ジ−n−プロピルイソシンクロネート(cinchoronate)、ビシクロヘプテン、ジカルボキシイミド、およびテトラヒドロフルアルデヒドが挙げられる。特定の植物由来の物質もまた昆虫忌避活性を有し、その物質として、シトロネラ油およびシトロネラの源となる他の成分(レモングラス油を含む)、リモネン、ローズマリー油、およびユーカリ油が挙げられる。日焼け止め乳濁液への組み込みのための昆虫忌避剤の選択は、しばしば忌避剤の匂いに影響される。使用される忌避剤の量は、薬剤の選択に依存する。DEETは高濃度(例えば、最大約15%またはそれ以上)で有用である一方で、上記植物由来の物質のいくつかは、代表的には、はるかに少ない量(例えば、0.1%以下)で使用される。
【0038】
本明細書中に記載される発明の組成物のヒトの髪または皮膚への局所塗布は、紫外放射線(UVR)の有害な影響に対し、強化された保護を提供する。したがって、本発明は、太陽放射線、より具体的にはUVRの有害な影響に対し、ヒトの皮膚および/または髪を保護する方法をさらに提供する。この方法は、本明細書中に記載されるような日焼け止め組成物の有効量を、ヒトの皮膚および/または髪へ局所塗布する工程を包含する。UVR(すなわち、280nm〜400nmの光放射の波長)への皮膚の露出の審美的に有益な結果は、ヒトの表皮の褐色化の促進である。太陽への露出の別の利点は、皮膚の内部でのビタミンDの産生に由来する。UVRは、代表的には、UV−A(320nm〜400nmの光波長)領域、およびUV−B(280nm〜320nmの範囲の波長)領域に分けられる。UV−B放射への過度の露出は、皮膚の火傷および紅斑を引き起こすことが一般的に理解される。加えて、UV−A放射への過度の露出は、皮膚の弾性の喪失、および、皺という外見の原因となり得、早すぎる皮膚の老化を促進する。そのような放射は、紅斑化反応の誘発を促進するか、または、特定の個人において紅斑化反応を拡大させ、光毒性反応または光アレルギー反応の源にさえなり得る。UV−Aへの過剰な露出はまた、黒色腫を引き起こし得るとますます考えられてきている。したがって、本発明の組成物の、ある個体の皮膚および/または髪への塗布は、その個体の皮膚および/または髪に、強化されたUVR(UV−Aおよび/またはUV−B)光防護を提供する。
【0039】
本発明の組成物は、少なくとも2の太陽光線保護指数(SPF)評価を提供することを意図されており、追加の好ましい実施形態では、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、および、少なくとも55の太陽光線保護指数を有する。
【0040】
本発明は、以下の実施例によってさらに記載される。以下の実施例はいずれの意味においても、添付された特許請求の範囲により規定されるような本発明を限定することを意図されていない。
【実施例】
【0041】
日焼け止めローションの処方物
日焼け止め活性化合物であるアミロキサート、オクチノキサート、およびオクトクリレンを、個々に、そして様々な組み合わせで含有する数個の水中油型処方物を、インビトロのSPF実験にて試験した。表1および表2は、比較する目的で使用される、1つの日焼け止め活性因子か、または、2つの日焼け止め活性因子のいずれかを含む処方物についての材料を列挙している。表3は、3つ全ての日焼け止め活性因子を組み合わせて含有する処方物についての材料を列挙している。この組み合わせは、アミロキサート、オクチノキサート、およびオクトクリレン間の驚くべき相乗作用を例示する。全ての処方物は、以下の一般的な方法にしたがって調製された。
【0042】
1.KeltrolおよびVeegumを、適切な容器中のA部分の水へ加え、そして、完全に水和されるまで機械式撹拌機で撹拌した。次いで、A部分の材料の残りを、撹拌しながら加えて、水相を形成し、165°F〜175°Fに加熱する。
【0043】
2.別の容器中で、B部分の材料の全てを組み合わせ、180°F〜185°Fに加熱する。
【0044】
3.次いで、上記のB部分の材料をA部分の水相へ加え、十分に撹拌し、120°F〜125°Fへゆっくりと冷却する。
【0045】
4.次いで、C部分のGermaben IIを加え、十分に撹拌する。
【0046】
5.次いで、この処方物を室温へ冷却し、それから、D部分の水を重量に対して十分量加える。
【0047】
表1
単一の日焼け止め活性因子を含む処方物
【0048】
【表1】

全ての量は重量パーセントで記載した。
【0049】
表2
2つの日焼け止め活性因子を含む処方物
【0050】
【表2】

全ての量は重量パーセントで記載した。
【0051】
表3
3つの日焼け止め活性因子を含む処方物
【0052】
【表3】

全ての量は重量パーセントで記載した。
SPF測定
全てのSPF測定を、上記の日焼け止め処方物を塗布する基体としてVitro−Skin(登録商標)(IMS,Inc.,Orange,CT;USA)を用いて実施した。上記基体を、製造業者の使用説明書にしたがって水和させた。試験処方物を2mg/cmで基体へ塗布し、6×7の写真用スライド台(B&H Photo Video,New York,NY;USA)に載せ、20分間乾燥させた。未処理の水和したVitro−Skin(登録商標)の基体もまた、スライド台に載せ、20分間空気乾燥させ、参照およびブランクとして使用した。それぞれの処方物のインビトロのSPFは、コンピュータ制御されたX−Yサンプリング台を備えたOptometrics SPF 290S Analyzer(Oprometrics LLC,Ayer,MA;USA)を用い、製造業者の使用説明書にしたがって操作し、決定した。12個のインビトロのSPF値の全ては、載せたそれぞれの基体の、異なり重複しない位置を使用して、それぞれの処方物に対して得た。得られたインビトロのSPF値を表4に示す。報告する全てのSPF値は、それぞれの処方物に対して測定された12個の値の平均値である。
【0053】
表4
SPF測定値対SPF予測値
【0054】
【表4】

報告したSPF測定値は、3回の異なる測定の平均値を表す。
実施例6〜12に対するSPF予測値は、同濃度でのそれぞれの日焼け止めから得た個々のSPFの量を合計することにより算出した。
【0055】
表4の結果は、3つ全ての日焼け止め活性因子を種々のレベルで含む処方物10〜12についての実施例で例示しているように、特有の相乗作用が本発明の日焼け止め活性因子の組み合わせに存在することをはっきりと実証している。処方物10〜12では、同濃度の個々の日焼け止め活性因子から得たSPFの算術和から予測されるSPFと比較して、5SPF単位〜9SPF単位、SPF値が増加する。対照的に、2つの日焼け止め活性因子を含む処方物6〜9のSPF測定値は、SPF予測値とほほ同じままであり、それゆえに、3つ全ての日焼け止め活性因子を組み合わせたものに観察される相乗作用が、2つの日焼け止め活性因子の任意の可能な組み合わせに由来しないことが確認される。SPFの性能における相乗効果は、同じ処方物中の3つ全ての日焼け止め活性因子の組み合わせにのみ存在する。
【0056】
上記の水中油型乳濁液に加えて、本発明による光防護組成物の追加の代表的実施例には、油中水型乳濁液組成物およびアルコールスプレー組成物のような実施例が適し得る。代表的な実施例13(油中水型乳濁液)および実施例14(アルコールスプレー)は、以下に記載する。
【0057】
表5
油中水型乳濁液処方物(実施例13)
【0058】
【表5】

上記の油中水型処方物は、バッチ全体を保持するのに十分な大きさの容器中にA部分の油相材料を最初に加え、均一になるまで撹拌することによって調製し得る。次に、別の容器中にB部分の水を加えた後、B部分の残りの材料を表5に記載されている順番で加え、十分に撹拌する。最後に、第2工程の水相を第1工程の油相へ、水相の全てを加えるまでゆっくりと撹拌しながら、ゆっくりと加え得る。次いで、撹拌速度を上げて急速に撹拌し、完全に乳化させ、ローション組成物とする。
【0059】
表6
アルコールスプレー処方物(実施例14)
【0060】
【表6】

上記組成物を、表6に記載された順番で適切なサイズの容器へ全ての材料を加え、均一になるまで撹拌することにより調製する。次いで、この組成物を、例えば、皮膚および/または髪へスプレー塗布するためのポンプボトル(pump bottle)へ充填し得る。
【0061】
本発明の組成物はまた、皮膚および/または髪へスプレーとして塗布するためのエアゾール処方物として調製し得る。表7(実施例15)にある以下の組成物は、本発明によるエアゾール処方物の生産の例である。
【0062】
表7
エアゾールローション処方物
【0063】
【表7】

表7に記載されたエアゾールローションを、本明細書中に記載されたローション処方物と一般的な推進体とを組み合わせることにより、容易に調製し得、塗布されるまでの保管が可能な適切な容器へ充填し得る。上記の実施例15において、実施例12に記載されたローションの70%を、閉じられた容器(例えば、アルミニウム缶またはガラス瓶)中で一般的な推進体、この場合は、30%のジメチルエーテルと組み合わし得る。
【0064】
上記エアゾール処方物を調製するために、乳濁液を室温へ冷却し、次いで、適切な容器(例えば、アルミニウムエアゾール缶またはガラス瓶)へ量り分ける。適切なバルブ、ディップチューブ(dip tube)、およびアクチュエーターを缶または瓶に装着し、この系を、上記缶または瓶の特定の直径のために設計されたハンドクリンパー(hand crimper)を用いて圧着し、密閉する。次いで、この密閉した組立品を、氷浴に浸す。この組立品を0℃またはほぼ0℃に維持している間に、アクチュエーターの茎状部分(actuator stem)を押し下げ、ジメチルエーテルのガスがエアゾール缶または瓶の中へ流れることを可能にすることにより、ジメチルエーテルを含むガスボンベから缶または瓶の中へ推進体を導入する。この移動は、0℃でのエアゾール缶または瓶の内部圧力が、周囲温度でのガスボンベ中の圧力未満であることに起因して起きる。缶および瓶を定期的に量り得、加えた推進体の量を決定し得る。
【0065】
本発明の特定の現在好ましい実施形態が、本明細書中に記載されてきたが、記載された実施形態の変更および改変は本発明の意図と範囲から逸脱すること無しになされ得ることは、本発明が属する分野の当業者にとって明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光防護する相乗作用有効量のオクチノキサート、オクトクリレン、およびアミロキサートを含む、ヒトの皮膚および/または髪の光防護に適した局所塗布可能な日焼け止め組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の日焼け止め組成物であって、該組成物中に存在するオクチノキサート:オクトクリレン:アミロキサートのモル比が、0.034:0.028:0.04から0.26:0.28:0.40の範囲にある、日焼け止め組成物。
【請求項3】
オクチノキサートが前記組成物中に約1.0重量%〜約7.5重量%の量で存在する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項4】
オクチノキサートが前記組成物中に約4.0重量%〜約7.5重量%の量で存在する、請求項3に記載の日焼け止め組成物。
【請求項5】
オクチノキサートが前記組成物中に約6.5重量%〜約7.5重量%の量で存在する、請求項3に記載の日焼け止め組成物。
【請求項6】
オクトクリレンが前記組成物中に約1.0重量%〜約10.0重量%の量で存在する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項7】
オクトクリレンが前記組成物中に約5.0重量%〜約10.0重量%の量で存在する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項8】
オクトクリレンが前記組成物中に約8.0重量%〜約10.0重量%の量で存在する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項9】
アミロキサートが前記組成物中に約1.0重量%〜約10.0重量%の量で存在する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項10】
アミロキサートが前記組成物中に約5.0重量%〜約10.0重量%の量で存在する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項11】
アミロキサートが前記組成物中に約7.5重量%〜約10.0重量%の量で存在する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの追加のUV−A用および/またはUV−B用日焼け止めをさらに含む、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の日焼け止め組成物であって、前記の追加のUV−A用および/またはUV−B用日焼け止めが、少なくとも1つの無機顔料または無機ナノ顔料の微粒子の光防護有効量を含む、日焼け止め組成物。
【請求項14】
請求項13に記載の日焼け止め組成物であって、前記の少なくとも1つの顔料またはナノ顔料が、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、またはこれらの混合物を含む、日焼け止め組成物。
【請求項15】
少なくとも1つのUV放射線散乱剤をさらに含む、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項16】
少なくとも1つのサンレスタンニング剤、またはセルフタンニング組成物をさらに含む、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の日焼け止め組成物であって、非イオン性小胞分散体、乳濁液、クリーム、乳液、ジェル、クリームジェル、軟膏、懸濁液、分散体、粉末、固体、スティック、フォーム、またはスプレーを構成する、日焼け止め組成物。
【請求項18】
無水もしくは水性の固体もしくはペースト、乳濁液、懸濁液、または
分散体を構成する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項19】
水中油型乳濁液を構成する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項20】
油中水型乳濁液を構成する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項21】
エアゾール処方物を構成する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項22】
少なくとも2の太陽光線保護指数を有する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項23】
少なくとも30の太陽光線保護指数を有する、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項24】
光防護する相乗作用有効量のオクチノキサート、オクトクリレン、およびアミロキサートを含む、ヒトの皮膚および/または髪への局所塗布のための化粧用組成物。
【請求項25】
請求項24に記載の化粧用組成物であって、該組成物が、モイスチャーライザー、クレンザー、コンディショナー、シャンプー、ボティーウォッシュ、スタイリングジェル/ローション、アイクリーム、アイライナー、ほお紅、マスカラ、ファンデーション、マニキュア液、マニキュア除光液、アイシャドー、口紅、リップグロス、リップライナー、リップクリーム、メイクアップリムーバー、ネイルトリートメント、フットケア組成物、にきび治療薬、発赤/酒さ治療薬、静脈瘤症/くも状静脈治療薬、老化防止組成物、サンレスタンニング組成物、日焼け手入れ用組成物、コンシーラー、ヘアカラー組成物および漂白組成物、スキンフェイディング/ライトナー、ボディーファーミングローション、シェービングクリーム、アフターシェーブローション、リラクサー、発汗抑制剤、脱臭剤、エクスフォリアント、スクラブ、液体ハンドソープ、泡立て剤、疼痛および創傷治療薬、防虫剤、かゆみおよび発疹抑制クリーム、スタイリングムース、フォーム、香水、滑沢剤、ボディオイル、ボディスプレー、ベビーローション、おむつクリーム、ベビーソープ、ベビーシャンプー、ベビーオイル、ベビーワイプ、抜け毛治療薬、ヘアスプレー、脱毛剤、髪成長抑制剤、ヘアリムーバルワックス、個人用クレンジング、コロン、オイルコントローラー、または手消毒剤を構成する、化粧用組成物。
【請求項26】
少なくとも1つの皮膚保護剤活性物質をさらに含む、請求項24に記載の化粧用組成物。
【請求項27】
請求項26に記載の化粧用組成物であって、前記皮膚保護剤活性物質は、アラントイン、水酸化アルミニウムゲル、カラミン、カカオバター、タラ肝油、コロイド状オートミール、ジメチコン、グリセリン、ハードファット、カオリン、ラノリン、鉱油、ワセリン、重炭酸ナトリウム、局所デンプン、白色ワセリン、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、および酸化亜鉛を含む、化粧用組成物。
【請求項28】
請求項1に記載の日焼け止め組成物の有効量をヒトの皮膚および/または髪へ局所塗布する工程を包含する、太陽放射線の有害な影響に対してヒトの皮膚および/または髪を保護する方法。
【請求項29】
請求項1に記載の日焼け止め組成物の有効量をヒトの皮膚および/または髪へ局所塗布する工程を包含する、紫外線照射の有害な影響に対してヒトの皮膚および/または髪を保護する方法。
【請求項30】
請求項24に記載の化粧用組成物の有効量をヒトの皮膚および/または髪へ局所塗布する工程を包含する、太陽放射線の有害な影響に対してヒトの皮膚および/または髪を保護する方法。
【請求項31】
請求項24に記載の化粧用組成物の有効量をヒトの皮膚および/または髪へ局所塗布する工程を包含する、紫外線照射の有害な影響に対してヒトの皮膚および/または髪を保護する方法。

【公表番号】特表2010−505765(P2010−505765A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530459(P2009−530459)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/021067
【国際公開番号】WO2008/042326
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(398029706)シェーリング−プラウ ヘルスケア プロダクツ,インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】