説明

早漏治療用薬剤の製造のためのウインターセイボリー(SATUREJAMONTANA)またはその抽出物の使用

ウインターセイボリーまたはローズマリー酸に富む精製されたその抽出物の使用、早漏治療用薬剤の製造のための、ローズマリー酸およびそれを含有する抽出物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインターセイボリーまたはローズマリー酸に富む精製されたその抽出物の使用、および早漏治療用薬剤の製造のための、ローズマリー酸またはそれを含有する抽出物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
早漏は、各人が望む前に起こる射精であり、男性人口(主に青年であるが、成人にも存続し得る)の30%超に影響を及ぼす機能障害である。3つの主な原因が明らかに関与する。
【0003】
1)器質的要因、例えば、生殖系の解剖学的または生理学的変化、
2)心理学的要因、誤った性教育または成長中の異常な性的発育に関連する根深い問題に由来する、
3)外部要因、例えば、薬物の使用(アンフェタミン、幻覚薬)、アルコール、食品および薬剤の過剰な消費。
【0004】
最終的には、早漏は中枢および末梢レベルの両方で性行動を調節する神経伝導および神経調節プロセスの変化に帰することができる。したがって、薬理学的治療は、通常、ベンゾジアゼピン類(アルプラゾラム0.25mg)、セロトニン作動系に作用する抗鬱薬(パロキセチン20mg)の投与、または麻酔薬(プリロカイン25mg+リドカイン25mg)の局所適用からなる。
【0005】
このタイプの療法は、必ずしも効果的であると判明しているとは限らず、鎮静または心循環器系の問題などの副作用も含まれるので、新規な活性成分の必要性がある。
【0006】
今回、ウインターセイボリー(Satureja montana)またはその抽出物、およびローズマリー酸またはそれを含有する抽出物は、早漏治療用薬剤の製造に使用することができることを見出した。
[発明の詳細な開示]
ウインターセイボリー(Satureja montana)は、伝統的な薬剤の中で無力症に対する治療薬としてまたは催淫薬としてすでに知られている、シソ(Lamiaceae)科に属する植物である。
【0007】
本発明の目的は、早漏治療用薬剤の製造のための、ウインターセイボリーまたはその抽出物、およびローズマリー酸またはローズマリー酸を含有する抽出物の使用である。
【0008】
本発明はさらに、早漏治療用薬剤の製造に有用なウインターセイボリー全抽出物に関する。
【0009】
本発明の他の目的は、早漏治療用薬剤を製造するための、ローズマリー酸またはそれを含有する抽出物の使用である。
【0010】
本発明によれば、ウインターセイボリーの精製抽出物を調製する方法は、以下のステップを含む。
【0011】
a)ウインターセイボリーの乾燥した地上部を磨砕するステップと、
b)これを水で1回または複数回抽出し、この抽出溶媒を回収するステップと、
c)抽出溶媒または合わせた抽出溶媒をろ過し、続いて減圧下で加熱濃縮して濃縮液を得るステップと、
d)ステップc)からの濃縮液を樹脂カラムで溶離するステップと、
e)この樹脂を水洗するステップと、
f)エタノールで溶離するステップと、
g)減圧下で有機相を加熱濃縮するステップと、
h)得られたシロップを真空下60℃で24時間乾燥するステップと、
i)得られた固体を磨砕するステップ。
【0012】
あるいは、ステップd)からf)の代わりに、ステップc)からの溶液をブタノールで1回または繰り返して抽出し、次いで有機相(または有機相の組合せ)をステップg)、h)およびi)にかける。
【0013】
得られた抽出物をトゥイーン80(10%)と水に可溶化し、in vivo試験の45分前に種々の用量で、5ml/kgの体積で、胃プローブを通して試験動物に投与した。
【0014】
急性経口投与(25、50および100mg/kg)後、射精潜時の統計的に有意の延長が認められた。
【0015】
ウインターセイボリーの精製抽出物のHPLC分析により、ローズマリー酸の存在が証明され、ローズマリー酸は、同じ実験条件で10および20mg/kgの用量で試験した場合、抽出物と同等の活性を示した。
【0016】
精製抽出物を実施例Iの全水抽出物および実施例IVのアルコール抽出物で置き換えると、定量的には異なるが、定性的には類似の結果が得られた。
【0017】
ヒトの治療では、本発明の化合物は、従来の賦形剤と共に従来の方法で経口、筋肉内、経皮投与に適した製剤中に含めることができる。用量は、1日当たり100〜2000mg、好ましくは1日当たり200〜400mgの範囲とすることができる。
【0018】
本発明を下記の実施例によってより詳細に説明する。
【0019】
実施例I:全水抽出物の調製
微細に粉砕したウインターセイボリー(Satureja Montana)の乾燥した葉1kgを、4倍容量の水で70℃で4時間浸出抽出する。この手順を5回反復する。この熱抽出物をろ過し、合わせ、真空下で濃縮すると、軟質の抽出物が得られ、続いてこれを真空下60℃で乾燥して、乾燥抽出物290gを得る。
【0020】
実施例II:全水抽出物のブタノールによる精製
実施例Iの抽出物100gを10倍容量の水に再溶解する。この溶液を水で飽和したn−ブタノール3×0.5リットルにより室温で抽出する。合わせたブタノール性抽出物を濃縮すると、軟質の抽出物となる。ブタノール残留物を水で置き換える。この抽出物を真空下60℃で乾燥すると、ローズマリー酸含有量9.74%の乾燥抽出物11gが得られる。
【0021】
実施例III:全水抽出物の吸着性樹脂による精製
実施例Iの抽出物50gを10倍容量の水に再溶解し、duolite XAD761 1リットルを充填したカラムに吸収させ、水5000mlで洗浄する。洗液を廃棄し、カラムを95%エタノール3000mlで溶離する。熱エタノール分画を減圧下に濃縮すると、軟質の抽出物が得られ、続いてこれを、真空下60℃で24時間乾燥する。ローズマリー酸含有量10.48%の精製抽出物5gが得られる。
【0022】
実施例IV:ウインターセイボリーアルコール抽出物の調製
ウインターセイボリー(100g)の乾燥した地上部を90%(体積/体積)エタノール500ml中に24時間浸軟する。次いで、この懸濁液をろ過し、乾燥するまで蒸発させる。
【0023】
実施例V:交尾活動
Harlan Italy社(Udine、イタリア)からの雄(体重ほぼ220g)および雌(体重ほぼ160g)両方のSprague−Dawleyラットを使用した。動物は、制御された温度および湿度条件下(22±1℃、湿度60%)、7a.m.に点灯する12時間逆転の明暗サイクルで飼育した。雌は卵巣切除し、48時間後に吉草酸エストラジオール(500μg)およびプロゲステロン(2mg)を皮下注射して、発情を誘発した。7つの予備試験からなる開始スクリーニングを介して、射精潜時が非常に短い雄のラットを選択した[A.Agmo、Male rat sexual behavior、Brain Research Protocols 1、203〜209、1997]。
【0024】
実施例IIにより得られた抽出物またはローズマリー酸を、トゥイーン80(10%)と水に可溶化し、すべてのin vivo試験を実施する45分前に、種々の用量で、5ml/kgの体積で、胃プローブによって動物に投与した。
【0025】
性行動を、標準的手順に従って[A.Agmo、Male rat sexual behavior、Brain Research Protocols 1、203〜209、1997]、弱い赤光の相当の条件下で評価した。試験中に記録した主要なパラメータは次の通りである。
【0026】
1)乗駕潜時(ML)、
2)挿入潜時(IL)、
3)射精潜時(EL)、
4)射精後間隔(PEI)、
5)乗駕回数(MF)、
6)挿入回数(IF)。
【0027】
結果
表1は、投与したウインターセイボリー抽出物のすべての用量(25、50、および100mg/kg)により、交尾活動の緩徐化、および統計的に有意の射精潜時の延長が誘発されたことを示す。10および20mg/kgの用量のローズマリー酸で同様の結果が得られた(表2)。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
結論
上記に報告した結果は、ウインターセイボリー精製抽出物は、交尾活動に作用して射精時間を有意に延長することを証明している。この効果は、経口投与後、用量依存的であり、30〜45分後に現れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインターセイボリーまたはその抽出物、およびローズマリー酸またはローズマリー酸を含有する抽出物の、早漏治療用薬剤の製造のための使用。
【請求項2】
ウインターセイボリーまたはその抽出物の請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ローズマリー酸の請求項1に記載の使用。
【請求項4】
ローズマリー酸を含有する抽出物の請求項1に記載の使用。
【請求項5】
以下のステップ、
a)ウインターセイボリーの乾燥した地上部を磨砕するステップと、
b)これを水で1回または複数回抽出し、抽出溶媒を回収するステップと、
c)抽出溶媒または合わせた抽出溶媒をろ過し、続いて減圧下で加熱濃縮して濃縮液を得るステップと、
d)ステップc)からの濃縮液を樹脂カラムで溶離するステップと、
e)樹脂を水洗するステップと、
f)エタノールで溶離するステップと、
g)減圧下で有機相を加熱濃縮するステップと、
h)得られたシロップを真空下60℃で24時間乾燥するステップと、
i)得られた固体を磨砕するステップと
を含む、ウインターセイボリー抽出物を調製する方法。
【請求項6】
ステップd)からf)の代わりに、ステップc)からの溶液をブタノールで1回または繰り返して抽出し、次いで有機相(または有機相の組合せ)をステップg)、h)およびi)にかける、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項5から6に記載の方法によって得られる抽出物。

【公表番号】特表2008−514666(P2008−514666A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533936(P2007−533936)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010481
【国際公開番号】WO2006/037535
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(591092198)インデナ エッセ ピ ア (52)
【Fターム(参考)】