説明

昆虫類侵入防止装置

【課題】歩行型昆虫類の侵入防止対策を図ることができると共に出入口付近の収まりを改善することができる昆虫類侵入防止装置を提供することを目的とする。
【解決手段】昆虫類が対象領域X内に床面を伝って侵入することを防止するための昆虫類侵入防止装置1であって、対象領域X内への出入口10の床面に形成された吸気口2及び送風口3と、床下に配設されて吸気口2側から送風口3側に向かって送風する送風機4と、が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば清浄を維持すべき対象領域内に昆虫類が侵入することを防止する昆虫類侵入防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば医薬品や食品を取り扱う各種の建物では高度の清浄度を維持しなければならず、当然に清浄を維持するべき区画内への昆虫類の侵入を確実に防止する必要がある。
そのため、従来、例えば下記特許文献1や特許文献2に示されているように、上記建物の出入口にエアカーテンやエアシャワー等の昆虫類侵入防止装置を設置する技術が一般的に知られている。この昆虫類侵入防止装置によれば、飛翔する昆虫類や人に付着した昆虫類の侵入を防止することができる。
【0003】
また、従来、例えば下記特許文献3や特許文献4に示されているように、床面を歩行する歩行型昆虫類の侵入を防止する昆虫類侵入防止装置が提案されている。この昆虫類侵入防止装置によれば、床面を伝って侵入しようとする歩行型昆虫類を床面の吸込口から吸い込んで捕獲したり、床面の送風口から強い風を吹き出して歩行型の昆虫類が近づけないようにしたりすることで、歩行型昆虫類の侵入防止対策を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−173008号公報
【特許文献2】特開2003−161489号公報
【特許文献3】特開2007−295863号公報
【特許文献4】特開2009−296966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した歩行型昆虫類の侵入防止対策を図る従来の昆虫類侵入防止装置では、吸気用或いは吹出用のブロワ(送風機)が取り付けられたダクトが吸込口や送風口の近傍の床面上に立設されているので、出入口付近の収まりが悪く、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、歩行型昆虫類の侵入防止対策を図ることができると共に出入口付近の収まりを改善することができる昆虫類侵入防止装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る昆虫類侵入防止装置は、昆虫類が対象領域内に床面を伝って侵入することを防止するための昆虫類侵入防止装置であって、前記対象領域内への出入口の床面に形成された吸気口及び送風口と、床下に配設されて前記吸気口側から前記送風口側に向かって送風する送風機と、が備えられていることを特徴としている。
【0008】
このような特徴により、送風機を稼動させて吸気口側から送風口側に向かって送風すると、吸気口から空気が吸い込まれると共に送風口から空気が吹き出される。これにより、床面を伝って出入口に侵入しようとする歩行型昆虫類が吸気口に吸い込まれたり、或いは、送風口からの空気の吹き出しによって床面上の歩行型昆虫類が吹き飛ばされたり近づけなくなったりする。
【0009】
また、本発明に係る昆虫類侵入防止装置は、前記送風口が、前記出入口の床面のうちの前記対象領域の外側部分に配設され、前記吸気口が、少なくとも前記送風口よりも対象領域側に配設されていることが好ましい。
これにより、まず送風口からの空気の吹き出しによって、床面を伝って出入口に侵入しようとする歩行型昆虫類の多くが排除され、仮に歩行型昆虫類が送風口を通過したとしてもその歩行型昆虫類は吸気口からの吸引によって確実に排除される。
【0010】
また、本発明に係る昆虫類侵入防止装置は、前記送風口が、前記出入口の全幅に亘って延在されており、該送風口の下方の床下に、該送風口の長さ方向に沿って延在して該送風口に対して全長に亘って連通された吹出側チャンバーが配設され、該吹出側チャンバーを介して前記送風口と前記送風機の吹き出し口とが連通されていることが好ましい。
これにより、送風機が稼動すると、吹出側チャンバー内が陽圧となり、この陽圧によって出入口の全幅に亘って延在する送風口から空気が吹き出す。このとき、送風口から吹き出す空気の風圧が送風口の全長に亘ってほぼ均一になる。
【0011】
また、本発明に係る昆虫類侵入防止装置は、前記吸気口が、前記出入口の全幅に亘って延在されており、該吸気口の下方の床下に、該吸気口の長さ方向に沿って延在して該吸気口に対して全長に亘って連通された吸気側チャンバーが配設され、該吸気側チャンバーを介して前記吸気口と前記送風機の吸い込み口とが連通されていることが好ましい。
これにより、送風機が稼動すると、吸気側チャンバー内が負圧となり、この負圧によって出入口の全幅に亘って延在する吸気口から床面上の空気が吸引される。このとき、吸気口から吸引される空気の風圧(吸引力)が吸気口の全長に亘ってほぼ均一になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る昆虫類侵入防止装置によれば、送風口から吹き出す空気や吸気口からの吸引によって歩行型昆虫類の侵入を防止することができる。また、吸気口及び送風口が床面に形成されていると共に送風機が床下に配設されているので、出入口付近の収まりを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための昆虫類侵入防止装置の平面図である。
【図2】本発明の実施の形態を説明するための昆虫類侵入防止装置の断面図である。
【図3】本発明の変形例を説明するための昆虫類侵入防止装置の平面図である。
【図4】本発明の変形例を説明するための昆虫類侵入防止装置の断面図である。
【図5】本発明の変形例を説明するための昆虫類侵入防止装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る昆虫類侵入防止装置の実施の形態について、図1及び図2に基いて説明する。
【0015】
図1、図2に示す昆虫類侵入防止装置1は、例えばダンゴムシやチャバネゴキブリ、クロゴキブリ等の歩行型昆虫類が建物の出入口10の床面を伝って建物内部に侵入することを防止するための装置であり、出入口10の床面及び床下に設置されている。なお、上記した建物は、例えば医薬や食品の製造工場などであり、建物内部は、昆虫類の侵入を防止するべき清浄な領域(対象領域X)である。また、上記した出入口10には、対象領域X(建物内部)と外部領域Y(建物外部)との間に亘って延在する通路11と、この通路11を閉塞するシャッター12と、が備えられている。前記シャッター12は、対象領域Xと外部領域Yとを仕切る仕切り材であり、通路11の左右の壁13A,13Bの間に配設されている。つまり、このシャッター12よりも対象領域X側が清浄側であり、シャッター12よりも外部領域Y側が汚染側となる。
【0016】
図1、図2に示すように、昆虫類侵入防止装置1の概略構成としては、出入口10の床面に形成された吸気口2及び送風口3と、出入口10の床下に配設された送風機4と、吸気口2の下方の床下に配設された吸気側チャンバー5と、送風口3の下方の床下に配設された吹出側チャンバー6と、が備えられている。
【0017】
送風機4は、吸気口2側から送風口3側に向かって送風するファンであり、例えば軸流ファンからなる。この送風機4は、出入口10の床面に形成された床下ピット14の内側に収納され、ピット14の底面にブロックや厘木などの受け材42を介して載置されている。また、送風機4は、通路11の長さ方向(図1における横方向)に沿って延設されており、送風機4の吸い込み口40は対象領域X側(図2における左側)に向けられ、送風機4の吹き出し口41はその反対側(図2における右側)に向けられている。また、上記した床下ピット14は、通路11の床面のうち、シャッター12の外側(外部領域Y側)の位置に配設されており、この床下ピット14の上端開口部(点検口)は開閉可能な点検口蓋15で閉塞されている。
【0018】
送風口3は、通路11中に向けて空気を吹き出すスリット状の開口部であり、出入口10の床面のうちの対象領域Xの外側部分、つまりシャッター12の外側(外部領域Y側)の位置に配設されている。また、送風口3は、上記した送風機4(床下ピット14)よりも外側(外部領域Y側)の位置に配設されており、平面視において送風口3とシャッター12との間に送風機4が配設されている。また、送風口3は、出入口10の全幅に亘って、つまり一方の壁13Aの内面から他方の壁13Bの内面に亘って帯状に延在されている。
【0019】
吸気口2は、通路11中の空気を吸い込むスリット状の開口部であり、上記した送風口3よりも対象領域X側に配設されている。具体的には、吸気口2は、出入口10の床面のうちの対象領域Xの内側部分、つまりシャッター12の内側(対象領域X側)の位置に配設されている。また、吸気口2は、出入口10の全幅に亘って、つまり一方の壁13Aの内面から他方の壁13Bの内面に亘って帯状に延在されている。
【0020】
詳しく説明すると、上記した吸気口2及び送風口3は、鉛直方向に沿って立設された扁平かつ横長の筒状体23,33からなる。これら筒状体23,33は、ステンレスやアルミニウム等の金属製あるいは樹脂製の部材であり、床下にそれぞれ埋設され、各上端開口部が床面から通路11に向けてそれぞれ開放されている。また、筒状体23,33の上端部のうちの長手方向の縁部には、外向き(対象領域X側または外部領域Y側)に向かって突出したフランジ部20,30(折り返し部)がそれぞれ設けられている。つまり、筒状体23,33の各上端開口部はそれぞれ両側に折り返されて断面視ベルマウス形状に形成されている。また、送風口3には、スリット開口幅を調整すると共に噴射空気流Aを外部領域Y側に向けて噴射させるための調整片31が取り付けられている。なお、上記したフランジ部20,30や調整片31の上面は、段差にならないように床面と面一に形成されていることが好ましく、また、そこに昆虫類がしがみつくことができないように充分に平滑に仕上げておくことが好ましい。
【0021】
吹出側チャンバー6は、上記した送風機4の吹き出し口41から吹き出された空気を送風口3に送る送風路であり、この吹出側チャンバー6を介して吹き出し口41と送風口3とが連通されている。この吹出側チャンバー6は、上記した送風口3の直下の床下に埋設されていると共に、上記した送風機4(床下ピット14)よりも外側(外部領域Y側)の位置に配設されている。また、吹出側チャンバー6は、送風口3の長さ方向に沿って延設されていると共に少なくとも送風口3よりも長く延在しており、送風口3に対して全長に亘って連通されている。
【0022】
吸気側チャンバー5は、上記した吸気口2から吸引された空気を送風機4の吸い込み口40に送る吸気路であり、この吸気側チャンバー5を介して吸い込み口40と吸気口2とが連通されている。この吸気側チャンバー5は、上記した吸気口2の直下の床下に埋設されていると共に、上記した送風機4(床下ピット14)よりも内側(対象領域X側)の位置に配設されている。また、吸気側チャンバー5は、吸気口2の長さ方向に沿って延設されていると共に少なくとも吸気口2よりも長く延在しており、吸気口2に対して全長に亘って連通されている。
【0023】
詳しく説明すると、上記した吸気側チャンバー5及び吹出側チャンバー6は、通路11の幅方向(吸気口2や送風口3の長さ方向)に沿って延在する円筒形状の筒状体からなり、例えば塩化ビニル管を素材とする部材である。これら吸気側チャンバー5及び吹出側チャンバー6は、その上部が長さ方向に沿ってスリット状に切除されていると共にその切除部分に上記した筒状体23,33の下部が差し込まれており、筒状体23,33に対して気密に接続されている。また、吸気側チャンバー5及び吹出側チャンバー6の長さ方向の中間部には、吸気側チャンバー5や吹出側チャンバー6に対して直交すると共に吸気側チャンバー5や吹出側チャンバー6に連通する継手管50,60が突設されている。これら継手管50,60の先端部は、地下ピット14の内側に向けてそれぞれ突出されており、吸気側チャンバー5の継手管50の先端部は送風機4の吸い込み口40に連結され、吹出側チャンバー6の継手管60の先端部は送風機4の吹き出し口41に連結されている。また、吸気側チャンバー5の継手管50の内側には、吸気口2から吸い込まれた塵や埃、昆虫類などの不要物を除去するフィルター51が設置されている。
【0024】
なお、上記した吸気口2、送風口3、吸気側チャンバー5及び吹出側チャンバー6の寸法や形状、素材、或いは、吸気口2における吸気や送風口3における送風(噴射空気流A)の風速や風量等の各仕様は、侵入防止対象として想定する昆虫類の種類やその大きさ等を考慮して最適に設定すれば良いが、ダンゴムシ、ワラジムシ、クロアリ、チャバネゴキブリ、クロゴキブリなどを想定した場合の好適な一例を挙げれば、送風口3のスリット幅D1は5〜50mm程度、送風口3の高さH(送風口3の上端開口から吹出側チャンバー6の上端までの寸法)は50〜300mm程度とすることが良い。
【0025】
また、送風口3のスリット開口幅D2(噴射口32の幅)は5〜30mm程度、送風口3からの噴射空気流Aの流速は2m/sec以上とすることが好ましく、送風口3からの噴射空気流Aの噴射方向は図2に示すように床面に平行な方向(通常は水平方向)から床面に垂直な方向(通常は鉛直方向)の範囲(噴射方向調整範囲B)で調整可能としておくと良い。そのような調整は調整片31および送風口3の開口形状の設定により自由にかつ容易に行うことができる。
【0026】
次に、上記した構成からなる昆虫類侵入防止装置1の作用について説明する。
【0027】
図示せぬ制御装置を操作して上記した送風機4を稼動させると、送風機4の吸い込み口40から空気が吸い込まれると共に吹き出し口41から空気が吹き出され、吸気口2から空気が吸い込まれると共に送風口3から空気が吹き出す。これにより、通路11の床面を伝って対象領域Xに侵入しようとする歩行型昆虫類が、送風口3から吹き出す空気や吸気口2からの吸い込みによって排除される。詳しく説明すると、上記した吸気口2の外部領域Y側に送風口3が配設されているので、まず、送風口3から吹き出される空気によって、通路11の床面を伝って対象領域Xに侵入しようとする歩行型昆虫類の多くが吹き飛ばされたり近づけなくなったりして排除される。そして、仮に一部の歩行型昆虫類が送風口3を通過して対象領域Xに侵入しようとしても、吸気口2を通過する際に吸気口2に吸い込まれて確実に排除される。
【0028】
また、人や車が出入口10を通って外部領域Yから対象領域Xに進入する際、靴やタイヤに泥や埃などが付着していると対象領域Xの清浄環境が汚染されるおそれがあるが、これら靴やタイヤに付着した埃や泥などは、送風口3から吹き出す空気や吸気口2からの吸い込みによって除去される。詳しく説明すると、上記した吸気口2の外部領域Y側に送風口3が配設されているので、まず、送風口3から吹き出される空気によって靴やタイヤに付着した埃や泥等の多くが吹き飛ばされて除去される。そして、仮に埃や泥等が落としきれなかったとしても、吸気口2を通過する際に吸気口2に吸い込まれて確実に除去される。
【0029】
また、上記した吸気口2及び送風口3は、それぞれ出入口10の全幅に亘って帯状に延在するため、歩行型昆虫類が床面を伝って対象領域Xに侵入する際、或いは、人や車が対象領域Xに進入する際、必ず吸気口2や送風口3を通過することになる。このため、通路11の床面を伝って対象領域Xに侵入しようとする歩行型昆虫類が確実に排除され、また、靴やタイヤに付着した埃や泥等が確実に除去される。
【0030】
また、吸気口2の長さ方向に沿って延在する吸気側チャンバー5を介して吸気口2と送風機4の吸い込み口40とが連通されており、また、送風口3の長さ方向に沿って延在する吹出側チャンバー6を介して送風口3と送風機4の吹き出し口41とが連通されているので、送風機4が稼動すると、吸気側チャンバー5内が負圧になると共に吹出側チャンバー6内が陽圧になり、吸気側チャンバー5内の負圧によって吸気口2から床面上の空気が吸引されると共に吹出側チャンバー6内の陽圧によって送風口3から空気が吹き出される。これにより、吸気口2から吸引される空気の風圧(吸引力)や送風口3から吹き出される空気の風圧が各々の全長に亘ってほぼ均一になる。
【0031】
なお、上記した送風機4は手動による任意の操作が可能であることに加え、予め設定した所望のタイマー制御あるいはプログラム制御によって制御可能である。例えば所望の時間帯のみ間欠的に運転したり、シャッター12の開閉操作に連動させて自動的に運転(つまり、シャッター12が開かれる際には送風機4が作動する)したりする制御であってもよい。勿論、必要であれば送風機4を常時連続運転することも可能であるし、他の昆虫類侵入防止装置が並設されているような場合にはそれに連動させて運転するように制御することも考えられる。
【0032】
上記した昆虫類侵入防止装置1によれば、送風口3から吹き出す空気や吸気口2からの吸引によって歩行型昆虫類を排除することができ、対象領域Xへの歩行型昆虫類の侵入を防止することができる。
また、送風口3から吹き出す空気や吸気口2からの吸引によって通路11を通行する人の靴や車のタイヤに付着した埃を除去することもできる。
さらに、吸気口2及び送風口3が床面に形成されていると共に送風機4が床下に配設されており、通路11にダクトなどが配設されないので、出入口10付近の収まりを改善することができる。
【0033】
また、上記した昆虫類侵入防止装置1では、送風口3からの空気の吹き出しによって歩行型昆虫類や靴等に付着した埃等の多くを吹き飛ばし、仮に歩行型昆虫類が送風口3を通過した場合や靴等の埃等が落ち切れなかった場合に吸気口2でそれらを吸引するので、吸気口2に吸引される昆虫類や埃が少量となる。このため、昆虫類や埃などで吸気口2が詰まったり吸気側チャンバー5内が汚れたりする不具合が生じにくく、また、吸気側チャンバー5のフィルター51も汚れにくい。よって、吸気口2や吸気側チャンバー5を清掃したりフィルター51を清掃・交換したりするメンテナンス作業を軽減することができる。
【0034】
また、上記した昆虫類侵入防止装置1では、送風口3に沿って延在する吹出側チャンバー6を介して送風機4の吹き出し口41と送風口3とが連通されており、送風口3から吹き出す空気の風圧が送風口3の全長(出入口10の全幅)に亘って略均一になるので、風圧が弱い箇所がなくなり、対象領域Xに侵入しようとする歩行型昆虫類を確実に排除することができ、また、靴やタイヤに付着した埃や泥等を確実に除去することができる。
【0035】
また、上記した昆虫類侵入防止装置1では、吸気口2に沿って延在する吸気側チャンバー5を介して送風機4の吸い込み口40と吸気口2とが連通されており、吸気口2からの吸引力が吸気口2の全長(出入口10の全幅)に亘って略均一になるので、吸引力が弱い箇所がなくなり、対象領域Xに侵入しようとする歩行型昆虫類を確実に排除することができ、また、靴やタイヤに付着した埃や泥等を確実に除去することができる。
【0036】
以上、本発明に係る昆虫類侵入防止装置の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、送風口3に調整片31が付設され、この調整片31によって空気の噴射方向が調整可能となっているが、本発明は、調整片31を省略することも可能であり、或いは、調整片31に代えて他の構成で空気の噴射方向を調整することも可能である。
【0037】
また、上記した実施の形態では、スリット状の吸気口2や送風口3が床面に形成されているが、本発明における吸気口や送風口の構成は適宜変更可能である。
例えば、図3、図4に示すように、床面に形成された溝120にグレーチング121を嵌め込んだ構成の吸気口102であってもよい。詳しく説明すると、上記した溝120は、床下に埋設された横長の筒状体123からなる。この筒状体123は吸気側チャンバー105の上面に立設されており、筒状体123の上端開口部は床面から通路11に向けて開放されている。また、グレーチング121は、通気性を有すると共に人や車の重量に耐え得る蓋体であり、例えば格子状或いはパンチングメタル状の金属部材からなる。
【0038】
また、上記した実施の形態では、吸気側チャンバー5の継手管50の内側にフィルター51を設置しているが、本発明は、図4に示すように吸気口102(筒状体123)の内側にフィルター122を設置することも可能である。また、本発明は、前記したフィルター51,122を省略することも可能であり、例えばフィルター51,122に代えて各種の昆虫採集器のようなトラップ機構を設けてもよく、さらに、捕獲した昆虫類を死滅させるための機構を付加してもよい。
【0039】
また、上記した実施の形態では、吸気口2や送風口3が出入口10の全幅に亘って直線的に延在しているが、本発明における吸気口や送風口は、出入口10の全幅に亘って延在していない構成にすることも可能であり、例えば、複数の吸気口や送風口が出入口10の幅方向に間欠的に配設されていてもよい。さらに、本発明における吸気口や送風口は、直線的に延在していなくてもよく、例えば、平面視円弧状や曲線状の吸気口や送風口であってもよい。さらに、本発明における吸気口や送風口は、平面視帯状(線状)に延在していなくてもよく、例えば平面視円形や多角形状の吸気口や送風口であってもよい。
【0040】
また、上記した実施の形態では、軸流ファンからなる送風機4が備えられているが、本発明は、他の送風機を用いることも可能であり、例えば図5に示すように、クロスフローファンからなる送風機204を用いることも可能である。
【0041】
また、上記した実施の形態では、吸気口2と送風機4の吸い込み口40とが吸気側チャンバー5を介して連通され、送風口3と送風機4の吹き出し口41とが吹出側チャンバー6を介して連通されているが、本発明は、上記した吸気側チャンバー5や吹出側チャンバー6を省略することも可能であり、例えば図5に示すように、吸気口202と送風機204の吸い込み口240とが直接連通されていてもよく、送風口3と送風機204の吹き出し口241とが直接連通されていてもよい。
なお、図5に示す吸気口202は、送風機204の吸い込み口240にグレーチング221が被せられた構成からなる。また、送風機204の吸い込み口240の内側にフィルター243が嵌合されている。
【0042】
また、上記した実施の形態では、シャッター12の内側(対象領域X側)に吸気口2が配設されているが、本発明は、例えば図5に示すように、シャッター12の外側に吸気口202が配設された構成であってもよい。
さらに、上記した実施の形態では、吸気口2が送風口3よりも対象領域X側に配設されているが、本発明は、送風口が吸気口よりも対象領域X側に配設された構成にすることも可能であり、或いは、吸気口と送風口とが出入口10の幅方向に並設された構成にすることも可能である。
【0043】
また、本発明の昆虫類侵入防止装置は、あくまで床面を伝って侵入しようとする昆虫類を対象としてその侵入を防止するものであるので、飛翔して出入口10に飛び込んでくる昆虫類や、他の経路を伝ってくる昆虫類の侵入は他の手段により防止する必要がある。したがって、本発明の昆虫類侵入防止装置はエアカーテンやエアシャワー等の他の装置を補完するものとしてそれらと併用することが現実的であり、通常はそのようにすべきである。
【0044】
また、本発明の昆虫類侵入防止装置は、外部から建物への出入口10に設置するのみならず、例えば建物の内部を対象領域とそれ以外の領域に区画する場合にも適用可能であり、例えば、クリーンルームのような清浄化を維持するべき対象領域を建物内に区画する場合には、その対象領域と建物内空間(例えば廊下や前室等)とを接続する出入口に対しても本発明の昆虫類侵入防止装置を設けることができる。
【0045】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 昆虫類侵入防止装置
2、102、202 吸気口
3 送風口
4、204 送風機
5 吸気側チャンバー
6 吹出側チャンバー
10 出入口
40、240 吸い込み口
41、241 吹き出し口
X 対象領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫類が対象領域内に床面を伝って侵入することを防止するための昆虫類侵入防止装置であって、
前記対象領域内への出入口の床面に形成された吸気口及び送風口と、
床下に配設されて前記吸気口側から前記送風口側に向かって送風する送風機と、
が備えられていることを特徴とする昆虫類侵入防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載の昆虫類侵入防止装置において、
前記送風口が、前記出入口の床面のうちの前記対象領域の外側部分に配設され、
前記吸気口が、少なくとも前記送風口よりも対象領域側に配設されていることを特徴とする昆虫類侵入防止装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の昆虫類侵入防止装置において、
前記送風口が、前記出入口の全幅に亘って延在されており、
該送風口の下方の床下に、該送風口の長さ方向に沿って延在して該送風口に対して全長に亘って連通された吹出側チャンバーが配設され、
該吹出側チャンバーを介して前記送風口と前記送風機の吹き出し口とが連通されていることを特徴とする昆虫類侵入防止装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の昆虫類侵入防止装置において、
前記吸気口が、前記出入口の全幅に亘って延在されており、
該吸気口の下方の床下に、該吸気口の長さ方向に沿って延在して該吸気口に対して全長に亘って連通された吸気側チャンバーが配設され、
該吸気側チャンバーを介して前記吸気口と前記送風機の吸い込み口とが連通されていることを特徴とする昆虫類侵入防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−223926(P2011−223926A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96991(P2010−96991)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】