説明

早産治療のためのステロイドスルファターゼ阻害薬の使用

本発明は、早期子宮収縮を防止または抑制する薬剤の製造におけるステロイドスルファターゼ阻害薬の使用に関する。具体的には、本発明は、早産の調節、特に抑制のための医薬処方物の調製に有用なステロイドスルファターゼ阻害薬に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、早期子宮収縮を防止または抑制するための薬剤の製造におけるステロイドスルファターゼ阻害薬の使用に関する。本発明は、早期子宮収縮を防止または治療する方法にも関する。具体的には、本発明は、早産を防止または治療するための医薬処方物の調製に有用なスルファメートステロイドスルファターゼ阻害薬に関する。
【背景技術】
【0002】
早期分娩は、重大な健康問題である(Slattery et al., Lancet, 2002, 360(9344),1489-97)。早期出産は母胎または乳児の利益のために故意に引き起こされることがあるが、50%までの早期出産は特発性早期分娩に起因し、その前に自然破水が起こることも起こらないこともある(Barros et al., 2006, Obstet. Gynecol., 107(5):1035-41)。早期出産は周産期死亡の主因であり、早期出産幼児の世話にかかる費用が莫大である状況である(米国では、全体で262億ドルまたは早期出産幼児当たり5万ドルを上回ると見積もられている)(Medicine Io., 2007, Institute of Medicine, 398-429)。
【0003】
ヒトの分娩の生理学は、子宮頸の「成熟」(子宮頸が子宮に胎児を保持することができるしっかりした剛性構造から子宮収縮によって受動的に開くことができる柔軟で一層順応性の高い構造へ変化する過程)と子宮筋層の収縮の開始を伴う。子宮頸が子宮筋層の収縮によって開いてしまうと、胎児は母親の努力によって促進される子宮筋層の収縮によって押出される。早期分娩は同様な過程を伴うと思われるので、早期出産を防止するための治療方法は、子宮収縮開始の防止(例えば、予防的プロゲステロン療法)、子宮収縮が臨床的に明らかになった後の子宮収縮の抑制(陣痛抑制)、早期子宮開放の防止(通常は縫合を用いる:頸管縫縮術)または胎膜破裂に関連した有害な後遺症を防止する方法(抗生物質療法)に集中してきた。これらの治療法は早期出産の危険を減らすのに幾分役立っているが、最終的には周産期死亡率または罹患率を改善することは示されていなかった。実際に、早期出産の制御に現在利用できる最も有効な「療法」は糖質コルチコイドを投与して出産前に胎児肺の成熟を向上させることであり、これは早期分娩の可能性に対して何らの効果もないが、周産期死亡率、呼吸窮迫症候群および脳室内出血のそれぞれを減少させ、治療していない胎児と比較した子宮内で治療した胎児の典型的な有効率は0.45-0.6となる。
【0004】
ヒツジやヤギのような多くの動物では、分娩の時期は胎児の脳下垂体-副腎系によって調節されている。増加する胎児のACTHに応答して胎児の副腎によって産生される糖質コルチコイドの増加レベルは、エストロゲン/プロゲステロン比の増加を引き起こし、これが直ちに子宮収縮、従って分娩を引き起こす因子(例えば、プロスタグランジンF2a)を刺激する。これらの動物における副腎の極めて重要な役割は、胎児のACTH注射が分娩を誘発しかつ胎児の下垂体切除または副腎摘出が分娩を無期限に遅らせることを示す研究によって明らかにされている。
【0005】
ヒトの分娩の制御は余り明らかになっていない。最新の理論は、分娩の開始が、子宮静止を維持する因子(プロゲステロン、プロスタサイクリン、酸化窒素およびリラキシンなど)が除かれて子宮収縮を促進する因子(エストロゲン,プロスタグランジン、オキシトシンおよび子宮筋ギャップ結合の主要タンパク質であるコネキシン43など)が増加する分娩「カスケード」から生じることを示唆している(Norwitz et al., 1999, The New England Journal of Medicine, 341,660-666)。胎児の副腎はヒトの分娩に重要であると思われるが、胎児下垂体が存在せず(無脳症)または胎児副腎が発育不全であるときに分娩が比較的正常に起こり得ることを考慮すれば、重要な調整因子(orchestrator)としてのその役割は余り明確ではない。更に、エストロゲン/プロゲステロンの血清中濃度は、ヒト分娩では矛盾なく説明されてはいない。
【0006】
早産は、正常な生理学的過程から生じることがあるが、子宮内感染症および/または炎症によって誘発されることもある。
【0007】
ステロイドスルファターゼまたはステリルスルファターゼ(STS)は、生物活性ステロイドの形成を調節する本質的役割を有するアリールおよびアルキルステロイドスルフェートの加水分解を触媒するミクロソーム酵素である(Reed et al., 2005, Endocr. Rev., 26(2), 171-202)。それは、全身を循環する硫酸化前駆体、すなわちエストロンスルフェート(E1S)およびデヒドロエピアンドロステロンスルフェート(DHEAS)の転換によるそれぞれ活性エストロゲンおよびアンドロゲンの局所産生に特に重要である。エストロンおよびデヒドロエピアンドロステロンは、いずれもエストロゲン特性を有するステロイド(すなわち、エストラジオールおよびアンドロステンジオール)に転換することができる。
【0008】
STSは、クローニングされて、発現されて(Stein et al., 1987, J. Biol. Chem., 264:13865-13872; Yen et al.,1987, Cell, 49:443-454)、酵素番号EC3.1.6.2が割り当てらている。STSは、多数の疾患状態に関係していることが確認されている。STSが完全に欠損すると、魚鱗癬を生じることが見出されている。何人かの研究者によると、STS欠損症は日本でかなり見られる。Sakura et al. (Sakura et al., 1997, J. Inherit. Metab. Dis.,20(6):807-10)は、気管支喘息、アレルギー性鼻炎またはアトピー性皮膚炎のようなアレルギー性疾患がステロイドスルファターゼ欠損症と関係していることも報告している。STS活性の完全な欠落によって引き起こされる疾患状態に加えて、STS活性レベルの増加も疾患状態を引き起こす可能性がある。一例として、乳癌の増殖および転移におけるSTSの役割を支持する強力な証拠がある。従って、STS阻害薬(STS-I)が、乳癌、子宮内膜癌および前立腺癌の治療およびざ瘡、脱毛症および多毛症のようなアンドロゲン依存性皮膚病の治療に現在開発されている。開発された様々な種類のSTS-Iケモタイプ(chemotypes)は、Horvath et al., 2005, Expert Opin. Ther. Patents, 15(11), 1541-1553に概説されている。
【0009】
胎児に対する深刻な脅威および早産した幼児の世話にかかるかなりの費用により、早産を防止する新規な活性薬剤を開発することは極めて望ましいことであろう。この要求は、ほとんどの先進国における早産の割合が8-12%にまで増加していることを示唆する最近のデーターによって一層強くなっている(Langhoff-Roos et al., 2006, Bmj, 332(7547), 937-9)。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、早期分娩のような早期子宮収縮障害の治療および/または予防に有用なステロイドスルファターゼ阻害薬に関する。特に、本発明は、早期子宮収縮の抑制および/または減少に有用なスルファメートステロイドスルファターゼ阻害薬に関する。
【0011】
本発明の第一の態様は、早期子宮収縮障害の防止および/または治療用の医薬組成物を調製するためのステロイドスルファターゼ阻害薬、またはその薬学上許容可能な塩またはその薬学活性誘導体の使用を提供する。
【0012】
本発明の第二の態様は、患者の早期子宮収縮障害を防止および/または治療する方法に関する。この方法は、ステロイドスルファターゼ阻害薬、または薬学上許容可能な塩またはその薬学活性誘導体をそれを必要とする患者に投与することを含んでなる。
【0013】
本発明の第三の態様は、早期子宮収縮障害の防止および/または治療に使用するためのステロイドスルファターゼ阻害薬、並びにその薬学上許容可能な塩およびその薬学活性誘導体に関する。
【0014】
本発明の他の特徴および利点は、下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
下記の段落において、別な方法で特に説明される定義がより広義の定義を提供しない限り、本発明による化合物を構成しかつ明細書および特許請求の範囲中に一律に適用しようとする様々な化学残基の定義を提供する。
【0016】
「アルキル」という用語は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられるときには、1-20個の炭素原子を有する一価のアルキル基を指す直鎖または分岐したC1-C20アルキルを含んでなる。この用語の具体的基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、1-エチルプロピル,2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、n-ヘプチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、テトラヒドロゲラニル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシルおよびn-エイコサニルなどの基が挙げられる。好ましくは、これらは、C1-C9アルキル、更に好ましくはC1-C6アルキル、特に好ましくはC1-C4アルキルを包含し、これらは、説明として、それぞれ1-9個の炭素原子を有する一価のアルキル基、1-6個の炭素原子を有する一価のアルキル基および1-4個の炭素原子を有する一価のアルキル基を指す。詳細には、これらはC1-C6アルキルを包含する。
【0017】
「アルケニル」という用語は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられるときには、直鎖または分岐したC2-C20アルケニルを含んでなる。詳細には、これらは、2-6個の炭素原子を有しかつ少なくとも1または2個のアルケニル不飽和の部位を有する基を指すC2-C6アルケニルを包含する。それは、任意の利用可能な位置に任意の利用可能な数の二重結合を有することができ、二重結合の配置は(E)または(Z)配置であることができる。この用語としては、ビニル、アリル、イソプロペニル、1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-エチル-1-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-ヘプテニル、1-オクテニル、ゲラニル、1-デセニル、1-テトラデセニル、1-オクタデセニル、9-オクタデセニル、1-エイコセニルおよび3,7,11,15-テトラメチル-1-ヘキサデセニルなどの基が挙げられる。好ましくは、これらとしては、C2-C8アルケニル、更に好ましくはC2-C6アルケニルが挙げられる。とりわけ、特に好ましいものは、ビニル、またはエテニル(-CH=CH2)、n-2-プロペニル(アリル、-CH2CH=CH2)、イソプロペニル、1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニルおよび3-メチル-2-ブテニルなどである。
【0018】
「アルキニル」という用語は、単独でまたは他の用語と組み合わせて用いられるときには、直鎖または分岐したC2-C20アルキニルを含んでなる。それは、任意の利用可能な位置に任意の利用可能な数の三重結合を有することができる。この用語としては、エチニル(-C≡CH)、1-プロピニル、2-プロピニル(プロパルギル:-CH2CCH)、2-ブチニル、2-ペンテン-4-イニルなどのような2-20の炭素数と場合によっては1個の二重結合を有することができるアルキニル基のような基が挙げられる。詳細には、これらの基としては、C2-C8アルキニル、更に好ましくはC2-C6アルキニルなどが挙げられる。好ましくは、これらの基としては、2-6個の炭素原子を有しかつ少なくとも1または2個のアルキニル不飽和の部位を有する基を指すC2-C6アルキニルが挙げられる。
【0019】
「ヘテロアルキル」という用語は、少なくとも1個の炭素がO、NまたはSから選択されるヘテロ原子によって置換されているC1-C12−アルキル、好ましくは、C1-C6−アルキルを指し、2-メトキシエチルなどが挙げられる。
【0020】
「アリール」という用語は、単環(例えば、フェニル)または複合縮合環(例えば、インデニル,ナフチル)を有する6-14個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環基を指す。アリールとしては、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントレニルなどが挙げられる。
【0021】
「C1-C6アルキルアリール」という用語は、C1-C6アルキル置換基を有するアリール基を指し、メチルフェニル、エチルフェニルなどが挙げられる。
【0022】
「アリールC1-C6アルキル」という用語は、アリール置換基を有するC1-C6アルキル基を指し、3-フェニルプロパニル、ベンジルなどが挙げられる。
【0023】
「ヘテロアリールという用語は、単環性のヘテロ芳香族、または二環性または三環性の融合環ヘテロ芳香族基を指す。ヘテロ芳香族基の具体例としては、場合によって置換されているピリジル、ピロリル、ピリミジニル、フリール、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、ベンゾフリール、[2,3-ジヒドロ]ベンゾフリール、イソベンゾフリール、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、ピリド[3,4-b]ピリジル、ピリド[3,2-b]ピリジル、ピリド[4,3-b]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニルまたはベンゾキノリルが挙げられる。
【0024】
「C1-C6アルキルヘテロアリール」という用語は、C1-C6アルキル置換基を有するヘテロアリール基を指し、メチルフリールなどが挙げられる。
【0025】
「ヘテロアリールC1-C6アルキル」という用語は、ヘテロアリール置換基を有するC1-C6アルキル基を指し、フリールメチルなどが挙げられる。
【0026】
「C2-C6アルケニルアリール」という用語は、C2-C6アルケニル置換基を有するアリール基を指し、ビニル、フェニルなどが挙げられる。
【0027】
「アリールC2-C6アルケニル」という用語は、アリール置換基を有するC2-C6アルケニル基を指し、フェニルビニルなどが挙げられる。
【0028】
「C2-C6アルケニルヘテロアリール」という用語は、C2-C6アルケニル置換基を有するヘテロアリール基を指し、ビニルピリジニルなどが挙げられる。
【0029】
「ヘテロアリールC2-C6アルケニル」という用語は、ヘテロアリール置換基を有するC2-C6アルケニル基を指し、ピリジニルビニルなどが挙げられる。
【0030】
「C3-C8-シクロアルキルという用語は、単環(例えば、シクロヘキシル)または複合縮合環(例えば、ノルボルニル)を有する3-8個の炭素原子の飽和炭素環基を指す。C3-C8-シクロアルキルとしては、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニルなどが挙げられる。
【0031】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、上記定義に準じるC3-C8-シクロアルキル基であって、3個までの炭素原子がO、S、NR(Rは、水素またはメチルとして定義される)からなる群から選択されるヘテロ原子によって置換されているものを指す。ヘテロシクロアルキルとしては、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニルなどが挙げられる。
【0032】
「C1-C6アルキルC3-C8-シクロアルキル」という用語は、C1-C6アルキル置換基を有するC3-C8-シクロアルキル基を指し、メチルシクロペンチルなどが挙げられる。
【0033】
「C3-C8-シクロアルキルC1-C6アルキル」という用語は、C3-C8-シクロアルキル置換基を有するC1-C6アルキル基を指し、3-シクロペンチルプロピルなどが挙げられる。
【0034】
「C1-C6アルキルヘテロシクロアルキル」という用語は、C1-C6アルキル置換基を有するヘテロシクロアルキル基を指し、4-メチルピペリジニルなどが挙げられる。
【0035】
「ヘテロシクロアルキルC1-C6アルキル」という用語は、ヘテロシクロアルキル置換基を有するC1-C6アルキル基を指し、(1-メチルピペリジン-4-イル)メチルなどが挙げられる。
【0036】
「カルボキシ」という用語は、基−C(O)OHを指す。
【0037】
「カルボキシC1-C6アルキル」という用語は、カルボキシ置換基を有するC1-C6アルキル基を指し、2-カルボキシエチルなどが挙げられる。
【0038】
「アシル」という用語は、基−C(O)Rであって、RがH、「アルキル」、好ましくは、「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「C3-C8-シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」、「C3-C8-シクロアルキルアルキル」または「ヘテロシクロアルキルアルキル」を包含するものを指し、アセチルなどが挙げられる。
【0039】
「アシルアルキル」という用語は、アシル置換基を有するアルキル基を指し、2-アセチルエチルなどが挙げられる。
【0040】
「アシルアリール」という用語は、アシル置換基を有するアリール基を指し、2-アセチルフェニルなどが挙げられる。
【0041】
「アシルオキシ」という用語は、基−OC(O)Rであって、RがH、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「C3-C8-シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」、「アリールアルケニル」、「ヘテロアリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「ヘテロアリールアルキニル」、「C3-C8-シクロアルキルアルキル」または「ヘテロシクロアルキルアルキル」を包含するものを指し、アセチルオキシなどが挙げられる。
【0042】
「アシルオキシアルキル」という用語は、アシルオキシ置換基を有するアルキル基を指し、2-(エチルカルボニルオキシ)エチルなどが挙げられる。
【0043】
「アルコキシ」という用語は、基−O-Rであって、Rが「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールアルキル」または「ヘテロアリールアルキル」を包含するものを指す。好ましいアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、フェノキシなどが挙げられる。
【0044】
「アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ置換基を有するアルキル基を指し、メトキシエチルなどが挙げられる。
【0045】
「アルコキシカルボニル」という用語は、基−C(O)ORであって、Rが「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」または「ヘテロアルキル」を包含するものを指す。
【0046】
「アルコキシカルボニルアルキル」という用語は、アルコキシカルボニル置換基を有するアルキル基を指し、2-(ベンジルオキシカルボニル)エチルなどが挙げられる。
【0047】
「アミノカルボニル」という用語は、基−C(O)NRR’であって、RおよびR’が独立してH、アルキル、アリール、ヘテロアリール、「アリールアルキル」または「ヘテロアリールアルキル」であるものを指し、N-フェニルカルボニルなどが挙げられる。
【0048】
「アミノカルボニルアルキル」という用語は、アミノカルボニル置換基を有するアルキル基を指し、2-(ジメチルアミノカルボニル)エチル、N-エチルアセタミジル、N,N-ジエチルアセタミジルなどが挙げられる。
【0049】
「アシルアミノ」という用語は、基−NRC(O)R’であって、RおよびR’が独立してH、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「C3-C8-シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」、「アリールアルケニル」、「ヘテロアリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「ヘテロアリールアルキニル」、「シクロアルキルアルキル」または「ヘテロシクロアルキルアルキル」であるものを指し、アセチルアミノなどが挙げられる。
【0050】
「アシルアミノアルキル」という用語は、アシルアミノ置換基を有するアルキル基を指し、2-(プロピオニルアミノ)エチルなどが挙げられる。
【0051】
「ウレイド」という用語は、基−NRC(O)NR’R”であって、R、RおよびR”が独立してH、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「C3-C8-シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」、「アリールアルケニル」、「ヘテロアリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「ヘテロアリールアルキニル」、「シクロアルキルアルキル」または「ヘテロシクロアルキルアルキル」であるもの、およびR’およびR,”が、それらが結合している窒素原子と一緒になって場合によっては3-8員のヘテロシクロアルキル環を形成することができるものを指す。
【0052】
「ウレイドアルキル」という用語は、ウレイド置換基を有するアルキル基を指し、2-(N’-メチルウレイド)エチルなどが挙げられる。
【0053】
「カルバメート」という用語は、基−NRC(O)OR’であって、RおよびR’が、独立して「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「C3-C8-シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキルアリール」、「ヘテロアリールアルキル」、「アリールアルケニル」、「ヘテロアリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「ヘテロアリールアルキニル」、「シクロアルキルアルキル」または「ヘテロシクロアルキルアルキル」であるもの、および場合によってはRが水素であることもできるものを指す。
【0054】
「アミノ」という用語は、基−NRR’であって、RおよびR’が、独立してH、「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキルアリール」、「アルキルヘテロアリール」、「シクロアルキル」または「ヘテロシクロアルキル」であるもの、およびRおよびR’が、それらが結合している窒素原子と一緒になって場合によっては3-8-員のヘテロシクロアルキル環を形成することができるものを指す。
【0055】
「アミノアルキル」という用語は、アミノ置換基を有するアルキル基を指し、2-(1-ピロリジニル)エチルなどが挙げられる。
【0056】
「アンモニウム」という用語は、正に帯電した基−N+RR’R”であって、R、R’およびR’’が、独立して「アルキル」、「アルキルアリール」、「アルキルヘテロアリール」、「シクロアルキル」または「ヘテロシクロアルキル」であるもの、およびRおよびR’が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によっては3-8員のヘテロシクロアルキル環を形成することができるものを指す。
【0057】
「アンモニウムアルキル」という用語は、アンモニウム置換基を有するアルキル基を指し、1-エチルピロリジニウムなどが挙げられる。
【0058】
「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨード原子を指す。
【0059】
「スルホニルオキシ」という用語は、基−OSO2-Rであって、Rが「アルキル」、ハロゲンで置換した「アルキル」、例えば、−OSO2-CF3基、「アルケニル」、「アルキニル」、「C3-C8-シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」、「アリールアルケニル」、「ヘテロアリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「ヘテロアリールアルキニル」、「シクロアルキルアルキル」または「ヘテロシクロアルキルアルキル」から選択されるものを指す。
【0060】
「スルファメート」という用語は、基−OSO2-NRR’であって、RおよびR’が、独立してH、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「C3-C8-シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」、「アリールアルケニル」、「ヘテロアリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「ヘテロアリールアルキニル」、「C3-C8-シクロアルキルアルキル」または「ヘテロシクロアルキルアルキル」などから選択されるものを指す。
【0061】
「スルホニルオキシアルキル」という用語は、スルホニルオキシ置換基を有するアルキル基を指し、2-(メチルスルホニルオキシ)エチルなどが挙げられる。
【0062】
「スルホニル」という用語は、基「−SO2-R」であって、Rが「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」、ハロゲンで置換された「アルキル」、例えば、−SO2-CF3基、「アルケニル」、「アルキニル」、「C3-C8-シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」、「アリールアルケニル」、「ヘテロアリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「ヘテロアリールアルキニル」、「シクロアルキルアルキル」または「ヘテロシクロアルキルアルキル」から選択されるものを指す。
【0063】
「スルホニルアルキル」という用語は、スルホニル置換基を有するアルキル基を指し、2-(メチルスルホニル)エチルなどが挙げられる。
【0064】
「スルフィニル」という用語は、基「−S(O)-R」であって、Rが「アルキル」、ハロゲンで置換された「アルキル」、例えば、−SO-CF3基、「アルケニル」、「アルキニル」、「C3-C8-シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」、「アリールアルケニル」、「ヘテロアリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「ヘテロアリールアルキニル」、「C3-C8-シクロアルキルアルキル」または「ヘテロシクロアルキルアルキル」から選択されるものを指す。
【0065】
「スルフィニルアルキル」という用語は、スルフィニル置換基を有するアルキル基を指し、2-(メチルスルフィニル)エチルなどが挙げられる。
【0066】
「スルファニル」という用語は、基−S-Rであって、RがH、「アルキル」、ハロゲンで置換された「アルキル」、例えば、−S-CF3基、「アルケニル」、「アルキニル」、「C3-C8-シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」、「アリールアルケニル」、「ヘテロアリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「アルキニルヘテロアリール」、「シクロアルキルアルキル」または「ヘテロシクロアルキルアルキル」を包含するものを指す。好ましいスルファニル基としては、メチルスルファニル、エチルスルファニルなどが挙げられる。
【0067】
「スルファニルアルキル」という用語は、スルファニル置換基を有するC1-C5-アルキル基を指し、2-(エチルスルファニル)エチルなどが挙げられる。
【0068】
「スルホニルアミノ」という用語は、基−NRSO2-R’であって、RおよびR’が、独立して「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「C3-C8-シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」、「アリールアルケニル」、「ヘテロアリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「ヘテロアリールアルキニル」、「C3-C8-シクロアルキルアルキル」または「ヘテロシクロアルキルアルキル」であるものを指す。
【0069】
「スルホニルアミノアルキル」という用語は、スルホニルアミノ置換基を有するアルキル基を指し、2-(エチルスルホニルアミノ)エチルなどが挙げられる。
【0070】
「アミノスルホニル」という用語は、基−SO2-NRR'であって、RおよびR’が、独立してH、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「C3-C8-シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」、「アリールアルケニル」、「ヘテロアリールアルケニル」、「アリールアルキニル」、「ヘテロアリールアルキニル」、「C3-C8-シクロアルキルアルキル」または「ヘテロシクロアルキルアルキル」であるもの、およびRおよびR’が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によっては3-8員のヘテロシクロアルキル環を形成することができるものを指す。アミノスルホニル基としては、シクロヘキシルアミノスルホニル、ピペリジニルスルホニルなどが挙げられる。
【0071】
「アミノスルホニルアルキル」という用語は、アミノスルホニル置換基を有するアルキル基を指し、2-(シクロヘキシルアミノスルホニル)エチルなどが挙げられる。
【0072】
個々の置換基の定義によって束縛されない限り、「置換された」という用語は、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「C3-C8-シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アルキルアリール」、「アルキルヘテロアリール」、「アルキルシクロアルキル」、「アルキルヘテロシクロアルキル」、「アミノ」、「アミノスルホニル」、「アンモニウム」、「アシルアミノ」、「アミノカルボニル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「スルフィニル」、「スルホニル」、「アルコキシ」、「アルコキシカルボニル」、「カルバメート」、「スルファニル」、「ハロゲン」トリハロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロなどからなる群から選択される1-5個の置換基で置換された基を指す。
【0073】
「薬学上許容可能な塩または複合体」という用語は、下記のステロイドスルファターゼ阻害薬の塩または複合体を指す。このような塩の例としては、ステロイドスルファターゼ阻害薬とアルカリ金属(ナトリウム、カリウムまたはリチウム)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウムまたはマグネシウム)からなる群から選択されるような金属カチオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩のような有機または無機塩基とのまたは有機第一、第二または第三アルキルアミンとの反応によって形成される塩基付加塩が挙げられるが、これらに限定されない。メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、N-Me-D-グルカミン、N,N’-ビス(フェニルメチル)-1,2-エタンジアミン、トロメタミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルモルホリン、プロカイン、ピペリジン、ピペラジンなどに由来するアミン塩は、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0074】
無機酸(例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸など)で形成された酸付加塩、並びに酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パーム酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸およびポリガラクツロン酸のような有機酸で形成される塩も包含される。
【0075】
「薬学活性誘導体」とは、受容者に投与したときに、本明細書に開示されている活性を直接または間接的に提供することができる任意の化合物を指す。「間接的」という用語は、内在性酵素または代謝により活性形態の薬剤に転換することができるプロドラッグも包含する。このプロドラッグは、本発明に準じかつ化学的または代謝により分解できる基を有する早期子宮収縮抑制活性を示す化合物の誘導体、および生理条件下で加溶媒分解によりイン・ビボで薬学活性化合物に転換することができる化合物である。
【0076】
「早期子宮収縮」という用語は、分娩の開始が妊娠生存可能性(妊娠生存能)後で妊娠37週前に起こる疾患または症状を意味する「早期分娩」を包含する。それは、妊娠期間(典型的には20-37週間)前に子宮頸の漸進的消滅および拡張を行うのに十分な頻度および強度の子宮収縮の存在を特徴とする。幾つかの要因により早期分娩が起こることがあり、または例えば、子癇前症(毒血症または妊娠の高血圧としても知られる)、子宮頸または子宮の感染症(例えば、B群連鎖球菌、尿路感染症、膣感染症、胎児/胎盤組織の感染症)、頸部機能不全(妊娠中に子宮頸部が閉じた状態のままにすることができなくなる)、複合妊娠(双子、三つ子など)、母体の年齢(35歳を上回る)のような早期分娩状態の素因を構成することがある。従って、早期子宮収縮は、分娩機構が胎児の生存能獲得後に開始する疾患または状態の発現に相当する。この疾患または状態は、対照的に胎児の生存能獲得前に自発的に起こる流産とは生理学的、臨床的および病理学的に異なる。更に、流産は、通常は遺伝学的形成異常および/または自己免疫疾患によって引き起こされる。従って、早期子宮収縮の特殊な根源的機構および患者群は、流産疾患とは厳密に異なる疾患または状態にある。
【0077】
「ステロイドスルファターゼ阻害薬」(STS-I)という用語は、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害することができる化合物を意味する。詳細には、スルファターゼ阻害薬(STS-I)は、ステロイドスルファターゼ酵素を阻害することによって活性エストロゲンがその生物学的に不活性な硫酸化形態から形成されかつ活性アンドロゲンがその生物学的に不活性な硫酸化形態から形成されるのを防止する化合物として定義される。典型的には、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)とpH7.4および37°Cでインキュベーションするときには、本発明によるスルファターゼ阻害薬のアフィニティー定数(Km)の値は50mM未満となる。STS阻害活性は、例えば、WO96/15257号公報に記載の3Hエストロンスルフェートを用いて評価することができる。更に、STS阻害活性は、Purohit et al., 1999, J. Steroid Biochem.Mol.Biol.69 (1-6):227-238に記載されているような完全なJEG3絨毛癌細胞またはまたは胎盤ミクロソームを用いてエストロンスルファターゼ活性を阻害する能力によって評価することができる。他の分析法を用いて、STS活性およびSTS阻害を測定することができることに注目すべきである。例えば、WO99/50453号公報を参照することもできる。
【0078】
本発明の文脈で用いられる「阻害薬」という用語は、(例えば、早期子宮収縮の頻度および/または振幅を減少させることによって)収縮を完全にまたは部分的に抑制する分子として定義される。
【0079】
本明細書で用いられる「治療」および「治療する」などは、一般的には所望な薬理学的および生理学的効果を得ることを意味する。この効果は、その疾患、症状または状態の防止または部分的防止に関して予防的であることができ、および/または疾患、状態、症状またはその疾患に起因する副作用の部分的または完全な治癒に関して治療的であることができる。本明細書で用いられる「治療」という用語は、哺乳類、特にヒトの疾患のあらゆる治療を包含し、(a)疾患に罹りやすい可能性があるが、その疾患に罹っていると診断されたことのない被験者でその疾患が起こることの防止、(b)疾患の阻止、すなわちその進展の阻止、または疾患の緩和、すなわち疾患および/またはその症状または状態の退行が挙げられる。
【0080】
本明細書で用いられる「被験者」という用語は、哺乳類を指す。例えば、本発明によって考えられる哺乳類としては、ヒト、霊長類、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなどの家畜が挙げられる。
【0081】
化合物
早期子宮収縮の防止または治療用の薬剤の製造に用いられるステロイドスルファターゼ阻害薬は、ステロイドスルファターゼ酵素(E.C.3.1.6.2)を阻害することができる。本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬は、任意の適当な化合物でよい。ステロイドスルファターゼ阻害薬の例は、Horvath et al.,2005,上記;Nussbaumer et al.,2004,Medicinal Research Reviews 24(4),529-576;Poirier et al.,1999,Expert Opin. Ther. Patents, 9(8),1083-1099; Nussbaumer et al., 2003, Expert Opin. Ther. Patents, 13(5), 605-625およびReed et al., 2005, Endocrine Rev., 26(2), 171-202; Purohit et al., 1998, J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 64 (5):269-275に提示されている。
【0082】
一つの態様によれば、本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬はスルファメート基を含んでなる。この態様では、ステロイドスルファターゼ阻害薬はスルファメート化合物と呼ばれる。「スルファメート」という用語としては、スルファミン酸のエステルまたはスルファミン酸のN-置換誘導体のエステルが挙げられる。スルファメートの例は、Winum et al., 2005, Medicinal Research Reviews, 25(2), 186-228に提供されている。スルファメート基は、好ましくは下記の式(I)を有する。
【0083】
組成物
本発明は、早期子宮収縮の治療に有用なステロイドスルファターゼ阻害薬の医薬組成物を提供する。本発明は、更に、哺乳類患者、最も好ましくは早期子宮収縮を患っているヒト患者の治療方法を提供する。
【0084】
本発明による医薬組成物は、一種類以上のステロイドスルファターゼ阻害薬を本明細書に記載の任意の形態で含むことができる。本発明による組成物は、更にミョウバン、安定剤、抗微生物薬、緩衝剤、着色料、フレーバー剤、アジュバントなどのような一種類以上の薬学上許容可能な付加成分を含んでなることもできる。
【0085】
本発明による化合物は、通常用いられるアジュバント、キャリヤー、希釈剤または賦形剤と一緒に医薬組成物およびその単位投薬の形態とすることができ、またそのような形態において、錠剤または充填カプセルのような固形物、または溶液、懸濁液、エマルション、エリキシルまたはこれらのものを充填したカプセルのような液体であって、いずれも経口用として、または非経口(皮下など)用の滅菌した注射溶液の形態で用いることができる。このような医薬組成物およびその単位投薬形態は、追加の活性化合物または成分と共にまたはなしで成分を通常の比率で含んでなることができ、このような単位投薬形態は予定の用いられる1日投薬量範囲と同等の活性成分の任意の適当な有効量を含むことができる。本発明による組成物は、好ましくは注射可能なものである。
【0086】
本発明による組成物は、液体処方物であってもよく、水性または油性懸濁液、溶液、エマルション、シロップおよびエリキシルが挙げられるが、これらに限定されない。経口投与に適当な液体形態としては、緩衝剤、懸濁および分散剤、着色料、フレーバーなどを含む適当な水性または非水性ビヒクルが挙げられる。組成物は、使用前に水または他の適当なビヒクルで再構成するための乾燥生成物として処方することもできる。このような液体製剤は添加剤を含むことができ、懸濁剤、乳化剤、非水性ビヒクルおよび防腐剤が挙げられるが、これらに限定されない。懸濁剤としては、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/ショ糖シロップ、ゼラチンヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、および水素化食用脂肪が挙げられるが、これらに限定されない。乳化剤としては、レシチン、ソルビタンモノオレエートおよびアラビアゴムが挙げられるが、これらに限定されない。非水性ビヒクルとしては、食用油、アーモンド油、分留ココヤシ油、油性エステル、プロピレングリコールおよびエチルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。防腐剤としては、p-ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピルおよびソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。他の材料並びに加工手法などは、「レミントンの薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」,第21版,2005, University of the Sciences in Philadelphia, Lippincott Williams & Wilkinsに記載されており、その内容は、その開示の一部として本明細書に引用されている。
【0087】
本発明による固形組成物は、通常の方法で処方された錠剤またはロゼンジの形態とすることができる。例えば、経口投与用の錠剤およびカプセルは通常の賦形剤を含むことができ、結合剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤および湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されない。結合剤としては、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントゴム、澱粉の粘液およびポリビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されない。充填剤としては、ラクトース、ショ糖、微晶質セルロース、トウモロコシ澱粉、リン酸カルシウム、およびソルビトールが挙げられるが、これらに限定されない。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、およびシリカが挙げられるが、これらに限定されない。崩壊剤としては、ジャガイモ澱粉および澱粉グリコール酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。湿潤剤としては、ラウリン酸硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。錠剤は、当該技術分野で周知の方法に準じてコーティングすることができる。
【0088】
注射用組成物は、典型的には、注射用滅菌塩水またはリン酸緩衝塩水、または当該技術分野で知られている他の注射用キャリヤーに基づいている。
【0089】
本発明による組成物は、座薬として処方することもでき、カカオ脂またはグリセリドなどこれらに限定されない座薬基剤を含むことができる。本発明による組成物は、吸入用に処方することもでき、乾燥粉末として投与することができる溶液、懸濁液またはエマルションなどこれらに限定されない形態またはジクロロジフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタンのような噴射剤を用いるエアゾールの形態とすることができる。本発明による組成物は、クリーム、軟膏、ローション、ペースト、薬用硬膏、パッチまたは膜などこれらに限定されない水性または非水性ビヒクルを含んでなる経皮処方物とすることもできる。
【0090】
本発明による組成物は、注射または連続輸液などこれらに限定されない非経口投与用に処方することもできる。注射用処方物は、油性または水性ビヒクルの懸濁液、よまたはエマルションの形態とすることができ、懸濁、安定化および分散剤などこれらに限定されない処方剤を含むことができる。この組成物は、滅菌した発熱物質不含水などこれに限定されない適当なビヒクルで再構成するための粉末形態で提供することもできる。
【0091】
本発明による組成物は、蓄積製剤として処方することもでき、これは移植によってまたは筋肉内注射によって投与することができる。この組成物は、適当なポリマー性または疎水性材料(例えば、許容可能な油のエマルションとして)、イオン交換樹脂、または貧溶性誘導体(例えば、貧溶性塩として)を用いて処方することができる。
【0092】
本発明による組成物は、リポソーム製剤として処方することもできる。このリポソーム製剤は、関心のある細胞または角質層を透過し、細胞膜と融合するリポソームを含んでなり、リポソームの内容物を細胞中に放出することができる。他の適当な処方物は、ニオソーム(niosomes)を用いることができる。ニオソームは、大部分が非イオン性脂質からなる膜を有するリポソームに類似した脂質小胞であり、それらの形態によっては、化合物を角質層を横切って輸送するのに有効である。
【0093】
本発明による化合物は、徐放形態でまたは徐放性薬放出系から投与することもできる。典型的な徐放材料の説明は、「レミントンの薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」に組み入れられている材料に見出すこともできる。
【0094】
投与様式
本発明による組成物は、経口、非経口、舌下、経皮、膣、直腸、経粘膜、局所、吸入、バッカルまたは鼻内投与などこれらに限定されない任意の方法で投与することができる。非経口投与としては、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鞘内および関節内が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
本発明による組成物は、インプラントの形態で投与することもでき、これにより組成物の遅延放出並びに遅く制御された静脈内輸液が可能になる。好ましい態様では、本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬は、経口投与される。
【0096】
本発明を下記の実施例によって更に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を如何なる点においても制限しようとするものではない。
【0097】
個体に単一または複合用量として投与される投薬量は、薬物動態特性、患者の状態および特徴(性別、体重、健康、大きさ)、症状の程度、平行治療、治療の頻度、および所望な効果によって変化する。
【0098】
組み合わせ
本発明によれば、ステロイドスルファターゼ阻害薬およびその医薬処方物は単独で、または早期分娩の治療および/または防止に有用な物質のような早期子宮収縮の治療に有用な助剤と組み合わせて投与することができ、助剤は、例えばオキシトシン受容体阻害薬(例えば、アトシバン)およびプロゲステロンまたはプロゲスチン、β2作動薬(例えば、リトドリン)、シクロオキシゲナーゼ阻害薬(例えば、インドメタシン)、カルシウムチャンネル遮断薬(例えば、ニフェジピン)または抗生物質のような早産防止薬から選択される。
【0099】
本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬またはその医薬処方物の投与であって、ステロイドスルファターゼ阻害薬またはその医薬処方物の投与であって、ステロイドスルファターゼ阻害薬またはその医薬処方物を、早期子宮収縮の治療(例えば、複合薬療法)に有用な他の治療法または助剤の前に、と同時に、またはと連続して治療上有効量で個体に投与することを包含する。上記助剤と同時に投与するステロイドスルファターゼ阻害薬またはその医薬処方物は、同一または異なる(複数の)組成物で、同一または異なる(複数の)投与経路によって投与することができる。
【0100】
患者
一態様では、本発明による患者は、早期子宮収縮の患者である。
【0101】
もう一つの態様では、本発明による患者は、早期分娩の患者である。
【0102】
もう一つの態様では、本発明による患者は、多胎妊娠、早期分娩の病歴、前記破水、妊娠の高血圧性疾患、胎内発育遅延、分娩前出血、羊水過多、子宮頸機能不全および子宮形成異常の患者のような早期分娩をもたらすハイリスクを有する患者である。
【0103】
本発明による使用
一態様では、本発明は、早期子宮収縮に関連した疾患または病気の治療または予防用の医薬組成物の調製のためのステロイドスルファターゼ阻害薬、並びに薬学上許容可能な塩またはその薬学活性誘導体の使用を提供する。
【0104】
もう一つの態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬がスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0105】
更にもう一つの態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I) のスルファメートである、本発明による使用が提供される:
【化1】

(上記式中、
R1およびR2は、H、場合によって置換されたC1-C6アルキル、場合によって置換されたC2-C6アルケニル、場合によって置換されたC2-C6アルキニル、場合によって置換されたアルコキシ、場合によって置換されたC3-C8-シクロアルキル、場合によって置換されたヘテロシクロアルキル、場合によって置換されたアシル、場合によって置換されたアリール、場合によって置換されたヘテロアリール、場合によって置換されたC1-C6アルキルアリール、場合によって置換されたC1-C6アルキルヘテロアリール、場合によって置換されたC1-C6アルキルC3-C8-シクロアルキル、場合によって置換されたC1-C6アルキルヘテロシクロアルキル、場合によって置換されたアリールC1-C6アルキル、場合によって置換されたヘテロアリールC1-C6アルキル、場合によって置換されたC3-C8-シクロアルキルC1-C6アルキルおよび場合によって置換されたヘテロシクロアルキルC1-C6アルキルから独立して選択され、またはR1およびR2は一緒になって場合によって置換されたC2-C6アルケニル基を形成し、R3は式(II)、(III)および(IV)
【化2】

(上記式中、
R4およびR5は、H、ハロゲン、ニトロ、場合によって置換されたアミノ、場合によって置換されたスルファニル(例えば、SCH3またはSC2H5)、場合によって置換されたアシル、場合によって置換されたメトキシのような場合によって置換されたアルコキシ、場合によって置換されたチオアルキル、場合によって置換されたC1-C6アルキル、例えば、場合によって置換されたエチル(例えば、C2H5)、場合によって置換されたハロゲノメチル(例えば、CF2H)のような場合によって置換されたメチル、場合によって置換されたC2-C6アルケニル、場合によって置換されたメトキシメチルのような場合によって置換されたアルコキシアルキル、場合によって置換されたアミノアルキル、場合によって置換されたC3-C8-シクロアルキル、および場合によって置換されたアリールから独立して選択され、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、H、OH、ハロゲン、および場合によって置換されたメチルのような場合によって置換されたC1-C6アルキルから独立して選択され、R15は、H、OH、ハロゲン、スルファメート、および場合によって置換されたメチルのような場合によって置換されたC1-C6アルキルから選択され、R16、R17およびR18は、H、OH、ハロゲン、場合によって置換されたC1-C6アルキル、場合によって置換されたC2-C6アルケニル、場合によって置換されたアルコキシ、場合によって置換されたアシルアミノ、場合によって置換されたアミノ、および場合によって置換されたスルホニルから独立して選択され、R19およびR20は、H、OH、ハロゲン、場合によって置換されたメチル(例えば、4-メチル、3,4-ジメチル)および場合によって置換されたプロピルのような場合によって置換されたC1-C6アルキル、場合によって置換されたC2-C6アルケニル、場合によって置換されたアルコキシ、場合によって置換されたアシルアミノ、場合によって置換されたアミノ、および場合によって置換されたスルホニルから独立して選択されるか、またはR19およびR20は一緒になって場合によって置換されたC3-C14-シクロアルキル環を形成し、R21はHおよび場合によって置換されたC1-C6アルキルから選択され、R22およびR23は、H、OH、ハロゲン、場合によって置換されたC1-C6アルキルから独立して選択され、Dは場合によって置換されたC3-C8-シクロアルキルおよび場合によって置換されたヘテロシクロアルキルから選択される場合によって置換された環であり、XはO、NR21およびCR22R23から選択される)の群からから選択される基である)。
【0106】
一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R1およびR2は、Hおよび場合によって置換されているC1-C6アルキルから独立して選択される)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0107】
具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R1およびR2の少なくとも一方はHである)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0108】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R1およびR2のそれぞれがHである)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0109】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(II)である)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0110】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は、式(II’) のスルファメートである、本発明による使用を提供する:
【化3】

(上記式中、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、上記に記載した通りであり、R24およびR25は、H、OH、ハロゲン、場合によって置換されているC1-C6アルキル、場合によって置換されているC2-C6アルケニル、場合によって置換されているアルコキシ、場合によって置換されているアシルアミノ、場合によって置換されているアミノ、および場合によって置換されているスルホニルから独立して選択され、Yは、場合によって置換されているアシル、場合によって置換されているアルコキシ、-C(O)-、場合によって置換されているC2-C6アルキル、場合によって置換されているC2-C6アルケニル、場合によって置換されているC2-C6アルキニル、C=N-OR29およびCR26R27から選択され、R26およびR27は、H、OH、ニトリル、場合によって置換されているスルファメート、場合によって置換されているアルコキシ、場合によって置換されているカルボニル、場合によって置換されているアミノ、場合によって置換されているニトリル、場合によって置換されているC1-C6アルキル、場合によって置換されているC2-C6アルケニル、場合によって置換されているアリール、場合によって置換されているヘテロアリール、場合によって置換されているフェニルC1-C6アルキル(例えば、4-第三ブチルフェニルメチルのようなアルキルフェニルメチル、3-ブロモフェニルメチルのようなハロゲノフェニルメチル、フェニルメチル)のような場合によって置換されているアリールC1-C6アルキル、場合によって置換されているアミノカルボニル、場合によって置換されているアシルアミノ、場合によって置換されているアルコキシカルボニル、および場合によって置換されているスルホニルオキシから独立して選択され、R29はH、場合によって置換されているC1-C6アルキルおよび場合によって置換されているカルボニルから選択される)である)。
【0111】
更にもう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は、式(II’’) のスルファメートである、本発明による使用を提供する:
【化4】

(上記式中、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14およびR25は、上記で定義した通りであり、R28は、H;OH;場合によって置換されているメチル、場合によって置換されているエチル、場合によって置換されているプロピル、場合によって置換されているペンチル(例えば、n-ペンチル、ブロモペンチル)、場合によって置換されているヘキシルのような場合によって置換されているC1-C6アルキル、プロピレニルのような場合によって置換されているC2-C6アルケニル、場合によって置換されているベンジル(ベンジル,4-t-ブチルベンジル)のような場合によって置換されているアリールC1-C6アルキル、場合によって置換されているピリジンメチル(例えば、(3-ピリジニル)メチル)のような場合によって置換されているヘテロアリールC1-C6アルキル、場合によって置換されているシクロプロピルメチルのような場合によって置換されているC3-C8-シクロアルキルC1-C6アルキル、場合によって置換されているアリール、場合によって置換されているヘテロアリール、場合によって置換されているC3-C8-シクロアルキル、および場合によって置換されているヘテロシクロアルキルから選択される)である)。
【0112】
更にもう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は、式(II’’’) のスルファメートである、本発明による使用を提供する:
【化5】

(上記式中、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R24およびR25は、上記で定義した通りであり、XはNおよびOから選択される)である)。
【0113】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は、式(III)である)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0114】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は、式(III’) のスルファメートである、本発明による使用を提供する:
【化6】

(上記式中、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R24およびR25は、上記で定義した通りであり、ZはCR30であり、R30はHおよび場合によって置換されているC1-C6アルキルから選択される)である)。
【0115】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(IV)である)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0116】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は、式(IV’) のスルファメートである、本発明による使用を提供する:
【化7】

(上記式中、R16、R17およびR18は、上記で定義した通りであり、nは、3-14、特に3-10、例えば3-5から選択される整数である)である)。
【0117】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3が式(IV’)であり、R16、R17およびR18は、上記で定義した通りであり、nは5である)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0118】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13はHである)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0119】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(II)または(III)であり、R14は場合によって置換されているC1-C6アルキルである)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0120】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(II)または(III)であり、R14はメチルである)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0121】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(II’)であり、Yは-C(O)-、C(OH)R27およびCHR27から選択される)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0122】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(II’’)であり、R28は場合によって置換されているC1-C6アルキルおよび場合によって置換されているC2-C6アルケニルから選択される)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0123】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(II’’)であり、R28はHである)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0124】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(III’)であり、R15は場合によって置換されているアルコキシである)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0125】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(III’)であり、R15はメトキシである)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0126】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(IV)であり、R16、R17およびR18はHである)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0127】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(IV’)であり、nは3-7から選択される)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0128】
もう一つの具体的態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(IV’)であり、nは3-5から選択される整数である)のスルファメートである、本発明による使用を提供する。
【0129】
具体的態様では、本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬としては、特に、式(I)(上記式中、R3は式(II’)であり、下記の群
【化8】

から選択される)のものが挙げられる。
【0130】
もう一つの具体的態様では、本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬としては、特に式(I)(上記式中、R3は式(II’’)であり、下記の群
【化9】

から選択される)のものが挙げられる。
【0131】
もう一つの具体的態様では、本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬としては、特に、式(I)(上記式中、R3は、下記の化合物
【化10】

の式(III’)である)のものが挙げられる。
【0132】
もう一つの具体的態様では、本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬としては、特に、式(I)(上記式中、R3は式(IV’)であり、下記の群
【化11】

から選択される)のものが挙げられる。
【0133】
もう一つの態様では、本発明は、患者の早期子宮収縮を防止または治療する方法を提供する。この方法は、ステロイドスルファターゼ阻害薬、またはその薬学上許容可能な塩または薬学活性誘導体をそれを必要とする患者に投与することを含んでなる。
【0134】
もう一つの態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬がスルファメートである、本発明による方法を提供する。
【0135】
もう一つの態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬が式(I)によるスルファメートである、本発明による方法を提供する。
【0136】
もう一つの態様では、本発明は、早期子宮収縮の治療または予防に用いるためのステロイドスルファターゼ阻害薬、並びにその薬学上許容可能な塩および薬学活性誘導体を提供する。
【0137】
もう一つの態様では、本発明は、早期子宮収縮疾患が早期分娩である、本発明による使用、ステロイドスルファターゼ阻害薬、または方法を提供する。
【0138】
もう一つの態様では、本発明は、ステロイドスルファターゼ阻害薬を子宮収縮の治療に有用な助剤と組み合わせて投与する、本発明による使用、ステロイドスルファターゼ阻害薬、または方法を提供する。
【0139】
本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬は、その互変異性体、その幾何異性体、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体およびそのラセミ体形態、並びにその薬学上許容可能な塩も含んでなる。
【0140】
本明細書に引用されている文献の内容は、それらの全体を参照することによって、その開示の一部として本明細書に引用されている。本発明は、本発明の個々の側面の単なる実例と解釈される本明細書に記載の特定態様によって範囲が限定されるものではなく、機能的に同等の方法および成分は本発明の範囲内にある。実際に、本明細書に示され記載された内容に加えて、本発明の様々な修飾は、上記の説明と添付の図面から当業者には明らかになるであろう。このような修飾は、特許請求の範囲内にあるものと解釈される。
【0141】
ステロイドスルファターゼ阻害薬の合成
ステロイドスルファターゼ阻害薬は、当業者に知られている方法および手法を用いて、容易に入手可能な材料から調製することができる。典型的なまたは好ましい実験条件(すなわち、反応温度、時間、試薬のモル数、溶媒など)が与えられれば、他の実験条件も特に断らない限り用いることができるものと理解される。最適反応条件は用いられる特定の反応物または溶媒と共に変化する可能性があるが、このような条件は、当業者によって日常の最適化手続きを用いて決定することができる。ステロイドスルファターゼ阻害薬の化合物、および特にスルファメートを得るための合成方法は、WO2007/099304号公報、WO04/085459号公報、WO03/033518号公報、WO96/05216号公報、Woo et al., 2000,Chemistry & Biology, 7(10), 773-791、Fischer et al., 2003,Biorg Med Chem, 1685、Leese et al., 2005, J. Med. Chem., 48, 5243-5256、およびHorwarth et al., 1994, J. Med. Chem.,37, 219-221に記載されている。
【0142】
上記の合成方法が本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬および/または必要な中間体を得るのに応用できないときには、当業者に知られている適当な調製方法を用いるべきである。一般的には、任意の個々のステロイドスルファターゼ阻害薬の合成経路は、それぞれの分子の特定の置換基および必要な中間体の入手の容易さによって変化し、また、そのような因子は当該技術分野で通常の技術を有する者によってよく理解されている。総ての保護および脱保護法については、Philip J. Kocienski, 「保護基(Protecting Groups)」,Georg Thieme Verlag Stuttgart, 2005およびTheodora W. Greene and Peter G. M. Wuts「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」,Wiley
Interscience,第4版,2006を参照されたい。本発明による化合物は、溶媒分子に関連して適当な溶媒を蒸発させて結晶させることによって単離することができる。塩基性中心を含むステロイドスルファターゼ阻害薬の薬学上許容可能な酸付加塩は、通常の方法で調製することができる。例えば、遊離塩基の溶液を、ニートまたは適当な溶液の適当な酸で処理して、生成する塩を濾過または反応溶媒の真空留去によって単離することができる。薬学上許容可能な塩基付加塩は、同様の方法でステロイドスルファターゼ阻害薬の溶液を適当な塩基で処理することによって得ることができる。両タイプの塩は、イオン交換樹脂技術を用いて形成させまたは相互転換させることができる。
【0143】
以下において、本発明を幾つかの実施例によって例示するが、これらの実施例は本発明の範囲を制限するものと見るべきではない。
【0144】
下記の略号は、それぞれ下記の定義を指す。
dGA(在胎齢の日数)、h(時間)、IM(筋肉内)、i.g.r(胃内)、i.v.(静脈内)、kg(キログラム)、MBq(メガベクレル)、μm(マイクロメーター)、mg(ミリグラム)、min(分)、mU(ミリ単位)、p.c.(交尾後)、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)、AF(羊水)、CRF(副腎皮質刺激ホルモン放出因子)、DHEAS(デヒドロエピアンドロステロンスルフェート)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、E1S(エストロンスルフェート)、IP(イメージングプレート)、LC(液体クロマトグラフィー)、MS(質量分析法)、OT(オキシトシン)、PBMC(末梢血単核球)、STS(ステロイドスルファターゼ)、STS-I(ステロイドスルファターゼ阻害薬)。
【0145】
実施例1:胎盤関門通過能測定
本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬が胎盤関門を通過する能力を、下記のようにして検討した。この分析法は、閉経後または子宮摘出女性のエストロゲン欠損症に関連した症状の治療に用いられる本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬(エストラジオールスルファメートまたはE2MATE)を用いて行った。
【0146】
6匹の雌アルビノラットに、14C標識したエストラジオールスルファメート0.47mg/kgの単回静脈内ボーラス用量を投与した。6匹の雌アルビノ、3匹の妊娠したアルビノおよび4匹の雌色素沈着ラットに、胃内用量として1mg/kgの14C標識したエストラジオールスルファメートを投与した。動物を、様々な時点で屠殺した(雌アルビノi.v.:15min,1h,3h,7h,1dayおよび7day;雌アルビノi.g.:15min,lh,3h,7h,1dayおよび7day;妊娠(18dayp.c.)アルビノi.g.:1h,7hおよび1day、および雌色素沈着i.g.:1h,1day,7dayおよび14day-メラニンを含む構造への結合は7dayの動物では全く見られなかったので、14dayの動物はセクショニングから除いた)。動物を、ヘキサンとドライアイスの混合物中で堅く冷凍し、カルボキシメチルセルロースのブロックに埋設し、約-20°Cで冷凍保存した。外部標準をラジオルミノグラムの半定量評価に用い、赤血球濃縮物に様々な濃度の14C-放射能を加えて調製した。小孔を別ブロックのカルボキシメチルセルロースに開け、外部標準を満たし、約-20°Cで冷凍した。50μmの厚さの全身矢状切断をそれぞれの動物と外部標準ブロックからLeica CM3600冷凍ミクロトームを用いて採取した。断片をクリオスタット中で48時間の最小時間凍結乾燥した後、それらをイメージングプレート(IP)に4-24時間暴露し、IPをバイオイメージングアナライザーBAS2000を用いて掃引した。評価のため、外部標準試料をソフトウェアAIDA(Advanced Image Data Analysis, version 3.10、Raytest、ドイツ)を用いてそれぞれの色が特定の放射能活性濃度(MBq)を表す着色スケールに関連づけした。様々な組織を外部標準と半定量的に比較し、濃度範囲を決定した。
【0147】
妊娠したアルビノ動物の放射性同位元素標識の分布は、胃内投与後の雌アルビノラットにおける分布と同様であった。投与後1hでは、14C-濃度は妊娠動物で若干高く、7h後の包括放射性同位元素標識濃度は非妊娠動物より低く、胎児、胎児肝臓および胎盤での14C-放射性同位元素標識濃度は、投与後1hでは高い範囲にあった。乳腺および胚膜は、中程度の濃度を示した。投与後7hおよび1dayでは、14C-濃度は減少したが、それでもまだ高めの低濃度と低めの高範囲濃度の間であった。
【0148】
このことは、本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬(エストラジオールスルファメートまたはE2MATE)および/またはその主要代謝物である本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬(エストロンスルファメートまたはE1MATE)が胎盤関門を可逆的に通過したことを示唆し、早期子宮収縮の防止/治療における有効性な本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬の局所的利用可能性を支持している。
【0149】
実施例2:ラットの発生上の毒性
妊娠ラットの妊娠中の胎児発生において引き起こされる、無影響またはわずかな影響を測定することによる、本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬の使用の安全性は、下記のとおり検討することができる。
【0150】
ラットの胚および胎児発生についての本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬(エストラジオールスルファメートまたはE2MATE)の効果を、器官形成期中(妊娠から6-17日後)に投与したときに検討した。それぞれ20匹の時間交配した雌Sprague-Dawleyラット4群に、妊娠の6日目から17日目までエストラジオールスルファメート0(コントロール)、7.5、22または60μg/kg/日を投与した。もう1群の20匹の雌には、エチニルエストラジオールを80μg/kg/日を投与しておよびポジティブコントロールとした。
【0151】
臨床観察、体重および食餌消費を記録し、妊娠の進行および成果を妊娠20日目に評価した。異常および変動を評価するための胎児病理学を、総ての胎児に行った。
【0152】
雌毒性についてのエストラジオールスルファメートの最大無作用量(NOEL)は、約7.5μg/kg/日と考えられた。高用量における観察された雌毒性は、食餌消費量の減少およびそれに伴う妊娠中の体重増加の減少に限定された。
【0153】
本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬(エストラジオールスルファメートまたはE2MATE)約22μg/kg/日およびエチニルエストラジオール(ポジティブコントロール)約80mcg/kg/日では、胎児に幾分か微小な効果が見られたが、催奇形性作用は見られなかった。
【0154】
従って、胎児発生についてのエストラジオールスルファメートの無毒性量(NOAEL)は、約22μg/kg/日と考えられた。
【0155】
実施例3:ウサギの発生毒性
妊娠ウサギの妊娠中の胎児発生において引き起こされる、無影響またはわずかな影響を測定することによる、本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬の使用の安全性は、下記のとおり検討することができる。
【0156】
器官形成期(妊娠の6-18日目)中に投与したときの本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬(エストラジオールスルファメートまたはE2MATE)の胚および胎児発生についての効果。それぞれ20-25匹の時間交配した雌のNew Zealand Whiteウサギ4群に、0(コントロール)、5、15または50μg/kg/日を妊娠の6日目から18日目まで投与した。もう1群の20匹の雌ウサギには、エチニルエストラジオール50μg/kg/日を投与し、ポジティブコントロールとした。臨床観察、体重および食餌消費を記録し、妊娠の進行および成果を妊娠28日目に評価した。異常および変動を評価するための胎児病理学を、総ての胎児に行った。
【0157】
母体毒性についての無毒性量は、約5μg/kg/日と考えられた。高用量における用量関連母体効果は、体重増加および食餌消費量の減少を特徴とし、これらに限定された。エストラジオールスルファメートは、この検討ではエチニルエストラジオール(ポジティブコントロール)よりも一般的に雌による良好な耐性が示された。従って、E2MATEで治療した後の胚胎発生についての無毒性量(NOAEL)は、約15μg/kg/日と考えられた。
【0158】
実施例4:OTによって誘発される子宮収縮の抑制
本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬を、下記の分析法で早期分娩の抑制および/または減少におけるそれらの活性を試験し、特に妊娠アカゲザルにおける作用の開始/期間およびOT誘発子宮収縮の遮断に影響する有効血漿濃度を確立した。
【0159】
妊娠サルにおける薬物動態および薬力学
3匹の妊娠アカゲザルにジャケット(約55dGA)およびカテーテル保護装置(約70dGA)を外科的に取り付ける。胎児の血行力学を約75-79dGA、および約86dGA、約113-115dGA、約129-131dGA、約141-143dGA、約157-159dGAおよび約165-175dGAの全検討期間中ドップラー超音波検査法により記録し、ケタミン注射(10-20mg,i.v.)を用いて経口投与中軽度鎮静した後、100mgIM注射を標準的超音波処理(45min)の目的で行う。
【0160】
約80dGAにおいて、本発明によるステロイドスルファターゼ阻害薬(エストラジオールスルファメートまたはE2MATE)を、約0.2または1または4mg/kgの投薬量で単回投与する。最小限の洗浄期間の14日間が観察される。
【0161】
約100dGAにおいて、エストラジオールスルファメートの経口投与を、次に約160dGA(例えば、156dGA)まで2回/週(約4日毎)繰り返す。単回投与、反復投与の第1日および最終日に続いて5日間にわたって(またはt1/2に基づいて更に長期間)頻繁血液採取(frequent blood sampling)を行う。血液採取(3mL)、エストロンスルファメート/エストロンスルファメート全血暴露(全血はEDTAをコーティングした管に集めた)の分析とPBMC中のSTS活性の投薬量との間のスプリット(split)、およびステロイドパネルを行う。定期的非侵襲性胎児モニタリングを行う(すなわち、心臓血管の血行力学およびドップラー超音波による成長測定)。定期的頸部検査/スワブを、総ての検討中は行う。帝王切開による分娩を、160dGAにおいて行う(血液、羊水および組織を集める)。
【0162】
下記のパラメーターを測定する:
LC-MS/MSによる全血中のエストラジオールスルファメートおよびその主要な活性代謝物であるエストロンスルファメートの母体レベル(帝王切開では胎児レベル)、
ラジオアッセイ測定(下記のようなデュアルモード(3H/14C)での液体シンチレーション計数法によって測定した母体PBMC(帝王切開における胎児レベル)におけるSTS阻害活性):すなわち、STSによるエストロンスルフェートからエストロンへの転換を液体シンチレーション計数法によって測定した。STS活性を、存在する細胞の数および試料のタンパク質含量に関連付けた。細胞は、DNAシグナルを細胞数に相関させる蛍光分析法によって計数し、タンパク質含量はBradford法(Bradford, 1976,Anal. Biochem., 72, 248)によって測定した。STS活性は、トリチウム標識したエストロンスルフェートを試料に添加することによって評価した。インキュベーションの後、 転換したエストロン(放射能標識したまま)を有機シンチレーションカクテルによって抽出し、残っているエストロンスルフェートは水性試料に留まった。抽出前に、内部標準として14C-エストロンを加えた。
【0163】
エストロン活性は、液体シンチレーションによって測定した。
ホルモンによってELISA、LC-MS/MSまたはラジオイムノアッセイによるアンドロステンジオン、DHEA-S、DHEA、エストラジオール、エストロン、プロゲステロン、コルチゾール(帝王切開における胎児および羊水)のような母体ステロイドパネル、
それぞれ、ラジオアッセイ測定およびLC-MS/MSによるSTS活性およびエストラジオールスルファメートおよびその主要な活性代謝物であるエストロンスルファメートレベル(帝王切開時)についての胎盤組織分析、
STS活性 エストラジオールスルファメートおよびその主要な活性代謝物であるエストロンスルファメートレベル(帝王切開時)についての胎児組織(例えば、肝臓)および妊娠組織分析。
【0164】
妊娠サルにおける薬物動態およびオキシトシン感受性
上記と同じ実験プロトコルを行い、オキシトシン(OT)感受性チャレンジを、OT貯蔵希釈液(stock dilution)の輸液速度(10mU/ml)を増加させることによって得られる増加用量のOTを用いて約75-79dGAで行う:2mU/kg/hでのOT輸液,2ml/h輸液速度(30分);4mU/kg/hでのOT輸液,4ml/h輸液速度(30分);8mU/kg/hでのOT輸液,8ml/h輸液速度(30分);16mU/kg/hでのOT輸液,16ml/h輸液速度(30分);32mU/kg/hでのOT輸液,32ml/h輸液速度(30分);64mU/kg/hでのOT輸液,64ml/h輸液速度(30分)。
【0165】
約80dGAにおいて、エストラジオールスルファメートの経口単回用量約1mg/kgを投与する。最小14日の洗浄期間が観察される。
【0166】
約95dGAにおいて、オキシトシン(OT)感受性チャレンジを、上記と同様にして行う。約100dGAにおいて、エストラジオールスルファメートの経口単回用量1mg/kgを投与する。最小14日の洗浄期間が観察される。このプロトコル(OTチャレンジに続いて、OTチャレンジの約6日後にエストラジオールスルファメートの投与および約14日間の洗浄期間)を起源まで繰り返す。
【0167】
実施例1に記載したのと同じパラメーターが得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
早期子宮収縮に関連した疾患または病気の治療または予防用の医薬組成物の調製のためのステロイドスルファターゼ阻害薬、並びに薬学上許容可能な塩またはその薬学活性誘導体の使用。
【請求項2】
ステロイドスルファターゼ阻害薬がスルファメートである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)
【化1】

(上記式中、
R1およびR2は、H、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、アルコキシ、C3-C8-シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アシル、アリール、ヘテロアリール、C1-C6アルキルアリール、C1-C6アルキルヘテロアリール、C1-C6アルキルC3-C8-シクロアルキル、C1-C6アルキルヘテロシクロアルキル、アリールC1-C6アルキル、ヘテロアリールC1-C6アルキル、C3-C8-シクロアルキルC1-C6アルキルおよびヘテロシクロアルキルC1-C6アルキルから独立して選択され、またはR1およびR2は一緒になってアルケニル基を形成し、R3は式(II)、(III)および(IV)
【化2】

(上記式中、
R4およびR5は、H、ハロゲン、ニトロ、アミノ、スルファニル、アシル、チオアルキル、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル;アルコキシ;アルコキシアルキル、アミノアルキル、C3-C8-シクロアルキル、およびアリールから独立して選択され、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、H、OH、ハロゲンおよびC1-C6アルキルから独立して選択され、R15は、H、OH、ハロゲン、スルファメートおよびC1-C6アルキルから選択され、R16、R17およびR18は、H、OH、ハロゲン、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、アルコキシ、アシルアミノ、アミノおよびスルホニルから独立して選択され、R19およびR20は、H、OH、ハロゲン、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、アルコキシ、アシルアミノ、アミノおよびスルホニルから独立して選択されるか、またはR19およびR20は一緒になってC3-C14-シクロアルキル環を形成し、R21はHおよびC1-C6アルキルから選択され、R22およびR23は、H、OH、ハロゲン、C1-C6アルキルから独立して選択され、DはC3-C8-シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから選択される環であり、XはO、NR21およびCR22R23から選択される)の群からから選択される基である)
のスルファメートである、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R1およびR2はHおよびC1-C6アルキルから独立して選択される)のスルファメートである、請求項1−3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R1およびR2の少なくとも一方がHである)のスルファメートである、請求項1−4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3が式(II)を有する)のスルファメートである、請求項1−5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3が、式(II’)
【化3】

(上記式中、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、上記請求項のいずれか一項に記載した通りであり、R24およびR25は、H、OH、ハロゲン、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、アルコキシ、アシルアミノ、アミノおよびスルホニルから独立して選択され、Yは、アシル、アルコキシ、-C(O)-、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C=N-OR29およびCR26R27から選択され、R26およびR27は、H、OH、ニトリル、スルファメート、アルコキシ、カルボニル、アミノ、ニトリル、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アリールC1-C6アルキル、アミノカルボニル、アシルアミノ、アルコキシカルボニルおよびスルホニルオキシから独立して選択され、R29はH、C1-C6アルキルおよびカルボニルから選択される)を有する)
のスルファメートである、請求項1−6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3が、式(II’’)
【化4】

(上記式中、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14およびR25は、上記請求項のいずれか一項に記載した通りであり、R28は、H、OH、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、アリールC1-C6アルキル、ヘテロアリールC1-C6アルキル、場合によって置換されているシクロプロピルメチルのような場合によって置換されているC3-C8-シクロアルキルC1-C6アルキル、場合によって置換されているアリール、場合によって置換されているヘテロアリール、場合によって置換されているC3-C8-シクロアルキル、および場合によって置換されているヘテロシクロアルキルから選択される)を有する)のスルファメートである、請求項1−6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は、式(II’’’)
【化5】

(上記式中、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R24およびR25は上記請求項のいずれか一項に記載した通りであり、XはNおよびOから選択される)を有する)のスルファメートである、請求項1−6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(III)を有する)のスルファメートである、請求項1−5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
R3が、式(III’)
【化6】

(上記式中、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R24およびR25は上記請求項のいずれか一項に記載した通りであり、ZはCR30であり、R30はHおよびC1-C6アルキルから選択される)を有する、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR13はHである)のスルファメートである、請求項1−11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R14はC1-C6アルキルである)のスルファメートである、請求項1−12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(IV)を有する)のスルファメートである、請求項1−5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
R3が式(IV’)
【化7】

(上記式中、R16、R17およびR18上記請求項のいずれか一項に記載した通りであり、nは3-14から選択される整数である)を有する、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
ステロイドスルファターゼ阻害薬が、式(I)(上記式中、R3は式(II’)を有し、Yは-C(O)-、C(OH)R27およびCHR27から選択され、R27は上記請求項のいずれか一項に記載した通りである)のスルファメートである、請求項1−7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
nが、3-5から選択される整数である、請求項15に記載の使用。
【請求項18】
患者の早期子宮収縮を防止または治療する方法であって、ステロイドスルファターゼ阻害薬またはその薬学上許容可能な塩または薬学活性誘導体を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる、方法。
【請求項19】
ステロイドスルファターゼ阻害薬がスルファメートである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
早期子宮収縮疾患が早産である、請求項1−17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項21】
ステロイドスルファターゼ阻害薬が、子宮収縮の治療に有用な助剤と組み合わせて投与するものである、請求項1−17のいずれか一項に記載の使用、または請求項18または19に記載の方法。


【公表番号】特表2011−529485(P2011−529485A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520640(P2011−520640)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053256
【国際公開番号】WO2010/013187
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(509289087)
【氏名又は名称原語表記】PREGLEM S.A.
【住所又は居所原語表記】12, Chemin des Aulx, CH−1228 Plan−Les−Ouates, Switzerland
【Fターム(参考)】