昇華可能な持続放出デリバリーシステム及びその製造方法
本発明は、生物学的活性物質のデリバリー及び/又は安定化のために適した組成物に関する。該組成物は、昇華可能なマトリクス材料及びデリバリーされるべき生物学的活性剤を含有する。該組成物は、広範な疾患の治療のためにドラッグデリバリーシステムとして、あるいは、そのような物質を保護及び安定化するためのシステムとして使用できる。また、本発明の組成物を製造するための方法も開示される。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2006年12月22日に出願された米国仮特許出願番号60/753,114の利益を主張し、その全体を参考として取り入れるものとする。
【0002】
発明の背景
過去数十年間において、生物活性化合物の制御された放出のための生体侵食性マトリクスの領域で広範な研究が行われてきた。これらのシステムは、治療的化合物の持続放出を提供することにより患者の薬剤服用順守を向上させるだけでなく、薬物枯渇後のキャリアシステムを回収する必要を未然に防ぐので極めて興味深い。
【0003】
これらのマトリクスのために利用される最も一般的な材料は生分解性ポリマーであり、それらは埋込可能なデバイスとして、又は薬物含有ポリマー微粒子の懸濁物として製造される。マトリクスとして使用することを企図された合成ポリマーは、ポリ乳酸あるいは乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ポリアンヒドリド(polyanhydide)、ポリアミド、ポリオルトエステル、及びポリホスファゼンからなるものを含む(例えば、米国特許第4,389,330号米国特許第4,093,709号、米国特許第4,138,344号、及びSmith et al., Adv. Drug Del. Rev, 1990を参照)。生体由来の生分解性ポリマーもよく知られており、例えば、Yamahiraは、米国特許第4,855,134号において、ゼラチン、コラーゲン及びアルブミンのマトリクスからのα−インターフェロンの持続放出を開示している。Woiszwilloは、米国特許第5,578,709号において、巨大分子を含む多くのタイプの薬物の放出のために、脱水し架橋したタンパク質又は多糖類からなるマトリクスを使用することを教示している。ヒアルロン酸も架橋され、ドラッグデリバリー用の分解性膨潤性のポリマーとして使用されている(Della Valle等の米国特許第4,957,744号)。
【0004】
非ポリマーの、その場で形成されるインプラントシステムも開示されている(Dunnの米国特許第5,736,152号及びTipton及びHollの米国特許第5,747,058号)。これらのシステムでは、非ポリマーの生分解性担体材料は有機溶媒に溶解され、そこに薬物を分散又は溶解して液体とされる。体内への注入時に有機溶媒が消散し、それにより固体のインプラントが生成され、そこから薬物が放出される。開示されている非ポリマー担体の例は、コレステロール及びその誘導体、種々の脂肪酸及び脂肪酸アルコール、リン脂質及びその誘導体、スクロースアセテートイソブチレート、及び長鎖脂肪酸アミドである。トリグリセリドマトリクス、脂肪酸のオリゴグリセロールエステル、及び種々の植物(ゴマ、ダイズ、ピーナッツ等)又は合成(ミグリオール(miglyol))油をアルミニウムモノ脂肪酸エステルでゲル化したものを用いた他の非ポリマーインプラントも記載されている(米国特許第5,411,951号、米国特許第5,628,993号、及び米国特許第5,352,662号)。
【0005】
タンパク質、ペプチド、ポリペプチド及び他のタンパク質性物質(例えば、ウイルス、抗体)は、本明細書においては集合的にタンパク質と呼称するが、疾患の予防、治療及び診断における治療剤として大きな有用性を有している。残念ながら、これらの分子の安定性は限られており、化学的劣化(例えば、脱アミド化、酸化、加水分解、ジスルフィド交換、及びキラルアミノ酸残基のラセミ化による)及び物理的劣化(例えば、変性、凝集、及び沈降による)の両方を受けやすく、生物学的活性を喪失することも多い。従って、従来技術のシステムからこれらの分子をデリバリーすることの成功が限られているのは驚くことではない。例えば、ポリエステルベースのインプラント及び微粒子からのタンパク質のデリバリーは、マトリクスの侵食を進める酸性環境による化学的劣化、及び/又はポリエステルマトリクス表面への吸着による物理的劣化を招くことが多い。他の場合では、水又はマトリクスの部分的親水性の存在により、水が媒介する分解及び/又は変性プロセスが、その場又は水との接触又は吸収が可能な皮下空間などの環境において起こることを保証することが困難になる。そして、油性のデリバリー媒体は理論的にはタンパク質医薬を水性の劣化経路(加水分解、脱アミド化、ラセミ化など)から保護するが、多くの媒体は、それ自体が限られた程度で親水性であり、体温において不安定である。例えば、液状植物油をセリ的温度で貯蔵すると、遊離脂肪酸及び過酸化物などの両性で反応性の化学種が形成され(プロセスは、微量の各種金属イオン、例えば銅又は鉄の存在により加速される)、それらは多くのタンパク質の酸化的分解又は構造的劣化を触媒するであろう。
【0006】
さらに、或る種の薬剤、例えば細胞毒性薬は、錠剤又はカプセルからの持続放出を達成するために典型的に用いられる賦形剤中での高い反応性(低い安定性)のために、現在のところ放出制御経口製品として開発することができない。これに代わる、非経口デリバリー(凍結乾燥材料の再構成後が多い)又は中間放出経口製剤は、血漿レベルの変動が早いため、有効性又は毒性の問題を生じかねない。一日に複数の注射又は錠剤/カプセルが必要な場合は、便宜性及び順守の問題が生じうる。
【0007】
従って、これらの従来技術の制限を打ち破ることのできる組成物、デバイス又はシステムの開発が必要である。そのような組成物は、室温及び体温(即ち、25℃及び37℃)の両方で活性化合物の安定性を長時間維持し、活性剤、例えば反応性の又は不安定な生物活性治療剤の持続放出を提供しなければならない。
【0008】
発明の概要
新規で、化学的に不活性なドラッグデリバリーシステムが見出され、それは、化学的に誘導されるマトリクス侵食ではなく、周囲のマトリクス材料の昇華により、インビボでの生物学的活性剤を持続放出を提供する。このマトリクス材料は、通常は実質的に水不溶性で化学的に不活性であり、酸化又は加水分解の反応性が低いか全く無いものである。即ち、少なくとも幾分かの初期拡散的薬物放出及びそれに続く従来の溶解又は化学的分解メカニズムによるマトリクス侵食によって一部の薬物放出がありうるが、本発明の組成物からの有意な量、及び通常は実質的に全ての治療剤の放出は、これらの公知のメカニズムに依存することなく達成される。むしろ、本発明の組成物からの治療剤放出の速度及び期間は、マトリクス調製に使用した物質の昇華エンタルピー (ΔHsub)に依存するのである。マトリクス材料の昇華エンタルピーは、体温において特定の蒸気圧をもたらす。次いで、昇華によるマトリクス侵食はマトリクス内に分散された薬物の露出を伴い、達成された蒸気圧及び環境(例えば、注入/埋込部位)対流の関数となる。
【0009】
本発明の利点の一つは、昇華可能なマトリクス材料が、固有の水に媒介される反応性の低い疎水的環境を与え、治療剤を化学的及び物理的劣化の両方から保護することである。これにより、植物及びヒトを含む動物内での活性剤、特に不安定又は反応性の生物学的活性剤の持続放出が可能になり、これは他に実行不可能であった。また、昇華可能なマトリクス材料を慎重に選択することにより、広範な昇華速度、従って生物学的活性剤の放出速度を達成できることが有利に見出された。従って、一実施態様では、組成物は昇華可能なマトリクス材料と生物学的活性剤とを含む。
【0010】
また、生物学的活性剤の放出速度は、異なる昇華エンタルピーを持つ昇華可能なマトリクス材料をブレンドすることにより調節できることを有利に見出した。従って、代替的な実施態様では、組成物は昇華可能なマトリクス材料の混合物と生物学的活性剤とを含む。
【0011】
更に他の実施態様では、組成物は、昇華可能なマトリクスからの生物学的活性剤の放出を調節する賦形剤、「昇華速度調節剤」を更に含む。昇華速度調節剤は、昇華可能なマトリクス材料の全蒸気圧に影響することにより、あるいは表面積を変える、例えば昇華可能なマトリクス材料内に孔を形成することにより、生物学的活性剤の放出速度を調節(modify)するために機能しうる。これにより、マトリクスからの生物学的活性剤の放出速度のみならず、放出プロフィールを操作することもできる。例えば、孔−形成昇華速度調節剤を使用することにより、生物学的活性剤のバーストが放出され、次いで実質的に線形の放出プロフィールとなる放出プロフィールが得られる。従って、更に他の実施態様では、組成物は昇華可能なマトリクス材料、又はその混合物、昇華速度調節剤、及び生物学的活性剤を含む。
【0012】
よって、本発明の他の利点は、異なる昇華速度を持つ昇華可能なマトリクス材料をブレンドすることにより、あるいは昇華速度調節剤を添加することにより、昇華可能なマトリクスからの生物学的活性剤の放出速度及び放出プロフィールの両方を、容易に操作できることである。当然のことながら、幾つかの実施態様では、本発明の組成物は、他の従来のメカニズムにより放出に影響を与える他の材料、例えばコーティング類と組み合わせる又は採用することができる。
【0013】
更に他の実施態様では、本発明は、昇華可能なマトリクス材料又はその混合物、生物学的活性剤、及び場合によっては昇華速度調節剤を含む組成物の製造方法を提供する。一実施態様では、昇華可能なマトリクス材料及び生物学的活性剤を最初に混合し、次いで所望の形状、例えば、ロッド、シリンダー又はディスクのインプラントに圧縮する。
【0014】
更に他の実施態様では、本発明は、生物学的活性剤を動物にデリバリーする方法を提供し、当該方法は、昇華可能なマトリクス材料及び生物学的活性剤を含む組成物の有効量を前記動物に投与することを含む。
【0015】
発明の詳細な説明
本明細書で使用される「昇華可能なマトリクス材料」とは、人体などの使用環境において固体又は半固体から気体に変化する任意の化合物を意味する。通常は、実質的に水不溶性であり、活性剤より揮発性が高い。本発明で有用な昇華可能なマトリクス材料は、体温において固体又は半固体であり、約20kj/モルから約100kj/モルの昇華エンタルピー(ΔHsub)を持つ材料を含む。或る実施態様では、それらの材料は約37℃より高い融点を持つ。好ましい昇華可能なマトリクス材料は、典型的には複数鎖又は複数環のアルカン又はペルフルオロアルカンを含み、それらは実質的に球状、球形又は卵形の形状であり、所望かつ制御されたマトリクス侵食が可能な昇華エンタルピーを有する。昇華可能なマトリクス材料は、好ましくは生体適合性であり、例えば、毒性でないのみならず、有害な組織反応を起こさない。
【0016】
昇華可能なマトリクス材料の例は、限定されないが、球状アルカン(即ち、球形、楕円形、又はボール様形状を持つアルカン)、過フッ化アルカン、球状過フッ化アルカン、アダマンタン、ペルフルオロアダマンタン、1−メチルアダマンタン、ペルフルオロ1−メチルアダマンタン、テトライソプロピルメタン、ペルフルオロテトライソプロピルメタン、2,2,3,3−テトラメチルブタン(ヘキサメチルエタン)、ペルフルオロ2,2,3,3−テトラメチルブタン、ペルフルオロネオペンタン、ペルフルオロ−C60フラーレン、キュバン、ペルフルオロキュバン、オクタメチルキュバン、ペルフルオロオクタメチルキュバン、ペルフルオロメチルアダマンタン、ペルフルオロトリ-tert-ブチルメタン、ペルフルオロジメチルアダマンタン、ペルフルオロヘキサメチルエタン、ペルフルオロ−1,3−ジメチルアダマンタン、イソカンファン、トリシクレン、1−エチルアダマンタン、1−メチルジマンタン(1-methyldimantane)、ペルフルオロジメチルビシクロ[3.3.1]ノナン、ジアダマンタン、ペルフルオロジアダマンタン、トリ-tert-ブチルメタン、ノルボルナン、ペルフルオロノルボルナン、シクロドデカン、ペルフルオロシクロドデカン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ペルフルオロウンデカン、ペルフルオロドデカン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、テトラシクロヘプタン、トリシクロヘキサン、ジメチル−イソプロピル−ペルヒドロフェナントレン、ヘキサメチルプリズマン、プリズマン、テトラシクロドデカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、2−メチルアダマンタン、1−メチルアダマンタン、ペンタシクロウンデカン、トリシクロデカン、ビシクロデカン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.1]へプタン、ペルフルオロ-tert-ブチルメタン、ペルフルオロ−1,3,5−トリメチルアダマンタン、ペルフルオロ2,2−ジメチルアダマンタン、ペルフルオロテトラシクロヘプタン、ペルフルオロトリシクロヘキサン、ペルフルオロヘキサメチルプリズマン、ペルフルオロプリズマン、ペルフルオロテトラシクロドデカン、ペルフルオロビシクロ[3.3.3]ウンデカン、ペルフルオロ2−メチルアダマンタン、ペルフルオロペンタシクロウンデカン、ペルフルオロトリシクロデカン、ペルフルオロビシクロデカン、ペルフルオロビシクロ[3.3.1]ノナン、ペルフルオロビシクロ[2.2.2]オクタン、ペルフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプタン、及びこれらの混合物を含む。他の好ましい材料は、本開示の見地から当業者には明らかであろう。
【0017】
本発明の特別な態様では、昇華可能なマトリクス材料としてアダマンタンが用いられる。アダマンタンは、270℃の融点及び59kJ/モルの昇華エンタルピーを持つ球状アルカンである。他の実施態様では、ヘキサメチルエタン(融点100℃、ΔHsub43kJ/モル)、ペルフルオロネオペンタン(融点72℃、ΔHsub<25kJ/モル)、ノルボルナン(融点88℃、ΔHsub40k/モル)、 ヘキサメチルシクロトリシロキサン(融点60℃、ΔHsub54kJ/モル)、シクロドデカン(融点61℃、ΔHsub 76kJ/モル)又はこれらの混合物からなるマトリクスが用いられる。
【0018】
本明細書で定義されるように、「昇華速度調節剤」とは、昇華の速度を変更する又はマトリクスの物理的構造を変更すること等により、治療剤の放出速度を変化させるために、昇華可能なマトリクス材料に添加される分子又は分子群を意味する。昇華速度調節剤は、昇華性であってもなくてもよく、生理的温度で固体であっても液体であってもよい。マトリクスに昇華速度調節剤を添加することにより、生物学的活性剤のインビボでの放出特性に幅が与えられる。昇華速度調節剤は、組成物全体に均一に分散させてマトリクスの全蒸気圧を変化させることにより昇華速度に影響を与えてもよく、あるいは、マトリクス内に不均一に分散させて孔の形成を促し、マトリクス表面積及び侵食速度を増大させることにより薬剤放出を促進してもよい。
【0019】
昇華速度調節剤は、所望の効果を達成する任意の量で配合される。典型的には、昇華速度調節剤は、組成物の全重量に対して、約0.1から約30重量%、より典型的には約0.5から約10重量%の範囲で配合される。昇華速度調節剤自体が昇華性である場合は、より多くの量が配合される。
【0020】
好ましい昇華速度調節剤の例は、限定されないが、トリメチルアセトアミド、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルピバレート、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロアルカン、トリ-tert-ブチルメタノール、ペルフルオロシクロアルカン、カンファー、カンフェン、ネオペンチルアルコール、ヘキサクロロエタン、クロロブタノール、メタノール、抱水テルピン、バニリン、エチルバニリン、1,3,5−トリオキサン、ナフタレン、フェノール、トリステアリン、デキストラン、グリコーゲン、tert-ブタノール、ポリ乳酸又は乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ポリオルトエステル又はポリアンヒドリドからなる生分解性ポリマー、前記生分解性ポリマーからなる微粒子、脂肪酸、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、コレステロール及びその微粒子、カプロスタン(caprostane)、37℃より高い融点を持つトリグリセリド、コラーゲン及びその微粒子、ゼラチン及びその微粒子、エタノール、プロピレングリコール。PEG400、グリセロール、ポリグリセロール、ポリソルベート、スクラロース、スクラロースペンタハイドレート、及びこれらの混合物を含む。他の好ましい材料は、本開示の見地から当業者には明らかであろう。
【0021】
本明細書で用いる用語「マトリクス」とは、固相担体であって、その中に活性剤を分散できる。マトリクスは任意の所望の形状、例えば、球形、回転楕円体、シリンダー、ロッド、シート等、又は堅さ、例えば固体、展性、変形体、流動性などでありうる。マトリクスは、八日可能なマトリクス材料又は昇華可能なマトリクス材料の混合物、及び場合によっては昇華速度調節剤を含んでいる。
【0022】
所望の特性を発揮する任意の物質が本発明の組成物を用いてデリバリーできるが、好ましくは、生物学的に活性那物質である。用語「生物学的活性物質」、「薬剤」、及び「治療剤」は、本明細書において交換可能に用いられ、任意の天然又は合成の、有機又は無機分子又はその混合物を意味し、薬剤、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物(単糖類、オリゴ糖類、及び多糖類を含む)、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、又はタンパク質に複合又は結合した小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸(任意の形態のDNA、cDNA、又はRNA、又はそれらの断片を含む)、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、遺伝子構築物、脂質、ホルモン、ビタミン、細胞毒性剤、滋養剤又はその組み合わせであって、インビボで植物又は動物(限定されないが、鳥類及びヒトを含む哺乳類を含む)に投与したときに生物学的影響を生じさせるものを含む。これらの用語は、疾患又は疾病の治療、治癒、又は予防のための医薬として内服的又は外用的に用いられる物質も指し、限定されないが、降圧剤、抗感染薬(抗生物質、抗ウイルス、及び抗真菌剤を含む)、駆虫剤、抗けいれん薬、抗糖尿病薬、抗マラリア薬、抗ムスカリン薬、抗新生物薬、免疫調節役、酸化防止剤、麻酔薬、鎮痛剤、プロテアーゼ阻害剤、化学治療剤、ステロイド、ホルモン、心臓薬(イントロピック薬(intropic agents)、α及びβアドレナリン作用薬及び拮抗薬、麻酔薬、キレート剤、充血除去剤、放射性医薬、ワクチン及び抗血清、増殖抑制剤、抗ヒスタミン薬、抗凝固剤、光老化防止剤、メラノトロピンペプチド、非ステロイド及びステロイド抗炎症化合物、抗精神病薬、抗不安薬、ビタミン、 副交感神経遮断薬、成長因子、酵素、プロドラッグ、プロホルモン、食欲抑制/刺激剤及びその組み合わせ、避妊薬、抗パーキンソン鎮痙薬、血管拡張薬、血栓溶解剤、甲状腺薬、交感神経刺激薬、骨格筋弛緩薬、抗喘息薬、抗狭心症薬、視床下部及び下垂体ホルモン、胃腸薬、利尿薬、カルシウム調節薬、抗甲状腺薬、抗原虫薬、抗片頭痛薬、抗痛風薬、外皮用剤、コルチコステロイド、診断薬、及び放射線吸収剤(UV吸収剤を含む)を含む。
【0023】
薬剤、生物学的活性剤又は治療剤の例は、限定されないが、レスペリドン(risperidone)、オランザピン(olanzapine)、クロザピン、クエトラピン(quetiapine)及びジプラシドン(ziprasidone)、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウム、ペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、バシトラシン、ナイスタチン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、及び アジスロマイシン(azithromycin);スルファナミド(sulfonamides)、イドクスウリジン、アンタゾリン、メタピリレン、クロロフェニラミン(chlorpheniramine)、ピリラミン、プロフェンピリダミン、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21-ホスフェート、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリゾン、プレドニゾン、プレドニゾン21-コハク酸ナトリウム、及び酢酸プレドニゾン;脱感作剤、例えばブタクサ花粉抗原、枯草熱抗原、塵埃抗原及び乳汁抗原:ワクチン、例えば疱瘡、黄熱、ジステンパー、豚コレラ、トリポックス(chicken pox)、アンチベノム(antivenom)、猩紅熱、ジフテリア毒素、破傷風毒素、鳩ポックス(pigeon pox)、百日咳、インフルエンザ狂犬病、ムンプス、麻疹、ポリオ、及びニューカッスル病;鬱血除去薬、例えばフェニレフリン、ナファゾリン、及びテトラヒドラゾリン(tetrahydrazoline);ミオティクス(miotics)及びアンチコリンエステラーゼ、例えばピロカルピン、サリチル酸エスペリン(esperine salicylate)、カルバコールフルオロリン酸ジイソプロピル、ヨウ化ホスホリン(phospholine iodide)、及び臭化デメカリウム;副交感神経遮断薬、例えば硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、オイカトロピン、及びヒドロキシアンフェタミン;交感神経様作用薬、例えばエピネフリン;ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタール、セコバルビタール、コデイン、(a-ブロモイソバレリル)尿素、カルブロマル;心的エネルギー薬、例えば3-(2-アミノプロピル)インドールアセテート;レセルピン、クロルプロメイリン(chlorpromayline)、チオプロパゼート;メチル-テストステロン及びフルオリメステロン;エストロゲン、例えばエストロン、17-β-エストラゾール、エチニルエストラゾール、及びジエチルスチルベストロール;プロゲステロン薬、例えばプロゲステロン、メゲストロール、クロルマジノン、エチステロン、ノルエチンドロン、19-ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、メドロキシプロゲステロン、及び17-β-ヒドロキシ-プロゲステロン;鎮痛薬、例えばフェンタニール、サフェンタニル、メペリジン;局所麻酔薬、例えばブピバカイン、リドカイン;解熱剤、例えばアスピリン、サリチル酸ナトリウム、及びサリチルアミド;抗壊血病薬、例えばアトロピン、メタンテリン、パパベリン、及び 臭化メトスコポラミン;抗マラリア薬、例えば4-アミノキノリン、8-アミノキノリン、クロロキン、及び ピリメタミン;抗ヒスタミン薬、例えばジフェンヒドラミン、ジメンヒドリネート、トリペレナミン、パーフェナジン、及び クロロフェナジン(chlorphenazine); 心臓作用薬、例えばイベンジドロフルーム(dibenzhydroflume)、サイアザイト、フルメサイアジド、及びアミノトレート(aminotrate);栄養剤、例えばビタミン類を含む。
【0024】
本発明を用いて製剤できるタンパク質、ペプチド及びタンパク質様薬剤は、生物学的活性を持つ、あるいは疾患又は他の病理学的状態を治療するのに使用できるようなタンパク質/ペプチド/タンパク質様薬剤を含む。それらは、限定されないが、成長ホルモン、因子VIII、因子IX及び他の凝固因子、キモトリプシン、トリプシノーゲン、インターフェロン、β−ガラクトシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、成長因子、凝固因子、酵素、免疫反応刺激剤、サイトカイン、リンホカイン、インターフェロン、免疫グロブリン、インターロイキン、ペプチド類、トスタチン、ソマトトロピン類似物、ソマトメジン−C、ゴナドトロピン放出ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、LHRH、LHRH類似物、例えばロイプロリド、ナファレリン及びゴセレリン、LHRHアゴニスト及びアンタゴニスト、成長ホルモン放出因子、カルシトニン、コルヒチン、ゴナドトロピン、例えば絨毛性ゴナドトロピン、オキシトシン、オクトレオチド、ソマトトロピンプラスアミノ酸、バソプレシン、副腎皮質刺激ホルモン、上皮成長因子、プロラクチン、ソマトトロピンプラスタンパク質、コシントロピン、リプレシン、ポリペプチド、例えば甲状腺ほい出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、セクレチン、パンクレオザイミン、エンケファリン、グルカゴン、最初に分泌され血流により分配されるエンドクリン剤などを含む。デリバリーできる更なる薬剤は、抗トリプシン、インスリン及び他のペプチドホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、及び他の下垂体ホルモン、インターフェロン−α、−β、及び−γ、コンセンサスインターフェロン、リスロポエチン、成長因子、例えばGCSF、GM−CSF、インスリン様成長因子1、組織プラスミノー源活性化剤、CF4、dDAVP、腫瘍壊死因子受容体、膵臓酵素、ラクターゼ、インターロイキン−1受容体アンタゴニスト、インターロイキン−2。腫瘍抑制タンパク質、細胞毒性タンパク質、レトロウイルス及び他のウイルス、ウイルスタンパク質、抗体、組み換え抗体、抗体断片などを含む。
【0025】
本発明の組成物及び方法で有用なタンパク質、ペプチド及び核酸化合物は、エン、好ましくは製薬的に許容される塩の形態で使用できる。あるいは、これらの薬剤は、PEG化すること又は炭水化物等の付加物と接合することも可能である。
【0026】
本発明を用いて製剤できる核酸化合物の例は、生物学的活性を持つ又は疾患あるいは他の病理学的状態を治療するのに使用できるようなタンパク質、例えば上記したタンパク質をコードするものを含む。センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、望まれないタンパク質の生成をブロック又は減少させる核酸も本発明において有用である。また、直接的に又はタンパク質をコードすることにより、疾患状態(例えば癌)あるいは細菌、ウイルス又は原虫などに病原体による感染に対して動物を刺激して免疫を生じさせる核酸も本発明で使用できる核酸に含まれる。
【0027】
前記の薬剤は、種々の病態の治療又は予防に有用であり、限定されないが、血友病及び他の血液疾患、成長疾患、糖尿病、白血病、肝炎、腎不全、HIV感染、遺伝病、例えばセレブロシダーゼ欠損症及びアデノシンデアミダーゼ欠損症、高血圧、敗血性ショック、自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、グレーブス病、全身性エリテマトーデス及び関節リウマチ、ショック及び消耗性疾患、嚢胞性線維症、乳糖不耐症、クローン病、炎症性腸疾患、胃腸及び他の癌を含む。上記の類似物、誘導体、アンタゴニスト、アゴニスト及び製薬的に許容される塩も使用できる。
【0028】
一実施態様では、デリバリーされる治療剤は抗原であり、組成物はワクチンとして作用する。抗原は、細胞、バクテリア、又はウイルス粒子、又はその一部から誘導されうる。本明細書で定義されるように、抗原はタンパク質、ペプチド、多糖類、糖タンパク質、糖脂質、拡散、又はそれらの組み合わせでもよく、動物、例えば哺乳類、鳥類、魚類において免疫原性反応を誘発する。好ましい抗原の例は、ウイルス性タンパク質、例えばインフルエンザタンパク質、ヒト免疫不全ウイルス(HIV))タンパク質、及び肝炎A、B又はCタンパク質、バクテリアタンパク質、リポ多糖類、例えばグラム陰性バクテリア細胞壁及び淋菌タンパク質、及びパルボウイルスを含む。誘発される免疫原性反応は、体液性又は細胞仲介性でありうる。免疫原性反応が指向する材料が抗原性が低い場合、通常の共有結合技術、例えば、幾つかの市販されている試薬キットを用いて、それをキャリア又はハプテンに接合させてもよい。
【0029】
治療剤は、所望の効果を達成する量を宿主動物又は植物にデリバリーするのに十分な量が組成物中に配合される。組成物に配合される薬剤又は生物学的活性剤の量は、望まれる放出プロフィール、生物学的効果に必要な薬剤の濃度、及び薬剤の放出に望まれる期間に依存する。さらに、組成物中の治療剤の量は、治療剤の薬物動態学及び薬力学、並びに当該技術の当業者に知られた他の因子にも依存する。投与量の値は、緩和すべき状態の重篤性によっても変化するであろうことを記しておく。さらに、任意の特別な患者については、特定の投与計画は個別の必要性及び組成物を投与する又は投与を監督する専門家の判断に従って経時的に調整されるべきであり、本明細書で規定される濃度範囲は例示のためであって特許請求される発明の範囲及び実施を限定するものではないと理解される。組成物は、1回で投与してもよく、あるいは変化する間隔で投与される多数の少量の投与量に分けてもよい。
【0030】
生物学的活性剤は、典型的には、組成物中に組成物の全重量に対して約0.05から約90重量%の範囲で配合される。幾つかの実施態様では、生物学的活性剤は、全重量に対して約0.0から約40重量%、さらなる実施態様では約0.5から約20重量%で配合される。組成物を膜様バリヤ及びカプセル化シェルとして用いる場合は、より大きな配合量、例えば90重量%を越える生物学的活性剤を配合してもよい。
【0031】
本発明の実施において、本発明の組成物は、使用環境、例えば植物又は動物の中又は上に配置される。多くの実施態様では、使用環境は動物の身体である。用語「動物」には、ヒト、霊長類、哺乳類、家畜化した又は半家畜化した動物(例えば、家庭用、ペット、及び農場動物など)、実験動物(例えば、マウス、ラット及びモルモットなど)、鳥類、魚類、動物園動物などが含まれる。身体内の典型的な使用環境は、筋肉又は脂肪等の軟組織;骨等の硬組織;空間、限定されないが皮下、腹膜、歯周、口腔、肺、膣、直腸、又は鼻空間;又はポケット、例えば歯周ポケット又は眼のカル・デ・サク(cul-de-sac)を含む。あるいは、本発明の組成物は、創傷治癒又は薬剤の経皮又は皮内デリバリー等のために身体上に配置してもよい。
【0032】
本発明の組成物は、種々の形状、例えば、平板、正方形、円形、球形、半球形、管状、シリンダー、ディスク、ロッド、環等で作製でき、動物の身体又は身体の空洞又は経路での埋込又は挿入のためにサイズ決め、成形、及び適合させることができる。多くの実施態様で組成物は埋込可能なロッド、ディスク又はペレットの形状とされるが、その用途はインプラントに限られるものではなく、熱力学的に不安定であるが反応速度論的に安定な注射可能な微粒子を含むことができる。
【0033】
本発明の組成物は、粒子形状であってもよく、それは吸入により肺へ直接デリバリーされる。あるいは、粒子は適当な懸濁媒体中に懸濁させてもよい。適当な懸濁媒体の例は、ペルフルオロハイドロカーボン、リン脂質、脂肪酸エステル、モノ−、ジ−、又はトリ−グリセリド、グリセロール、ポリグリセロール、又はポリエチレングリコールを含む。得られる懸濁物は、経口、経鼻、腹膜又は吸入経路で与えても、局所的に適用してもよい。
【0034】
あるいは、本発明の組成物は、錠剤、坐薬、ペースト、クリーム、フィルムなどの形態であってよい。
【0035】
本発明の組成物は、内部にリザーバを包含した単一のマトリクス、多数のマトリクス層、又はマトリクス「膜」の形態とすることができる。
【0036】
本発明の組成物は、標準的な技術により調製することができる。例えば、昇華可能なマトリクス材料、治療剤、及び場合によっては昇華速度調節剤を混合し、次いで、例えばコアセルべーション又は低温グラインド又は溶媒蒸発、及び同様の製造法により、ロッド内に押し出す、物品の形状に圧縮する、成形物品に融解キャストする、溶媒フィルムキャストする、圧縮成型する、微粒子に成形する。
【0037】
組成物を調製する一つの方法は、治療剤及び場合によっては昇華速度調節剤を、融解させた昇華可能なマトリクス材料(又は昇華可能なマトリクス材料混合物)に分散又は溶解させ、融解混合物を形成することを含む。融解混合物は、次いで適当なモールドに投入して冷却し、注射可能なインプラント、坐薬、フィルム又は錠剤として使用されるか、又はロッド又はシートに押し出され、埋込可能又は経皮的デバイスとされる。
【0038】
本発明の微粒子組成物は、様々な方法で調製される。それらの方法の一つは、治療剤を融解した昇華可能なマトリクス材料に分散又は溶解して融解混合物を形成し、次いで融解混合物を即座に昇華可能なマトリクス材料の非溶媒と混合することを含み、それは融解混合物の融点より低い温度で混合されるが、融解混合物/非溶媒が混和されて微粒子を形成するのに十分な剪断力が与えられる。あるいは、融解混合物を冷却して固形塊とし、次いでそれをボールミル、ジェットミル、又は他の当該分野で知られた方法によって粒子形状に縮小することができる。微粒子を形成する更に他の方法は、溶解した昇華可能なマトリクス材料を含有する有機溶媒に薬剤を溶解又は分散し、高エネルギー混合を介して非混和相中で前記有機相(昇華可能なマトリクス材料及び薬剤を含む)の小滴を形成し、蒸発又は希釈などの当該分野で知られた種々の方法により前記滴及び非混和相から有機溶媒を抽出し、そして微粒子を回収することを含む。
【0039】
組成物を調製する一つの特別な方法は、昇華可能なマトリクス材料、治療剤、及び場合によっては昇華速度調節剤を、振動ボールミル内で混合し、次いで混合物を圧縮して適当な形状(ペレット、ディスク、ロッド等)に圧縮して、注射可能なインプラント、膣又は直腸用の坐薬、又は経口用の錠剤とすることを含む。
【0040】
上記の全ての実施態様において、昇華可能な固体は単独でも昇華可能な固体の混合物でもよく、場合によって昇華速度調節剤が配合されていてもよいと解される。昇華速度調節剤が配合される場合、マトリクス全体に均一に分散されても、不均一に分散されて、治療剤の放出を促進する孔を形成しても、それらの組み合わせでもよい。
【実施例】
【0041】
以下の実施例は本発明を更に例示するが、如何なる方法によっても本発明の範囲を限定すると解してはならない。以下の実施例は、特に詳細に記載したものを除いて、当業者に良く知られ、日常的な従来技術を用いて実施された。
【0042】
1.昇華性固体混合物の調製
昇華可能なマトリクス材料である、2,2,3,3−テトラメチルブタン(ヘキサメチルエタン)、ノルボルナン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、及びアダマンタン(99%)は、Sigma-Aldrich (St Louis, MO, USA)から購入した。ペルフルオロネオペンタン及びペルフルオロアダマンタンは、ExFluor Research (Round Rock, TX, USA)から購入した。ヘキサメチルエタンは、昇華性固体及び炭酸カルシウムの混合物の微細な粉末にした混合物から減圧昇華することによりを精製して残っているピバリン酸を除去した。マトリクス成分を緊密に混合するために、全ての製粉調製物のために振動ボールミル(Retsch MM301 ミキサーミル及び12mmのステンレススチールボールベアリングを有する10mLステンレススチール粉砕ジャー)を使用した。昇華性固体の混和物(ブレンド)は、2又は3グラムの固体をジャーに添加し、30Hzで10分間製粉することにより室温で調製した。製粉が完了した時点で微細粉末又はガラス状の塊を得た。ガラス状の塊は、更に処理する前に手で小片に砕いた。
【0043】
2.昇華性固体マトリクスの調製
Carver Model C水圧プレス圧縮機を用いた圧縮成型により、ディスクについては9mm凹面ダイ、ロッドについては直径2mmダイで、ペレットを調製した。典型的には、100-250mgの製粉した又は粉砕した昇華性固体片のサンプルを、1000lbsで60分間の室温圧縮によりペレット化した。得られたペレット及びロッドは、8-10mmの長さであった。ディスクは約9mm径及び約2-4mmの厚みであった。すべてのマトリクスの外観は半透明から不透明であった。
【0044】
3.制御された温度及び対流下でのマトリクスの昇華速度
昇華性固体マトリクスペレット又はディスクを、制御された室温で、自由に対流する条件下、開口パンの上に配置することにより、ペレットの重量損失速度を重量測定により測定した。パンを分析用秤上に直接置き、実質的に連続的にペレット重量変化を測定した。ヘキサメチルエタン(HME)、アダマンタン(ADM)、ペルフルオロネオペンタン(PFNP)、ノルボルナン(NOR)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(HMC)及びペルフルオロアダマンタン(PFA)の150mgの円筒形ペレットについての昇華プロフィールを図1に示す。
【0045】
4.マトリクスブレンドの昇華速度
数種の昇華性固体の緊密な混合物又は「アロイ」を含むマトリクスを、混合物成分を30Hzで10分間ボールミルし、次いで圧縮してペレットとすることにより調製した。混合物Aは、0.6gmのヘキサメチルエタン、0.6gmのアダマンタン、及び0.6gmのペルフルオロアダマンタンからなる。混合物Bは、0.5gmのヘキサメチルエタン、0.5gmのアダマンタン、及び2.1gmのペルフルオロアダマンタンからなる。混合物Cは、1gmのヘキサメチルエタン、0.5gmのアダマンタン及び0.5gmのペルフルオロアダマンタンからなる。各混合物のペレットは、110-115mgの混合物Aアリコート、150-165mgの混合物Bアリコート、及び120-150mgの混合物Cアリコートを1000lbsで60秒間圧縮成型することにより調製した。昇華は、実施例3のように室温において開口パン上で実施した。マトリクスの昇華速度を図2に示す。
【0046】
5.昇華性固体マトリクスの侵食速度に対する昇華速度調節剤
25重量%のペルフルオロデカリン(PFD)を含むペルフルオロネオペンタン(PFNP)マトリクスを、1.5グラムのペルフルオロネオペンタン固体と500mgのペルフルオロデカリン液体とを混和(ブレンド)することにより調製した。30Hzで10分間の振動ボールミルにより、軟質のプラスチック固体を得た。1000lbsで60秒間の圧縮により約150mgの円筒形ペレットを調製した実施例3と同様に昇華速度を測定し、マトリクス侵食の減少速度を図3に示した。
【0047】
6.昇華性ヘキサメチルエタンマトリクスの円筒形ペレットからのブロモフェノールブルーのインビトロでの放出速度
ブロモフェノールブルーナトリウム塩(BPB)は、Sigma-Aldrich (St Louis, MO, USA)から購入し、ブレードミルにより正確に秤量した約3.0gの昇華性固体中に正確に秤量した約30mgの染料を室温で分散させた。目的とするブロモフェノールブルーの負荷は1重量%(正確には0.98-1.22%)であった。調製されたヘキサメチルエタンマトリクスの円筒形ペレットは、150mgの凝集粉末を1000lbsで60分間、室温で5mm×9mmのシリンダー状に成型することにより調製した。
【0048】
制限された昇華/対流条件下、即ち、振動する水浴中で37℃でインキュベートされている開口した(150×15mm)試験管内での、ペレットから10mL蒸留水へ放出されたブロモフェノールブルー(BPB)の量を、溶質の沈殿条件下で、一連の時間間隔をもって497nm(BPBの等吸収点)における累積吸収測定により測定した。蒸発した水の容量は、アリコートを取り出す前に、吸収測定のために元に戻した。与えられた時点での放出されたBPBの割合は、ペレットが完全に消失されたときに測定された最終吸収に対して計算した。ペレット昇華速度は、各時点での回収、パッティングドライ、及び秤量により測定した。吸収及び重量の変化は、2つ又は3つのペレットサンプルについて測定し、所定の時点での平均パーセント及び重量損失を報告する。マトリクス昇華速度に対するBPB放出速度の等価性を示すデータを図4に示した。
【0049】
7.ヘキサメチルエタン及びアダマンタンマトリクスの薄いディスクからのブロモフェノールブルーのインビトロでの放出速度
ヘキサメチルエタン及びアダマンタン中の5%ブロモフェノールブルーの組成物を、各昇華性固体1.9グラムと染料100mgを30Hzで20分間の振動ボールミルにより調製した。得られた混合物は、純粋な昇華性固体の製粉によって得られる材料より粘着性かつ凝集性であった。各組成物のディスクは、200gの材料を直径9mmの円筒形ダイ内において圧力1000lbsで10分間、室温で圧縮することにより調製した。ディスクの昇華速度は、室温における開口パンを用いて重量測定により測定し(実施例3)、マトリクスが昇華されてブロモフェノールブルーが放出された時点の速度を、各秤量の後に、各ディスクを10mLの蒸留水中に5秒間浸漬することにより測定し、次いでパッティングドライを施して昇華を再開させた。各時点で得られた染料溶液の吸収を497nmで測定し、測定される吸収を1.5未満に維持するために必要ならば希釈した。累積染料放出とマトリクス重量損失との等価性の程度を、ヘキサメチルエタンについて図5に、アダマンタンについて図6に示した。何れの場合も。ディスクの昇華速度と線量放出速度とは実質的に同一であった。
【0050】
8.昇華性固体マトリクスからのベタメタゾンのインビトロでの放出速度
ベタメタゾン(Sigma Aldrich , St Louis MO USA)を、ヘキサメチルエタン(HME)、アダマンタン(ADM)、50/50パーセントHEM/ADMマトリクス中に、正確に秤量した約2gの昇華性固体(又は昇華性固体混合物)と正確に秤量した約44mgのステロイドとを10mLの粉砕ジャー内での振動ボールミルにより導入した。粉砕は、室温において、30Hzの振動速度で3分間実施した。ベタメタゾンの目的負荷量は2.2重量%(正確には2.1-2.7%)であった。各々の薬剤含有混合物を、
Carver Model C水圧プレス圧縮機及び直径5mmの円筒形凹面ダイを用いて圧縮成型により調製した。典型的には、各混合物の80mgアリコートを、1000lbsで60分間、室温圧縮することによりペレットに変換した。得られたペレットは、直径5mm、長さ7-9mmであり、半透明から不透明の外観であった。
【0051】
ペレットからのベタメタゾン放出を、(1)ペレットが150×15mm試験管内の蒸留水10mLに浸漬された、制限された昇華/対流条件下;(2)ペレットが完全に満たされて封鎖された125×10mm試験管内の蒸留水15mLに浸漬された、昇華が起こりえない条件下;又は(3)ペレットが開口した空の150×15mm試験管内にインキュベートされた状態で測定した。各貯蔵条件について2つ又は3つのサンプルを、振動(86rpm)水浴中で37℃においてインキュベートした。所定の時点で、放出溶液の1mLアリコートをベタメタゾン定量のために取り出し、放出媒体(水)の全重量を各測定時点で元にもどした。全ての薬剤放出間隔について沈殿条件(飽和の<25%)を維持した。同じ所定の時点で、空の試験管からのペレット昇華の速度を重量測定により測定した。
【0052】
水性放出媒体中に放出されたベタメタゾンの量は、逆相HPLCを用いた溶液サンプルのアッセイセットによって測定した。簡潔に言えば、放出媒体10μLをYMC-Pack ODS-A カラム(5ミクロン、6.0×150mm) に注入し、50mMのリン酸二水素カリウム/メタノール(45/55 v/v)移動相を用いて1.2mL/分で室温において20分間溶離した。ベタメタゾンは、240nmで検出した。
【0053】
ヘキサメチルエタン、アダマンタン及び50/50HME/ADM混合物ペレットについて、薬剤放出の平均パーセント及びペレット重量損失の平均を、各々図7、8及び9に示し、ペレットから蒸留水中へのベタメタゾンの放出速度が、3つ全てのペレットマトリクスから空気中への昇華速度と極めて類似していることが示された。昇華が起こらない条件下、即ち水密封印された管であって、薬剤放出が薬剤の溶解に続くペレットマトリクスを通した拡散を介してのみ起こりうる条件下で貯蔵されたペレットから放出されたベタメタゾンの速度は、全ての場合において昇華性ペレットより極めて遅かった。
【0054】
昇華性固体マトリクスを混和(ブレンド)することによる放出を変更する効果を素10に示したが、2つの昇華性マトリクスを混合することにより、純粋な昇華性固体の中間的な放出プロフィールを生ずることが示された。
【0055】
9.昇華性固体マトリクスのインビボでの昇華速度
ラットにおける皮下埋込部位からのヘキサメチルエタン及びアダマンタンペレットのインビボ消失速度を、16週間の期間にわたって評価した。年齢の類似した46匹のSprague-Dawley雄ラットを秤量し、5つの処理群に分けた:ヘキサメチルエタンペレット埋込(H群)、アダマンタンペレット埋込(A群)、PLGA(Boehringer Ingelheim Resomer RG 504H)ペレット埋込(G群)、ペレット埋込無しで手術を実施した偽装群、及びコントロール(手術無し)群である。ペレットは個々に秤量し、ラットの首筋に埋め込んだ。アダマンタンペレットの取り出し及び再秤量は、4及び8日、及び2、4、8及び10週に実施し、ヘキサメチルエタンペレットは4及び24時間、4、8及び14日に取り出して秤量した。図11は、ヘキサメチルエタンマトリクスペレットのインビボ昇華が1週間程度の短い期間に起こり、アダマンタンペレットの消失は少なくとも2ヶ月の期間に起こることを示している。
【0056】
10.昇華性固体マトリクスからの生物活性インターフェロンαのインビボ放出速度
組み換えヒトインターフェロンα−2b(a−IFN)を、ヘキサメチルエタン、アダマンタン、又はヘキサメチルエタンとアダマンタンの50/50混合物からなるマトリクスに振動ボールミルにより導入した。各マトリクス中の凍結乾燥a−IFNの均一な微細分散物は、約23mgの凍結乾燥a−IFN粉末(50MIUのa−IFNを含む)を2.1-2.2グラムの昇華性固体と混合し、30Hzで45分間粉砕することにより調製した。昇華性固体混合物マトリクスは、1.59グラムのヘキサメチルエタンと1.50グラムのアダマンタンを30Hzで10分間粉砕することにより調製した。
【0057】
マトリクス全体のタンパク質分散の均一性は、モデルタンパク質であるローダミン標識ウシ血清アルブミンをヘキサメチルエタン又はアダマンタンマトリクス中に上記した技術により分散させたものを顕微鏡観察することによって測定した。青色投射光で200倍の倍率でローダミン標識タンパク質の不連続な粒子は検出されなかった。アダマンタンマトリクスでは目視によるタンパク質粒子も無かった。
【0058】
粉砕後のマトリクス1ミリグラムには、典型的には22,700IUのインターフェロン及び0.011mgの水溶性化学種(グリシン、リン酸塩、及びヒト血清アルブミン)が含まれ、これは、0.01重量%のインターフェロン負荷量及び1.1重量%の水溶性化学種に相当する。3つのインターフェロン含有マトリクスの円筒形ペレットは、正確に秤量した昇華性固体の約150mgのサンプルを1000lbsの圧力で60秒間圧縮することにより調製した。
【0059】
ペレット(典型的には3.2MIUのインターフェロンαを含有する)のラットの皮下埋込は、実施例9に記載したように実施した。10匹の動物を各昇華性固体マトリクスの群に分け、各ペレットを、既知の初期(及び最終)体重を持つ特定のラットに振り分けた。埋込に続いて、1mLの血液サンプルを特定時点で取り出し、血清に分け、分析まで-70℃で凍結貯蔵した。ヘキサメチルエタンペレットを投与したラットのサンプリング時点は、1、2、6及び24時間、2、3、4、7、1014及び21日とした。アダマンタン及び50%混合物ペレットを埋め込んだラットは、4、5、6、8及び10週間に更に血液サンプルを取り出した。
【0060】
10匹のラット各々からの血清サンプルにおける可溶性ヒトインターフェロンα濃度は、基質としてのセイヨウワサビペリオキシダーゼ及びテトラメチルベンジジンに接合した抗−二次抗体での比色分析ELISAを用いて測定した。アッセイは、PBL Biomedical Laboratories (Piscataway NJ)により実施した。各サンプルにおけるインターフェロン生物学的活性は、MDBK細胞ベースVSVウイルス阻害アッセイを用いて測定し、分析は再度PBL Biomedical Laboratoriesにより実施した。
【0061】
上記の実験の結果は、可溶性で生物学的活性のインターフェロンαが、ヘキサメチルエタン、アダマンタン、及び50/50混合物マトリクスから持続放出されることを示しており、図12に示される通りである。これらのデータからの一次速度定数の計算により、HMEマトリクス、k=0.064 hr-1より遅いADMマトリクスの放出、k=0.017 hr-1が示された。
【0062】
上記の好ましい実施態様の説明は、当業者が本発明を実施できるようにするために提供される。これらの実施態様の様々な変形は当業者にとっては容易であり、本明細書に記載した一般的概念は、発明的能力を使用することなく他の実施態様に適用できる。従って、本発明は、本明細書に示した実施態様に限定されるものではなく、本明細書の開示の概念及び新規な特徴に一致する最も広い範囲に従うものである。
【0063】
11.タンパク質をヘキサメチルエタンマトリクスに導入することによる生理的条件下でのアルカリホスファターゼの安定性の向上
アルカリホスファターゼ(ALP)は、24U/mgの酵素活性を含む凍結乾燥粉末製剤 (Sigma-Aldrich Corp., Cat. No. P-5931)として得た。最初に10.5mgの酵素粉末と3.0グラムのHMEを30Hzで45分間振動ボールミル内でブレンドし、ブレンドのサンプル60-70mgを1000ポンドで60秒間圧縮することによりロッド型マトリクスを形成することにより、ALPをHMEマトリクスに導入した。次いで、マトリクスを水で満たした2mLのポリエチレンバイアル内で貯蔵し、37℃でインキュベートした。同時に、ALP凍結乾燥粉末サンプルを開口ポリエチレンバイアル内で37℃及び100%相対湿度でインキュベートした。各条件下で貯蔵したサンプルを所定の時間間隔で取り出し、水を満たしたバイアルから取り出したロッドを乾燥させ、次いで新たな開口バイアル内で室温で24時間貯蔵して全てのマトリクス材料を昇華させた。次いでバイアルを封印し、-20℃で活性を測定するまで貯蔵した(下記参照)。凍結乾燥した酵素粉末を含むバイアルは水浴から取り出した時点で直接封印し、アッセイまで-20℃で貯蔵した。
【0064】
バイアルの特定かつ全体の活性を、速度論的p−ニトロフェニルホスフェート加水分解アッセイ(QuantiChrom アルカリホスファターゼアッセイキット、BioAssay Systems, Hayward CA)を用いて測定した。各ホスファターゼサンプルの分析は3回実施した。結果を、経時的に維持された初期活性のパーセントとして図13に示すが、酵素粉末を昇華性固体マトリクスに分散された場合に、生理的条件下での酵素活性損失の割合が有意に低下したことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】室温において所定の対流条件下で重量測定により測定した種々の昇華可能なマトリクスの昇華速度を示すグラフである。ペルフルオロネオペンタン(PFNP)、ノルボルナン(NOR)、ヘキサメチルエタン(HME)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(HCMS)、ペルフルオロアダマンタン(PFA)及びアダマンタン(ADM)のマトリクスについて、時間に対する残りのペレット質量のパーセントによって表した昇華速度を示す。
【図2】自由な対流条件下で重量測定により測定した純粋な昇華可能なマトリクス及びそれらの種々の混合物の昇華速度を示すグラフである。純粋なHME、PFA及びADMからなるマトリクス、並びにHME、PFA及びADMの種々の混合物からなるマトリクスについて、時間に対する残りのペレット質量のパーセントによって表した昇華速度を示す。
【図3】PFNPマトリクスの昇華速度に対する昇華速度調節剤であるペルフルオロデカリン(PFD)の効果を示すグラフである。
【図4】HMEペレットタイプマトリクスの昇華速度(時間に対してHMEマトリクス重量損失のパーセントとしてプロットした)が、HMEペレットタイプマトリクスから一部が大気に開かれた蒸留水へのBPBの放出速度(時間に対してBPB放出のパーセントとしてプロットした)と等価であることを示すグラフである。
【図5】HMEディスクタイプマトリクスから容易に溶解するブロモフェノールブルー(BPB)(時間に対してBPB放出のパーセントとしてプロットした)が、良好な対流条件下でのHMEディスクタイプマトリクスの空気中への昇華速度(時間に対してHMEマトリクスの重量損失パーセントとしてプロットした)と等価であることを示すグラフである。
【図6】ADMディスクタイプマトリクスから蒸留水中への容易に溶解するBPBの放出速度(時間に対してBPB放出のパーセントとしてプロットした)が、良好な対流条件下でのADMディスクタイプマトリクスの空気中への昇華速度(時間に対してHMEマトリクスの重量損失パーセントとしてプロットした)と等価であることを示すグラフである。
【図7】HMEペレットタイプマトリクスの昇華速度(「HME重量損失」)が、HMEペレットタイプマトリクスから一部が大気に開かれた蒸留水へのベタメタゾン(BMS)の放出速度(「BMS昇華放出」)と等価であることを示すグラフである。一方、この図は、昇華が起こる条件下でのBMSの放出速度(「BMS昇華放出」)と、ペレットの昇華が起こらない条件下、即ち水で満たした閉鎖容器であり、従ってHMEペレットからのBMSの放出がペレットマトリクスを通した拡散可能なものに制限されるもの(「BMS拡散制限放出」)とに大きな相違があることをグラフ的に示している。
【図8】ADMペレットタイプマトリクスの昇華速度(「ADM重量損失」)が、ADMペレットタイプマトリクスから一部が大気に開かれた蒸留水へのBMSの放出速度(「BMS昇華放出)と等価であることを示すグラフである。一方、この図は、昇華が起こる条件下でのBMSの放出速度(「BMS昇華放出」)と、ペレットの昇華が起こらない条件下、即ち水で満たした閉鎖容器であり、従ってADMペレットからのBMSの放出がペレットマトリクスを通した拡散可能なものに制限されるもの(「BMS拡散制限放出」)とに大きな相違があることをグラフ的に示している。
【図9】50/50のHME/ADMペレットタイプマトリクスの昇華速度(「50/50混合物重量損失」)が、50/50HME/ADMペレットタイプマトリクスから一部が大気に開かれた蒸留水へのBMSの放出速度(「BMS昇華放出)と等価であることを示すグラフである。一方、この図は、昇華が起こる条件下でのBMSの放出速度(「BMS昇華放出」)と、ペレットの昇華が起こらない条件下、即ち水で満たした閉鎖容器であり、従って50/50HME/ADMペレットからのBMSの放出がペレットマトリクスを介する拡散可能なものに制限されるもの(「BMS拡散制限放出」)とに大きな相違があることをグラフ的に示している。
【図10】異なる昇華可能なマトリクス材料をブレンドすることによるBMS放出の調節を示すグラフである。
【図11】時間に対する移植されたペレットの残質量のパーセントによって測定した、HME/ADM混合物のマトリクス及びADMペレットのインビボ昇華速度を示すグラフである。
【図12】各々HME、ADM及びHME/ADM混合物のマトリクスからなるα−IFN含有ペレット及びの皮下投与後の、ラットにおける組み換えヒトインターフェロンα−2b(α−IFN)の血清濃度(pg/mL)のグラフである。
【図13】(a)37℃及び湿度100%で製剤された凍結乾燥粉末として貯蔵された場合、又は(b)HMEマトリクス中に導入された凍結乾燥粉末として37℃で水溶液中で貯蔵された場合の、アルカリホスファターゼによる酵素活性喪失の比較を示すグラフである。
【発明の開示】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2006年12月22日に出願された米国仮特許出願番号60/753,114の利益を主張し、その全体を参考として取り入れるものとする。
【0002】
発明の背景
過去数十年間において、生物活性化合物の制御された放出のための生体侵食性マトリクスの領域で広範な研究が行われてきた。これらのシステムは、治療的化合物の持続放出を提供することにより患者の薬剤服用順守を向上させるだけでなく、薬物枯渇後のキャリアシステムを回収する必要を未然に防ぐので極めて興味深い。
【0003】
これらのマトリクスのために利用される最も一般的な材料は生分解性ポリマーであり、それらは埋込可能なデバイスとして、又は薬物含有ポリマー微粒子の懸濁物として製造される。マトリクスとして使用することを企図された合成ポリマーは、ポリ乳酸あるいは乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ポリアンヒドリド(polyanhydide)、ポリアミド、ポリオルトエステル、及びポリホスファゼンからなるものを含む(例えば、米国特許第4,389,330号米国特許第4,093,709号、米国特許第4,138,344号、及びSmith et al., Adv. Drug Del. Rev, 1990を参照)。生体由来の生分解性ポリマーもよく知られており、例えば、Yamahiraは、米国特許第4,855,134号において、ゼラチン、コラーゲン及びアルブミンのマトリクスからのα−インターフェロンの持続放出を開示している。Woiszwilloは、米国特許第5,578,709号において、巨大分子を含む多くのタイプの薬物の放出のために、脱水し架橋したタンパク質又は多糖類からなるマトリクスを使用することを教示している。ヒアルロン酸も架橋され、ドラッグデリバリー用の分解性膨潤性のポリマーとして使用されている(Della Valle等の米国特許第4,957,744号)。
【0004】
非ポリマーの、その場で形成されるインプラントシステムも開示されている(Dunnの米国特許第5,736,152号及びTipton及びHollの米国特許第5,747,058号)。これらのシステムでは、非ポリマーの生分解性担体材料は有機溶媒に溶解され、そこに薬物を分散又は溶解して液体とされる。体内への注入時に有機溶媒が消散し、それにより固体のインプラントが生成され、そこから薬物が放出される。開示されている非ポリマー担体の例は、コレステロール及びその誘導体、種々の脂肪酸及び脂肪酸アルコール、リン脂質及びその誘導体、スクロースアセテートイソブチレート、及び長鎖脂肪酸アミドである。トリグリセリドマトリクス、脂肪酸のオリゴグリセロールエステル、及び種々の植物(ゴマ、ダイズ、ピーナッツ等)又は合成(ミグリオール(miglyol))油をアルミニウムモノ脂肪酸エステルでゲル化したものを用いた他の非ポリマーインプラントも記載されている(米国特許第5,411,951号、米国特許第5,628,993号、及び米国特許第5,352,662号)。
【0005】
タンパク質、ペプチド、ポリペプチド及び他のタンパク質性物質(例えば、ウイルス、抗体)は、本明細書においては集合的にタンパク質と呼称するが、疾患の予防、治療及び診断における治療剤として大きな有用性を有している。残念ながら、これらの分子の安定性は限られており、化学的劣化(例えば、脱アミド化、酸化、加水分解、ジスルフィド交換、及びキラルアミノ酸残基のラセミ化による)及び物理的劣化(例えば、変性、凝集、及び沈降による)の両方を受けやすく、生物学的活性を喪失することも多い。従って、従来技術のシステムからこれらの分子をデリバリーすることの成功が限られているのは驚くことではない。例えば、ポリエステルベースのインプラント及び微粒子からのタンパク質のデリバリーは、マトリクスの侵食を進める酸性環境による化学的劣化、及び/又はポリエステルマトリクス表面への吸着による物理的劣化を招くことが多い。他の場合では、水又はマトリクスの部分的親水性の存在により、水が媒介する分解及び/又は変性プロセスが、その場又は水との接触又は吸収が可能な皮下空間などの環境において起こることを保証することが困難になる。そして、油性のデリバリー媒体は理論的にはタンパク質医薬を水性の劣化経路(加水分解、脱アミド化、ラセミ化など)から保護するが、多くの媒体は、それ自体が限られた程度で親水性であり、体温において不安定である。例えば、液状植物油をセリ的温度で貯蔵すると、遊離脂肪酸及び過酸化物などの両性で反応性の化学種が形成され(プロセスは、微量の各種金属イオン、例えば銅又は鉄の存在により加速される)、それらは多くのタンパク質の酸化的分解又は構造的劣化を触媒するであろう。
【0006】
さらに、或る種の薬剤、例えば細胞毒性薬は、錠剤又はカプセルからの持続放出を達成するために典型的に用いられる賦形剤中での高い反応性(低い安定性)のために、現在のところ放出制御経口製品として開発することができない。これに代わる、非経口デリバリー(凍結乾燥材料の再構成後が多い)又は中間放出経口製剤は、血漿レベルの変動が早いため、有効性又は毒性の問題を生じかねない。一日に複数の注射又は錠剤/カプセルが必要な場合は、便宜性及び順守の問題が生じうる。
【0007】
従って、これらの従来技術の制限を打ち破ることのできる組成物、デバイス又はシステムの開発が必要である。そのような組成物は、室温及び体温(即ち、25℃及び37℃)の両方で活性化合物の安定性を長時間維持し、活性剤、例えば反応性の又は不安定な生物活性治療剤の持続放出を提供しなければならない。
【0008】
発明の概要
新規で、化学的に不活性なドラッグデリバリーシステムが見出され、それは、化学的に誘導されるマトリクス侵食ではなく、周囲のマトリクス材料の昇華により、インビボでの生物学的活性剤を持続放出を提供する。このマトリクス材料は、通常は実質的に水不溶性で化学的に不活性であり、酸化又は加水分解の反応性が低いか全く無いものである。即ち、少なくとも幾分かの初期拡散的薬物放出及びそれに続く従来の溶解又は化学的分解メカニズムによるマトリクス侵食によって一部の薬物放出がありうるが、本発明の組成物からの有意な量、及び通常は実質的に全ての治療剤の放出は、これらの公知のメカニズムに依存することなく達成される。むしろ、本発明の組成物からの治療剤放出の速度及び期間は、マトリクス調製に使用した物質の昇華エンタルピー (ΔHsub)に依存するのである。マトリクス材料の昇華エンタルピーは、体温において特定の蒸気圧をもたらす。次いで、昇華によるマトリクス侵食はマトリクス内に分散された薬物の露出を伴い、達成された蒸気圧及び環境(例えば、注入/埋込部位)対流の関数となる。
【0009】
本発明の利点の一つは、昇華可能なマトリクス材料が、固有の水に媒介される反応性の低い疎水的環境を与え、治療剤を化学的及び物理的劣化の両方から保護することである。これにより、植物及びヒトを含む動物内での活性剤、特に不安定又は反応性の生物学的活性剤の持続放出が可能になり、これは他に実行不可能であった。また、昇華可能なマトリクス材料を慎重に選択することにより、広範な昇華速度、従って生物学的活性剤の放出速度を達成できることが有利に見出された。従って、一実施態様では、組成物は昇華可能なマトリクス材料と生物学的活性剤とを含む。
【0010】
また、生物学的活性剤の放出速度は、異なる昇華エンタルピーを持つ昇華可能なマトリクス材料をブレンドすることにより調節できることを有利に見出した。従って、代替的な実施態様では、組成物は昇華可能なマトリクス材料の混合物と生物学的活性剤とを含む。
【0011】
更に他の実施態様では、組成物は、昇華可能なマトリクスからの生物学的活性剤の放出を調節する賦形剤、「昇華速度調節剤」を更に含む。昇華速度調節剤は、昇華可能なマトリクス材料の全蒸気圧に影響することにより、あるいは表面積を変える、例えば昇華可能なマトリクス材料内に孔を形成することにより、生物学的活性剤の放出速度を調節(modify)するために機能しうる。これにより、マトリクスからの生物学的活性剤の放出速度のみならず、放出プロフィールを操作することもできる。例えば、孔−形成昇華速度調節剤を使用することにより、生物学的活性剤のバーストが放出され、次いで実質的に線形の放出プロフィールとなる放出プロフィールが得られる。従って、更に他の実施態様では、組成物は昇華可能なマトリクス材料、又はその混合物、昇華速度調節剤、及び生物学的活性剤を含む。
【0012】
よって、本発明の他の利点は、異なる昇華速度を持つ昇華可能なマトリクス材料をブレンドすることにより、あるいは昇華速度調節剤を添加することにより、昇華可能なマトリクスからの生物学的活性剤の放出速度及び放出プロフィールの両方を、容易に操作できることである。当然のことながら、幾つかの実施態様では、本発明の組成物は、他の従来のメカニズムにより放出に影響を与える他の材料、例えばコーティング類と組み合わせる又は採用することができる。
【0013】
更に他の実施態様では、本発明は、昇華可能なマトリクス材料又はその混合物、生物学的活性剤、及び場合によっては昇華速度調節剤を含む組成物の製造方法を提供する。一実施態様では、昇華可能なマトリクス材料及び生物学的活性剤を最初に混合し、次いで所望の形状、例えば、ロッド、シリンダー又はディスクのインプラントに圧縮する。
【0014】
更に他の実施態様では、本発明は、生物学的活性剤を動物にデリバリーする方法を提供し、当該方法は、昇華可能なマトリクス材料及び生物学的活性剤を含む組成物の有効量を前記動物に投与することを含む。
【0015】
発明の詳細な説明
本明細書で使用される「昇華可能なマトリクス材料」とは、人体などの使用環境において固体又は半固体から気体に変化する任意の化合物を意味する。通常は、実質的に水不溶性であり、活性剤より揮発性が高い。本発明で有用な昇華可能なマトリクス材料は、体温において固体又は半固体であり、約20kj/モルから約100kj/モルの昇華エンタルピー(ΔHsub)を持つ材料を含む。或る実施態様では、それらの材料は約37℃より高い融点を持つ。好ましい昇華可能なマトリクス材料は、典型的には複数鎖又は複数環のアルカン又はペルフルオロアルカンを含み、それらは実質的に球状、球形又は卵形の形状であり、所望かつ制御されたマトリクス侵食が可能な昇華エンタルピーを有する。昇華可能なマトリクス材料は、好ましくは生体適合性であり、例えば、毒性でないのみならず、有害な組織反応を起こさない。
【0016】
昇華可能なマトリクス材料の例は、限定されないが、球状アルカン(即ち、球形、楕円形、又はボール様形状を持つアルカン)、過フッ化アルカン、球状過フッ化アルカン、アダマンタン、ペルフルオロアダマンタン、1−メチルアダマンタン、ペルフルオロ1−メチルアダマンタン、テトライソプロピルメタン、ペルフルオロテトライソプロピルメタン、2,2,3,3−テトラメチルブタン(ヘキサメチルエタン)、ペルフルオロ2,2,3,3−テトラメチルブタン、ペルフルオロネオペンタン、ペルフルオロ−C60フラーレン、キュバン、ペルフルオロキュバン、オクタメチルキュバン、ペルフルオロオクタメチルキュバン、ペルフルオロメチルアダマンタン、ペルフルオロトリ-tert-ブチルメタン、ペルフルオロジメチルアダマンタン、ペルフルオロヘキサメチルエタン、ペルフルオロ−1,3−ジメチルアダマンタン、イソカンファン、トリシクレン、1−エチルアダマンタン、1−メチルジマンタン(1-methyldimantane)、ペルフルオロジメチルビシクロ[3.3.1]ノナン、ジアダマンタン、ペルフルオロジアダマンタン、トリ-tert-ブチルメタン、ノルボルナン、ペルフルオロノルボルナン、シクロドデカン、ペルフルオロシクロドデカン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ペルフルオロウンデカン、ペルフルオロドデカン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、テトラシクロヘプタン、トリシクロヘキサン、ジメチル−イソプロピル−ペルヒドロフェナントレン、ヘキサメチルプリズマン、プリズマン、テトラシクロドデカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、2−メチルアダマンタン、1−メチルアダマンタン、ペンタシクロウンデカン、トリシクロデカン、ビシクロデカン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.1]へプタン、ペルフルオロ-tert-ブチルメタン、ペルフルオロ−1,3,5−トリメチルアダマンタン、ペルフルオロ2,2−ジメチルアダマンタン、ペルフルオロテトラシクロヘプタン、ペルフルオロトリシクロヘキサン、ペルフルオロヘキサメチルプリズマン、ペルフルオロプリズマン、ペルフルオロテトラシクロドデカン、ペルフルオロビシクロ[3.3.3]ウンデカン、ペルフルオロ2−メチルアダマンタン、ペルフルオロペンタシクロウンデカン、ペルフルオロトリシクロデカン、ペルフルオロビシクロデカン、ペルフルオロビシクロ[3.3.1]ノナン、ペルフルオロビシクロ[2.2.2]オクタン、ペルフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプタン、及びこれらの混合物を含む。他の好ましい材料は、本開示の見地から当業者には明らかであろう。
【0017】
本発明の特別な態様では、昇華可能なマトリクス材料としてアダマンタンが用いられる。アダマンタンは、270℃の融点及び59kJ/モルの昇華エンタルピーを持つ球状アルカンである。他の実施態様では、ヘキサメチルエタン(融点100℃、ΔHsub43kJ/モル)、ペルフルオロネオペンタン(融点72℃、ΔHsub<25kJ/モル)、ノルボルナン(融点88℃、ΔHsub40k/モル)、 ヘキサメチルシクロトリシロキサン(融点60℃、ΔHsub54kJ/モル)、シクロドデカン(融点61℃、ΔHsub 76kJ/モル)又はこれらの混合物からなるマトリクスが用いられる。
【0018】
本明細書で定義されるように、「昇華速度調節剤」とは、昇華の速度を変更する又はマトリクスの物理的構造を変更すること等により、治療剤の放出速度を変化させるために、昇華可能なマトリクス材料に添加される分子又は分子群を意味する。昇華速度調節剤は、昇華性であってもなくてもよく、生理的温度で固体であっても液体であってもよい。マトリクスに昇華速度調節剤を添加することにより、生物学的活性剤のインビボでの放出特性に幅が与えられる。昇華速度調節剤は、組成物全体に均一に分散させてマトリクスの全蒸気圧を変化させることにより昇華速度に影響を与えてもよく、あるいは、マトリクス内に不均一に分散させて孔の形成を促し、マトリクス表面積及び侵食速度を増大させることにより薬剤放出を促進してもよい。
【0019】
昇華速度調節剤は、所望の効果を達成する任意の量で配合される。典型的には、昇華速度調節剤は、組成物の全重量に対して、約0.1から約30重量%、より典型的には約0.5から約10重量%の範囲で配合される。昇華速度調節剤自体が昇華性である場合は、より多くの量が配合される。
【0020】
好ましい昇華速度調節剤の例は、限定されないが、トリメチルアセトアミド、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルピバレート、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロアルカン、トリ-tert-ブチルメタノール、ペルフルオロシクロアルカン、カンファー、カンフェン、ネオペンチルアルコール、ヘキサクロロエタン、クロロブタノール、メタノール、抱水テルピン、バニリン、エチルバニリン、1,3,5−トリオキサン、ナフタレン、フェノール、トリステアリン、デキストラン、グリコーゲン、tert-ブタノール、ポリ乳酸又は乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ポリオルトエステル又はポリアンヒドリドからなる生分解性ポリマー、前記生分解性ポリマーからなる微粒子、脂肪酸、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、コレステロール及びその微粒子、カプロスタン(caprostane)、37℃より高い融点を持つトリグリセリド、コラーゲン及びその微粒子、ゼラチン及びその微粒子、エタノール、プロピレングリコール。PEG400、グリセロール、ポリグリセロール、ポリソルベート、スクラロース、スクラロースペンタハイドレート、及びこれらの混合物を含む。他の好ましい材料は、本開示の見地から当業者には明らかであろう。
【0021】
本明細書で用いる用語「マトリクス」とは、固相担体であって、その中に活性剤を分散できる。マトリクスは任意の所望の形状、例えば、球形、回転楕円体、シリンダー、ロッド、シート等、又は堅さ、例えば固体、展性、変形体、流動性などでありうる。マトリクスは、八日可能なマトリクス材料又は昇華可能なマトリクス材料の混合物、及び場合によっては昇華速度調節剤を含んでいる。
【0022】
所望の特性を発揮する任意の物質が本発明の組成物を用いてデリバリーできるが、好ましくは、生物学的に活性那物質である。用語「生物学的活性物質」、「薬剤」、及び「治療剤」は、本明細書において交換可能に用いられ、任意の天然又は合成の、有機又は無機分子又はその混合物を意味し、薬剤、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物(単糖類、オリゴ糖類、及び多糖類を含む)、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、又はタンパク質に複合又は結合した小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸(任意の形態のDNA、cDNA、又はRNA、又はそれらの断片を含む)、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、遺伝子構築物、脂質、ホルモン、ビタミン、細胞毒性剤、滋養剤又はその組み合わせであって、インビボで植物又は動物(限定されないが、鳥類及びヒトを含む哺乳類を含む)に投与したときに生物学的影響を生じさせるものを含む。これらの用語は、疾患又は疾病の治療、治癒、又は予防のための医薬として内服的又は外用的に用いられる物質も指し、限定されないが、降圧剤、抗感染薬(抗生物質、抗ウイルス、及び抗真菌剤を含む)、駆虫剤、抗けいれん薬、抗糖尿病薬、抗マラリア薬、抗ムスカリン薬、抗新生物薬、免疫調節役、酸化防止剤、麻酔薬、鎮痛剤、プロテアーゼ阻害剤、化学治療剤、ステロイド、ホルモン、心臓薬(イントロピック薬(intropic agents)、α及びβアドレナリン作用薬及び拮抗薬、麻酔薬、キレート剤、充血除去剤、放射性医薬、ワクチン及び抗血清、増殖抑制剤、抗ヒスタミン薬、抗凝固剤、光老化防止剤、メラノトロピンペプチド、非ステロイド及びステロイド抗炎症化合物、抗精神病薬、抗不安薬、ビタミン、 副交感神経遮断薬、成長因子、酵素、プロドラッグ、プロホルモン、食欲抑制/刺激剤及びその組み合わせ、避妊薬、抗パーキンソン鎮痙薬、血管拡張薬、血栓溶解剤、甲状腺薬、交感神経刺激薬、骨格筋弛緩薬、抗喘息薬、抗狭心症薬、視床下部及び下垂体ホルモン、胃腸薬、利尿薬、カルシウム調節薬、抗甲状腺薬、抗原虫薬、抗片頭痛薬、抗痛風薬、外皮用剤、コルチコステロイド、診断薬、及び放射線吸収剤(UV吸収剤を含む)を含む。
【0023】
薬剤、生物学的活性剤又は治療剤の例は、限定されないが、レスペリドン(risperidone)、オランザピン(olanzapine)、クロザピン、クエトラピン(quetiapine)及びジプラシドン(ziprasidone)、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウム、ペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、バシトラシン、ナイスタチン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、及び アジスロマイシン(azithromycin);スルファナミド(sulfonamides)、イドクスウリジン、アンタゾリン、メタピリレン、クロロフェニラミン(chlorpheniramine)、ピリラミン、プロフェンピリダミン、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21-ホスフェート、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリゾン、プレドニゾン、プレドニゾン21-コハク酸ナトリウム、及び酢酸プレドニゾン;脱感作剤、例えばブタクサ花粉抗原、枯草熱抗原、塵埃抗原及び乳汁抗原:ワクチン、例えば疱瘡、黄熱、ジステンパー、豚コレラ、トリポックス(chicken pox)、アンチベノム(antivenom)、猩紅熱、ジフテリア毒素、破傷風毒素、鳩ポックス(pigeon pox)、百日咳、インフルエンザ狂犬病、ムンプス、麻疹、ポリオ、及びニューカッスル病;鬱血除去薬、例えばフェニレフリン、ナファゾリン、及びテトラヒドラゾリン(tetrahydrazoline);ミオティクス(miotics)及びアンチコリンエステラーゼ、例えばピロカルピン、サリチル酸エスペリン(esperine salicylate)、カルバコールフルオロリン酸ジイソプロピル、ヨウ化ホスホリン(phospholine iodide)、及び臭化デメカリウム;副交感神経遮断薬、例えば硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、オイカトロピン、及びヒドロキシアンフェタミン;交感神経様作用薬、例えばエピネフリン;ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタール、セコバルビタール、コデイン、(a-ブロモイソバレリル)尿素、カルブロマル;心的エネルギー薬、例えば3-(2-アミノプロピル)インドールアセテート;レセルピン、クロルプロメイリン(chlorpromayline)、チオプロパゼート;メチル-テストステロン及びフルオリメステロン;エストロゲン、例えばエストロン、17-β-エストラゾール、エチニルエストラゾール、及びジエチルスチルベストロール;プロゲステロン薬、例えばプロゲステロン、メゲストロール、クロルマジノン、エチステロン、ノルエチンドロン、19-ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、メドロキシプロゲステロン、及び17-β-ヒドロキシ-プロゲステロン;鎮痛薬、例えばフェンタニール、サフェンタニル、メペリジン;局所麻酔薬、例えばブピバカイン、リドカイン;解熱剤、例えばアスピリン、サリチル酸ナトリウム、及びサリチルアミド;抗壊血病薬、例えばアトロピン、メタンテリン、パパベリン、及び 臭化メトスコポラミン;抗マラリア薬、例えば4-アミノキノリン、8-アミノキノリン、クロロキン、及び ピリメタミン;抗ヒスタミン薬、例えばジフェンヒドラミン、ジメンヒドリネート、トリペレナミン、パーフェナジン、及び クロロフェナジン(chlorphenazine); 心臓作用薬、例えばイベンジドロフルーム(dibenzhydroflume)、サイアザイト、フルメサイアジド、及びアミノトレート(aminotrate);栄養剤、例えばビタミン類を含む。
【0024】
本発明を用いて製剤できるタンパク質、ペプチド及びタンパク質様薬剤は、生物学的活性を持つ、あるいは疾患又は他の病理学的状態を治療するのに使用できるようなタンパク質/ペプチド/タンパク質様薬剤を含む。それらは、限定されないが、成長ホルモン、因子VIII、因子IX及び他の凝固因子、キモトリプシン、トリプシノーゲン、インターフェロン、β−ガラクトシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、成長因子、凝固因子、酵素、免疫反応刺激剤、サイトカイン、リンホカイン、インターフェロン、免疫グロブリン、インターロイキン、ペプチド類、トスタチン、ソマトトロピン類似物、ソマトメジン−C、ゴナドトロピン放出ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、LHRH、LHRH類似物、例えばロイプロリド、ナファレリン及びゴセレリン、LHRHアゴニスト及びアンタゴニスト、成長ホルモン放出因子、カルシトニン、コルヒチン、ゴナドトロピン、例えば絨毛性ゴナドトロピン、オキシトシン、オクトレオチド、ソマトトロピンプラスアミノ酸、バソプレシン、副腎皮質刺激ホルモン、上皮成長因子、プロラクチン、ソマトトロピンプラスタンパク質、コシントロピン、リプレシン、ポリペプチド、例えば甲状腺ほい出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、セクレチン、パンクレオザイミン、エンケファリン、グルカゴン、最初に分泌され血流により分配されるエンドクリン剤などを含む。デリバリーできる更なる薬剤は、抗トリプシン、インスリン及び他のペプチドホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、及び他の下垂体ホルモン、インターフェロン−α、−β、及び−γ、コンセンサスインターフェロン、リスロポエチン、成長因子、例えばGCSF、GM−CSF、インスリン様成長因子1、組織プラスミノー源活性化剤、CF4、dDAVP、腫瘍壊死因子受容体、膵臓酵素、ラクターゼ、インターロイキン−1受容体アンタゴニスト、インターロイキン−2。腫瘍抑制タンパク質、細胞毒性タンパク質、レトロウイルス及び他のウイルス、ウイルスタンパク質、抗体、組み換え抗体、抗体断片などを含む。
【0025】
本発明の組成物及び方法で有用なタンパク質、ペプチド及び核酸化合物は、エン、好ましくは製薬的に許容される塩の形態で使用できる。あるいは、これらの薬剤は、PEG化すること又は炭水化物等の付加物と接合することも可能である。
【0026】
本発明を用いて製剤できる核酸化合物の例は、生物学的活性を持つ又は疾患あるいは他の病理学的状態を治療するのに使用できるようなタンパク質、例えば上記したタンパク質をコードするものを含む。センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、望まれないタンパク質の生成をブロック又は減少させる核酸も本発明において有用である。また、直接的に又はタンパク質をコードすることにより、疾患状態(例えば癌)あるいは細菌、ウイルス又は原虫などに病原体による感染に対して動物を刺激して免疫を生じさせる核酸も本発明で使用できる核酸に含まれる。
【0027】
前記の薬剤は、種々の病態の治療又は予防に有用であり、限定されないが、血友病及び他の血液疾患、成長疾患、糖尿病、白血病、肝炎、腎不全、HIV感染、遺伝病、例えばセレブロシダーゼ欠損症及びアデノシンデアミダーゼ欠損症、高血圧、敗血性ショック、自己免疫疾患、例えば多発性硬化症、グレーブス病、全身性エリテマトーデス及び関節リウマチ、ショック及び消耗性疾患、嚢胞性線維症、乳糖不耐症、クローン病、炎症性腸疾患、胃腸及び他の癌を含む。上記の類似物、誘導体、アンタゴニスト、アゴニスト及び製薬的に許容される塩も使用できる。
【0028】
一実施態様では、デリバリーされる治療剤は抗原であり、組成物はワクチンとして作用する。抗原は、細胞、バクテリア、又はウイルス粒子、又はその一部から誘導されうる。本明細書で定義されるように、抗原はタンパク質、ペプチド、多糖類、糖タンパク質、糖脂質、拡散、又はそれらの組み合わせでもよく、動物、例えば哺乳類、鳥類、魚類において免疫原性反応を誘発する。好ましい抗原の例は、ウイルス性タンパク質、例えばインフルエンザタンパク質、ヒト免疫不全ウイルス(HIV))タンパク質、及び肝炎A、B又はCタンパク質、バクテリアタンパク質、リポ多糖類、例えばグラム陰性バクテリア細胞壁及び淋菌タンパク質、及びパルボウイルスを含む。誘発される免疫原性反応は、体液性又は細胞仲介性でありうる。免疫原性反応が指向する材料が抗原性が低い場合、通常の共有結合技術、例えば、幾つかの市販されている試薬キットを用いて、それをキャリア又はハプテンに接合させてもよい。
【0029】
治療剤は、所望の効果を達成する量を宿主動物又は植物にデリバリーするのに十分な量が組成物中に配合される。組成物に配合される薬剤又は生物学的活性剤の量は、望まれる放出プロフィール、生物学的効果に必要な薬剤の濃度、及び薬剤の放出に望まれる期間に依存する。さらに、組成物中の治療剤の量は、治療剤の薬物動態学及び薬力学、並びに当該技術の当業者に知られた他の因子にも依存する。投与量の値は、緩和すべき状態の重篤性によっても変化するであろうことを記しておく。さらに、任意の特別な患者については、特定の投与計画は個別の必要性及び組成物を投与する又は投与を監督する専門家の判断に従って経時的に調整されるべきであり、本明細書で規定される濃度範囲は例示のためであって特許請求される発明の範囲及び実施を限定するものではないと理解される。組成物は、1回で投与してもよく、あるいは変化する間隔で投与される多数の少量の投与量に分けてもよい。
【0030】
生物学的活性剤は、典型的には、組成物中に組成物の全重量に対して約0.05から約90重量%の範囲で配合される。幾つかの実施態様では、生物学的活性剤は、全重量に対して約0.0から約40重量%、さらなる実施態様では約0.5から約20重量%で配合される。組成物を膜様バリヤ及びカプセル化シェルとして用いる場合は、より大きな配合量、例えば90重量%を越える生物学的活性剤を配合してもよい。
【0031】
本発明の実施において、本発明の組成物は、使用環境、例えば植物又は動物の中又は上に配置される。多くの実施態様では、使用環境は動物の身体である。用語「動物」には、ヒト、霊長類、哺乳類、家畜化した又は半家畜化した動物(例えば、家庭用、ペット、及び農場動物など)、実験動物(例えば、マウス、ラット及びモルモットなど)、鳥類、魚類、動物園動物などが含まれる。身体内の典型的な使用環境は、筋肉又は脂肪等の軟組織;骨等の硬組織;空間、限定されないが皮下、腹膜、歯周、口腔、肺、膣、直腸、又は鼻空間;又はポケット、例えば歯周ポケット又は眼のカル・デ・サク(cul-de-sac)を含む。あるいは、本発明の組成物は、創傷治癒又は薬剤の経皮又は皮内デリバリー等のために身体上に配置してもよい。
【0032】
本発明の組成物は、種々の形状、例えば、平板、正方形、円形、球形、半球形、管状、シリンダー、ディスク、ロッド、環等で作製でき、動物の身体又は身体の空洞又は経路での埋込又は挿入のためにサイズ決め、成形、及び適合させることができる。多くの実施態様で組成物は埋込可能なロッド、ディスク又はペレットの形状とされるが、その用途はインプラントに限られるものではなく、熱力学的に不安定であるが反応速度論的に安定な注射可能な微粒子を含むことができる。
【0033】
本発明の組成物は、粒子形状であってもよく、それは吸入により肺へ直接デリバリーされる。あるいは、粒子は適当な懸濁媒体中に懸濁させてもよい。適当な懸濁媒体の例は、ペルフルオロハイドロカーボン、リン脂質、脂肪酸エステル、モノ−、ジ−、又はトリ−グリセリド、グリセロール、ポリグリセロール、又はポリエチレングリコールを含む。得られる懸濁物は、経口、経鼻、腹膜又は吸入経路で与えても、局所的に適用してもよい。
【0034】
あるいは、本発明の組成物は、錠剤、坐薬、ペースト、クリーム、フィルムなどの形態であってよい。
【0035】
本発明の組成物は、内部にリザーバを包含した単一のマトリクス、多数のマトリクス層、又はマトリクス「膜」の形態とすることができる。
【0036】
本発明の組成物は、標準的な技術により調製することができる。例えば、昇華可能なマトリクス材料、治療剤、及び場合によっては昇華速度調節剤を混合し、次いで、例えばコアセルべーション又は低温グラインド又は溶媒蒸発、及び同様の製造法により、ロッド内に押し出す、物品の形状に圧縮する、成形物品に融解キャストする、溶媒フィルムキャストする、圧縮成型する、微粒子に成形する。
【0037】
組成物を調製する一つの方法は、治療剤及び場合によっては昇華速度調節剤を、融解させた昇華可能なマトリクス材料(又は昇華可能なマトリクス材料混合物)に分散又は溶解させ、融解混合物を形成することを含む。融解混合物は、次いで適当なモールドに投入して冷却し、注射可能なインプラント、坐薬、フィルム又は錠剤として使用されるか、又はロッド又はシートに押し出され、埋込可能又は経皮的デバイスとされる。
【0038】
本発明の微粒子組成物は、様々な方法で調製される。それらの方法の一つは、治療剤を融解した昇華可能なマトリクス材料に分散又は溶解して融解混合物を形成し、次いで融解混合物を即座に昇華可能なマトリクス材料の非溶媒と混合することを含み、それは融解混合物の融点より低い温度で混合されるが、融解混合物/非溶媒が混和されて微粒子を形成するのに十分な剪断力が与えられる。あるいは、融解混合物を冷却して固形塊とし、次いでそれをボールミル、ジェットミル、又は他の当該分野で知られた方法によって粒子形状に縮小することができる。微粒子を形成する更に他の方法は、溶解した昇華可能なマトリクス材料を含有する有機溶媒に薬剤を溶解又は分散し、高エネルギー混合を介して非混和相中で前記有機相(昇華可能なマトリクス材料及び薬剤を含む)の小滴を形成し、蒸発又は希釈などの当該分野で知られた種々の方法により前記滴及び非混和相から有機溶媒を抽出し、そして微粒子を回収することを含む。
【0039】
組成物を調製する一つの特別な方法は、昇華可能なマトリクス材料、治療剤、及び場合によっては昇華速度調節剤を、振動ボールミル内で混合し、次いで混合物を圧縮して適当な形状(ペレット、ディスク、ロッド等)に圧縮して、注射可能なインプラント、膣又は直腸用の坐薬、又は経口用の錠剤とすることを含む。
【0040】
上記の全ての実施態様において、昇華可能な固体は単独でも昇華可能な固体の混合物でもよく、場合によって昇華速度調節剤が配合されていてもよいと解される。昇華速度調節剤が配合される場合、マトリクス全体に均一に分散されても、不均一に分散されて、治療剤の放出を促進する孔を形成しても、それらの組み合わせでもよい。
【実施例】
【0041】
以下の実施例は本発明を更に例示するが、如何なる方法によっても本発明の範囲を限定すると解してはならない。以下の実施例は、特に詳細に記載したものを除いて、当業者に良く知られ、日常的な従来技術を用いて実施された。
【0042】
1.昇華性固体混合物の調製
昇華可能なマトリクス材料である、2,2,3,3−テトラメチルブタン(ヘキサメチルエタン)、ノルボルナン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、及びアダマンタン(99%)は、Sigma-Aldrich (St Louis, MO, USA)から購入した。ペルフルオロネオペンタン及びペルフルオロアダマンタンは、ExFluor Research (Round Rock, TX, USA)から購入した。ヘキサメチルエタンは、昇華性固体及び炭酸カルシウムの混合物の微細な粉末にした混合物から減圧昇華することによりを精製して残っているピバリン酸を除去した。マトリクス成分を緊密に混合するために、全ての製粉調製物のために振動ボールミル(Retsch MM301 ミキサーミル及び12mmのステンレススチールボールベアリングを有する10mLステンレススチール粉砕ジャー)を使用した。昇華性固体の混和物(ブレンド)は、2又は3グラムの固体をジャーに添加し、30Hzで10分間製粉することにより室温で調製した。製粉が完了した時点で微細粉末又はガラス状の塊を得た。ガラス状の塊は、更に処理する前に手で小片に砕いた。
【0043】
2.昇華性固体マトリクスの調製
Carver Model C水圧プレス圧縮機を用いた圧縮成型により、ディスクについては9mm凹面ダイ、ロッドについては直径2mmダイで、ペレットを調製した。典型的には、100-250mgの製粉した又は粉砕した昇華性固体片のサンプルを、1000lbsで60分間の室温圧縮によりペレット化した。得られたペレット及びロッドは、8-10mmの長さであった。ディスクは約9mm径及び約2-4mmの厚みであった。すべてのマトリクスの外観は半透明から不透明であった。
【0044】
3.制御された温度及び対流下でのマトリクスの昇華速度
昇華性固体マトリクスペレット又はディスクを、制御された室温で、自由に対流する条件下、開口パンの上に配置することにより、ペレットの重量損失速度を重量測定により測定した。パンを分析用秤上に直接置き、実質的に連続的にペレット重量変化を測定した。ヘキサメチルエタン(HME)、アダマンタン(ADM)、ペルフルオロネオペンタン(PFNP)、ノルボルナン(NOR)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(HMC)及びペルフルオロアダマンタン(PFA)の150mgの円筒形ペレットについての昇華プロフィールを図1に示す。
【0045】
4.マトリクスブレンドの昇華速度
数種の昇華性固体の緊密な混合物又は「アロイ」を含むマトリクスを、混合物成分を30Hzで10分間ボールミルし、次いで圧縮してペレットとすることにより調製した。混合物Aは、0.6gmのヘキサメチルエタン、0.6gmのアダマンタン、及び0.6gmのペルフルオロアダマンタンからなる。混合物Bは、0.5gmのヘキサメチルエタン、0.5gmのアダマンタン、及び2.1gmのペルフルオロアダマンタンからなる。混合物Cは、1gmのヘキサメチルエタン、0.5gmのアダマンタン及び0.5gmのペルフルオロアダマンタンからなる。各混合物のペレットは、110-115mgの混合物Aアリコート、150-165mgの混合物Bアリコート、及び120-150mgの混合物Cアリコートを1000lbsで60秒間圧縮成型することにより調製した。昇華は、実施例3のように室温において開口パン上で実施した。マトリクスの昇華速度を図2に示す。
【0046】
5.昇華性固体マトリクスの侵食速度に対する昇華速度調節剤
25重量%のペルフルオロデカリン(PFD)を含むペルフルオロネオペンタン(PFNP)マトリクスを、1.5グラムのペルフルオロネオペンタン固体と500mgのペルフルオロデカリン液体とを混和(ブレンド)することにより調製した。30Hzで10分間の振動ボールミルにより、軟質のプラスチック固体を得た。1000lbsで60秒間の圧縮により約150mgの円筒形ペレットを調製した実施例3と同様に昇華速度を測定し、マトリクス侵食の減少速度を図3に示した。
【0047】
6.昇華性ヘキサメチルエタンマトリクスの円筒形ペレットからのブロモフェノールブルーのインビトロでの放出速度
ブロモフェノールブルーナトリウム塩(BPB)は、Sigma-Aldrich (St Louis, MO, USA)から購入し、ブレードミルにより正確に秤量した約3.0gの昇華性固体中に正確に秤量した約30mgの染料を室温で分散させた。目的とするブロモフェノールブルーの負荷は1重量%(正確には0.98-1.22%)であった。調製されたヘキサメチルエタンマトリクスの円筒形ペレットは、150mgの凝集粉末を1000lbsで60分間、室温で5mm×9mmのシリンダー状に成型することにより調製した。
【0048】
制限された昇華/対流条件下、即ち、振動する水浴中で37℃でインキュベートされている開口した(150×15mm)試験管内での、ペレットから10mL蒸留水へ放出されたブロモフェノールブルー(BPB)の量を、溶質の沈殿条件下で、一連の時間間隔をもって497nm(BPBの等吸収点)における累積吸収測定により測定した。蒸発した水の容量は、アリコートを取り出す前に、吸収測定のために元に戻した。与えられた時点での放出されたBPBの割合は、ペレットが完全に消失されたときに測定された最終吸収に対して計算した。ペレット昇華速度は、各時点での回収、パッティングドライ、及び秤量により測定した。吸収及び重量の変化は、2つ又は3つのペレットサンプルについて測定し、所定の時点での平均パーセント及び重量損失を報告する。マトリクス昇華速度に対するBPB放出速度の等価性を示すデータを図4に示した。
【0049】
7.ヘキサメチルエタン及びアダマンタンマトリクスの薄いディスクからのブロモフェノールブルーのインビトロでの放出速度
ヘキサメチルエタン及びアダマンタン中の5%ブロモフェノールブルーの組成物を、各昇華性固体1.9グラムと染料100mgを30Hzで20分間の振動ボールミルにより調製した。得られた混合物は、純粋な昇華性固体の製粉によって得られる材料より粘着性かつ凝集性であった。各組成物のディスクは、200gの材料を直径9mmの円筒形ダイ内において圧力1000lbsで10分間、室温で圧縮することにより調製した。ディスクの昇華速度は、室温における開口パンを用いて重量測定により測定し(実施例3)、マトリクスが昇華されてブロモフェノールブルーが放出された時点の速度を、各秤量の後に、各ディスクを10mLの蒸留水中に5秒間浸漬することにより測定し、次いでパッティングドライを施して昇華を再開させた。各時点で得られた染料溶液の吸収を497nmで測定し、測定される吸収を1.5未満に維持するために必要ならば希釈した。累積染料放出とマトリクス重量損失との等価性の程度を、ヘキサメチルエタンについて図5に、アダマンタンについて図6に示した。何れの場合も。ディスクの昇華速度と線量放出速度とは実質的に同一であった。
【0050】
8.昇華性固体マトリクスからのベタメタゾンのインビトロでの放出速度
ベタメタゾン(Sigma Aldrich , St Louis MO USA)を、ヘキサメチルエタン(HME)、アダマンタン(ADM)、50/50パーセントHEM/ADMマトリクス中に、正確に秤量した約2gの昇華性固体(又は昇華性固体混合物)と正確に秤量した約44mgのステロイドとを10mLの粉砕ジャー内での振動ボールミルにより導入した。粉砕は、室温において、30Hzの振動速度で3分間実施した。ベタメタゾンの目的負荷量は2.2重量%(正確には2.1-2.7%)であった。各々の薬剤含有混合物を、
Carver Model C水圧プレス圧縮機及び直径5mmの円筒形凹面ダイを用いて圧縮成型により調製した。典型的には、各混合物の80mgアリコートを、1000lbsで60分間、室温圧縮することによりペレットに変換した。得られたペレットは、直径5mm、長さ7-9mmであり、半透明から不透明の外観であった。
【0051】
ペレットからのベタメタゾン放出を、(1)ペレットが150×15mm試験管内の蒸留水10mLに浸漬された、制限された昇華/対流条件下;(2)ペレットが完全に満たされて封鎖された125×10mm試験管内の蒸留水15mLに浸漬された、昇華が起こりえない条件下;又は(3)ペレットが開口した空の150×15mm試験管内にインキュベートされた状態で測定した。各貯蔵条件について2つ又は3つのサンプルを、振動(86rpm)水浴中で37℃においてインキュベートした。所定の時点で、放出溶液の1mLアリコートをベタメタゾン定量のために取り出し、放出媒体(水)の全重量を各測定時点で元にもどした。全ての薬剤放出間隔について沈殿条件(飽和の<25%)を維持した。同じ所定の時点で、空の試験管からのペレット昇華の速度を重量測定により測定した。
【0052】
水性放出媒体中に放出されたベタメタゾンの量は、逆相HPLCを用いた溶液サンプルのアッセイセットによって測定した。簡潔に言えば、放出媒体10μLをYMC-Pack ODS-A カラム(5ミクロン、6.0×150mm) に注入し、50mMのリン酸二水素カリウム/メタノール(45/55 v/v)移動相を用いて1.2mL/分で室温において20分間溶離した。ベタメタゾンは、240nmで検出した。
【0053】
ヘキサメチルエタン、アダマンタン及び50/50HME/ADM混合物ペレットについて、薬剤放出の平均パーセント及びペレット重量損失の平均を、各々図7、8及び9に示し、ペレットから蒸留水中へのベタメタゾンの放出速度が、3つ全てのペレットマトリクスから空気中への昇華速度と極めて類似していることが示された。昇華が起こらない条件下、即ち水密封印された管であって、薬剤放出が薬剤の溶解に続くペレットマトリクスを通した拡散を介してのみ起こりうる条件下で貯蔵されたペレットから放出されたベタメタゾンの速度は、全ての場合において昇華性ペレットより極めて遅かった。
【0054】
昇華性固体マトリクスを混和(ブレンド)することによる放出を変更する効果を素10に示したが、2つの昇華性マトリクスを混合することにより、純粋な昇華性固体の中間的な放出プロフィールを生ずることが示された。
【0055】
9.昇華性固体マトリクスのインビボでの昇華速度
ラットにおける皮下埋込部位からのヘキサメチルエタン及びアダマンタンペレットのインビボ消失速度を、16週間の期間にわたって評価した。年齢の類似した46匹のSprague-Dawley雄ラットを秤量し、5つの処理群に分けた:ヘキサメチルエタンペレット埋込(H群)、アダマンタンペレット埋込(A群)、PLGA(Boehringer Ingelheim Resomer RG 504H)ペレット埋込(G群)、ペレット埋込無しで手術を実施した偽装群、及びコントロール(手術無し)群である。ペレットは個々に秤量し、ラットの首筋に埋め込んだ。アダマンタンペレットの取り出し及び再秤量は、4及び8日、及び2、4、8及び10週に実施し、ヘキサメチルエタンペレットは4及び24時間、4、8及び14日に取り出して秤量した。図11は、ヘキサメチルエタンマトリクスペレットのインビボ昇華が1週間程度の短い期間に起こり、アダマンタンペレットの消失は少なくとも2ヶ月の期間に起こることを示している。
【0056】
10.昇華性固体マトリクスからの生物活性インターフェロンαのインビボ放出速度
組み換えヒトインターフェロンα−2b(a−IFN)を、ヘキサメチルエタン、アダマンタン、又はヘキサメチルエタンとアダマンタンの50/50混合物からなるマトリクスに振動ボールミルにより導入した。各マトリクス中の凍結乾燥a−IFNの均一な微細分散物は、約23mgの凍結乾燥a−IFN粉末(50MIUのa−IFNを含む)を2.1-2.2グラムの昇華性固体と混合し、30Hzで45分間粉砕することにより調製した。昇華性固体混合物マトリクスは、1.59グラムのヘキサメチルエタンと1.50グラムのアダマンタンを30Hzで10分間粉砕することにより調製した。
【0057】
マトリクス全体のタンパク質分散の均一性は、モデルタンパク質であるローダミン標識ウシ血清アルブミンをヘキサメチルエタン又はアダマンタンマトリクス中に上記した技術により分散させたものを顕微鏡観察することによって測定した。青色投射光で200倍の倍率でローダミン標識タンパク質の不連続な粒子は検出されなかった。アダマンタンマトリクスでは目視によるタンパク質粒子も無かった。
【0058】
粉砕後のマトリクス1ミリグラムには、典型的には22,700IUのインターフェロン及び0.011mgの水溶性化学種(グリシン、リン酸塩、及びヒト血清アルブミン)が含まれ、これは、0.01重量%のインターフェロン負荷量及び1.1重量%の水溶性化学種に相当する。3つのインターフェロン含有マトリクスの円筒形ペレットは、正確に秤量した昇華性固体の約150mgのサンプルを1000lbsの圧力で60秒間圧縮することにより調製した。
【0059】
ペレット(典型的には3.2MIUのインターフェロンαを含有する)のラットの皮下埋込は、実施例9に記載したように実施した。10匹の動物を各昇華性固体マトリクスの群に分け、各ペレットを、既知の初期(及び最終)体重を持つ特定のラットに振り分けた。埋込に続いて、1mLの血液サンプルを特定時点で取り出し、血清に分け、分析まで-70℃で凍結貯蔵した。ヘキサメチルエタンペレットを投与したラットのサンプリング時点は、1、2、6及び24時間、2、3、4、7、1014及び21日とした。アダマンタン及び50%混合物ペレットを埋め込んだラットは、4、5、6、8及び10週間に更に血液サンプルを取り出した。
【0060】
10匹のラット各々からの血清サンプルにおける可溶性ヒトインターフェロンα濃度は、基質としてのセイヨウワサビペリオキシダーゼ及びテトラメチルベンジジンに接合した抗−二次抗体での比色分析ELISAを用いて測定した。アッセイは、PBL Biomedical Laboratories (Piscataway NJ)により実施した。各サンプルにおけるインターフェロン生物学的活性は、MDBK細胞ベースVSVウイルス阻害アッセイを用いて測定し、分析は再度PBL Biomedical Laboratoriesにより実施した。
【0061】
上記の実験の結果は、可溶性で生物学的活性のインターフェロンαが、ヘキサメチルエタン、アダマンタン、及び50/50混合物マトリクスから持続放出されることを示しており、図12に示される通りである。これらのデータからの一次速度定数の計算により、HMEマトリクス、k=0.064 hr-1より遅いADMマトリクスの放出、k=0.017 hr-1が示された。
【0062】
上記の好ましい実施態様の説明は、当業者が本発明を実施できるようにするために提供される。これらの実施態様の様々な変形は当業者にとっては容易であり、本明細書に記載した一般的概念は、発明的能力を使用することなく他の実施態様に適用できる。従って、本発明は、本明細書に示した実施態様に限定されるものではなく、本明細書の開示の概念及び新規な特徴に一致する最も広い範囲に従うものである。
【0063】
11.タンパク質をヘキサメチルエタンマトリクスに導入することによる生理的条件下でのアルカリホスファターゼの安定性の向上
アルカリホスファターゼ(ALP)は、24U/mgの酵素活性を含む凍結乾燥粉末製剤 (Sigma-Aldrich Corp., Cat. No. P-5931)として得た。最初に10.5mgの酵素粉末と3.0グラムのHMEを30Hzで45分間振動ボールミル内でブレンドし、ブレンドのサンプル60-70mgを1000ポンドで60秒間圧縮することによりロッド型マトリクスを形成することにより、ALPをHMEマトリクスに導入した。次いで、マトリクスを水で満たした2mLのポリエチレンバイアル内で貯蔵し、37℃でインキュベートした。同時に、ALP凍結乾燥粉末サンプルを開口ポリエチレンバイアル内で37℃及び100%相対湿度でインキュベートした。各条件下で貯蔵したサンプルを所定の時間間隔で取り出し、水を満たしたバイアルから取り出したロッドを乾燥させ、次いで新たな開口バイアル内で室温で24時間貯蔵して全てのマトリクス材料を昇華させた。次いでバイアルを封印し、-20℃で活性を測定するまで貯蔵した(下記参照)。凍結乾燥した酵素粉末を含むバイアルは水浴から取り出した時点で直接封印し、アッセイまで-20℃で貯蔵した。
【0064】
バイアルの特定かつ全体の活性を、速度論的p−ニトロフェニルホスフェート加水分解アッセイ(QuantiChrom アルカリホスファターゼアッセイキット、BioAssay Systems, Hayward CA)を用いて測定した。各ホスファターゼサンプルの分析は3回実施した。結果を、経時的に維持された初期活性のパーセントとして図13に示すが、酵素粉末を昇華性固体マトリクスに分散された場合に、生理的条件下での酵素活性損失の割合が有意に低下したことを示している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】室温において所定の対流条件下で重量測定により測定した種々の昇華可能なマトリクスの昇華速度を示すグラフである。ペルフルオロネオペンタン(PFNP)、ノルボルナン(NOR)、ヘキサメチルエタン(HME)、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(HCMS)、ペルフルオロアダマンタン(PFA)及びアダマンタン(ADM)のマトリクスについて、時間に対する残りのペレット質量のパーセントによって表した昇華速度を示す。
【図2】自由な対流条件下で重量測定により測定した純粋な昇華可能なマトリクス及びそれらの種々の混合物の昇華速度を示すグラフである。純粋なHME、PFA及びADMからなるマトリクス、並びにHME、PFA及びADMの種々の混合物からなるマトリクスについて、時間に対する残りのペレット質量のパーセントによって表した昇華速度を示す。
【図3】PFNPマトリクスの昇華速度に対する昇華速度調節剤であるペルフルオロデカリン(PFD)の効果を示すグラフである。
【図4】HMEペレットタイプマトリクスの昇華速度(時間に対してHMEマトリクス重量損失のパーセントとしてプロットした)が、HMEペレットタイプマトリクスから一部が大気に開かれた蒸留水へのBPBの放出速度(時間に対してBPB放出のパーセントとしてプロットした)と等価であることを示すグラフである。
【図5】HMEディスクタイプマトリクスから容易に溶解するブロモフェノールブルー(BPB)(時間に対してBPB放出のパーセントとしてプロットした)が、良好な対流条件下でのHMEディスクタイプマトリクスの空気中への昇華速度(時間に対してHMEマトリクスの重量損失パーセントとしてプロットした)と等価であることを示すグラフである。
【図6】ADMディスクタイプマトリクスから蒸留水中への容易に溶解するBPBの放出速度(時間に対してBPB放出のパーセントとしてプロットした)が、良好な対流条件下でのADMディスクタイプマトリクスの空気中への昇華速度(時間に対してHMEマトリクスの重量損失パーセントとしてプロットした)と等価であることを示すグラフである。
【図7】HMEペレットタイプマトリクスの昇華速度(「HME重量損失」)が、HMEペレットタイプマトリクスから一部が大気に開かれた蒸留水へのベタメタゾン(BMS)の放出速度(「BMS昇華放出」)と等価であることを示すグラフである。一方、この図は、昇華が起こる条件下でのBMSの放出速度(「BMS昇華放出」)と、ペレットの昇華が起こらない条件下、即ち水で満たした閉鎖容器であり、従ってHMEペレットからのBMSの放出がペレットマトリクスを通した拡散可能なものに制限されるもの(「BMS拡散制限放出」)とに大きな相違があることをグラフ的に示している。
【図8】ADMペレットタイプマトリクスの昇華速度(「ADM重量損失」)が、ADMペレットタイプマトリクスから一部が大気に開かれた蒸留水へのBMSの放出速度(「BMS昇華放出)と等価であることを示すグラフである。一方、この図は、昇華が起こる条件下でのBMSの放出速度(「BMS昇華放出」)と、ペレットの昇華が起こらない条件下、即ち水で満たした閉鎖容器であり、従ってADMペレットからのBMSの放出がペレットマトリクスを通した拡散可能なものに制限されるもの(「BMS拡散制限放出」)とに大きな相違があることをグラフ的に示している。
【図9】50/50のHME/ADMペレットタイプマトリクスの昇華速度(「50/50混合物重量損失」)が、50/50HME/ADMペレットタイプマトリクスから一部が大気に開かれた蒸留水へのBMSの放出速度(「BMS昇華放出)と等価であることを示すグラフである。一方、この図は、昇華が起こる条件下でのBMSの放出速度(「BMS昇華放出」)と、ペレットの昇華が起こらない条件下、即ち水で満たした閉鎖容器であり、従って50/50HME/ADMペレットからのBMSの放出がペレットマトリクスを介する拡散可能なものに制限されるもの(「BMS拡散制限放出」)とに大きな相違があることをグラフ的に示している。
【図10】異なる昇華可能なマトリクス材料をブレンドすることによるBMS放出の調節を示すグラフである。
【図11】時間に対する移植されたペレットの残質量のパーセントによって測定した、HME/ADM混合物のマトリクス及びADMペレットのインビボ昇華速度を示すグラフである。
【図12】各々HME、ADM及びHME/ADM混合物のマトリクスからなるα−IFN含有ペレット及びの皮下投与後の、ラットにおける組み換えヒトインターフェロンα−2b(α−IFN)の血清濃度(pg/mL)のグラフである。
【図13】(a)37℃及び湿度100%で製剤された凍結乾燥粉末として貯蔵された場合、又は(b)HMEマトリクス中に導入された凍結乾燥粉末として37℃で水溶液中で貯蔵された場合の、アルカリホスファターゼによる酵素活性喪失の比較を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの昇華可能なマトリクス材料;及び
(b)生物学的活性剤を含む、生物学的活性物質をデリバリーするのに適した組成物。
【請求項2】
前記昇華可能なマトリクス材料が、約200kj/モルから約100kj/モルの昇華エンタルピーを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記昇華可能なマトリクス材料が、約37℃以上の融点を持つ、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記昇華可能なマトリクス材料が、球状アルカン、ペルフルオロアルカン、球状ペルフルオロアルカン、アダマンタン、ペルフルオロアダマンタン、1−メチルアダマンタン、ペルフルオロ1−メチルアダマンタン、テトライソプロピルメタン、ペルフルオロテトライソプロピルメタン、2,2,3,3−テトラメチルブタン(ヘキサメチルエタン)、ペルフルオロ2,2,3,3−テトラメチルブタン、ペルフルオロネオペンタン、ペルフルオロC60フラーレン、キュバン、ペルフルオロキュバン、オクタメチルキュバン、ペルフルオロオクタメチルキュバン、ペルフルオロメチルアダマンタン、ペルフルオロトリ-tert-ブチルメタン、ペルフルオロジメチルアダマンタン、ペルフルオロヘキサメチルエタン、ペルフルオロ−1,3−ジメチルアダマンタン、イソカンファン、トリシクレン、1−エチルアダマンタン、1−メチルジマンタン、ペルフルオロジメチルビシクロ[3.3.1]ノナン、ジアダマンタン、ペルフルオロジアダマンタン、トリ-tert-ブチルメタン、ノルボルナン、ペルフルオロノルボルナン、シクロドデカン、ペルフルオロシクロドデカン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ペルフルオロウンデカン、ペルフルオロドデカン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、テトラシクロヘプタン、トリシクロヘキサン、ジメチル−イソプロピル−ペルヒドロフェナントレン、ヘキサメチルプリズマン、プリズマン、テトラシクロドデカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、2−メチルアダマンタン、1−メチルアダマンタン、ペンタシクロウンデカン、トリシクロデカン、ビシクロデカン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.1]へプタン、ペルフルオロ-tert-ブチルメタン、ペルフルオロ−1,3,5−トリメチルアダマンタン、ペルフルオロ2,2−ジメチルアダマンタン、ペルフルオロテトラシクロヘプタン、ペルフルオロトリシクロヘキサン、ペルフルオロヘキサメチルプリズマン、ペルフルオロプリズマン、ペルフルオロテトラシクロドデカン、ペルフルオロビシクロ[3.3.3]ウンデカン、ペルフルオロ2−メチルアダマンタン、ペルフルオロペンタシクロウンデカン、ペルフルオロトリシクロデカン、ペルフルオロビシクロデカン、ペルフルオロビシクロ[3.3.1]ノナン、ペルフルオロビシクロ[2.2.2]オクタン、ペルフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプタン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記昇華可能なマトリクス材料が、アダマンチン、ヘキサメチルエタン、ペルフルオロネオペンタン、ノルボラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、シクロドデカン、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記昇華可能なマトリクス材料が、組成物の重量に基づいて少なくとも約10重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記昇華可能なマトリクス材料が、組成物の重量に基づいて少なくとも約60重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記昇華可能なマトリクス材料が、組成物の重量に基づいて少なくとも約80重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
昇華速度調節剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記昇華速度調節剤が、前記組成物の昇華速度を変化させるのに有効である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記昇華速度調節剤が、前記組成物の表面積を経時的に変化させるのに有効である、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記昇華速度調節剤が、トリメチルアセトアミド、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルピバレート、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロアルカン、トリ-tert-ブチルメタノール、ペルフルオロシクロアルカン、カンファー、カンフェン、ネオペンチルアルコール、ヘキサクロロエタン、クロロブタノール、メタノール、抱水テルピン、バニリン、エチルバニリン、1,3,5−トリオキサン、ナフタレン、フェノール、トリステアリン、デキストラン、グリコーゲン、tert-ブタノール、ポリ乳酸又は乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ポリオルトエステル又はポリアンヒドリドからなる生分解性ポリマー、前記生分解性ポリマーからなる微粒子、脂肪酸、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、コレステロール及びその微粒子、カプロスタン、37℃より高い融点を持つトリグリセリド、コラーゲン及びその微粒子、ゼラチン及びその微粒子、エタノール、プロピレングリコール。PEG400、グリセロール、ポリグリセロール、ポリソルベート、スクラロース、スクラロースペンタハイドレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記昇華速度調節剤が、前記組成物の重量に基づいて約0.1から約30重量%の量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記昇華速度調節剤が、前記組成物の重量に基づいて約0.5から約10重量%の量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、埋込可能なディスク、シリンダー、又はペレットの形状である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
生物学的活性剤を宿主生物に昇華を介してデリバリーする方法であって、請求項1に記載の組成物を前記宿主生物に投与することを含む方法。
【請求項17】
前記宿主生物が哺乳動物である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、昇華速度調節剤を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が、昇華速度調節剤を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
生物学的活性剤を、物理的又は化学的劣化あるいは活性喪失から保護する方法であって、前記活性剤を、昇華可能なマトリクス材料の固体又は半固体マトリクス内に埋設することを含む方法。
【請求項21】
前記昇華可能なマトリクス材料が、約20kj/モルから約100kj/モルの昇華エンタルピー及び約37℃以上の融点を持つ、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記マトリクスが、昇華速度調節剤を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記マトリクスが宿主生物内に配置される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記マトリクスが哺乳動物内に配置される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記活性剤を少なくとも約7日の期間放出するように適合された、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記活性剤を少なくとも約30日の期間放出するように適合された、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記活性剤を少なくとも約3月の期間放出するように適合された、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記活性剤を少なくとも約7日の期間放出するように適合された、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
前記活性剤を少なくとも約30日の期間放出するように適合された、請求項16に記載の方法。
【請求項30】
前記活性剤を少なくとも約3月の期間放出するように適合された、請求項16に記載の方法。
【請求項31】
生物学的活性物質をデリバリーするのに適した組成物を製造する方法であって、
a.少なくとも1つの昇華可能なマトリクス材料及び生物学的活性剤を混ぜ合わせて混合物を形成し、
b.前記混合物を混和し、及び
c.前記混合物を圧縮して所定重量及び形状の固体又は半固体の塊を形成することを含む方法。
【請求項32】
少なくとも1つの昇華速度調節剤を、前記昇華可能なマトリクス材料及び生物学的活性剤と混ぜ合わせることを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
混合物が圧縮されて、ディスク、シリンダー又は実質的に球状のペレットが形成される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
疾患又は疾病を治療する方法であって、請求項1に記載の組成物の治療的有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項35】
少なくとも2つの異なる昇華可能なマトリクス材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
昇華速度調節剤を更に含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項1】
(a)少なくとも1つの昇華可能なマトリクス材料;及び
(b)生物学的活性剤を含む、生物学的活性物質をデリバリーするのに適した組成物。
【請求項2】
前記昇華可能なマトリクス材料が、約200kj/モルから約100kj/モルの昇華エンタルピーを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記昇華可能なマトリクス材料が、約37℃以上の融点を持つ、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記昇華可能なマトリクス材料が、球状アルカン、ペルフルオロアルカン、球状ペルフルオロアルカン、アダマンタン、ペルフルオロアダマンタン、1−メチルアダマンタン、ペルフルオロ1−メチルアダマンタン、テトライソプロピルメタン、ペルフルオロテトライソプロピルメタン、2,2,3,3−テトラメチルブタン(ヘキサメチルエタン)、ペルフルオロ2,2,3,3−テトラメチルブタン、ペルフルオロネオペンタン、ペルフルオロC60フラーレン、キュバン、ペルフルオロキュバン、オクタメチルキュバン、ペルフルオロオクタメチルキュバン、ペルフルオロメチルアダマンタン、ペルフルオロトリ-tert-ブチルメタン、ペルフルオロジメチルアダマンタン、ペルフルオロヘキサメチルエタン、ペルフルオロ−1,3−ジメチルアダマンタン、イソカンファン、トリシクレン、1−エチルアダマンタン、1−メチルジマンタン、ペルフルオロジメチルビシクロ[3.3.1]ノナン、ジアダマンタン、ペルフルオロジアダマンタン、トリ-tert-ブチルメタン、ノルボルナン、ペルフルオロノルボルナン、シクロドデカン、ペルフルオロシクロドデカン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ペルフルオロウンデカン、ペルフルオロドデカン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、テトラシクロヘプタン、トリシクロヘキサン、ジメチル−イソプロピル−ペルヒドロフェナントレン、ヘキサメチルプリズマン、プリズマン、テトラシクロドデカン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカン、2−メチルアダマンタン、1−メチルアダマンタン、ペンタシクロウンデカン、トリシクロデカン、ビシクロデカン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.1]へプタン、ペルフルオロ-tert-ブチルメタン、ペルフルオロ−1,3,5−トリメチルアダマンタン、ペルフルオロ2,2−ジメチルアダマンタン、ペルフルオロテトラシクロヘプタン、ペルフルオロトリシクロヘキサン、ペルフルオロヘキサメチルプリズマン、ペルフルオロプリズマン、ペルフルオロテトラシクロドデカン、ペルフルオロビシクロ[3.3.3]ウンデカン、ペルフルオロ2−メチルアダマンタン、ペルフルオロペンタシクロウンデカン、ペルフルオロトリシクロデカン、ペルフルオロビシクロデカン、ペルフルオロビシクロ[3.3.1]ノナン、ペルフルオロビシクロ[2.2.2]オクタン、ペルフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプタン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記昇華可能なマトリクス材料が、アダマンチン、ヘキサメチルエタン、ペルフルオロネオペンタン、ノルボラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、シクロドデカン、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記昇華可能なマトリクス材料が、組成物の重量に基づいて少なくとも約10重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記昇華可能なマトリクス材料が、組成物の重量に基づいて少なくとも約60重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記昇華可能なマトリクス材料が、組成物の重量に基づいて少なくとも約80重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
昇華速度調節剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記昇華速度調節剤が、前記組成物の昇華速度を変化させるのに有効である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記昇華速度調節剤が、前記組成物の表面積を経時的に変化させるのに有効である、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記昇華速度調節剤が、トリメチルアセトアミド、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルピバレート、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロアルカン、トリ-tert-ブチルメタノール、ペルフルオロシクロアルカン、カンファー、カンフェン、ネオペンチルアルコール、ヘキサクロロエタン、クロロブタノール、メタノール、抱水テルピン、バニリン、エチルバニリン、1,3,5−トリオキサン、ナフタレン、フェノール、トリステアリン、デキストラン、グリコーゲン、tert-ブタノール、ポリ乳酸又は乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ポリオルトエステル又はポリアンヒドリドからなる生分解性ポリマー、前記生分解性ポリマーからなる微粒子、脂肪酸、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、コレステロール及びその微粒子、カプロスタン、37℃より高い融点を持つトリグリセリド、コラーゲン及びその微粒子、ゼラチン及びその微粒子、エタノール、プロピレングリコール。PEG400、グリセロール、ポリグリセロール、ポリソルベート、スクラロース、スクラロースペンタハイドレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記昇華速度調節剤が、前記組成物の重量に基づいて約0.1から約30重量%の量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記昇華速度調節剤が、前記組成物の重量に基づいて約0.5から約10重量%の量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、埋込可能なディスク、シリンダー、又はペレットの形状である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
生物学的活性剤を宿主生物に昇華を介してデリバリーする方法であって、請求項1に記載の組成物を前記宿主生物に投与することを含む方法。
【請求項17】
前記宿主生物が哺乳動物である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が、昇華速度調節剤を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が、昇華速度調節剤を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
生物学的活性剤を、物理的又は化学的劣化あるいは活性喪失から保護する方法であって、前記活性剤を、昇華可能なマトリクス材料の固体又は半固体マトリクス内に埋設することを含む方法。
【請求項21】
前記昇華可能なマトリクス材料が、約20kj/モルから約100kj/モルの昇華エンタルピー及び約37℃以上の融点を持つ、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記マトリクスが、昇華速度調節剤を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記マトリクスが宿主生物内に配置される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記マトリクスが哺乳動物内に配置される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記活性剤を少なくとも約7日の期間放出するように適合された、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記活性剤を少なくとも約30日の期間放出するように適合された、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記活性剤を少なくとも約3月の期間放出するように適合された、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記活性剤を少なくとも約7日の期間放出するように適合された、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
前記活性剤を少なくとも約30日の期間放出するように適合された、請求項16に記載の方法。
【請求項30】
前記活性剤を少なくとも約3月の期間放出するように適合された、請求項16に記載の方法。
【請求項31】
生物学的活性物質をデリバリーするのに適した組成物を製造する方法であって、
a.少なくとも1つの昇華可能なマトリクス材料及び生物学的活性剤を混ぜ合わせて混合物を形成し、
b.前記混合物を混和し、及び
c.前記混合物を圧縮して所定重量及び形状の固体又は半固体の塊を形成することを含む方法。
【請求項32】
少なくとも1つの昇華速度調節剤を、前記昇華可能なマトリクス材料及び生物学的活性剤と混ぜ合わせることを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
混合物が圧縮されて、ディスク、シリンダー又は実質的に球状のペレットが形成される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
疾患又は疾病を治療する方法であって、請求項1に記載の組成物の治療的有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項35】
少なくとも2つの異なる昇華可能なマトリクス材料を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
昇華速度調節剤を更に含む、請求項35に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−533316(P2009−533316A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547780(P2008−547780)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/062529
【国際公開番号】WO2007/076462
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(506016521)オークウッド ラボラトリーズ,エル.エル.シー. (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/062529
【国際公開番号】WO2007/076462
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(506016521)オークウッド ラボラトリーズ,エル.エル.シー. (4)
【Fターム(参考)】
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