説明

昆虫行動修正化合物

【課題】アザミウマ忌避剤及び/又はアザミウマ誘引剤を用いてアザミウマ群を抑制する方法、植物への被害を予防し又は最小限に抑える方法を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表される特定のピリジン誘導体を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリップス・オブスキュラタス(Thrips obscuratus)、ネギアザミウマ(ネギアザミウマ)及びミカンキイロアザミウマ(ミカンキイロアザミウマ)の群を含むアザミウマ群を抑制し、調査し又は調節する方法に関する。本発明は特に、アザミウマによる植物の被害を予防する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
害虫は、世界的問題であり、頻繁に栽培作物及び植物に被害をもたらす。Thysanoptera目を含むアザミウマは、一般的な害虫の1つである。花及び葉を食べ、植物に卵を産むことによって、アザミウマは作物に重大な被害を引き起こす。アザミウマの中には、植物に被害を与えるウイルスに拡がるものもある。
【0003】
つぼみのような植物の閉じた部分内で昆虫は活性であることがあるので、アザミウマの
来襲は、特に低密度では、検知するのが困難である。これは、アザミウマに殺虫剤を近づけるのを困難にさせる。更に、環境への懸念からは、昆虫群を抑制するために殺虫剤を使用するのはあまり望ましくなく、多くの種類のアザミウマは殺虫剤に耐性を有するようになる。従って、栽培作物及び植物に対する被害の可能性を低減するために、低密度のアザミウマを監視する方法及びアザミウマを抑制する代替的方法が望まされている。
【0004】
アザミウマの宿主の検出及び方位のためにアザミウマはにおいを用いる、ことが提案されてきた。従って、ある芳香化合物は、アザミウマの誘引物質及び/又は捕獲物質として働くことができる。そのため、誘引化合物を添加した好適なトラップを用いて昆虫を引き寄せることができるだろう。
【0005】
忌避物質も、特に誘引化合物を添加した別のトラップとともに用いる場合には、栽培作物を保護し得る。
【0006】
ニコチン酸エチルは、スリップス・オブスキュラタス(Thrips obscuratus)の強力な誘引物質である(非特許文献1:D. R. Penman, G.O. Osborne, S. P. Worner, R. B. Chapman and G. F. McLaren, Journal of Chemical Ecology, (1982) 8, 1299)。このアザミウマは、完熟モモに引き寄せられるが、ニコチン酸エチルは、完熟モモよりも昆虫には更に魅力的である。ニコチン酸エチルは、ミカンキイロアザミウマ(ミカンキイロアザミウマ)には、それ程魅力的ではなく、ネギアザミウマ(ネギアザミウマ)ではその誘引度は変動する(非特許文献2:Teulon, D. A. J., Penman, D. R. and Ramakers, P. M. J. (1993) J. Econ. Entomol., 86, 1405-1415)。
【0007】
多数の他の芳香化合物が、様々なアザミウマの種類の誘引物質として報告されてきた。例えば、アニスアルデヒドは、青色の粘着トラップ(非特許文献3:H. F. Brdsgaard, WPRS Bull. (1990) XI 11, 36)又は黄色の粘着トラップ(非特許文献4:Teulon, D. A. J., Hollister, B. and Cameron, E. A. (1993) IBOCIWPRS Bull., 16,177-180)と組み合わせて、ミカンキイロアザミウマの誘引物質である。アニスアルデヒドは、ネギアザミウマではその誘引度が変動し(非特許文献2:Teulon, D. A. J., Penman, D. R. and Ramakers, P. M. J. (1993) J. Econ. Entomol., 86, 1405-1415)、ハナアザミウマ(Thrips hawaiiensis)には誘引物質であるが、ビワハナアザミウマ(Thrips coloratus)では誘引物質でない(非特許文献5:T. Murai, T. Imai and M. Maekawa, Journal of Chemical Ecology, (2000) 26, 2557)。
【0008】
フィールド試験では、メチルアンスラニレートは、ハナアザミウマ及びビワハナアザミウマには誘引物質であるが、ネギアザミウマには誘引物質でないことが分かっている(非特許文献5:T. Murai, T. Imai and M. Maekawa, Journal of Chemical Ecology, (2000) 26, 2557)。更に、エチルアンスラニレートは、ハナアザミウマ、ビワハナアザミウマ及びキイロハナアザミウマ(Thrips flavus)には誘引物質である(非特許文献6:T. Imai, M. Maekawa and T. Murai, Appl. Entomol. Zool. (2001) 36, 475)。
【0009】
酢酸デシル及び酢酸ドデシルは、忌避活性を有する、ミカンキイロアザミウマの警報ホルモンとして報告されている(非特許文献7:K. M.MacDonald, J. G. C. Hamilton, R. Jacobson and W. D. J. Kirk, Entomologia Experimentalis et Applicata (2002), 103, 279)。これらの化合物は、ミカンキイロアザミウマの現地来襲を抑制するために殺虫剤と併用されてきた(非特許文献8:D. F. Cook, I. R. Dadour and W. J. Bailey, Int. J. Pest Management (2002), 48, 287)。
【0010】
特許第48006537号明細書(特許文献1)は、アザミウマのような昆虫を捕獲し殺すために用いられる誘引物質、アニスアルデヒド及び(又は)桂皮アルデヒドを含む器具を記載する。
【0011】
特許第02049703号明細書(特許文献2)、同第01261303号明細書(特許文献3)及び同第01038003号明細書(特許文献4)は、各々、アザミウマ、特にミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)用の忌避剤としてのユージノール及び/又はβ−イオノン、桂皮アルデヒド及び/又はo−メトキシ桂皮アルデヒド、又はチアゾール誘導体を記載する。
【0012】
国際公開第03/055309号公報(特許文献5)は、行動修正化合物を用いるアザミウマの調査又は抑制方法を記載する。フィールド試験よりもY−チューブ・オルファクトメーターで試験することによって、モノテルペンエステルが、ミカンキイロアザミウマには魅力的であることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第48006537号明細書
【特許文献2】特許第02049703号明細書
【特許文献3】特許第01261303号明細書
【特許文献4】特許第01038003号明細書
【特許文献5】国際公開第03/055309号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】D. R. Penman, G.O. Osborne, S. P. Worner, R. B. Chapman and G. F. McLaren, Journal of Chemical Ecology, (1982) 8, 1299
【非特許文献2】Teulon, D. A. J., Penman, D. R. and Ramakers, P. M. J. (1993) J. Econ. Entomol., 86, 1405-1415
【非特許文献3】H. F. Brdsgaard, WPRS Bull. (1990) XI 11, 36
【非特許文献4】Teulon, D. A. J., Hollister, B. and Cameron, E. A. (1993) IBOCIWPRS Bull., 16,177-180
【非特許文献5】T. Murai, T. Imai and M. Maekawa, Journal of Chemical Ecology, (2000) 26, 2557
【非特許文献6】T. Imai, M. Maekawa and T. Murai, Appl. Entomol. Zool. (2001) 36, 475
【非特許文献7】K. M.MacDonald, J. G. C. Hamilton, R. Jacobson and W. D. J. Kirk, Entomologia Experimentalis et Applicata (2002), 103, 279
【非特許文献8】D. F. Cook, I. R. Dadour and W. J. Bailey, Int. J. Pest Management (2002), 48, 287
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、アザミウマを抑制し、調査し又は調節するための方法を提供すること、又は少なくとも有用な選択として一般に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第一の局面では、本発明は、下記式(I):
【0017】
【化1】

【0018】
[式中、
R1は、
【0019】
【化2】

【0020】
から選ばれ;
R2、R3、R4及びR5は各々独立に、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、又は置換されていてもよい直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、アルケニルもしくはアルキニルであり;並びに、R6は、水素原子、又は置換されていてもよい直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、シクロアルキル、アルケニルもしくはアルキニルから選ばれる。]
で表される、少なくとも1のアザミウマ行動修正化合物を提供するステップを含む、アザミウマ群を抑制し、調査し又は調節する方法を提供する。
【0021】
好ましくは、R2、R3及びR5は全て水素原子であり、かつR4はハロゲンである。
【0022】
あるいは、R2、R3、R4及びR5は全てハロゲンであることが好ましい。
【0023】
R1
【0024】
【化3】

【0025】
であることが更に好ましい。
【0026】
あるいは、R1
【0027】
【化4】

【0028】
であることが好ましい。
【0029】
あるいは、R1
【0030】
【化5】

【0031】
であることが好ましい。
【0032】
R1
【0033】
【化6】

【0034】
であるとき、R6は直鎖又は分枝鎖のアルキルであることが好ましい。
【0035】
好ましい実施態様では、式(I)少なくとも1のアザミウマ行動修正化合物は上で定義されたとおりである。但し、R1は、
【化7】

であり、R2、R3、R4及びR5は全て水素原子であり、かつR6はイソペンテニル又はヘキシルでない。
【0036】
式(I)の好ましい化合物は、以下を含む:イソニコチン酸メチル;イソニコチン酸エチル;イソニコチン酸プロピル;イソニコチン酸イソプロピル;イソニコチン酸デシル;エチル2−クロロ−イソニコチン酸;ピリジン4−(1,3−ジオキソラン−2−イル);ジ−イソプロピルイソニコチンアミド;4−ホルミルピリジン;メチル4−ピリジルケトン;エチル4−ピリジルケトン;プロピル4−ピリジルケトン;4−シアノピリジン;及び、4−ピリジルチオ酢酸。
【0037】
本発明は、好ましくは、式(I)の少なくとも1のアザミウマ行動修正化合物を固定器具に提供するステップを含むアザミウマ群を抑制し、調査し又は調節する方法であって、式(I)の化合物が、固定器具にアザミウマを引き寄せる、前記方法を提供する。固定器具は、好ましくは、アザミウマを捕獲し、動かなくさせる又は殺す手段を含む。好適な固定器具は、ウォータートラップ、粘着トラップ又はフェロモントラップを含む。
【0038】
第二の局面では、本発明は、上で定義される式(I)の少なくとも1のアザミウマ誘引化合物を提供することより、植物からアザミウマを引き離すステップを含む、アザミウマによって起こる植物への被害を予防し又は最小限に抑える方法を提供する。
【0039】
R2、R3及びR5は全て水素原子であり、かつR4はハロゲンであることが好ましい。
【0040】
あるいは、R2、R3、R4及びR5は全てハロゲンであることが好ましい。
【0041】
R1
【0042】
【化8】

【0043】
であることが更に好ましい。
【0044】
R1
【0045】
【化9】

【0046】
であるとき、R6は直鎖又は分枝鎖のアルキルであることが好ましい。
【0047】
あるいは、R1
【0048】
【化10】

【0049】
であることが好ましい。
【0050】
R1
【0051】
【化11】

【0052】
であるとき、R6は直鎖又は分枝鎖のアルキルであることが好ましい。
【0053】
あるいは、R1
【0054】
【化12】

【0055】
であることが好ましい。
【0056】
R1
【0057】
【化13】

【0058】
であるとき、Rは直鎖又は分枝鎖のアルキルであることが好ましい。
【0059】
好ましい実施態様では、式(I)の少なくとも1のアザミウマ誘引化合物は、上で定義されたとおりである。但し、R
【0060】
【化14】

【0061】
であり、R、R、R及びRは全て水素原子であり、かつRはイソペンテニル又はヘキシルでない。
【0062】
式(I)の好ましい化合物は、以下を含む:イソニコチン酸メチル;イソニコチン酸エチル;イソニコチン酸プロピル;イソニコチン酸イソプロピル;イソニコチン酸デシル;エチル2−クロロ−イソニコチン酸;ピリジン4−(1,3−ジオキソラン−2−イル);ジ−イソプロピルイソニコチンアミド;4−ホルミルピリジン;メチル4−ピリジルケトン;エチル4−ピリジルケトン;及びプロピル4−ピリジルケトン。
【0063】
第三の局面では、本発明は、上で定義される式(I)の少なくとも1のアザミウマ忌避化合物を提供することにより、植物からアザミウマを忌避するステップを含む、アザミウマによって起こる植物の被害を予防し又は最小限に抑える方法を提供する。
【0064】
R1はCNであることが好ましい。
【0065】
あるいは、R1
【0066】
【化15】

【0067】
であることが好ましい。
【0068】
あるいは、R1
【0069】
【化16】

【0070】
であることが好ましい。
【0071】

【0072】
【化17】

【0073】
であるとき、Rは直鎖又は分枝鎖のアルキルであることが好ましい。
【0074】
好ましい実施態様では、式(I)の少なくとも1のアザミウマ忌避化合物は、上で定義されたとおりである。但し、R
【0075】
【化18】

【0076】
であり、R、R、R及びRは全て水素原子であり、かつRはイソペンテニル又はヘキシルでない。
【0077】
式(I)の好ましい化合物は以下を含む:4−ホルミルピリジン;4−シアノピリジン;及び4−ピリジルチオ酢酸。
【0078】
第四の局面では、本発明は、上で定義される式(I)の少なくとも1のアザミウマ誘引化合物及び上で定義される式(I)の少なくとも1のアザミウマ忌避化合物を提供するステップを含む、アザミウマ群を抑制し、調査し又は調節する方法を提供する。
【0079】
好ましい実施態様では、式(I)の少なくとも1のアザミウマ誘引化合物及び式(I)の少なくとも1のアザミウマ忌避化合物は、上で定義される。但し、R
【0080】
【化19】

【0081】
であり、R、R、R及びRは全て水素原子であり、かつRはイソペンテニル又はヘキシルでない。
【0082】
好ましくは、アザミウマ誘引化合物は、イソニコチン酸メチル、イソニコチン酸エチル、イソニコチン酸プロピル、イソニコチン酸イソプロピル、イソニコチン酸デシル、エチル2−クロロ−イソニコチン酸、ピリジン4−(1,3−ジオキソラン2−イル)、ジ−イソプロピルイソニコチンアミド、4−ホルミルピリジン、メチル4−ピリジルケトン、エチル4−ピリジルケトン及びプロピル4−ピリジルケトンを含む群より選ばれ;そして、1のアザミウマ忌避化合物は、4−ホルミルピリジン、4−シアノピリジン及び4−ピリジルチオ酢酸を含む群より選ばれる。
【0083】
第五の局面では、本発明は、上で定義される式(I)の少なくとも1のアザミウマ行動修正化合物、及び少なくとも1の他のアザミウマ誘引物質又はアザミウマ忌避物質を提供するステップを含む、アザミウマ群を抑制し、調査し又は調節する方法を提供する。
【0084】
好ましくは、少なくとも1の他のアザミウマ誘引物質又はアザミウマ忌避物質は、ニコチン酸エチル、アニスアルデヒド、桂皮アルデヒド、メチルアンスラニレート、エチルアンスラニレート、酢酸デシル、酢酸ドデシル、ユージノール、β−イオノン、o−メトキシ桂皮アルデヒド、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、モノテルペン、1,8−シネオール、サリチルアルデヒド(salicaldehyde)、o−アミノアセトフェノン、吉草酸イソボルニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、2−フェニルエタノール及びp−アリルアニソールを含む群より選ばれる。
【0085】
第六の局面では、本発明は、上で定義される式(I)のアザミウマ誘引化合物を含む、アザミウマを捕獲し、動かなくさせ又は殺す固定器具を提供する。
【0086】
保護され得る植物は、タマネギ、レタス、キャベツ及びその他のアブラナ科の植物、温室野菜、温室果実、花農作物、及びアザミウマの来襲により被害を受ける任意の他の経済的に重要な植物を含む。
【0087】
本発明の方法は、任意の種類のアザミウマに実施すればよい。好ましくは、本発明の方法は、テレブランチア(Terebrantia)亜目、特にネギアザミウマ(ネギアザミウマ)及びミカンキイロアザミウマ(ミカンキイロアザミウマ)に属するアザミウマ種に実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0088】
本明細書で用いる用語「アルキル」は、直鎖又は分枝鎖の飽和の一価の炭化水素ラジカル、好ましくはC〜C20アルキル基、より好ましくはC〜C10アルキル基、最も好ましくは例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、neo−ペンチル、tert−ペンチル等を含むがこれらに制限されない、C1〜C5アルキル基を意味する。
【0089】
本明細書で用いる用語「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合、好ましくはC〜C20アルケニル基、より好ましくはC〜Cアルケニル基、最も好ましくはエテニル、プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、ペンテニル等を含むがこれらに限定されない、C〜Cアルケニル基を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素ラジカルを意味する。
【0090】
本明細書で用いる用語「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合、好ましくはC〜C20アルキニル基、より好ましくはC〜C10アルキニル基、最も好ましくはエチニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、ペンチニル等を含むがこれらに限定されない、C〜Cアルキニル基を有する直鎖又は分枝鎖ラジカルを意味する。
【0091】
本明細書で用いる用語「ハロ」はF、Cl、Br又はI、好ましくはF又はClを言う。
【0092】
本明細書で用いる用語「シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル等を含むがこれらに限定されない、飽和炭素環式ラジカルを意味する。
【0093】
本明細書で用いる用語「場合により置換された」は、置換が親基に共有結合的に結合、付加又は好適には縮合していてもよい、ことを意味する。多数の置換が周知であり、多数の親基へのその形成及び導入も周知である。置換の例は、特に限定されないが以下を含む:ハロ、ヒドロキシ、アルキル、エーテル、アルコキシ、オキソ、イミノ、ホルミル、カルボキシ、カルボキシレート、アシルオキシ、アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル)、アシルアミド(アシルアミノ)、アミノ、シアノ(ニトリル、カルボニトリル)、ニトロ、スルフヒドリル(チオール、メルカプト)、スルホンアミノ、スルフィンアミノ、スルファミル及びスルホンアミド。アルキルは一般的に置換基として好ましい。
【0094】
特に断らない限り、特定の化合物への言及は、ラセミ及びその他の混合物を含む、全てのそのような異性体を含む。そのような異性体の調製(例えば不斉合成)及び分離(例えば分別結晶及びクロマトグラフィー法)の方法は、当該分野で公知であるか、又は本明細書で公知の方式で教示される方法を採用することによって容易に得られる。
【0095】
活性化合物の対応する溶媒和物を調製し、精製し及び/又は取り扱うことは、簡便であり又は望ましい。用語「溶媒和物」は、本明細書では、溶質(例えば活性化合物、活性化合物の塩)及び溶媒の複合体を言うために一般常識で用いられる。溶媒が水の場合には、溶媒和物は、一般的には水和物、例えば、一水和物、二水和物、三水和物等と言うことができる。
【0096】
本明細書で用いる用語「アザミウマ」は、シサノプテラ(Thysanoptera)目の多数の小種の任意の1つ、特に、スリップス・オブスキュラタス(Thrips obscuratus)、ネギアザミウマ及びミカンキイロアザミウマを含むがこれらに限定されないテレブランチア(Terebrantia)亜目に属する 種を意味する。本発明の方法は、スリップス・オブスキュラタス(Thrips obscuratus)、ネギアザミウマ及びミカンキイロアザミウマを含む様々な種類のアザミウマの抑制に用いることができる。
【0097】
本明細書で用いる用語「アザミウマ行動修正化合物」は、アザミウマを当該化合物源に誘引することにより、又は当該化合物源からアザミウマを忌避することによって、アザミウマの行動に影響を与える化合物を意味する。
【0098】
本明細書で用いる用語「アザミウマ誘引化合物」は、誘引及び/又は捕獲作用を有するアザミウマ行動修正化合物を包含する意図である、捕獲はそれ自体誘引ではないが、接近して直ちに生物を保持する。捕獲は、移動運動の実際の速度を減ずることにより又は転向率を増すことにより、生物の直線的進行を遅くする。
【0099】
本明細書で用いる用語「アザミウマ忌避化合物」は、忌避活性を有するアザミウマ行動修正化合物を包含する意図である。アザミウマ忌避化合物は、可能な非標的領域よりも、所与の標的領域(アザミウマ忌避化合物が適用された領域)では、アザミウマをほとんど過さなせないだろう。アザミウマを、標的領域に入らないように又は標的領域に滞在しないようにすることができる。
【0100】
出願人は、園芸及び農業的適用に用いられる新規種類のアザミウマ行動修正剤を発見した。このような行動修正剤は、アザミウマを誘引する及び/又は忌避する化合物を含み、アザミウマにその行動を修正させる。
【0101】
広義には、本発明は、下記式(I):
【0102】
【化20】

【0103】
[式中、
R1は、
【0104】
【化21】

【0105】
から選ばれ;
R2、R3、R4及びR5は各々独立に、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、又は場合により置換直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、アルケニル又はアルキニルであり;並びに、R6は、水素原子、又は場合により置換直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、シクロアルキル、アルケニル又はアルキニルから選ばれる。]
で表される、行動修正化合物を用いて、アザミウマ群を抑制し、調査し又は調節する方法を提供する。
【0106】
本発明の方法で用いるための好ましい化合物は、R2、R3、R4及びR5の1以上がハロゲン、特にR2又はR3がハロゲンである、式(I)の化合物である。特に好ましくは、ミカンキイロアザミウマの強い誘引物質であることが判明した12-クロロイソニコチン酸エチルである。特定の理論に拘束されるものではないが、昆虫の関連受容体部位で結合を増加させるために、ハロゲン等の電子陰性原子はピリジン環上及びカルボニル基での電子密度に影響を与える。
【0107】
本発明の方法に使用するための式(I)の他の好ましい化合物は、R1
【0108】
【化22】

【0109】
であり、かつR6が直鎖又は分枝鎖のアルキルである、アルキルイソニコチン酸エステルを含む。アルキルイソニコチン酸エステルは、ネギアザミウマを強く誘引することが分かっている。ニコチン酸エチル等の構造的に類似の化合物がネギアザミウマの強い誘引物質として公知でないため、これは予期せぬ発見である。イソニコチン酸メチル、イソニコチン酸エチル、イソニコチン酸イソプロピル、イソニコチン酸プロピル及びイソニコチン酸デシルを用いる試験結果を表1に示す。
【0110】
式(I)の化合物のアザミウマ行動修正活性は、試験されるアザミウマの特定の種類に関して変動する。例えば、イソニコチン酸ヘキシルは、スリップス・オブスキュラタス(Thrips obscuratus)又はネギアザミウマをそれほど顕著に引き寄せず、イソニコチン酸アルケニルエステル、イソニコチン酸イソペンテニルは、ミカンキイロアザミウマをそれほど顕著に引き寄せ又は忌避しないことが判明した。
【0111】
しかしながら、これらの化合物は、他の非試験種のアザミウマ行動修正化合物として本発明の方法に有用であるかもしれない。更に、これらの化合物は、様々な量、様々な条件及び/又は他のアザミウマ行動修正剤と組み合わせて使用される場合に、アザミウマ行動修正特性を有することができる。
【0112】
イソニコチン酸アルキルエステルに加えて、構造的に類似のアルキル4-ピリジルケトン化合物(但し、R1
【0113】
【化23】

【0114】
であり、かつR6は直鎖又は分枝鎖のアルキルである。)は、本発明の方法での使用にも好ましい。
【0115】
メチル4−ピリジルケトン及びエチル4−ピリジルケトンは、ネギアザミウマの誘引物質であり(表1)、プロピル4−ピリジルケトンは、ミカンキイロアザミウマの誘引物質である(表2)ことが明らかになっている。
【0116】
イソニコチン酸アルキルは、本発明の方法での使用のための、好ましい式(I)の化合物でもある。ジ−イソ−プロピルイソニコチン酸アミドは、ミカンキイロアザミウマの誘引物質であることが明らかとなった(表2)。
【0117】
式(I)の他の化合物、例えば4-シアノピリジン及び4-ピリジルチオ酢酸は、アザミウマ忌避活性を示す。化合物は、アザミウマが曝露される濃度によって、アザミウマ誘引物質でもあるし、アザミウマ忌避物質でもある可能性がある。例えば、4-ホルミルピリジンは、低濃度ではミカンキイロアザミウマの誘引物質であり、高濃度では忌避物質であることが明らかとなった(表2)。
【0118】
式(I)の好ましい化合物は、以下を含む:イソニコチン酸メチル;イソニコチン酸エチル;イソニコチン酸プロピル;イソニコチン酸イソプロピル;イソニコチン酸デシル;エチル2-クロロ-イソニコチン酸;ピリジン4-(1,3-ジオキソラン-2-イル);ジ-イソプロピルイソニコチンアミド;4-ホルミルピリジン;メチル4-ピリジルケトン;エチル4-ピリジルケトン;プロピル4-ピリジルケトン;4-シアノピリジン;及び、4-ピリジルチオ酢酸。
【0119】
広義には、本発明は、上で定義した式(I)のアザミウマ行動修正化合物を用いて、アザミウマ群を抑制し、調査し又は調節する方法を提供する。
【0120】
ネギアザミウマ及びミカンキイロアザミウマを含むアザミウマの誘引(捕獲を含む)又は忌避等の行動修正特性を証明することができる場合には、式(I)の化合物は、アザミウマ行動修正化合物として有効である。アザミウマ行動修正化合物は、アザミウマ誘引及びアザミウマ忌避化合物を含む。
【0121】
化合物のアザミウマ行動修正活性は、de Kogel et al. (de Kogel, W. J. , Koschier, E. H. and Visser, J. H. Proc. Exper. & Appl. Entomol., N. E V. Amsterdam, (1999) 10, 131-135. ) and Koschier et al. (Koschier, E. H. , De Kogel, W. J. and Visser, J. H. (2000) Journal of Chemical Ecology, 26, 2643-2655)に記載の方法に従って、ガラス製Y-チューブ・オルファクトメーターで評価することができる。
【0122】
活性は、可能性のあるアザミウマ行動修正化合物を含む固定器具を利用するフィールド試験でも評価することができる。
【0123】
本発明はまた、アザミウマによって起こる植物への被害を予防し又は最小限に抑える方法を提供する。
【0124】
1つの実施態様では、本方法は、上で定義した式(I)の少なくとも1のアザミウマ誘引化合物を提供することにより植物からアザミウマを引き離すステップを含む。
【0125】
他の実施態様では、本方法は、上で定義した式(I)の少なくとも1のアザミウマ忌避化合物を提供することにより植物からアザミウマを忌避するステップを含む。
【0126】
上記の方法では、アザミウマ行動修正化合物は、当該分野で公知の任意の方法によって提供することができる。例えば、化合物は、化合物の放出を可能にするディスペンサーで提供してもよい。このようなディスペンサーの例は、行動修正化合物を染み込ませたゴム、プラスチック、皮、綿、木又は木製品からなる、パッド、ビーズ、棒、スパイラル又はボールを含むがこれらに限定されない。行動修正化合物は、アザミウマ群に接近して表面に直接適用してもよい。行動修正化合物がアザミウマ誘引物質かアザミウマ忌避物質かにより、行動修正化合物の位置は決められるべきである。
【0127】
例えば、アザミウマ誘引化合物は、「固定器具」内に設置することができる。このような固定器具は、アザミウマ誘引化合物の有効量を放出するように好ましくはデザインされている。当該具は、アザミウマがはびこる場所(又は、はびこる可能性のある場所)に置かれる。化合物の芳香は、アザミウマを固定器具に引き寄せる。昆虫は、その後、例えば、アザミウマに対して毒性である殺虫剤を固定器具内に含むことによって、固定器具内に捕獲し及び固定し又は殺すことができる。接触した殺虫剤の適用は特に好ましい。
【0128】
本発明は、上で定義した式(I)の少なくとも1のアザミウマ行動修正化合物を含む、アザミウマを捕獲し、固定し又は殺すための固定器具も提供する。
【0129】
多数の様々な固定器具が可能であることは当業者によって理解されることなる。このような固定器具の好適な例は、ウォータートリップ、粘着トリップ及びフェロモントラップを含む。固定器具は、更にアザミウマを誘引するために、着色してもよい。アザミウマを捕獲するためにデザインされた固定器具の更なる例は、Lewis T. 1997, Thrips as Crop Pests, CAB International, Oxonに記載されている。
【0130】
アザミウマ群は、捕獲した昆虫の数を数えることによって調査することができる。推定群に基づいて、群抑制の必要性に関して決定がなされる。例えば、アザミウマの大群の発見は、例えば本発明の方法によって提供される、アザミウマの除去の方法の使用を必要とする。反対に、低アザミウマ群の発見は、群を監視し続けることが差し支えないという決定を導く。
【0131】
あるいは、アザミウマは、アザミウマが疾患に曝露されている場所に引き寄せられる。次いで、他のアザミウマ、又はアザミウマを抑制するために放たれた捕食動物及び/又は捕食寄生動物に広がる。
【0132】
本発明はまた、請求項1で定義された式(I)の少なくとも1のアザミウマ誘引化合物及び請求項1で定義された式(I)の少なくとも1のアザミウマ忌避化合物を提供するステップを含む、アザミウマを抑制し、調査し又は調節する方法を提供する。
【0133】
アザミウマ誘引物質及びアザミウマ忌避物質を同時に提供することにより、上記の「プッシュ-プル」法は、アザミウマの行動を修正する点で特に効果的である。アザミウマ誘引化合物及びアザミウマ忌避化合物は、上記のようにして提供することができる。
【0134】
本発明はまた、上で定義された式(I)の少なくとも1の行動修正化合物及び少なくとも1の他のアザミウマ誘引又はアザミウマ忌避物質を提供するステップを含む、アザミウマ群を抑制し、調査し又は調節する方法を提供する。
【0135】
本発明の方法に用いられる他のアザミウマ誘引物質/忌避物質は、ニコチン酸エチル、アニスアルデヒド、桂皮アルデヒド、メチルアンスラニレート、エチルアンスラニレート、酢酸デシル、酢酸ドデシル、ユージノール、β-イオノン、o-メトキシ桂皮アルデヒド、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、モノテルペン、1,8-シネオール、サリチルアルデヒド(salicaldehyde)、o-アミノアセトフェノン、吉草酸イソボルニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、2-フェニルエタノール及びp-アリルアニソールを含むがこれらに限定されない。
【0136】
式(I)の少なくとも1のアザミウマ誘引化合物は、植物からアザミウマを引き離すために、1以上の他のアザミウマ誘引物質を組み合わせて使用することができる。反対に、式(I)の少なくとも1のアザミウマ忌避化合物は、植物からアザミウマを忌避するために1以上の他のアザミウマ忌避物質と組み合わせて使用することができる。
【0137】
あるいは、式(I)の少なくとも1のアザミウマ誘引化合物は、アザミウマを植物から引き離し、又はアザミウマ群を調査もしくは調節するために、「プッシュ-プル」法で、1以上の他のアザミウマ忌避物質と組み合わせて使用することができる。同様に、式(I)の少なくとも1のアザミウマ忌避化合物は、アザミウマを植物から忌避し、又はアザミウマ群を調査もしくは調節するために、1以上の他のアザミウマ忌避物質と組み合わせて使用することができる。
【0138】
式(I)のアザミウマ行動修正化合物は、純粋な形態又は溶液で提供することができる。好適な溶媒は、有機溶媒、例えば低級アルカノール類、例えばエタノール、アルカン類、例えばヘキサン、ケロシン及び類似の石油、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類等である。
【0139】
本発明の方法で用いられる行動修正化合物の濃度は重要ではない。下限は、有効量を形成するために必要とされる量によって定義される。ある状況では、純粋化合物が使用されることになる。アザミウマ行動を修正するために有用な量は、使用される特定の適用技術、特定の行動修正化合物の有用性、適用時の条件、及び標的とする場所の大きさ及び自然による。このような量は、当業者によって容易に決定することができる。例えば、下記実施例に記載の方法を採用することによって決定することができる。
【0140】
選ばれた化合物のフィールド試験結果を表1に纏め、Y-チューブ・オルファクトメーターの結果を表2に、温室試験結果を表3に纏める。
【0141】
本発明の方法は、多数の様々な場所でアザミウマを抑制又は調査するために用いることができることも理解できるだろう。例えば、本方法は、屋外の場所で又は閉じた構造、例えば温室内で実施することができる。
【0142】
これらの方法は、作物、例えばタマネギ、レタス、キャベツ及びその他のアブラナ科の植物、温室野菜、温室果実、花、及びアザミウマの来襲により被害を受ける任意の他の経済的に重要な植物のアザミウマ来襲(又は来襲の可能性)を抑制し又は調査するために用いることができる。
【0143】
本発明の方法は、アザミウマ来襲の可能性を早期に保護するために又は現実の来襲中にアザミウマを抑制するために使用することができることは、当業者には明白であろう。
【実施例】
【0144】
本発明は、以下の実施例を参考により詳細に述べる。本発明がこれらの実施例に限定されないことは理解できよう。
【0145】
アザミウマ行動修正特性について本発明の選択された化合物を試験した。化合物は、商業的源から購入するか又は合成した。合成方法を実施例1に示し、フィールド試験を実施例2に概略し、Y-チューブ・オルファクトメーター生物試験を実施例3に示し、温室試験を実施例4に示す。表1は、試験した化合物の構造式、及びネギアザミウマ及びスリップス・オブスキュラタス(Thrips obscuratus)に対するその誘引活性を示す。表2は、ミカンキイロアザミウマに対する誘引及び忌避活性を示す。表3は、ミカンキイロアザミウマに対する誘引活性を示す。
【0146】
実施例1:合成
イソニコチン酸イソプロピル
イソニコチン酸(Aldrich, 5 g)のオキサリルクロリド(10.4 ml)の懸濁液を24時間、リフラックスした。イソプロパノール(20 ml, 一滴ずつ)を添加し、室温で2時間おき、次いで減圧濃縮して粗ニコチン酸イソプロピルを得た。重炭酸ナトリウム水溶液(100 ml)を加え、次いで生成物をジクロロメタン(2x100 ml)で抽出した。これを乾燥し、減圧濃縮してイソニコチン酸イソプロピル[登録番号125294-42-0]をクリーム状白油状様固体として得た(5.60 g, 83 %):UV (メタノール) λmax (logε) 212 (3.95), 274 (3.43) nm。
【0147】
イソニコチン酸プロピル
イソニコチン酸(Aldrich, 10 g)を過剰の塩化チオニル(50 ml)で1時間、リフラックスした。過剰の塩化チオニルを減圧濃縮して除き、酸クロリドを得た。プロパノール(12.5 ml)を添加し、30分間攪拌した。重炭酸ナトリウム水溶液(100 ml)を加え、次いで生成物をジクロロメタン(2x200 ml)で抽出した。これを乾燥し、減圧濃縮してイソニコチン酸プロピル[登録番号 90610-01-8]を透明な淡黄色ガムとして得た(5.10 g, 38 %)。1H NMR(CDCl3) δ 8.76 (2H, m), 7.84 (2H, m), 4.31 (2H, t, J=7 Hz), 1.80 (2H, sextet, J=7 Hz), 1.02 (3H, t, J=7 Hz); UV (メタノール) λmax (logε) 212 (3.86), 274 (3.33) nm。
【0148】
n-プロピル 4-ピリジルケトン
窒素雰囲気下、丸底フラスコ中に乾燥ジクロロメタン(50 ml)にピリジニウムクロロクロメート(4.27 g, 19.84mmol)を懸濁した。5分攪拌後、1-(4-ピリジル)-1-ブタノール(2.0 g, 13.23 mmol)の乾燥ジクロロメタン(10 ml)を加えた。反応をt.l.c.で追及し、完了後(約2時間)、無水エーテル(70 ml)を加えた。上清をデカントし、残渣の黒色ガムを無水エーテル(4x100 ml)で洗浄した。併せた有機画分を減圧濃縮し、黒色タール状物質をフラッシュクロマトグラフィー[溶出溶媒としてEtOA]で精製し、茶色油を得た。生成物を次いでシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出溶媒として3:1 EtOAc: ヘキサン]で精製し、n-プロピル 4-ピリジルケトン[登録番号 1701-71-9]を黄緑色油として得た(520 mg, 27 %)。1H NMR (300 MHz, CDCl3):δ 1.01 (3H, t, J=7.5 Hz, CH3), 1. 78 (2H, sxt, J=7.4 Hz, -CH2-), 2.95 (2H, t, J=7.2 Hz, CH2-CO), 7.72 (2H, d, J=5 Hz, H-3, H-5), 8.81 (2H, d, J=5 Hz, H-2, H-6) ppm。
【0149】
4-ピリジルチオ酢酸
4-メルカプトピリジン(100 mg, 0.9 mmol)を終夜、氷冷無水酢酸(2 ml)中で攪拌した。無水酢酸を減圧留去し、残渣をEtOAcに溶解し、飽和NaHCO3で洗浄した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、溶媒を減圧留去し、粗4-ピリジルチオ酢酸[登録番号 36875-66-8]を赤色油として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 特に:δ 2.48 (3H, s, CH3), 7.37 (2H, d, J=6.0 Hz, H-3, H-5), 8.63 (2H, d, J=6.0 Hz, H-2, H-6) ppm。
【0150】
ジイソプロピルイソニコチン酸アミド
n-ブチルリチウム(8.27 ml, 1.6 Mへキサン溶液, 13.23 mmol)を、-78℃で、ジイソプロピルアミン(13.36 mmol, 1.95 ml)の乾燥THF (10 ml)に加え、(リチウムジイソプロピルアミン、LDAをつくるために)0.5時間攪拌した。混合物を20分間で室温まで昇温し、次いで-78℃に再度冷却した。アルゴン雰囲気下で、イソニコチン酸エチル(1.00 g, 6.62 mmol, 0.91 ml)を乾燥THF(30 mL)に溶解し、-78℃まで冷却した。調製したばかりのLDAをイソニコチン酸エチル溶液に一滴ずつ加えた。混合物を1時間攪拌し続け、0.5時間で室 温まで昇温した。反応混合物を再度-78℃まで冷却し、1,2-ジブロモテトラフルオロエタン(6.62 mmol, 0.79ml)のTHF(10 mL)溶液をゆっくりと加えた。反応を-78℃で1時間攪拌し、終夜、室温で攪拌した。水(40 ml)を加えた。有機層を分離し、水層をCHCl3(3x100 ml)で洗浄した。併せた有機溶液を乾燥し(Na2SO4)、溶媒を留去し、粗化合物を得た。粗化合物をカラムに付し[溶出溶媒として8:2=ベンゼン:アセトン]、ジイソプロピルイソニコチンアミド[登録番号 77924-05-1]を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.66 (2H, d, J=6 Hz), 7.19 (2H, d, J=6 Hz), 3.69 (1H, bs), 3.55 (1H, bs), 1.54 (6H, bs)及び1.16 (6H, bs)。
【0151】
エチル 2-クロロ-イソニコチン酸
酢酸及び過酸化水素(30 %, 14 ml)の混合物に、イソニコチン酸エチル(10 g)を加えた。溶液を24時間で75℃まで加熱し、次いで体積の1/3まで濃縮し、K2C03水溶液で塩基性にし、ジクロロメタンに抽出した。CH2Cl2溶 液を乾燥し、減圧濃縮し、N-オキシドを白色結晶固体(10.5 g)として得た。N-オキシド(10.5 g)のクロロホルム(25 ml)溶液を、オキシ塩化リン(25 ml)で12時間リフラックスし、冷却し、氷に注いだ。生成物をジクロロメタンで抽出し、乾燥し、濃縮してエチル-2-クロロイソニコチン酸[登録番号 54453-93-9]を青白黄色液体として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3) 8.53 (1H, d, J 7Hz), 7.87 (1H, d, J 2Hz), 7.76 (1H, dd, J=2, 7 Hz), 4.42 (2H, q, J=8Hz)及び1.40 (3H, t, J=8Hz)。
【0152】
4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)ピリジン
ピリジン-4-カルボキシアルデヒド(8.7ml, 90mmol)、エチレングリコール(10ml, 180mmol)及びp-トルエンスルホン酸(18.8g, 99mmol)のベンゼン(70ml)攪拌溶液を終夜攪拌した。反応から水を共沸的に除くために、ディーン-スターク器具を用いた。15時間後、混合物を冷却し、NaOH(20%w/v, 約30ml)水溶液で塩基性にした。ベンゼン層を単離し、生成物がなくなるまで、水層をジクロロメタンで洗浄した(5x60 ml)。併せた有機相を乾燥し(Na2SO4)、溶媒を減圧留去し、4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)ピリジン[登録番号 61379-59-7]を、減圧下で固化する青白黄色液体として得た(12.57 g, 92 %)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 4.06 (4H, m, 0-(CH2)2-0), 5.82 (1H, s, O-CH-O), 7.39 (2H, d, J=6 Hz, H-3, H-5), 8.63 (2H, d, J=6 Hz, H-2, H-6) ppm。
【0153】
実施例2:フィールド試験
ウォータートラップを多数の種類の芝生、白クローバ(Trifolium repens L.)及び多数の雑草(高さ約100mm)を含むフィールドに設置した。カンタベリー農業研究センターキャンパスにある、フィールド試験領域の3箇所のコーナーを芝生及び穀物フィールドが、残りの1箇所をポプラ(Poplar nigra L.)が囲んだ。各フィールド試験は、フィールド境界/防風林から少なくとも100m離れた試験領域を有するラテン方格デザインを用いるグリッド(10x10m)内のフィールドに設置された、水対照群、陽性対照化合物(ニコチン酸エチル、イソニコチン酸エチル又はベンズアルデヒド、表1)及び3つの試験化合物を含む5つの処理の各々5セットずつからなった。約1.7L水、(菌の増殖を防ぐために)0.4mlホルマリン及び0.08mlツィーンを含む白色プラスチック容器(2L容量, 16x16x8.5cm)を、白色の逆のプラスチック容器(2L容量, 16x16x8.5cm)又は黒色プラスチック容器(径24cm, 高さ13cm)の作物張り出し屋根上に置いた。各処理では、バイアル上面の1cm上まで突き出す、4.5cm2片のロール状濾紙(Whatman番号1)を含むガラスバイアル(12x32 mm スクリューネジ型バイアル)に、1mlの化合物又は水を入れ、ウイックを形成した。ワイヤ(径0.5mm)を用いて、トラップの中心の水上にガラスバイアルを吊した。バイアルを24又は48時間後に除き、研究室に移動するために容器を密封した。ウォータートラップの中身をシーブス(250μmメッシュ)を介して注ぎ、フィールドから回収して24時間内に、昆虫を全て50ml Schott瓶中に洗浄した。全てのアザミウマを各ウォータートラップ試料からピペットで取り、カウントした。以下の副試料法:50未満のアザミウマについては、全てのアザミウマをスライドに固定する;50〜100のアザミウマについては、25アザミウマの副試料をスライドに固定する;100より多いアザ ミウについては、50アザミウマの副試料をスライドに固定する、を用いて、各トラップから、アザミウマをポリビニルアルコール接着剤(ポリビニルアルコー ル1部:水4部、乳酸1部:フェニル1.25部)を用いてスライドに固定した。アザミウマ種を同定するために、化合物顕微鏡を用いて100xの拡大率で、スライドを検査した。Mound and Walker (Mound, L. A. and Walker, A. K. 1982. テレブランチア(Terebrantia)(昆虫網:シサノプテラ(Thysanoptera). Fauna of New Zealand No.1.)に従って、副試料アザミウマの性別を分け、種類を同定した。副試料中の各種類の割合と、各ウォータートラップ中でカウントしたアザミウマ総数とを乗じて、各処理のための各種の平均数を計算した。
【0154】
【表1】

【0155】
【表2】

【0156】
実施例3:Y-チューブ・オルファクトメーター
de Kogel et al. (de Kogel, W. J., Koschier, E. H. and Visser, J. H. Proc. Exper. &Appl.Entomol., N. E V. Amsterdam, (1999) 10, 131-135.) and Koschier et al. (Koschier, E. H., De Kogel, W. J. and Visser, J. H. (2000) Journal of Chemical Ecology, 26, 2643-2655)によって記載される方法に従って、ガラス製Y-チューブ・オルファクトメーター中で、揮発性化合物に対するアザミウマの嗅覚行動を評価した。Y-チューブは、単一チューブになる、45度で2つに分岐したアームを有し、全て長さは60 mm、内径は5mmである。Y-チューブのアームをそれぞれ、ガラス製Wheaton Micro Kit(登録商標)アダプターに接続し、これをそれぞれ1cm2片濾紙(Whatman No.1)を含む4mlガラスバイアルに付けた。(アザミウマの行動に影響を与える外部刺激を避けるために)、Y-チューブ及びWheaton器具を灰色箱内に設置し、暗い冷房付きの部屋(22±3℃)に置いた。Y-チューブと平面とが25度の位置になるように傾斜させてY-チューブを置き、ハロゲンランプ(780ルクス)で上から照射した。揮発性化合物の1μlを希釈しないか又はヘキサン(95 %, Pronalys AR)で希釈して、1バイアル中の濾紙に適用した。同時に、1μLのヘキサンを第二バイアル中の濾紙に適用した。Wheaton器具及びY-チューブを入れる前に、各アームから5cm/sの流量及びY-チューブの底に10cm/sの流量をつくる吸引ポンプ(AR Harris Co. Ltd, Christchurch)を用いて、活性炭を通して空気を引き込んだ。最初のアザミウマに導入する前に30分間、空気を引き込んだ。活性炭、Wheaton器具、Y-チューブ及び吸引ポンプの接続は、シリコンチューブからなった。
【0157】
年齢が未知の雌個体、ミカンキイロアザミウマは、終夜、飢えており、小アスピレータを使ってY-チューブに放出された。アスピレータは、細かいメッシュで覆われたシリコンチューブ(径5mm)末端に1mlのピペット用チップを被せることによって作製した;ピペット用チップは、シリコンチューブの末端よりも5mm突き出すように切断した。アザミウマをピペット用チップに吸引し、次いで、Y-チューブの底に置いた。ほとんどのアザミウマは、シリコン空気吸引チューブをガラス製Yの再接続する時間である、数秒内にY-チューブに歩き出した。きれいな空気か臭気を含む空気かの選択は、1つのアームの末端にアザミウマが到達する時に記録した。3分内にその選択したアザミウマのみを記録した。位置の影響を避けるために、5アザミウマ毎に、Y-チューブ及びWheaton器具を180度回転させた。25選択を記録した後、Y-チューブ及びWheaton器具をアセトン(99.5 %, BDH)で洗浄し、実験を繰り返す前に乾燥させた。各化合物及び希釈は3回繰り返した。
【0158】
Y-チューブ実験の結果を表2に示す。
【0159】
【表3】

【0160】
【表4】

【0161】
【表5】

【0162】
実施例4:温室試験
揮発性化合物に対するアザミウマの反応を試験するために、フィールド試験(実施例2)で用いたウォータートラップ又は黄色粘着トラップ(Veg-Gro Supplies Ltd, Auckland)と類似のウォータートラップを用いて、温室試験を行った。オークランドの温室は88x200mであり、ガラス製で、トウガラシを育てるために使用される。ウォータートラップを1列に20〜24m離して、列の間は24m離して置いた。温室の6x2グリッドには、水に各試験化合物を添加した6つのウォータートラップ(6 baited water traps for each compound tested)、及び6つの水のみのウォータートラップを無作為に置いた。トラップは、作物張り出し屋根のちょうど上に置いた。ウォータートラップ(2 L容量, 16x16x8.5cm)を実施例2に記載のように組み立て、容器を密封して研究室に移送した後、24時間、温室に放置した。温室から回収する24時間内に、各水から75%エタノールを含む5mlガラス製チューブに昆虫を移した。実体顕微鏡(100x)で各処理での捕獲を分析し、ミカンキイロアザミウマの割合を決定した。
【0163】
30mlスプレイ式滴下具(dripulator)(Arthur Holmes, Wellington)を用いて、粘着トラップから10 cm離して、化合物又は水で黄色粘着トラップ(24.4x20 cm)を処理した。4回のスプレイを各側から行い、約1mlの水又は化合物で粘着トラップをコーティングした。同一の処理でスプレイした粘着トラップを、黒色金属性の折り返し可能なクリップ(19 mm, Celco)で分け、段ボール箱(29.5x22.3x30.2 cm)内に吊した。この箱は、後に温室に移送するためにビニール袋で覆った。スプレイ後3時間、ウォータートラップと同様の配置(6x2グリッド内に、1列に20〜24m離して、列間を24離して)で、温室の、作物張り出し屋根のちょうど上にトラップを吊した。24時間後、研究室に移送するために、ビニール包装紙に各トラップを包むことにより回収した。トラップ上のアザミウマの総数を10xの拡大率でカウントした。De-Solv-it(登録商標)及びJohnsons baby oil(登録商標)を用いて、粘着トラップからアザミウマを除いた。実体顕微鏡(100 x)で、各処理での副試料を更に分析し、ミカンキイロアザミウマの割合を決定した。
【0164】
【表6】

【0165】
【表7】

【0166】
本発明を実施例によって説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、変更及び修飾ができることを理解されたい。更に、公知の等価物が特定の特徴に対して存在する場合には、本明細書に特に言及する時にこのような等価物が組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
【化1】

[式中、
は、
【化2】

から選ばれ;
、R、R及びRは各々独立に、水素原子、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、又は、置換されていてもよい直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、アルケニルもしくはアルキニルであり;
は、水素原子、又は、置換されていてもよい直鎖もしくは分枝鎖のアルキル、シクロアルキル、アルケニルもしくはアルキニルから選ばれる]
で表される、少なくとも1のアザミウマ行動修正化合物を提供することによって、アザミウマ群を抑制し、調査し又は調節する方法。
【請求項2】

【化3】

であり、R、R、R及びRが全て水素原子であり、Rがイソペンテニル又はヘキシルではない、請求項1記載の方法。
【請求項3】
、R及びRが全て水素原子であり、Rがハロゲンである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
、R、R及びRが全て水素原子である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】

【化4】

であり、Rが請求項1記載のとおりである、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
が、直鎖又は分枝鎖のアルキルである、請求項5記載の方法。
【請求項7】

【化5】

であり、Rが請求項1記載のとおりである、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
が、直鎖又は分枝鎖のアルキルである、請求項7記載の方法。
【請求項9】

【化6】

であり、Rが請求項1記載のとおりである、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
が、直鎖又は分枝鎖のアルキルである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記式(I)の少なくとも1の化合物が:
イソニコチン酸メチル;
イソニコチン酸エチル;
イソニコチン酸プロピル;
イソニコチン酸イソプロピル;
イソニコチン酸デシル;
2−クロロ−イソニコチン酸エチル;
ピリジン4−(1,3−ジオキソラン−2−イル);
ジ−イソプロピルイソニコチンアミド;
4−ホルミルピリジン;
メチル4−ピリジルケトン;
エチル4−ピリジルケトン;
プロピル4−ピリジルケトン;
4−シアノピリジン;及び
チオ酢酸4−ピリジル
を含む群より選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1の式(I)のアザミウマ行動修正化合物を固定器具内に提供するステップを含み、当該式(I)の化合物がアザミウマを前記固定器具に引き付ける、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記固定器具がアザミウマを不動化又は死滅させる手段を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記固定器具が、ウォータートラップ、粘着トラップ及びフェロモントラップからなる群より選ばれる、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
アザミウマによって起こる植物の被害を予防し又は最小限に抑える方法であって、請求項1又は2に記載の式(I)の少なくとも1のアザミウマ誘引化合物を提供することにより、植物からアザミウマを引き離すステップを含む方法。
【請求項16】
、R及びRが全て水素原子であり、Rがハロゲンである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
、R、R及びRが全て水素原子である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】

【化7】

であり、Rが請求項1記載のとおりである、請求項15〜17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
が、直鎖又は分枝鎖のアルキルである、請求項18記載の方法。
【請求項20】

【化8】

であり、Rが請求項1記載のとおりである、請求項15〜17の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
が、直鎖又は分枝鎖のアルキルである、請求項20記載の方法。
【請求項22】

【化9】

であり、Rが請求項1記載のとおりである、請求項15〜17の何れか1項に記載の方法。
【請求項23】
が、直鎖又は分枝鎖のアルキルである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記式(I)の少なくとも1のアザミウマ誘引化合物が、
イソニコチン酸メチル;
イソニコチン酸エチル;
イソニコチン酸プロピル;
イソニコチン酸イソプロピル;
イソニコチン酸デシル;
2−クロロ−イソニコチン酸エチル;
ピリジン4−(1,3−ジオキソラン−2−イル);
ジ−イソプロピルイソニコチンアミド;
4−ホルミルピリジン;
メチル4−ピリジルケトン;
エチル4−ピリジルケトン;
プロピル4−ピリジルケトン;
4−シアノピリジン;及び
チオ酢酸4−ピリジル
を含む群より選ばれる、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記植物が、タマネギ、レタス、キャベツ及びその他のアブラナ科の植物、温室野菜、温室果実、花農作物、及びアザミウマの来襲により被害を受ける任意の他の経済的に重要な植物から選ばれる、請求項15〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
アザミウマによって起こる植物の被害を予防し又は最小限に抑える方法であって、請求項1又は2で定義される式(I)の少なくとも1のアザミウマ忌避化合物を提供することによって、植物からアザミウマを忌避するステップを含む方法。
【請求項27】
がCNである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】

【化10】

であり、Rが請求項1記載のとおりである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
が、直鎖又は分枝鎖のアルキルである、請求項28記載の方法。
【請求項30】

【化11】

であり、Rが請求項1記載のとおりである、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
が、直鎖又は分枝鎖のアルキルである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
式(I)の少なくとも1のアザミウマ忌避化合物が、
4−ホルミルピリジン、
4−シアノピリジン、及び
チオ酢酸4−ピリジル
からなる群より選ばれる、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記植物が、タマネギ、レタス、キャベツ及びその他のアブラナ科の植物、温室野菜、温室果実、花農作物、及びアザミウマの来襲により被害を受ける任意の他の経済的に重要な植物から選ばれる、請求項26〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
アザミウマ群を抑制し、調査し又は調節する方法であって、請求項1に記載の式(I)の少なくとも1のアザミウマ誘引化合物、及び、請求項1に記載の式(I)の少なくとも1のアザミウマ忌避化合物を提供するステップを含む方法。
【請求項35】
アザミウマ群を抑制し、調査し又は調節する方法であって、請求項2に記載の式(I)の少なくとも1のアザミウマ誘引化合物、及び、請求項2に記載の式(I)の少なくとも1のアザミウマ忌避化合物を提供するステップを含む方法。
【請求項36】
前記少なくとも1のアザミウマ誘引化合物が請求項3〜11のいずれか一項に記載のとおりである、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1のアザミウマ忌避化合物が請求項27〜32のいずれか一項に記載のとおりである、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1のアザミウマ誘引化合物が、
イソニコチン酸メチル、イソニコチン酸エチル、イソニコチン酸プロピル、イソニコチン酸イソプロピル、イソニコチン酸デシル、2−クロロ−イソニコチン酸エチル、ピリジン4−(1,3−ジオキソラン2−イル)、ジ−イソプロピルイソニコチンアミド、4−ホルミルピリジン、メチル4−ピリジルケトン、エチル4−ピリジルケトン及びプロピル4−ピリジルケトンからなる群より選ばれ、
前記少なくとも1のアザミウマ忌避化合物が、
4−ホルミルピリジン、4−シアノピリジン及びチオ酢酸4−ピリジルからなる群より選ばれる、
請求項34又は35に記載の方法。
【請求項39】
アザミウマ群を抑制し、調査し又は調節する方法であって、請求項1又は2に記載の式(I)の少なくとも1のアザミウマ行動修正化合物、及び、他の少なくとも1のアザミウマ誘引剤又はアザミウマ忌避剤を提供するステップを含む方法。
【請求項40】
前記少なくとも1の他のアザミウマ誘引物質又はアザミウマ忌避物質が、ニコチン酸エチル、アニスアルデヒド、桂皮アルデヒド、メチルアンスラニレート、エチルアンスラニレート、酢酸デシル、酢酸ドデシル、ユージノール、β−イオノン、o−メトキシ桂皮アルデヒド、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、モノテルペン、1,8−シネオール、サリチルアルデヒド(salicaldehyde)、o−アミノアセトフェノン、吉草酸イソボルニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、2−フェニルエタノール及びp−アリルアニソールを含む群より選ばれる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記アザミウマ群が、テレブランチア(Terebrantia)亜目に属する群である、請求項1〜40のいずれか1項記載の方法。
【請求項42】
前記アザミウマ群が、スリップス・オブスキュラタス(Thrips obscuratus)、ネギアザミウマ(ネギアザミウマ)又はミカンキイロアザミウマ(ミカンキイロアザミウマ)である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
アザミウマを捕獲し、動かなくさせる又は殺すための固定器具であって、請求項1又は2で定義される式(I)のアザミウマ行動修正化合物を含む器具。

【公開番号】特開2012−87137(P2012−87137A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−264654(P2011−264654)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【分割の表示】特願2006−539420(P2006−539420)の分割
【原出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(504233764)ザ ニュージーランド インスティテュート フォー プラント アンド フード リサーチ リミティド (2)
【Fターム(参考)】