Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
早漏治療剤
説明

早漏治療剤

【課題】新規な作用機序の早漏及び/又は遅漏の治療薬の創製
【解決手段】NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物を有効成分として含有する、早漏の治療剤。NR2B サブユニットを含むNMDA 受容体抑制作用または活性化作用を評価することを含む早漏または遅漏を治療するための化合物を選択する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬、とりわけ早漏の治療剤に係るものである。また、本発明は早漏または遅漏を治療するために有用な化合物のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
男性の性機能不全の一つである射精障害(ejaculatory dysfunction)には、早漏(premature or rapid ejaculation)、遅漏(delayed ejaculation)、射精不能(complete inability to ejaculate)、逆行性射精(retrograde ejaculation)および射精痛(painful ejaculation)などが含まれる。早漏は最も一般的な射精障害であり、性的活動のある男性の5%〜40%に生じ、一方、遅漏は、性的活動のある男性の約4%に生ずると報告されている。(例えば、非特許文献1参照)
早漏の国際的に統一された定義は確立されていない。しかしながら、米国精神医学会の診断基準第四版によると、早漏とは男性が膣内に挿入前もしくは、挿入後直ちに、もしくは、射精を望む前に、最小限の性的刺激によって、常にもしくはたびたび引き起こされる射精であり、年齢やパートナー、性交時の状況、頻度によらないものである。早漏は患者に著しいストレスや対人関係の悪化を引き起こす (例えば、非特許文献2参照)。また、近年では、エビデンスに基づいた定義も国際性機能学会により提唱さており、生涯にわたる早漏(life long premature ejaculation)とは、常にまたはほぼ常に膣内挿入前または挿入後約1分以内に射精してしまうこと、および、膣内挿入の際に毎回またはほぼ毎回射精を遅延させることができないこと、そして苦悩、悩み、欲求不満または性交を避けるなどといった自己否定的な結果をもたらすことを特徴とするもの、としている(例えば、非特許文献3参照)。
遅漏は、精子放出の欠乏又は減少と射精収縮(ejaculatory contraction)の減弱を伴い、付随的にオルガズムの欠乏又は減少が起こることもある、射精機能の不全と定義される(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
早漏の治療には、性交時の膣内挿入後から射精までの潜時を延長し、患者およびパートナーの満足度を上げる目的で、心理療法、行動療法及び薬物療法が用いられている。早漏患者において、ある程度薬効が確認されている薬剤としては、陰茎亀頭に塗布する局所麻酔剤、非選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SRI)および選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)などが米国泌尿器学会のガイドラインで推薦されている(例えば、非特許文献4参照)。
例えばベンゾカインまたはリドカイン−プリロカインの組み合わせを含有する調製物などの局所麻酔剤を陰茎に塗布すると、性的刺激に対する知覚神経の閾値が上昇し、射精潜時の延長が確認されている。しかしながら、局所麻酔剤は、男性およびパートナーの一方、もしくは双方に、塗布による局所のアレルギー反応をもたらす可能性があること、ならびに、薬剤の拡散により、パートナーの性交時満足度の低下を生じる可能性がある。
また、もう一方の推奨されている治療薬剤である、SRIやSSRIなどの抗うつ剤は早漏適応として承認されておらず、オフラベルで早漏治療に用いられている。うつ治療と同様に、早漏への改善作用が発現するまでには、SRIおよびSSRIを長期間服用する必要がある。副作用についても、めまいや吐き気などが高頻度で発現することや、自殺企図を増加させる可能性が知られており、早漏治療薬として安全性、利便性の点で問題があるのが現状である。
遅漏に対しては心理療法が推奨されている他、セロトニン受容体拮抗剤やドパミン作動薬等を用いての薬物療法も幾つか提案されているが、プラセボ対照試験での有効性はまだ報告されていない。(例えば、非特許文献1参照)。
早漏や遅漏を始めとする射精障害に対して、効果が十分でかつ副作用の少ない治療薬の開発が求められている。
【0004】
N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体は、NR1、NR2及びNR3の3つのサブユニットから構成され、NR2サブユニットはさらに4種(NR2A, NR2B, NR2C, NR2D)のサブファミリーに分類されており、各々発現時期や発現部位が異なること、それらがNR1サブユニットと複合体を形成することによりチャネル特性を決定することが報告されている。NR2Bサブユニットは中枢神経系に発現しており、脳内では皮質、海馬および線条体を含む前脳領域にほとんど局在化している(例えば、非特許文献5参照)。
NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物は多数知られており(例えば、特許文献1〜15参照)、それらの適用可能性のある疾患として、脳または脊髄の外傷性傷害;ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連神経性傷害;筋萎縮性側索硬化症;疼痛のオピオイド処置に対する耐性および/または依存性;アルコール、オピオイドまたはコカインの禁断症状;虚血性CNS傷害;アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病を含む慢性神経変性傷害;神経因性疼痛、癌関連疼痛を含む疼痛および慢性疼痛状態;癲癇;不安;うつ病;片頭痛;精神病;筋肉萎縮;様々な原因の痴呆;低血糖;網膜の変性疾患;緑内障;喘息;耳鳴り;アミノグリコシド抗生物質誘発性聴覚損失;尿失禁が挙げられている。
また、NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物は、哺乳類において脳へのグルコース及び/又は酸素供給の損傷から生じる神経損傷を抑制するために予防的に使用できること、また、哺乳類における一次性痛覚過敏症、二次性痛覚過敏症、一次性異痛症、二次性異痛症、または中枢増感により引き起こされるその他の痛みの予防に使用できることが報告されている(例えば、特許文献16参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第90/14087号
【特許文献2】欧州特許出願公開第648744号明細書
【特許文献3】国際公開第03/10159号
【特許文献4】国際公開第00/75109号
【特許文献5】国際公開第00/67751号
【特許文献6】国際公開第02/34718号
【特許文献7】国際公開第03/10159号
【特許文献8】国際公開第04/18705号
【特許文献9】国際公開第97/23216号
【特許文献10】国際公開第00/00197号
【特許文献11】国際公開第95/20587号
【特許文献12】国際公開第98/19793号
【特許文献13】米国特許第3509164号明細書
【特許文献14】欧州特許出願公開第1512679号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開第109317号明細書
【特許文献16】欧州特許出願公開第1199067号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Nature Clinical Practice Rheumatology, 2006年, 第2巻, p90-97
【非特許文献2】Neuropharmacology, 1995年, 第34巻, p1219-1237
【非特許文献3】American Journal of the Medical Sciences, 1998年, 315巻, p385-396
【非特許文献4】Current Opinion in Investigational Drugs, 2007年, 第16巻, p829-841
【非特許文献5】Trends in Neuroscience, 1993年, 第16巻, p359-365、
【非特許文献6】Bioorganic & Medicinal Chemistry, 2007年, 第17巻, p5537-5542
【非特許文献7】Pharmacology, Biochemistry and Behavior, 2006年, 84巻, p134-141
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、新規な作用機序の早漏又は遅漏の治療薬の創製を目指して、鋭意研究を行った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者等は、NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物が、麻酔下ラットにおける射精様反応に対して、初回射精様反応までの潜時を延長し、射精様反応の回数を減らすことを見出した。また、発明者等は、雄性ラット交尾行動試験においても、NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物が、初回射精潜時を延長し、射精回数を減らすことを見出した。加えて、発明者等は、NR2B サブユニットを含むNMDA 受容体抑制作用または活性化作用を指標に早漏または遅漏の治療剤をスクリーニングする方法を確立した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の発明などを提供する。
[1]NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物を有効成分として含有する、早漏の治療剤。
[2]有効成分が下記一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される酸付加塩である、[1]に記載の剤。
【化1】

[式中、
(a)R11、R12、R13及びR14は各々独立して水素、(C1-C6)アルキル、ハロゲン、CF3、OH又はOR17であり、R15はメチル又はエチルであるか、或いは
(b)R12及びR15は一緒になって−O−CH2−であり、それによりクロマン-4-オールを形成し、R11、R13及びR14は各々独立して水素、(C1-C6)アルキル、ハロゲン、CF3、OH又はOR17であり、
R16
【化2】

であり、
R17は、メチル、エチル、イソプロピル又はn-プロピルであり、
R18は、(C1-C6)アルキル、ハロゲン及びCF3から成る群より独立して選択される3つまでの置換基で所望により置換されたフェニルであり、
X1は、O、S又は(CH2)nであり、
nは、0、1、2又は3である。]
[3]有効成分が(+)-(1S,2S)-1-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-(4-ヒドロキシ-4-フェニルピペリジノ)-1-プロパノール、またはその製薬学的に許容される酸付加塩である、[2]に記載の剤。
[4]有効成分が下記一般式(II)で示される化合物またはその製薬学的に許容される酸付加塩である、[1]に記載の剤。
【化3】

[式中、
R21は、水素、ヒドロキシ、又はアリール−低級アルキル−O−であり、
X2は水素であり、YはOH若しくは水素であるか、又は、X2及びYは一緒になって酸素(=O)であり、
Zは、アリール−低級アルキル−であり、
mは、1乃至4の整数である。]
[5]有効成分が下記化合物またはその製薬学的に許容される酸付加塩である、[4]に記載の剤。
(R* ,S* )−rac−β−メチル−α−〔4−(フェニルメトキシ)フェニル〕−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール、
(R* ,S* )−rac−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール、
rac−4−〔2−メチル−3−〔4−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル〕プロピル〕フェノール、
(R* ,S* )−rac−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンブタノール、
rac−4−〔2−メチル−4−〔4−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル〕ブチル〕フェノール、
(S)−2−メチル−1−〔4−(フェニルメトキシ)フェニル〕−3−〔4−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル〕−1−プロパノン、
〔R−(R* ,S* )〕−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール、
〔S−(R* ,S* )〕−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール、
rac−(2−メチル−3−フェニルプロピル)−4−(フェニルメチル)ピペリジン、又は
(R* ,R* )−rac−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール。
[6]NR2B サブユニットを含むNMDA 受容体抑制作用または活性化作用を評価することを含む早漏または遅漏を治療するための化合物を選択する方法。
[7]早漏または遅漏を治療するための化合物を選択する方法であって、
2-1)被験化合物をNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体発現細胞に接触させる工程、
2-2)前記細胞でのNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体の活性を測定する工程、及び、
2-3) NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体の活性を抑制または活性化する被験化合物を早漏または遅漏を治療するための化合物として選択する工程、を含む[6]の方法。
[8]3-1) NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用または活性化作用を示す被験化合物を雄性哺乳動物に投与する工程、
3-2)射精様反応を誘発する刺激物質を前記哺乳動物に投与する又は射精様反応を惹起する刺激を雄性哺乳動物に行う工程、
3-3)前記刺激から初回の射精様反応が起こるまでの潜時又は前記刺激後一定時間内に惹起される射精様反応の回数を測定する工程、並びに、
3-4)被験化合物投与前値もしくは溶媒投与時の変化と比べ、該初回の射精様反応が起こるまでの潜時を延長又は短縮、及び、該射精様反応の回数を増加又は減少させた被験化合物を、早漏または遅漏を治療するための化合物として選択する工程を、さらに含む[6]又は[7]の方法。
[9]早漏または遅漏を治療するための化合物を選択する方法であって、
4-1) NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用または活性化作用を示す被験化合物を雄性哺乳動物に投与する工程、
4-2) 射精様反応を誘発する刺激物質を前記哺乳動物に投与する又は射精様反応を惹起する刺激を雄性哺乳動物に行う工程、
4-3) 前記刺激から初回の射精様反応が起こるまでの潜時又は前記刺激後一定時間内に惹起される射精様反応の回数を測定する工程、並びに、
4-4) 被験化合物投与前値もしくは溶媒投与時の変化と比べ、該初回の射精様反応が起こるまでの潜時を延長又は短縮、及び、該射精様反応の回数を増加又は減少させた被験化合物を、早漏または遅漏を治療するための化合物として選択する工程を含む方法。
[10]早漏または遅漏を治療するための化合物を選択する方法であって、
5-1)雄性哺乳動物と雌性哺乳動物を同居させて、陰茎の初回膣内挿入から初回射精までの潜時および同居後一定時間内の射精回数を測定する工程、
5-2) NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用または活性化作用を示す被験化合物を前記雄性哺乳動物に投与する工程、
5-3)前記雄性哺乳動物を雌性哺乳動物と同居させて、該初回射精潜時および該射精回数を測定する工程、並びに、
5-4)被験化合物投与前値もしくは溶媒投与時の変化と比べ、投与後の該初回射精潜時を延長または短縮、及び該射精回数を減少または増加させた被験化合物を、早漏または遅漏を治療するための化合物として選択する工程、を含む方法。
[11]NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用または活性化作用を有する化合物を投与されることによって早漏または遅漏の治療を受ける患者の治療効果を評価する方法であって、前記化合物の投与前及び投与後において、性交時の膣内挿入後射精潜時を定量すること、並びに、患者への質問により射精機能の改善を定量することを含む方法。
[12]NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体発現細胞を含む早漏または遅漏の治療剤のスクリーニングツール。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、未だ十分な効果のある治療法のない早漏または遅漏の治療剤或いはそのスクリーニング方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】Ro 25-6981が7-OH-DPAT 誘発の初回射精様反応(ELR)潜時を延長し、射精様反応の回数を低減させたことを示した図である。
【図2】CP-101,606が7-OH-DPAT 誘発の初回射精様反応(ELR)潜時を延長し、射精様反応の回数を低減させたことを示した図である。
【図3】ラット交尾行動試験において、Ro 25-6981が初回射精潜時を延長し、射精回数を低減させたことを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0013】
NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物は、NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体を選択的に抑制する物質である。NR2B サブユニットを含むNMDA受容体の活性評価は、例えば、ヒトNR1 およびNR2BサブユニットをHEK293 細胞に一過性に導入し、導入1日後にグルタミン酸/グリシン惹起細胞内Ca量変化をCaイオン反応性蛍光色素を用いて測定する方法が用いられる。同評価系に被験物質を添加し、被験物質が NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物だとすると、細胞内への Ca イオン量が低下し、蛍光量は低下する。被験物質の50%阻害濃度(IC50)を求める。好ましくは約10μM未満、より好ましくは約1μM未満、さらに好ましくは100nM未満、さらにより好ましくは10nM未満のIC50を有する被験物質をNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物とする。
好ましくは、NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物は、NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体選択的な抑制活性を有し、NR2Aサブユニットを含むNMDA受容体に対する少なくとも10倍の選択性、より好ましくは、NR2Aサブユニットを含むNMDA受容体に対する少なくとも100倍の選択性を有する。
NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物は、例えば、特許文献1〜15や非特許文献6〜7に記載された化合物である。
【0014】
具体的には、NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物としては、特に、下記の表1〜表2に掲げる(1)〜(21)の化合物などが好ましく用いられる。
【表1】

【0015】
【表2】

【0016】
本発明に用いるための好ましい、適当なNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物は、また、特許文献1又は特許文献16に含まれる化合物(好ましくは、特許文献1又は特許文献16に例示される化合物)を包含する。これらは、式(I)で示される化合物又はその製薬学的に許容される酸付加塩を包含する。
【化1】

[式中、
(a)R11、R12、R13及びR14は各々独立して水素、(C1-C6)アルキル、ハロゲン、CF3、OH又はOR17であり、R15はメチル又はエチルであるか、或いは
(b)R12及びR15は一緒になって−O−CH2−であり、それによりクロマン-4-オールを形成し、R11、R13及びR14は各々独立して水素、(C1-C6)アルキル、ハロゲン、CF3、OH又はOR17であり、
R16
【化2】

であり、
R17は、メチル、エチル、イソプロピル又はn-プロピルであり、
R18は、(C1-C6)アルキル、ハロゲン及びCF3から成る群より独立して選択される3つまでの置換基で所望により置換されたフェニルであり、
X1は、O、S又は(CH2)nであり、
nは、0、1、2又は3である]。
【0017】
式(I)示される、好ましい化合物の非限定的例は、下記化合物又はこれらの製薬学的に許容される酸付加塩である。
(+)-(1S,2S)-1-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-(4-ヒドロキシ-4-フェニルピペリジノ)-1-プロパノール(CP-101,606/一般名トラキソプロジル(traxoprodil))。
【0018】
本発明に用いるための好ましい、適当なNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物は、また、特許文献2に含まれる化合物(好ましくは、特許文献2に例示れる化合物)を包含する。これらは、式(II)で示される化合物又はその製薬学的に許容される酸付加塩を包含する。
【化3】

[式中、
R21は、水素、ヒドロキシ、又はアリール−低級アルキル−O−であり、
X2は水素であり、YはOH若しくは水素であるか、又は、X2及びYは一緒になって酸素(=O)であり、
Zは、アリール低級−アルキルであり、
mは、1乃至4の整数である。]
【0019】
式(II)で示される、好ましい化合物の非限定的例は、下記化合物又はこれらの製薬学的に許容される酸付加塩である。
(R* ,S* )−rac−β−メチル−α−〔4−(フェニルメトキシ)フェニル〕−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール;
(R* ,S* )−rac−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール;
rac−4−〔2−メチル−3−〔4−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル〕プロピル〕フェノール;
(R* ,S* )−rac−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンブタノール;
rac−4−〔2−メチル−4−〔4−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル〕ブチル〕フェノール;
(S)−2−メチル−1−〔4−(フェニルメトキシ)フェニル〕−3−〔4−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル〕−1−プロパノン;
〔R−(R* ,S* )〕−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール;
〔S−(R* ,S* )〕−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール;
rac−(2−メチル−3−フェニルプロピル)−4−(フェニルメチル)ピペリジン、又は
(R* ,R* )−rac−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール。
【0020】
式(II)で示される、さらに好ましい化合物の非限定的例は、下記化合物又はこれらの製薬学的に許容される酸付加塩である。
〔R−(R* ,S* )〕−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール(Ro-25-6981)。
【0021】
上記一般式の定義において、特に断らない限り、各々の用語は以下を意味する。
「低級アルキル」は、1〜7個の炭素原子を含む飽和の直鎖又は分岐鎖の基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、2−ブチル、t−ブチルなどを意味する。好ましいアルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する基((C1-C6)アルキル)であり、さらに好ましいアルキル基は、1〜4個の炭素原子を有する基である。
「アリール」は、フェニル又はナフチルのような芳香族炭化水素から誘導される基であり、該基は、非置換又はアルキル、アルキル-O-、ヒドロキシ又はハロゲンから選択される1以上の置換基で置換されていてもよい。
「ハロゲン」は、F、Cl、Br、Iを意味する。
【0022】
上記一般式の化合物には、置換基の種類によって、互変異性体や幾何異性体が存在しうる。本明細書中、化合物が異性体の一形態のみで記載されることがあるが、本発明は、それ以外の異性体も包含し、異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
また、上記一般式の化合物には、不斉炭素原子や軸不斉を有する場合があり、これに基づく光学異性体が存在しうる。本発明は、これらの化合物の光学異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
式(II)の化合物は、α−及びβ−位に二つの不斉中心を有することができる。従って、式(II)の化合物は、ジアステレオマー、すなわちエリトロ又はトレオ異性体であり得る。ここで用いた用語「エリトロ」及び「トレオ」とは、以下に示すように、ラセミ体である式(II-1)の化合物のα−及びβ−位における、ヒドロキシ置換基(存在する場合)及びメチル置換基の相対的な配置に関する。しかしながら、式(II-1)の化合物のエリトロ及びトレオの光学活性体及びそのラセミ体も、本発明に包含する。
【化4】

【0023】
上記一般式の化合物の製薬学的に許容される塩とは、これらの化合物の製薬学的に許容される酸付加塩であり、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタン−スルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのような、無機酸及び有機酸との塩を包含する。
【0024】
これらの既知化合物であるNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物は、上述の文献に記載された方法により、或いは、それに準じて容易に入手可能である。また、NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物は、後述のスクリーニング方法の実施によっても得ることができる。
【0025】
本発明の有効成分の投与量は、1日量0.01mg〜100gの範囲内で、薬剤毎に、投与ルート、疾患の症状、投与対象の年齢等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。また、後述の実施例2に示すラット交尾行動試験の結果から、患者に対する臨床有効量として以下の好ましい範囲が換算される。CP-101,606は、経口投与の場合、好ましくは成人1人当たり1回量約0.1mg〜10gであり、これを性行為前もしくは、1日1回或いは数回に分けて経口投与する。
【0026】
本発明の薬剤は、経口または非経口投与に適した有機又は無機の担体、賦形剤、その他の添加剤を用いて、常法に従って、経口固形製剤、経口液状製剤または注射剤として調製することができる。好ましいのは患者が自ら容易に服用でき且つ保存、持ち運びに便利な経口固形製剤であり、具体的には錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、丸剤等である。
このような固形製剤においては、活性物質が、少なくとも一つの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、スターチ、タルクのような滑沢剤、線維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸又はアスパラギン酸のような溶解補助剤、ツイーン80、トリアセチンのような可塑剤、酸化チタン、三二酸化鉄のような着色剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、寒天、ペクチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
【0027】
本発明の薬剤は、早漏の治療剤であり、疾患の性質上、予防的に投与される場合が多い。すなわち、早漏と診断された患者に対して、性行為の一定時間前に投与するように処方される。
【0028】
NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物の早漏治療効果は、実施例1に示すとおり、麻酔下ラットの7-OH-DPAT誘発射精様反応に対する初回射精様反応潜時延長効果及び/又は射精様反応の回数低減効果によって確認できる。また実施例2に示すとおり、ラット交尾行動試験における初回射精潜時延長効果及び/又は射精回数低減効果によっても確認できる。さらに、適切な他の病態モデル動物を用いた実験によっても確認できる他、早漏の患者に対する臨床試験によっても確認することができる。
【0029】
尚、本発明の薬剤は単独での投与において十分有効であるが、早漏の患者の症状緩和に用いられる選択的セロトニン取り込み阻害剤や、三環系抗うつ薬、陰茎への局所麻酔薬塗布などと同時にまたは時間をおいて併用することができる。本発明化合物と併用される薬物とを組み合わせて使用する場合は、別々の製剤であっても、合剤であっても良い。また、別々の製剤においては、両者を同時に服用することも、時間をずらして投与することも可能である。
【0030】
本発明のもう一つの局面は、医薬化合物のスクリーニング方法であり、すなわち、早漏または遅漏を治療するために有用な化合物を選択する方法であり、NR2B サブユニットを含むNMDA 受容体抑制作用または活性化作用を評価することを含む。
NR2B サブユニットを含むNMDA 受容体抑制作用または活性化作用とは、NR2Bサブユニットを構成因子として有するNMDA受容体に被験化合物が作用することにより機能発現が抑制または活性化される初期段階の作用のすべてを意味する。
好ましくは、該スクリーニング方法は、NR2B サブユニットを含むNMDA 受容体抑制作用または活性化作用を評価し、10μM未満のIC50値、より好ましくは、1μM未満のIC50値、さらに好ましくは100nM未満のIC50値、さらに好ましくは、10nM未満のIC50値を有する化合物を選択することを含む。また、好ましくは、NR2Aサブユニットを含むNMDA受容体に対するのと比べてNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体に選択的な抑制作用を有する化合物、具体的には、NR2Aサブユニットを含むNMDA受容体に対する少なくとも10倍の選択性、より好ましくは、NR2Aサブユニットを含むNMDA受容体に対する少なくとも100倍の選択性を有する化合物を選択することを含む。
【0031】
NR2B サブユニットを含むNMDA 受容体抑制作用または活性化作用を評価する方法として、例えば、NMDA受容体NR1およびNR2Bサブユニット発現細胞と被験化合物とを接触させて、被験化合物のNR2B サブユニットを含むNMDA 受容体抑制作用または活性化作用を測定することが挙げられる。
NMDA受容体NR1およびNR2Bサブユニット発現細胞は、NR1およびNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体のタンパクをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換され、NR1およびNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体を発現している形質転換細胞であってもよく、あるいはNR1およびNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体ポリペプチドを発現している天然の細胞又はその細胞株であることもできる。
NMDA受容体NR1およびNR2Bサブユニット発現細胞は、公知の方法(例えば、Molecular Cloning-A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1989)に従って製造することができる。すなわち、NR1およびNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体をコードするポリヌクレオチドを、適当なベクターに組み込んで、適当な宿主細胞を形質転換させることによって、NMDA受容体NR1およびNR2Bサブユニット発現細胞を得ることができる。また、培養した形質転換細胞から公知の方法(例えば、Molecular Cloning-A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY, 1989)により分離生成することによって、NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体を得ることができる。
【0032】
NMDA受容体NR1およびNR2Bサブユニットをコードするポリヌクレオチドの作成方法は、特に限定されるものではないが、目的配列を挟む一対のプライマーを用いたRT-PCR法、cDNAライブラリーで形質転換した細胞株から目的の細胞株を選択する方法、又は化学的合成法などを用いることができる。
【0033】
形質転換細胞を作成するために使用することのできる宿主細胞は、NR1およびNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体が機能するように発現することができる限り、特に限定されるものではないが、例えば、ヒト胎児腎臓由来HEK293細胞(J. Gen. Virol., 36(1), 59-74 (1977))、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)細胞(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 60, 1275-1281 (1968))、サルの細胞であるCOS細胞(Cell, 23, 175-182 (1981))等を挙げることができる。
【0034】
形質転換細胞を作成するために使用することのできる発現ベクターはNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体を発現することができる限り特に限定されるものではなく、使用する宿主細胞の種類に応じて、適宜選択することができる。発現ベクターは、発現しようとするポリヌクレオチドの上流に位置するプロモーター、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位、及び転写終結配列を有するものを使用することができ、さらに必要により複製起点を有していることもできる。使用できる発現ベクターとして、例えばpCDNA3.1(Invitrogen社)等を挙げることができる。
【0035】
発現ベクターを宿主細胞に取り込ませる方法としては、特に限定はされないが、例えば、DEAE-デキストラン法(Nucleic. Acids. Res., 11, 1295-1308 (1983))、リン酸カルシウム−DNA共沈殿法(Virology, 52, 456-457 (1973))、市販のトランスフェクション試薬(例えば、Lipofectamine(登録商標)(Invitrogen社)、FUGENE(登録商標)(Roche Diagnostics社))を用いた方法等がある。
【0036】
形質転換細胞は、常法に従って培養することができ、培地は採用した宿主細胞に応じて慣用される種々の培地を適宜選択することができる。例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Invitrogen社)、MEMα(Invitrogen社)、RPMI-1640(Invitrogen社)等が用いられる。また、培地には必要に応じて牛胎仔血清(FBS)等の血清成分を添加することができる。さらに、ネオマイシン、ハイグロマイシン、ゼオシン、G418等の薬剤を遺伝子選択のために、適宜加えることができる。
【0037】
NMDA受容体NR1およびNR2Bサブユニット発現細胞と被験化合物とを接触させる方法は、特に制限はないが、例えば、形質転換細胞を所望の細胞密度になるように培養プレートに播種し、所望の最終濃度になるように調整した化合物溶液を添加することができる。
【0038】
NR2B サブユニットを含むNMDA 受容体抑制作用または活性化作用を測定する方法としては、例えば、イオン型受容体の下流にある細胞内におけるカルシウムイオン(Ca2+)濃度や細胞内電位を測定することができる。細胞内におけるCa2+濃度は、標識剤を用いて測定することができる。細胞内Ca2+濃度は、培養細胞にFluo4又はFluo4-AM(Dojindo社)などのCa2+感受性蛍光色素を取り込ませ、FLIPR(登録商標)システム(Molecular Device社)を用いて測定することができる。細胞内電位は、2電極膜電位固定装置によりNMDA惹起内向き電流を記録することができる。細胞外液として、Mg2+free 緩衝液を用い、NMDAとGlycineの適用によってNMDA内向き電流を惹起させることができる。以上の工程より得られるカルシウムイオン濃度や細胞内電位を指標として、NR2B サブユニットを含むNMDA 受容体抑制作用または活性化作用を測定することができる。
また、NR2B サブユニットを含むNMDA 受容体抑制作用は、リガンド結合アッセイ法により算出される受容体親和性によっても測定できる。例えば、NR1およびNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体を発現した細胞膜と標識リガンド(例えば、ifenprodilなど)、被験化合物を共に一定時間インキュベーションする。全結合量の測定には被験化合物の溶媒を用い、非特異的結合量には高濃度の非標識リガンド を使用する。インキュベーション後、ガラスフィルター等を用いて結合体とフリー体を分離し、適量のバッファーで洗浄した後、フィルターに残存する放射活性をγカウンター等で測定する。以上の工程(以下、リガンド結合アッセイ工程)により得られた放射活性を指標にNR2B サブユニットを含むNMDA 受容体抑制作用を測定することができる。
【0039】
被検化合物としては、合成物の場合、例えば、ケミカルファイルに登録されている種々の公知化合物(ペプチドを含む)、コンビナトリアル・ケミストリー技術(Tetrahedron, 51, 8135-8137 (1995))等によって合成された化合物群、又はファージ・ディスプレイ法(J. Mol. Biol., 222, 301-310 (1991))などを応用して作成されたランダム・ペプチド群を用いることができる。また、天然物の場合、例えば、微生物、植物、海洋生物、又は動物由来の成分(例えば、培養上清、組織抽出物等)を用いることもできる。
【0040】
本発明のスクリーニング方法は、上記のとおりNR2B サブユニットを含むNMDA受容体の活性を抑制または活性化する化合物を選択した後、二次スクリーニングとして、さらに実験動物に投与して射精様反応に対する作用を評価してもよく、また、実験動物に投与して交尾行動試験に対する作用を評価してもよい。或いは、さらにヒトに対する臨床試験で評価してもよい。
【0041】
実験動物は、雄性哺乳動物が使用され、例えば、サル、ラット、マウス、スナネズミ、ハムスター、モルモット、イヌ、ネコ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ等が挙げられる。小型哺乳動物が好適であり、例えば、げっ歯類動物であるラット、マウス、スナネズミ、ウサギ、モルモット、ハムスター等が挙げられる。しかしながら、小型哺乳動物に限定されるわけではなく、イヌ、サルなどの大型哺乳動物を用いることも出来る。哺乳動物は雄性で生殖可能な週齢であればよく、対象となる動物実験に適用可能である限り、特に制限はない。
実験動物は、遺伝学的および微生物学的に統御されている動物個体群を用いることが好ましい。例えば、遺伝学的には近交系、クローズドコロニーの動物を用いることが好ましく、ラットの場合、例えばSprague-Dawley(SD)、Wistar、LEW等の近交系ラットが挙げられ、マウスの場合、BALB/c、C57BL/6、C3H/He、DBA/2、SJL、CBA等の近交系マウスおよびDDY、ICR等のクローズドコロニーマウスが挙げられるが、これらに限定されない。また、微生物学的にはコンベンショナル動物であってもよいが、感染症の影響を排除する観点から、SPF(specific pathogen free)もしくはノトバイオートグレードのものを用いるのがより好ましい。
【0042】
前臨床試験における射精機能は、雄性ラットの交尾行動試験において、従来より研究されてきたが、行動試験ゆえの実験手技の制限、および低い実験効率などにより、麻酔下ラットを用いた射精機能評価系が開発されている。
射精は、前立腺部尿道への精液の分泌 (emission) と、尿道口からの精液の射出 (expulsion) から構成されている。麻酔下ラットにおいて、精嚢の収縮 (emission に類似した反応)や、球海綿体筋の活性、および、尿道口からの勢いのある液体の射出 (expulsion に類似した反応) は射精様反応として考えられている。
麻酔下ラットにおいて、上記射精様反応を惹起する刺激物質としては、7-OH-DPAT (J. Sex. Med., 6: 980-88, 2009), p-chloroamphetamine (Neuroscience, 140: 1031-40, 2006)、および8−OH-DPAT(Br. J. Pharmacol.,148:1083-90, 2006) などが報告されており、これら刺激物質の全身投与および脳内や脊髄内の局所投与により、射精様反応は惹起される。
麻酔下ラットで射精様反応を惹起する化学物質投与以外の刺激として、陰茎亀頭刺激を伴う尿道拡張 (Am. J. Physiol., 261: 1276-85, 1991) や、陰茎の求心性神経刺激 (J. Urol., 149:627-32, 1993) および Intermesenteric 神経刺激 (Biol. Reprod., 77: 717-22, 2007)などが知られている。
射精様反応の評価は、1)被験化合物を雄性哺乳動物に投与する工程、2) 射精様反応を誘発する刺激物質を前記哺乳動物に投与する又は射精様反応を惹起する刺激を雄性哺乳動物に行う工程、3) 前記刺激から初回の射精様反応が起こるまでの潜時又は前記刺激後一定時間内に惹起される射精様反応の回数を測定する工程、並びに、4) 被験化合物投与前値もしくは、溶媒投与時の変化と比べ、該初回の射精様反応が起こるまでの潜時を延長又は短縮、及び、該射精様反応の回数を増加又は減少させた被験化合物を、早漏または遅漏を治療又は予防するための化合物として選択する工程を含む。さらに具体的には、実施例1に記載された方法が挙げられる。
【0043】
前臨床試験における射精機能評価は、従来より雄性ラット交尾行動試験を用いて行われてきた。
雄性ラットの特徴的な交尾行動としては、mount (雄性ラットが雌性ラットの背後から覆いかぶさる行動)、intromission (雌性ラットの膣内に雄性ラットの陰茎を挿入する行動)、ejaculation (射精行動)の3行動が挙げられており、高齢ラットでは、交尾時のこれら性行動の回数が減少することが知られている (J. Gerotol., 13:136-9, 1958)。
ラット交尾行動試験では、実際の射精機能の評価ができ、臨床における射精機能障害である早漏/遅漏の客観的特徴である、射精潜時の長さについても測定できるメリットがある。
選択的セロトニン取り込み阻害薬が早漏患者の膣内挿入後射精潜時を延長することが知られている (Clin. Neuropharmacol., 29: 243-52, 2006)。ラット交尾行動試験においても、選択的セロトニン取り込み阻害薬は射精潜時を延長させることが知られており (Psycopharmacol., 160:283-9, 2002)、ラット交尾行動試験は、化合物の ヒト射精機能への影響を予測するには、有用な評価系であると考えられる。
交尾行動試験は、1)雄性哺乳動物と雌性哺乳動物を同居させて、陰茎の初回膣内挿入から初回射精までの潜時および同居後一定時間内の射精回数を測定する工程、2)被験化合物を前記雄性哺乳動物に投与する工程、3)前記雄性哺乳動物を雌性哺乳動物と同居させて、該初回射精潜時および該射精回数を測定する工程、並びに、4) 被験化合物投与前値もしくは、溶媒投与時の変化と比べ、投与後の該初回射精潜時を延長または短縮、及び該射精回数を減少または増加させた被験化合物を、早漏または遅漏を治療又は予防するための化合物として選択する工程、を含む。さらに具体的には、実施例2に記載された方法が挙げられる。
【0044】
実験動物に対する被験化合物の投与は、被験化合物の特性に合わせて経口投与、十二指腸内投与、胃内投与、静脈内投与、経皮投与、腹腔内投与、脊髄腔内投与、脳室内投与等により行う。被験化合物は通常は投与溶媒を用いて投与する。例えば被験化合物を静脈内投与する場合は、水や有機溶媒等に溶解あるいは懸濁して、静脈内に留置したカテーテルを介して投与する方法が好ましい。
被験化合物の投与量は、化合物の種類、動物種、体重、投与形態などによって異なり、例えば、動物が生存し得る範囲で、標的組織が機能し得る最高濃度以下の被験化合物に一定時間以上曝露され得るのに必要な量などが挙げられる。
臨床試験においては、前臨床試験で得られたデータに基づいて設定された範囲内で種々の投与量が選択される。
被験化合物の代わりに生理食塩水や蒸留水等の溶媒のみ、或いは、臨床試験の場合はプラセボ錠などを投与した対照群を、被験化合物を投与した群の比較対照に用いることが好ましい。
【0045】
本発明において、「スクリーニングツール」とは、スクリーニングの為に用いる物(具体的には、スクリーニングの為に用いる細胞)をいう。「早漏または遅漏の治療剤のスクリーニングツール」とは、早漏または遅漏を治療するための化合物を選択するための方法において、被実験化合物を接触させる対象となる細胞である。NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体発現細胞の、早漏または遅漏の治療剤のスクリーニングのための使用も本発明に含まれる。
【実施例】
【0046】
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
1.ラット手術
体重 200-350g の雄性 Wistar ラット (Japan SLC, Japan) をウレタン麻酔下(1.2g/kg, sc、Sigma-Aldrich Japan, Japan)で用いた。下腹部を正中切開し、右精嚢を露出させ、精嚢頂部を切開し、生理食塩水を満たしたカテーテル (BD Intramedic Polyethylene Tubing PE 100, Becton, Dickinson and Company, Japan) を挿入し、精嚢頂部にて結糸固定した。精嚢カテーテルの他端は polygraphsystem (MRP-6008M, Nihon Kohden, Japan) に組み込まれた、ひずみ圧用アンプ (AP-621G, Nihon Kohden, Japan) を介して圧トランスデユーサー(DX-100, Becton Dickinson and Company, Japan) に接続した。
陰嚢部皮膚を切開した後、球海綿体筋を露出させ、直径 0.05 mm のステンレス電極(MT技研、Japan)を球海綿体筋に約 2 mm 間隔で 2 本挿入した。ステンレス電極はpolygraphsystem (MRP-6008M, Nihon Kohden, Japan) に組み込まれた、筋電図用アンプ(AB-621B、Nihon Kohden, Japan)に接続した。
精嚢内圧および球海綿体筋筋電図は Powerlab system (ML880 and LabChart version 6, ADInstrument Japan, Japan) にて継続的に測定した。
大腿静脈にカテーテル (BD Intramedic Polyethylene Tubing PE 50, Becton, Dickinson and Company, Japan) を挿入し、被験物投与用に用いた。
【0047】
2.射精様反応と被験物投与
(±)-7-Hydroxy-DPAT hydrobromide (7-OH-DPAT, Sigma Aldrich Japan, Japan) を生理食塩水に溶解させ、0.03 mg/mL/kg で投与すると、一定時間後に一過性の精嚢内圧の上昇と球海綿体筋筋電図の間代性の活性化が同時に観察される反応が繰り返し惹起された。本反応を射精様反応とした。7-OH-DPAT 投与から初回射精様反応が惹起されるまでの潜時、および、7-OH-DPAT 投与後 1 時間に惹起された射精様反応の回数を測定した。7-OH-DPAT 投与後 1 時間に射精様反応が認められない場合は、初回射精様反応潜時を 3600 sec とした。
NMDA 受容体 NR2B サブユニット阻害剤である Ro 25-6981 hydrochloride (Sigma Aldrich Japan, Japan) および CP-101,606 は vehicle である 70% saline, 20% N,N-dimethylformamide (DMF, Sigma Aldrich, Japan), 10% cremophor EL (Sigma Aldrich Japan, Japan) に溶解させ、7-OH-DPAT 投与 15 分前に投与した。
【0048】
3.データ解析
初回射精様反応潜時と射精様回数は全測定値と中央値で示した。ノンパラメトリックSteel 法によって、薬物投与群のvehicle 投与群に対する有意差検定をした (SAS Institute Japan, Japan)。有意水準は両側 5% とした。
【0049】
4.7-OH-DPAT 誘発射精様反応に対する NMDA 受容体 NR2B サブユニット阻害薬の作用
Ro 25-6981 (3 mg/kg, iv) は 7-OH-DPAT (0.03 mg/kg, iv) による初回射精様反応潜時を有意に延長した。射精様反応の回数も減らす傾向を見せた (図1)。
CP-101,606 (10 mg/kg, iv) は 7-OH-DPAT (0.03 mg/kg, iv) による初回射精様反応潜時を有意に延長した (図2)。
【0050】
実施例2
1.ラット交尾行動試験
体重 300-450g の雄性 Wistar Imamichi ラット (Institution for Animal Reproduction, Japan) と発情前期にある雌性 Wistar Imamichi ラット (Institution for Animal Reproduction, Japan) を暗室で観察ケージ (45 cm x 40 cm x 35 cm, Natsume, Japan) に同居させ、同居後 1 時間の交尾行動を赤外線下で CCD カメラ (WAT-902H2 ULTIMATE, Watec, Japan) にて撮影し、DVD レコーダー(Panasonic, Japan) に記録した。実験後に記録した画像を解析した。同居後初めて、雄性ラットが雌性ラットの膣内に陰茎を挿入する行動 (intromission)から射精 (ejaculation) するまでの時間 (初回射精潜時) および、同居後1時間の射精回数を計測した。同居後 1 時間で射精をしなかった雄性ラットの初回射精潜時は 3600 sec とした。被験物評価前に雄性ラットは交尾行動試験を週 1 回、5 回 (5 週間)行い、5回目の交尾行動試験時の初回潜時が各群で等しくなるように群わけを行った。
2.被験物投与
雌性ラットと同居1時間前に、Ro 25-6981 hydrochloride (10 および 30 mg/kg) もしくは vehicle (0.3% Tween80, Shigma aldrich, Japan) を雄性ラットに腹腔内投与した。
【0051】
3.データ解析
初回射精潜時と射精回数は全測定値と中央値で示した。ノンパラメトリックSteel 法によって、薬物投与群のvehicle 投与群に対する有意差検定をした (SAS Institute Japan, Japan)。有意水準は両側 5% とした。
【0052】
4.初回射精潜時と射精回数に対する Ro 25-6981 の作用
Ro 25-6981 (30 mg/kg, ip) は初回射精潜時を有意に延長した。射精様反応の回数も減らす傾向を見せた (図3)。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明により、未だ十分な治療法のない早漏及び/又は遅漏の治療剤を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用を有する化合物を有効成分として含有する、早漏の治療剤。
【請求項2】
有効成分が下記一般式(I)で示される化合物またはその製薬学的に許容される酸付加塩である、請求項1に記載の剤。
【化1】

[式中、
(a)R11、R12、R13及びR14は各々独立して水素、(C1-C6)アルキル、ハロゲン、CF3、OH又はOR17であり、R15はメチル又はエチルであるか、或いは
(b)R12及びR15は一緒になって−O−CH2−であり、それによりクロマン-4-オールを形成し、R11、R13及びR14は各々独立して水素、(C1-C6)アルキル、ハロゲン、CF3、OH又はOR17であり、
R16
【化2】

であり、
R17は、メチル、エチル、イソプロピル又はn-プロピルであり、
R18は、(C1-C6)アルキル、ハロゲン及びCF3から成る群より独立して選択される3つまでの置換基で所望により置換されたフェニルであり、
X1は、O、S又は(CH2)nであり、
nは、0、1、2又は3である。]
【請求項3】
有効成分が(+)-(1S,2S)-1-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-(4-ヒドロキシ-4-フェニルピペリジノ)-1-プロパノール、またはその製薬学的に許容される酸付加塩である、請求項2に記載の剤。
【請求項4】
有効成分が下記一般式(II)で示される化合物またはその製薬学的に許容される酸付加塩である、請求項1に記載の剤。
【化3】

[式中、
R21は、水素、ヒドロキシ、又はアリール−低級アルキル−O−であり、
X2は水素であり、YはOH若しくは水素であるか、又は、X2及びYは一緒になって酸素(=O)であり、
Zは、アリール−低級アルキル−であり、
mは、1乃至4の整数である。]
【請求項5】
有効成分が下記化合物またはその製薬学的に許容される酸付加塩である、請求項4に記載の剤。
(R* ,S* )−rac−β−メチル−α−〔4−(フェニルメトキシ)フェニル〕−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール、
(R* ,S* )−rac−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール、
rac−4−〔2−メチル−3−〔4−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル〕プロピル〕フェノール、
(R* ,S* )−rac−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンブタノール、
rac−4−〔2−メチル−4−〔4−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル〕ブチル〕フェノール、
(S)−2−メチル−1−〔4−(フェニルメトキシ)フェニル〕−3−〔4−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル〕−1−プロパノン、
〔R−(R* ,S* )〕−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール、
〔S−(R* ,S* )〕−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール、
rac−(2−メチル−3−フェニルプロピル)−4−(フェニルメチル)ピペリジン、又は
(R* ,R* )−rac−α−(4−ヒドロキシフェニル)−β−メチル−4−(フェニルメチル)−1−ピペリジンプロパノール。
【請求項6】
NR2B サブユニットを含むNMDA 受容体抑制作用または活性化作用を評価することを含む早漏または遅漏を治療するための化合物を選択する方法。
【請求項7】
早漏または遅漏を治療するための化合物を選択する方法であって、
2-1)被験化合物をNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体発現細胞に接触させる工程、
2-2)前記細胞でのNR2Bサブユニットを含むNMDA受容体の活性を測定する工程、及び、
2-3) NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体の活性を抑制または活性化する被験化合物を早漏または遅漏を治療するための化合物として選択する工程、を含む請求項6の方法。
【請求項8】
3-1) NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用または活性化作用を示す被験化合物を雄性哺乳動物に投与する工程、
3-2)射精様反応を誘発する刺激物質を前記哺乳動物に投与する又は射精様反応を惹起する刺激を雄性哺乳動物に行う工程、
3-3)前記刺激から初回の射精様反応が起こるまでの潜時又は前記刺激後一定時間内に惹起される射精様反応の回数を測定する工程、並びに、
3-4)被験化合物投与前値もしくは、溶媒投与時の変化と比べ、該初回の射精様反応が起こるまでの潜時を延長又は短縮、及び、該射精様反応の回数を増加又は減少させた被験化合物を、早漏または遅漏を治療するための化合物として選択する工程を、さらに含む請求項6又は7の方法。
【請求項9】
早漏または遅漏を治療するための化合物を選択する方法であって、
4-1) NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用または活性化作用を示す被験化合物を雄性哺乳動物に投与する工程、
4-2) 射精様反応を誘発する刺激物質を前記哺乳動物に投与する又は射精様反応を惹起する刺激を雄性哺乳動物に行う工程、
4-3) 前記刺激から初回の射精様反応が起こるまでの潜時又は前記刺激後一定時間内に惹起される射精様反応の回数を測定する工程、並びに、
4-4) 被験化合物投与前値もしくは、溶媒投与時の変化と比べ、該初回の射精様反応が起こるまでの潜時を延長又は短縮、及び、該射精様反応の回数を増加又は減少させた被験化合物を、早漏または遅漏を治療するための化合物として選択する工程を含む方法。
【請求項10】
早漏または遅漏を治療するための化合物を選択する方法であって、
5-1)雄性哺乳動物と雌性哺乳動物を同居させて、陰茎の初回膣内挿入から初回射精までの潜時および同居後一定時間内の射精回数を測定する工程、
5-2) NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体活性化作用または抑制作用を示す被験化合物を前記雄性哺乳動物に投与する工程、
5-3)前記雄性哺乳動物を雌性哺乳動物と同居させて、該初回射精潜時および該射精回数を測定する工程、並びに、
5-4) 被験化合物投与前値もしくは、溶媒投与時の変化と比べ、投与後の該初回射精潜時を延長または短縮、及び該射精回数を減少または増加させた被験化合物を、早漏または遅漏を治療するための化合物として選択する工程、を含む方法。
【請求項11】
NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体抑制作用または活性化作用を有する化合物を投与されることによって早漏または遅漏の治療を受ける患者の治療効果を評価する方法であって、前記化合物の投与前及び投与後において、性交時の膣内挿入後射精潜時を定量すること、並び、患者への質問により射精機能の改善を定量することを含む方法。
【請求項12】
NR2Bサブユニットを含むNMDA受容体発現細胞を含む早漏または遅漏の治療剤のスクリーニングツール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−102069(P2012−102069A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254402(P2010−254402)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】