説明

昇降コード連結具

【課題】連結具本体とクリップとの連結・連結解除を簡単に行うことができるとともに、スクリーン昇降時に連結具本体とクリップとの連結が簡単に外れることが無い昇降コード連結具を提供する。
【解決手段】昇降コード連結具は、連結具本体12と、昇降コード16の端部に設けられるとともに、昇降コード16の径よりも大きな径を有するクリップ14とからなり、連結具本体12はクリップ14を収容するための収容部12bと、クリップ14は挿通不能であるが昇降コード16は挿通可能とされたスリット12dと、収容部12b内においてクリップ14の出入り方向に揺動可能な弾性片部と、を備える。クリップ14は弾性片部の弾性力に抗して収容部12b内に挿入可能とされ、クリップ14が完全に収容部12b内に収容されると、弾性片部はクリップ14を押し上げるとともに収容部12b内における下方への移動を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーンの下端に取り付けられると共に、昇降コードの端部が取り付けられて、昇降コードをスクリーンに連結する昇降コード連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーンの下端に取り付けられると共に、昇降コードの端部が取り付けられて、昇降コードをスクリーンに連結する昇降コード連結具としては、特許文献1に示されるものが知られている。
【0003】
特許文献1に示される昇降コード連結具は、連結具本体と、昇降コードの端部が取り付けられる筒状クリップと、からなり、連結具本体は、連結具本体内部にあって筒状クリップを収容するための収容部と、連結具本体側面に形成され、前記収容部に筒状クリップを側方から出入させるために筒状クリップが挿通可能となった開口部と、開口部から上下方向に伸びて筒状クリップが挿通不能で昇降コードが挿通可能となったスリットとを備え、さらに、前記収容部は、昇降コードの張力により前記筒状クリップが引っ張られる方向への該筒状クリップの移動を規制する壁部を備えるようにしたものである。
【0004】
このように、筒状クリップを側方から連結具本体の収容部に挿入させるようにしたため、筒状クリップが、スクリーンの自重の作用による昇降コードの張力を受けて、収容部内で上下方向のいずれかに押し込まれたとしても、筒状クリップを収容部から簡単に取り出すことができ、従って、簡単に昇降コードのスクリーンへの連結を解除することができる。
【0005】
また、特許文献1に示される昇降コード連結具では、筒状クリップの端部に先端に向かうに従って外径が細くなる先細り部を形成し、収容部の壁部を該先細り部に対応して、該先細り部を押し付けるテーパー面とすることにより、昇降コードの張力により筒状クリップが収容部内で上下方向に押し込まれて、壁部の方へ移動した場合に、壁部のテーパー面が筒状クリップの先細り部を内径方向に押し付けて、筒状クリップと連結具本体との結合を強固のものとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3646054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、かかる従来の昇降コード連結具にあっては、筒状クリップは先端部が連結具本体内のテーパー面に押し付けられて強固に締め付けられるものの、固定されているわけではない。このため、スクリーンを勢い良く最下端まで下降させた後や、万一昇降コードに何かが引っ掛かったときなど、昇降コードにテンションが掛らなくなったときや無理に昇降コードが下方に引っ張られた場合に、筒状クリップが収容部内を移動してしまうことがある。これにより、筒状クリップと先細り部との押し付けが解除されるために、昇降コードがスリットを通過すると、筒状クリップが連結具本体から外れてしまう恐れがある。
【0008】
かかる不具合を回避するためには、昇降コードがスリットを簡単に通過し難くすることが考えられる。つまり、スリットの幅を昇降コードの径よりも極端に小さくすれば、昇降コードがスリットを簡単に通過しないので、意図しない連結解除を防ぐことができる。しかしながら、スリットの幅を極端に小さくすると、昇降コードをスクリーンから外したい場合に、昇降コードがスリットを簡単に通過できないために、筒状クリップを連結具本体から外す作業が難しくなるという問題がある。
【0009】
本発明はかかる従来の課題に鑑みなされたもので、連結具本体とクリップとの連結・連結解除を簡単に行うことができるとともに、スクリーン昇降時に連結具本体とクリップとの連結が簡単に外れ難い昇降コード連結具を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、請求項1記載の発明は、スクリーンの下端に取り付けられると共に、昇降コードの端部が取り付けられて、昇降コードをスクリーンに連結する昇降コード連結具において、
昇降コード連結具は、連結具本体と、昇降コードの端部に設けられるとともに、昇降コードの径よりも大きな径を有するクリップと、からなり、
連結具本体は、連結具本体内部にあってクリップを収容するための収容部と、収容部にクリップを出し入れ可能な開口部と、開口部から上下方向に伸び、クリップは挿通不能であるが昇降コードは挿通可能とされるスリットと、収容部に対して弾性変位可能な弾性部と、を備え、
クリップは弾性部の弾性力に抗して収容部内に挿入可能とされ、クリップが完全に収容部内に収容されると、弾性部はクリップを押圧可能であることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の昇降コード連結具において、前記弾性部は、クリップが完全に収容部内に収容されると、クリップを押し上げてクリップの収容部内における下方への移動を規制することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の昇降コード連結具において、前記弾性部は、連結具本体に形成された弾性片であることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の昇降コード連結具において、前記連結具本体は、スクリーンの下端付近に連結可能なフック部を有し、フック部をスクリーンに連結した状態において前記開口部の開口面はスクリーンと直交する面となるように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、連結具本体に弾性部を設けたため、クリップを連結具本体に収容する際には、クリップで弾性部を変形させながら収容部内にクリップを押し込み、完全にクリップが収容部内に収容されると、弾性部がその弾性力によってクリップを押圧するためにクリップの動きが規制され、収容部内で一定の位置に固定される。このため、昇降コードの状態にかかわらず、クリップと連結具本体との連結状態を安定して維持することができ、スクリーン昇降時に簡単に連結具本体とクリップとの連結が不用意に外れることを防ぐことができる。
【0015】
また、連結具本体とクリップとの連結を解除するときにも、弾性部の弾性力に抗してクリップを収容部から引き抜けばよいので、作業が簡単である。
【0016】
昇降コードの径とスリットの幅との関係は、昇降コードが比較的簡単にスリットを通過することができる程度とすることができ、昇降コードの径にかかわらず安定して連結状態を維持することができる。
【0017】
また、弾性部がその弾性力によりクリップを押し上げて下方への移動を規制することにより、クリップを収容部の上方位置に固定することができて、その位置決めを確実にすることができる。また、連結具本体とクリップとの連結を外すときにも、弾性部の弾性力に抗してクリップを押し下げるだけで連結の解除が可能となるため、作業が簡単である。
【0018】
弾性部を連結具本体に形成された弾性片で構成することによって、部品点数を増加させることなく、簡単に弾性部を構成することができる。
【0019】
開口部の開口面をスクリーンと直交する面に形成することにより、万一昇降コードが何かに引っ掛かった場合であっても、昇降コードが引っ張られる方向には開口部が無いため、昇降コード及びクリップが連結具本体から簡単に外れてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る昇降コード連結具の連結具本体とクリップとを示す図であり、(a)は連結具本体とクリップとの連結を解除した状態を示す斜視図であり、(b)は連結具本体とクリップとを連結した状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る昇降コード連結具をローマンシェードに適用した状態を示す正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る昇降コード連結具の連結具本体の、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図4】(a)ないし(f)は昇降コード連結具の連結具本体とクリップとを連結する手順を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1ないし図4を用いて本発明に係る昇降コード連結具の実施形態を説明する。
【0022】
本実施形態に係る昇降コード連結具10は、図2に示すようなローマンシェードに適用可能であり、このローマンシェードは、図示していない窓枠等にブラケット18によって取付けられるヘッドレール20と、ヘッドレール20に上端が連結されるスクリーン22と、スクリーン22を昇降可能な昇降コード16と、を備えている。
【0023】
昇降コード16の一端は、ヘッドレール20においてヘッドレール20の長手方向に沿ってコードガイド24を通過し、さらに昇降コード16の移動を拘束及び拘束解除するストッパ25を通過して、ヘッドレール20の一端から垂下してつまみ26に連結される。
【0024】
また、昇降コード16の他端は、ヘッドレール20からスクリーン22の裏面に沿って上下方向に垂下している。スクリーン22の裏面には上下方向に渡って複数のリングテープ27が設けられ、各リングテープ27の上下方向に間隔を空けた複数個所にそれぞれリング28が設けられている。そして、垂下する昇降コード16の他端は、各リングテープ27に沿って複数のリング28を、上部から下部に向かって順次挿通した後、スクリーン22の下端に設けられたウエイト部30近傍の最下段にあるリング28Aを介して、昇降コード連結具10によってスクリーン22に連結される。
【0025】
以下、昇降コード連結具10について詳細に説明すると、昇降コード連結具10は、連結具本体12とクリップ14とから構成される。
【0026】
図3に示すように、連結具本体12は、ケース12aを有し、ケース12aの内部にクリップ14を収容するための収容部12bが形成されている。ケース12aの一面側には、収容部12bに連通する開口部12cが形成されており、この開口部12cを通してクリップ14を収容部12bへと出し入れすることができるようになっている。開口部12cは、下部の方が上部よりもやや開口幅が広くなっており、クリップ14を下端から挿入するのに好適なようになっている。開口部12cよりも上のケース12aの部分には、開口部12cから上下方向に伸びるスリット12dが形成されており、スリット12dの幅はクリップ14が挿通することができず、昇降コード16のみが挿通可能な幅となっている。ケース12aの前記開口部12cと対向する面側には、弾性部としての弾性片部12eが形成される。
【0027】
弾性片部12eは、ケース12aの壁面に形成されたスリットに三方を囲まれて形成されてなり、収容部12bに対して弾性変位可能とし、開口部12cから出入りするクリップ14に対して弾性揺動可能となっている。弾性片部12eが形成されるケース12aの部分は、開口部12cに対向すると共に開口部12cよりもやや下側に位置付けられており、その内面は下方に行くに従ってケースの対向面に接近しており、換言すれば上方に面して傾斜しており、よって、弾性片部12eも上方に面して傾斜している。
【0028】
連結具本体12のケース12aよりも下方にはフック部12gが形成され、フック部12gの出入口が弾性変形することで、前記最下段にあるリング28Aの一部が出入り可能となっている。リング28Aがフック部12gの出入口を通過したとき、リング28Aがフック部12gの貫通面を貫通することで、リング28Aが連結具本体12に連結される。このフック部12gの貫通面は、開口部12cの開口面と略平行となっており、リング28Aがフック部12gを貫通したときに、開口部12cの開口面は、スクリーン22に対して直交する向きとなる。
【0029】
次に、図4に示すように、クリップ14には、上下方向に貫通する貫通孔14aが形成されている。この貫通孔14aは、上部分が下部分よりも縮径された孔となっており、昇降コード16の他端に形成される結び目16aが貫通孔14a内に挿入されたときに、下部分から上部分には移動できないようになっている。この貫通孔14aの孔径の変化に合わせて、クリップ14の外形もその上部分が、上方に行くに従って外径が漸次小さくなる先細り部14bとなっている。
【0030】
前記連結具本体12の収容部12bの中のクリップ14の上方移動を規制するための上壁部分は、このクリップ14の先細り部14bに合致して、上方に行くに従って内径が漸次小さくなる形状となったテーパー面12f(壁部)となっている。
【0031】
以上のような昇降コード連結具10の連結具本体12とクリップ14とを連結する手順を、図4(a)ないし(f)に基づいて説明する。
【0032】
まず、図4(a)に示すように、昇降コード16の端部をクリップ14の貫通孔14aの上方から通した後、結び目16aを作り、この結び目16aをクリップ14の貫通孔14aの下部分に収めて、係止させる。この時点では、図1(a)に示す、クリップ14と連結具本体12との連結が解除された状態にある。
【0033】
次いで、図4(b)に示すように、クリップ14の下端を開口部12cから連結具本体12の収容部12bに挿入する。そして、図4(c)に示すように、クリップ14を収容部12b内に更に挿入すると、クリップ14の下端が弾性片部12eを押圧し、弾性片部12eが外方向に揺動する。図4(d)に示すように、クリップ14の下端で弾性片部12eを外方向に更に揺動するように押圧し、クリップ14の上端も収容部12b内に入るようにクリップ14の上端に開口部12cを通過させる。すると、図4(e)に示すように、昇降コード16がスリット12dを通過し、図4(f)に示すように、弾性片部12eはその復元力により元の状態に戻ろうとして、クリップ14を収容部12b内で押し上げ、クリップ14を押圧するために、クリップ14は収容部12b内の上方位置で固定される。
【0034】
こうして、クリップ14が収容部12b内に収容されている状態では、クリップ14は弾性片部12eによって下方への移動が規制され、クリップ14と連結具本体12とが図1(b)に示す連結された状態を維持する。
【0035】
また、クリップ14が弾性片部12eによって押し上げられるときに、クリック感を発生するために、作業者に、クリップ14が完全に固定されたことを知らしめることができる。
【0036】
このように、クリップ14は、弾性片部12eによって収容部12b内で固定されるために、スクリーン22昇降時に連結具本体12とクリップ14との連結が簡単に不用意に解除されることを防ぐことができる。
【0037】
また、クリップ14は収容部12b内で常に同じ位置に固定されるため、連結作業を繰り返したとしても、各昇降コード16とスクリーン22との相対位置が再現性よく決められて、スクリーン22の下限位置が不揃いになることを防ぐことができる。
【0038】
図1(b)に示すように、連結具本体12は、そのフック部12gを最下段のリング28Aに引っ掛けることにより係止されている。この状態で、連結具本体12の開口部12cの開口面は、スクリーン22に対して直交するように且つフック部12gの貫通面と平行になっている。このため、万一昇降コード16が何かに引っ掛かって連結具本体12がリング28Aに対して前後方向に揺動したとしても、その揺動方向は、スクリーン22に対して直交するために、開口部12cの開口面とは平行になり、よってクリップ14がスリット12dを挿通して開口部12cへと脱出しにくい構成となっている。
【0039】
次に、連結具本体12とクリップ14との連結を解除する場合、昇降コード16をスリット12dに沿って連結具本体12の下方に引っ張ることにより、弾性片部12eの弾性力に抗してクリップ14が押し下げられ、さらに昇降コード16を外向きに引っ張ることで、クリップ14が連結具本体12の開口部12cから脱出することができる。
【0040】
このように、連結具本体12とクリップ14との連結を外すときにも、弾性片部12eの弾性力に抗してクリップ14を押し下げるだけで連結の解除が可能となるため、作業が簡単となる。
【0041】
クリップ14が上述のように安定的に固定され、連結が不用意に解除されることが防止されるので、スリット12dは、スリット12dと昇降コード16との間の摩擦力に抗して軽い力でまたは摩擦力なしで昇降コード16が通過できる幅とすればよく、昇降コード16の径にかかわらず安定して連結状態を維持できる。従って、昇降コード16の径に対してスリット12dの幅を極端に小さくする必要はないので、クリップ14を連結具本体12に連結するとき、または連結を解除するときに、昇降コード16をスリット12dに挿通する作業が簡単になる。
【0042】
弾性部としては、弾性片部12eをケース12aに形成する代わりに、任意の別の部材を設けることもでき、ケース12aとは別部品で構成することも可能である。また、弾性部の位置も開口部12cの対向する面側に限らず、クリップ14を押圧することができる任意の位置とすることができる。また、弾性部によって、クリップ14は収容部12b内の任意の位置に固定させることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 昇降コード連結具
12 連結具本体
12b 収容部
12c 開口部
12d スリット
12e 弾性片部(弾性部)
12g フック部
14 クリップ
16 昇降コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン(22)の下端に取り付けられると共に、昇降コード(16)の端部が取り付けられて、昇降コードをスクリーンに連結する昇降コード連結具において、
昇降コード連結具(10)は、連結具本体(12)と、昇降コードの端部に設けられるとともに、昇降コードの径よりも大きな径を有するクリップ(14)と、からなり、
連結具本体は、連結具本体内部にあってクリップを収容するための収容部(12b)と、収容部にクリップを出し入れ可能な開口部(12c)と、開口部から上下方向に伸び、クリップは挿通不能であるが昇降コードは挿通可能とされるスリット(12d)と、収容部に対して弾性変位可能な弾性部(12e)と、を備え、
クリップは弾性部の弾性力に抗して収容部内に挿入可能とされ、クリップが完全に収容部内に収容されると、弾性部はクリップを押圧可能であることを特徴とする昇降コード連結具。
【請求項2】
前記弾性部は、クリップが完全に収容部内に収容されると、クリップを押し上げてクリップの収容部内における下方への移動を規制することを特徴とする請求項1記載の昇降コード連結具。
【請求項3】
前記弾性部は、連結具本体に形成された弾性片であることを特徴とする請求項1または2記載の昇降コード連結具。
【請求項4】
前記連結具本体は、スクリーンの下端付近に連結可能なフック部(12g)を有し、フック部をスクリーンに連結した状態において、前記開口部(12c)の開口面はスクリーンと直交する面となるように形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の昇降コード連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−5645(P2012−5645A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144014(P2010−144014)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000134958)株式会社ニチベイ (158)
【Fターム(参考)】