説明

早産リスク評価用バイオマーカーの同定及び定量

本明細書には、妊娠中の対象における早産リスクの評価方法が記載される。この方法は、対象からの生体試料中において早産に関連する第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとを検出及び定量することを含む。本明細書にはまた、単離されたバイオマーカー及び早産リスクの予測に有用なキットも記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年8月20日に出願された米国仮特許出願第61/253,503号明細書に対する優先権を主張する。この出願は、その全ての教示が本明細書によって全体として参照により援用される。
【0002】
謝辞
本発明に至った研究は、一部についてNational Institutes of Health、交付金番号第R21HD047319号及び同第U01HD050080号による資金提供を受けた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
配列表の相互参照
本明細書に記載されるペプチドは、配列識別子番号(配列番号)によって参照される。配列番号は数値的には配列識別子<400>1、<400>2等に対応する。コンピュータ可読フォーマット(CFR)で書かれた配列表は、全体として参照により援用される。
【背景技術】
【0004】
早期分娩は、全体の10%を超える妊娠中の母親に影響を及ぼす。早期分娩はまた、新生児に関連する主要な罹病及び死亡原因の一つである。満期で産まれた乳児と比較して、未熟で産まれた乳幼児では新生児死亡の40倍の増加が認められ、脳性麻痺、慢性呼吸器疾患、失明及び難聴などの主要な医学的合併症のリスクが著しく高くなり得る。さらに、出生体重が1.5ポンド未満の場合、そのうち70%もの子供に長期にわたる神経学的な及び発育上の問題が確認されている。これらの合併症に関連して、米国だけでも毎年数十億ドルの直接的なコスト、さらに未実現の潜在的コストが推定されている。
【0005】
問題の重大さにもかかわらず、体内で何が起こって早期陣痛及び早期分娩に至るのかに関しては、不確かなままである。早産(PTB)の原因に関してこのような不確かさがあるため、これらの問題には限定的にしか有効に対処できていないが、適切な事前の警告があれば、医療専門家は医学的な対策をとることができる。妊娠中のどの母親が早産を起こし易いかを予測することができたならば、未熟分娩を遅延させ、又はさらには防止し得る薬物を投与することができる。加えて、早産リスクが割合早く検出される場合に母親を介して胎児に投与されたならば、胎児肺成熟度を高め、従って早産に関連する主要な合併症の一つを低減できるホルモン誘導体が知られている。しかしながら、現在のところどの妊娠中の母親にこの妊娠合併症を発症するリスクがあるかを知る方法はないように思われる。従って、早産のリスクがある母親を早期に発見するための検査手順を策定することが必要とされており、これは重要でありながらいまだ対処されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書には、妊娠中の対象における早産のリスク評価方法が記載される。これらの方法は、対象からの生体試料中における早産に関連する第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとを検出し、及び定量するステップを含む。早産の予測において有用なバイオマーカーについてもまた詳細に記載される。本発明の利点は、一部については以下の説明に示され、一部については説明から明らかとなり得るか、又は以下に記載される態様を実施することにより分かり得る。以下に記載される利点は、特に添付の特許請求の範囲に指摘される要素及び組み合わせを用いて実現及び達成され得る。前述の概要及び以下の詳細な説明の双方とも、あくまでも例示的且つ説明的なものに過ぎず、限定するものではないことが理解されるべきである。
【0007】
本明細書に援用され、且つその一部をなす添付の図面は、以下に記載されるいくつかの態様を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1のバイオマーカーについてスクリーニングした受信者動作特性曲線(ROC)を示す。
【図2】第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーについてスクリーニングした生体試料の受信者動作特性曲線(ROC)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本化合物、組成物、及び/又は方法を開示及び説明する前に、以下に記載される態様は特定の化合物、合成方法、又は使用に限定されるものではなく、従って当然ながら異なり得ることが理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語法は特定の態様の説明を目的としているに過ぎず、限定を意図するものではないことも理解されなければならない。
【0010】
本明細書及び続く特許請求の範囲では多数の用語を参照し、それらは以下の意味を持つと定義するものとする。
【0011】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上特に明確に指示されない限り複数形の指示対象を含むことは留意しなければならない。従って、例えば「バイオマーカー」に対する参照は2つ以上のかかるバイオマーカーの混合物を含み、他も同様である。
【0012】
「任意選択の」又は「場合により」は、続いて記載される事象又は状況が起こることも、又は起こらないこともあり、及びその記載が、事象又は状況が起こる場合と、それが起こらない場合とを含むことを意味する。
【0013】
本明細書で使用されるとき「対象」は、早産のリスクがあり、且つ本明細書に記載される方法により利益を受ける妊婦を指す。
【0014】
本明細書で使用されるとき「早産」は、妊娠期間の満期より前の児娩出を含む。例えば、妊娠37週未満の児娩出が早産と見なされる。早産という用語は、早期分娩及び未熟分娩と同義語である。
【0015】
本明細書で使用されるとき、用語「バイオマーカー」は、早産リスクの予測に有用な、様々な濃度で妊婦に存在する天然に認められる生体分子を指して使用され得る。例えばバイオマーカーは、早産を起こさなかった対象における同じバイオマーカーの量と比べて早産のリスクがある対象体内ではより多量に又はより少量で存在するペプチドであってもよい。バイオマーカーには、限定はされないが生体アミン及びステロイドなどの小分子を含めた、ペプチド以外の他の分子が含まれ得る。
【0016】
本明細書で使用されるとき、用語「ペプチド」は、2つ以上のアミノ酸であって、一方のアミノ酸のカルボキシル基により他方のα−アミノ基に連結されたアミノ酸を含む天然又は合成分子を指して使用され得る。ペプチドの長さは限定されず、従って「ペプチド」にはポリペプチド及びタンパク質が含まれ得る。
【0017】
本明細書で使用されるとき、ペプチドとの関連における用語「単離された」は、材料が天然に認められるものである場合に、その当初の環境から取り出された材料を指す。例えば、生体動物中に存在する天然に認められるペプチドは単離されたものではなく、しかし同じペプチドであって、天然系内で共存する材料の一部又は全てから分離されたペプチドは、単離されている。かかる単離されたペプチドは組成物の一部であってもよく、それでもなおその組成物がその天然の環境の一部ではないという点で単離されているといえる。「単離された」ペプチドはまた、組換えDNA技術によって合成又は産生される材料も含む。
【0018】
本明細書で使用されるとき、用語「特異的免疫反応性」は、ペプチドと抗体との間での結合などの、生体試料中又はペプチドと他の生物学的物質との異種集団中でのペプチドの存在の決定因子となる測定可能且つ再現可能な特異的免疫反応を指す。用語「特異的免疫反応性」は、構造形状及び表面特徴の特異的認識を含み得る。従って、指定された条件下で、特定のペプチドに対して特異的免疫反応性を有する抗体は、試料中に存在する他のペプチドに多量に結合することはない。特定のペプチドに対して特異的免疫反応性を有する抗体の決定には、様々なイムノアッセイフォーマットを用いることができる。例えば固相ELISAイムノアッセイは、ペプチドとの特異的免疫反応性を有するモノクローナル抗体を選択するためにルーチン的に用いられている。例えば、特異的免疫反応性の決定に用いられ得るイムノアッセイフォーマット及び条件の説明については、参照により本明細書に援用されるHarlow及びLane(1988年)「Antibodies,A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Publications、New Yorkを参照されたい。
【0019】
本明細書で使用されるとき用語「抗体」は、所与の抗原に対して特異的免疫反応性を有する免疫グロブリンを指す。用語「抗体」は、任意のアイソタイプ(IgG、IgA、IgM、IgE等)の全抗体、及びその断片を含むことが意図される。「抗体」はまた、本明細書で使用されるとき、抗体製剤も含む。抗体は、当該技術分野において公知の様々な技法を用いて検出可能標識で標識されてもよい。標識は、放射性同位元素、蛍光化合物、化学発光化合物、酵素、又は酵素補因子、又は当該技術分野において公知の任意の他の標識であってよい。いくつかの態様において、目的のペプチドに結合する抗体は標識されなくてもよく、代わりに、一次抗体に特異的に結合する標識された二次抗体の結合によって検出されてもよい。
【0020】
本明細書で使用されるとき、用語「検出する」は、検出不能な、低い、正常な、又は高い血清濃度の1つ又は複数のバイオマーカー、例えばペプチド及び他の生体分子の定量的計測を指す。
【0021】
本明細書で使用されるとき、用語「定量する」及び「定量」は同義的に用いることができ、相対的か絶対的かにかかわらず、試料中の物質(例えば、バイオマーカー)の数量又は存在量を決定するプロセスを指す。
【0022】
本明細書で使用されるとき、用語「約」は、所与の値が所望の結果に影響を及ぼすことなく端点を「少し上回る」又は「少し下回る」ものであってよいことを付け加えることにより数値範囲の端点に柔軟性をもたせるために使用される。
【0023】
本明細書で使用されるとき、便宜上、ある共通のリストに複数の項目、構造要素、組成要素、及び/又は材料が提示され得る。しかしながらこれらのリストは、リストの各構成物が個別的な且つ固有の構成物として個々に特定されたものとして解釈されなければならない。従ってかかるリストの個々の構成物のいずれも、反する旨の指示がなければ、共通の分類中にそれらが現れるからといって、そのことのみに基づいて同じリストの任意の他の構成物の事実上の均等物であると解釈されてはならない。
【0024】
濃度、量、及び他の数値データは、本明細書では範囲の形式で表現又は提示され得る。かかる範囲の形式は単に便宜的に、且つ簡潔にするために用いられるに過ぎないことが理解されるべきであり、従って、範囲の上下限として明示的に記載される数値を含むのみならず、当該の範囲内に含まれる個々の数値又は部分的な範囲もまた全て、各数値及び部分的な範囲が明示的に記載されたものとして含むように、柔軟に解釈されなければならない。例示として、数値範囲「約1から約5」は、約1から約5の明示的に記載される値を含むのみならず、指示される範囲内にある個々の値及び部分的な範囲もまた含むものと解釈されなければならない。従ってこの数値範囲には、2、3、及び4などの個々の値及び1〜3、2〜4、及び3〜5等の部分的な範囲、並びに個々に1、2、3、4、及び5が含まれる。この同じ原則は、ただ1つの数値を最小値又は最大値として記載する範囲に適用される。さらに、かかる解釈は、範囲の広さ又は説明される特性にかかわらず適用されなければならない。
【0025】
本明細書には、早産のリスクがある妊娠中の対象を特定する方法が記載される。早産のリスクがあり得る妊娠初中期にある妊娠中の対象の特定に利用され得る第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーが同定されている。かかるマーカーにより、早産と、同様の症状を呈する他の状態との間の分別診断が可能となり得る。早産のリスクがより高い対象を早期に特定するならば、かかる対象をより綿密にモニタすることができるため、多大な価値がもたらされ得る。
【0026】
本明細書に記載される方法を用いた妊娠中の対象の試験は、早産の指標となる第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーを対象において定量可能な、妊娠中の任意の時点で行うことができる。例えば、一態様において第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーは妊娠約20週〜約34週に試験され得る。別の態様において、第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーは妊娠約24週〜約32週に試験され得る。これらの範囲は限定として理解されてはならないことに留意すべきであり、従って試験は妊娠中のいかなる時点で実施されてもよい。むしろこれらの範囲は、かかる試験が対象の大多数で行われる可能性が最も高い妊娠周期の期間を示すために提供される。
【0027】
早産のリスクがある対象の特定に有用なバイオマーカーとしては、様々なペプチド及び他の生体分子が含まれる。本明細書に記載される技術及び方法を用いて、早産の発生率と相関する特定のペプチド及び他の生体分子が同定されている。これらのペプチド及び他の生体分子の1つ又は複数を定量することにより、対象についての早産リスクの何らかの指標が提供され、従って予防的処置の機会が提供され得る。早産合併症を予測する任意のバイオマーカーが本発明の特許請求の範囲の範囲内にあると見なされるべきであることに留意しなければならない。しかしながら一態様では、早産合併症に関連する第1のバイオマーカー又は第2のバイオマーカーの非限定的な例として、対照の対象(すなわち、早産合併症を起こさなかった妊婦)と統計的に有意差が認められ(p≦0.01)、p(確率)値<0.02をカットオフとする生体分子及びペプチドが含まれてもよい。
【0028】
一態様において、バイオマーカーは第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとを含む。この態様では、第1のバイオマーカーは、QLGLPGPPDVPDHAAYHPF(配列番号1)、NVHSAGAAGSRMNFRPGVLSSRQLGLPGPPDVPDHAAYHPF(配列番号2)、NVHSAGAAGSRM(O)NFRPGVLSSRQLGLPGPPDVPDHAAYHPF(配列番号3)、又はそれらの任意の組み合わせのアミノ酸配列を有するペプチドなどの、早産に関連するペプチドを含み得る。別の態様では、第2のバイオマーカーは、早産に関連する完全長タンパク質又はタンパク質のペプチド断片を含み得る。この第2のバイオマーカーとしては、限定はされないが、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。さらに別の態様では、第2のバイオマーカーとして、コルチコトロピン放出因子、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。これらの完全長タンパク質の配列は、www.ncbi.nlm.nih.govで利用可能である。
【0029】
本願の中であらゆる目的から本明細書によって全体として参照により援用される国際公開第2008/079407号パンフレットに開示されるとおりの、バイオマーカーの同定に用いられるプロテオミクス技法を用いて、妊娠中の対象における早産リスク評価用バイオマーカーを同定及び定量することができる。一態様において、早産の可能性について妊娠中の対象を試験する方法は、生体試料中に存在する早産に関連する第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとの組み合わせの濃度又は量の、対照(すなわち、早産を起こさない妊婦における1つ又は複数のバイオマーカーの相対的な濃度又は量)と比較した差を検出するステップを含み得る。一態様において、プロテオミクスのシステム及び方法を用いて第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーを同定及び定量することができる。例えば、異なる生体試料からの複数の質量スペクトルを比較し、非生物学的な変動を補償する手法を用いた後に定量的に異なる質量イオンを特定し、目的のバイオマーカーを分離し、及び特性決定するステップを用いることができる。かかる方法は、複数の生体試料の各々を分画して複数の溶出液を形成し、複数の溶出時間における複数の溶出液の各々から複数の質量スペクトルを得て、生体試料間で定量的に異なるように見える目的の分子イオンピークを求めるステップを含み得る。この方法はさらに、生体試料間で実質的にばらつきのない内因性の基準分子であって、目的のピークと実質的に同様の溶出時間及び質量対電荷比を有する基準分子に対応する質量スペクトル基準ピークを同定するステップと、目的のピークを内因性基準分子の質量スペクトルピークに対して正規化することで複数の溶出液にわたり各生体試料についての非生物学的変動を補償するステップとを含み得る。この方法は、複数の衝突エネルギーの各々を一ランずつ使用する衝突誘導フラグメンテーション試験を行うステップと、得られた複数のフラグメントイオン質量スペクトルを平均化することなく合計して、単一の累積娘フラグメント質量スペクトルを形成するステップと、娘フラグメント質量スペクトルを使用してアミノ酸配列データを確立するステップであって、次にそれが単一のアライメントされた質量スペクトル中の目的のピークに対応するペプチドの同定において使用されるステップとをさらに含み得る。
【0030】
別の態様において、第1及び第2のバイオマーカーを含む生体試料を分画して複数の溶出液を形成することができ、複数の溶出時間における複数の溶出液の各々から複数の質量スペクトルが得られ、複数の溶出液の各々の中に溶出する内因性アライメント分子に対応する質量スペクトルアライメントピークが特定される。この方法は、複数の溶出液の各々からの質量スペクトルアライメントピークをアライメントすることにより、各溶出液からの複数の質量スペクトルをアライメントするステップと、複数のアライメントされた質量スペクトルを合計して単一のアライメントされた質量スペクトルを形成するステップと、単一のアライメントされた質量スペクトル中の目的のピークに対応するペプチドを同定するステップとをさらに含み得る。様々な技法が企図されるが、一態様において複数の質量スペクトルをアライメントするステップは、複数の質量スペクトルを視覚的にアライメントするステップをさらに含み得る。加えて、複数の生体試料中に存在する複数の生体分子の各々を分画するステップは数多くの方法により達成することができ、例えばキャピラリー液体クロマトグラフィー(cLC)により達成されてもよい。本明細書に記載される第1及び第2のバイオマーカーを検出及び定量するための具体的な方法及びパラメータは、実施例に提供する。
【0031】
本明細書に記載される第1及び第2のバイオマーカーの検出及び定量に用いられるプロテオミクス技法は、全ての血清にとって天然の分子であって、標本負荷量、イオン化効率及び質量分析器感度の差を補正するために使用することのできる内部標準となる分子を利用する。上記の考察に加え、あるピークが比較群の間で定量的に同様であると示すことができ、候補バイオマーカーと同じ溶出ウィンドウでカラムから溶出し、その質量対電荷比が候補バイオマーカーと同様であり、且つ十分に豊富にあって、いずれの標本においてもノイズのレベルの3倍より多い量である場合、そのピークが基準として選択される。本明細書に記載される基準ピークは、標本処理、クロマトグラフ負荷量、イオン化効率又は機器感度のばらつきに関連する、しかしピーク量が生物学的に異なることに起因するのではないピーク高さ又はピーク面積を定量的に補正するためのものである。この基準は内部定量標準と称される。他の態様では、外部標準を使用してバイオマーカーの定量を促進することができる。この態様では、既知量の化合物を生体試料に添加することができ、それによりバイオマーカーの標準に対する比を計算することができる。次にこの比を対照試料からの比と比較することにより、早産リスクを評価することができる。
【0032】
上記に説明したとおり、配列番号1〜3又はそれらの任意の組み合わせを含む第1のバイオマーカーが、早産の予測因子として同定されている。内部定量標準を使用して配列番号1〜3を定量した。配列番号1(m/z 677)に使用される基準(すなわち、内部標準)のm/zは、モノアイソトピックピークのその+3の荷電状態について673.36であった。中性親質量は2017.07質量単位であり、クロマトグラフィー溶出時間は15.5分であった。しかしながら溶出時間が日によって、又はカラム交換でいくらか変わることを考慮し、溶出時間はその溶出時間の内部時間標準に対する割合として(0.9968、すなわちそれは内部時間標準と比べてそれ自体の滞留時間の0.0032倍早く溶出する)、及びその溶出時間の配列番号1(m/z 677)と比較した割合として(1.0558、すなわちそれは、バイオマーカーと比べてそれ自体の溶出時間の0.05286早く溶出する)、提供される。
【0033】
第2の内部定量標準は配列番号2(m/z 857)及び配列番号3(m/z 860)の基準とした。基準分子のm/zはその+5の荷電状態で842.39であり、中性親質量は4206.07質量単位であった。クロマトグラフィー溶出時間は約15.8分であった。しかしながら溶出時間のばらつきを考慮し、その溶出時間は内部時間標準及び配列番号2(m/z 857)の溶出時間との関連で記述することがより適切である。内部時間標準との関連では、内部定量標準は内部時間標準の溶出後に溶出時間それ自体の溶出時間の0.0159倍という率(又は時間標準マーカーの1.0161の比)で溶出した。配列番号2(m/z 857)との関連では、内部定量マーカーはそれ自体の溶出時間の0.0539倍という率でバイオマーカーの後に(又はバイオマーカーの溶出時間の1.0700の率で)溶離した。
【0034】
個々の質量は溶出時間(滞留時間)により定義され得るが、溶出時間(滞留時間)はまた、内部時間標準の関数として表現することもできる。これは、バイオマーカーに先行する時間マーカー(time maker)と目的のピークに後続する時間マーカーとの間の目的のピークの相対位置により決定される。この決定がR値と見なされる。R値は以下のとおり計算される:
=(バイオマーカーの溶出時間−先行する時間マーカーの溶出時間)/(後続の時間マーカーの溶出時間−先行する時間マーカーの溶出時間)。
【0035】
上記に説明される技法を用いることで、配列番号1〜3又はそれらの任意の組み合わせを含む第1のバイオマーカーが早産の指標として同定されている。第1のバイオマーカー(すなわち配列番号1〜3又はそれらの任意の組み合わせ)の同定及び定量に関する具体的な詳細は実施例に提供する。配列番号1〜3のさらなる構造特性は以下に提供する。ペプチドである配列番号1は、質量イオンピーク(m/z)が677、平均質量が2026.98ダルトン、平均溶出時間が14.30±0.47分、及びR値が0.535±0.052である。
【0036】
ペプチドである配列番号2は、質量イオンピーク(m/z)が857、平均質量が4279.25ダルトン、平均溶出時間が17.20±2.04分、及びR値が0.781±0.086である。
【0037】
ペプチドである配列番号3は、質量イオンピーク(m/z)が860、平均質量が4295.25ダルトン、平均溶出時間が16.13±1.97分、及びR値が0.695±0.134である。
【0038】
上記に説明される、この例の範囲内にある技法を用いて、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせを含む第2のバイオマーカーが、第1のバイオマーカー(すなわち配列番号1〜3又はそれらの任意の組み合わせ)と組み合わせるとき早産の指標として同定されている。
【0039】
従って、早産の可能性について妊娠中の対象を評価する方法が提供される。一態様において、この方法は、対象の生体試料中において早産に関連する本明細書に記載される第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーを検出するステップを含み、第1のバイオマーカーは、配列であって、配列番号1、配列番号2、又は配列番号3により表される配列と同一の、又は相同なアミノ酸配列を有し、及び第2のバイオマーカーは、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせを含む。次に、生体試料中の第1及び第2のバイオマーカーの存在量が定量される。第1及び第2のバイオマーカーの存在量は、処理及び分離の後に、同様に生体試料中に存在する内部標準となる基準分子の関数として計測される。用語「存在量」は、本明細書で使用されるとき、所与の質量スペクトルにおける質量分析器により計測される特定の質量のイオンの数、又は全溶出間隔に相当するいくつかの質量スペクトル中に観測される特定の質量のイオンの合計数を表す。この内部標準に対してバイオマーカー存在量を正規化すると、非生物学的変動が低下し、リスク予測におけるバイオマーカーの利用能が向上する。別の言い方をすれば、対象間において比較的一定した存在量で生体試料中に存在する分子を基準に選択することにより、特に長期間にわたり分散し得る別々の日に実施されるランを比較するとき、生体試料の処理のばらつきを補正することができる。このため、バイオマーカーの相対的存在量は、含まれる特定のバイオマーカーによって異なり得る。従って各バイオマーカー/基準比について特定のカットオフ値を設定してもよく、それによりバイオマーカーピーク存在量の基準ピーク存在量に対する比が特定の値を上回る、又は下回ることから早産リスクの実質的な増加を予測し得る。
【0040】
早産の可能性についての試験はまた、対象からの生体試料中の第1及び第2のバイオマーカーの存在量を、同じバイオマーカーの正常出産の指標となる既知の存在量と比較することにより達成されてもよい。一態様において、第1のバイオマーカーが、単独での、又は配列番号2及び3との任意の組み合わせでの配列番号1である場合に、対象において計測される配列番号1の存在量が少なくとも妊娠22週で対照の存在量の約50%未満であるならば、早産が生じ得る。別の態様において、対象において計測される単独での、又は配列番号2及び3との組み合わせでの配列番号1の存在量が少なくとも妊娠22週で対照の存在量の約30%未満であるならば、早産が生じ得る。さらに別の態様において、対象において計測される単独での、又は配列番号2及び3との組み合わせでの配列番号1の存在量が少なくとも妊娠22週で対照の存在量の約10%未満であるならば、早産が生じ得る。
【0041】
別の態様において、第1のバイオマーカーが配列番号2である場合に、対象において計測される配列番号2の存在量が少なくとも妊娠22週で対照の存在量の約50%未満であるならば、早産が生じ得る。別の態様において、対象において計測される配列番号2の存在量が少なくとも妊娠22週で対照の存在量の約30%未満であるならば、早産が生じ得る。さらに別の態様において、対象において計測される配列番号2の存在量が少なくとも妊娠22週で対照の存在量の約10%未満であるならば、早産が生じ得る。
【0042】
さらなる態様において、第1のバイオマーカーが配列番号3である場合に、対象において計測される配列番号3の存在量が少なくとも妊娠22週で対照の存在量の約55%未満であるならば、早産が生じ得る。別の態様において、対象において計測される配列番号3の存在量が少なくとも妊娠22週で対照の存在量の約35%未満であるならば、早産が示唆され得る。さらに別の態様において、対象において計測される配列番号3の存在量が少なくとも妊娠22週で対照の存在量の約15%未満であるならば、早産が生じ得る。
【0043】
第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとを含み得る任意の種類の生体試料をスクリーニングすることができ、非限定的な例として、血清、血漿、血液、尿、脳脊髄液、羊水、滑液、子宮頸膣液、洗浄液、組織、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
第1のバイオマーカー(すなわち配列番号1〜3又はそれらの任意の組み合わせ)及び第2のバイオマーカーは、ほとんどの妊婦に存在するが、早産を起こすことになる多くの妊婦は、正常出産を経た女性と比較して妊娠中の第1のバイオマーカーの血清中濃度が低かった。しかしながら、第2のバイオマーカー(すなわちコルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせ)については、スクリーニングした特定のタンパク質又はペプチドに応じて、後に早産を起こすことになった女性で正常出産を経た女性と比較して低いことも、又は高いこともあった。第2のバイオマーカーの血清中濃度に関するさらなる詳細は、実施例の節の表16を参照されたい。第2のバイオマーカーは過去に早産の予測可能性が評価されたことは注目に値する。Goldenberg RL,Iams JD,Mercer BM,Meis PJ,Moawad A,Das A,Miodovnik M,Vandorsten PJ,Caritis SN,Thurnau G,Dombrowski MP;「Maternal−Fetal Medicine Units Network.The Preterm Prediction Study:toward a multiple−marker test for spontaneous preterm birth」 Am J Obstet Gynecol 2001;185(3):643−51頁を参照のこと。しかしながら、上述の参考文献が指摘するとおり、第2のバイオマーカー(すなわち、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせ)は、第1のバイオマーカーが存在しない状態で検出及び定量されるときには、PTBの臨床予測に使用するのに十分な特異度又は感度が得られなかった。
【0045】
一態様において、PTB症例群は第1のバイオマーカー(すなわち配列番号1〜3又はそれらの任意の組み合わせ)が対照群ほど多量ではなかった。従って、対象からの生体試料中の第1のバイオマーカーの1つ又は複数の存在量を、早産を起こさなかった対象からの既知の対照濃度と、又は試験対象からの既知のバイオマーカー濃度と比較することで、早産を予測し得る。第1のバイオマーカーの存在量がより高い又は低い対象は早産リスクが高いことがあり得るため、ひいては適切な処置が可能な十分に早い時期に特定され得る。早産の予測における特定のバイオマーカーの存在量について、以下に詳細に記載する。
【0046】
一態様では、早産の対象及び対照の対象のバイオマーカー存在量を計算するため、妊娠28週の第1のバイオマーカーについてlog比をとった。例えば、log 676.7/673.36(配列番号1/基準ピーク)のlog比から、0.579±0.101の対照平均及び−0.015±0.090のPTB平均が得られた。log 856.8/842.8(配列番号2/基準ピーク)のlog比から、0.231±0.102の対照平均(早産を起こさなかった対象)及び−0.149±0.095のPTB平均(早産のリスクがある対象)が得られた(実施例の表12)。実施例の12に関しては、他のバイオマーカーのlog比を計算した。log 860.0/842.8(配列番号3/基準ピーク)のlog比から、0.201±0.096の対照平均及び−0.204±0.088のPTB平均が得られた。別の言い方をすれば、早産のリスクがある対象は、配列番号1の減少、配列番号2の減少、及び配列番号3の減少を、個々に、或いは同時に示す可能性が最も高いものと思われる。
【0047】
この説明を念頭に置けば、一態様では、配列番号1(m/z 677)の存在量の、m/z 673の基準分子の存在量に対する比が、少なくとも妊娠22週で約1.0未満と計測される場合、早産リスクの実質的な増加が予測され得る。別の態様において、配列番号1(m/z 677)の存在量の、m/z 673の基準分子の存在量に対する比が、少なくとも妊娠22週で約0.8未満と計測される場合、早産リスクの実質的な増加が予測され得る。さらに別の態様において、配列番号1(m/z 677)の存在量の、m/z 673の基準分子の存在量に対する比が、少なくとも妊娠22週で約0.6未満と計測される場合、早産リスクの実質的な増加が予測され得る。
【0048】
さらに、一態様において、配列番号2(m/z 857)の存在量の、m/z 843の基準分子の存在量に対する比が、少なくとも妊娠22週で約0.6未満と計測される場合、早産リスクの実質的な増加が予測され得る。別の態様において、配列番号2(m/z 857)の存在量の、m/z 843の基準分子の存在量に対する比が、少なくとも妊娠22週で約0.5未満と計測される場合、早産リスクの実質的な増加が予測され得る。さらに別の態様において、配列番号2(m/z 857)の存在量の、m/z 843の基準分子の存在量に対する比が、少なくとも妊娠22週で約0.44未満と計測される場合、早産リスクの実質的な増加が予測され得る。
【0049】
加えて、一態様において、配列番号3(m/z 860)の存在量の、m/z 843の基準分子の存在量に対する比が、少なくとも妊娠22週で約0.6未満と計測される場合、早産リスクの実質的な増加が予測され得る。別の態様において、配列番号3(m/z 860)の存在量の、m/z 843の基準分子の存在量に対する比が、少なくとも妊娠22週で約0.4未満と計測される場合、早産リスクの実質的な増加が予測され得る。さらに別の態様において、配列番号3(m/z 860)の存在量の、m/z 843の基準分子の存在量に対する比が、少なくとも妊娠22週で約0.2未満と計測される場合、早産リスクの実質的な増加が予測され得る。
【0050】
特定の態様において、上記で計算されるlog比を使用して、早産を起こすリスクがある妊婦のリスクを統計的に予測し得る。第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーの予測力の一般的な一尺度は、その感度及び特異度である。「感度」は、本明細書で使用されるとき、真陽性率(例えば、バイオマーカーによって正しく特定される、後に早産を起こす妊婦の百分率)として定義される統計学用語である。用語「特異度」は、本明細書で使用されるとき、真陰性率(例えば、正しく特定される、合併症を伴わない妊娠の妊婦の百分率)として定義される。早産の予測に本明細書に記載されるとおりの第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーを使用するため、数値的閾値が設定される。数値的閾値を設定するため、特定のバイオマーカーに対する値の範囲が最低値から最高値まで、及び各時点における陽性として正しく特定される対象の割合、及び同じ時点における陽性として誤って特定される対照の割合について考慮される。特定のバイオマーカーについての値の範囲は、特定のデータセットについて最低値から最高値まで実際の定量値をとることにより計算され得る。これは受信者動作特性曲線(ROC)と称される。一態様において、偽陽性率は20%に限られてもよく、一般にはこれが臨床試験の最大耐容値と考えられる。偽陽性率(すなわち、バイオマーカーによって早産を起こすリスクがあると特定される、合併症を伴わない妊娠の女性の百分率)は、100%から真陰性率を減じて計算される。20%以下の偽陽性率(80%以上の特異度に等しい)の閾値が、ある人にリスクがあるか、それともリスクがないかについての判断に使用される閾値を決定する。
【0051】
実施例の表13及び表14に関連して、早産のリスクがある対象を特定するための、4つのlog比の各々(すなわち第1のバイオマーカー)に対する閾値を決定した。各々に対する閾値は、20%以下の偽陽性率と同じである80%以上の特異度(真陰性率)となるように計算した。数学的に決定された閾値を用いて、4つの比から独立して感度(真陽性)の比及び特異度(真陰性)の比が提供された(表13及び表14)。表14を参照すると、配列番号1の比(すなわちlog 677/673)が、早産の予測に関して最も高い感度(65%)及び特異度(85%)をもたらした。従ってこの態様では、妊婦に存在する配列番号1(すなわちlog 677/673)の同定及び定量が、早産を起こす可能性の正確な予測因子となる。配列番号1の比(すなわちlog 677/673)が有用であるが、また、log比の組み合わせを使用して早産リスクを予測し得ることも企図される。従って、本明細書に特定される第1のバイオマーカー(すなわち配列番号1〜3)は、早産リスクの有力な予測ツールである。
【0052】
本明細書に記載される第1のバイオマーカーは早産を予測することができる。しかしながら、ある場合には第2のバイオマーカーをスクリーニング及び定量することにより、早産試験の予測値を改良してもよい。一態様において、対象からの生体試料が第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーについてスクリーニングされてもよく、ここで第1のバイオマーカーは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、又はそれらの任意の組み合わせにより表される配列と同一の又は相同なアミノ酸配列であり、第2のバイオマーカーはコルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせである。この態様において、第2のバイオマーカーを単独でスクリーニングする場合、それはPTBの指標とはならない。しかしながら、第2のバイオマーカーを第1のバイオマーカー(すなわち配列番号1〜3又はそれらの任意の組み合わせ)と組み合わせてスクリーニングすると、第1のバイオマーカー単独でのスクリーニングと比較してPTBの予測感度が増加する。一態様では、PTBについて第1及び第2のバイオマーカーが共にスクリーニングされるとき、感度は80%超又は80〜90%である。特定の態様において、感度は90%以上である。別の態様では、PTBについて第1及び第2のバイオマーカーが共にスクリーニングされるとき、特異度は少なくとも80%である。比較として、第1のバイオマーカーのみが検出及び定量されるとき、感度は約65%である。
【0053】
一態様において、第2のバイオマーカーが生体試料中でスクリーニングされるとき、第2のバイオマーカーは、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、及び腫瘍壊死因子α受容体1型から選択される少なくとも2つのタンパク質である。
【0054】
別の態様において、第2のバイオマーカーが生体試料中でスクリーニングされるとき、第2のバイオマーカーは、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、及び腫瘍壊死因子α受容体1型から選択される少なくとも3つのタンパク質である。
【0055】
さらなる態様において、第2のバイオマーカーが生体試料中でスクリーニングされるとき、第2のバイオマーカーは、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、及び腫瘍壊死因子α受容体1型から選択される少なくとも4つのタンパク質である。
【0056】
さらに別の態様において、第2のバイオマーカーが生体試料中でスクリーニングされるとき、第2のバイオマーカーは、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、及び腫瘍壊死因子α受容体1型を含む5つのタンパク質である。
【0057】
表1〜6は、限定はされないが、PTBの予測のためにスクリーニングされ得る第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとの可能な組み合わせを含む。これらの表中、第1のバイオマーカーは、配列番号1(単独、或いは配列番号2及び3との組み合わせ)、配列番号2(単独、或いは配列番号1及び3との組み合わせ)、及び配列番号3(単独、或いは配列番号1及び2との組み合わせ)を含み、第2のバイオマーカーは、タンパク質(すなわち、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせ)の様々な組み合わせを含む。例えば表1では、第1のバイオマーカーは配列番号1であり、及び第2のバイオマーカーは、コルチコトロピン放出因子、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせを含むリストから選択される。従って、一態様において第1のバイオマーカーは配列番号1を含むことができ、且つ第2のバイオマーカーはコルチコトロピン放出因子を含むことができる。別の態様において、第1のバイオマーカーは配列番号1を含むことができ、且つ第2のバイオマーカーはコルチコトロピン放出因子及びトロンビン−抗トロンビン複合体を含むことができる。さらに別の態様において、第1のバイオマーカーは配列番号1を含むことができ、且つ第2のバイオマーカーはコルチコトロピン放出因子、トロンビン−抗トロンビン複合体、及びフェリチンを含むことができる。さらに別の態様において、第1のバイオマーカーは配列番号1、2、及び3を含むことができ、且つ第2のバイオマーカーはコルチコトロピン放出因子、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、及び腫瘍壊死因子α受容体1型を含むことができる。表1〜6は、各々がこの方法論によって解釈され得る。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
【表4】

【0062】
【表5】

【0063】
【表6】

【0064】
予測値はまた、利用される試験又はアッセイのタイプ(本明細書ではその一部をさらに詳細に考察する)によっても異なり得る。複数のバイオマーカー(すなわち、第1及び第2のバイオマーカー)の存在及び量を評価することにより、早産の予測に有用なフィンガープリントを生成することが可能である。例えば、第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとを決定し、定量すると、本明細書に記載される方法の予測値は増加し得る(実施例の節を参照のこと)。しかしながらPTBを発症する女性がより少数しか含まれないこともあり、これは早産を起こすリスクが指示され易くなる。目的のペプチドを含み得る任意のタイプの生体試料をスクリーニングすることができ、かかる非限定的な例としては、血清、血漿、血液、尿、脳脊髄液、羊水、滑液、子宮頸膣液、洗浄液、組織、及びそれらの組み合わせが挙げられる。しかしながら一態様では、対象から採取された血清試料中のペプチドについてスクリーニングすることが好都合であり得る。別の態様では、対象から採取された血液試料中のペプチドについてスクリーニングすることが好都合であり得る。
【0065】
本明細書にはまた、妊娠中の対象が早産を起こす確率を予測するために利用され得る単離されたペプチド(すなわち、第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカー)及び単離されたペプチドの混合物についても記載される。かかるタンパク質及びペプチドは多くの試験アッセイで陽性対照として、並びに抗体の産生用に、有用であり得る。一態様において、例えば単離タンパク質又はペプチドは、配列番号1、配列番号2、又は配列番号3により表される配列と同一の、又は相同なアミノ酸配列を有する第1のバイオマーカーである。別の態様において、第2のバイオマーカーは、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの組み合わせを含む単離タンパク質又はペプチドである。ペプチド合成は当該技術分野において公知であり、当業者であれば、ペプチド配列を入手した後には、様々な技法を用いて本明細書に開示されるペプチドを合成可能であろうことが理解される。かかる技法としては、限定なしに、液相合成法及び固相合成法、並びに様々な化学的ライゲーション方法、いくつか例を挙げれば、事前のチオール捕捉(prior thiol capture)、ネイティブ化学ライゲーション、発現タンパク質ライゲーション、アシル開始捕捉(acyl initiated capture)、及びシュタウディンガーライゲーション法などを挙げることができる。加えて、ペプチドはまた組換えDNA技術を用いて合成されてもよい。
【0066】
特定の態様では、上記に説明されるプロテオミクス技法を用いてバイオマーカーを同定及び定量することができる;しかしながら本明細書では、一致する生体試料中のバイオマーカーの検出及び/又は定量が可能な他の方法を用いることができる。可能なペプチドアッセイの一種として、イムノアッセイが挙げられる。同種法、及び異種法、並びに競合法及び非競合法を含め、特定のペプチドについて抗体を利用して生体試料をスクリーニングする数多くのイムノアッセイプロトコルが公知である。例えば、かかる技法は固体支持体の使用、免疫沈降等を含み得る。しかしながら、概してペプチドを検出するためのイムノアッセイは、標識された抗体の使用を伴うことが多い。かかる標識はいかなる種類の公知の材料を含んでもよく、蛍光標識、化学発光標識、放射性標識、酵素標識等が挙げられる。そのため、かかるイムノアッセイ試験は当該技術分野において公知であり、生体試料中のペプチドの検出に利用される特定の方法が、本発明の特許請求の範囲の範囲に限定されるものとして解釈されるべきではないことは理解されなければならない。イムノアッセイについては以下でさらに詳しく考察する。
【0067】
他の態様では、本明細書に記載されるとおりの第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとに対して特異的免疫反応性を有する抗体を使用することができる。一態様において、例えば、配列番号1からなるアミノ酸配列を有する第1のバイオマーカーに対して免疫学的特異性を有する抗体が提供される。別の態様において、配列番号2からなるアミノ酸配列を有する第1のバイオマーカーに対して免疫学的特異性を有する抗体が提供される。さらに別の態様において、配列番号3からなるアミノ酸配列を有する第1のバイオマーカーに対して免疫学的特異性を有する抗体が提供される。
【0068】
一態様において、第2のバイオマーカーに免疫学的特異性を有する抗体であって、第2のバイオマーカーがコルチコトロピン放出因子である、抗体が提供される。別の態様において、第2のバイオマーカーに免疫学的特異性を有する抗体であって、第2のバイオマーカーがデフェンシンである、抗体が提供される。別の態様において、第2のバイオマーカーに免疫学的特異性を有する抗体であって、第2のバイオマーカーがフェリチンである、抗体が提供される。別の態様において、第2のバイオマーカーに免疫学的特異性を有する抗体であって、第2のバイオマーカーがラクトフェリンである、抗体が提供される。別の態様において、第2のバイオマーカーに免疫学的特異性を有する抗体であって、第2のバイオマーカーがトロンビン−抗トロンビン複合体である、抗体が提供される。別の態様において、第2のバイオマーカーに免疫学的特異性を有する抗体であって、第2のバイオマーカーが腫瘍壊死α受容体1型である、抗体が提供される。
【0069】
抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、又は組換えであってよく、及び当該技術分野において公知の任意の方法により産生され得る。抗体断片もまた本発明の範囲内にあると考えられる。本発明の態様に係る抗体は、鳥類及び哺乳類を含む任意の動物由来であってよい。一態様において、例えば抗体は、ヒト、ネズミ科動物(例えば、マウス及びラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、ニワトリ等に由来することができる。
【0070】
一態様では、ポリクローナル抗体を利用して生体試料中の本明細書に記載される第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーを独立して検出及び定量することにより、早産リスクを評価し得る。ポリクローナル抗体は、当業者に公知の様々な手順により産生することができる。例えばポリクローナル抗体は、ウサギ、ラット、マウス、ヒツジ、ヤギ等のインビボ宿主動物で産生されてもよい。宿主動物は、遊離ペプチドか、或いは担体にカップリングされたペプチドで、例えば腹腔内注射及び/又は皮内注射によって免疫される。注射材料は、典型的には約100μgのペプチド又は担体タンパク質を含む乳剤である。免疫応答を増加させるため、宿主種に応じて様々なアジュバントが用いられ得る。アジュバントの例としては、限定なしに、フロイントアジュバント(完全及び不完全)、水酸化アルミニウムなどのミネラルゲル、リゾレシチンなどの界面活性物質、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、並びにカルメット・ゲラン桿菌(BCG)及びコリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)などの潜在的に有用なヒトアジュバントを挙げることができる。これらの及び他のアジュバントは、当該技術分野において公知である。検出することのできる有効な抗体力価をもたらすため、数回のブースター注射が、ある場合には約2週間おきに必要となり得る。免疫化された動物の血清中の抗体力価は、抗体の選択により、例えば当該技術分野において公知の方法に従うペプチドの固体支持体上への吸着及び選択された抗体の溶出により増加させることができる。
【0071】
別の態様において、モノクローナル抗体を利用して生体試料中の第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーを独立して検出及び定量することにより、早産リスクを評価し得る。モノクローナル抗体とは、ただ1種の抗原のみを認識する抗体を指す。このような抗体は、単一の抗体産生ハイブリドーマの娘細胞により生成される。モノクローナル抗体は、典型的にはそれが免疫反応を生じる任意のエピトープについて単一の結合親和性を呈する。モノクローナル抗体は、複数の抗体結合部位であって、各々が異なるエピトープに対して免疫特異性を有する抗体分子、例えば二重特異性モノクローナル抗体を含み得る。モノクローナル抗体は、当業者に公知の様々な方法により得ることができる。例えば、Kohler及びMilstein、Nature 256:495〜497頁(1975年);米国特許第4,376,110号明細書;Ausubelら編、「Current Protocols in Molecular Biology」、Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience,N.Y.(1987年、1992年);及びHarlow及びLane「ANTIBODIES:A Laboratory Manual」 Cold Spring Harbor Laboratory(1988年);Colliganら編、「Current Protocols in Immunology」、Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience、N.Y.(1992年、1993年)(各々が参照により本明細書に援用される)を参照のこと。
【0072】
また、本明細書において有用な抗体は単一特異性又は多重特異性(例えば、二重特異性、三重特異性、又はより高い多重度の特異性)であってよいことにも留意すべきである。多重特異性抗体はペプチドの種々のエピトープに対して特異的であってもよく、又は目的のペプチドと、異種ペプチド又は固体支持体材料などの異種エピトープとの双方に対して特異的であってもよい。さらに抗体はまた、本明細書に記載されるバイオマーカーの任意の領域から調製されてもよい。
【0073】
例として、モノクローナル抗体は十分に確立された方法を用いて調製することができる。一態様において、モノクローナル抗体はハイブリドーマ技法を用いて調製される。かかる方法では、マウス、ハムスター、又は他の適切な宿主動物が免疫剤(例えば、本発明の態様に係るペプチド)で免疫され、その免疫剤に特異的に結合し得る抗体を産生する、又はその産生能を有するリンパ球が誘導される。或いは、リンパ球はインビトロで免疫されてもよい。次にリンパ球はポリエチレングリコールなどの好適な融剤を用いて不死化細胞系と融合され、ハイブリドーマ細胞を形成する。不死化細胞系は、多くの場合に、げっ歯類、ウサギ、ウシ及びヒト起源の形質転換された哺乳動物細胞、特に骨髄腫細胞である。ラット又はマウス骨髄腫細胞系が用いられることが多い。ハイブリドーマ細胞は、融合しなかった不死化細胞の成長又は生存を阻害する1つ又は複数の物質を含む好適な培養培地中で培養され得る。例えば親細胞に酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)が欠損している場合、ハイブリドーマ用の培養培地は、典型的にはヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含み(「HAT培地」)、HGPRT欠損細胞の成長を阻害する。
【0074】
ハイブリドーマ細胞が培養される培養培地が、モノクローナル抗体の存在についてアッセイされ得る。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法又はインビトロ結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により決定される。かかる技法及びアッセイは当該技術分野において公知である。所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、細胞を限界希釈手順によりサブクローニングし、公知の方法により成長させ得る。モノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン精製手順、例えば、プロテインA−セファロース(Sepharose)、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、アフィニティークロマトグラフィー等により培養培地から単離又は精製され得る。モノクローナル抗体はまた、本明細書によって参照により援用される米国特許第4,816,567号明細書に記載されるものなどの、組換えDNA方法により作製することもできる。当業者に公知の他の抗体生成方法が、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0075】
従って一態様では、早産の可能性について妊娠中の対象を試験する方法が提供される。かかる方法は、対象から生体試料を採取するステップと、生体試料を第1の抗体と第2の抗体とに接触させるステップであって、試料を第1の抗体と第2の抗体とに接触させると、第1の抗体が第1のバイオマーカーを結合して第1の抗体−抗原複合体を形成し、第2の抗体が第2のバイオマーカーを結合して第2の抗体−抗原複合体を形成し;第1のバイオマーカーはアミノ酸配列の配列番号1、配列番号2、配列番号3、又はそれらの任意の組み合わせを含み、第2のバイオマーカーは、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせを含むタンパク質である、ステップと、第1の抗体−抗原複合体及び第2の抗体−抗原複合体の形成についてアッセイするステップであって、それにより生体試料中の第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーの量を定量するステップとを含み得る。次に、第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーの量を、早産を起こさなかった生体試料からの同じバイオマーカーの量と比較する。生体試料中の目的のバイオマーカーの存在及び量が、早産リスクの指標を提供する。
【0076】
説明したとおり、生体試料中のペプチドを検出及び/又は定量可能な様々なイムノアッセイが公知である。一態様において、イムノアッセイは競合アッセイであってもよい。例えば、試験ペプチドの配列を有する標識したペプチドをペプチド配列の少なくとも一部分に特異的な抗体に接触させ、抗体−抗原(又はペプチド)複合体を形成させる。そのペプチド/抗体混合物に生体試料を加え、生体試料中に存在する目的の任意のペプチドを標識ペプチドと競合させると、標識の強度が減少する。競合アッセイは一段階又は二段階プロトコルを含んでもよく、それらは当該技術分野において公知である。
【0077】
別の態様において、イムノアッセイは非競合的アッセイ、すなわちサンドイッチアッセイであってもよい。かかるアッセイでは、概してより高いレベルのアッセイ感度及び特異度がもたらされる。非競合アッセイフォーマットもまた、一段階又は二段階プロトコルを利用し得る。概してかかるアッセイは物理的な支持体上に固定化された抗体を含み、ここで固定化された抗体は目的のバイオマーカー(すなわち第1又は第2のバイオマーカー)に対して免疫学的特異性を有する。同様に目的のペプチドに対して免疫学的特異性を有する標識抗体と共に、生体試料が支持体に加えられる。生体試料中に存在するペプチドが、支持体に沿って固定化された抗体に結合し得る。標識抗体もまた目的のペプチドに結合し、従って同様に物理的な基板にペプチド及び固定化抗体を介して固定化される。次に標識抗体の標識を検出することにより生体試料中の第1のバイオマーカー及び第2のバイオマーカーの量を定量し、対照(すなわち、早産を起こさない妊娠中の対象)と比較することができる。プロトコルによっては、標識を検出する前に、固定化されなかった標識抗体を洗浄により除くことができる。この場合、標識の強度は、生体試料中に存在する第1のバイオマーカー及び/又は第2のバイオマーカーの量量に比例する。
【0078】
当該技術分野において公知の数多くの固体支持基板構成が企図される。かかる基板としては、抗体又は抗体アンカーなどの検出材料を固定化するための任意の好適な基板が含まれ得る。例えば、好適な基板としては、任意の固体有機、生体高分子、又は無機支持体材料などの、抗体の機能に著しい影響を及ぼすことなく検出材料との結合を形成可能な任意の固体支持体を挙げることができる。有機固体支持体材料の例としては、限定なしに、ポリスチレン、ナイロン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミドなどのアクリル共重合体等のポリマーを挙げることができる。生体高分子支持体材料の例としては、限定なしに、セルロース、ポリデキストラン、アガロース、コラーゲン、キチン等を挙げることができる。無機支持体材料の例としては、限定なしに、ガラスビーズ(多孔質及び非多孔質)、ステンレス鋼、ZrO、TiO、Al、及びNiOなどの多孔質セラミックスを含む金属酸化物、砂等を挙げることができる。
【0079】
本明細書では、当該技術分野において公知の数多くの特異的アッセイ方法を用いることができる。かかる特異的アッセイ方法としては、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、ネフェロメトリック阻害イムノアッセイ(NIA)、微粒子酵素イムノアッセイ(MEIA)、化学発光磁気イムノアッセイ(CMIA)等のプロトコルを挙げることができる。
【0080】
様々な検出可能標識(すなわち指標)が、本発明の態様に従い抗体にカップリングされ得る。適切な標識としては、限定なしに、放射性核種(例えば、125I、131I、35S、H、32P等)、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ(beta−glactosidase)等)、蛍光部分又はタンパク質(例えば、フルオレセイン、ローダミン、フィコエリトリン、GFP、BFP等)、又は発光部分(例えば、QUANTUM DOT CORP.、Palo Alto,Calif.から供給されるQdot(登録商標)ナノ粒子)を挙げることができる。上述の様々なイムノアッセイの実施において使用される一般的な方法は、当業者に公知である。
【0081】
一態様において、イムノアッセイはELISAを含んでもよく、ここでは抗原(すなわち、第1のバイオマーカー、第2のバイオマーカー、又はそれらの組み合わせ)が、限定はされないが96ウェルプレートを含めた固体表面に結合され、次に抗原特異的モノクローナル抗体が加えられる。インキュベーション期間後、一次抗体が洗浄により除かれ、結合したモノクローナル抗体を認識する二次抗体(西洋わさびペルオキシダーゼHRPで修飾されている)が加えられる。二回目のインキュベーション後、過剰な二次抗体が洗浄により除かれ、化学発光生成物又は蛍光生成物を生成する添加されたHRP用基質が添加され、「色」すなわち光が計測される。
【0082】
イムノアッセイに加え、生体試料中のペプチドを検出するためのさらなる方法が企図され、そのいずれも本発明の範囲内にあると見なされ得る。一態様では、例えば質量分析(MS)技法が利用されてもよい。一つの具体例としては、マトリックス支援レーザー脱離イオン化などのハイスループットMS分析技法を挙げることができる。かかる技法では、試料が毎時数百個の生体試料を高速処理することのできる特殊な設備に送られ得る。
【0083】
本明細書にはまた、妊娠中の対象からの生体試料を試験して早産リスクを評価するためのキットも記載される。かかるキットは、病院、診療所、参照試験所、医院等により用いられ、医学的な判断を下すこと、及び必要であれば利用可能な治療又は介入を提供することを支援し得る。加えて、かかるキットはまた、早産に関連する他の医学的状態の診断、予後判定、又はリスク評価も可能にし得る。
【0084】
従って一態様では、早産の可能性について妊娠中の対象を試験するためのキットが提供される。かかるキットは、第1の抗体と第2の抗体であって、第1の抗体は、アミノ酸配列の配列番号1、配列番号2、及び配列番号3を有する第1のバイオマーカーに選択的に結合して第1の抗体−抗原複合体を形成する能力を有し、及び第2の抗体は、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせを含む第2のバイオマーカーに選択的に結合して第2の抗体−抗原複合体を形成する能力を有する、第1の抗体と第2の抗体と;第1の抗体−抗原複合体及び第2の抗体−抗原複合体の形成をアッセイするため第1の抗体及び第2の抗体に機能上関連付けられる指標と、を含み得る。キットはさらに、利用される特定の試験アッセイに必要又は有益な任意の試薬を含み得る。
【0085】
このキットは生体試料中のバイオマーカーを検出及び定量する任意の手段を含むことができ、キットの内容物は必然的に用いられる検出アッセイの種類に応じて異なり得る。必要な試薬に加え、キットは、第1及び第2のバイオマーカーとの結合用の抗体、固体基板、抗体−抗原複合体の検出用のさらなる抗体等を含み得る。示唆されているとおり、抗体又は抗体断片は、遊離形態で、又はプラスチック皿、試験管、試験ロッド、ビーズ等の基板に固定化されて存在し得る。キットはまた、陽性又は陰性対照の検出及び/又は標識に好適な試薬、洗浄溶液、希釈緩衝液など、並びに説明書も含むことができる。
【実施例】
【0086】
以下の例は、本明細書に記載され、且つ特許請求される化合物、組成物、及び方法がどのように作製及び評価されるかについての完全な開示及び説明を当業者に提供するために提示されるとともに、単に例示であることが意図され、発明者らがその発明と見なすものの範囲を限定するよう意図するものではない。数(例えば、量、温度等)に関しては正確を期すよう努めているが、いくらかの誤差及び偏差は考慮されなければならない。特に指示がない限り、部分数は重量部であり、温度は℃単位であるか、又は周囲温度であり、及び圧力は大気圧又はその近傍である。反応条件、例えば、構成成分の濃度、所望の溶媒、溶媒混合物、温度、圧力及びその他の、記載されるプロセスから得られる生成物の純度及び収率を向上させるために使用することのできる反応範囲及び条件には、数多くの変形例及び組み合わせがある。かかるプロセス条件を最適化するには、妥当なルーチンの実験のみで十分である。
【0087】
血清採取
試験には160人の妊婦が関与し、妊娠24週又は28週で血液を採取し、妊娠の最後まで追跡調査した。これらの女性のうち80人は早産(PTB)のエビデンスなく合併症を伴わない妊娠を経た。これを対照群とした。女性のうち80人はPTB(妊娠37週未満)であった。これらの女性をPTB症例群とした。これらの160人の女性の血清を、本明細書に記載されるプロテオミクス技法を用いて試験した。この試験に関わった各群の統計データを表7に掲載する。
【0088】
【表7】

【0089】
アセトニトリル沈殿
2容量のHPLC等級アセトニトリル(400μL)を200μLの血清に添加し、5秒間ボルテックスにかけ、室温で30分間静置した。次に(血清コレクション)からの試料を室温でIEC Micromax RF遠心分離機(Thermo Fisher Scientific、Waltham,MA)において12,000rpmで10分間遠心した。次に上清のアリコートを、300μLのHPLC等級の水が入った微量遠心管に移した。試料を短時間ボルテックスにかけて溶液を混合し、次にそれをLabconco CentriVap Concentrator(Labconco Corporation、Kansas City,MO)において約200μLまで凍結乾燥した。凍結乾燥前に添加するこの容量の水は、溶液からのアセトニトリルの完全な取り出しを促進する。アセトニトリルはタンパク質濃度の決定に用いられるアッセイと適合しないため、これは必須である。製造者の指示に従い実施されるBio−Radマイクロタイタープレートタンパク質アッセイを用いて上清タンパク質濃度を決定した。4μgのタンパク質を含むアリコートを新しい微量遠心管に移し、ほぼ乾固するまで凍結乾燥した。HPLC水で試料を20μLとし、次に20μLの88%ギ酸を使用して酸性化した。
【0090】
セプタムを有するポリプロピレン製スナップキャップで封閉された250μL円錐ポリプロピレンバイアル(Dionex Corporation、Sunnyvale,CA)に、アセトニトリル処理した(沈殿後の)血清試料(40μL)を充填し、4℃に保たれたFAMOS(登録商標)オートサンプラー48ウェルプレートに入れた。FAMOS(登録商標)オートサンプラーにより、0.1%のギ酸で酸性化したHPLC水を使用して5μLの各血清試料を液体クロマトグラフィー保護カラムに40μL/分の流量で注入した。酸性化水で保護カラムから塩及び他の不純物を洗浄により除いた。FAMOS(登録商標)オートサンプラーはカラムに負荷する容量の3倍を引き込むため、試料が限られた容量になったとき、手作業で試料を注入する必要があった。これは、10μL容量の試料を保護カラム上流の空のループに注入し、試料の代わりに10μLのHPLC水試料を注入するようにFAMOS(登録商標)オートサンプラーをプログラムして達成した。円錐バイアルから負荷されたかのようにして保護カラムに血清試料を負荷し、脱塩した。
【0091】
質量スペクトル分析のための液体クロマトグラフィー分離法
キャピラリー液体クロマトグラフィー(cCL)を実施して試料を分画した。キャピラリーLCは、インハウスで組み立てられた1mm(16.2μL)のマイクロボア保護カラム(Upchurch Scientific、Oak Harbor,WA)と、15cm×250μm内径のキャピラリーカラムとを使用する。保護カラムはドライパックし、キャピラリーカラムはPOROS R1逆相媒体(Applied Biosystems、Framingham,MA)を使用してスラリーパックした。水相(98%HPLC等級HO、2%アセトニトリル、01.%ギ酸)と有機相(2%HPLC HO、98%アセトニトリル、0.1%ギ酸)とを使用して、カラム平衡化及びクロマトグラフ分離を実施した。分離は、95%水溶液での3分間のカラム平衡から開始し、次に2.75%/分の勾配で60%有機相まで増加させ、次に7%/分で95%有機相の濃度まで増加させて達成した。勾配は95%有機相で7分間保持して試料のうちより疎水性が高い成分を溶出させ、次に勾配を5分間で95%水相に戻し、その濃度に2分間保持してカラムを再度平衡化した。分離は全て、5μL/分の流量で実施した。クロマトグラフィーでは、Analyst QS(登録商標)(Applied Biosystems、Foster City,CA)により制御して、FAMOS(登録商標)オートサンプラー(Dionex Corporation、Sunnyvale,CA)と共にLC Packings Ultimate Capillary HPLCポンプシステムを使用した。
【0092】
MS分析
毎日試料ラン前に外部標準を使用してMS校正を実施した。必要に応じて、信号対雑音比が最適化され、且つ感度が最大化されるように設定を調整した。
【0093】
cLCシステムは質量分析器に直接連結した。キャピラリーカラムからの溶出物は、IonSpray源(Applied Biosystems)を介してQSTAR Pulsar I 四重極直交飛行時間型質量分析器に送り込まれた。m/z 500〜2500についてのデータを収集し、これは5分で開始し、55分で終了した。5μL/分の流量では、試料が保護カラムから質量分析器に至るまで5分かかり、従って5分より前には有用なデータを得ることができないため、開始時間の遅延をプログラムした。データの収集、処理及び予備的なフォーマット作成は、BioAnalystアドオン(Applied Biosystems)を含むAnalyst QS(登録商標)ソフトウェアパッケージを使用して達成される。
【0094】
5分から55分まで各標本について全cLC溶出期間にわたり1秒ごとの質量スペクトルを得た。全イオンクロマトグラムとして報告される、各対象についてのcLCにより分画されたタンパク質除去血清の溶出プロファイルを調べ、前回実行したヒト血清と一致することを確認した。全体の存在量が正常の50%未満若しくは正常の200%超である標本、又は3つの幅の広いイオン強度領域の特徴系列を欠く標本は、再実行するか、又は標本が分析の再実行に不十分な場合には除外した。
【0095】
ピークアライメント
試料は別々の日に実行にかけられ、及びカラムは溶出時間が異なり得るため、有効なクロマトグラム(有効なクロマトグラム約15分〜35分)の全体を通じて約2分おきに溶出する平均存在量の10個の内因性分子種を決定した。目的の溶出領域に対して2分間のウィンドウを設定することにより、ファイルサイズを管理し易いまま維持した。各溶出時間マーカーについての所望のm/z領域の溶出は、MSコンピュータのExtract Ion Chromatogram(XIC)機能を使用して可視化される。次に各標本ランについてアライメントピークの溶出時間の各々を決定し、次にSet Selection機能を用いることにより2分間ウィンドウの中心として使用した。これにより当該のウィンドウについて全てのランの位置が同じ中点にアライメントされる。次にShow Spectra機能を使用して、全ての質量スペクトルから単一の平均質量スペクトルを作成することができる。
【0096】
データ分析
Q−Star(q−TOF)質量分析器をサポートするソフトウェアプログラムAnalyst(登録商標)により、16件の個別の液体クロマトグラフィーランを編集し、同様の溶出時間におけるそれらのラン内の質量スペクトルを比較することが可能である。上記に説明したとおり、20分間の期間の有効な溶出に対して10個の2分間ウィンドウを設定し、データファイルサイズを管理し易いまま維持した。同様に上記に説明したとおり、2分間ウィンドウをアライメントした。10個の2分間溶出間隔のうち、最初に分析すべき間隔を二番目の2分間ウィンドウとし、これは典型的にはより多くのペプチド種が存在したため選択した。ペプチドをその多価状態の特徴的な外観により同定した。この多価状態は、単一のピーク又は1質量/電荷単位だけ離れた複数のピークではなく、個々のピークが1質量/電荷単位未満しか離れていない、ガウス形状を有する十分に定義された一群のピークとして見える。PTBを起こした8人の対象群、及び対照(PTBなし)からの8人の対象群を色分けして重ね合わせた。次にデータを視覚的に調べ、1色が優位を占めるように見える分子種を記録した。使用したソフトウェアは16個の試料のみの視覚化に制限されていた。16より大きいサンプリングサイズについては、データセットの多重比較を行った。さらに考慮すべき化合物については、データセットの少なくとも3分の2で2つの群間に同じ外観上の違いを観測する必要があった。
【0097】
次に、2つの試験群の間で異なるように見えた分子を個々に調べた。これらの候補種は全てペプチドであった。定量データを抽出する前に質量スペクトルを調べ、ペプチドピークが同じm/zを有し、且つ同じ荷電状態も表すことを確認し、それにより同じペプチドについて検討していることをさらに確認した。加えて、2つの群間で存在量の違いが示されなかった第2の近傍ピークを基準として選択した。このピークを使用して目的の候補ピークを正規化し、標本の処理、標本の負荷量及びイオン化効率におけるばらつきを補正した。
【0098】
次にAnalyst(登録商標)ソフトウェアにより分子種を「抽出」し、各個別のランにおける個々の分子種のピーク最大値を決定する。この機能は特定のm/zを2分間溶出ウィンドウに限って調べるものではなかったため、従ってcLC溶出時間のアライメントに用いられるピークをさらに用いることにより、溶出プロファイルにおける位置が同じであったことを確認し、ひいては毎回同じ分子種が選択されたことを確認してもよい。
【0099】
各分子種についてのピーク高さを、その存在量の妥当な推定であると考えた。各候補化合物の存在量を表にし、各候補種の計算値の、近傍の基準種との比をとった。単一の種を考慮していたため、2つの群間のこのペプチドの存在量のあり得る差の評価においては一変量統計解析を用いた。
【0100】
内因性時間アライメント分子
時間アライメントに使用される基準ピークの質量及び典型的な溶出時間を表8に要約する。
【0101】
【表8】

【0102】
全ての妊婦血清中に存在するこれらの内因性分子種の位置情報により、それらをキャピラリー液体クロマトグラフィー溶出プロファイル中のPTBバイオマーカーのアライメント及び位置特定用の時間マーカーに使用することもまた可能となる。
【0103】
バイオマーカー特性
時間アライメント後、PTB症例群及び対照群を各々色付けして複数の質量スペクトルを重ね合わせる最初のプロセスで、バイオマーカー候補を視覚的に同定した。主に1色のように見えるこれらのピークをさらに試験した。次に個々のスペクトルを、QqTOF質量分析器(Applied Biosystems)用のオペレーティングシステムであるAnalyst(登録商標)ソフトウェア(Applied Biosystems)を備えたコンピュータによるピーク高さの決定に供した。次にバイオマーカーの量を表にした。加えて、症例群と対照群との間で定量的に違いがなかった、同じ時間ウィンドウ内に生じた第2のピークもまた選択した。これは非生物学的ばらつきの低減を可能にする内因性標準に相当した。これは、候補ピークの量を内因性標準の量で除算することにより達成した。各標本についての比の大きさを記録し、PTB症例群と対照群とを比較するスチューデントt検定を用いて統計的有意差を求めた。
【0104】
第1のバイオマーカーについて、3つの種には十分な差があり(p≦0.0001)、2つの群の優れた分離を可能にし得ることが示唆される。3つのPTBバイオマーカーを含む第1のバイオマーカーについての個々の質量及び溶出時間を表9に要約する。
【0105】
【表9】

【0106】
溶出時間(滞留時間)は内部時間標準の関数として表した。これは、バイオマーカーに先行する時間マーカーと目的のピークに後続する時間マーカーとの間の目的のピークの相対位置により決定した。これは以下の式により計算した:
=(バイオマーカーの溶出時間−先行する時間マーカーの溶出時間)/(後続の時間マーカーの溶出時間−先行する時間マーカーの溶出時間)
【0107】
値は、実際の溶出時間と比べて信頼性がより高かった。溶出時間は新しいカラムによって、又は既存のカラムの汚れによる性能の変化によって変わり得るが、Rがそれらの変化で変わることはなかった。第1のバイオマーカー(すなわち配列番号1〜3)のR値を表10に提供する。
【0108】
【表10】

【0109】
内因性共溶出標準を参照することによるばらつきの低減
現在の血清プロテオミクス手法の特徴の一つは、あらゆる種に存在した、且つ症例群と対照群との間で差がなかった内因性分子の使用である。この内部標準に対してバイオマーカー存在量を正規化することにより、非生物学的変動が低下し、リスク予測におけるバイオマーカーの利用能力が向上した。正規化は、目的のピーク存在量の基準ピークによる数学的除算を含んだ。存在量は機械導出値であった。所与の分子の存在量は、所与の質量スペクトル中における質量分析器により計測される特定の質量のイオンの数、又は全溶出間隔に相当するいくつかの質量スペクトルで観測される特定の質量のイオンの合計数を表す。分子は、典型的にはクロマトグラフィーカラムから出るまでに1.0〜1.5分を要し、一方で質量スペクトルは当該の溶出間隔の間、1秒ごとに取得される。
【0110】
第1のバイオマーカーについて、3つの内部基準を使用した。ピークm/z 676.7(配列番号1)については、m/z 673.3の共溶出基準ピークを使用した。ピークm/z 856.8(配列番号2)及びピーク860.0(配列番号3)については、m/z 843.8の共溶出基準ピークを選択した。これらの比を用いてlog比の平均を計算した(表11及び表12)。
【0111】
第1のバイオマーカーのうちの3つ(すなわち配列番号1(m/z 676.7)、配列番号2(m/z 856.8)、及び配列番号3(m/z 860.0)が、症例群と対照群との間で定量的に有意差があることが分かった。表11及び表12は、それぞれ妊娠24週及び28週における症例群及び対照群のバイオマーカー存在量を掲載する。
【0112】
【表11】

【0113】
【表12】

【0114】
第1のバイオマーカーを用いた早産を起こすリスクがある女性の予測
上記に説明したとおり、バイオマーカーの予測力の一般的な一尺度は、その感度及び特異度であった。表13及び表14に示されるとおり第1のバイオマーカーの閾値を決定し、PTBを発症するリスクがある対象を特定した。各々についての閾値は、特異度(真陰性率)が80%以上となるように計算した。前述のとおり、これは20%以下の偽陽性率と同じである。これらの数学的に決定された閾値を用いると、表13及び表14に要約するとおり、4つの比から独立して以下の感度(真陽性)及び特異度(真陰性)の比率がもたらされた。
【0115】
【表13】

【0116】
【表14】

【0117】
感度は、真陽性率、又は具体的にこの場合は、バイオマーカーにより正しく特定される、後にPTBを発症する妊婦の百分率として定義される統計学用語である。特異度は、真陰性率、又はこの場合は、正しく特定される、合併症を伴わない妊娠の妊婦の百分率として定義される。バイオマーカーをこのように予測に使用するには数値的閾値を設定しなければならない。そのような数値を設定するため、典型的にはバイオマーカーについての値の範囲が、最低値から最高値まで、及び各時点における陽性として正しく特定される対象の割合、及び同じ時点における陽性として誤って特定される対照の割合について考慮される。これは受信者動作特性曲線(ROC)と称される。偽陽性率は20%に限られる。一般にはこれが臨床試験の最大耐容値と考えられる。偽陽性率(バイオマーカーにより後のPTBのリスクがあるとして特定される、合併症を伴わない妊娠の女性、対照群の百分率)は、真陰性率を100%から減じて計算される。20%以下の偽陽性率(80%以上の特異度に等しい)である閾値であればいずれも、ある人にリスクがあるか、それともリスクがないかについての判断に使用される閾値を決定する。4つの比の各々について、後のPTBリスクがある対象を特定することが可能な閾値を決定した。各々についての閾値を、特異度(真陰性率)が80%以上となるように計算した。前述のとおり、これは20%以下の偽陽性率と同じである。これらの数学的に決定された閾値を用いて、表13及び表14に要約するとおり、4つの比から独立して以下の感度(真陽性)及び特異度(真陰性)の比率がもたらされた。後のPTBを予測する677(配列番号1)のピークの能力がピークの組み合わせによって大幅に向上することはなかった。
【0118】
図1は、24週及び28週での試料採取後の、後に起こるPTBを予測する第1のバイオマーカー(すなわち配列番号1〜3)の予測能力を実証するROC曲線を示す。来院ごとの各マーカーについての曲線下面積及び95%信頼区間もまた含まれる。
【0119】
第1のバイオマーカーのアイデンティティ
2つの質量分析器間に衝突セルを含むタンデムMSを用いて親ペプチドのフラグメンテーションを生じさせ、第2のMSステップで観測されるフラグメンテーションパターンから検索可能なデータベース(MASCOT)と比較してアミノ配列を決定した。ペプチドのうちの3つは同じ親タンパク質のインターαトリプシンインヒビター重鎖4(ITIH4)に由来し、一方、最終的なペプチドは第2のタンパク質のインターαトリプシンインヒビター重鎖関連タンパク質(IHRP)から得られた。表15は第1のバイオマーカーのアミノ酸配列(それぞれ配列番号1〜3)を提供する。
【0120】
【表15】

【0121】
これらのペプチドは、インターαトリプシンインヒビターと称されるタンパク質スーパーファミリーから生じるように思われる。より具体的には、ペプチドは、現在インターαトリプシンインヒビター重鎖4のアイソフォームと考えられている2つの異なるタンパク質、すなわちアイソフォーム1(ITIH4−1)及びアイソフォーム2(ITIH4−2)に由来するように思われる。2つのアイソフォームはいくらかの配列相同性を有するが、他方には認められないアミノ酸部分も有する。2つのアイソフォームは、単に他方を切断したものではない。
【0122】
「第2のバイオマーカー」の分析
コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、及び腫瘍壊死因子α受容体1型を含む6つのさらなるバイオマーカー(「第2のバイオマーカー」と定義される)、又はそれらの組み合わせを、第1のバイオマーカー(すなわち配列番号1〜3又はそれらの任意の組み合わせ)の組み合わせと共に分析した。
【0123】
配列番号1〜3を含む第1のバイオマーカーについて、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、及び腫瘍壊死因子α受容体1型を含む第2のバイオマーカーと組み合わせてロジスティック回帰分析を実施した。受信者動作特性曲線を用いた分類性能には第1のバイオマーカー(すなわち配列番号1〜3)を用いた。全ての統計的検定について、名目両側p値は、p値<0.05として定義される統計的有意性で報告した。これらの分析にはSAS バージョン8.2(SAS Institute、Cary,NC)を使用した。
【0124】
第2のバイオマーカーの相対存在量
症例群と対照群との間で存在量に有意差がある第2のバイオマーカー(すなわち、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、及び腫瘍壊死因子α受容体1型)を表16に掲載する。上記に説明される方法により第2のバイオマーカーの存在量を決定した。
【0125】
【表16】

【0126】
第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとの組み合わせを使用した、早産を起こすリスクがある女性の予測
直前に考察したとおり、第1のバイオマーカーは、コルチコトロピン放出因子(CRF)、腫瘍壊死因子α受容体1型(TNFar)、トロンビン−抗トロンビンIII複合体(TAT)、フェリチン(FER)及びラクトフェリチン(lactoferritin)(LACTO)を含む5つのさらなるタンパク質(すなわち、第2のバイオマーカー)と組み合わせることで、89.8%の感度及び81.0%の特異度を有するバイオマーカーのパネルを提供することができる。ロジスティック回帰モデルを用いて、種々のマーカーのこれらの様々な組み合わせを検討した。モデルから、患者についての予測確率が示された。従って、マーカーの組み合わせのカットオフ値は予測確率に基づく。各分析では、≧80%の特異度をもたらす確率を使用した。
【0127】
どの種が2つの臨床群間のより良い判別をもたらしたかを決定するため、第1のバイオマーカー(すなわち、m/z 677(配列番号1)、857(配列番号2)、860(配列番号3))+第2のバイオマーカー(すなわち、5つのタンパク質バイオマーカーのうちの4つ)を組み合わせて試験して、5つのさらなるタンパク質バイオマーカーの各々を除いた効果、従って、完全なパネル(8つのバイオマーカー)から以下を除いたものの効果を確認し、以下の感度及び特異度が得られた。
【0128】
【表17】

【0129】
これらのデータは、群間の最良のさらなる判別をもたらす2つのタンパク質がTNFar及びCRFであることを示唆している。
【0130】
完全パネル及び1つのタンパク質を除いた他の組み合わせは、妥当な感度及び特異度(80%/80%)のバイオマーカーの組み合わせを提供するが、商業的にはより少ないバイオマーカーの使用が望ましいこともある。この目的から、以下のより少数の組み合わせを評価し、結果は以下のとおりであった。
【0131】
【表18】

【0132】
図2は、28週の試料採取後の、後に起こるPTBを予測する以下のとおりの9つの予測因子:配列番号1、配列番号2、配列番号3、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、及び腫瘍壊死因子α受容体1型の組み合わせを含んだ第1及び第2のバイオマーカーの予測能力を実証するROCを作成したことを示す。曲線下面積及び95%信頼区間もまた報告する。
【0133】
ELISAアッセイI
以下のELISAアッセイは、生体試料中の目的とするバイオマーカーの検出及び定量に利用することができる。目的のペプチド(抗原)に対して免疫学的特異性を有する第1の抗体を96ウェルマイクロタイタープレートの表面上に吸着させる。既知の段階的濃度の目的とするペプチドの25マイクロリットルの血清又は標準を個々にウェルに添加する。血清を第1の抗体と30分間インキュベートする。ウェル表面にコーティングされた第1の抗体が抗原を結合して固定化する。同様にその抗原に対して免疫学的特異性を有する第2の抗体を含む200マイクロリットルの第2の溶液を各ウェルに添加する。第2の抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ又は化学発光前駆体などのマーカーで標識されている。ウェルを30分間インキュベートして第2の抗体を抗原−第1の抗体複合体と結合させることで、それ自体がウェル表面に結合している抗体−抗原−抗体「サンドイッチ」が形成される。次にウェルを慎重且つ完全に洗浄し、結合していない第2の抗体を全て取り除く。次に、第2の抗体標識に特異的な基質を含む溶液を添加する。西洋ワサビペルオキシダーゼの場合、結合した第2の抗体の量に対応してウェル内で色の変化が起こる。化学発光マーカーの場合、基質は非化学発光分子種から光を放つ化学発光生成物に変換される。この生成物から放たれる光はウェル内に存在する抗原の量に比例し、特定の波長で放たれる光を計測してその強度を記録する特殊な分光計「プレートリーダー」により計測される。
【0134】
ELISAアッセイII
以下のELISAアッセイは、生体試料中の目的とするバイオマーカーの検出及び定量に利用することができる。このアッセイはELISAアッセイIと同様であり、但し第2の抗体はビオチン分子で標識される。抗体−抗原−抗体の形成後にウェルを洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合するストレプトアビジンを含む溶液をウェルに添加してビオチン分子と反応させる。この特定のアッセイでは、未着色の基質が着色された生成物に変換される。その特定の波長の吸光度として計測される色の強度が、ウェル内に存在する抗原の量に比例する。その吸光度を、既知の段階的濃度の抗原の一連の校正用標準の吸光度対濃度のプロットと比較することにより、未知試料の濃度を推定することができる。
【0135】
上述の組成物及び適用形態は、本発明の好ましい実施形態の例示に過ぎないことが理解されるべきである。当業者は本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく数多くの変形例及び代替的な構成を考案することができ、添付の特許請求の範囲がかかる変形例及び構成を網羅することが意図される。従って、本発明は上記において、現時点で本発明の最も実用的で好ましい実施形態であると見なされるものに関連して特殊性及び詳細を伴い説明されたが、当業者には、限定はされないがサイズ、材料、形状、形態、機能及び動作方法、組立て及び使用が異なるものを含め、数多くの変形例を、本明細書に示される原理及び概念から逸脱することなく実施し得ることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
妊娠中の対象における早産リスクの評価方法であって、
(a)前記対象からの生体試料中に存在する第1のバイオマーカーと第2のバイオマーカーとの組み合わせを検出するステップであって、前記第1のバイオマーカーがアミノ酸配列の配列番号1、配列番号2、配列番号3、又はそれらの任意の組み合わせを含み、及び前記第2のバイオマーカーが、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせを含むタンパク質である、ステップと、
(b)前記生体試料中の前記第1のバイオマーカー及び前記第2のバイオマーカーの量を定量するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(b)が、前記第1のバイオマーカー及び前記第2のバイオマーカーの存在量を計測するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生体試料中の前記第1のバイオマーカー及び前記第2のバイオマーカーの存在量を、早産を起こさなかった対象から得られた対照生体試料中の前記第1のバイオマーカー及び前記第2のバイオマーカーの対照濃度と比較するステップであって、それにより早産リスクの増加を特定するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
早産リスクの増加を特定するステップが、対照生体試料中の前記少なくとも1つのペプチドの対照濃度と比べて前記生体試料中の前記少なくとも1つのペプチドの存在量が有意に低いことを決定するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記生体試料中の前記第1のバイオマーカー及び前記第2のバイオマーカーの存在量を、前記対象からの前記生体試料中の基準分子の対照濃度と比較するステップであって、それにより早産リスクの増加を特定するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のバイオマーカーが、アミノ酸配列の配列番号1、配列番号2、又は配列番号3を有する少なくとも2つのペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のバイオマーカーが、アミノ酸配列の配列番号1、配列番号2、又は配列番号3を有する少なくとも3つのペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のバイオマーカーが、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、及び腫瘍壊死因子α受容体1型からなる群から選択される少なくとも2つのタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のバイオマーカーが、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、及び腫瘍壊死因子α受容体1型からなる群から選択される少なくとも3つのタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のバイオマーカーが、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、及び腫瘍壊死因子α受容体1型からなる群から選択される少なくとも4つのタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のバイオマーカーが、コルチコトロピン放出因子、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、及び腫瘍壊死因子α受容体1型である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のバイオマーカーが配列番号1である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記検出ステップ(a)がプロテオミクス技法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記検出ステップ(a)が、(1)抗体−抗原複合体の形成を可能にする条件下で前記生体試料を抗体と接触させるステップであって、前記抗体が、前記第1のバイオマーカー又は前記第2のバイオマーカーのいずれかに対して免疫学的特異性を有する、ステップと;(2)前記抗体−抗原複合体の形成についてアッセイするステップであって、それにより前記生体試料中の前記第1又は前記第2のバイオマーカーを検出するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記抗体がモノクローナル抗体を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記抗体が担体分子にカップリングされる、又はそれとコンジュゲート化される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体が固体支持体にカップリングされる、又はそれとコンジュゲート化される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記抗体−抗原複合体の形成後、前記固体支持体上の前記抗体に結合していない前記生体試料の任意の成分が除去される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記生体試料が、血清、血漿、血液、尿、脳脊髄液、羊水、滑液、子宮頸膣液、洗浄液、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記生体試料が血清である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記生体試料が血液である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
妊娠中の対象における早産リスクの評価方法であって、
(a)前記対象から生体試料を採取するステップと、
(b)前記生体試料を第1の抗体と第2の抗体とに接触させるステップであって、前記試料を前記第1の抗体と前記第2の抗体とに接触させると、前記第1の抗体が第1のバイオマーカーに結合して第1の抗体−抗原複合体を形成し、及び前記第2の抗体が第2のバイオマーカーに結合して第2の抗体−抗原複合体を形成し;前記第1のバイオマーカーがアミノ酸配列の配列番号1、配列番号2、配列番号3、又はそれらの任意の組み合わせを含み、及び前記第2のバイオマーカーが、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせを含むタンパク質である、ステップと、
(c)前記第1の抗体−抗原複合体及び前記第2の抗体−抗原複合体の形成についてアッセイするステップであって、それにより前記生体試料中のその前記第1のバイオマーカー及び前記第2のバイオマーカーの量を定量するステップと、
(d)前記生体試料中の前記第1のバイオマーカー及び前記第2のバイオマーカーの量を、早産を起こさなかった対象における同じバイオマーカーの量と比較するステップであって、それにより前記早産リスクを評価するステップと、
を含む、方法。
【請求項23】
前記第1の抗体及び前記第2の抗体が独立してモノクローナル抗体を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
妊娠中の対象における早産リスクを評価するためのキットであって、
(a)少なくとも第1の抗体及び第2の抗体であって、前記第1の抗体が、配列番号1、配列番号2、及び配列番号3を含むアミノ酸配列を有する第1のバイオマーカーに選択的に結合して第1の抗体−抗原複合体を形成する能力を有し、及び前記第2の抗体が、コルチコトロピン放出因子、デフェンシン、フェリチン、ラクトフェリン、トロンビン−抗トロンビン複合体、腫瘍壊死因子α受容体1型、又はそれらの任意の組み合わせを含む第2のバイオマーカーに選択的に結合して第2の抗体−抗原複合体を形成する能力を有する、第1の抗体及び第2の抗体と、
(b)前記第1の抗体−抗原複合体及び前記第2の抗体−抗原複合体の形成をアッセイするため前記第1の抗体及び前記第2の抗体と機能上関連付けられる指標と、
を含む、キット。
【請求項25】
前記生体試料中の前記第1のバイオマーカー及び前記第2のバイオマーカーの量を定量するように構成される指標をさらに含む、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
前記第1の抗体及び前記第2の抗体が独立してモノクローナル抗体を含む、請求項24に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−502584(P2013−502584A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525680(P2012−525680)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/045957
【国際公開番号】WO2011/022526
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(506051429)ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション (25)
【出願人】(592087647)ブリガム・ヤング・ユニバーシティ (34)
【氏名又は名称原語表記】BRIGHAM YOUNG UNIVERSITY
【出願人】(512041469)アイエイチシー ヘルス サービシーズ (1)
【Fターム(参考)】