説明

昇降搬送装置

【課題】被搬送物を連続的に上昇および下降させることでき、かつコンパクトな昇降搬送装置を提供する。
【解決手段】2条のエンドレスチェーン11,12を有するアームエレベータ3を備える。エンドレスチェーン11,12に所定間隔おいて設けられた複数の支持部材21を備える。エンドレスチェーン11,12を間欠的に一方向へ移動させるモータ18を備える。トレイ2を上昇用搬送路26内に送る下部投入装置4を備える。トレイ2を下降用搬送路59から取り出す下部取出し装置5を備える。トレイ2を前記上昇用搬送路26から取り出す上部取出し装置6を備える。トレイ2を前記下降用搬送路59内に送る上部投入装置7とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物を上下方向に搬送する昇降搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば眼鏡レンズの製造工場内やその他の生産設備において、研磨工程、染色工程、成膜工程、検査工程等各工程に眼鏡レンズを連続して搬送する際、ベルトコンベアを用いて行われるが、フロアのスペース上、例えば1階から2階へ又はその逆への搬送や、フロアの出入り口前をベルトコンベアが通らなければならない時は、上下方向に搬送させなければならない場合がある。このような場合には、従来、例えば特許文献1や特許文献2に記載されているようなエレベータ形式の運搬装置が用いられている。しかし、被搬送物が流れ作業によって送られてくる場合、上記エレベータ形式の運搬方法では被搬送物を連続的に且つ円滑に搬送することができない。
【0003】
被搬送物を1個ずつ連続的に上昇させることができる従来の昇降搬送装置としては、例えば特許文献3に記載されているものがある。この特許文献3に開示された昇降搬送装置は、2台のアームエレベータで被搬送物の一側部と他側部とを支持し、被搬送物を傾けることなく上昇させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−313373号公報
【特許文献2】特開平10−109836号公報
【特許文献3】特開平7−61574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献3に示す昇降搬送装置は、水平方向に並ぶ2台のアームエレベータを備えているために大型なものである。このため、この昇降搬送装置は、工場の下層のフロアから上層のフロアへ被搬送物を送る用途には簡単には用いることができないという問題があった。これは、下層のフロアと上層のフロアとの間の壁を大きく開口させなければならないからである。また、この昇降搬送装置は、被搬送物を下降させる機能は有していない。このため、上層のフロアから下層のフロアへ被搬送物を下ろすためには、下降専用の昇降搬送装置が別途必要になる。
【0006】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、被搬送物を連続的に上昇および下降させることが可能で、しかも、コンパクトな昇降搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係る昇降搬送装置は、水平方向に所定の間隔で離間するように同一軸線上に並べられた一対の下側スプロケットと、これらの下側スプロケットの上方に設けられた一対の上側スプロケットと、これらの下側スプロケットと上側スプロケットとに巻き掛けられた2条のエンドレスチェーンと、前記エンドレスチェーンの外方に向けて突出する載置部を有し、前記エンドレスチェーンの同じ高さの部位に両端部が支持されかつエンドレスチェーンの長手方向に所定の間隔をおいて離間するようにエンドレスチェーンに設けられた支持部材と、前記両エンドレスチェーンを前記複数の支持部材の設置間隔と同じ距離だけ間欠的にかつ一方向に移動させる駆動装置と、前記エンドレスチェーンの回転により支持部材が上昇する搬送路の下部に位置付けられ、被搬送物を前記搬送路内に送る下部投入装置と、前記エンドレスチェーンの回転により支持部材が下降する搬送路の下部に位置付けられ、被搬送物を前記搬送路内から取出す下部取出し装置と、前記下部投入装置の上方に位置付けられ、被搬送物を前記搬送路内から取出す上部取出し装置と、前記下部取出し装置の上方に位置付けられ、被搬送物を前記搬送路内に送る上部投入装置とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、下部投入装置によって搬送路内に送られた被搬送物は、駆動装置による駆動によってエンドレスチェーンが回転することにより上昇し、上部取出し装置によって搬送路内から取出される。また、上部投入装置によって搬送路内に送られた被搬送物は、駆動装置による駆動によってエンドレスチェーンが回転することにより下降し、下部取出し装置によって搬送路内から取出される。また、この発明による昇降搬送装置は、複数の支持部材を備えており、これらの支持部材を間欠的に送るものであるから、被搬送物を連続的に上昇および下降させることができる。
したがって、本発明によれば、1台のアームエレベータで実現できることからコンパクトで、しかも、被搬送物を連続的に上昇および下降させることが可能な昇降搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る昇降搬送装置の正面図である。
【図2】本発明に係る昇降搬送装置の側面図である。
【図3】昇降搬送装置の下部を拡大して示す正面図である。
【図4】昇降搬送装置の下部を拡大して示す側面図である。
【図5】投入装置の構成を示す側面図で、同図(A)はトレイが搬送路に送られた状態を示し、同図(B)はトレイが上昇している状態を示す。
【図6】昇降搬送装置の上部を拡大して示す正面図である。
【図7】昇降搬送装置の上部を拡大して示す側面図である。
【図8】取出し装置の構成を示す側面図である。
【図9】制御系の構成を示すブロック図である。
【図10】昇降搬送装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る昇降搬送装置の一実施の形態を図1〜図10によって詳細に説明する。
図1および図2に示す昇降搬送装置1は、被搬送物収納用トレイ(以下、単にトレイという)2を工場内の床側と天井側との間で上下方向に搬送するためのものである。なお、図示してはいないが、この昇降搬送装置1は、工場の下層フロアと上層フロアとの間の壁を上下方向に貫通するような状態で使用することができるものである。
【0011】
前記トレイ2は、上方に向けて開口する箱状に形成されている。このトレイ2は、例えば眼鏡レンズなどの小型のワーク(図示せず)を収容できるものである。
この昇降搬送装置1は、詳細は後述するが1台のアームエレベータ3と4台のトレイ移載装置とを用いて構成されている。4台のトレイ移載装置とは、図1に示すように、アームエレベータ3の下部に設けられた下部投入装置4および下部取出し装置5と、アームエレベータ3の上部に設けられた上部取出し装置6および上部投入装置7である。
【0012】
この実施の形態においては、図1に示すように、アームエレベータ3の上昇部Aと下降部Bとが並ぶ方向を左右方向といい、これとは直交する水平方向を前後方向という。また、この実施の形態においては、昇降搬送装置1における図1に表れる端部(図2においては左側の端部)を昇降搬送装置1の前部といい、これとは反対側の端部を後部という。
また、この実施の形態による昇降搬送装置1は、図1および図2に示すように、アームエレベータ3の周囲を覆うカバー8を備えている。
【0013】
前記アームエレベータ3は、昇降搬送装置1の前後方向(水平方向)に並ぶ2条のエンドレスチェーン11,12を使用して構成されている。これらのエンドレスチェーン11,12の下端部は、一対の下側スプロケット13,13(図4参照)に巻き掛けられている。また、これらのエンドレスチェーン11,12の上端部は、一対の上側スプロケット14,14に巻き掛けられている。
【0014】
前記下側スプロケット13と上側スプロケット14とは、それぞれフレーム15に回転自在に支持されている。このフレーム15は、図1および図2に示すように、工場の床FLに固定されたベースプレート15aと、このベースプレート15aから上方に延びる2本の支柱15b,15cと、これらの支柱15b,15cどうしを接続する複数のクロスメンバ(図示せず)などによって構成されている。なお、図1においては、昇降搬送装置1の前部に位置する支柱15bの上部を省略した状態で描いてある。2本の支柱15b,15cは、ベースプレート15aからアームエレベータ3の上端部まで延びるように形成されている。
【0015】
前記一対の下側スプロケット13,13は、前記2本の支柱15b,15cの間に位置しており、これらの支柱15b,15cが並ぶ前後方向(水平方向)に所定の間隔で離間するように同一軸線上に並べられている。また、これらの下側スプロケット13,13は、図2および図4に示すように、支軸16を介して前記支柱15b,15cに回転自在に支持されている。
【0016】
前記一対の上側スプロケット14,14は、前記下側スプロケット13,13の真上に位置しており、水平方向に所定の間隔で離間するように同一軸線上に並べられている。二つの上側スプロケット14,14は、駆動軸17(図6,7参照)に一体に回転するように取り付けられており、この駆動軸17を介して前記支柱15b,15cに回転自在に支持されている。前記駆動軸17の一端部は、昇降搬送装置1の前部に位置する一方の支柱15bを貫通してフレーム15の外に突出している。この駆動軸17の突出側端部には、このアームエレベータ3の駆動装置を構成するモータ18(図2,7参照)が接続されている。
【0017】
このモータ18は、図示していない支持用ブラケットを介して前記支柱15b,15cに支持されている。このモータ18の動作は、後述する制御装置19(図9参照)によって制御される。このモータ18の動力は、前記駆動軸17から上側スプロケット14,14を介して一対のエンドレスチェーン11,12に伝達される。
モータ18は、前記両エンドレスチェーン11,12を予め定めた所定の距離で間欠的にかつ一方向に移動させる。エンドレスチェーン11,12が回転する方向は、図1においては反時計方向である。
【0018】
エンドレスチェーン11,12には、図1および図2に示すように、前記トレイ2を載せるための複数の支持部材21が取付けられている。これらの支持部材21は、図3および図4に示すように、水平方向に延びる支持板22と、この支持板22に立設された複数の可動側ワークバー23などによって構成されている。支持板22は、図3に示すように、前記スプロケット13,14との干渉を避けるために、エンドレスチェーン11,12の外側に位置している。この支持板22の両端部は、エンドレスチェーン11,12の図示していない外プレートにそれぞれ固定されている。
【0019】
すなわち、支持板22は、2条のエンドレスチェーン11,12間に架け渡された状態でエンドレスチェーン11,12に取り付けられている。このため、支持部材21は、2条のエンドレスチェーン11,12の同じ高さの部位に両端部が支持されることになる。2条のエンドレスチェーン11,12には、複数の支持部材21がこれらのエンドレスチェーン11,12の長手方向に一定の間隔をおいて離間する状態で取り付けられている。
【0020】
前記可動側ワークバー23は、円柱状の棒体からなり、支持板22からエンドレスチェーン11,12の外方に向けて突出するように支持板22に固定されている。この実施の形態においては、1枚の支持板22に3本の可動側ワークバー23が設けられている。これらの可動側ワークバー23は、水平方向へ予め定めた間隔をおいて離間するように並べられている。この実施の形態においては、これらの可動側ワークバー23によって、本発明でいう「載置部」が構成され、請求項5記載の発明でいう「第1の棒体」が構成されている。この実施の形態による可動側ワークバー23の先端部には、トレイ2が脱落することを防ぐために円板状のストッパー24が設けられている。
【0021】
前記支持板22の水平方向の長さは、2条のエンドレスチェーン11,12の設置間隔より長く形成されている。この実施の形態による支持板22は、図4に示すように、両端がエンドレスチェーン11,12と支柱15b,15cとの間に位置するような長さに形成されている。この支持板22の両端部は、図3に示すように、上下方向に延びるサポート板25に重ねられている。
【0022】
サポート板25は、図1および図2に示すように、上下方向に直線状に延びるエンドレスチェーン11,12と平行に設けられており、図示していないブラケットによって前記フレーム15に支持されている。サポート板25は、アームエレベータ3の上昇部Aと下降部Bとの両方に設けられている。支持板22は、その主面がサポート板25と対向する状態で上昇または下降する。このように支持板22とサポート板25とが重なることによって、前記可動側ワークバー23の上に載せられたトレイ2の重量で支持部材21が傾くことを防ぐことができる。
【0023】
前記下部投入装置4は、上昇させるトレイ2をアームエレベータ3に送るためのものである。この下部投入装置4は、図1および図2に示すように、前記エンドレスチェーン11,12の回転により前記支持部材21が上昇する上昇用搬送路26の下端部に位置付けられている。この下部投入装置4は、図3〜図5に示すように、トレイ2を送るコンベア31と、このコンベア3からトレイ2を前記上昇用搬送路26に押し出す第1のプッシャ32と、上昇用搬送路26内に臨む4本の固定側ワークバー33とを備えている。前記コンベア31と第1のプッシャ32の動作は、後述する制御装置19によって制御される。
【0024】
コンベア31は、例えばベルトコンベアなどの従来からよく知られているものが用いられている。このコンベア31は、アームエレベータ3の下端部から昇降搬送装置1の後方に延びるように形成されており、工場の床FLの上に載置されている。トレイ2は、このコンベア31によってアームエレベータ3と隣接する位置に送られる。このコンベア31における搬送方向の下流側端部には、図5(A)に示すように、前側ストッパー31aと、後側ストッパー31bと、ワーク有無確認用センサ34とが設けられている。
【0025】
前側ストッパー31aおよび後側ストッパー31bは、エアシリンダ(図示せず)を動力源として搬送路に突出する形態と、搬送路から下方に退避する形態とのいずれか一方の形態を採るように構成されている。前側ストッパー31aは、コンベア31の搬送方向の下流側端部にトレイ2を強制的に停止させるためのものである。後側ストッパー31bは、前記トレイ2の後方で次のトレイ2を待機させておくためのものである。これらの前側ストッパー31aと後側ストッパー31bの動作は、後述する制御装置19によって制御される。
【0026】
前側ストッパー31aは、コンベア31の前方に先行するトレイ2が存在していない場合(トレイ2の搬送が可能な場合)に搬送路から下方に退避する。トレイ2は、図5(A)に示すように、コンベア31から固定側ワークバー33の上に送られ、コンベア31とから前方に離れたときに停止する。このときは後側ストッパー31bが搬送路に突出し、次のトレイ2が前進することを規制する。
【0027】
前記ワーク有無確認用センサ34は、トレイ2の有無を確認するためのもので、図9に示すように、制御装置19に接続されており、検出信号を制御装置19に送る。コンベア31は、このセンサ34によってトレイ2が検出された後に停止する。
【0028】
第1のプッシャ32は、上述したように固定側ワークバー33上に移載されたトレイ2を正しい位置まで送り出すためのもので、図4に示すように、トレイ2の後端を押圧部材35で押す構成が採られている。詳述すると、この第1のプッシャ32は、前記押圧部材35を昇降させるための昇降シリンダ36と、前記押圧部材35および前記昇降シリンダ36を水平方向に移動させるためのワーク投入横移載シリンダ37とを備えている。これらのシリンダ36,37は、いずれもエアシリンダによって構成されており、下部投入装置用フレーム38(図3参照)に支持されており、このフレーム38を介して工場の床FLや昇降搬送装置1のフレーム15に支持されている。第1のプッシャ32によってトレイ2が送られた後、前記前側ストッパー31aが上昇し、後側ストッパー31bが下降する。
【0029】
この実施の形態においては、前記昇降シリンダ36によって、請求項3記載の発明でいう昇降用シリンダが構成され、ワーク投入横移載シリンダ37によって、請求項3記載の発明でいう投入用エアシリンダが構成されている。
昇降シリンダ36は、押圧部材35が下降したことを確認するための下降確認用センサ39(図9参照)と、押圧部材35が上昇したことを確認するための上昇確認用センサ40(図9参照)とを備えている。
【0030】
ワーク投入横移載シリンダ37は、押圧部材35が初期位置(送り方向上流側の位置)にあることを確認するための戻り確認用センサ41(図9参照)と、押圧部材35が送り位置(送り方向下流側の位置)にあることを確認するための送り確認用センサ42(図9参照)とを備えている。これらのセンサ39〜42は、図9に示すように、制御装置19に接続されており、制御装置19に検出信号を送る。
【0031】
前記4本の固定側ワークバー33は、上昇用搬送路26内でトレイ2を保持するためのもので、棒体によって形成されている。これらの固定側ワークバー33は、前記上昇用搬送路26内に外側方から水平に臨む状態で前記下部投入装置用フレーム38に支持されている。これらの固定側ワークバー33の高さは、図4および図5(A)に示すように、前記コンベア31の搬送面と略同じ高さに位置付けられている。また、これら4本の固定側ワークバー33は、昇降搬送装置1の前後方向に所定の間隔をおいて離間するように並べられている。各固定側ワークバー33の太さと、互いに隣り合う固定側ワークバー33どうしの間隔とは、図5(B)に示すように、固定側ワークバー33どうしの間に支持部材21の可動側ワークバー23を通すことができるように設定されている。
【0032】
これらの固定側ワークバー33によって、請求項5記載の発明でいう「第2の棒体」が構成されている。これらの固定側ワークバー33の上にトレイ2が載置されている状態{図5(A)に示す状態}で下方から可動側ワークバー23が固定側ワークバー33の横を通過して上に移動することによって、図5(B)に示すように、トレイ2が可動側ワークバー23に載せ換えられる。
固定側ワークバー33の近傍には、固定側ワークバー33上のトレイ2の有無を確認するためのエレベータ側ワーク有無確認用センサ43(図5および図9参照)が設けられている。このセンサ43は、図9に示すように、制御装置19に接続され、検出信号を制御装置19に送る。
【0033】
前記上部取出し装置6は、支持部材21に載せられて上昇したトレイ2を支持部材21の可動側ワークバー23から取出すためのものである。この上部取出し装置6は、図1および図2に示すように、前記支持部材21が上昇する上昇用搬送路26の上端部であって、前記下部投入装置4の真上に位置付けられている。
この実施の形態による上部取出し装置6は、図6〜図8に示すように、トレイ2を搬送するコンベア51と、トレイ2を前記可動側ワークバー23(上昇用搬送路26)から前記コンベア51に押し出す第2のプッシャ52とを備えている。これらのコンベア51と第2のプッシャ52の動作は、後述する制御装置19によって制御される。
【0034】
コンベア51は、例えばベルトコンベアなどの従来からよく知られているものが用いられている。このコンベア51は、アームエレベータ3の上端部から昇降搬送装置1の後方に延びるように形成されており、図示してはいないが工場の天井壁にステーによって吊り下げられた状態で支持されている。トレイ2は、このコンベア51によって他の装置などに搬送される。このコンベア51における搬送方向の上流側端部には、トレイ2の有無を確認するためのワーク有無確認用センサ53{図8および図9参照}が設けられている。このセンサ53は、図9に示すように、制御装置19に接続されており、検出信号を制御装置19に送る。コンベア51は、このセンサ53によってトレイ2が検出された後に搬送動作を行う。
【0035】
前記第2のプッシャ52は、トレイ2の後端を押圧部材54で押す構成が採られている。詳述すると、この第2のプッシャ52は、前記押圧部材35を水平方向に移動させるためのワーク取出し横移載シリンダ55を備えている。このシリンダ55は、エアシリンダからなり、図示していない上部取出し装置用フレームに取り付けられ、このフレーム15を介して昇降搬送装置1のフレーム15に支持されている。この実施の形態においては、前記ワーク取出し横移載シリンダ55によって、請求項3記載の発明でいう取出し用エアシリンダが構成されている。
【0036】
また、ワーク取出し横移載シリンダ55は、押圧部材54が初期位置(送り方向上流側の位置)にあることを確認するための戻り確認用センサ56(図9参照)と、押圧部材54が送り位置(送り方向下流側の位置)にあることを確認するための送り確認用センサ57(図9参照)と、前記上昇用搬送路26内のトレイ2の有無を確認するためのエレベータ側ワーク有無確認用センサ58(図8および図9参照)とを備えている。これらのセンサ55〜58は、図9に示すように、制御装置19に接続されており、制御装置19に検出信号を送る。
【0037】
前記上部投入装置7は、下降させるトレイ2をアームエレベータ3に送るためのものである。この上部投入装置7は、図1および図2に示すように、前記エンドレスチェーン11,12の回転により前記支持部材21が下降する下降用搬送路59の上端部に位置付けられている。この上部投入装置7は、上述した下部投入装置4に用いられているものと同一の構成のコンベア31と第1のプッシャ32とを備えている。これらのコンベア31と第1のプッシャ32の動作は、後述する制御装置19によって制御される。
【0038】
上部投入装置7のコンベア31は、図示してはいないが、天井壁にステーによって吊り下げられた状態で支持されている。トレイ2は、このコンベア31によってアームエレベータ3と隣接する位置に送られる。また、このコンベア31にもトレイ2の有無を確認するためのワーク有無確認用センサ34(図9参照)が設けられている。コンベア31は、このセンサ34によってトレイ2が検出されるまで搬送動作を行い、トレイ2が検出されたときに停止する。
【0039】
上部投入装置7の第1のプッシャ32は、専用のフレーム(図示せず)に取り付けられており、このフレームを介して昇降搬送装置1のフレーム15に支持されている。この第1のプッシャ32も請求項3記載の発明でいう昇降用エアシリンダを構成する昇降シリンダ36(図9参照)を備えるとともに、請求項3記載の発明でいう投入用エアシリンダを構成するワーク投入横移載シリンダ37を備えている。また、昇降シリンダ36は、下部投入装置4と同様に、下降確認用センサ39(図9参照)と、上昇確認用センサ40(図9参照)とを備えている。さらに、ワーク投入横移載シリンダ37は、戻り確認用センサ41(図9参照)と、送り確認用センサ42(図9参照)とを備えている。これらのセンサ39〜42は、図9に示すように、制御装置19に接続されており、制御装置19に検出信号を送る。これらのセンサ39〜42の使用目的は、下部投入装置4に装備されている各センサと同一である。
【0040】
前記下部取出し装置5は、支持部材21に載せられて下降されたトレイ2を支持部材21の可動側ワークバー23から取出すためのものである。この下部取出し装置5は、図3および図4に示すように、前記エンドレスチェーン11,12の回転により前記支持部材21が下降する下降用搬送路59の下端部であって、前記上部投入装置7の真下に位置付けられている。
下部取出し装置5は、上述した上部取出し装置6に用いられているものと同一の構成のコンベア51と第2のプッシャ52とを備えている。これらのコンベア51と第2のプッシャ52の動作は、後述する制御装置19によって制御される。
【0041】
コンベア51は、工場の床FLに載置され、トレイ2をアームエレベータ3から昇降搬送装置1の後方へ送る。このコンベア51にも上部取出し装置6のコンベア51と同様にトレイ2の有無を確認するためのワーク有無確認用センサ53(図9参照)が設けられている。このセンサ53は、図9に示すように、制御装置19に接続されており、検出信号を制御装置19に送る。コンベア51は、このセンサ53によってトレイ2が検出された後に搬送動作を行う。
【0042】
下部取出し装置5の第2のプッシャ52は、専用のフレーム61(図3参照)に取り付けられており、このフレーム61を介して昇降搬送装置1のフレーム15に支持されている。この第2のプッシャ52も請求項3記載の発明でいう取出し用エアシリンダを構成するワーク取出し横移載シリンダ55を備えている。
このワーク取出し横移載シリンダ55は、図9に示すように、戻り確認用センサ56と、送り確認用センサ57と、エレベータ側ワーク有無確認用センサ58とを備えている。これらのセンサ56〜58は、図9に示すように、制御装置19に接続されており、制御装置19に検出信号を送る。これらのセンサ56〜58の使用目的は、上述した上部取出し装置6に装備されている各センサと同一である。
【0043】
下部取出し装置5は、コンベア51と第2のプッシャ52の他に、下降用搬送路59内を下降するトレイ2を載せるために4本の固定側ワークバー33を備えている。
これらの固定側ワークバー33は、上述した下部投入装置4に装備されているものと同一の構成が採られている。すなわち、これらの固定側ワークバー33は、棒体によって形成されており、前記下降用搬送路59内に外側方から水平に臨む状態で前記下部取出し装置用フレーム61に支持されている。
【0044】
これらの固定側ワークバー33の高さは、図3に示すように、前記コンベア51の搬送面と略同じ高さに位置付けられている。また、これらの固定側ワークバー33は、互いに隣り合う固定側ワークバー33どうしの間に可動側ワークバー23を通すことができるように構成されている。すなわち、可動側ワークバー23に載せられた状態で下降したトレイ2は、可動側ワークバー23が固定側ワークバー33の横を通過して下方に移動することによって、固定側ワークバー33に載せ換えられる。
【0045】
上述した4台のトレイ移載装置(下部投入装置4、下部取出し装置5、上部取出し装置6、上部投入装置7)の高さは、アームエレベータ3の支持部材21の停止位置と対応させて設定されている。この実施の形態においては、上部取出し装置6と上部投入装置7とが同じ高さに位置付けられている。また、アームエレベータ3は、図1および図5に示すように、最上部に位置する水平な可動側ワークバー23が前記上部取出し装置6および上部投入装置7と同じ高さで停止するように構成されている。
【0046】
また、アームエレベータ3は、前記最上部に位置する水平な可動側ワークバー23が前記両装置6,7と同じ高さに位置している状態において、最下部に位置する水平な可動側ワークバー23が前記固定側ワークバー33より所定距離だけ下方に停止するように構成されている。このように可動側ワークバー23を固定側ワークバー33の下方に停止させる理由は、エンドレスチェーン11,12の伸びにより受ける影響を最小限にするためである。
【0047】
エンドレスチェーン11,12は、長期間にわたって使用すると伸びることが知られている。エンドレスチェーン11,12が伸びると、可動側ワークバー23の停止位置が変化してしまい、エンドレスチェーン11,12が停止したときの可動側ワークバー23の高さが変化してしまう。この実施の形態による昇降搬送装置1は、エンドレスチェーン11,12が伸びたときにも可動側ワークバー23の停止位置に大きな影響を受けることがないように、可動側ワークバー23の停止位置を上部取出し装置6および上部投入装置7に合わせている。そして、下部投入装置4および下部取出し装置5において、固定側ワークバー33を用いてトレイ2の移載を行うようにしている。
【0048】
下部取出し装置5においては、エンドレスチェーン11,12が伸びて可動側ワークバー23の停止位置が低くなったとしても、可動側ワークバー23が固定側ワークバー33の横を通過した後に停止するだけであるから何ら問題が生じるようなことはない。下部投入装置4においては、エンドレスチェーン11,12が伸びて可動側ワークバー23の停止位置が高くなったとしても、可動側ワークバー23の停止位置が固定側ワークバー33と同一または固定側ワークバー33より下方であれば問題が生じるようなことはない。このため、この実施の形態においては、図3および図4に示すように、エンドレスチェーン11,12が伸びたとしても可動側ワークバー23が固定側ワークバー33より低く位置するように、可動側ワークバー23を固定側ワークバー33より高さHだけ下に停止させている。
【0049】
また、エンドレスチェーン11,12の下端部は、図3中に符号71で示す調整機構によって下方に付勢されている。この調整機構71は、エンドレスチェーン11,12が伸びた際、たわみを極力無くしてテンションを維持するためのものである。
この実施の形態による調整機構71は、上下方向に延びるねじ軸72と、このねじ軸72にねじ込まれたナット部材73とを備えている。前記ねじ軸72の下端部は、下側スプロケット13を支持する支軸16に回転を規制することがないように連結されている。
【0050】
前記支軸16は、フレーム15に上下方向に移動できるように支持されているとともに、ねじ軸72と一体に上下方向に移動できるように構成されている。前記ナット部材73は、フレーム15などに回転自在かつ上下方向へは移動できないように支持されている。
この調整機構71によれば、ナット部材73を回転させてねじ軸73をフレーム15に対して下側に移動させることによって、支軸16と下側スプロケット13とが一体に垂直下方に移動し、エンドレスチェーン11,12の余長が短くすることができる。なお、調整機構71の構成は、上記の構成に限定されることはなく、適宜変更することが可能である。
【0051】
次に、上述したように構成された昇降搬送装置1の動作を図10に示すフローチャートによって詳細に説明する。図10においては、アームエレベータ3を単に昇降機とし、トレイ2をワークとして描いてある。
この昇降搬送装置1は、エンドレスチェーン11,12を支持部材21の設置間隔分だけ回転させてトレイ2を上昇させるとともに下降させる(ステップ100)。4台のトレイ移載装置は、エンドレスチェーン11,12が停止した後にそれぞれ動作を開始する。
【0052】
下部投入装置4においては、図10のフローチャートにおいてステップ101〜114で示す動作が行われる。
ステップ101:1F(下部)投入ワークの有無を確認する。この確認は、コンベア31に設けられているコンベア側ワーク有無確認センサ34を使用して行われる。
ステップ102:ステップ101でトレイ2が搬送されていることが確認された場合は、アームエレベータ3側(固定側ワークバー33上)にトレイ2が存在していないことを確認する。この確認は、エレベータ側ワーク有無確認用センサ43を使用して行われる。
ステップ103:昇降シリンダ36が下降動作を行う。
【0053】
ステップ104:昇降シリンダ36の下降動作が終了したか否かを確認する。この確認は、下降確認用センサ39を用いて行われる。昇降シリンダ36の下降動作が終了することによって、図5(A)中に二点鎖線で示すように、押圧部材35がトレイ2の後方に配置される。
ステップ105:ワーク投入横移載シリンダ37が送り動作を行う。
ステップ106:ワーク投入横移載シリンダ37による送り動作が終了したことを確認する。この確認は、送り確認用センサ42を用いて行われる。ワーク投入横移載シリンダ37の送り動作が終了することによって、図5(A)において実線で示すように、トレイ2が固定側ワークバー33の上に載せられる。
【0054】
ステップ107:アームエレベータ3にトレイ2が送られたことをエレベータ側ワーク有無確認用センサ43で確認する。
ステップ108:コンベア31上にトレイ2が存在していないことをコンベア側ワーク有無確認センサ34で確認する。
ステップ109:昇降シリンダ36が上昇動作を行う。
ステップ110:昇降シリンダ36による昇降動作が終了したことを上昇確認用センサ40で確認する。
【0055】
ステップ111:ワーク投入横移載シリンダ37が戻り動作を行う。
ステップ112:ワーク投入横移載シリンダ37による戻り動作が終了したことを戻り確認用センサ41で確認する。ワーク投入横移載シリンダ37の戻り動作が終了することによって、押圧部材35が初期の位置に復帰する。
ステップ113:下部投入装置4における移載動作が全て終了したことが制御装置19によって確認される。移載動作が完了した場合は、ステップ100に進む。
ステップ114:ステップ113で移載動作が完了していないと判定された場合に警告動作を行い、アームエレベータ3の動作を一時停止状態とする。
【0056】
下部取出し装置5においては、図10のフローチャートにおいてステップ201〜210で示す動作が行われる。
ステップ201:1F(下部)取出しワークの有無を確認する。この確認は、エレベータ側ワーク有無確認用センサ58を使用して行われる。
ステップ202:ステップ201でトレイ2が固定側ワークバー33上に存在していることが確認された場合は、コンベア51上にトレイ2が存在していないことを確認する。この確認は、ワーク有無確認用センサ53を用いて行われる。
【0057】
ステップ203:ワーク取出し横移載シリンダ55がトレイ2の送り動作を行う。この送り動作が行われることによって、図8中に二点鎖線で示すように、トレイ2がコンベア51上に移載される。
ステップ204:ワーク取出し横移載シリンダ55の送り動作が終了したことを送り確認用センサ57で確認する。
ステップ205:コンベア51上にトレイ2が送られたことをコンベア51のワーク有無確認用センサ53で確認する。
【0058】
ステップ206:アームエレベータ3側にトレイ2が存在していないことをエレベータ側ワーク有無確認用センサ58で確認する。
ステップ207:ワーク取出し横移載シリンダ55が戻り動作を行う。
ステップ208:ワーク取出し横移載シリンダ55による戻り動作が終了したことを戻り確認用センサ56で確認する。ワーク取出し横移載シリンダ55の戻り動作が終了することによって、押圧部材54が初期の位置に復帰する
【0059】
ステップ209:下部取出し装置5における移載動作が全て終了したことが制御装置19によって確認される。移載動作が完了した場合は、ステップ100に進む。
ステップ210:ステップ209で移載動作が完了していないと判定された場合に警告動作を行い、アームエレベータ3の動作を一時停止状態とする。
【0060】
上部投入装置7においては、図10のフローチャートにおいてステップ301〜314で示す動作が行われる。
ステップ301:2F(上部)投入ワークの有無を確認する。この確認は、コンベア31に設けられているコンベア側ワーク有無確認センサ34を使用して行われる。
ステップ302:ステップ301でトレイ2が搬送されていることが確認された場合は、アームエレベータ3側(可動側ワークバー23上)にトレイ2が存在していないことを確認する。この確認は、エレベータ側ワーク有無確認用センサ43を使用して行われる。
【0061】
ステップ303:昇降シリンダ36が下降動作を行う。
ステップ304:昇降シリンダ36の下降動作が終了したか否かを確認する。この確認は、下降確認用センサ39を用いて行われる。昇降シリンダ36の下降動作が終了することによって、押圧部材35がトレイ2の後方に配置される。
ステップ305:ワーク投入横移載シリンダ37が送り動作を行う。
ステップ306:ワーク投入横移載シリンダ37による送り動作が終了したことを確認する。この確認は、送り確認用センサ42を用いて行われる。ワーク投入横移載シリンダ37の送り動作が終了することによって、トレイ2が可動側ワークバー23の上に載せられる。
【0062】
ステップ307:アームエレベータ3にトレイ2が送られたことをエレベータ側ワーク有無確認用センサ43で確認する。
ステップ308:コンベア31上にトレイ2が存在していないことをコンベア側ワーク有無確認センサ34で確認する。
ステップ309:昇降シリンダ36が上昇動作を行う。
ステップ310:昇降シリンダ36による昇降動作が終了したことを上昇確認用センサ40で確認する。
ステップ311:ワーク投入横移載シリンダ37が戻り動作を行う。
【0063】
ステップ312:ワーク投入横移載シリンダ37による戻り動作が終了したことを戻り確認用センサ41で確認する。ワーク投入横移載シリンダ37の戻り動作が終了することによって、押圧部材35が初期の位置に復帰する。
ステップ313:下部投入装置4における移載動作が全て終了したことが制御装置19によって確認される。移載動作が完了した場合は、ステップ100に進む。
ステップ314:ステップ313で移載動作が完了していないと判定された場合に警告動作を行い、アームエレベータ3の動作を一時停止状態とする。
【0064】
上部取出し装置6においては、図10のフローチャートにおいてステップ401〜410で示す動作が行われる。
ステップ401:2F(上部)取出しワークの有無を確認する。この確認は、エレベータ側ワーク有無確認用センサ58を使用して行われる。
ステップ402:ステップ401でトレイ2が可動側ワークバー23上に存在していることが確認された場合は、コンベア51上にワークが存在していないことを確認する。この確認は、ワーク有無確認用センサ53を用いて行われる。
【0065】
ステップ403:ワーク取出し横移載シリンダ55がトレイ2の送り動作を行う。この送り動作が行われることによって、トレイ2がコンベア51上に移載される。
ステップ404:ワーク取出し横移載シリンダ55の送り動作が終了したことを送り確認用センサ57で確認する。
ステップ405:コンベア上にトレイ2が送られたことをコンベア51のワーク有無確認用センサ53で確認する。
【0066】
ステップ406:アームエレベータ3側にトレイ2が存在していないことをエレベータ側ワーク有無確認用センサ58で確認する。
ステップ407:ワーク取出し横移載シリンダ55が戻り動作を行う。
ステップ408:ワーク取出し横移載シリンダ55による戻り動作が終了したことを戻り確認用センサ56で確認する。ワーク取出し横移載シリンダ55の戻り動作が終了することによって、押圧部材54が初期の位置に復帰する。
【0067】
ステップ409:下部取出し装置5における移載動作が全て終了したことが制御装置19によって確認される。移載動作が完了した場合は、ステップ100に進む。
ステップ410:ステップ409で移載動作が完了していないと判定された場合に警告動作を行い、アームエレベータ3の動作を一時停止状態とする。
このように4台のトレイ移載装置の動作が終了した後、ステップ100において、アームエレベータ3による送り動作が行われ、上述した動作が繰り返される。
【0068】
したがって、この実施の形態によれば、トレイ2を連続的に上昇および下降させることが可能な昇降搬送装置1を1台のアームエレベータ3を用いて実現することができる。すなわち、この実施の形態によれば、流れ作業に対応可能でコンパクトな昇降搬送装置を提供することができる。
【0069】
このように構成された昇降搬送装置1は、例えば1階の加工工場と2階の倉庫との間でトレイ2を送る場合に使用することができる。この場合は、使用済みのワークや再手配用のオーダーシートをトレイ2に収容させて1階から2階へ連続的に送ることができる。また、未加工のワークをトレイ2に収容させて2階から1階へ連続的に送ることができる。
【0070】
また、この実施の形態による下部投入装置4と、下部取出し装置5と、上部取出し装置6と、上部投入装置7とは、いずれも支持部材21が停止する高さと略同じ高さに位置付けられている。前記下部投入装置4と前記上部投入装置7とは、トレイ2を送るコンベア31と、このコンベア31からトレイ2を前記上昇用搬送路26に押し出す第1のプッシャ32とを備えている。
【0071】
一方、前記下部取出し装置5と前記上部取出し装置6とは、トレイ2を搬送するコンベア51と、トレイ2を前記下降用搬送路59から前記コンベア51に押し出す第2のプッシャ52とを備えている。
このため、この実施の形態によれば、トレイ2を上昇用搬送路26や下降用搬送路59内に送ったり、トレイ2を上昇用搬送路26内や下降用搬送路59内から取出すに当たって、トレイ2を水平方向に平行移動させることによって行うことができる。したがって、この実施の形態によれば、上方に向けて開口するトレイ2を使用してワークを搬送することが可能な昇降搬送装置を提供することができる。
【0072】
この実施の形態による前記第1のプッシャ32は、トレイ2を押すための押圧部材35を昇降させる昇降シリンダ36と、前記押圧部材35および前記昇降シリンダ36を水平方向に移動させるワーク投入横移載シリンダ37とを備えている。また、前記第2のプッシャ52は、トレイ2を押すための押圧部材54を水平方向に移動させるワーク取出し横移載シリンダ55を備えている。
前記第1のプッシャ32においては、押圧部材35を昇降シリンダ36でトレイ2の後方に下降させ、ワーク投入横移載シリンダ37により搬送方向の前方へ移動させることによって、トレイ2がコンベア31から上昇用搬送路26内や下降用搬送路59内に押し出される。押圧部材35は、トレイ2を押し出した後に昇降シリンダ36で上昇させられ、ワーク投入横移載シリンダ37で初期位置に戻される。
【0073】
一方、この実施の形態による前記第2のプッシャ52においては、押圧部材54をトレイ2の後方に予め位置付けておき、ワーク取出し横移載シリンダ55で搬送方向の前方へ移動させることによって、トレイ2が上昇用搬送路26内や下降用搬送路59内からコンベア51に押し出される。押圧部材54は、トレイ2を押し出した後にワーク取出し横移載シリンダ55で初期の位置に戻される。
【0074】
このため、この実施の形態によれば、トレイ2をコンベア31から上昇用搬送路26内や下降用搬送路59内に送るために必要な時間と、上昇用搬送路26内や下降用搬送路59内からコンベア51に取り出すために必要な時間とが大きく異なることがない。すなわち、上昇用搬送路26や下降用搬送路59に対するトレイ2の投入と取出しとが略同時にしかも短時間で行われる。
したがって、この実施の形態によれば、エンドレスチェーン11,12を停止させる時間を可及的短くすることができるから、搬送効率が高い昇降搬送装置1を提供することができる。
【0075】
この実施の形態による前記制御装置19は、前記モータ18による駆動によってエンドレスチェーン11,12を前記支持部材21の設置間隔だけ移動させる。次に、制御装置19は、前記下部および上部投入装置4,7と、前記下部および上部取出し装置5,6とを作動させる。そして、制御装置19は、これらの装置の動作が完了した後、前記モータ18でエンドレスチェーン11,12を移動させる。
また、制御装置19は、前記支持部材21上それぞれに対し、トレイ2の有無をメモリ74(図9参照)に記憶し、下部および上部投入装置4,7と、下部および上部取出し装置5,6とにトレイ2が存在しているときにのみ動作させる構成が採られている。すなわち、制御装置19は、前記支持部材21上それぞれに対し、トレイ2の有無について制御装置19が記憶しているため、空の前記支持部材21が前記下部および上部取出し装置5,6の位置に来た時は第2のプッシャの動作を行わないよう制御し、前記下部および上部投入装置4,7の位置に来た時は第1のプッシャの動作を行わないよう制御する。
【0076】
このため、トレイ2を下から上へ搬送する動作と、トレイ2を上から下へ搬送する動作とを制御装置19による制御によって自動で行うことができる。したがって、この実施の形態によれば、トレイ2の載せ換え箇所が四箇所あるにもかかわらず、無駄な動作を制御しながら全ての動作を完全に自動化できるから、ランニングコストが低い昇降搬送装置1を提供することができる。
【0077】
この実施の形態においては、下部投入装置4において固定側ワークバー33の上に載せられたトレイ2は、可動側ワークバー23が固定側ワークバー33の横を通過することによって、可動側ワークバー23に載せ換えられて上方へ送られる。一方、可動側ワークバー23に載せられて下降するトレイ2は、可動側ワークバー23が下部取出し装置5の固定側ワークバー33の横を通過することによって、この固定側ワークバー33に載せ換えられる。
【0078】
したがって、下部投入装置4と下部取出し装置5とにおいてトレイ2を載せ換えるに当たっては、可動側ワークバー23を停止させる位置の自由度が高くなる。すなわち、長期間にわたる使用によってエンドレスチェーン11,12が伸びたとしても、下部投入装置4と下部取出し装置5とにおいて被搬送物の載せ換え動作に大きな影響が出ることはない。この実施の形態においては、エンドレスチェーン11,12に伸びが生じた場合は、調整機構71を用いてエンドレスチェーン11,12のたわみを軽減することができる。
この結果、この実施の形態によれば、長期間にわたって初期の性能を維持できる昇降搬送装置1を提供することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…昇降搬送装置、2…トレイ、3…アームエレベータ、4…下部投入装置、5…下部取出し装置、6…上部取出し装置、7…上部投入装置、11,12…エンドレスチェーン、13…下側スプロケット、14…上側スプロケット、18…モータ、21…支持部材、22…支持板、23…可動側ワークバー、31,51…コンベア、32…第1のプッシャ、33…固定側ワークバー、36…昇降シリンダ、37…ワーク投入横移載シリンダ、52…第2のプッシャ、55…ワーク取出し横移載シリンダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に所定の間隔で離間するように同一軸線上に並べられた一対の下側スプロケットと、
これらの下側スプロケットの上方に設けられた一対の上側スプロケットと、
これらの下側スプロケットと上側スプロケットとに巻き掛けられた2条のエンドレスチェーンと、
前記エンドレスチェーンの外方に向けて突出する載置部を有し、前記エンドレスチェーンの同じ高さの部位に両端部が支持されかつエンドレスチェーンの長手方向に所定の間隔をおいて離間するようにエンドレスチェーンに設けられた支持部材と、
前記両エンドレスチェーンを前記複数の支持部材の設置間隔と同じ距離だけ間欠的にかつ一方向に移動させる駆動装置と、
前記エンドレスチェーンの回転により支持部材が上昇する搬送路の下部に位置付けられ、被搬送物を前記搬送路内に送る下部投入装置と、
前記エンドレスチェーンの回転により支持部材が下降する搬送路の下部に位置付けられ、被搬送物を前記搬送路内から取出す下部取出し装置と、
前記下部投入装置の上方に位置付けられ、被搬送物を前記搬送路内から取出す上部取出し装置と、
前記下部取出し装置の上方に位置付けられ、被搬送物を前記搬送路内に送る上部投入装置とを備えたことを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の昇降搬送装置において、前記下部投入装置と前記上部投入装置とは、前記支持部材が停止する高さと略同じ高さに位置付けられ、かつ被搬送物を送るコンベアと、このコンベアから被搬送物を前記搬送路内に押し出す第1のプッシャとを備え、
前記下部取出し装置と前記上部取出し装置とは、前記支持部材が停止する高さと略同じ高さに位置付けられ、かつ被搬送物を搬送するコンベアと、被搬送物を上下方向の搬送路から前記コンベアに押し出す第2のプッシャとを備えていることを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項3】
請求項2記載の昇降搬送装置において、前記第1のプッシャは、被搬送物を押すための押圧部材を昇降させる昇降用エアシリンダと、前記押圧部材および前記昇降用エアシリンダを水平方向に移動させる投入用エアシリンダとを備え、
前記第2のプッシャは、被搬送物を押すための押圧部材を水平方向に移動させる取出し用エアシリンダを備えていることを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちいずれか一つに記載の昇降搬送装置において、前記駆動装置の動作と、前記下部投入装置および上部投入装置の動作と、前記下部取出し装置および上部取出し装置の動作とを制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、駆動装置による駆動によってエンドレスチェーンを前記支持部材の設置間隔だけ移動させた後に前記下部および上部投入装置と、前記下部および上部取出し装置とを作動させ、これらの装置の動作が完了した後に前記駆動装置にエンドレスチェーンの送り動作を実行させるものであることを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の昇降搬送装置において、前記支持部材は、2条のエンドレスチェーン間に架け渡された支持板を備え、
この支持部材の前記載置部は、前記支持板に水平方向へ所定の間隔をおいて並ぶ状態で立設された複数の第1の棒体によって構成され、
前記下部投入装置と前記下部取出し装置とは、前記複数の第1の棒体どうしの間に臨む複数の第2の棒体を備えていることを特徴とする昇降搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−251843(P2011−251843A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128603(P2010−128603)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】