説明

昆虫特異的クモ毒素模倣物を同定する方法

本明細書には、rU−ACTX−Hv1a殺虫性毒素の三次元構造の少なくとも一部を模倣する候補分子を同定する方法であって、rU−ACTX−Hv1a殺虫性毒素の三次元構造を模倣する候補分子を同定する分子モデルを使用して、本明細書に開示するrU−ACTX−Hv1a殺虫性毒素の原子座標から作成した分子モデルを提供することと;同定される候補分子を提供することとを含む、方法が開示される。この方法は必要に応じて、U−ACTXのファーマコフォア残基をQ、P、N28およびV34と同定する分子モデルを使用することも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2006年6月6日出願の米国仮出願第60/811,153号に対する優先権を主張する。米国仮出願第60/811,153号は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発に関する言及)
米国政府は、全米科学財団助成金番号MCB0234638に従って本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
害虫に分類される昆虫はごく少数であるにもかかわらず、これらの昆虫は、世界の食物供給の約20%を破壊しており、ヒトおよび動物の一連の多様な病原体を伝播する。そのため、害虫防除は、世界の農業および医学における重要な課題となっている。昆虫などの節足動物害虫は、1940年代にDDTが導入されて以来ずっと主に化学殺虫剤で防除されてきた。しかし、米国および世界の他の国々において害虫防除は、いくつかの理由によりますます複雑になっている。第一に、化学的防除によって昆虫集団はダーウィン淘汰に遭うこととなり、その結果、500種を超える節足動物が、1種以上の化学殺虫剤に対する耐性を発達させている。第二に、化学殺虫剤が望ましくない環境上の帰結や生態学的な帰結(例えば、対象外の生物に対する毒性)をもたらすという認識が強まってきていることから、政府の規制も、殺虫剤のリスクアセスメントに対してより厳しい要求を課すものへと改正されている。新規の殺虫剤に対する登録要件がより厳しくなることと相まって、耐性発達または登録抹消による殺虫剤の種類全体の減少によって、近い将来に有効な化学殺虫剤のプールは全体として減少するものと考えられる。
【0004】
これまで多くの研究者が、クモ毒を農業およびその他の用途に関して昆虫に特異的な毒素の供給源となる可能性があると認めている。オメガ−アトラコトキシンとして知られるペプチド毒素の1種は、この毒の「ワタキバガの幼虫に対する抵抗(anti−cotton bollworm)」活性についてスクリーニングを行うことによってオーストラリアジョウゴグモから単離されると特許文献1に開示されている。オメガ−ACTX−Hv1aと呼ばれる、これらの化合物のうちの1つは、哺乳動物ではなく昆虫の電位依存性カルシウムチャネル電流を選択的に阻害することが示されている。第二の無関係の種類の昆虫特異的ペプチドカルシウムチャネル遮断薬は、同じ科のクモから単離されると特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,763,568号明細書
【特許文献2】米国特許第6,583,264号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サソリおよびクモから単離されるいくつかの殺虫性ペプチド毒素は、殺虫剤の開発につながる有望な手がかりであるようであるが、昆虫に対して迅速かつ強力に作用するものの、昆虫と脊椎動物とで異なった毒性を示す化合物が依然として大いに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(概要)
一実施形態において、U−ACTX殺虫性毒素の三次元構造の少なくとも一部を模倣する候補分子を同定する方法は、PDB ID 2H1ZおよびRCSB ID RCSB037828を有するrU−ACTX−Hv1a殺虫性毒素の原子座標から作成した分子モデルを提供することと;この分子モデルを使用して、rU−ACTX−Hv1a分子モデルの構造を模倣する候補分子を同定することと;同定される候補分子を提供することとを含む。
【0008】
別の実施形態において、rU−ACTX−Hv1aの三次元構造の少なくとも一部を模倣する候補分子を選択するための方法は、メモリ手段と、データ入力手段と、視覚表示手段とを有するコンピュータを提供することであって、このメモリ手段が、座標データをメモリ手段から読み出し、rU−ACTX−Hv1aの三次元像をこの視覚表示手段に表示する操作が可能な三次元分子シミュレーションソフトウェアを含む、コンピュータを提供することと;PDB ID 2H1ZおよびRCSB ID RCSB037828を有するrU−ACTX−Hv1の原子の三次元座標データをコンピュータに入力して、このメモリ手段にデータを記憶することと;候補分子の三次元像を視覚表示手段に表示することと;rU−ACTX−Hv1aと候補分子との三次元構造を比較することと;候補分子を提供することとを含む。
【0009】
さらに別の実施形態において、U−ACTX殺虫性毒素の三次元構造の少なくとも一部を模倣する分子を同定する方法は、U−ACTXポリペプチドの三次元モデルを作成することと、前記三次元モデルにおいてファーマコフォア残基Q、P、N28およびV34を同定することと、コンピュータ解析を行って、U−ACTXポリペプチドのファーマコフォア残基を模倣する候補分子を同定することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、殺虫性ペプチド毒素(配列番号1〜7)のU−ACTXファミリーの各種メンバーの一次構造の比較を示す。rU−ACTX−Hv1a(配列番号1)は、2個のN末端残基(Gln−Tyr)がクローニングの目的でGly−Serに置換されている、天然のペプチド毒素(配列番号2)のうちの1つの組換え型である。
【図2】図2は、残基3〜39の骨格原子(Cα、CおよびN)に最適に重ね合わせるために重ね合わされた一揃いの25個のrU−ACTX−Hv1a構造(PDBファイル2H1Z)のウォールアイ(wall−eyed)ステレオ図を示す。ペプチド毒素のN末端およびC末端を、それぞれ「N」および「C」と標記する。3個のジスルフィド結合を薄灰色の管として示し、各ジスルフィド結合は、ジスルフィド結合を形成する2個のシステイン残基の残基番号で標記する。
【図3】図3は、PROCHECKコンピュータプログラムを使用して決定した一揃いの25個のrU−ACTX−Hv1a構造のラマチャンドランプロットを示す。PROCHECKプログラムにより算出した統計値を、ラマチャンドランプロットの下に示す。
【図4】図4は、分子エネルギーが最低の一揃いのものによるモデル(PDBファイル2H1Zのモデル1)の座標に基づく、rU−ACTX−Hv1aの三次元構造のリチャードソン模式図を示す。模式図をウォールアイステレオ画像として示す。矢印は、C末端側のヘアピンを形成する2本のβ鎖(β1=残基22〜27;β2=残基33〜38)を表す。ペプチド毒素のN末端およびC末端を、それぞれ「N」および「C」と標記する。この図では、分子を、図2に示す配向から長軸を中心にして約90°回転させたものである。
【図5】図5は、分子エネルギーが最低の一揃いのものによるモデル(PDBファイル2H1Zのモデル1)の座標に基づく、rU−ACTX−Hv1aの三次元構造のリチャードソン模式図を示す。アラニン走査変異誘発実験により決定した重要な官能性残基Gln8、Pro9、Asn28およびVal34の側鎖を、黒色の管として示す。分子の配向は、図4に示したものと同様である。ペプチド毒素のN末端を「N」と標記する。
【図6】図6は、分子エネルギーが最低の一揃いのものによるモデル(PDBファイル2H1Zのモデル1)の座標に基づく、rU−ACTX−Hv1aの三次元構造の分子表面の代表を示す。rU−ACTX−Hv1aの重要なファーマコフォア要素(Gln8、Pro9、Asn28、およびVal34)の表面を、黒色で強調する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述および他の特徴は、以下の詳細な説明、図面、および添付の特許請求の範囲から当業者により認識および理解される。
【0012】
(詳細な説明)
本発明は、U−ACTX−Hv1aとして知られる殺虫性ペプチド毒素の三次元構造の決定に少なくとも部分的に基づく。本発明はまた、本毒素のファーマコフォアの決定にも少なくとも部分的に基づく。本明細書において、本発明者等は、U−ACTXポリペプチドの4つの残基(Q、P、N28およびV34)がポリペプチドの殺虫活性を提供することを予想外に見出した。
【0013】
U−ACTX−Hv1aは、全体が参考として本明細書で援用されるUS2006/242734号に記載の殺虫性ペプチド毒素ファミリーのプロトタイプメンバーである。これらの殺虫性毒素は、対になって3個のジスルフィド結合を形成する6個の保存されたシステイン残基を含め、38〜39個の残基を含む。U−ACTXポリペプチドは、イエバエ(Musca domestica)、イエコオロギ(Acheta domestica)、および他の昆虫種などの昆虫に注入されると、不可逆的な毒性を生じる。これらの毒素は、昆虫電位依存性カルシウムチャネル(insect voltage−gated calcium channel)と昆虫カルシウム依存性カリウムチャネル(insect calcium−activated potassium channel)の両方を遮断する独特の能力を有する。
【0014】
rU−ACTX−Hv1a(配列番号1)は、組換えポリペプチドであり、ここでは、U−ACTX−Hv1a(配列番号2)の天然配列の最初の2個の残基(Gln−Tyr)が、Gly−Serで置換されて、以下に配列を生じている:
【0015】
【化1】

U−ACTXの他の改変体(配列番号3〜7)を図1に示す。U−ACTX−Hv1aの他の相同体(例えば、配列番号1と約70%、85%、90%または95%以上同一であり、相同ポリペプチドが殺虫活性を有する、相同体)が使用され得る。「相同体」とは、対象配列に対して高度の配列関連性を有するポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列を示すものとして当該技術分野で使用される一般名である。このような関連性は、比較している配列間の同一性および/または類似性の程度を決定することによって定量され得る。本明細書で使用される場合、2つのアミノ酸配列または2つの核酸の「相同性パーセント」は、Karlin and Altschul(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.,U.S.A.87,2264−2268のアルゴリズムを使用して決定される。このようなアルゴリズムは、Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215,403−410のNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラムに組み込まれる。
【0016】
大腸菌発現系を使用したミリグラム量のrU−ACTX−Hv1aの産生については、US2006/242734号に記載された。
【0017】
本明細書に表3として含まれ、コンパクトディスク1にて提出された、原子座標セットおよび関連の表を参照する。
【0018】
本明細書に示されるU−ACTX−Hv1aの構造がその配向とは無関係であること、および本明細書で同定される座標は、単に特定の毒素の1つの見込まれる配向を表しているにすぎないことは、当業者に明らかとなる。そのため、原子の相対位置またはそれぞれの構造の特徴を変更することなく、本明細書で同定される原子座標の数学的な回転、変換、拡大縮小、またはこれらの組み合わせが行われ得ることは明らかである。このような数学的操作は、本明細書に包含される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「結合する」、「結合している」、「結合した」、「結合」または「結合された」という用語は、原子、分子または化学基の会合に関して使用される場合に、2以上の原子、分子または化学基の物理的接触または会合を指す。このような接触および会合には、共有結合型の相互作用および非共有結合型の相互作用が含まれる。
【0020】
本明細書で使用される「水素結合」という用語は、一方の原子のみに共有結合し、他方とは相互作用する水素を共有する2個の電気陰性原子(OまたはNのいずれか)を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「疎水性相互作用」という用語は、2個の疎水性残基によりなされる相互作用を指す。
【0022】
本明細書で使用される場合、「非共有結合」とは、原子および/または分子の間の共有結合の形成を伴わない、原子および/または分子の間の相互作用を指す。
【0023】
本明細書で使用される場合、「分子グラフィックス」という用語は、(好ましくはコンピュータスクリーン上における)原子の三次元像を指す。
【0024】
本明細書で使用される場合、「分子モデル」または「分子構造」という用語は、特定の対象内の原子の三次元配置(例えば、毒素を構成する原子の三次元構造)を指す。
【0025】
本明細書で使用される場合、「分子モデリング」という用語は、1つ以上のモデルを作成するために、そして必要に応じてリガンドの構造活性相関に関する予測を行うために、コンピュータの使用の有無を問わず実施することができる方法または手順を指す。分子モデリングで使用される方法は、分子グラフィックスから計算機化学までの範囲に及ぶ。
【0026】
本明細書で使用される場合、「ファーマコフォア」という用語は、U−ACTXポリペプチドの生物活性を担う規定された幾何学的形態を有する一揃いの相互作用性官能基を指す。
【0027】
一般的に、ファーマコフォアは、標的分子の表面への結合を引き起こす活性残基の表面の精密な電子特性(すなわち、昆虫イオンチャネル)により指定される。通常、これらの特性は、基礎をなす化学構造(例えば、芳香族基、官能基(例えば、−COOH)など)およびそれらの幾何学的関係によって指定される。非限定的な一態様において、幾何学的関係は、厳密には少なくとも2オングストローム、より具体的には少なくとも1オングストロームである。ファーマコフォアは、2〜4個のこのような基(すなわちファーマコフォアの要素または特徴)の同定を含み得る。しかし、複合タンパク質の認識標的に関しては、ファーマコフォアはより多くの基を含み得る。
【0028】
図5〜6に示す通り、U−ACTX毒素のコアファーマコフォア残基には、アミノ酸残基Q、P、N28およびV34が含まれる。
【0029】
「基本ファーマコフォアの詳細」とは、ファーマコフォアを構成する化学基と、これらの基の幾何学的関係との両方を指す。いくつかの化学的配置は、類似の電子特性を有する場合がある。例えば、ファーマコフォアの詳細が特定の位置に−OH基を含む場合、実質的に同等の詳細は、同じ位置に−SH基を含む。実質的に性質を変更することなくファーマコフォアの詳細において置換され得る同等の化学基は、相同である。
【0030】
本明細書で使用される場合、「U−ACTX模倣物」とは、昆虫電位依存性カルシウムチャネル、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネル、またはこれらの両方のチャネルと相互作用することによりU−ACTX毒素として機能する分子を指す。一実施形態において、U−ACTX模倣物は、昆虫電位依存性カルシウムチャネルおよび昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルの両方と相互作用する。模倣物という用語は、U−ACTXファーマコフォアの対応する部分と構造および/または官能基が類似する部分を有する分子を包含する。
【0031】
一実施形態において、本明細書に記載の方法は、U−ACTXファミリーの毒素を模倣する新規の分子を設計および/または選択する分子モデリング技術およびコンピュータモデリング技術を含む。
【0032】
一実施形態において、U−ACTX殺虫性毒素の三次元構造の少なくとも一部を模倣する候補分子を同定する方法は、PDB ID 2H1ZおよびRCSB ID RCSB037828を有するrU−ACTX−Hv1a殺虫性毒素の原子座標から作成した分子モデル(表3)を提供することと;この分子モデルを使用して、rU−ACTX−Hv1a分子モデルの構造を模倣する候補分子を同定することと;同定される候補分子を提供することとを含む。必要に応じて、この方法は、この分子モデルを使用しながら前記分子モデルにおいてファーマコフォア残基Q、P、N28およびV34を同定することもさらに含む。
【0033】
必要に応じてrU−ACTX−Hv1aの基本ファーマコフォアの詳細と組み合わせたrU−ACTX−Hv1aの原子座標は、新規の目的分子(例えば、新規のイオンチャネルモジュレーター)を設計するために、合理的薬物設計(RDD)(例えば、rU−ACTX−Hv1aの構造的模倣物および機能的模倣物としてふるまう殺虫剤の合理的設計)において使用され得る。さらに当業者は、本明細書に開示される原理を使用することによって、例えば、農業用途の場合に、昆虫が植物に対して与える損害が少なくなり、かつ植物の収穫量に著しい悪影響を及ぼさないような方法で、昆虫を殺傷するかもしくは麻痺させるように特に設計したか、または昆虫の発育もしくは増殖を阻害するように特に設計した、新規の殺虫剤を設計、作製、試験、精密化および使用することができる。例えば、当業者は、本明細書で考察する原理を使用することによって、rU−ACTX−Hv1aを機能的に模倣する新規の分子を設計することができる。その結果、分子構造、および必要に応じて本明細書で提供および考察する基本ファーマコフォアの詳細によって、当業者は、低分子毒素ならびにポリペプチド毒素を含めた新規の殺虫性毒素を設計することが可能となる。
【0034】
U−ACTX−Hv1aの原子座標を使用するRDDは、当該技術分野で公知であって使用されるコンピュータハードウェアおよびソフトウェアを使用するコンピュータ支援薬物設計(CADD)によって、最も容易にされ得る。候補分子は、新たに設計される場合もあれば、あるいは既存の分子(例えば、既存の毒素)を改変したものとして設計される場合もある。一旦設計されると、候補分子は、当該技術分野で公知であって使用される方法論を使用して合成することもできれば、あるいは化合物のライブラリーから得ることもできる。一旦これらが得られれば、候補分子は、生物活性(例えば、昆虫イオンチャネルを阻害する候補分子の能力)について必要に応じてスクリーニングされる。必要に応じて、候補分子の構造は、どの程度構造がrU−ACTX−Hv1aのファーマコフォアの要素を模倣しているかを決定するために解明される。これらの結果に一部基づいて、候補分子は、所望の生物活性を有するより望ましい分子を作製するために、上記の工程のうちの1つ以上を使用して繰り返し精密化され得る。
【0035】
本明細書で提供されるツールおよび方法論は、殺虫活性を有する分子の同定および/または設計に使用され得る。基本的に、これらの工程では、候補分子の合成、試験および特性評価が行われる反復プロセスが利用される。最初の分子の試験および特性評価で得られる情報に基づき新規の分子を設計した後、このように新しく同定した分子自体の試験および特性評価を行う。この一連のプロセスは、望ましい結合特性および/または生物活性を有する分子を得るのに必要に応じて何度でも繰り返され得る。候補分子を同定するための方法を、以下にさらに詳述する。
【0036】
目的の候補分子の設計は、ボール型およびスティック型の物理的モデリング手順によって容易にされ得る。しかし、rU−ACTX−Hv1a毒素のサイズを鑑みて、候補分子を設計する能力が、コンピュータベースのモデリングおよび設計プロトコルにより大幅に高められ得る。
【0037】
一実施形態において、候補分子の選択は、操作可能な通信におけるメモリ手段と、データ入力手段と視覚表示手段とを有するコンピュータを提供することも含む。メモリ手段は、座標データをメモリ手段から読み出す操作が可能で、かつ視覚表示手段にその分子またはその一部の三次元像を表示する操作が可能な、三次元分子シミュレーションソフトウェアを含む。本ソフトウェアは、ドメインの化学構造に対するオペレータが選択した変更に応答する改変された三次元類似体像を生成する操作が可能であり、かつ改変した類似体の三次元像を表示する操作も可能である。データ入力手段は、コンピュータ可読データを処理するための中央処理装置を含む。また、本方法は必要に応じて、rU−ACTX−Hv1aの原子の三次元座標データをコンピュータに入力して、メモリ手段にデータを記憶することと;コンピュータのデータ入力手段に、オペレータが選択したrU−ACTX−Hv1aの化学構造の少なくとも1つの変更を入力することと;分子シミュレーションソフトウェアを実行して、類似体構造の改変された三次元分子像を生成することと;類似体の三次元像を視覚表示手段に表示することとをも含み、それによって化学構造の変化の結果として生じるrU−ACTX−Hv1aの三次元構造の変化を視覚的にモニタリングすることができる。また、この方法は必要に応じて、オペレータが選択したrU−ACTX−Hv1aの化学構造の変更を入力することと;ソフトウェアを実行して、類似体構造の改変された三次元分子像を生成することと;類似体の三次元像を視覚表示手段に表示することとをも含む。また、この方法は、三次元像により表される候補化合物の構造を選択することと、三次元像を、rU−ACTX−Hv1aの機能に関与するファーマコフォア領域の三次元立体配置および空間配置と比較することとをも含む。
【0038】
候補分子の設計は必要に応じて、例えばUNIX(登録商標)ベースまたはWindows(登録商標)のオペレーティングシステムを実行し、かつ分子モデリングおよび合理的薬物設計に適切なコンピュータプログラムを実行することが可能な、例えばSilicon Graphics Inc.、Apple Computer Inc.、およびSun Microsystemsから市販されるコンピュータまたはワークステーションを使用して、容易にされる。
【0039】
一実施形態において、コンピュータベースのシステムは、本明細書に記載のとおりのrU−ACTX−Hv1aの原子座標および必要に応じて基本ファーマコフォアの詳細が記憶されているデータ記憶手段と、分析手段の支援および実行に必要なハードウェア手段およびソフトウェア手段とを含む。本明細書で使用される場合、「コンピュータシステム」または「コンピュータベースのシステム」とは、本明細書に記載の通りの配列と、分子構造と、必要に応じて基本ファーマコフォアの詳細とを解析するために使用されるハードウェア手段、ソフトウェア手段、およびデータ記憶手段を指す。本明細書で使用される場合、「データ記憶手段」という用語は、配列データを記憶することが可能なメモリ、または本発明の分子構造が記録された製造物にアクセスすることが可能なメモリアクセス手段を指すものと理解される。
【0040】
一実施形態において、rU−ACTX−Hv1aの原子座標と、必要に応じてこのポリペプチド毒素の基本ファーマコフォアの詳細は、コンピュータ読み取り可能媒体に記録される。本明細書で使用される「コンピュータ読み取り可能媒体」という用語は、コンピュータによる直接の読み取りおよびアクセスが可能な媒体を意味するものと理解される。このような媒体には、磁気記憶媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク記憶媒体、および磁気テープ);光学記憶媒体(例えば、光ディスクまたはCD−ROM);電気記憶媒体(例えば、RAMおよびROM);これらのカテゴリのハイブリッド(例えば、磁気/光学記憶媒体)が含まれるが、これらに限定されない。当業者であれば、本発明のアミノ酸および/またはヌクレオチド配列、分子構造、および/または原子座標を記録したコンピュータ読み取り可能媒体を含む製造物を作製するために、コンピュータ読み取り可能媒体をどのように使用できるのかについて、すぐに理解することができる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「記録された」という用語は、コンピュータ読み取り可能媒体に情報を記憶するプロセスを指す。当業者であれば、アミノ酸またはヌクレオチドの配列、原子座標および/またはNMRデータを含む製造物を作製するために、コンピュータ読み取り可能媒体に情報を記録する現在既知の方法を容易に採用することができる。
【0042】
アミノ酸および/またはヌクレオチドの配列、原子座標および/またはNMRデータを記録したコンピュータ読み取り可能媒体を作製するためには、種々のデータ記憶構造が当業者により利用可能である。データ記憶構造の選択は一般的に、記憶された情報にアクセスするために選択した手段に基づいている。さらに、コンピュータ読み取り可能媒体に配列情報、NMRデータおよび/または原子座標を記憶するには、種々のデータプロセッサプログラムおよびデータプロセッサフォーマットを使用することができる。上記の情報、データおよび座標は、WordPerfectおよびMicrosoft Wordなどの市販のソフトウェアでフォーマットした文書処理テキストファイルで表すこともできれば、あるいはDB2、Sybase、Oracleなどのデータベースアプリケーションで保存したASCIIファイルの形式で表すこともできる。当業者であれば、情報を記録したコンピュータ読み取り可能媒体を得るために、多くのデータプロセッサ構造化フォーマット(例えば、テキストファイルまたはデータベース)を容易に採用することができる。
【0043】
rU−ACTX−Hv1aの配列および原子座標を記憶したコンピュータ読み取り可能媒体を提供することによって、当業者は、配列および/または原子座標に慣用的にアクセスして、異なるU−ACTX毒素、その毒素のサブドメイン、またはその毒素の模倣物をモデリングすることができる。当業者がコンピュータ読み取り可能媒体で提供されるこのデータにアクセスし、分子モデリングおよび/またはRDDのためにこれを解析することができるコンピュータアルゴリズムは、公然利用可能であり、市販されている。
【0044】
コンピュータは必要なわけではないが、rU−ACTX−Hv1aの実物のモデルまたはその一部(例えば、rU−ACTX−Hv1aの基本ファーマコフォアの詳細)の構築にコンピュータを使用することで、分子モデリングをきわめて容易に行うことができる。また、分子モデリングによって、毒素を構造的に模倣するより小さな分子のモデリングが可能となる。分子モデリングで使用される方法は、分子グラフィックス(すなわち、三次元像)から、より小さい分子の構造および活性の予測、ならびに新規分子の設計を行う、計算機化学(すなわち、物理的特性および化学的特性の算出)までの範囲に及ぶ。
【0045】
分子モデリングの基本的な情報については、例えば、参考として本明細書で援用される、米国特許第6093573号、第6080576号、第6075014号、第6075123号、第6071700号、第5994503号、第5884230号、第5612894号、第5583973号、第5030103号;および第4906122号を参照されたい。
【0046】
三次元モデリングには、構造の三次元像の作成、構造の描画、構造の物理モデルの構築、既知の座標を使用した関連毒素および毒素/リガンド複合体の構造の決定が含まれてもよいが、これらに限定されない。適切な座標は、分子モデリングのための1つ以上のコンピュータプログラムに入力される。例として、三次元構造の閲覧または操作に有用なコンピュータプログラムの一覧には、Midas(University of California、サンフランシスコ)、MidasPlus(University of California、サンフランシスコ)、MOIL(University of Illinois)、Yummie(Yale University)、Sybyl(Tripos,Inc.)、Insight/Discover(Biosym Technologies)、MacroModel(Columbia University)、Quanta(Molecular Simulations,Inc.)、Cerius(Molecular Simulations,Inc.)、Alchemy(Tripos,Inc.)、LabVision(Tripos,Inc.)、Rasmol(Glaxo Research and Development)、Ribbon(University of Alabama)、NAOMI(Oxford University)、Explorer Eyechem(Silicon Graphics,Inc.)、Univision(Cray Research)、Molscript(Uppsala University)、Chem−3D(Cambridge Scientific)、Chain(Baylor College of Medicine)、0(Uppsala University)、GRASP(Columbia University)、X−Plor(Molecular Simulations,Inc.、Yale University)、Spartan(Wavefunction,Inc.)、Catalyst(Molecular Simulations,Inc.)、Molcadd(Tripos,Inc.)、VMD(University of Illinois/Beckman Institute)、Sculpt(Interactive Simulations,Inc.)、Procheck(Brookhaven National Library)、DGEOM(QCPE)、RE_VIEW(Brunell University)、Modeller(Birbeck College,University of London)、Xmol(Minnesota Supercomputing Center)、Protein Expert(Cambridge Scientific)、HyperChem(Hypercube)、MD Display(University of Washington)、PKB(National Center for Biotechnology Information,NIH)、ChemX(Chemical Design,Ltd.)、Cameleon(Oxford Molecular,Inc.)、Iditis(Oxford Molecular,Inc.)、およびPyMol(DeLano Scientific LLC)が含まれる。
【0047】
RDDの1つのアプローチは、目的の部位を模倣する既知の分子構造を検索することである。分子モデリングを使用して、RDDプログラムは、目的部位を模倣する分子の一連の種々の分子構造を検索することが可能であり、コンピュータスクリーン上でそれらを移動させることによるか、若しくは計算によって、どの化合物が目的部位の最良の構造的模倣物であるのかを決定することができる。例えば、分子モデリングプログラムを使用することで、特定の組の化合物の内のどの化合物がrU−ACTX−Hv1aのファーマコフォア領域の最良の構造的模倣物であるのかを決定できると考えられる。
【0048】
分子モデリングおよび/またはRDDを容易に行うために、当業者は、登録番号PDB ID 2H1ZおよびRCSB ID RCSB037828でRCSB Protein Data Bankに寄託した原子座標、および/または表3の原子座標の内の一部またはすべてを使用し得る。上記の原子座標を使用することで、当業者は、U−ACTX毒素の構造的模倣物を設計することができる。
【0049】
本明細書で提供される原子座標はまた、既知の殺虫性毒素の改良された類似体を設計するのにも有用である。
【0050】
また、本明細書に示す原子座標により、U−ACTX毒素またはその一部の三次元構造を種々の異なる化学的特徴を含む分子と比較して、U−ACTX毒素構造を模倣するのに最適な部位を決定することが可能となる。
【0051】
U−ACTX毒素の原子座標によって、当業者は、合理的薬物設計の出発点の役割を果たし得る毒素の標的位置を同定することが可能となる。特に、U−ACTX毒素の基本ファーマコフォアの詳細の同定によって、毒素機能に重要な残基および官能基を同定することが可能となる。
【0052】
候補分子は、脂質、核酸、ペプチド、有機低分子、無機低分子、化合物、元素、糖、同位体、炭水化物、イメージング剤、リポタンパク質、糖タンパク質、酵素、分析プローブ、それらの抗体または断片、上記のうちのいずれかの任意の組み合わせ、上記のうちのいずれかの任意の化学修飾または改変体のうちの少なくとも1つを含むが、これらに限定されない。さらに、候補分子は、検出可能な標識を必要に応じて含み得る。さらに、候補分子は、検出可能な標識を必要に応じて含むことができる。このような標識としては、酵素標識、放射性同位体もしくは放射性の化合物もしくは元素、蛍光性の化合物もしくは金属、化学発光化合物、および生物発光化合物が挙げられるが、これらに限定されない。このような検出可能な標識の候補分子への結合には、周知の方法が使用され得る。
【0053】
脂質、核酸、ペプチド、有機低分子、無機低分子、化学化合物、糖、同位体、炭水化物、イメージング剤、リポタンパク質、糖タンパク質、酵素、分析プローブ、抗体、および抗体断片などの候補分子を合成するのに有用な方法は、当該技術分野で周知である。このような方法には、1回に1個ずつ1つの規定されたペプチドなどのこのような1つの候補分子を合成する手法のほか、1つ以上の容器中の複数の候補分子の合成の組み合わせが含まれる。このような複数の候補分子には、既に同定されている候補分子の1つ以上の改変体が含まれ得る。複数の候補分子の合成を組み合わせる方法は、当該技術分野で公知のスクリーニング技法で使用され得るコンビナトリアルライブラリーを調製するのに特に有用である。
【0054】
例えば、複数のペプチドおよびオリゴヌクレオチドが同時に合成され得る。小さいペプチド(長さが最高で約50アミノ酸のもの)である候補分子は、標準的な固相ペプチド合成手順を使用して合成され得る。例えば、合成中に、保護された側鎖を有するN−α−保護アミノ酸は、C末端で不溶性ポリマー支持体(例えば、ポリスチレンビーズ)に連結される成長中のポリペプチド鎖に段階的に追加される。前記ペプチドは、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの試薬との反応によって活性化したN−α−保護アミノ酸のα−カルボキシ基に、N−α−脱保護アミノ酸のアミノ基を連結することによって合成される。活性化したカルボキシルに遊離アミノ基が結合することによって、ペプチド結合の形成がもたらされる。最も一般的に使用されるN−α−保護基には、酸に不安定なBoc基および塩基に不安定なFmoc基が含まれる。
【0055】
簡単に説明すると、まず、C末端のN−α−保護アミノ酸をポリスチレンビーズに結合する。次いで、N−α−保護基を除去する。次のN−α−保護アミノ酸の活性化したα−カルボキシレート基に、脱保護したα−アミノ基を結合する。所望のペプチドが合成されるまで、このプロセスを繰り返す。得られたペプチドを不溶性ポリマー支持体から切断し、アミノ酸側鎖を脱保護する。これよりも長いペプチド(例えば、長さが約50アミノ酸を超えるもの)は、保護されたペプチド断片の縮合によって誘導される。適切な化学、樹脂、保護基、保護アミノ酸および試薬の詳細は、当該技術分野で周知である。
【0056】
得られたペプチドの精製は、逆相クロマトグラフィ、ゲル浸透クロマトグラフィおよび/またはイオン交換クロマトグラフィなどの手順を使用して行われる。適切なマトリクスおよび緩衝液の選択は、当該技術分野で周知である。
【0057】
合成ペプチドは、天然に存在するアミノ酸、非天然アミノ酸、および/または、例えば、正荷電した、負荷電した、疎水性の、親水性の、または芳香族のアミノ酸といった、特異的な特徴を有するアミノ酸を含む。ペプチド合成で使用されるアミノ酸には、L型立体異性体またはD型立体異性体が含まれる。
【0058】
化合物を合成するのに有用な既知の方法の多くは、自動化されてもよく、さもなければ商業規模で実施されてもよい。したがって、一旦候補分子が商業的可能性を有すると確認されれば、その分子が容易に大量生産され得る。候補分子は、完全に新規に設計することもできれば、あるいは既存の殺虫性毒素に基づいてもよい。これらの手法のいずれも、殺虫性毒素を模倣できる、化学実体、薬剤、リガンドまたは化合物について、低分子のデータベースおよびライブラリーをコンピュータでスクリーニングすることにより、容易に行うことができる。
【0059】
化合物が有する可能性がある、rU−ACTX−Hv1aの基本ファーマコフォアの詳細との構造的類似性は、コンピュータモデリング技法を使用することで、実際の合成およびアッセイ前に予測することができる。候補分子の理論的な構造によって構造的類似性が不十分であることが示唆される場合には、その候補分子の合成と試験が不要となる。しかし、コンピュータモデリングによって強い構造的類似性が示される場合は、分子を合成し、殺虫性毒素としての役割を果たす能力の試験が行われる。このようにして、効力のない分子の合成が回避され得る。場合によっては、不活性分子が合成され、モデリングによって予測された後、試験が行われて、特定の構造的特徴を有する分子のSAR(構造活性相関)が作成される。本明細書で使用される場合、「SAR」という用語は、化合物の活性/特性とその化学構造との間の関係に関連する、構造と活性/構造と特性の関係を指す。
【0060】
rU−ACTX−Hv1aの模倣物を選択/設計する際には、いくつかの因子を考慮に入れることができる。第一に、模倣物は、rU−ACTX−Hv1aのファーマコフォアの詳細の少なくとも一部を模倣しなければならない。模倣物上の官能基は、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、および静電的相互作用に関与する能力について評価すべきである。第二に、模倣物は、rU−ACTX−Hv1aの構造の少なくとも一部を模倣することを可能にする立体配座をとることが可能であるべきである。このような立体構造因子には、rU−ACTX−Hv1aの構造の全体または一部に関する模倣物の全体的な三次元構造および配向、あるいはU−ACTX−Hv1aおよび類似の毒素の分子標的と直接相互作用するいくつかの化学実体を含む模倣物の官能基間の間隔が含まれる。
【0061】
当業者は、rU−ACTX−Hv1aの三次元構造またはその一部(例えば、本明細書で同定される基本ファーマコフォアの詳細)を模倣する能力について、化学的部分、化学実体、化合物または他の薬剤を同定するのに、いくつかの方法のうちの1つ以上を使用し得る。このプロセスは、登録番号PDB ID 2H1ZおよびRCSB ID RCSB037828でRCSB Protein Data Bank(PDB)に寄託した原子座標を使用して、例えばrU−ACTX−Hv1aのファーマコフォアの目視検査またはコンピュータ支援モデリングで始まり得る。一実施形態において、化合物の設計には、特定の分子がrU−ACTX−Hv1aの構造をどの程度よく模倣するかについて計算するコンピュータモデリングプログラムが使用される。選択した化学的部分、化学実体、化合物、または薬剤は、種々の配向で配置される。化学構造のデータベースは、例えばCambridge Crystallographic Data Center(英国ケンブリッジ)およびChemical Abstracts Service(オハイオ州コロンバス)から利用することができる。
【0062】
専門のコンピュータプログラムもまた、化学実体を選択するプロセスの助けとなる。一旦適切な化学的部分、化学実体、化合物または薬剤が選択されると、これらは、単一の分子にアセンブリさせることができる。アセンブリは、三次元空間における化学部分、化学実体、化合物または薬剤の相互の間の空間的関係の目視検査および/またはコンピュータモデリングおよびコンピュータ解析によって行われ得る。その後、QuantaまたはSybylなどのソフトウェアを使用してモデルの構築およびエネルギーの最小化を行うことができ、その後、必要に応じてCHARMMおよびAMBERなどの標準的な分子力学力場によりエネルギーの最小化と分子動力学法を行うことができる。
【0063】
個々の化学実体、化合物または薬剤の選択および結合の助けとなる有用なプログラムには、GRID(University of Oxford)、CATALYST(Accelrys、カリフォルニア州サンディエゴ)、AUTODOCK(Scripps Research Institute、カリフォルニア州ラ・ホーヤ)、DOCK(University of California、カリフォルニア州サンフランシスコ)、ALADDIN、CLIX、GROUPBUILD、GROW、およびMOE(Chemical Computing Group)が含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
一実施形態において、試験分子は、水素結合能力などの、rU−ACTX−Hv1aファーマコフォアの詳細の1つ以上の主要な化学的特徴を模倣する。特定の一例示的実施形態において、試験化合物は、Glnの側鎖アミド部分の水素結合能力を模倣する。
【0065】
上記の通りの1回に1個の化学実体の目的分子の段階的な構築を行う代わりに、rU−ACTX−Hv1aの完全な基本ファーマコフォアの詳細またはその一部のいずれかを使用して、目的分子を完全な実体として設計する。モデリング中、殺虫剤として投与する分子に有用な化学的部分を目的分子に導入することができる。例えば、標的イオンチャネルへの分子の結合に直接の影響を及ぼさないかもしれないが、例えば農業で許容される担体への分子の全体的な溶解度、分子の生物学的利用能、および/または分子の毒性に寄与する化学的部分を、目的分子に導入することもできれば、あるいは目的分子から除外することもできる。
【0066】
完全に新規に目的分子を設計する代わりに、既存の分子またはその一部が、新規の候補の設計の出発点として使用され得る。また、新規の分子の設計に有用な手法の多くも、既存の分子の改変に有用である。
【0067】
rU−ACTX−Hv1aの構造と比較した殺虫性毒素の構造に関する知識によって、元の分子よりも良好な殺虫活性を有する新規の毒素の設計が可能となり得る。本明細書で提供される原子座標を使用して種々の改変分子が設計される。例えば、rU−ACTX−Hv1aの構造と比べた1つ以上の殺虫性ペプチド毒素の空間的関係を知ることで、殺虫特性が改良された新規のポリペプチド毒素を産生することができる。
【0068】
上述の方法によって一旦候補分子が設計または選択されれば、化合物の合成後に、コンピュータによる評価、および/または生物活性試験によって、rU−ACTX−Hv1a毒素に対するその類似性が決定される。さらにその後、候補分子の特性の改善または改変を行うために、候補分子の原子または側鎖基の一部で置換を行い得る。一般的に、最初の置換は保存的であり、すなわち、置換基は、元の基と大きさ、形状、疎水性、および電荷がほとんど同じとなる。当然ながら、立体配座を変更することが知られている成分は回避すべきであることを理解すべきである。一実施形態において、このように置換された化学化合物は、上に詳述したのと同じコンピュータ法によって、U−ACTXとの構造的類似性について解析される。
【0069】
一実施形態において、前記方法は、分子モデルまたはその一部を使用して、改変された候補分子を同定し、そして前記候補分子と比べて、昆虫に対する致死率がより高いか、昆虫カルシウムチャネルの阻害が増大しているか、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルの阻害が増大しているか、昆虫カルシウムチャネルへの結合が増大しているか、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルへの結合が増大しているか、または上記機能のうちの1つ以上が増大している、改変された候補分子を作製することもさらに含む。
【0070】
一実施形態において、上述の方法により設計、選択および/または最適化した分子は、一旦作製されれば、化合物が生物活性を有するかどうかを決定する種々のアッセイを使用して特性評価される。例えば、前記分子は、前記分子が予測された活性、結合活性および/または結合特異性を有するかどうかを決定する(以下に記載のアッセイを含むがこれらに限定されない)アッセイによって特性評価される。適切なアッセイにより、例えば、選択した分子が昆虫を殺傷するかまたは麻痺させる能力、昆虫カルシウムチャネルを阻害する能力、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルを阻害する能力、昆虫カルシウムチャネルを結合する能力、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルを結合する能力、および上記機能のうちの1つ以上を含む組み合わせが測定される。
【0071】
(1)昆虫に対する致死率:候補分子の活性は、Musca domestica(イエバエ)などの昆虫に候補分子を直接注入することによって定量的に決定することができる。1つのプロトコルの例においては、昆虫生理食塩水に溶解された1〜2μLの候補分子がイエバエ(体重10〜25mg)に注入され、対照のハエには、2μLの昆虫生理食塩水が注入される。前記注入物の投与には、例えば、29ゲージ針を備えたArnoldマイクロアプリケータ(Burkard Scientific Supply、英国リクマンズワース)が使用される。標本は、注入のために一時的に4℃にて固定し、その後すぐに室温(24℃)に戻すことが可能である。
【0072】
LD50値(すなわち、注入後24時間に50%のハエを殺傷する候補分子の投与量)は、得られた対数用量応答曲線に以下の式をフィッティングすることによって計算され得る:
【0073】
【数1】

(式中、yは注射後24時間の試料群の死亡百分率であり、xは毒素用量(pmol g−1)であり、nは可変勾配係数であり、aは最大応答であり、bは最小応答である)。
【0074】
(2)電気生理学的アッセイ:昆虫イオンチャネルの阻害は、特異的なチャネルまたは上記のうちの1つ以上を含む組み合わせを発現する組換え細胞または組換え卵母細胞において、単離された昆虫ニューロンを使用して試験され得る。一実施形態において、試験するイオンチャネルは、昆虫ニューロン系で天然に認められる電位依存性カルシウムチャネルおよび/またはカルシウム依存性カリウムチャネルである。
【0075】
一実施形態において、試験化合物の活性は、単離された昆虫ニューロンの活性を阻害する能力により評価される。一実施形態においては、ゴキブリ(ワモンゴキブリ(Periplaneta americana))の最終腹部神経節(TAG)から単離される背側不対正中(DUM)ニューロンが使用される。DUMニューロンは、全細胞パッチクランプ記録技法を使用してCaチャネル電流(ICa)を記録することができる電位依存性カルシウムチャネル(Caチャネル)を含む。DUMニューロン細胞体は、ワモンゴキブリの神経索のTAGの正中線から単離される。一実施形態においては、−20℃にて約5分間冷却することによってゴキブリを麻酔する。次いで、背面側を上にしてゴキブリを解剖皿にピンで留め、背部真皮と腸内容物と縦走筋とを切除する。神経節神経索を同定して、TAGを慎重に取り出し、規定昆虫生理食塩水(NIS)に入れる。この規定昆虫生理食塩水は、200mMのNaClと、3.1mMのKClと、5mMのCaClと、4mMのMgClと、10mMのN−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)と、50mMのスクロースと、5%(体積/体積)仔ウシ血清と、50IU mL−1のペニシリンと、50μg mL−1のストレプトマイシンとを含有し、NaOHを使用してpHが7.4に調整されている。TAGを慎重に切開し、200mMのNaClと、3.1mMのKClと、10mMのHEPESと、60mMのスクロースと、50IU/mLのペニシリンと、50IU/mLのストレプトマイシンとを含有するがCa2+/Mg2+を含まず、NaOHを使用してpHが7.4に調整されている、無菌昆虫生理食塩水に入れる。次いで、前記神経節を脱鞘し、1.5mg/mLのコラゲナーゼを含有するがCa2+/Mg2+を含まない昆虫生理食塩水中で20分間インキュベーションする。前記神経節を規定昆虫生理食塩水中で3回すすぐ。得られた懸濁液を、24ウェルクラスタープレートの8つのウェルに分注する。各ウェルは、コンカナバリンA(2mg/mL)を予めコーティングした直径12mmのカバーガラスを含む。単離細胞が、インキュベーター(相対湿度100%、37℃)中で一晩かけてカバーガラスに付着する。
【0076】
一実施形態において、電気生理学実験では、ゴキブリのDUMニューロンの電位依存性ナトリウム電流と電位依存性カリウム電流と電位依存性カルシウム電流とを測定するために、全細胞の構成でパッチクランプ記録技法が使用される。単離細胞を有するカバーガラスを、位相差顕微鏡のステージ上に載置した1mLガラス底灌流チェンバーに移す。ナトリウム電流とカリウム電流とカルシウム電流の全細胞記録は、Axopatch 200A積分増幅器(Axon Instruments、カリフォルニア州フォスターシティー)を使用して行う。単回使用記録用マイクロピペットの引き抜きには、ホウ珪酸ガラス毛細管が使用される。
【0077】
外溶液および内溶液の内容物は、行う記録手順の種類、さらには試験される特定のイオン電流によって変化する。保持電位は、例えば−80mVであってもよい。電極チップ抵抗は、0.8〜4.0MΩの範囲であってもよい。外溶液および内溶液の両方の容量オスモル濃度は、浸透圧ストレスを低下させるために、スクロースで310ミリオスモル濃度/リットルに調整され得る。内溶液と外溶液の間の液間電位差(liquid junction potential)は、JPCalcプログラムを使用して決定され得る。
【0078】
一実施形態においては、直径が45μmを超える大きな涙形のDUMニューロンが、実験のために選択される。逆電圧クランプ指令パルスを、Ag/AgClペレット/3M KCl寒天架橋をとおして浴に適用する。ギガオームシールを形成した後、吸引を適用して膜を破る。望ましくない電流の完全に遮断するため、5〜10分間は実験を開始すべきではない。
【0079】
刺激と記録はいずれも、Apple Macintoshコンピュータで作動するAxoDataデータ獲得システム(Axon Instruments)により制御され得る。データのフィルタリングは5kHzで行い(ローパスベッセルフィルタ)、デジタルサンプリングレートは、電圧プロトコルの長さに応じて15〜25kHzの間である。漏洩電流および容量性電流は、P−P/4手順でデジタル減算する。実験の完了後、オフラインでデータ解析を行う。以下の式の非線形回帰を行うことにより、このデータにI/Vデータをフィッティングさせる:
【0080】
【数2】

(式中、Iは所与の電位Vにおけるピーク電流の振幅であり、gmaxは最大導電率であり、V1/2は最大活性化の半分における電圧であり、sは勾配係数であり、Vrevは逆転電位である)。
【0081】
別の実施形態において、昆虫イオンチャネルは、異種発現された昆虫カルシウム依存性カリウムチャネル(別名、BKCa、KCa1.1、Maxi−K、またはSlo1)(例えば、ゴキブリ(ワモンゴキブリ)に由来するpSloチャネルの孔形成αサブユニット)を含む。ヒト胚腎臓(HEK293)細胞(American Type Culture Collection、米国メリーランド州ベセスダ)は、10%仔ウシ血清を補充したDulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM/High Modified、JRH Biosciences、米国カンザス州レネクサ)中で維持される。pSloチャネル(ワモンゴキブリの高導電率カルシウム依存性カリウムチャネル)の発現は、G418耐性遺伝子(Invitrogen BV、米国カリフォルニア州サンディエゴ)をも担持する発現ベクターpcDNA3.1にクローニングされたpSloコード領域を含む構築体でHEK293細胞をトランスフェクトすることにより行われる。35mmの皿のHEK293単層を、9μLのリポフェクトアミン試薬(Gibco、BRL)と5μgのDNAとを使用してトランスフェクトする。次いで、安定してトランスフェクトした細胞を、1000μg mL−1のG418(Gibco、米国ニューヨーク州グランドアイランド)によって選択する。これらの細胞を、上述の規定増殖培地中で維持し、パッチクランプ実験に使用する無菌カバーガラス上で培養する。
【0082】
全細胞pSloチャネル電流を、2〜4MΩの抵抗でホウ珪酸ピペット(Harvard Apparatus Ltd、英国ケント)を使用して室温にて測定する。電流測定は、Axopatch 200A積分増幅器(Axon Instruments、米国カリフォルニア州フォスターシティー)を使用して行う。すべての実験の保持電位は−90mVである。pSlo全細胞電流を記録するため、4mMのNaClと、140mMのKClと、2mMのATP−Mgと、0.6mMのCaClと、10mMのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸](HEPES)とを含有し、2MのKOHでpHが7.25に調整されている溶液をピペットに充填する。外溶液は、135mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのMgCl、1mMのCaCl、0.33mMのNaHPO、10mMのグルコース、および10mMのHEPESを含有し、2MのNaOHでpHが7.4に調整されている。容量オスモル濃度は、約290ミリオスモル濃度/Lである。膜を破った後、2MΩ超のシールを形成できるように、10〜15分間は実験を開始しない。
【0083】
試験化合物の効力は、昆虫カルシウムチャネルまたは昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルのIC50(活性の50%を阻害する用量)で表すことができる。IC50が1ナノモル濃度未満、特に25マイクロモル濃度未満、さらに特に1マイクロモル濃度未満の化合物である。このような化合物の有効殺虫量は、好ましくはIC50を含む濃度範囲内にある。
【0084】
(3)他のイオンチャネルアッセイ。rU−ACTX−Hv1aの推定上の模倣物が特定の昆虫イオンチャネルの活性を調節するかどうかを決定するには、多くの代替アッセイも適切であることは、当業者に理解される。例としては、(1)放射性フラックスアッセイ(例えば、カリウムチャネルの活性の測定のための86Rbの使用)(Cheng et al.,Drug.Dev.Ind.Pharm.28,177−191,2002)、および(2)膜電位感受性蛍光色素を使用して、膜電位の変化の監視により間接的にチャネル活性を監視する、電圧センサアッセイ(Gonza’lez,J.E.and Maher,M.P.,Receptors and Channels 8,283−295,2002)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0085】
放射性フラックスアッセイの例では、心臓Ikrカリウム(K)チャネルの孔形成サブユニットをコードするヒトether−a go−go関連遺伝子(HERG)を使用して、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞をトランスフェクトする。培地1μL当たり約200個の細胞の密度で、細胞を96ウェルプレートに播種する。播種後、使用前に細胞を5%のCOで37℃にて一晩インキュベートする。Rb流出アッセイの場合は、細胞培養培地をルビジウム(86Rb)に変更する。86Rbで4時間細胞をインキュベートし、培地を除去して、細胞を洗浄する。これらの細胞を、105mMのNaClと、2mMのCaClと、40mMのKClと、2mMのMgClと、10mMのHEPESと、10mMのグルコースとを含有する40mMのK試験緩衝液で洗浄する。NaOHでpHを7.4に調整する。試験化合物は、高K試験緩衝液に含まれる。電気生理学検査記録を使用して、チャネルに対する試験化合物の効果を測定する。内溶液を充填した時の電極は、2〜3MΩの抵抗を有する。内溶液は、100mMのKFと、40mMのKClと、5mMのNaClと、10mMのEGTAと、10mMのHEPESとを含有し、KOHでpHが7.4に調整されている。140mMのNaClと、2mMのCaClと、5mMのKClと、2mMのMgClと、10mMのグルコースと、10mMのHEPESとを含有し、NaOHでpHが7.4に調整されている外溶液でこの細胞を潅流する。接合部電位は、pClamp 8ソフトウェアを使用して算出され得る。電流は、Axopatch−1D増幅器(Axon Instruments)にて5kHzでフィルタリングされ、pClamp8(Axon Instruments)を使用して1kHzのサンプルレートでPCに記録され得る。データは、Clampfit(Axon Instruments)とOriginソフトウェア(Microcal)を使用して分析され得る。
【0086】
別の例示的実施形態においては、膜電位感受性蛍光色素を使用して、膜電位の変化の監視により間接的にチャネル活性を監視する。FRETに基づく膜電位センサは、イオンチャネルの高スループットスクリーニングに有用である。一実施形態において、前記センサは、原形質膜に結合し、膜電位を検出する高蛍光性疎水性イオンである第1の成分と、原形質膜の一方の面に結合し、可動性電圧検出イオンとのFRETパートナーとして機能する蛍光分子である第2の成分とからなる、二成分センサである。一実施形態において、第1の成分は、クマリン標識リン脂質(CC2−DMPE)であり、第2の成分は、ビス−(1,3−ジアルキルチオバルビツール酸)トリメチンオキソノール(DiSBACn(3)(式中、nは、nアルキル基中の炭素原子数に相当する))である。例えば、Vertexは、このようなFRETに基づく電圧センサと適合するキネティックプレートリーダを開発した。VIPR(登録商標)は、96ウェルまたは384ウェルの一体型液体処理装置および蛍光リーダである。このリーダは、走査型光ファイバ照射検出システムを使用する。その他の同様のシステムとプローブも使用され得る。
【0087】
(4)表面結合研究:結合活性に関する新規の分子のスクリーニングでは、種々の結合アッセイが有用である。1つの手法としては、例えば、目的分子が昆虫電位依存性カルシウムチャネルまたは昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルに結合するかどうかを評価するのに使用され得る、表面プラズモン共鳴(SPR)がある。
【0088】
SPR法は、量子力学的表面プラズモンの生成により2以上の高分子間の相互作用をリアルタイムで測定する方法である。ある装置BIAcore Biosensor RTM(Pharmacia、米国ニュージャージー州ピスカタウェイ)は、金膜(使い捨てのバイオセンサ「チップ」として提供される)と、ユーザによる調節が可能な緩衝液コンパートメントとの間の界面に多色光の集束ビームを提供する。金膜には、目的分析物の共有結合による固定のためのマトリクスを提供するカルボキシル化されたデキストランから構成される100nm厚の「ヒドロゲル」が付着する。集束光が金膜の遊離電子雲と相互作用すると、プラズモン共鳴が高くなる。得られた反射光は、最適に共鳴が発生した波長のスペクトルが減衰させられる。反射多色光を構成波長に分離し(プリズムによる)、減衰した振動数を決定することによって、BIAcoreは、生成した表面プラズモン共鳴の作用を正確に報告する光インターフェースを確立する。上述の通りに設計した場合のプラズモン共鳴(したがって減衰スペクトル)は、エバネセント場の質量(ヒドロゲルの厚さにほぼ相当)に対して感受性を有する。相互作用する対の内の一方の成分をヒドロゲルに固定し、相互作用するパートナーを緩衝液コンパートメントを介して提供する場合、2つの成分間の相互作用は、エバネセント場の質量の蓄積と、減衰スペクトルで測定されるプラズモン共鳴の対応する効果とに基づいて、リアルタイムで測定される。このシステムにより、いずれの成分も標識する必要なく、分子相互作用の測定を高速かつ高感度でリアルタイムに行うことが可能となる。例えば、SPRは、rU−ACTX−Hv1aの推定上の模倣物が、昆虫イオンチャネルからこのペプチド毒素を競合的に置換できるかどうかを評価するのに有用である。
【0089】
(5)蛍光偏光法:蛍光偏光法(FP)は、2個の分子間の会合反応に関するIC50値およびK値を導き出すために、タンパク質−タンパク質間およびタンパク質−リガンド間の相互作用に容易に適用される測定技法である。この技法では、目的分子の1つがフルオロフォアと結合される。これは一般的に、rU−ACTX−Hv1aの低分子模倣物などの小さい方の分子である。結合した低分子と、昆虫電位依存性カルシウムチャネルまたは昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルのいずれかとの両方を含有するサンプル混合物を、垂直偏光で励起する。光はプローブのフルオロフォアによって吸収され、しばらくした後に再放射される。この放射光の偏光度を測定する。放射光の偏光は、溶液の粘度といったいくつかの因子およびフルオロフォアの見かけ上の分子量によって決まる。適切な制御下では、放射光の偏光度の変化が、フルオロフォアの見かけ上の分子量の変化によってのみ決まり、ひいては、プローブ−リガンド結合体が溶液中で遊離しているのか、あるいは受容体に結合しているのかによって決まる。FPに基づく結合アッセイには、真の均一な平衡条件下におけるIC50値およびK値の測定、分析の速度、自動化に対する快適性、ならびに混濁懸濁液および着色溶液中でのスクリーニング能力を含めた、多くの重要な利点がある。
【0090】
(6)rU−ACTX−Hv1aとの競合:一実施形態において、分子が特定の昆虫イオンチャネルへのrU−ACTX−Hv1aの結合を模倣する能力は、当該チャネルに由来するrU−ACTX−Hv1aを競合的に置換する能力から測定される。例えば、蛍光標識または放射活性標識rU−ACTX−Hv1aを、対象イオンチャネルを含むニューロン膜または細胞株にまず結合させる。その後、目的化合物がrU−ACTX−Hv1aを競合的に置換して、媒体へと標識毒素を放出させる能力を測定する。種々の濃度の目的分子を使用してこの置換アッセイを繰り返すことで、IC50値を計算し、他の推定上の模倣物のIC50値と比較することが可能となり、それによって分子を結合親和性の順にランク付けすることが可能となる。
【0091】
さらに、このようなアッセイを使用した解析を高速化させるために、高スループットスクリーニングが使用され得る。その結果、新規分子が昆虫イオンチャネルと相互作用する能力のスクリーニングを、本明細書に開示される器具および方法を使用して、高速に行うことが可能となり得る。例えば、高スループットスクリーニングを実施する一般的な方法論については、参考として本明細書で援用される、米国特許第5,763,263号に記載されている。高スループットアッセイでは、上述の技法を含むがこれらに限定されない、1種類以上の異なるアッセイ技法を使用することができる。
【0092】
一旦同定されると、この活性分子は、使用前に適切な担体に必要に応じて組み込まれる。より具体的には、活性分子の用量、投与様式、および適切な担体の使用は、目的の標的生物および非標的生物に依存する。
【0093】
昆虫を防除する方法は、昆虫または昆虫の幼虫を殺虫有効量のU−ACTX模倣物と接触させることを含む。U−ACTX模倣物は、例えば、有機低分子、化学化合物、精製ポリペプチド、必要に応じて発現ベクター内のU−ACTX模倣物をコードするポリヌクレオチド、U−ACTX模倣物を発現する昆虫ウイルス、U−ACTX模倣物を発現する植物細胞もしくは細菌細胞などの細胞、またはU−ACTX模倣物を発現するトランスジェニック植物の形態であり得る。U−ACTX模倣物は、スノードロップレクチンまたはBacillus thuringiensisのδエンドトキシンのうちの1種など、昆虫が摂取した際に化合物の活性を高める薬剤に必要に応じて融合されるか、またはこの薬剤とともに送達される。例えば、接触には、U−ACTX模倣物の注入、外部接触、U−ACTX模倣物の摂取、あるいはU−ACTX模倣物を発現するポリヌクレオチド、ウイルスまたは細菌の摂取が含まれる。
【0094】
植物を処理する方法は、この植物を殺虫有効量のU−ACTX模倣物と接触させることを含む。U−ACTX模倣物は、例えば、有機低分子、化学化合物、精製ポリペプチド、必要に応じて発現ベクター内のU−ACTX模倣物をコードするポリヌクレオチド、U−ACTX模倣物を発現するウイルス、またはU−ACTX模倣物を発現する植物細胞もしくは細菌細胞などの細胞の形態である。
【0095】
一実施形態においては、U−ACTX模倣物と、農業で許容される担体、希釈剤および/または賦形剤とを含む殺虫性組成物が提供される。別の実施形態において、殺虫性組成物は、U−ACTX模倣物を発現するウイルスを含む。昆虫ウイルスは、このウイルスが一旦宿主昆虫に感染すれば、宿主昆虫内で複製および発現させることができる。昆虫ウイルスへの昆虫の感染は、例えば、摂取、吸入、昆虫または昆虫の幼虫と昆虫ウイルスとの直接の接触などを含めた方法により達成され得る。
【0096】
殺虫性組成物は、例えば、水性の溶液または懸濁液などの流動性の溶液または懸濁液の形態である。このような水性の溶液または懸濁液は、適用前に希釈される濃縮原液としてか、あるいはすぐに適用できる希釈溶液として提供される。別の実施形態において、殺虫剤組成物は、水分散性顆粒を含む。さらに別の実施形態において、殺虫剤組成物は、水和剤、微粉、ペレットまたはコロイド状濃縮物を含む。このような乾燥形態の殺虫性組成物は、濡れるとすぐに溶解するように、あるいは制御放出様式、持続放出様式または他の時間依存的な様式で溶解するように製剤化される。
【0097】
U−ACTX模倣物が昆虫ウイルスによって発現される場合は、保護すべき作物に、U−ACTX模倣物を発現するウイルスを適用することができる。このウイルスは、単独で、あるいは1つまたはいくつかの他のU−ACTXポリペプチドまたは模倣物と組み合わせて、あるいは向上したまたは相乗的な殺虫活性をもたらし得る他の殺虫性ポリペプチド毒素などの他の殺虫剤と組み合わせて、U−ACTX模倣物を発現するように設計され得る。適切なウイルスとしては、バキュロウイルスが挙げられるが、これに限定されない。
【0098】
殺虫性組成物がU−ACTX模倣物を発現する無傷細胞(例えば細菌細胞)を含む場合、このような細胞は種々の方法で製剤化される。これらの細胞は、無機ミネラル(フィロシリケート、カルボネート、スルフェート、ホスフェートなど)または植物性材料(粉末状のトウモロコシの穂軸、籾殻、クルミの殻など)などの種々の不活性材料、および上記材料の1つ以上を含む組み合わせと混合することによって、水和剤、顆粒または微粉として使用され得る。この製剤には、展着剤−固着剤アジュバント、安定化剤、他の殺虫性添加剤、界面活性剤、および上記添加剤の1つ以上を含む組み合わせが含まれ得る。液体製剤は、水性ベースである場合もあれば、非水性である場合もあり、泡剤、懸濁液、乳化可能濃縮物などとして使用され得る。この成分には、レオロジー剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤、ポリマー、リポソーム、および上記成分のうちの1つ以上を含む組み合わせが含まれ得る。
【0099】
あるいは、U−ACTX模倣物は、in vitroで発現され、その後に圃場に適用するために単離される。このような模倣物は、例えば、粗細胞溶解液、懸濁液、コロイドなどの形態であるか、あるいは活性殺虫性製剤に製剤化する前に精製、精密化、緩衝化および/またはさらなる処理が行われる場合もある。
【0100】
適用方法にかかわらず、活性成分の量は殺虫有効量で適用されるが、この殺虫有効量は、例えば、防除すべき特定の昆虫、処理すべき特定の植物または作物、環境条件、ならびに殺虫活性組成物を適用する方法、速度および量などの因子により変動する。
【0101】
U−ACTX模倣物を含む殺虫性組成物は、例えば、農業で許容される担体とともに製剤化される。この組成物は、凍結乾燥、冷凍乾燥、乾燥保存などの適切な手段での投与、あるいは水性担体、媒体または適切な希釈剤(例えば生理食塩水または他の緩衝液)での投与の前に製剤化され得る。製剤化した組成物は、微粉または顆粒状物質の形態である場合もあれば、あるいは油中懸濁液(植物または鉱物)の形態である場合もあり、あるいは水エマルジョンまたは油/水エマルジョンの形態である場合もあり、あるいは水和剤として使用される場合もあり、あるいは農業用途に適切な別の担体材料と併用される場合もある。適切な農業用担体は、固体または液体であってよく、当該技術分野で周知である。「農業で許容される担体」という用語は、殺虫剤製剤化技術で通常使用されるすべてのアジュバント(例えば、不活性成分、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、結合剤など)を包含し、これらは、殺虫剤製剤化分野の当業者に周知である。この製剤は、1つ以上の固体アジュバントまたは液体アジュバントと混合され、種々の手段(例えば、従来の製剤化法を使用した適切なアジュバントと殺虫性組成物の均一な混合、調合および/または粉砕)によって調製され得る。
【0102】
例えば、殺虫性組成物は、好ましくは噴霧のような方法によって、標的昆虫の環境、例えば、保護すべき植物または作物の葉の上に適用される。殺虫剤を適用する強度および期間は、特定の害虫に特異的な条件、処理すべき作物、および特定の環境条件に関して設定され得る。当然ながら、担体に対する活性成分の比率は、殺虫性組成物の化学的性質、溶解度および安定度、ならびに意図される特定の製剤によって決まる。
【0103】
また、他の適用技法(例えば、散粉、散布(sprinkling)、浸漬、土壌注入、種子コーティング、芽生えのコーティング、噴霧、曝気(aerating)、ミスティング、アトマイジングなど)も可能であり、例えば根または茎への外寄生を引き起こす昆虫の防除などの特定の状況下で必要となる場合もあれば、あるいは繊細な植生または観賞植物に適用するために必要となる場合もある。これらの適用手順はまた、当業者に周知でもある。
【0104】
殺虫性組成物は、単独で、または他の殺虫剤を含むがこれに限定されない他の化合物と組み合わせて使用される。殺虫性組成物は、界面活性剤、洗剤、ポリマー、または時限放出製剤などの他の処理剤とともに使用され得る。殺虫性組成物は、必要に応じて昆虫誘引剤を含む。殺虫性組成物は、全身使用または局所使用のいずれかのために製剤化される。このような薬剤は、必要に応じて昆虫に直接適用され得る。
【0105】
環境、全身または葉への適用に使用される殺虫性組成物の濃度は、特定の製剤の性質、適用手段、環境条件、および殺菌活性の程度により変動する。
【0106】
あるいは、作物は、単独で、あるいは向上したまたは相乗的な殺虫活性をもたらし得る殺虫性ポリペプチド毒素と組み合わせて、U−ACTX模倣物を発現するように操作される。この手法が有用である作物には、ワタ、トマト、スイートコーン、ムラサキウマゴヤシ、ダイズ、ソルガム、ソラマメ(field pea)、アマ、ベニバナ、ナタネ、ヒマワリ、およびシロバナルーピン(field lupin)が含まれるが、これらに限定されない。
【0107】
殺虫性ポリペプチドによる処理に適切で、農業、家庭および/または医学/獣医学において重要性を持つ節足動物には、例えば、以下の綱および目のメンバーが含まれる:鞘翅目(例えば、インゲンマメゾウムシ(Acanthoscelides obtectus)、ハムシ(Agelastica alni)、コメツキムシ(Agriotes lineatus、Agriotes obscurus、Agriotes bicolor)、グレインビートル(Ahasverus advena)、サマーシェーファー(Amphimallon solstitialis)、家具食い虫(Anobium punctatum、Anthonomus spp.(ゾウムシ))、ピグミーマンゴールドビートル(Atomaria linearis)、カーペットビートル(Anthrenus spp.、Attagenus spp.)、ヨツモンマメゾウムシ(Callosobruchus maculatu)、クリヤケシキスイ(Carpophilus hemipterus)、キャベツサヤゾウムシ(Ceutorhynchus assimilis)、ナタネ冬茎(rape winter stem)ゾウムシ(Ceutorhynchus picitarsis)、ハリガネムシ(Conoderus vespertinusおよびConoderus falli)、バショウオサゾウムシ(Cosmopolites sordidus)、ニュージーランド草地虫(Costelytra zealandica)、コフキコガネ(Cotinis nitida)、ヒマワリ茎(sunflower stem)ゾウムシ(Cylindrocopturus adspersus)、オビカツオブシムシ(Dermestes lardarius)、ネクイハムシ(Diabrotica virgifera、Diabrotica virgifera virgifera、およびDiabrotica barberi)、インゲンテントウ(Epilachna varivestis)、イエカミキリ(Hylotropes bajulus)、アルファルファタコゾウムシ(Hypera postica)、セマルヒョウホンムシ(Gibbium psylloides)、タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、ヒラタキクイムシ(Lyctus spp.)、花粉ビートル(Meligethes aeneus)、ヨーロッパコフキコガネ(Melolontha melolontha)、アメリカヒョウホンムシ(Mezium americanum)、キンイロヒョウホンムシ(golden spider beetle)(Niptus hololeucus)、グレインビートル(Oryzaephilus surinamensisおよびOryzaephilus mercator)、キンケクチブトゾウムシ(Otiorhynchus sulcatus)、マスタードビートル(Phaedon cochleariae)、アブラナ(crucifer)ノミハムシ(Phyllotreta cruciferae)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、キャベツグキ(cabbage steam)ノミハムシ(Psylliodes chrysocephala、Ptinus spp.)(ヒョウホンムシ)、コナナガシンクイムシ(Rhizopertha dominica)、アカアシチビコフキゾウムシ(Sitona lineatus)、ココクゾウ(Sitophilus oryzaeおよびSitophilus granarius)、赤ヒマワリ種子(red sunflower seed)ゾウムシ(Smicronyx fulvus)、ジンサンシバンムシ(Stegobium paniceum)、チャイロコメノゴミムシダマシ(Tenebrio molitor)、フラワービートル(Tribolium castaneumおよびTribolium confusum)、ウェアハウスビートルおよびキャビネットビートル(warehouse and cabinet beetles)(Trogoderma spp.)、サンフラワービートル(Zygogramma exclamationis));ハサミムシ目(ハサミムシ類)(例えば、ヨーロッパクギヌキハサミムシ(Forficula auricularia)およびオオハサミムシ(Labidura riparia));網翅目(例えば、コバネゴキブリ(Blatta orientalis)、チャバネゴキブリ(Blatella germanica)、マデイラゴキブリ(Leucophaea maderae)、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana)、およびクロゴキブリ(Periplaneta fuliginosa));倍脚綱(例えば、スポッティッドスネークミリピード(spotted snake millipede)(Blaniulus guttulatus)、フラットバックミリピード(flat−back millipede)(Brachydesmus superus)、およびヤケヤスデ(Oxidus gracilis));双翅目(例えば、アフリカツンブバエ(Cordylobia anthropophaga)、ヌカカ(Culicoides spp.)、ハチジラミバエ(Braula spp.)、アカザモグリハナバエ(Pegomyia betae)、黒バエ(Cnephia spp.、Eusimulium spp.、Simulium spp.)、ウマバエ(Cuterebra spp.、Gastrophilus spp.、Oestrus spp.)、ガガンボ(Tipula spp.)、メマトイ(Hippelates spp.)、雑草育種(filth−breeding)バエ(Calliphora spp.、Fannia spp.、Hermetia spp.、Lucilia spp.、Musca spp.、Muscina spp.、Phaenicia spp.、Phormia spp.)、ニクバエ(Sarcophaga spp.、Wohlfahrtia spp.));フリットフライ(Oscinella frit)、ショウジョウバエ(Dacus spp.、Drosophila spp.)、ヘッドフライおよびカリオンフライ(head and carion fly)(Hydrotea spp.)、コムギタマバエ(Mayetiola destructor)、ツノバエおよびバッファローバエ(Haematobia spp.)、ウマバエおよびシカバエ(Chrysops spp.、Haematopota spp.、Tabanus spp.)、シラミバエ(Lipoptena spp.、Lynchia spp.、およびPseudolynchia spp.)、チチュウカイミバエ(Ceratitus spp.)、カ(Aedes spp.、Anopheles spp.、Culex spp.、Psorophora spp.)、サシチョウバエ(Phlebotomus spp.、Lutzomyia spp.)、ラセンウジバエ(Chrysomya bezzianaおよびCochliomyia hominivorax)、ヒツジシラミバエ(Melophagus spp.);サシバエ(Stomoxys spp.)、ツェツェバエ(Glossina spp.)、およびウシバエ(Hypoderma spp.));等翅目(シロアリ)(シュウカクシロアリ科、レイビシロアリ科、ムカシシロアリ科、ミゾガシラシロアリ科、セリテルメス科、シロアリ科、オオシロアリ科の種を含む);異翅目(例えば、ナンキンムシ(Cimex lectularius)、アカホシカメムシ(Dysdercus intermedius)、ムギチャイロカメムシ(Eurygaster integriceps)、ミドリメクラガメ(Lygus lineolaris)、アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula)、およびサシガメ(Panstrogylus megistus、Rhodnius ecuadoriensis、Rhodnius pallescans、Rhodnius prolixus、Rhodnius robustus、Triatoma dimidiata、Triatoma infestans、およびTriatoma sordida));同翅目(例えば、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、マメクロアブラムシ(Aphis fabae)、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、リンゴアブラムシ(Aphis pomi)、ミカントゲコナジラミ(Aleurocanthus spiniferus)、シロマルカイガラムシ(Aspidiotus hederae)、タバココナジラミ(Bemesia tabaci)、ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、ヨーロッパナシキジラミ(Cacopsylla pyricola)、カランツ(currant)アブラムシ(Cryptomyzus ribis)、ブドウネアブラムシ(Daktulosphaira vitifoliae)、ミカンキジラミ(Diaphorina citri)、ジャガイモヒメヨコバイ(Empoasca fabae)、マメヨコバイ(bean leafhopper)(Empoasca solana)、ブドウ葉ヨコバイ(vine leafhopper)(Empoasca vitis)、リンゴワタムシ(Eriosoma lanigerum)、セイヨウカジツカイガラムシ(European fruit scale)(Eulecanium corni)、モモコフキアブラムシ(Hyalopterus arundinis)、
ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、チューリップヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum euphorbiae)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cinticeps)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、エゾマツカサアブラムシ(Pemphigus spp.)、ホップイボアブラムシ(Phorodon humuli)、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi)、オリーブカタカイガラムシ(Saissetia oleae)、ムギミドリアブラムシ(Schizaphis graminum)、ムギヒゲナガアブラムシ(Sitobion avenae)、およびオンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum));等脚目(例えば、オカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)およびホンワラジムシ(Oniscus asellus));鱗翅目(例えば、Adoxophyes orana(リンゴコカクモンハマキ)、Agrotis ipsolon(タマナヤガ)、Archips podana(果樹ハマキガ)、Bucculatrix pyrivorella(ナシチビガ)、Bucculatrix thurberiella(コットンリーフパーフォレーター(cotton leaf perforator))、Bupalus piniarius(マツシャクトリムシ)、Carpocapsa pomonella(コドリンガ)、Chilo suppressalis(ニカメイガ)、Choristoneura fumiferana(東部トウヒノムシ)、Cochylis hospes(バンデッドサンフラワーモス(banded sunflower moth))、Diatraea grandiosella(サウスウェスタンコーンボーラー)、Earis insulana(エジプトタバコガ(Egyptian bollworm))、Euphestia kuehniella(スジコナマダラメイガ)、Eupoecilia ambiguella(ブドウホソハマキ)、Euproctis chrysorrhoea(シロバネドクガ)、Euproctis subflava(ドクガ)、Galleria mellonella(オオハチミツガ)、Helicoverpa armigera(アメリカタバコガ)、Helicoverpa zea(アメリカタバコガ)、Heliothis virescens(オオタバコガ)、Hofmannophila pseudopretella(ブラウンハウスガ)、Homeosoma electellum(サンフラワーモス)、Homona magnanima(チャハマキガ)、Lithocolletis blancardella(リンゴカバホソガ)、Lymantria dispar(マイマイガ)、Malacosoma neustria(テンマクケムシ)、Mamestra brassicae(ヨトウガ)、Mamestra configurata(バーサアーミーワーム)、イモムシ(Manduca sextaおよびManuduca quinquemaculata)、Operophtera brumata(ナミスジフユナミシャク)、Ostrinia nubilalis(アワノメイガ)、Panolis flammea(マツキリガ)、Pectinophora gossypiella(ワタアカミムシガ)、Phyllocnistis citrella(ミカンハモグリガ)、Pieris brassicae(モンシロチョウ)、Plutella xylostella(コナガ)、Rachiplusia ni(ソイビーンルーパー)、Spilosoma virginica(イエローベアーモス(yellow bear moth))、Spodoptera exigua(シロイチモンジヨトウガ)、Spodoptera frugiperda(ツマジロクサヨトウ)、Spodoptera littoralis(コットンリーフワーム)、Spodoptera litura(ハスモンヨトウ)、Spodoptera praefica(イエローストリップドアーミーワーム)、Sylepta derogata(ワタノメイガ)、Tineola bisselliella(コイガ)、Tineola pellionella(イガ)、Tortrix viridana(ヨーロピアンオークリーフローラー)、Trichoplusia ni(イラクサキンウワバ)、Yponomeuta padella(スモールアーミンモス));直翅目(例えば、イエコオロギ(Acheta domesticus)、ツリーローカス(tree locust)(Anacridium spp.)、ワタリバッタ(Locusta migratoria)、ツーストライプグラスホッパー(twostriped grasshopper)(Melanoplus bivittatus)、ディファレンシャルグラスホッパー(differential grasshopper)(Melanoplus differentialis)、アカアシバッタ(Melanoplus femurrubrum)、トビバッタ(Melanoplus sanguinipes)、キタモグラコオロギ(Neocurtilla hexadectyla)、アカトビバッタ(Nomadacris septemfasciata)、ショートウィングドモールクリケット(shortwinged mole cricket)(Scapteriscus abbreviatus)、ミナミモグラコオロギ(Scapteriscus borellii)、トーニーモールクリケット(tawny mole cricket)(Scapteriscus vicinus)、およびエジプトツチイナゴ(Schistocerca gregaria));シラミ目(例えば、ウシハジラミ(Bovicola bovis)、ハジラミ(Damalinia spp.)、ネコハジラミ(Felicola subrostrata)、ウシジラミ(Haematopinus eurysternus)、テールスイッチシラミ(Haematopinus quadripertussus)、ブタジラミ(Haematopinus suis)、カオジラミ(Linognathus ovillus)、アシジラミ(Linognathus pedalis)、イヌジラミ(Linognathus setosus)、ウシホソジラミ(Linognathus vituli)、ニワトリオオハジラミ(Menacanthus stramineus)、ニワトリハジラミ(Menopon gallinae)、ヒトジラミ(Pediculus humanus)、ケジラミ(Phthirus pubis)、ケブカウシジラミ(Solenopotes capillatus)、およびイヌハジラミ(Trichodectes canis));チャタテムシ目(例えば、コチャタテ類(Liposcelis bostrychophila、Liposcelis decolor、Liposcelis entomophila、およびTrogium pulsatorium));ノミ目(例えば、トリノミ(Ceratophyllus gallinae)、イヌノミ(Ctenocephalides canis)、ネコノミ(Ctenocephalides felis)、ヒトノミ(Pulex irritans)、およびケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis);結合綱(例えば、ガーデンシンフィラン(garden symphylan)(Scutigerella immaculata));総尾目(例えば、オナガシミ(Ctenolepisma longicaudata)、フォーラインドシルバーフィッシュ(four−lined silverfish)(Ctenolepisma quadriseriata)、セイヨウシミ(Lepisma saccharina)、およびマダラシミ(Thermobia domestica));総翅目(例えば、タバコアザミウマ(tobacco thrips)(Frankliniella fusca)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、コットンバッドスリップス(cotton bud thrips)(Frankliniella schultzei)、バンデッドグリーンハウススリップス(banded greenhouse thrips)(Hercinothrips femoralis)、ダイズアザミウマ(soybean thrips)(Neohydatothrips variabilis)、ケリーズシトラススリップス(Kelly’s citrus thrips)(Pezothrips kellyanus)、アボカドアザミウマ(avocado thrips)(Scirtothrips perseae)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、およびネギアザミウマ(Thrips tabaci));など、ならびに上記昆虫のうちの1つ以上を含む組み合わせ。
【0108】
一実施形態において、U−ACTX模倣物を含む殺虫性組成物は、外部寄生虫の処理に使用される。外部寄生虫には、例えば、ノミ、マダニ、ダニ症、ダニ、カ、不快害虫およびサシバエ、シラミ、ならびに上記外部寄生虫のうちの1つ以上を含む組み合わせが含まれる。ノミという用語は、ノミ目の寄生ノミの通常または偶発的な種、特にイヌノミ属種、特にCtenocephalides felisおよびCtenocephalides canis、ネズミノミ(Xenopsylla cheopis)、およびヒトノミ(Pulex irritans)を包含する。家畜(例えば、ウシ)、伴侶動物(例えば、ネコおよびイヌ)およびヒトにおける外部寄生虫が処理され得る。家畜および家庭内動物の場合、処理には、首輪内への含浸、または局所領域への局所適用とその後に行われる動物の真皮を通した拡散および/または皮脂腺における蓄積が含まれ得る。ヒトの場合、処理剤は、ヒトのシラミの治療に適切な組成物を含み得る。このような組成物は、シャンプーまたはコンディショナーなど、ヒトの頭皮への適用に適切なものであり得る。
【0109】
以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに例示する。
【実施例】
【0110】
(実施例1:構造機能研究のためのrU−ACTX−Hv1aの産生)
構造機能解析のために、プロトタイプU−ACTXファミリーメンバーの誘導体(rU−ACTX−Hv1a(配列番号1)(図1))を選択した。コドンが大腸菌の発現に最適化されたrU−ACTX−Hv1aの合成遺伝子を、pGEX−2Tプラスミドにクローニングし、得られた誘導体プラスミド(pBLS1)を使用して、大腸菌BL21細胞を形質転換した。このプラスミドから、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)と毒素コード領域との間にトロンビン切断部位を有するGSTのC末端への融合体として、毒素を産生する。これらの細胞を、300μMのイソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG)による融合タンパク質の誘導前に、A600が0.6〜0.8になるまで、37℃にてLB培地中で増殖させた。A600が1.9〜2.1になったら、遠心分離により細胞を収集し、さらに使用するまで凍結した。細胞ペレットを解凍した後、溶解緩衝液(50mMのNaCl、50mMのTris、1mMのEDTA、pH8.0)中に再懸濁した。次いで音波処理によって細胞を溶解した。GSH−セファロースカラム(Amersham Biosciences)でアフィニティクロマトグラフィを使用して、可溶性細胞分画から組換え融合タンパク質を精製した。カラムで精製した後、カラムビーズをトロンビン緩衝液(150mMのNaCl、20mMのTris、1mMのCaCl、pH8.0)中で平衡化し、再懸濁した後、50Uのウシトロンビン(Sigma)を添加した。カラムを37℃のインキュベーターに一晩配置して、融合タンパク質をタンパク質分解により切断した。Tris緩衝生理食塩水(150mMのNaCl、50mMのTris、pH8.0)を用いてカラムから、遊離した毒素を溶出した。その毒素を、逆相(rp)HPLCを使用して直ちに精製し、その後凍結乾燥させた。次いで、凍結乾燥させた毒素を、適切な緩衝液中に再懸濁した。
【0111】
Vydac C18分析カラム(4.6×250mm、細孔径5μm)を使用したrpHPLCによって、非天然ジスルフィド結合異性体および他の汚染物から、正確に折り畳まれた組換え毒素を分離した。その毒素を、10〜18%のアセトニトリルの線形勾配を使用して、20分間かけて1mL/分の流速でカラムから溶出した。正確に折り畳まれた毒素は、滞留時間が9〜10分において主要なピークとして溶出した。毒素分子量を、エレクトロスプレー質量分析を使用して確認した。正確に折り畳まれた組換え毒素の収率を、関連するHPLCピークの積分により見積もり、約70〜80%であることが明らかになった。
【0112】
(実施例2:rU−ACTX−Hv1aの三次元構造の決定)
NMR実験を、パルスフィールド勾配を備えた4チャンネルのVarian INOVA 600 NMRスペクトロメータを使用して行った。すべての実験を25℃にて行った。すべてのデータを、NMRPipeを使用して処理した。処理したスペクトルを解析し、XEASYプログラムを使用してピークを積分した。
【0113】
3D HNCACB、CBCA(CO)NH、HNCACO、HNHA、およびHNHB実験からのデータを使用して、骨格H、15N、13Cの化学シフトの割り当てを行った。側鎖原子の化学シフトの割り当てを、3D C(CO)NH−TOCSY、HC(CO)NH−TOCSY、およびHCCH−COSYのスペクトルを使用して行った。rU−ACTX−Hv1aのH、15Nおよび13Cの化学シフト割り当ての完全なセットを、BioMagResBankに登録番号7117で寄託した。
【0114】
プロトン間距離の拘束条件を、3D 15N−edited NOESYおよび13C−edited NOESYスペクトルのピーク強度の積分によって得た。まず、CYANAのCANDIDマクロを使用してNOEの割り当てを行った後、手動にて細密化した。CYANAプログラムのCALIBRAマクロを使用して、NOESYスペクトルからのクロスピーク強度を距離拘束条件に変換した。
【0115】
α、Cα、CβおよびHの化学シフトのTALOS解析から二面角拘束条件を得て、構造計算のために、各拘束条件の範囲をTALOS予測の標準偏差の2倍に設定した。15N−editedおよび13C−edited NOESY実験により測定したHα−HβおよびH−Hβ NOE強度とカップリングした、3D HNHB実験により導き出されたH−Hβカップリングの解析を使用して、χ1拘束条件を求め、β−メチレンプロトンの立体特異的な割り当てを行った。その他の立体特異的割り当ては、CYANAコンピュータプログラムを使用して計算した予備構造の解析により行った。
【0116】
同じ毒素のスーパーファミリーの一部であるω−ACTX−Hv1aおよびJ−ACTX−Hv1c毒素において実験的に決定したジスルフィド結合パターンから、ジスルフィド結合を割り当てた。したがって、rU−ACTX−Hv1aのジスルフィド結合は、Cys3−Cys18、Cys10−Cys23、およびCys17−Cys37であった。
【0117】
水素結合を、以下の2つの方法から決定した:(i)2D HNCO実験における水素結合のスカラー結合の直接観察、ならびに(ii)凍結乾燥させたrU−ACTX−Hv1aの試料を100%のDOに溶解し、Hプロトンと溶媒重陽子との交換を2D HSQCスペクトルの時間経過におけるピーク強度の変化から監視した、水素−重水素交換実験の解析。表1にまとめた通り、これらの解析から14個の水素結合の割り当てが行われた。構造計算のため、各水素結合のO−NおよびO−H間の距離を、それぞれ2.7〜3.1Åおよび1.7〜2.1Åの範囲に拘束した。
【0118】
【表1】

実験で導き出したすべての拘束条件を使用して、1000個のrU−ACTX−Hv1aの構造を、CYANAコンピュータプログラムを使用してランダムな最初の構造から計算した。次いで、最終ペナルティ関数値が最も低いものと定義された最良の60個の構造を、X−PLORコンピュータプログラムを使用して、ダイナミックシミュレーションアニーリングによって精密化した。rU−ACTX−Hv1a構造の代表的なものとして、X−PLORで分子エネルギーが最も低かった25個の構造を選択した(図2)。この25個のrU−ACTX−Hv1a構造の一揃いの原子座標を、構造算出に使用される拘束条件の一覧とともに、登録番号2H1ZでProtein Data Bankに寄託した。
【0119】
この一揃いのrU−ACTX−Hv1aの構造は非常に正確であり、明確に規定された領域(残基3〜39)の骨格N、C’およびCα原子の根平均二乗偏差(rmsd)は、算出された平均座標構造に対して0.14±0.05Åであった。残基3〜39の全重元素のrmsdは、平均座標構造に対して0.59±0.07Åであった。
【0120】
PROCHECKプログラムを使用した一揃いのrU−ACTX−Hv1a構造の解析により、非Gly/非Pro残基の85%がラマチャンドランプロットの「最も好ましい(most favored)」領域にある一方で、残りの15%が「さらに許容される(additionally allowed)」領域にあることが示された(図3)。「許容されない(disallowed)」領域にある残基はなかった(図3)。
【0121】
図4は、MOLMOLコンピュータプログラムを使用して作成したrU−ACTX−Hv1aの三次元構造のリチャードソン模式図を示している。主要な二次構造要素は、β鎖1(β1、残基22〜27)とβ鎖2(β2、残基33〜38)とを含有するC末端β−ヘアピンである。
【0122】
(実施例3:rU−ACTX−Hv1aの機能的ファーマコフォアの詳細の決定)
rU−ACTX−Hv1aの機能に不可欠な残基を、アラニン走査型変異誘発を使用して決定した。この手法では、個々の残基をアラニンに変異させた後、変異毒素の活性を、野生型rU−ACTX−Hv1a(配列番号1)の活性と比較した。rU−ACTX−Hv1aの阻害性システインknotモチーフを含む6個のシステイン残基(すなわち、Cys3、Cys10、Cys17、Cys18、Cys23、およびCys37)は、毒素の三次元構造の規定に重要であると推定されることから、アラニン走査から除外したため、これらの埋もれたシステイン残基は、rU−ACTX−Hv1aが標的とする昆虫イオンチャネルと相互作用するとは予想されない。Ala21およびAla39も変異させなかった。rU−ACTX−Hv1aの一次構造に存在する残りの28個の非アラニン残基を、個別にアラニンに変異させた。
【0123】
大部分の変異毒素は、野生型rU−ACTX−Hv1aについて上に記載したように、可溶性GST融合タンパク質として大腸菌で成功裏に過剰産生された。しかし、L10A融合タンパク質は不溶性であることが判明したため、この残基のさらなる変異は行わなかった。
【0124】
アラニン側鎖は、ほとんどの種類のポリペプチド二次構造(すなわち、α−ヘリックス、β−シート、およびβ−ターン)に含めることが可能であるため、大きな構造摂動を導入する可能性を最小限にするために、走査型変異誘発で利用されることが多い。しかし、たいていの場合アラニン置換が構造的に十分に許容されるにもかかわらず、各rU−ACTX−Hv1a変異体を、野生型毒素と比較して構造摂動について解析した。唯一の窒素源として15Nを有する最小培地中で増殖させた大腸菌BL21細胞で過剰産生によって、2D H−15N HSQCスペクトルを得るために、rU−ACTX−Hv1a(配列番号1)およびその変異体の試料を調製した。15Nで均一に標識した各変異毒素の2D HSQCスペクトルを、同一の実験条件を用いて得られた野生型rU−ACTX−Hv1aのHSQCスペクトルと比較した。変異毒素のHSQCスペクトルがrU−ACTX−Hv1aのHSQCスペクトルと厳密に重なった場合には、アラニン置換を導入しても、いかなる有意な構造摂動も変異毒素において引き起こされないと結論付けた。
【0125】
rU−ACTX−Hv1aのHSQCスペクトルの各ピークの化学シフトと、変異毒素のスペクトルの対応するピークの化学シフトとの間の差を測定することにより、HSQCスペクトルを定量的に比較した。化学シフトの差(Δδ)を、以下の式を使用して算出した:
【0126】
【数3】

(式中、ΔδおよびΔδは、それぞれ窒素(15N)およびプロトン(H)の特性におけるHSQCピークの化学シフトの差である)。
【0127】
HSQCスペクトルのピークの10%以上が0.25ppmを超えるΔδ値を有する場合に、rU−ACTX−Hv1aに比べて構造的に摂動したと変異体を判断した。この基準に基づくと、4つの変異毒素だけが、構造摂動を表す化学シフトの差を示した。E26A変異体のHSQCスペクトルは、rU−ACTX−Hv1aのHSQCスペクトルと劇的に異なっており、大きな構造摂動が示された。そのため、これを機能アッセイから除外した。その他3つの変異体、すなわちT14A、Y35A、およびR38AのHSQCスペクトルによって、4〜6残基のピークが0.25ppmを超えるΔδを有することが明らかにされ、軽微な構造摂動が示された。
【0128】
残り27個のアラニン走査変異体のそれぞれのin vivo活性を、イエバエ(Musca domestica)に注入した際のLD50値をrU−ACTX−Hv1aのLD50値に比べて評価することにより決定した。これらの変異体の内の20個は、rU−ACTX−Hv1aに比べると、殺虫活性を5分の1より大きい活性にさせた(表2を参照)。したがって、これらの20個の残基は毒素活性に不可欠なものではないと結論付けた。アラニンへの変異によって殺虫活性が5分の1より小さくなった残基は7個あり、これらの残基はGln8、Pro9、Asn28、Thr33、Val34、Tyr35、およびTyr36であった。しかし、上に概説したHSQC構造解析では、Y35A変異体が野生型rU−ACTX−Hv1a構造に対して構造的に摂動したことが示された。したがって、rU−ACTX−Hv1aの殺虫活性に重要であると思われる残基は、6個(Gln8、Pro9、Asn28、Thr33、Val34、およびTyr36)存在する。
【0129】
殺虫作用またはrU−ACTX−Hv1aに最も不可欠な残基は、Gln8、Pro9、Asn28およびVal34である。なぜなら、これらの残基のアラニンへの変異は、殺虫能力を19分の1から164分の1にしたためである。それに対して、Thr33およびTyr36のアラニンへの変異は、毒素活性を5.3分の1から7.2分の1というわずかしか低下させなかった。これら4つの不可欠な残基は、毒素の単一面のきわめて近い位置にあり(図5)、毒素と標的昆虫イオンチャネルとの相互作用の一次エピトープを表す可能性が最も高い。これらの残基はrU−ACTX−Hv1aの一次ファーマコフォア要素である。
【0130】
これら4つの一次ファーマコフォア要素は、機能的ファーマコフォアの詳細である、ほとんど連続した特徴を、毒素の表面に形成する(図5)。これらの残基に囲まれた表面積は、代表的な有機殺虫剤または医薬品の表面積とほとんど同じである。
【0131】
【表2】

本明細書では、殺虫剤として有用なU−ACTXポリペプチドの構造的および/または機能的な模倣物を同定する方法が開示される。特に、PDB ID 2H1ZおよびRCSB ID RCSB037828を有するrU−ACTX−Hv1a殺虫性毒素の原子座標から作成した分子モデルを使用して、rU−ACTX−Hv1a分子モデルの構造を模倣する候補分子を同定する。分子モデルを使用しながら分子モデルにおいてファーマコフォア残基Q、P、N28およびV34を同定する方法は、機能性U−ACTX模倣物の同定の助けとなる。特に、昆虫に対する致死性、昆虫カルシウムチャネルの阻害、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルの阻害、昆虫カルシウムチャネルへの結合、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルへの結合、または上記のうちの1つ以上の組み合わせを示す模倣物が特に望ましい。
【0132】
本明細書において「第1」、「第2」などの用語は、何らかの順序、量、または重要性を示すのではなく、むしろそれぞれの要素を区別するために使用される。また、本明細書において「a」および「an」という用語は、量の制限を示すのではなく、むしろ言及した項目が少なくとも1つ存在することを示す。本明細書で開示される範囲はすべて包括的なものであり、組み合わせが可能である。
【0133】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明してきたが、種々の変更が行われることができ、本発明の範囲から逸脱することなく、その要素が均等物で代用され得ることを、当業者は理解する。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるように多くの改変を行い得る。したがって、本発明は、本発明を実施することが意図される最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を包含することが意図される。
【0134】
引用されるすべての特許、特許出願およびその他の参考文献は、全体が参考として本明細書で援用される。
【0135】
U−ACTXの座標を含む表3がコンパクトディスク1にて提出されている。コンパクトディスク1に関する情報は、本明細書で参考として組み込まれる。
【0136】
【表3−1】

【0137】
【表3−2】

【0138】
【表3−3】

【0139】
【表3−4】

【0140】
【表3−5】

【0141】
【表3−6】

【0142】
【表3−7】

【0143】
【表3−8】

【0144】
【表3−9】

【0145】
【表3−10】

【0146】
【表3−11】

【0147】
【表3−12】

【0148】
【表3−13】

【0149】
【表3−14】

【0150】
【表3−15】

【0151】
【表3−16】

【0152】
【表3−17】

【0153】
【表3−18】

【0154】
【表3−19】

【0155】
【表3−20】

【0156】
【表3−21】

【0157】
【表3−22】

【0158】
【表3−23】

【0159】
【表3−24】

【0160】
【表3−25】

【0161】
【表3−26】

【0162】
【表3−27】

【0163】
【表3−28】

【0164】
【表3−29】

【0165】
【表3−30】

【0166】
【表3−31】

【0167】
【表3−32】

【0168】
【表3−33】

【0169】
【表3−34】

【0170】
【表3−35】

【0171】
【表3−36】

【0172】
【表3−37】

【0173】
【表3−38】

【0174】
【表3−39】

【0175】
【表3−40】

【0176】
【表3−41】

【0177】
【表3−42】

【0178】
【表3−43】

【0179】
【表3−44】

【0180】
【表3−45】

【0181】
【表3−46】

【0182】
【表3−47】

【0183】
【表3−48】

【0184】
【表3−49】

【0185】
【表3−50】

【0186】
【表3−51】

【0187】
【表3−52】

【0188】
【表3−53】

【0189】
【表3−54】

【0190】
【表3−55】

【0191】
【表3−56】

【0192】
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【0193】
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【表3−60】

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【0251】
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【表3−133】

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【表3−134】

【0270】
【表3−135】

【0271】
【表3−136】

【0272】
【表3−137】

【0273】
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【0274】
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【0275】
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【0276】
【表3−141】

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【表3−144】

【0280】
【表3−145】

【0281】
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【0282】
【表3−147】

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【0292】
【表3−157】

【0293】
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【0294】
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【0295】
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【表3−161】

【0297】
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【0298】
【表3−163】

【0299】
【表3−164】

【0300】
【表3−165】

【0301】
【表3−166】

【0302】
【表3−167】

【0303】
【表3−168】

【0304】
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【0305】
【表3−170】

【0306】
【表3−171】

【0307】
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【0308】
【表3−173】

【0309】
【表3−174】

【0310】
【表3−175】

【0311】
【表3−176】

【0312】
【表3−177】

【0313】
【表3−178】

【0314】
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【0315】
【表3−180】

【0316】
【表3−181】

【0317】
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【0318】
【表3−183】

【0319】
【表3−184】

【0320】
【表3−185】

【0321】
【表3−186】

【0322】
【表3−187】

【0323】
【表3−188】

【0324】
【表3−189】

【0325】
【表3−190】

【0326】
【表3−191】

【0327】
【表3−192】

【0328】
【表3−193】

【0329】
【表3−194】

【0330】
【表3−195】

【0331】
【表3−196】

【0332】
【表3−197】

【0333】
【表3−198】

【0334】
【表3−199】

【0335】
【表3−200】

【0336】
【表3−201】

【0337】
【表3−202】

【0338】
【表3−203】

【0339】
【表3−204】

【0340】
【表3−205】

【0341】
【表3−206】

【0342】
【表3−207】

【0343】
【表3−208】

【0344】
【表3−209】

【0345】
【表3−210】

【0346】
【表3−211】

【0347】
【表3−212】

【0348】
【表3−213】

【0349】
【表3−214】

【0350】
【表3−215】

【0351】
【表3−216】

【0352】
【表3−217】

【0353】
【表3−218】

【0354】
【表3−219】

【0355】
【表3−220】

【0356】
【表3−221】

【0357】
【表3−222】

【0358】
【表3−223】

【0359】
【表3−224】

【0360】
【表3−225】

【0361】
【表3−226】

【0362】
【表3−227】

【0363】
【表3−228】

【0364】
【表3−229】

【0365】
【表3−230】

【0366】
【表3−231】

【0367】
【表3−232】

【0368】
【表3−233】

【0369】
【表3−234】

【0370】
【表3−235】

【0371】
【表3−236】

【0372】
【表3−237】

【0373】
【表3−238】

【0374】
【表3−239】

【0375】
【表3−240】

【0376】
【表3−241】

【0377】
【表3−242】

【0378】
【表3−243】

【0379】
【表3−244】

【0380】
【表3−245】

【0381】
【表3−246】

【0382】
【表3−247】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
U−ACTX殺虫性毒素の三次元構造の少なくとも一部を模倣する候補分子を同定する方法であって、
表3の通りのrU−ACTX−Hv1a殺虫性毒素の原子座標から作成した分子モデルを提供することと;
該分子モデルを使用して、該rU−ACTX−Hv1a分子モデルの構造を模倣する候補分子を同定することと;
同定される候補物質分子を提供することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記分子モデルを使用しながら前記分子モデルにおいてファーマコフォア残基Q、P、N28およびV34を同定することもさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
提供することが、前記候補分子を合成すること、またはライブラリーから前記候補分子を得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
機能アッセイにおいて前記候補分子を試験することもさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記機能アッセイが、昆虫に対する致死性、昆虫カルシウムチャネルの阻害、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルの阻害、昆虫カルシウムチャネルへの結合、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルへの結合、または前記機能アッセイのうちの1つ以上の組み合わせについての試験を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記分子モデルを使用し、改変された候補分子を同定して、前記候補分子と比べて、昆虫に対する致死率が高いか、昆虫カルシウムチャネルの阻害が増大しているか、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルの阻害が増大しているか、昆虫カルシウムチャネルへの結合が増大しているか、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルへの結合が増大しているか、または前記機能のうちの1つ以上が増大している、改変された候補分子を同定および作製することもさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記機能アッセイにより、ワモンゴキブリに由来するDUMニューロンにおけるCaチャネル電流の阻害、ゴキブリpSloチャネルの阻害、または前記アッセイのうちの1つ以上を含む組み合わせが測定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
rU−ACTX−Hv1aの三次元構造の少なくとも一部を模倣する候補分子を選択するための方法であって、
メモリ手段と、データ入力手段と、視覚表示手段とを有するコンピュータを提供することであって、該メモリ手段が、座標データをメモリ手段から読み出すことと、rU−ACTX−Hv1aの三次元像を該視覚表示手段に表示する操作が可能な三次元分子シミュレーションソフトウェアを含む、コンピュータを提供することと;
表3のrU−ACTX−Hv1の原子の三次元座標データを該コンピュータに入力して、該メモリ手段にデータを記憶することと;
該候補分子の該三次元像を該視覚表示手段に表示することと;
rU−ACTX−Hv1aと該候補分子との該三次元構造を比較することと;
該候補分子を提供することと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記分子モデルを使用しながら該分子モデルにおいて前記ファーマコフォア残基Q、P、N28およびV34を同定することもさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
提供ことが、前記候補分子を合成すること、またはライブラリーから前記候補分子を得ることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
機能アッセイにおいて前記候補分子を試験することもさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記機能アッセイが、昆虫に対する致死性、昆虫カルシウムチャネルの阻害、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルの阻害、昆虫カルシウムチャネルへの結合、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルへの結合、または上記機能アッセイのうちの1つ以上の組み合わせについての試験を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記分子モデルを使用し、改変された候補分子を同定して、前記候補分子と比べて、昆虫に対する致死率が高いか、昆虫カルシウムチャネルの阻害が増大しているか、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルの阻害が増大しているか、昆虫カルシウムチャネルへの結合が増大しているか、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルへの結合が増大しているか、または前記機能のうちの1つ以上が増大している、改変された候補分子を同定および作製することもさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記機能アッセイにより、ワモンゴキブリに由来するDUMニューロンにおけるCaチャネル電流の阻害、ゴキブリpSloチャネルの阻害、または前記アッセイのうちの1つ以上を含む組み合わせが測定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
U−ACTX殺虫性毒素の三次元構造の少なくとも一部を模倣する分子を同定する方法であって、
U−ACTXポリペプチドの三次元モデルを作成することと;
該三次元モデルにおいてファーマコフォア残基Q、P、N28およびV34を同定することと;
コンピュータ解析を行って、該U−ACTXポリペプチドの該ファーマコフォア残基を模倣する候補分子を同定することと、
を含む、方法。
【請求項16】
三次元モデルを作成する前に、
精製されたU−ACTXポリペプチドを得ることと、
前記U−ACTXポリペプチドの原子座標を得ることと、
をもさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記U−ACTX殺虫性毒素が、配列番号1と約70%以上同一であるアミノ酸配列を含み、前記ポリペプチドが殺虫活性を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記U−ACTX殺虫性毒素が、配列番号1と約85%以上同一であるアミノ酸配列を含み、前記ポリペプチドが殺虫活性を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記U−ACTX殺虫性毒素が、配列番号1と約90%以上同一であるアミノ酸配列を含み、前記ポリペプチドが殺虫活性を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
昆虫に対する致死性、昆虫カルシウムチャネルの阻害、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルの阻害、昆虫カルシウムチャネルへの結合、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルへの結合、または前記機能アッセイのうちの1つ以上の組み合わせについて、前記候補分子を機能アッセイにおいて試験することもさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記分子モデルを使用し、改変された候補分子を同定して、前記候補分子と比べて、昆虫に対する致死率が高いか、昆虫カルシウムチャネルの阻害が増大しているか、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルの阻害が増大しているか、昆虫カルシウムチャネルへの結合が増大しているか、昆虫カルシウム依存性カリウムチャネルへの結合が増大しているか、または上記機能のうちの1つ以上が増大している、改変された候補分子を同定および作製することもさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記機能アッセイにより、ワモンゴキブリに由来するDUMニューロンにおけるCaチャネル電流の阻害、ゴキブリpSloチャネルの阻害、または上記アッセイのうちの1つ以上を含む組み合わせが測定される、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−540295(P2009−540295A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514359(P2009−514359)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/013342
【国際公開番号】WO2008/036138
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(501315876)ユニバーシティ オブ コネチカット (22)
【Fターム(参考)】