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昇温脱離ガス分析装置およびその方法
説明

昇温脱離ガス分析装置およびその方法

【課題】 試料から脱離した分析対象のガスのみを高精度に分析できる昇温脱離ガス分析装置を提供する。
【解決手段】 赤外線発生ランプ32により試料ステージ30を介して試料を加熱し、試料から脱離したガスを四重極質量分析計60および四重極質量分析計72によって分析する。四重極質量分析計60では、試料からの脱離ガスを高感度に測定する。四重極質量分析計72では、測定室12からバルブ44および固定オリフィス70を介して一定量の脱離ガスが、銅筒104の冷却機能により、80〜130Kの任意の温度になり、水がトラップされ、銅筒104内には開口部104aを介して水以外の試料の脱離ガスのみが流入する。そのため、銅筒104内の四重極質量分析部102によって、水の影響を除去して試料の脱離ガスのみを高精度に分析される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料を真空加熱し、試料から脱離したガスを分析する昇温脱離ガス分析装置
およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
試料を真空チャンバ内に置き、真空チャンバ内を高真空にした状態で試料に赤外線輻射
光を照射して加熱し、試料から発生する脱離ガスを質量分析器を用いて分析する昇温脱
離ガス分析装置が知られている。
このような昇温脱離ガス分析装置では、例えば、真空チャンバ内に一つの質量分析器が
設けられ、試料から脱離したガスを分析する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−249537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したシステムでは、加熱により試料以外から脱離した水分子が質量 分析器に入ってしまい試料から脱離したガスのみを正確に分析することは困難である。 例えば、金属材料の水素脱離測定において、金属材料に浸透している水素と付着している水分の解離により、バックグランドが変化し、試料から放出された水素ガスの測定が困難になるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、試料から脱離した分析対象のガスのみを高精度に分析できる昇温脱離ガス分析装置およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した従来技術の問題を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の昇温脱離ガス分析装置は、真空チャンバと、前記真空チャンバを真空状態にする真空ポンプと、前記真空チャンバ内に配置された試料ステージと、前記試料ステージに配置された試料を加熱する加熱手段と、前記真空チャンバ内に配置され、前記試料から離脱するガスを高感度検出する第1の質量分析手段と、前記真空チャンバ外に配置され、前記真空チャンバから流入管(オリフィス)を介して流入したガスを、特定の原子質量以外のガスをトラップさせた後に定量検出する第2の質量分析手段と、前記第1の質量分析手段の分析結果データと、前記第2の質量分析手段の分析結果データとを記憶する記憶手段とを有する。
【0007】
好適には、本発明の昇温脱離ガス分析装置の前記第1と第2の質量分析手段は、質量分析器と、前記質量分析器を囲み、熱伝導性が高い金属で形成され、前記真空チャンバから流入するガスを通す穴が形成された包囲手段と、前記包囲手段を冷却する冷却手段とを有し、前記質量分析器、前記包囲手段、前記冷却手段がチャンバ内とチャンバ下部に装備されている。
好適には、本発明の昇温脱離ガス分析装置は、金属性の前記冷却手段と前記包囲手段との間にこれらと接合した状態で介在し、熱伝導率が81.6W/mK以上で、前記冷却手段および前記包囲手段より柔らかい金属体をさらに有する。
好適には、本発明の昇温脱離ガス分析装置は、前記真空チャンバからの前記ガスの流入経路の前記包囲手段の前記真空チャンバ側に位置する遮熱手段をさらに有する。
好適には、本発明の昇温脱離ガス分析装置の前記包囲手段は、前記チャンバ内を80〜130Kの任意な温度で冷却し例えば水分子のトラップ有無を選択する。
【0008】
好適には、本発明の昇温脱離ガス分析装置は、前記試料から脱離したガスを前記第1および第2の質量分析手段で分析する前に、前記真空チャンバ内を100℃以上に加熱した状態で、前記真空チャンバ内を真空排気してチャンバ内の残留水素あるいは水分を除去する水素あるいは水分除去手段をさらに有する。
好適には、本発明の昇温脱離ガス分析装置は、前記第1の質量分析手段を、前記試料ステージ上の試料に対して遠近移動させる移動手段をさらに有する。
好適には、本発明の昇温脱離ガス分析装置の前記加熱手段は、赤外線輻射光加熱、例えばハロゲンランプと、前記赤外線輻射光加熱、例えばハロゲンランプの周囲に設けられたリフレクタと、前記赤外線輻射光加熱例えばハロゲンランプと前記リフレクタとを収容するケースと、前記ケースの前記赤外線輻射光加熱、例えばハロゲンランプと反対側の前記資料ステージ側に設けられ、前記ケース内を前記真空チャンバに対して密封および熱絶縁する絶縁物または二重石製管とを有する。
【0009】
本発明の昇温脱離ガス分析方法は、真空状態の真空チャンバ内で、試料ステージに配置された試料を加熱する加熱工程と、前記加熱を行っている状態で、前記チャンバ内に配置する第1の質量分析手段によって、前記試料から脱離するガスを検出する第1の高感度検出工程と、前記第1の検出工程と並行して、前記真空チャンバ外に配置された第2の質量分析手段で、前記真空チャンバから流入管(オリフィス)を介して流入したガスを水トラップ手段で水をトラップさせた後に定量検出する第2の検出工程とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、試料から脱離した分析対象のガスのみを高精度に分析できる昇温脱離ガス分析装置およびその方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る昇温脱離ガス分析装置1を説明するための図である。
【図2】図2は、図1に示す赤外線発生ランプ32を説明するための図である。
【図3】図3は、測定室から四重極質量分析計への流入経路に設けられるオリフィスを説明するための図である。
【図4】図4は、図1に示す2つの四重極質量分析計を説明するための図である。
【図5】図5は、図1に示す下側の四重極質量分析計を説明するための図である。
【図6】図6は、図1に示す2つの四重極質量分析計を説明するための図である。
【図7】図7は、図1に示す2つの四重極質量分析計の機能を説明するための図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態の昇温脱離ガス分析装置の赤外線発生ランプの変形例を説明するため図である。
【図9】図9は、四重極質量分析計と試料ステージとの距離を変更可能な構造を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る昇温脱離ガス分析装置について説明する。
先ず、本実施形態で用いる構成要素と、本発明の構成要素との対応関係を説明する。
ポンプ28等が本発明の真空ポンプの一例であり、試料ステージ30が本発明の試料ステージの一例であり、赤外線発生ランプ32が本発明の加熱手段の一例であり、四重極質量分析計60が本発明の第1の質量分析手段の一例であり、四重極質量分析計72が本発明の第2の質量分析手段の一例である。
また、銅筒104が本発明の包囲手段の一例であり、クライオコンプレッサ64が本発明の冷却手段の一例であり、インジウム箔130が本発明の金属体の一例である。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る昇温脱離ガス分析装置1を説明するための図である。
図1に示すように、昇温脱離ガス分析装置1は、準備室10と、測定室12とを有している。
準備室10と測定室12とをバルブ14が開状態のときに連通し、準備室10から測定室12に試料を移動可能となる。
準備室10内は、ベークヒータ20により加熱されるとともに、バルブ22,24が開状態でポンプ26,28によって真空状態にされる。
【0014】
測定室12内の中央には、図1に示すように、試料ステージ30と、その下方に位置する赤外線発生ランプ32とが設けられている。赤外線発生ランプ32は、例えば、集光型ランプ加熱方式を採用している。また、赤外線発生ランプ32は、脱ガスを生じない特殊加工により製作されている。
【0015】
試料ステージ30としては、高融点金属プレートが用いられ、試料温度を正確に制御して、測定することが可能である。
赤外線発生ランプ32には、冷却水が流入する口と、流出する口との間に冷却パイプ208が設けられている。
【0016】
赤外線発生ランプ32は、図2に示すように、ハロゲンランプ206と、ハロゲンランプ206の周囲に設けられたリフレクタ208とを、ケース210内に収容した構造を有している。
また、ケース210には測定室12に対して密閉状態になるように石英板204が固定されている。
なお、石英板204は、一例であり、絶縁物板であれば他の素材でもよい
また、石英板204に対してハロゲンランプ206と反対側、すなわち測定室12内に試料ステージ30が位置する。
【0017】
また、測定室12内の下部には、バルブ42,44を介してポンプ38,28の吸引力が伝達され、真空状態になる。
【0018】
測定室12内は、ベークヒータ56によって加熱される。また、測定室12内は水冷パイプ57によって冷却される。
測定室12内の下部は、バルブ52を介して水素トラップ装置54に接続されている。
水素トラップ装置54は、測定室12内をベークヒータ56で加熱した状態で発生した測定室12内の水素をトラップする。
本実施形態において、「トラップ」とは物質(分子)が凝縮されて再蒸発しないようにすることを意味する。
測定前水素(H)は、専用の吸着剤(活性炭)をH凝縮温度まで冷やし活性炭内にHを凝縮させH分圧を下げる。
試料からのH測定時は、水素トラップ装置54のバルブ52を閉状態にし、Hを積極的に排気しないようにし、四重極質量分析計60および四重極質量分析計72で試料から発生したHを測定しやすく(感度を上げる)ようにする。
【0019】
測定室12内の上部には、四重極質量分析計60が、ガス流入口を試料ステージの方向に向けた姿勢で固定されている。
四重極質量分析計60と72には、クライオスタッド62と74が固定されており、クライオコンプレッサ64によってクライオスタッド62と74が冷却され、四重極質量分析計60と72の冷却銅筒図4の104が冷却される。
四重極質量分析計60と72は、その分析結果を示す分析結果信号をコンピュータ82に出力する。コンピュータ82は、受信した分析結果信号をメモリに記憶する。
四重極質量分析計60と72は、イオンを4本の電極内に通し、電極に高周波電圧を印加することで試料に摂動をかけ、目的とするイオンのみを通過させる。イオンビームが通過中に電圧を変化させることで通過できるイオンの質量電荷比が変化し、マススペクトルを得ることができる。
四重極質量分析計60は、試料ステージ30上の試料と近接し、且つ当該試料から脱離したガスが直接に流入する位置に配置されているため、当該ガスを高感度に検出・分析することができる。四重極質量分析計60は、例えば、1〜200amu(atomic mass unit)のガスを検出する。
【0020】
図3に示すように、ゲート44は、オリフィス70を介して、四重極質量分析計72に連通している。
このようにオリフィス70を設けることで、測定室12から四重極質量分析計72が収容されたチャンバ112への放出ガスの流入量を一定にできる。
すなわち、放出ガス速度Qは、「Q=C×(P1-P2) 〔Pa・m3/s〕」として計算できる。ただしCはオリフィスの通過ガス流量〔m3/s〕である。なお、上記式の各値は、選択したオリフィスと真空排気系によって変動する。
【0021】
四重極質量分析計72には、クライオスタッド74が固定されており、クライオコンプレッサ64によってクライオスタッド74が冷却され、クライオスタッド74によって四重極質量分析計72の冷却銅筒図4の104が冷却される。
四重極質量分析計72には、ゲート44が開状態のときにポンプ38,28の吸引力によって測定室12内の脱離ガスが流入し、これを分析する。
四重極質量分析計72は後述するように水分子をトラップする構造図4の104を有し、測定室12内が室温から1200℃までの範囲において、水の影響を受けることなく、正確な水素ガス(2amu)の昇温脱離ガス分析が可能になる。
四重極質量分析計72は、その分析結果を示す分析結果信号をコンピュータ82に出力する。コンピュータ82は、受信した分析結果信号をメモリに記憶する。
【0022】
ところで、TDS(Thermally-Stimulated Desorption)測定における試料系チャンバはサンプルを加熱分析するプロセスにおいて、さまざま成分が脱離する。多くはH,CO,N,Oであるが場合によってはHOなどの脱離によりチャンバ内壁にトラップする場合がある。これらの成分を完全に除去するためにはベーキング機能を有するチャンバと高排気能力の真空ポンプが不可欠である。
【0023】
測定前、試料を入れない状態で測定室12をベーキングすることで、測定室12内で測定中にチャンバ壁面からの水の脱離を少なくする。
通常、測定室12内を真空排気した場合、真空を構成している残留ガスで一番多いのはH0(水)である。これは、水は、真空ポンプで排気されにくいことと、気中に多く存在することが理由である。「ベークド」(ベーキングと言う)は真空排気している状態で測定室12を100℃以上に加熱させる事で壁面に付着したHOを活性化させ真空排気する事で真空度を良くする手法のことである。残留ガスを除去する手法よりも残留HOを熱脱離真空排気しやすく活性化させることが目的である。
【0024】
以下、四重極質量分析計72について詳細に説明する。
図4は、四重極質量分析計72を説明するための図である。
図4に示すように、四重極質量分析部102は、銅筒104内に収容されている。
銅筒104の測定室12に連通する側には、ガスを流入するための開口部104aが形成されている。
銅筒104の外側の開口部104aの対向する位置には、遮熱リフレクタ106と、水冷遮熱板108とが四重極質量分析部102から測定室12に向けて順に配置されている。
遮熱リフレクタ106および水冷遮熱板108は、加熱された測定試料及び搬送用フォルダーから発せられる輻射熱が冷却されている銅筒104に直接影響を及ばさないように遮断する機能がある。輻射熱の影響で、冷却しようとする銅筒104に熱が加わることを防ぐ機構である。
輻射熱が大きい側に断熱性能が大きい水冷遮熱板108を置きその後方に空間で熱遮蔽するために遮熱リフレクタ106を設置している。
【0025】
ここで、四重極質量分析部102、銅筒104、水冷遮熱板106および水冷遮熱板108は、チャンバ112内に収容されている。
【0026】
クライオスタッド74の先端は、インジウム箔130を介して銅筒104に接合している。
このようにインジウム箔130を設けるのは、クライオスタッド74と銅筒104との冷却の観点からの接触を良くするためである。
すなわち、インジウムは、軟性に富み、熱伝導が高い。クライオスタッド74の先端部と銅筒104の側面と直接接続した場合、金属面同士の接触故厳密には点接触になる。そのため、間に軟性の良いインジウム箔130を挟む事により点接触から面接触になり、クライオスタッド74の先端部の冷却能力を効率的に銅筒104に伝達することできる。
本発明は、インジウム箔130の代わりに、熱伝導率が例えば81.6W/(mK)以上であれば、従軟性に富む他の金属または媒体を用いてもよい。
【0027】
四重極質量分析計72では、銅筒104の表面に水分子が凝集され、四重極質量分析部102周辺雰囲気の水分圧を下げることで、四重極質量分析部102での検出バックグランドを下げる効果が有る。銅以外に用いられる材質としては、アルミ・金(蒸着した物)等が在る。熱伝導率が良い金属を使用する。この材質の特性としては、熱伝導率が例えば81.6W/mK以上、素材単体での放出ガス量が少ない、加工が容易であることが要求される。
ところで、水分子が凝集される温度は100K以下である。一方、15K以下まで冷やすと、他のガスも吸着されてしまう。そのため、銅筒104は、上述した構造により、チャンバ112内を、80〜130Kの任意な温度に調整して冷却する。
【0028】
四重極質量分析計72は、図5(B),図6(B)に示すような状態で流入してきたサンプルガスから、図5(A),図6(A)に示す状態で流入したバックグランドの水を除去して図5(C),図6(C)に示す状態のガスを図4に示す四重極質量分析部102で検出する。
【0029】
四重極質量分析計60および四重極質量分析計72の分析結果を示す信号は、コンピュータ82に出力される。
コンピュータ82は、四重極質量分析計60および四重極質量分析計72から受信した分析結果を示す信号を基に、観測対象となる試料の対象となる成分の分析結果データを生成する。
コンピュータ82は、四重極質量分析計60からの図7(A)に示すような高感度測定結果と、四重極質量分析計72からの図7(B)に水素の測定結果とを基に、高感度測定結果の意味を解釈する。例えば、コンピュータ82は、四重極質量分析計60の分析結果のなかで、HOの影響を受けている部分を、四重極質量分析計72の分析結果を基に特定し、その部分について調整を行う等の処理を行う。
【0030】
以下、昇温脱離ガス分析装置1の動作例を説明する。
準備室10内に試料の入れ、バルブ22,24を開状態にしてポンプ28の吸引力により準備室10内を真空状態にする。
また、ベークヒータ56により、測定室12内を100℃以上に加熱した状態で、バルブ42,43を開状態としてポンプ28により真空排気する。
そして、バルブ14を開状態にして、準備室10から測定室12に試料を移動し、試料ステージ30上に載せる。
次に、バルブ52を開状態にして水素トラップ装置54の機能により、測定室12内の水素をトラップする。
【0031】
次に、赤外線発生ランプ32により試料ステージ30を介して試料を加熱し、試料から脱離したガスを四重極質量分析計60および四重極質量分析計72によって分析する。このとき、バルブ14,52,42は閉状態となり、バルブ43,44は開状態となっている。
四重極質量分析計60では、上述したように試料と近接した位置し、試料からの脱離ガスを高感度に測定する。
【0032】
図4に示す四重極質量分析計72では、クライオスタッド74によって軟性に富むインジウム箔130を介して銅筒104が冷却される。インジウム箔130を介したことで、上述したように、金属面同士の接触故厳密には点接触になり、高い冷却効率を得ることができる。
測定室12からバルブ44および固定オリフィス70を介して一定量の脱離ガスが図4に示すチャンバ112内の水冷遮熱板108および水冷遮熱板106の開口部を介して銅筒104の外周に流入する。このとき、銅筒104の外周付近は、銅筒104の上述した冷却機能により、80〜130Kの温度になり、水がトラップされ、銅筒104内には開口部104aを介して水以外の試料の脱離ガスのみが流入する。そのため、銅筒104内の四重極質量分析部102によって、水の影響を除去して試料の脱離ガスのみを高精度に分析できる。
【0033】
[その他の実施形態]
上述した実施形態では、四重極質量分析計60を固定した場合を例示したが、四重極質量分析計60を、試料ステージ30との距離を変更可能な構造にしてもよい。
例えば、図9に示すように、赤外線発生ランプ32による加熱温度が高まるに従って、四重極質量分析計60と試料ステージ30との距離が長くなるように調整する機構を設けてもよい。
【0034】
図8は、本発明の実施形態の変形例に係る測定室312および赤外線発生ランプ332を説明するための図である。
上述した実施形態では図1に示すように測定室12内に赤外線発生ランプ32を設ける場合を例示したが、本変形例では、図8に示すように、赤外線発生ランプ332を測定室312の外に配置し、石英板320を介して試料ステージ30上の試料を加熱する。
【0035】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
上述した実施形態では、四重極質量分析計60において高感度測定を行い、四重極質量分析計72においてバンクグランドとなる成分についてのみ測定を行うことができる。これにより、四重極質量分析計72による分析結果を、四重極質量分析計60の分析結果から差し引くことで、分析対象について高精度且つ高い信頼性の分析結果を得ることができる。
【0036】
上述した実施形態では、本発明の質量分析手段の一例として四重極質量分析計を例示したが、これ以外の質量分析計を用いてもよい。
また、上述した実施形態では、測定室12から四重極質量分析計72へのガス流入口を測定室12の下側に設けた場合を例示したが、測定室12内の任意の個所に当該ガス流入口を設けてもよい。
【0037】
上述した実施形態では、四重極質量分析計72において、水分子をトラップして水素を検出する場合を例示したが、トラップする分子、並びに検出する分子は、試料の種類、分析の目的等に応じて適宜選択可能である。
【0038】
また、上述した実施形態では、準備室10を備えた場合を例示したが、本発明は準備室10を備えていない場合にも同様に適用可能である。
また、水分のトラップ機構は、クライオスタッドの他に、液体窒素型冷却スタッドや吸着材などの水分トラップ機能を用いてもよい。
また、上述した実施形態では、ランプ加熱方式として、集光型ランプ加熱方式を例示したが、加熱手段として赤外線イメージ炉方式を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、昇温脱離ガス分析システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…昇温脱離ガス分析装置
10…準備室
12…測定室
30…試料ステージ
32…赤外線発生ランプ
60…四重極質量分析計(高感度測定用)
64…クライオコンプレッサ
70…オリフィス
72…四重極質量分析計(特定脱離ガス測定用)
74…クライオスタッド
102…四重極質量分析部
104…銅筒
106…水冷遮熱板
108…水冷遮熱板
112…チャンバ
130…インジウム箔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバと、
前記真空チャンバを真空状態にする真空ポンプと、
前記真空チャンバ内に配置された試料ステージと、
前記試料ステージに配置された試料を加熱する加熱手段と、
前記真空チャンバ内に配置され、前記試料から脱離するガスを高感度検出する第1の質
量分析手段と、
前記真空チャンバ外に配置され、前記真空チャンバから流入管(オリフィス)を介して
流入したガスを、特定の原子質量以外の分子をトラップした後に定量検出する第2の質
量分析手段と、
前記第1の質量分析手段の分析結果データと、前記第2の質量分析手段の分析結果デー
タとを記憶する記憶手段と
を有する昇温脱離ガス分析装置。
【請求項2】
前記第2の質量分析手段は、
質量分析器と、
前記質量分析器を囲み、熱伝導性が高い金属で形成され、前記真空チャンバから流入するガスを通す穴が形成された包囲手段と、
前記包囲手段を冷却する冷却手段と
を有し、
前記質量分析器、前記包囲手段、前記冷却手段がチャンバ内に収容されている
請求項1に記載の昇温脱離ガス分析装置。
【請求項3】
金属性の前記冷却手段と前記包囲手段との間にこれらと接合した状態で介在し、熱伝導
率が81.6W/mK以上で、前記冷却手段および前記包囲手段より柔らかい金属体
をさらに有する請求項2に記載の昇温脱離ガス分析装置。
【請求項4】
前記真空チャンバからの前記ガスの流入経路の前記包囲手段の前記真空チャンバ側に位
置する遮熱手段
をさらに有する請求項3に記載の昇温脱離ガス分析装置。
【請求項5】
前記包囲手段は、前記チャンバ内を、80〜130Kの任意な温度に調整冷却する
請求項2〜4のいずれかに記載の昇温脱離ガス分析装置。
【請求項6】
前記試料から脱離したガスを前記第1および第2の質量分析手段で分析する前に、前記
真空チャンバ内を100℃以上に加熱した状態で、前記真空チャンバ内を真空排気して
チャンバ内に存在する水素あるいは水分を除去する水素あるいは水分除去手段
をさらに有する請求項2〜5のいずれかに記載の昇温脱離ガス分析装置。
【請求項7】
前記第1の質量分析手段を、前記試料ステージ上の試料に対して遠近移動させる移動手段
をさらに有する請求項2〜5のいずれかに記載の昇温脱離ガス分析装置。
【請求項8】
前記加熱手段は、
赤外線輻射光加熱手段と、
前記赤外線輻射光加熱手段の周囲に設けられたリフレクタと、
前記赤外線輻射光加熱手段と前記リフレクタとを収容するケースと、
前記ケースの前記赤外線輻射光加熱手段と反対側の前記資料ステージ側に設けられ、前
記ケース内を前記真空チャンバに対して密封および熱絶縁する絶縁物または二重石製管
でからなる板と
を有する請求項2〜5のいずれかに記載の昇温脱離ガス分析装置。
【請求項9】
真空状態の真空チャンバ内で、試料ステージに配置された試料を加熱する加熱工程と、
前記加熱を行っている状態で、前記チャンバ内に配置する第1の質量分析手段によって、前記試料から脱離するガスを高感度検出する第1の検出工程と、
前記第1の検出工程と並行して、前記真空チャンバ外に配置された第2の質量分析手段
で、前記真空チャンバから流入管(オリフィス)を介して流入したガスを水トラップ手
段で水をトラップさせた後に定量検出する第2の検出工程と
を有する昇温脱離ガス分析方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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