説明

昇降制御装置、および車両用リフト装置

【課題】昇降動作させるに際して、自動的に車両用リフト装置の周囲に警告を発し安全性を向上させる。
【解決手段】車両Cを配置したリフト装置110の昇降動作を指定する昇降スイッチ120と、昇降スイッチ120の操作に基づいてリフト装置を昇降動作および停止動作をさせるリフト駆動ユニット130と、起動操作のため昇降スイッチ120の操作があった4秒後、リフト制御手段を動作させてリフト装置110を上昇下降させるとともに、4秒経過後さらに25秒以内に昇降スイッチ120が操作されたとき、直ちにリフト装置110を昇降動作および停止動作させる駆動制御部148と、前記4秒の間リフト装置110が昇降する旨の警告を発するとともに、リフト装置110の動作中にリフト装置110が動作している旨の警告を発する警告灯150およびスピーカ160を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は昇降制御装置および車両用リフト装置に係り、特にリフト装置の昇降に際して周囲に警告を与えることができる昇降制御装置、およびこの昇降制御装置を備えた車両用リフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用リフト装置として、油圧シリンダーと、リンク機構として組み合わされた複数のアームとを備え、車両等を設置した昇降台を昇降させるものがある(例えば特許文献1参照)。ここで、油圧シリンダーは、車両用リフト装置の制御装置で駆動制御される。そして、制御装置は、装置本体に取り付けられた昇降スイッチの操作に基づいて、油圧弁等を動作させて、油圧シリンダーを駆動させる。昇降台は、この油圧シリンダーの伸縮動に伴い駆動されるアームにより上昇または下降される。
【0003】
昇降スイッチには、上昇ボタン、下降ボタンが配置されており、操作者がこのボタンを押下すると、制御装置が、昇降台が上昇または下降する。
【0004】
また、車両用リフト装置では、起動操作と、微調整操作とが行われる。起動操作は、最初に昇降台を上昇させる操作を行う動作と、持ち上げられた車両を最初に降下させる動作である。
【0005】
微調整操作は、起動動作で上昇させた昇降台をさらに上昇または下降させつつ車両を移動し車両の昇降台への設置位置を調整するものの他、車両の持ち上げ高さの微調整を行うものである。この調整操作では、複数回の上昇、下降操作が繰り返されることがある。また、一端上昇された車両を下降させるに際しては、起動操作で一気に車両を床面まで下ろす操作の他、車両の高さ調整のため、調整操作が行われることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−315209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、従来の車両用リフト装置は、昇降スイッチの昇降ボタンの押下から直ちに動作するよう構成することが一般的である。そこで、操作者は、操作の前に車両用リフト装置に周囲にいる作業者などに車両用リフト装置の部材が接触しないように十分注意を払う必要がある。
【0008】
しかし、昇降スイッチは、車両用リフト装置の装置本体に設けられたり、装置本体からケーブルで引き出されて配置されたりしており、昇降スイッチを操作する際、操作者が装置本体の周囲を見渡しにくいことがある。このため、操作者は車両用リフト装置の操作時に周囲に音声などで警告を発するようにすることが望ましい。
【0009】
しかし、操作のたびに警告を発することは煩雑であるし、操作者が警告を発することを失念することがある。また、警告を発したとしても、警告が車両用リフト装置の昇降動作の直前であるときには、作業者などが車両用リフト装置の作動範囲から待避することができないこともある。
【0010】
本発明は上述の点にかんがみてなされたものであり、昇降動作させるに際して、自動的に車両用リフト装置の周囲に警告を発して、安全性を向上させることができる昇降制御装置、および車両用リフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、物品を配置したリフト装置の昇降動作を指定する昇降スイッチと、この昇降スイッチの操作に基づいて前記リフト装置を昇降動作および停止動作をさせるリフト制御手段と、を備える昇降制御装置において、前記昇降スイッチの操作があったとき、あらかじめ定めた第1の時間の経過後、前記リフト制御手段を動作させて前記リフト装置に指定の昇降動作および停止動作をさせるとともに、前記第1の時間経過後あらかじめ定めたタイミングでスタートする第2の時間以内に前記昇降スイッチが操作されたとき、遅延を生じることなく前記リフト装置を昇降動作および停止動作させる駆動制御部と、前記第1の時間中、リフト装置が昇降する旨の警告を発するとともに、前記リフト装置の動作中、リフト装置が動作している旨の警告を発する警告発生手段と、を備えることを特徴とする昇降制御装置である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の昇降制御装置において、前記昇降スイッチは装置本体に延長接続されたケーブルに接続され、前記ケーブルは、このケーブルを引き出し可能に巻き取り収納するリール装置に配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の昇降制御装置において、前記第2の時間は、前記第1の時間経過後直ちにスタートすることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1または請求項2に記載の昇降制御装置において、前記第2の時間は、前記第1の時間経過後昇降スイッチで昇降動作を停止したときスタートすることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の昇降制御装置において、前記警報装置は、警告光を発生する警告灯と、警告音を発生する警告音発生手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の昇降制御装置と、車両を配置する昇降台と、前記昇降制御装置で制御され前記車両台を昇降動させる昇降駆動機構と、を備えることを特徴とする車両用リフト装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る昇降制御装置によれば、リフト装置は、起動操作における昇降スイッチの操作から一定時間経過後に昇降動作され、その間自動的にリフト装置が昇降する旨の警告が発せられるほか、その後の微調整動作時にも警告が発せられるので、車両用リフト装置の昇降動作時における安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係る車両用リフト装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】同車両用リフト装置の昇降制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】同車両用リフト装置の起動操作を示すフローチャートである。
【図4】同車両用リフト装置の微調整操作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態(以下では単に実施形態と記載する)に係る昇降制御装置、および車両用リフト装置について説明する。
【0020】
図1は実施形態に係る車両用リフト装置の概略構成を示す模式図である。車両用リフト装置100は、車両Cを配置して昇降動させるリフト装置110と、このリフト装置110の昇降動作の操作を行う昇降スイッチ120と、昇降スイッチ120の操作に基づいてリフト装置110の昇降駆動制御を行うリフト制御手段であるリフト駆動ユニット130とを備える。また車両用リフト装置100は、実施形態に係る昇降制御装置であるコントロールユニット140と、警告光を発する警告発生手段をなす警告灯150と、警告音を発する警告発生手段をなすスピーカ160と、上方に取り付けられ、昇降スイッチ120とコントロールユニット140とを接続するケーブル180を引き出し可能に巻き取り収納するリール装置170とを備えている。
【0021】
リフト装置110は、公知の構造を備える。すなわち、リフト装置110は、車両Cを配置する昇降台111と、リフト装置110が配置される床面に設置される基部112と、昇降台111と基部112との間に配置された昇降駆動機構であるリンク機構部113とからなる。リフト装置110では、リンク機構部113が図示していない油圧ポンプ、油圧バルブ、油圧シリンダー等で駆動され、昇降台111を上昇下降動作させる。なお、このリフト装置110の構造はこの例に限らず、油圧シリンダーで直接配置台を昇降させる等、他の構造のものであってもよい。
【0022】
昇降スイッチ120は、2つの押しボタン、すなわち上昇ボタン121と、下降ボタン122とを備えている。昇降スイッチ120では、各ボタン121、122を押し下げることによりこれに接続されたスイッチがオン状態(導通状態)となり、ボタンを放すことにより自動的にオフ状態(切断状態)となる。なお、昇降スイッチの構成は、押しボタン式のスイッチに限らず、他の構成を備えるものであってもよい。
【0023】
また、昇降スイッチ120は、リール装置170に収納されたケーブル180の先端に取り付けられており、天井に取り付けられたリール装置170から垂れ下げられている。
【0024】
リフト駆動ユニット130は、昇降スイッチ120、コントロールユニット140の制御により、内部の電磁スイッチ等を動作させ、リフト装置110の油圧ポンプ、油圧バルブ等を駆動制御する。なお、リフト駆動ユニット130は、三相交流200ボルトにより駆動され、入力用のコネクタ131を備える。
【0025】
コントロールユニット140は、昇降スイッチ120の各ボタン121、122の操作に基づいて、昇降スイッチ120の起動操作を行う。すなわち、コントロールユニット140は、一連の昇降動作における最初の操作があったとき、第1の一定時間である5秒経過後、リフト駆動ユニット130でリフト装置110に指定の昇降動作および停止動作をさせるとともに、この時間中、警告灯150およびスピーカ160でリフト装置が昇降する旨の警告を発するように駆動する。なお、第1の時間は、必要に応じて例えば3〜5秒の間に適宜変更できる。
【0026】
また、コントロールユニット140は、前記第1の一定時間の経過後スタートする第2の一定時間である25秒以内に昇降スイッチ120が操作されたとき、この操作を微調整操作と判定し、操作から遅延を生じることなくリフト装置110を昇降動作および停止動作させる。また、コントロールユニット140は、リフト装置110の動作中、警告灯150およびスピーカ160でリフト装置110が動作している旨の警告を発する。なお、コントロールユニット140は、単相交流100ボルトを電源とし、入力用のコネクタ141を備える。なお、第2の一定時間は、必要に応じて、例えば、12、24、48秒等に適宜変更できる。
【0027】
警告灯150は、例えばLED発光素子を備えて構成されるものであり、コントロールユニット140の制御により点滅、連続点灯による警告光を発する。警告灯150は、リフト装置110自体や、リフト装置110の近傍であり、警告光がリフト装置110の動作範囲から確認できる箇所に、例えばリフト装置110の上方に配置される。警告灯150は、外部からの単相100ボルトを電源とする。また、コントロールユニット140からの電力供給により駆動するものでもよい。また、LED発光素子に限らず、他の発光素子を使用することができる。また、警告灯の他、警告の文字を表示する文字表示手段を単独にまたは併せて使用することができる。
【0028】
スピーカ160は、コントロールユニット140からの音声出力信号により、合成音声等の警告音声を発する。スピーカ160は、リフト装置110の近傍に配置される。なお、スピーカ160に代えてブザー、電鈴などを使用することができる。この場合、ブザー等からは、連続音、断続音などが発せられる。なお、ブザーや電鈴は音声による警告に重ねて発生することができ、この場合スピーカ160の他ブザー等を併せて設ける。
【0029】
リール装置170は、リフト装置110の近傍の天井や支柱上であり、垂れ下げた昇降スイッチ120を操作する操作者が、リフト装置110の周囲を見通せる位置に取り付けられる。ここで、リール装置170は公知のものであり、ケーブル180を引き出し可能に巻き取り収納し、昇降スイッチ120を任意の高さ位置に停止させることができる。
【0030】
次にコントロールユニット140について説明する。図2は実施形態に係る車両用リフト装置の昇降制御装置の概略構成を示すブロック図である。コントロールユニット140は、コネクタ141からの交流100Vを直流24Vに変換する電源回路142と、リフト駆動ユニット130の制御を行うリフト駆動部143と、第1のタイマー144と、第2のタイマー145と、警告灯150の発光を制御するライトコントローラ146と、スピーカ160に音声信号を出力する音声コントローラ147とを備える。
【0031】
またコントロールユニット140は、昇降スイッチ120、第1のタイマー144および第2のタイマー145に接続されリフト駆動部143と、ライトコントローラ146と、音声コントローラ147の制御を行う駆動制御部148と、を備える。
【0032】
電源回路142は、交流100Vから変換した直流24Vの電力をコントロールユニット140の各部に供給する。なお、電源回路142の出力電圧として、任意のものを採用することができ、例えば直流12Vとすることができる。
【0033】
第1のタイマー144は、昇降スイッチ120のボタン121、122が最初に押下されスイッチがオン状態となったときスタートする。これにより、第1のタイマー144は、昇降スイッチ120のボタン121、122の押下操作から時間の計測を開始する。
【0034】
また第2のタイマー145は、第1のタイマーがあらかじめ定めた時間(この例では4秒)を計測したときスタートする。これにより、第2のタイマー145は、時間の計測を開始する。この第1のタイマー144および第2のタイマー145として、電子式のものが使用される。
【0035】
ライトコントローラ146は、昇降スイッチ120のボタン121、122が操作されてからの第1の一定時間の間警告灯150を点滅させる。これによりリフト装置110の運転を予告する。
【0036】
また、ライトコントローラ146は、リフト装置110が実際に昇降動作している期間中、警告灯150を連続点灯させる。これにより、リフト装置110が昇降動作中であることを警告する。
【0037】
音声コントローラ147は、音声合成装置を備え、以下4つのチャンネルの音声を出力する。
【0038】
1チャンネル「リフトが上昇します。注意してください。」(例えば、3.1秒)
2チャンネル「リフトが上昇中です。注意してください。」(例えば、3.0秒)
3チャンネル「リフトが下降します。注意してください。」(例えば、3.1秒)
4チャンネル「リフトが下降中です。注意してください。」(例えば、3.0秒)
【0039】
これらの音声は、あらかじめ記憶手段に記憶しておくことができ、その警告の内容および音声の種類(男性、女性、読み上げはやさ)などを変更できるようにすることが好ましい。
【0040】
なお、ブザーや電鈴を使用するときは、音声コントローラ147は、ブザー等に連続音や、所定の断続音を出力させるように構成する。また、ブザー等を同時に使用する場合には、音声コントローラ147は合成音声を出力する機能の他、ブザー等を駆動する機能を備える。
【0041】
駆動制御部148は、公知のシーケンサー、マイクロコンピューターを備えて構成され、昇降スイッチ120、第1のタイマー144、第2のタイマー145からの信号に基づいて、リフト駆動部143、ライトコントローラ146、音声コントローラ147の動作を制御する。
【0042】
コントロールユニット140は、起動動作において、昇降スイッチ120が操作されたとき、第1のタイマー144が4秒計時したとき、リフト駆動部143によりリフト装置110を動作させる。また、この4秒の間、警告灯150およびスピーカ160からリフト装置110が動作する旨の警告を発するようにライトコントローラ146および音声コントローラ147を駆動する。
【0043】
また、コントロールユニット140は、微調整操作において、第2のタイマー145が25秒を計時するまでの間に昇降スイッチ120が操作されたとき、リフト駆動部143によりリフト装置110を遅延なく直ちに動作させる。また、リフト装置110の動作中に警告灯150およびスピーカ160からからリフト装置110が動作中である旨の警告を発するようにライトコントローラ146および音声コントローラ147を駆動する。
【0044】
なお、実施形態に係る昇降制御装置である昇降スイッチ120、コントロールユニット140、警告灯150、リール装置170は、既存のリフト装置110にもとから配置されている昇降スイッチと交換して取り付けることができる。
【0045】
次に実施形態に係る車両用リフト装置100の動作について説明する。図3は実施形態に係る車両用リフト装置の起動操作を示すフローチャート、図4は同車両用リフト装置の微調整操作を示すフローチャートである。
【0046】
リフト装置110の昇降動の操作は、停止状態から最初にリフト装置110を動作させる起動操作と、その後、車両の位置調整やリフト装置110の高さ調整のために行われる上昇下降操作である微調整操作と、で行われる。起動操作としては、車両Cを最下降状態にあるリフト装置110の設置台111上に移動した後に行われる当初の操作、および車両Cをリフト装置110に設置して上昇させた状態から下降させる操作がある。
【0047】
まず、起動操作のうちリフト装置110を上昇させる場合について説明する。昇降スイッチ120の上昇スイッチがオン状態とされると(SA1のYes)、第1のタイマー144がスタートし、ライトコントローラ146で警告灯150が点滅し、音声コントローラ147でスピーカ160から「リフトが上昇します。注意してください。(1チャンネル)」と1回発声される(SA3)。これらの警告により、リフト装置110の近傍にいる作業者などに警告がなされ、リフト装置110の始動における安全が確保される。
【0048】
そして、第1のタイマー144での計時が4秒を計時すると(SA4のYes)、第2のタイマーをスタートさせる(SA5)とともに、上昇スイッチがオン状態であることを確認して(SA6)、リフト駆動部143の制御でリフト装置110が上昇を開始する。これと同時に、ライトコントローラ146の制御で警告灯150が連続点灯し、音声コントローラ147の制御でスピーカ160から「リフトが上昇中です。注意してください。(2チャンネル)」が繰り返し発声される(SA7)。これにより、リフト装置110の動作中であることが警告され、この警告により周囲の作業者が待避でき、安全が確保される。なお、4秒以内に上昇スイッチがオフ状態にされると、終了し起動操作開始に復帰する(SA6のNo)。
【0049】
そして、上昇中に上昇スイッチがオフ状態となると(SA8のYes)、リフト駆動部143の制御でリフト装置110の上昇は停止する。これと同時に、ライトコントローラ146の制御で警告灯150が消灯し、音声コントローラ147の制御で警告音は停止される(SA9)。
【0050】
起動操作におけるリフト装置110の下降に際しても同様の制御がなされる。すなわち、昇降スイッチ120の下降スイッチがオン状態とされると(SA2のYes)、第1のタイマー144がスタートし、警告灯150が点滅し、スピーカ160から「リフトが下降します。注意してください。(3チャンネル)」と1回発声される(SA10)。これらの警告により、リフト装置110の近傍にいる作業者などに警告がなされ、リフト装置110の始動における安全が確保される。
【0051】
そして、第1のタイマー144のスタートから4秒経過すると(SA11のYes)、第2のタイマー145をスタートさせる(SA12)とともに、下降スイッチがオン状態であることを確認して(SA13)、リフト装置110が下降を開始する。これと同時に、警告灯150が連続点灯し、スピーカ160から「リフトが下降中です。注意してください。(4チャンネル)」が繰り返し発声される(SA14)。これにより、リフト装置110の動作中であることが警告され、安全が確保される。
【0052】
この動作中に下降スイッチがオフ状態となると(SA15のYes)、リフト装置110の下降は停止する。これと同時に、警告灯150が消灯し、警告音は停止される(SA16)。
【0053】
上昇および下降の動作が終了して、第2のタイマー145での計時が25秒以内に微調整操作がされない場合(SB1のYes)終了し、起動操作の開始に復帰する。ここで、この例では、第2のタイマーは、第1のタイマーが4秒計時したときにスタートするものとした。このため、最初に昇降スイッチを操作してから29秒経過した後に自動的に起動操作開始状態に復帰する。従って、その後に昇降スイッチを操作すると再度起動操作の処理がなされる。
【0054】
微調整操作において車両用リフト装置100は、以下のように制御される。図4に示すように、第2のタイマー145の計時が25秒となる前に、上昇スイッチがオン状態とされると(SB1、SB2のYes)、リフト駆動部143の制御でリフト装置110は直ちに上昇動作し、同時にライトコントローラ146の制御で警告ライトが連続点灯する(SB6)。
【0055】
そして、上昇スイッチがオフ状態とされると(SB5のYes)、リフト駆動部143の制御でリフト装置110が直ちに停止するとともに、ライトコントローラ146の制御により警告灯が消灯する(SB5)。
【0056】
微調整操作におけるリフト装置110の下降に際しても同様の制御がなされる。すなわち、第2のタイマー145の計時が25秒となる前に、下降スイッチがオン状態とされると(SB1、SB3のYes)、リフト駆動部143の制御でリフト装置110は直ちに上昇動作し、同時にライトコントローラ146の制御で警告ライトが連続点灯する(SB7)。
【0057】
そして、上昇スイッチがオフ状態とされると(SB8のYes)、リフト駆動部143の制御でリフト装置110が直ちに停止するとともに、ライトコントローラ146の制御により警告灯が消灯する(SB9)。
【0058】
この上昇、下降動作は第2のタイマー145が25秒を計時するまで、いずれの操作を何回でも行うことができる。
【0059】
以上のように、実施形態に係る車両用リフト装置100によれば、起動操作における昇降スイッチの操作の一定時間経過後に昇降動作され、その間自動的にリフト装置が昇降する旨の警告が発せられる。また車両用リフト装置100では、その後の微調整動作時にも警告が発せられる。このため、車両用リフト装置100の昇降動作時における安全性を向上させることができる。
【0060】
なお、第2のタイマー145は、第1のタイマー144が所定の時刻となったときスタートしたが、これは昇降スイッチ120のボタン121、122が、最初に押下された状態から離され、スイッチがオン状態からオフ状態になったときスタートするようにしてもよい。このようにすると、起動操作処理における昇降スイッチの停止操作から25秒経過すると自動的に起動操作処理に復帰する。従って、この25秒間の操作の有無にかかわらず25秒経過後に昇降スイッチの昇降操作がなされると起動操作がなされる。
【符号の説明】
【0061】
100 車両用リフト装置
110 リフト装置
111 設置台
112 基部
113 リンク機構部
120 昇降スイッチ
121 上昇ボタン
122 下降ボタン
130 リフト駆動ユニット(リフト制御手段)
131 入力コネクタ
140 コントロールユニット(駆動制御部)
141 コネクタ
142 電源回路
143 リフト駆動部
144 第1のタイマー
145 第2のタイマー
146 ライトコントローラ
147 音声コントローラ
148 駆動制御部
150 警告灯(警告発生手段)
160 スピーカ(警告発生手段)
170 リール装置
180 ケーブル
C 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を配置したリフト装置の昇降動作を指定する昇降スイッチと、この昇降スイッチの操作に基づいて前記リフト装置を昇降動作および停止動作をさせるリフト制御手段と、を備える昇降制御装置において、
前記昇降スイッチの操作があったとき、あらかじめ定めた第1の時間の経過後、前記リフト制御手段を動作させて前記リフト装置に指定の昇降動作および停止動作をさせるとともに、前記第1の時間経過後あらかじめ定めたタイミングでスタートする第2の時間以内に前記昇降スイッチが操作されたとき、遅延を生じることなく前記リフト装置を昇降動作および停止動作させる駆動制御部と、
前記第1の時間中、リフト装置が昇降する旨の警告を発するとともに、前記リフト装置の動作中、リフト装置が動作している旨の警告を発する警告発生手段と、
を備えることを特徴とする昇降制御装置。
【請求項2】
前記昇降スイッチは装置本体に延長接続されたケーブルに接続され、
前記ケーブルは、このケーブルを引き出し可能に巻き取り収納するリール装置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の昇降制御装置。
【請求項3】
前記第2の時間は、前記第1の時間経過後直ちにスタートすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の昇降制御装置。
【請求項4】
前記第2の時間は、前記第1の時間経過後昇降スイッチで昇降動作を停止したときスタートすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の昇降制御装置。
【請求項5】
前記警報装置は、警告光を発生する警告灯と、警告音を発生する警告音発生手段とを備えることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の昇降制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の昇降制御装置と、車両を配置する昇降台と、前記昇降制御装置で制御され前記車両台を昇降動させる昇降駆動機構と、を備えることを特徴とする車両用リフト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−1504(P2013−1504A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133850(P2011−133850)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(593175693)日平機器株式会社 (2)